JP3936394B2 - 弾性表面波機能素子及びそれを用いた電子回路 - Google Patents
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Description
本発明は、圧電体基板を伝搬する弾性表面波と半導体中のキャリアとの相互作用を行わせた弾性表面波増幅器および弾性表面波コンボルバ等の弾性表面波機能素子およびこの機能素子を用いた移動体通信機器の送受信回路等の電子回路に関するものである。
背景技術
近年、携帯電話等の移動体通信機器の小型化、低電圧化、低消費電力化に伴い、携帯機器内部に搭載される素子のモノリシック化が活発に検討されてきた。ところが、高周波部分の素子のうち、バンドパスフィルタや送受信分波器はそのサイズが大きいために他の素子とのモノリシック化の効果はほとんどない。また、パワーアンプは、モノリシック化することがきわめて難しい。それ故、送受信分波器やパワーアンプ、そしてバンドパスフィルタおよびそれより前に配置されている低雑音増幅器などはそれぞれ別々のディスクリート素子として開発され、モジュール化されてきた。これらのディスクリート素子をモジュール化する際には、複数部品を接続する配線やインピーダンスマッチングを取るための回路が形成されており、ユニットとしても非常に大きなサイズになっていた。
一方、弾性表面波を増幅させる研究はこれまでに様々な試みがなされてきた。弾性表面波を増幅するためには、圧電性のある基板表面に弾性表面波を伝搬させ、この波によって生じる電界と半導体中のキャリアを結合させればよいことが知られている。実際の弾性表面波増幅器は、弾性表面波を伝える圧電材料と半導体の組み合わせによって直接型増幅器(図3)、分離型増幅器(図4)、モノリシック型増幅器(図5)の3つに分類される。図3に示すように、第1の直接型増幅器は、CdSやGaAsのような圧電性と半導体性を同時にもつ基板7の上に入出力電極4、5を設け、基板7の両側に直流電界印加用電極6を設けた構成を用いて弾性表面波を増幅させる構造の増幅器である。しかし、大きな圧電性と大きな移動度を同時にもった圧電性半導体は現在のところ見つかっていない。図4に示すように、第2の分離型増幅器は、大きな圧電性をもった圧電体基板1の上に、移動度の大きな半導体層3'が空隙8を介して配置し、該圧電体基板1の上に入出力電極4、5を設け、該半導体層3'の両側に直流電界印加用電極6を設けた構造の増幅器である。この型の増幅器は、半導体と圧電体基板の表面の平坦性と空隙の大きさが増幅度に大きく影響する。実用に耐える増幅度を得るためには、空隙をできるだけ小さくし、しかも動作領域にわたって一定に保つ必要があり、工業的な生産は極めて難しい。一方、図5に示す第3のモノリシック型増幅器は、圧電体基板1の上に半導体層3'を誘電体膜9を介して空隙を持たずに形成し、該圧電体基板1上に入出力電極4、5を設け、該半導体層3'の両側面に直流電界印加用電極6を設けた構造の増幅器である。モノリシック型増幅器は高利得が得られ、高周波化も可能であり、大量生産にも向いていると言われている。ただし、これらの弾性表面波増幅器を携帯電話などの移動体通信機器への応用を検討した例はない。
しかしながら、モノリシック型増幅器を実現するためには、圧電体基板の上に良好な電気特性を有する半導体膜を形成させ、しかも弾性表面波と半導体のキャリアとの相互作用を効率よく行わせるために、該半導体膜を薄膜化させる必要がある。1970年代の東北大・山之内らの研究(Yamanouchi K. et. al., Proceedings of the IEEE, 75, P726 (1975))によれば、LiNbO3基板上にSiOを30nmコートし、その上にInSb薄膜50nmを蒸着した構造で、InSbの電子移動度として1600cm2/Vsが得られ、この膜を使った弾性表面波の増幅器では1100Vの直流電圧を印加し、中心周波数195MHzで正味利得40dBの増幅度が得られた。また、彼らは理論的計算から、50nmという薄いInSb薄膜においては、キャリアの表面散乱により電子移動度は3000cm2/Vsが最大であると予測していた(山之内ら、信学技報、US78−17、CPM78−26,P19(1978))。即ち、モノリシック型増幅器には、圧電体基板の上に良好な電気特性を持った薄膜の半導体層を形成することが極めて困難であるという問題点があった。また、これまでの構造では、LiNbO3基板からの酸素の拡散によるInSbの劣化およびLiNbO3基板表面の劣化を防ぐためにSiOなどの誘電体膜が必要であった。さらに、携帯機器の高周波部の増幅器とバンドパスフィルタの機能として弾性表面波増幅器を用いる場合には、3〜6Vの駆動電圧で増幅効果がなければ使用できない。従来のモノリシック型増幅器では、大電圧が必要であり、低電圧駆動が可能な弾性表面波増幅器は存在していなかった。また、弾性表面波増幅器と同様に弾性表面波と電子の相互作用を利用した弾性表面波コンボルバについても利得が不十分という問題があった。
一般に弾性表面波増幅器の増幅度Gは次式で与えられる。
ここで、A:定数、k2:圧電体基板の電気機械結合定数、εp:圧電体基板の等価誘電率、σ:導電率、h:活性層の膜厚、μ:電子移動度、E:印加電界、v:表面波の速度、である。実用レベルの低電圧で大きな増幅度を得るためには、1)できるだけ薄い膜厚で高い電子移動度の半導体層を形成する、2)k2のできるだけ大きな圧電体基板を用いる、ことである。
そこで、本発明者らが鋭意検討を行った結果、圧電体基板としで3層以上の多層圧電体薄膜基板を用いることにより、バルクよりはるかに大きなk 2 が実現できることを見出した。また、圧電体基板と活性層の間に緩衝層をはさむことにより、薄膜でしかも電気特性の良好な活性層が得られることを見出した。さらに、該半導体層や該圧電体薄膜基板を用いて弾性表面波増幅器を作製し、実用的な低電圧で良好な増幅度が得られることを確認し、本発明を完成した。しかも、本発明の圧電体基板と活性層の間に緩衝層をはさんだ半導体層により、活性層の電子移動度として5000cm2/Vs以上を実現した。即ち、本発明は、圧電体基板と、該圧電体基板上に入力電極と出力電極があり、上記圧電体基板が少なくとも2種類以上の異なった電気機械結合定数を有する3層以上の多層圧電体より成り、上記多層圧電体の多層の中心部の圧電体膜が最も大きい電気機械結合定数を有していることを特徴とする弾性表面波機能素子である。これにより、効率的に表面に弾性表面波のエネルギーが集中しやすくなり、それぞれの層を構成する圧電体単独の電気機械結合定数よりはるかに大きな電気機械結合定数を実現できる。
このような弾性表面波機能素子においては、特に、上記入出力電極の間に半導体層があることが望ましく、上記半導体層が、活性層と該活性層に格子整合する緩衝層より成ることがさらに望ましい。ここで、活性層というのは、伝播してきた弾性表面波を半導体中のキャリアのエネルギーによって励起させる層をいう。
本発明において、活性層のきわめて良好な電気特性を薄膜において実現できたのは、圧電体基板と活性層の間に緩衝層を挿入することにより、活性層の結晶性を向上させることができたことによる。さらに、活性層を構成している結晶の格子定数を一致、もしくは近い値とすることにより、活性層の結晶性をさらに向上させることができ、薄膜でも該活性層の電気特性が飛躍的に向上することを見出した。さらに、本発明の緩衝層として、Sbを含有する化合物半導体を用いることにより、さらに良好な電気特性が得られることを見いだした。また、本発明の緩衝層は、高抵抗でかつ該緩衝層の中での弾性表面波の減衰が小さいという特徴がある。そして、本発明の緩衝層は、圧電体基板上にSiOなどの誘電体膜がなくても、圧電体基板からの酸素による活性層の劣化を防止でき、また、低温で成長できるため、圧電体基板も劣化させないという優れた特徴を有している。
本発明の多層圧電体層を用いた弾性表面波増幅器において、大きな増幅効果を得ることができた。また、本発明の半導体層を用いた弾性表面波増幅器において、携帯電話などに使用できる実用的な低電圧ではじめて増幅効果を得ることができた。
さらに、本発明の弾性表面波コンボルバについても、半導体層の高電子移動度化により、電子とコンボリューションされた表面波の相互作用が強くなり、従来構造より大きな利得が得られた。
さらに本発明の実用的な低電圧で大きな増幅度を有する弾性表面波機能素子を移動体通信機器等のバンドパスフィルタおよび低雑音増幅器、あるいはバンドパスフィルタおよびパワーアンプ、あるいはバンドパスフィルタおよび増幅器および送受信分波器のデバイスとして用いれば、移動体通信機器の小型化、薄型化、軽量化に絶大な効果を発揮できる。故に、このような携帯電話、およびコードレス電話等の移動体通信機器の送受信回路において、増幅器およびバンドパスフィルタ、または増幅器およびバンドパスフィルタおよび送受信分波器として、高増幅度の弾性表面波機能素子が構成されていることを特徴とする移動体通信機器送信または受信回路も本発明の範囲内である。
以下に本発明をさらに詳細に説明する。図1が本発明の基本となる弾性表面波機能素子である。図1Aが弾性表面波機能素子の断面図であり、図1Bが弾性表面波機能素子の斜視図である。1が圧電体基板、2が緩衝層、3が活性層、4が入力用電極、5が出力用電極である。
本発明によれば、圧電体基板1上に間隔をあけて入力電極4と出力電極5が配置され、これら入出力電極4、5の間に緩衝層2を介して活性層3が設けられている。
本発明における圧電体基板1は、圧電体単結晶でも圧電体薄膜基板でもよい。圧電体単結晶基板は酸化物系圧電体基板が好ましく、例えば、LiNbO3、LiTaO3やLi2B4O7等が好ましく用いられる。また、64°Yカット、41°Yカット、128°Yカット、YカットのLiNbO3や36°YカットのLiTaO3などの基板カット面を用いることも好ましい。圧電体薄膜基板は、サファイアやSi等の単結晶基板の上に圧電体薄膜が形成されたものであり、圧電体薄膜として例えば、ZnO、LiNbO3、LiTaO3、PZT、PbTiO3、BaTiO3やLi2B4O7などは好ましく用いられる薄膜材料である。また、Si基板と上記圧電体薄膜との間にSiOやSiO2などの誘電体膜が挿入されていてもよい。さらに圧電体薄膜基板として、サファイアやSi等の単結晶基板の上に、上記圧電体薄膜の異なる種類の薄膜が交互に積み重ねられたような多層積層膜を形成していてもよい。
本発明の圧電体基板1として、少なくとも2種以上の異なった電気機械結合定数を有する3層以上の多層圧電体より成り、該多層圧電体の多層の中心部の圧電体膜が最も大きな電気機械結合定数の圧電体膜であることを特徴とする圧電体基板を用いれば、その材料組成によらず、きわめて大きな電気機械結合定数を実現できる。その理由は次の通りであると考えられる。すなわち、弾性表面波(以下、SAW)のエネルギーは、通常SAWの1波長以内の深さに集中する。本願発明の圧電体薄膜基板においては、k2の大きな材料がk2の小さな材料で挟まれ、かつk2の大きな材料層が、SAW1波長以内に含まれるような膜厚に調整されている。そうすることによって、SAWのエネルギーはk2の大きな材料層全体に広がり、あたかもバルク波のように振る舞う(バルク波のk2は表面波のk2より10倍以上大きい)。しかも、k2の小さな材料層がSAWエネルギーを外部に拡散するのを防ぐ役割をするため、よりいっそうエネルギーはk2の大きな材料層に集中すると考えられる。よって、本願発明の圧電体薄膜基板においては、圧電体単独のk2よりはるかに大きなk2が実現できた。
前記多層圧電体基板について、図2を参照して、3層構造の例を以下に詳細に説明する。本発明の多層圧電体基板20は、圧電体基板21の上に第1圧電体膜22があり、さらにその上に第2圧電体膜23がある構造である。圧電体基板21は上述の圧電体基板1と同じものを用いることができる。ただし、次の条件を満たす必要がある。それぞれ圧電体基板21、第1圧電体膜22および第2圧電体膜23の電気機械結合定数を順に、k、k1およびk2とし、さらに圧電体基板21、第1圧電体膜22および第2圧電体膜23のレーリー波の速度を順にV,V1およびV2とする。さらに該第1圧電体膜22の膜厚をh1、該第2圧電体膜23の膜厚をh2とする。ここで、k1はkおよびk2より大きいことが必要であり、好ましくは1.2倍以上であり、より好ましくは2倍以上である。さらに、k1がkおよびk2より大きく、かつ、V1がVおよびV2より大きいとき、より大きな電気機械結合定数が得られる。V1がVおよびV2より、100m/s以上大きいことが好ましく、250m/s以上大きいとさらに好ましい。また、h1は通常、30nm以上20μm以下の範囲であり、より好ましくは、80nm以上5μm以下であり、さらに好ましくは、100nm以上2μm以下である。通常、h1/h2は0.1以上500以下であり、好ましくは0.15以上50以下であり、さらに好ましくは0.5以上21以下である。また、弾性表面波の波長をλとしたとき、通常は、h1/λが1以下かつh2/λが1以下であり、好ましくは、h1/λが0.5以下かつh2/λが0.4以下、より好ましくは、h1/λが0.25以下かつh2/λが0.25以下である。
本発明の電気機械結合定数の大きな多層圧電体基板20は、弾性表面波増幅器や弾性表面波コンボルバだけではなく、弾性表面波フィルタや弾性表面波共振器などの弾性表面波素子の特性向上にも極めて好ましく用いられる。
本発明の半導体層を構成している活性層は、電子移動度が大きいものが好ましく用いられる。活性層として、例えば、GaAs、InSb、InAs、PbTeなどが好ましい例である。また2元系だけでなく、これら2元系を組み合わせた3元混晶や4元混晶も好ましく用いられる。例えば、InxGa1-xAs、InAsySb1-y、InzGa1-zSbなどが3元混晶、InxGa1-xAsySb1-yなどが4元混晶の例である。これらの活性層の中でも、Inを含んだInAsやInSb、InAsSb、InGaSb、InGaAsSbなどが非常に高い電子移動度を有しているため、より好ましく用いられる。また、活性層は、異なる組成の半導体膜が積層された多層積層膜が形成されていてもよい。活性層の電子移動度は弾性表面波増幅器の増幅度を大きくするために5000cm2/Vs以上が好ましく、極めて良好な増幅度を得るためには10000cm2/Vs以上の電子移動度を有していることがより好ましい。この高電子移動度を得るために、活性層の組成として、InxGa1-xAsのxは、0≦x≦1.0が可能だが、0.5≦x≦1.0が好ましく、0.8≦x≦1.0がより好ましい範囲である。InAsySb1-yのyは、0≦y≦1.0の範囲で高電子移動度が可能であり、0.5≦y≦1.0がより好ましい。InzGa1-zSbのzは、0.5≦z≦1.0が好ましく、0.8≦z≦1.0がより好ましい範囲である。
また、活性層の膜厚hについては、hが5nm以下になると活性層の結晶性が悪くなり、高い電子移動度が得られない。また、逆にhが500nm以上になると活性層が低抵抗化すると同時に、弾性表面波とキャリアの相互作用効率が低下してしまう。即ち、高電子移動度を実現し、弾性表面波とキャリアとの相互作用を効率よく行うために、活性層の膜厚hは、5nm≦h≦500nmである必要があり、好ましくは、10nm≦h≦350nmであり、より好ましくは12nm≦h≦200nmの範囲である。さらに、活性層の面抵抗値は、10Ω以上が好ましく、より好ましくは50Ω以上であり、さらに好ましくは100Ω以上である。
本発明における圧電体基板の上に形成される緩衝層は絶縁性もしくは半絶縁性であるのが好ましいが、これらに準じた高い抵抗値を有するものであればよい。例えば、緩衝層の抵抗値が活性層の少なくとも5〜10倍以上高く、好ましくは100倍以上、より好ましくは1000倍以上高いものであればよい。
高抵抗な緩衝層として、例えば、GaSb、AlSb、ZnTeやCdTeなどの2元系、AlGaSb、AlAsSb、GaAsSb、AlInSbなどの3元系、AlGaAsSb、AlInGaSb、AlInAsSb、AlInPSbやAlGaPSbなどの4元系が好ましい例である。また、これらの緩衝層の組成を決める際に、活性層を構成している結晶の格子定数と同じか、もしくは近い値を有する組成に調整することで、活性層のより大きな電子移動度を実現できる。ここで格子定数が近いというのは、活性層を構成する結晶の格子定数と緩衝層を構成する結晶の格子定数との違いが±7%以下、より好ましくは±5%以下、さらに好ましくは±2%以下をいう。
また、実際に圧電体基板1の上に、緩衝層2を形成する工程において、特にSb含有の緩衝層2は格子緩和がきわめて速く、圧電体基板1との格子不整が大きくても緩衝層2の超薄膜を成長するだけで格子乱れは緩和し、緩衝層2を構成している結晶独自の格子定数で成長をはじめる。そして活性層3を成長する直前には、緩衝層2の表面状態はきわめて良好となり、その上に形成される活性層3の結晶性を大きく向上させることができる。故にSbを含んだ化合物半導体は、緩衝層2として特に好ましく用いられる。
緩衝層2の膜厚は、結晶性の面から見れば厚いほど良いが、弾性表面波とキャリアの相互作用のしやすさの面から見ると薄いほど好ましい。即ち、緩衝層2の膜厚h3は、10nm≦h3≦1000nmが好ましく、20nm≦h3≦500nmがより好ましい範囲である。
さらに、本発明の緩衝層2は、低温で成長できるため、圧電体基板1が酸素抜けなどによって劣化することもなく、また、緩衝層2の上に形成される活性層3に対しても圧電体基板1からの酸素抜けなどによる劣化を防止でき、圧電体基板1および活性層3の保護層として機能させることも大きな特徴である。よって従来から用いられてきたSiOやSiO2などの誘電体膜による保護層が不要になる。
しかし、圧電体基板1と緩衝層2との間に誘電体膜が挿入されていても問題はない。誘電体膜としては、例えば、SiO、SiO2、窒化シリコン、CeO2、CaF2、BaF2、SrF2、TiO2、Y2O3、ZrO2、MgO、Al2O3などが用いられる。誘電体膜の膜厚は薄いほうがよいが、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましい。
また、本発明の緩衝層2は、図5に示すような従来のモノリシック型増幅器の圧電体基板1と活性層3'の中間に挿入されているSiOなどの誘電体膜9と比べて、活性層に格子整合していると同時に半導体でありながら、大きな誘電率を示し、かつ高い抵抗値を有している。よって、本発明の緩衝層2中での弾性表面波の電界の減衰は小さく、弾性表面波の電界と活性層3中のキャリアとの相互作用が、より効率的に生じ易く、また従来の誘電体膜9より厚くすることも可能である。
さらに活性層3の保護の目的で活性層の上に保護膜として誘電体膜や半導体膜が積層されていてもよい。誘電体膜としては前記の組成のものを用いることができる。半導体膜としては、前記緩衝層と同じ組成のものが使用できる。
緩衝層2や活性層3などの成膜は、一般に薄膜が成長できる方法であれば何でもよいが、分子線エピタキシー(MBE)法や、有機金属分子線エピタキシー(MOMBE)法、有機金属化学気相成長(MOCVD)法や原子層エピタキシー(ALE)法は特に好ましい方法である。
また、本発明の圧電体基板1上の入出力電極4、5はすだれ状構造であり、通常の弾性表面波フィルタに使用される、アポダイズ電極、間引き電極、一方向性電極、正規型電極等が好ましく用いられる。中でも一方向性電極は、弾性表面波の双方向性による損失分を軽減できるため、特に好ましく用いられる。入出力電極4、5の材質には特に制限はないが、例えば、Al、Au、Pt、Cu、Al−Ti合金、Al−Cu合金、AlとTiの多層電極等が好ましく用いられる。
本発明の入出力電極4、5を覆う形で緩衝層2が形成される場合には、まず始めに入出力電極4、5を形成するので、半導体薄膜の凹凸を考慮する必要もなく、コンタクト露光でサブミクロン以下の電極微細加工が可能になる。
ただし、入出力電極4、5は緩衝層2に埋め込まれるため、該緩衝層2を形成中に、変形、溶融、拡散などのできるだけ小さな電極材料を選ぶ必要がある。例えば、Pt、Au、Cu、Al、Cr、Mo、Ni、Ta、Ti、Wなどが好ましい。また、Ti−Pt、Ti−Al、Ti−Au、Cr−Au、Cr−Ptなどの多層電極も好ましく用いられる。
本発明の弾性表面波増幅器において、前記半導体層に直流電界を印加するための電極6に使用される材料については、特に制限はないが、例えば、Al、Au、Ni/Au、Ti/Au、Cu/Ni/Au、AuGe/Ni/Auなどが好ましく用いられる。
本発明の弾性表面波機能素子をパワーアンプなどの高耐電力性が要求される部分に用いる場合には、入力用電極4および出力用電極5は大電力、例えば数W程度の電力に耐える電極材料を用いる必要がある。例えば、エピタキシャルAl膜、Al−Cu膜、Al−Cu/Cu/Al−Cu積層膜、Ti添加Al膜、Cu添加Al膜、Pd添加Al膜などの高耐電力電極材料が好ましく用いられる。
本発明の弾性表面波増幅器において、前記入出力電極4、5の間の半導体層が、2つ以上連なっており、しかも弾性表面波の伝搬方向とは逆方向に移動するキャリアを取り除くような構造、あるいは半導体層間の活性層3を取り除くような構造を形成することにより、低電圧で高増幅度が実現できる。例えば、図6に示すように、半導体層をメサエッチングにより分離したり、またメサエッチングした後に半導体層間に誘電体(図示しない)を埋め込むことによって逆電界によって逆方向に移動するキャリアを取り除くことができる。
本発明の弾性表面波コンボルバにおいては、前記圧電体基板上に形成された電極は2つの入力電極として使用され、さらにコンボリューションされた表面波は、半導体層の上部および圧電体基板の下部に形成された取り出し電極から取り出される。取り出し電極の電極材料は、特に制限はない。例えば、Al、Au、Pt、Cuなどが好ましく用いられる。
図7に模式図を示す従来の携帯電話のRF部では、アンテナ10に送受分波器11が接続され、この送受分波器11に受信用アンプ12、送信用アンプ13が接続され、これら送受信アンプ12、13にはそれぞれバンドパスフィルタ14が接続されている。これに対して、本発明の高増幅度の弾性表面波機能素子を用いれば、図8に示すように、アンテナ10に受信用弾性表面波増幅器15と送信用弾性表面波増幅器16とが接続されるだけである。従って、本発明では、RF部の部品点数が減少でき、しかも各部品の小型化、軽量化、薄型化が達成できる。即ち本発明によって、携帯機器端末の小型化、軽量化、そして低価格化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
図1Aは、本発明の一実施例に従う弾性表面波機能素子の断面図である。
図1Bは、本発明の一実施例に従う弾性表面波機能素子の斜視図である。
図2は、本発明の多層圧電体基板の断面図である。
図3は、従来の直接型増幅器の断面図である。
図4は、従来の分離型増幅器の断面図である。
図5は、従来のモノリシック型増幅器の断面図である。
図6は、本発明の一実施例に従う半導体層分離型弾性表面波増幅器の断面図である。
図7は、携帯電話のRF部の模式図である。
図8は、本発明による送受信分波器や送受信アンプを用いずに形成された送信および受信回路の模式図である。
図9は、入出力電極が緩衝層に埋め込まれた形の弾性表面波増幅器の断面図である。
図10は、多層圧電体基板を用いた弾性表面波増幅器の断面図である。
図11は、本発明の一実施例に従う弾性表面波コンボルバの断面図である。
発明を実施するための最良の形態
以下に本発明を具体的な実施例により述べる。
【実施例1】
直径3インチの64度YカットLiNbO3単結晶基板の上にSiO2 10nmを蒸着したのち、MBE法により、緩衝層として、Al0.38In0.62Sbを150nm成長させ、次に活性層としてInSbを50nm成長させたのち、保護層としてGaSbを2nm成長させ半導体層を得た。この半導体層の電子移動度は、32000cm2/Vsであった。なお、半導体層の電子移動度は、Van der Pauw法により測定した。
次に所定の位置の半導体層をエッチングにより除き、圧電体基板を露出させた。その圧電体基板表面に入出力電極としてすだれ状のAl電極をリソグラフィプロセスによって形成した。電極はピッチが0.75μmの正規型電極とし、伝搬長は300μmとした。引き続き活性層に直流電界印加用の電極を形成した。弾性表面波の伝搬長は、弾性表面波の波長の整数倍に形成することが好ましい。
次に、弾性表面波増幅器の特性を測定した。増幅度の評価は、ネットワークアナライザー(Yokokawa Hewlett Packard, 8510B)で、電界印加後の利得(または挿入損失)と電界印加前の挿入損失の差から求めた。本実施例1の弾性表面波増幅器を評価した結果、その増幅度は、直流印加電圧3V、中心周波数1520MHzで22dBであった。この値は、携帯機器の高周波部の低雑音増幅器とバンドパスフィルタの部分に用いる場合に良好な増幅度であり、しかもモノリシック化された単一素子で形成されているため、携帯機器の小型化や配線によるリターンロスの低減化が実現できる。以上の結果から、緩衝層は、150nmの膜厚で活性層と圧電体基板の間に存在するが、弾性表面波の電界強度の緩衝層中での減衰は、実用レベルで問題のない程度であることが確認できた。
【実施例2】
実施例1のサンプルを用いて、所定の位置の半導体層をエッチングにより除き、圧電体基板を露出させた。その圧電体基板表面に入出力電極としてすだれ状のAl電極をリソグラフィプロセスによって形成した。電極はピッチが1.4μmの正規型電極とし、伝搬長は、280μmとした。引き続き活性層に直流電界印加用の電極を形成した。
次に、弾性表面波増幅器の特性を測定した。増幅度の評価は、実施例1と同様の方法で行った。実施例2の弾性表面波増幅器を評価した結果、その増幅度は、直流印加電圧3V、中心周波数800MHzで12dBであった。この値は、携帯機器の高周波部の低雑音増幅器とバンドパスフィルタの部分に用いる場合に良好な増幅度である。
【比較例1】
実施例2の比較として、比較例1を示す。直径3インチの64度YカットLiNbO3単結晶基板の上にSiO210nmを蒸着した。さらにMBE法により、活性層としてInSbを50nm成長させたのち、保護層としてGaSbを2nm成長させた。そしてこの積層膜の電気特性を測定したが、本比較例では活性層であるInSbを直接、圧電体基板の上に形成したために、活性層の結晶性が悪く、電子移動度は1700cm2/Vsにすぎなかった。
次に所定の位置の半導体層をエッチングにより除き、圧電体基板を露出させた。その圧電体基板表面に入出力電極としてすだれ状のAl電極をリソグラフィプロセスによって形成した。電極はピッチが1.4μmの正規型電極とし、伝搬長は、280μmとした。引き続き活性層に直流電界印加用の電極を形成した後、弾性表面波増幅特性を実施例2と同様に測定したが、増幅はみられなかった。
【実施例3】
直径3インチの64度YカットLiNbO3単結晶基板の上にSiO210nmを蒸着したのち、MBE法により、緩衝層としてAl0.5Ga0.5Sbを200nm成長させ、次に活性層としてInAs0.5Sb0.5を60nm成長させたのち、保護層としてGaSbを2nm成長させ半導体層を得た。この半導体層の電子移動度は、30000cm2/Vsであった。
次に所定の位置の半導体層をエッチングにより除き、圧電体基板を露出させた。その圧電体基板表面に入出力電極としてすだれ状のAl電極をリソグラフィプロセスによって形成した。電極はピッチが0.6μmの正規型電極とし、伝搬長は、240μmとした。引き続き活性層に直流電界印加用の電極を形成した。
次に弾性表面波増幅器の特性を測定した。増幅度の評価は、実施例1と同様の方法で行った。実施例3の弾性表面波増幅器を評価した結果、その増幅度は直流印加電圧3V、中心周波数1900MHzで26dBであった。この値は、携帯機器の高周波部の低雑音増幅器とバンドパスフィルタの部分に用いる場合に極めて良好な増幅度である。
【実施例4】
直径3インチの64度YカットLiNbO3単結晶基板の上にSiO210nmを蒸着したのち、MBE法により、緩衝層としてAl0.5Ga0.5Sbを150nm成長させ、次に活性層としてInAs0.5Sb0.5を50nm成長させたのち、保護層としてGaSbを2nm成長させ半導体層を得た。この半導体層の電子移動度は、20900cm2/Vsであった。
次に所定の位置の半導体層をエッチングにより除き、圧電体基板を露出させた。その圧電体基板表面に入出力電極としてすだれ状のAl電極をリソグラフィプロセスによって形成した。電極はピッチが0.75μmの正規型電極とし、伝搬長は、300μmとした。引き続き活性層に直流電界印加用の電極を形成した。
次に、弾性表面波増幅器の特性を測定した。増幅度の評価は、実施例1と同様の方法で行った。実施例4の弾性表面波増幅器を評価した結果、その増幅度は、直流印加電圧3V、中心周波数1530MHzで13dBであった。この値は、携帯機器の高周波部の低雑音増幅器とバンドパスフィルタの部分に用いる場合に良好な増幅度である。
【実施例5】
直径3インチの64度YカットLiNbO3単結晶基板の上にSiO210nmを蒸着したのち、MBE法により、緩衝層としてAl0.5Ga0.5Sbを100nm成長させ、次に活性層としてInAs0.5Sb0.5を200nm成長させたのち、保護層としてGaSbを2nm成長させ半導体層を得た。この半導体層の電子移動度は、32000cm2/Vsであった。
次に所定の位置の半導体層をエッチングにより除き、圧電体基板を露出させた。その圧電体基板表面に入出力電極としてすだれ状のAl電極をリソグラフィプロセスによって形成した。電極はピッチが0.75μmの正規型電極とし、伝搬長は、300μmとした。引き続き活性層に直流電界印加用の電極を形成した。
次に、弾性表面波増幅器の特性を測定した。増幅度の評価は、実施例1と同様の方法で行った。実施例5の弾性表面波増幅器を評価した結果、その増幅度は、直流印加電圧6V、中心周波数1505MHzで6dBであった。6Vという低電圧で増幅効果が得られた。
【比較例2】
実施例4の比較として、比較例2を示す。直径3インチの64度YカットLiNbO3単結晶基板の上にSiO210nmを蒸着したのち、MBE法により、活性層としてInAs0.5Sb0.5を50nm成長させたのち、保護層としてGaSbを2nm成長させた。この積層膜の電気特性を測定したが、本比較例では活性層であるInAs0.5Sb0.5を直接、圧電体基板の上に形成したために、活性層の結晶性が悪く、電子移動度は、1200cm2/Vsにすぎなかった。
次に所定の位置の半導体層をエッチングにより除き、圧電体基板を露出させた。その圧電体基板表面に入出力電極としてすだれ状のAl電極をリソグラフィプロセスによって形成した。電極はピッチが0.75μmの正規型電極とし、伝搬長は、300μmとした。引き続き活性層に直流電界印加用の電極を形成した後、弾性表面波増幅特性を測定したが、増幅はみられなかった。
【実施例6】
直径3インチの64度YカットLiNbO3単結晶基板の上にSiO210nmを蒸着したのち、MBE法により、緩衝層としてAl0.5Ga0.5Sbを150nm成長させ、次に活性層としてInAsを350nm成長させたのち、保護層としてGaSbを2nm成長させ半導体層を得た。この半導体層の電子移動度は、22000cm2/Vsであった。
次に所定の位置の半導体層をエッチングにより除き、圧電体基板を露出させた。その圧電体基板表面に入出力電極としてすだれ状のAl電極をリソグラフィプロセスによって形成した。電極はピッチが0.6μmの正規型電極とし、伝搬長は、240μmとした。引き続き活性層に直流電界印加用の電極を形成した。
次に、弾性表面波増幅器の特性を測定した。増幅度の評価は、実施例1と同様の方法で行った。実施例6の弾性表面波増幅器を評価した結果、その増幅度は、直流印加電圧6V、中心周波数1500MHzで2dBであった。6Vという低電圧で増幅効果が得られた。
【実施例7】
直径3インチの64度YカットLiNbO3単結晶基板の上にSiO210nmを蒸着したのち、MBE法により、緩衝層としてAl0.5Ga0.5As0.12Sb0.88を150nm成長させ、次に活性層としてInAsを50nm成長させたのち、保護層としてGaSbを2nm成長させ半導体層を得た。この半導体層の電子移動度は、13000cm2/Vsであった。
次に所定の位置の半導体層をエッチングにより除き、圧電体基板を露出させた。その圧電体基板表面に入出力電極としてすだれ状のAl電極をリソグラフィプロセスによって形成した。電極はピッチが1.4μmの正規型電極とし、伝搬長は、560μmとした。引き続き活性層に直流電界印加用の電極を形成した。
次に、弾性表面波増幅器の特性を測定した。増幅度の評価は、実施例1と同様の方法で行った。実施例7の弾性表面波増幅器を評価した結果、その増幅度は、直流印加電圧5V、中心周波数810MHzで6dBであった。5Vという低電圧で増幅効果が得られた。
【実施例8】
直径3インチの64度YカットLiNbO3単結晶基板の上にSiO210nmを蒸着したのち、MBE法により、緩衝層としてAl0.5Ga0.5As0.12Sb0.88を150nm成長させ、次に活性層としてInAsを20nm成長させたのち、保護層としてGaSbを2nm成長させ半導体層を得た。この半導体層の電子移動度は、8000cm2/Vsであった。
次に所定の位置の半導体層をエッチングにより除き、圧電体基板を露出させた。その圧電体基板表面に入出力電極としてすだれ状のAl電極をリソグラフィプロセスによって形成した。電極はピッチが1.4μmの正規型電極とし、伝搬長は、560μmとした。引き続き活性層に直流電界印加用の電極を形成した。
次に、弾性表面波増幅器の特性を測定した。増幅度の評価は、実施例1と同様の方法で行った。実施例8の弾性表面波増幅器を評価した結果、その増幅度は、直流印加電圧6V、中心周波数835MHzで3dBであった。6Vという低電圧で増幅効果が得られた。
【実施例9】
直径3インチの64度YカットLiNbO3単結晶基板の上にSiO210nmを蒸着したのち、MBE法により、緩衝層としてAl0.5Ga0.5As0.12Sb0.88を150nm成長させ、次に活性層としてInAsを10nm成長させたのち、保護層としてGaSbを2nm成長させ半導体層を得た。この半導体層の電子移動度は、5000cm2/Vsであった。
次に所定の位置の半導体層をエッチングにより除き、圧電体基板を露出させた。その圧電体基板表面に入出力電極としてすだれ状のAl電極をリソグラフィプロセスによって形成した。電極はピッチが0.75μmの正規型電極とし、伝搬長は、300μmとした。引き続き活性層に直流電界印加用の電極を形成した。
次に、弾性表面波増幅器の特性を測定した。増幅度の評価は、実施例1と同様の方法で行った。実施例9の弾性表面波増幅器を評価した結果、その増幅度は、直流印加電圧6V、中心周波数1560MHzで4dBであった。6Vという低電圧で増幅効果が得られた。
【比較例3】
実施例7の比較として、比較例3を示す。直径3インチの64度YカットLiNbO3単結晶基板の上にSiO210nmを蒸着したのち、MBE法により、活性層としてInAsを50nm成長させたのち、保護層としてGaSbを2nm成長させ半導体層を得た。そしてこの半導体層の電気特性を測定したが、本比較例では活性層であるInAsを直接、圧電体基板の上に形成したために、活性層の結晶性が悪く、電子移動度は、900cm2/Vsにすぎなかった。
次に所定の位置の半導体層をエッチングにより除き、圧電体基板を露出させた。その圧電体基板表面に入出力電極としてすだれ状のAl電極をリソグラフィプロセスによって形成した。電極はピッチが1.4μmの正規型電極とし、伝搬長は、560μmとした。引き続き活性層に直流電界印加用の電極を形成した後、弾性表面波増幅特性を測定したが、増幅はみられなかった。
【実施例10】
直径3インチの128度YカットLiNbO3単結晶基板の上に、MBE法により、緩衝層としてAl0.5Ga0.5As0.1Sb0.9を50nm成長させ、次に活性層としてInSbを400nm成長させ半導体層を得た。この半導体層の電子移動度は、7000cm2/Vs、キャリア濃度が1×1016cm-3であった。
次に、実施例1と同様の方法で弾性表面波増幅器を作製した。電極はピッチが0.75μmの正規型電極とし、伝搬長は300μとした。
そして、弾性表面波増幅器の特性を測定した結果、増幅度は、直流印加電圧5V、中心周波数1500MHzで3dBであった。5Vという低電圧で増幅効果が得られた。しかもSiOなどの誘電体膜がなくても、LiNbO3基板の劣化やLiNbO3基板からの酸素拡散によるInSb活性層の劣化は見られなかった。以上の結果から、Al0.5Ga0.5As0.1Sb0.9緩衝層が圧電体基板および半導体活性層の保護膜として機能していることが確認できた。
【比較例4】
直径3インチの64度YカットLiNbO3単結晶基板の上に、MBE法により、直接、活性層のInSbを50nm成長させ半導体層を得た。そしてこの半導体層の電気特性を測定したが、本比較例ではLiNbO3基板上に誘電体膜などの保護層を形成せずに、直接InSbを成長したため、LiNbO3からの酸素抜けにより、活性層のInSbの膜質が劣化し、電子移動度は測定できなかった。
【実施例11】
図9に断面構造を示す弾性表面波増幅器を作製した。
まず、直径3インチの128度YカットLiNbO3単結晶基板1の上の所定の位置に入出力用電極4、5としてすだれ状のTi−Pt電極を通常のコンタクト露光によるリソグラフィプロセスで形成した。電極4、5はピッチが1.4μmの正規型電極とし、伝搬長は、364μmとした。次に、MBE法により、該基板上に入出力用すだれ状電極を埋め込む形で緩衝層2としてAl0.38In0.62Sbを150nm成長させ、さらに活性層3としてInSbを50nm成長させ半導体層を得た。この半導体層の電子移動度は、34000cm2/Vsであった。
次に所定の位置の活性層をイオンミリング法により除いた後、活性層3に直流電界印加用の電極6を形成した(図9に断面構造を示す)。その後、パッシベーション用窒化シリコン膜を蒸着し、窓開けを行い、弾性表面波増幅器の特性を測定した。その結果、直流印加電圧6V、中心周波数809MHzで17dBという大きな増幅度が得られた。
【実施例12】
図10に断面構造を示す弾性表面波増幅器を作製した。
レーザアブレーション法により、YカットLiTaO3単結晶基板1上に、膜厚2.0μmのLiNbO3層17を成長し、さらにその上に0.1μmのLiTaO3層18を成長し、3層構造の多層圧電体基板を形成した。成長した薄膜をオージェ電子分光法により解析した結果、ストイキオメトリーに狂いのないLiNbO3層17、LiTaO3層18が得られていることが確認できた。また、X線回析により、(110)LiNbO3層17、および(110)LiTaO3層18がツイン、ドメインフリーでヘテロエピタキシャル成長していることが確認できた。
この多層圧電体基板の電気機械結合定数を測定するため、通常のリソグラフィプロセスによって、弾性表面波の波長が8μmになるようにAl櫛形電極を2カ所近接して形成した。そして、一方の弾性表面波の伝搬路を電気的に短絡し、もう一方を自由表面として両者の弾性表面波の伝搬速度をネットワークアナライザー(Yokogawa Hewlett Packard, 8510B)で測定し、測定値から電気機械結合定数k2を
k2=2×(Vf−Vm)/Vf
(式中、Vmは電気的に短絡したときの速度、Vfは自由表面の速度である)に従って計算したところ、20.0%というきわめて大きな値を示した。
さらに、該多層圧電体基板を用いて、図10に示すような弾性表面波増幅器を実施例10と同様の方法で作製した。そして、その弾性表面波増幅器の特性を測定したところ、直流印加電圧5V、中心周波数1500MHzで12dBの増幅が確認できた。本実施例のきわめて大きな電気機械結合定数を有する多層圧電体基板は、実施例10と比較すると、弾性表面波増器において約4倍の増幅度向上の効果があることが確認できた。
【比較例5】
実施例12の多層圧電体基板の電気機械結合定数と、各層を構成する材料単体、および2層圧電体基板の電気機械結合定数とを比較した。実施例12と同様の方法で各層を構成する材料単体の電気機械結合定数を測定したところ、単結晶(110)LiNbO3は4.7%、単結晶(110)LiTaO3は0.68%であった。
また、各構成材料を2層構造にした場合の電気機械結合定数も測定した。即ち、YカットLiTaO3基板上に実施例12と同様にレーザアブレーション法でLiNbO3膜を成長し、その電気機械結合定数を測定した。その結果、LiNbO3/LiTaO3の2層構造では、3.0%となり、単結晶(110)LiNbO3より低くなった。
よって、本発明の多層圧電体基板は3層構造とすることによってはじめて電気機械結合定数が大きく向上することがわかる。実施例12では約4倍に向上しており、これが弾性表面波増幅器の増幅度向上につながっている。
【実施例13】
実施例10と同様の方法128度YカットLiNbO3基板上に半導体層を成長した。次に、所定の位置の半導体層をエッチングにより除き、圧電体基板を露出させた。その圧電体基板表面に、入出力用高耐電力性電極として、すだれ状のAl−Cu/Cu/Al−Cu積層膜電極をリソグラフィプロセスによって形成した。電極はピッチが0.75μmの正規型電極とし、伝搬長は、300μmとした。引き続き活性層に直流電界印加用の電極を形成した。
弾性表面波増幅器の特性評価はRF信号を信号発生器(Anritsu MG3670A)から与え、増幅度と送信電力をパワーメーターおよびパワーセンサ(Yokokawa Hewlett Packard, 437B, 8481H)を用いて測定した。増幅度は直流印加電圧3V、中心周波数1520MHzにおいて22dBで、送信電力は2.2Wであり、本実施例の弾性表面波増幅器は、移動体通信機器等の高周波部に良好なパワーアンプとして使用でき、しかも機器の小型化に大きく寄与できる。
【実施例14】
実施例10と同様に128度YカットLiNbO3基板上に半導体層を成長した。次に、半導体層を、後から形成する入出力用電極の間にくるように加工するが、同時に図6に示したように該半導体層を3つに分離するようにエッチングを行った。そして、露出された圧電体基板表面に入出力電極としてすだれ状のAl電極を形成した。電極ピッチと伝搬長は実施例10と同様である。引き続き分離された活性層のそれぞれに直流電界印加用の電極を形成した。
本実施例の弾性表面波増幅器では、直流電界を各活性層に並列に印加するようにして特性評価を行った。その結果、増幅度は、直流印加電圧5V、中心周波数1500MHzで8dBであった。実施例10と比較して約3倍近い増幅度の向上が確認できた。
【実施例15】
図11に断面構造を示す弾性表面波コンボルバを作製した。
実施例10と同様に128度YカットLiNbO3基板1上に緩衝層2となる半導体層を成長した。次に所定の位置の半導体層をエッチングによって取り除き、圧電体基板を露出させた。その圧電体基板1の表面に、2つの入力用電極4、4をリソグラフィプロセスによって形成した。引き続き、図11に示すように半導体層の上面と圧電体基板の下面にそれぞれ取り出し電極19を形成し、弾性表面波コンボルバを作製した。
次に、本実施例の弾性表面波コンボルバを用いて、周波数1000MHzの増幅特性を周波数アナライザーにより測定したところ、取り出し電極19から非線形信号であるコンボリューション出力が得られた。
【実施例16】
実施例1で作製した弾性表面波増幅器とミクサおよび直交復調器を用いて携帯電話のRF部の受信回路を作製した。弾性表面波増幅器とミクサの間にはインピーダンス整合を取るための特別の回路は設けていない。また、通常、低雑音増幅器と高周波バンドパスフィルタによって構成される部分には、弾性表面波増幅器のみを用いた。以上のようにして作製した携帯電話のRF部の受信回路に、π/4QPSK変調のかかったRF信号を信号発生器から与え、受信後のIQ出力信号をベクトルシグナルアナライザ(Yokokawa Hewlett Parckard 89441A)を用いて復調誤差を測定した。その結果、入力信号の強度が−10〜−102dBmのとき最大のエラーベクトルの大きさは16%rmsであった。また、入力データと復調後のデータを比較した結果、復調されたデータに誤りはなかった。また、弾性表面波増幅器の雑音指数および増幅度を雑音指数計(Yokokawa Hewlett Packard 8970B)および雑音源(Yokokawa Hewlett Packard 346B)を用いて測定した。その結果、810MHzでは雑音指数2.5dB、増幅度14dBであり、826MHzでは雑音指数3dB、増幅度12dB、815MHzでは雑音指数1.8dB、増幅度16dBであった。また。通過帯域外の減衰特性をネットワークアナライザを用いて測定した。940MHzでは挿入損失35dB、956MHzでは挿入損失40dBであった。以上より、低雑音増幅器とバンドパスフィルタの代わりに弾性表面波増幅器を用いた受信回路が可能であることが確認できた。さらに本実施例の弾性表面波増幅器を用いれば、高周波低雑音増幅部をモノリシック化することができ、受信回路の部品点数の削減が可能となる。
【実施例17】
直交変調器、ミクサ、バンドパスフィルタおよび弾性表面波増幅器を用いて携帯電話のRF部の送信回路を作製した。通常、パワーアンプによって構成される部品に本発明の弾性表面波増幅器を用いている。これにπ/4QPSK変調のかかったRF信号を信号発生器から与え、出力信号をベクトルシグナルアナライザを用いて復調誤差を測定した。その結果、中心周波数948MHzにおけるエラーベクトルの大きさは5.5%rmsであった。また、このときの送信電力は2.2Wであった。出力信号のスペクトルをスペクトラムアナライザで測定したところ、日本デジタル方式自動車電話システム標準規格(RCR STD−27)を満足していることを確認した。以上の結果から、従来のパワーアンプの代わりに弾性表面波増幅器を用いて送信回路を作製でき、パワーアンプ部の小型化が可能であることが確認できた。
【実施例18】
実施例17と同様な携帯電話のRF部の送信回路をバンドパスフィルタを用いないで作製した。その結果、中心周波数948MHzにおけるエラーベクトルの大きさは、4.0%rmsであった。また、このときの送信電力は3.2Wであり、送信スペクトルはRCR STD−27を満足していることを確認した。以上の結果から、従来のパワーアンプモジュールとバンドパスフィルタの代わりに、弾性表面波増幅器を用いて送信回路を作製することができ、パワーアンプおよびバンドパスフィルタのモノリシック化が可能であることが確認できた。
【実施例19】
通過帯域が810〜826MHzの弾性表面波増幅器を受信回路の低雑音増幅器およびバンドパスフィルタの代わりに用い、通過帯域が940〜956MHZの弾性表面波増幅器を送信回路のパワーアンプおよびバンドパスフィルタの代わりに用いて送受信回路を作製した。受信部の弾性表面波増幅器は実施例16と同じものを、送信部の弾性表面波増幅器には、実施例17と同じものを用いた。アンテナ端子と送信回路および受信回路の間は、送受信分波器を用いないで、特性インピーダンスが50オームになるように調整したマイクロストリップラインで接続した。この様にして作製した送受信回路の受信特性および送信特性を実施例16および17と同様に測定した。受信特性を測定した結果、入力信号の強度が、−10〜−102dBmのとき最大のエラーベクトルの大きさは18%rmsであった。また、この時の復調されたデータに誤りはなかった。また、送信特性を測定した結果、中心周波数948MHzにおけるエラーベクトルの大きさは5.4%rmsであった。また、このときの送信電力は3.0Wであり、送信スペクトルは、RCR STD−27を満足していることが確認できた。以上の結果から、携帯電話のRF部の送受信回路において、低雑音増幅器とバンドパスフィルタの代わり、およびパワーアンプモジュールとバンドパスフィルタの代わりに、および送受信分波器の代わりとして、弾性表面波増幅器を用いた回路が使用可能であることが確認できた。故に、本実施例の送受信回路を用いれば、従来の移動体通信機器のRF部の部品点数を大幅に減少可能となり、携帯機器端末の劇的な小型化、軽量化、および低価格化が実現できる。
【比較例6】
従来のGaAsFETやコンデンサーなどから形成されているパワーアンプモジュールの典型的な大きさは、25mm×12mm×3.7mmである。それに対して実施例17の弾性表面波増幅器は、5mm×5mm×2mmであり、本発明により、従来のパワーアンプの大きさを著しく小型化できる。
本発明の弾性表面波機能素子を用いることにより、弾性表面波増幅器の大幅な利得の改善、あるいは弾性表面波コンボルバの効率改善が実現できる。また、本発明の弾性表面波増幅器は、実用的な低電圧で大きな増幅度が得られるため、移動体通信機器などの高周波部に応用が可能となる。しかも、これまでディスクリート素子として使用され、そのサイズも大きかった増幅器やバンドパスフィルタ、あるいは送受信分波器を単一部品で置き換えることも可能になるので、移動体通信機器の小型化、軽量化、薄型化、そして低価格化に大きく貢献できる。
Claims (17)
- 圧電体基板と、該圧電体基板上に入力電極と出力電極があり、前記圧電体基板が少なくとも2種類以上の異なった電気機械結合定数を有する3層以上の多層圧電体より成り、前記多層圧電体の多層の中心部の圧電体膜が最も大きい電気機械結合定数を有していることを特徴とする弾性表面波機能素子。
- 前記多層圧電体が3層より成り、前記中心部の圧電体膜がLiNbO3膜で、他の圧電体がLiTaO3であることを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波機能素子。
- 入出力変換として、一方向性変換器を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の弾性表面波機能素子。
- 前記入出力電極の間に半導体層があることを特徴とする請求項1または2に記載の弾性表面波機能素子。
- 前記半導体層が、活性層と該活性層に格子整合する緩衝層より成ることを特徴とする請求項4に記載の弾性表面波機能素子。
- 入出力変換として、一方向性変換器を用いることを特徴とする請求項4または5に記載の弾性表面波機能素子。
- 請求項4〜6のいずれかに記載の弾性表面波機能素子において、前記半導体層に直流電界を印加する電極を有していることを特徴とする弾性表面波増幅器。
- 前記入出力電極の間で、前記半導体層が2つ以上連なっており、しかも逆方向に移動するキャリアを取り除いた構造、あるいは半導体層間に活性層の無い構造を有していることを特徴とする請求項7に記載の弾性表面波増幅器。
- 前記入出力電極が埋め込まれた形で緩衝層が形成され、該緩衝層の上に活性層が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の弾性表面波増幅器。
- 前記入出力電極が高耐電力構造であることを特徴とする請求項7に記載の弾性表面波増幅器。
- 請求項4〜6のいずれかに記載の弾性表面波機能素子において、前記圧電体基板上に形成された2つの電極をともに入力電極とし、前記半導体層の上部および前記圧電体基板の下部に一様な取り出し電極を有することを特徴とする弾性表面コンボルバ。
- 送信回路において、請求項7〜10のいずれかに記載の弾性表面波増幅器を含むことを特徴とする送信回路。
- 受信回路において、請求項7〜10のいずれかに記載の弾性表面波増幅器を含むことを特徴とする受信回路。
- 送受信回路において、請求項7〜10のいずれかに記載の弾性表面波増幅器を含むことを特徴とする送受信回路。
- 前記送信回路が移動体通信機器の送信回路であることを特徴とする請求項12に記載の送信回路。
- 前記受信回路が移動体通信機器の受信回路であることを特徴とする請求項13に記載の受信回路。
- 前記送受信回路が移動体通信機器の送受信回路であることを特徴とする請求項14に記載の送受信回路。
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