JP3935824B2 - Flame retardant composition - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電線、ケーブル等の製造に用いられる難燃性組成物、及び、当該難燃性組成物を用いて製造された電線、ケーブル及び各種の成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、火災時の安全性を確保する観点から、煙の発生が少なく、ハロゲン化水素ガスなどの有害ガスが発生しない電線やケーブルの開発が進められている。即ち、難燃電線や難燃ケーブルのノンハロゲン化が推進されている。また、近時は、環境保護のために材料のリサイクルが推進されており、この観点からも、ハロゲンを含有しない難燃電線や難燃ケーブルが求められている。
【0003】
このような状況下、難燃電線や難燃ケーブルの製造用の、ハロゲンを含有しない有機ポリマーをベースとしたノンハロゲン難燃性組成物の開発が盛んに行われている。そのような組成物の代表例として、酢酸ビニル含有率の高いエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂をベースポリマーとして使用し、これに、難燃剤としての水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物を多量に配合してなる組成物が知られている。
【0004】
しかしながら、このような組成物は、押出しトルクが高く、従って成形加工が困難である。また、このような組成物から製造された電線やケーブルは、高い難燃性を示すが、機械特性、特に引張強度や引張伸びは小さい。そして、そのような電線やケーブルの難燃性は、高いとはいっても未だ十分なレベルにあるとはいえず、実際、そのような電線は、UL規格による垂直燃焼試験(UL1581)に合格する(VW−1)ものではない。
【0005】
従来から公知の難燃性樹脂組成物の他の例として、オレフィン系樹脂に、金属水酸化物、シリコン・オリゴマー及びテトラゾール系発泡剤を添加してなる難燃性樹脂組成物が挙げられる(特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1に開示された難燃性樹脂組成物から製造された電線は、従来のものに比べると高い難燃性を示す。しかし、垂直燃焼試験において合格というレベルの高い難燃性は示さなかった。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−304891号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、成形加工性が良好な難燃性組成物を提供することにある。本発明の他の目的は、高い難燃性を示す電線、ケーブル及び各種の成形体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的の達成のために鋭意努力し、その結果、本発明を完成させた。
【0010】
即ち、本発明は、ハロゲンを含まない熱可塑性樹脂(A)と、当該樹脂(A)100重量部に対して100〜350重量部の、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムからなる群から選択される一種以上のハロゲンを含まない難燃剤(i)と分解温度が230℃以上であり且つ平均粒子径が15μm以下である5−アミノテトラゾールのアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群から選択される一種以上の熱分解ガス発生剤(ii)との混合物(B)であって、ハロゲンを含まない難燃剤(i)と熱分解ガス発生剤(ii)とを重量比で95:5〜80:20の割合で混合してなるものとを含有することを特徴とする難燃性組成物を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、上記難燃性組成物の中、特に耐熱性の高い組成物(当該組成物から製造される電線は、UL規格による垂直燃焼試験(UL1581)に合格する(VW−1)ものである)を、導体や光ファイバに被覆してなる電線又はケーブルを提供するものである。
【0012】
さらに、本発明は、上記難燃性組成物を押出成形、射出成形、ブロー成形又はカレンダー成形してなる成形体を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
上記本発明の難燃性組成物には、以下のような態様が含まれる。
1) 混合物(B)が、ハロゲンを含まない難燃剤(i)と熱分解ガス発生剤(ii)とを重量比で95:5〜80:20、好ましくは90:10〜85:15の割合で混合してなるものである、上記の難燃性組成物。
【0014】
2) 熱分解ガス発生剤(ii)が、5−アミノテトラゾールのアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群から選択される一種以上である、上記の難燃性組成物。
【0015】
3) 上記の難燃性組成物であって、当該組成物から製造される電線がUL規格による垂直燃焼試験(UL1581)に合格する(VW−1)ものである、耐熱難燃性組成物。
【0016】
4) ハロゲンを含まない熱可塑性樹脂(A)が、3〜15重量%のハロゲンを含まない耐熱性熱可塑性樹脂を含有する、上記の難燃性組成物。
【0017】
5) ハロゲンを含まない熱可塑性樹脂(A)が、オレフィン系熱可塑性樹脂以外のハロゲンを含まない熱可塑性樹脂を含有する、上記の難燃性組成物。
【0018】
6) ハロゲンを含まない熱可塑性樹脂(A)が、オレフィン系熱可塑性樹脂と、オレフィン系熱可塑性樹脂以外のハロゲンを含まない熱可塑性樹脂との混合物である、上記の難燃性組成物。
【0019】
7) ハロゲンを含まない熱可塑性樹脂(A)が、オレフィン系熱可塑性樹脂以外のハロゲンを含まない熱可塑性樹脂である、上記の難燃性組成物。
【0020】
本発明では、成分(A)として、ハロゲンを含まない熱可塑性樹脂であればいずれも用いることが出来る。ポリエチレン、ポリプロピレン等の硬い樹脂であっても、エチレン系共重合体、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等の柔軟な樹脂であってもよく、さらに、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等も使用することができる。また、特定の性質を付与するために変性された樹脂であってもよい。これらは、単独でも、2種類以上の樹脂のブレンドとしても使用することができる。
【0021】
ハロゲンを含まない熱可塑性樹脂(A)に分類される樹脂の中で、耐熱性熱可塑性樹脂と呼称されるものを用いると、本発明の難燃性組成物から製造されるもの、例えば電線やケーブルが、耐熱性を示す。ハロゲンを含まない耐熱性熱可塑性樹脂の例としては、ポリプロピレン等が挙げられる。
【0022】
また、ハロゲンを含まない熱可塑性樹脂(A)の全部又は一部として、オレフィン系エラストマーを用いると、本発明の難燃性組成物から製造されるもの、例えば電線やケーブルが、柔軟性を示す。
【0023】
ポリオレフィン樹脂は、難燃剤の受容性が高いので、ハロゲンを含まない熱可塑性樹脂(A)の全部又は一部として、ポリオレフィン樹脂を用いることも好ましい。また、ポリオレフィン樹脂とエチレン系共重合体とのブレンドを用いることも好ましい。エチレン系共重合体の例としては、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体及びスチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体が挙げられる。
【0024】
本発明では、(i)成分として、ハロゲンを含まない難燃剤であればいずれも用いることが出来る。ハロゲンを含まない難燃剤の例として、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物があげられる。金属水酸化物には、表面処理が施されているものもあるが、表面処理がなされていないものを用いることが好ましい。
【0025】
本発明では、熱分解ガス発生剤(ii)として、テトラゾール系化合物の金属塩であって分解温度が230℃以上であり且つ平均粒子径が15μm以下であるものを用いる。熱分解ガス発生剤(ii)は、熱可塑性樹脂の引火点近くで多量の不燃性ガスを発生するものであることが必要であるが、テトラゾール系化合物の金属塩は、この条件を満たす。また、熱分解ガス発生剤が、熱分解ガス発生剤を含む組成物の加工の際に分解すると、製造された製品が気泡を含むものとなり、強度不足等の不都合を生じる可能性がある。そのため、本発明においては、分解温度が230℃以上の熱分解ガス発生剤を用いる。
【0026】
テトラゾール系化合物の金属塩の中でも、5-アミノテトラゾールのアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩が、特に好ましい。好ましいアルカリ金属の例としては、ナトリウム及びカリウムが、また、好ましいアルカリ土類金属の例としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムが挙げられる。これらテトラゾール系化合物の金属塩は、例えば、テトラゾール系化合物と上記金属の水酸化物、酸化物又は炭酸塩とを水に溶解させ、反応させた後、溶媒である水を蒸発させ、次いで蒸発残分を乾燥することにより得られる。得られたテトラゾール系化合物の金属塩を、必要に応じて粉砕或いは篩処理に供すれば、その粒度を調整することが出来る。
【0027】
本発明で用いる熱分解ガス発生剤(ii)は、その平均粒子径が15μm以下のものであり、3〜7μmのものが特に好ましい。その平均粒子径が15μm以下の熱分解ガス発生剤を用いると、材料強度、特に引張伸びの低下が、生じないか又は殆ど生じない。
【0028】
熱分解ガス発生剤(ii)は、熱可塑性樹脂の引火点近くで多量の不燃性ガスを発生させ、燃焼場の酸素不足を生起させ、これにより効果的な難燃性を示す。
【0029】
本発明の難燃性組成物は、ハロゲンを含まない熱可塑性樹脂(A)と、当該樹脂100重量部に対して100〜350重量部の、ハロゲンを含まない難燃剤(i)とテトラゾール系化合物の金属塩であって分解温度が230℃以上であり且つ平均粒子径が15μm以下である熱分解ガス発生剤(ii)との混合物(B)とを含有する。
【0030】
ハロゲンを含まない難燃剤(i)と熱分解ガス発生剤(ii)との重量比は、(i):(ii)=95:5〜80:20が好ましく、90:10〜85:15が特に好ましい。このような比率で用いると、特に優れた難燃性が得られるだけでなく、材料コストの点からも好ましい。
【0031】
ハロゲンを含まない難燃剤(i)と熱分解ガス発生剤(ii)との混合物(B)は、難燃特性の観点から、ハロゲンを含まない熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、100〜350重量部、好ましくは150〜250重量部用いられる。
【0032】
ハロゲンを含まない難燃剤(i)と熱分解ガス発生剤(ii)は、混合物(B)とした後、ハロゲンを含まない熱可塑性樹脂(A)に配合することもできるが、予め混合せずに、個別に熱可塑性樹脂(A)に配合することもできる。
【0033】
本発明の難燃性組成物は、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で、可塑剤、着色剤、酸化防止剤、架橋助剤、紫外線吸収剤、加工助剤、安定剤その他の添加剤をも含有することができる。可塑剤は、一般的に熱可塑性樹脂と併用される成分である。本発明の難燃性組成物においても、その成形性を向上させることを目的として、可塑剤、例えばプロセスオイルを、ハロゲンを含まない熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して0〜15重量部の割合で含有させることが好ましい。また、本発明の難燃性組成物を調製する際には、予めハロゲンを含まない熱可塑性樹脂(A)と可塑剤との混合物を調製しておくことが好ましい。
【0034】
本発明の難燃性組成物は、その配合成分を、バンバリーミキサーや加圧ニーダー等の通常のバッチ式混練機を用いて均一に混合することにより、容易に調製することができる。
【0035】
単軸押出機等を用い、このようにして調製された難燃性組成物で鋼線等の導体や光ファイバの周囲を被覆することにより、電線やケーブルを製造することが出来る。また、射出成形機を用いて、本発明の難燃性組成物をプラグ等の形に成形することもできる。更に、本発明の難燃性組成物は、射出成形以外の方法、例えば押出成形、ブロー成形、カレンダー成形により、各種成形体に加工することも出来る。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、ハロゲンを含まない難燃性組成物が得られる。本発明の組成物は、ハロゲンを含有しないため、火災時にもハロゲン化水素ガスなどの有害ガスを発生しないという利点がある。また、ハロゲンを含有しないため、材料のリサイクルも容易である。
【0037】
本発明の難燃性組成物から、垂直難燃試験(UL1581)に合格する高度に難燃性の電線を製造することが出来る。
【0038】
また、本発明の難燃性組成物中、ハロゲンを含まない耐熱性熱可塑性樹脂を含有するものは、耐熱性に優れるという効果も示す。
【0039】
さらに、本発明の難燃性組成物から製造される電線、ケーブル及び各種の成形体の中の一部は、優れた機械特性及び/又は耐熱老化特性を示す。
【0040】
【実施例】
以下に、実施例により、本発明をより具体的に説明するが、これらは単なる例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0041】
表1乃至表3に、本発明組成物及び比較組成物の配合組成(単位:重量部)示すと共に、それらの組成物から製造された試験片の性能評価試験結果を示す。
【0042】
(5−アミノテトラゾールのカリウム塩の合成)
5−アミノテトラゾール85.1g(1モル)を水1.5リットルに添加した。得られた懸濁液の温度を、20〜25℃に保持した。この懸濁液に、炭酸カリウム69.1g(0.5モル)を加え、同温度で30分間反応させ、均一水溶液を得た。この水溶液を減圧下で濃縮乾固して、白色の5−アミノテトラゾールのカリウム塩無水和物132.2g(収率:100%)を得た。この5−アミノテトラゾールのカリウム塩・無水和物の分解温度を示差熱分析法(TG−DTA)によって測定したところ、298℃であった。また、その平均粒子径は、22μmであった。比較例においては、これを使用した。
【0043】
(5−アミノテトラゾールのマグネシウム塩の合成)
5−アミノテトラゾール85.1g(1モル)を水1.5リットルに添加した。得られた懸濁液の温度を、20〜25℃に保持した。この懸濁液に、水酸化マグネシウム29.2g(0.5モル)を加え、得られた混合物を80℃まで昇温させた。同温で1時間反応させ、均一水溶液を得た。この水溶液を減圧下で濃縮乾固し、その後150〜180℃で加熱乾燥を行い、5−アミノテトラゾールのマグネシウム塩・無水和物96.2g(収率:100%)を得た。この5−アミノテトラゾールのマグネシウム塩・無水和物の分解温度を示差熱分析法(TG−DTA)で測定したところ、303℃であった。また、その平均粒子径は、22μmであった。比較例においては、これを使用した。
【0044】
(粒度の調整)
5−アミノテトラゾールのカリウム塩・無水和物と5−アミノテトラゾールのマグネシウム塩・無水和物の各々を、ラボジェットミルLJ型(日本ニューマチック工業製)で粉砕した。得られた粒子の平均粒子径を、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2100(島津製作所製)で測定したところ、いずれも平均粒子径は7μmであった。実施例においては、これらを使用した。
【0045】
(ダンベル3号試験片の作製)
表1の実施例1乃至7及び表2及び表3の比較例1乃至10に示す各種材料を、加圧ニーダーで5分間混練し、次いで、オープンロールでシート状に成形した。このようにして得られたシートを、シートペレタイザーで粉砕した。
【0046】
得られた粉砕物を、単軸押出機でシート状に押し出した。このシート状押出品を、180℃、20メガパスカルで5分間加圧成形し、厚みを1mmに調整した。このようにして得た厚さ1mmのシート状押出品から、JISダンベル3号試験片を打ち抜いた。
【0047】
(燃焼試験用の電線テストピースの作製)
上記と同様の方法で、粉砕物を得た。この粉砕物を単軸押出機に通し、外径0.6mmの鋼線の周囲に厚み0.4mmの樹脂層を形成した。このようにして、燃焼試験用の電線テストピースを作製した。
【0048】
評価試験は、次のようにして行なった。
(1)難燃性試験
上記の電線テストピースを用い、燃焼試験(UL1581準拠、垂直燃焼試験)を行った。
【0049】
(2)引張強度の測定
JIS3号ダンベル試験片を、引張試験機により200mm/分の速度で引張った。試験片が切断された際の引張強さと伸びを測定した。表1乃至表3には、以下の判定基準による判定の結果を記載した。
【0050】
(判定基準)
○:引張強さが10.4Mpa以上且つ伸びが100%以上
×:引張り強さが10.4Mpa未満又は伸びが100%未満
【0051】
(3)耐熱老化特性
JISダンベル3号試験片を、136℃に168時間保持して熱老化させた。熱老化後の試験片を、引張試験機により200mm/分の速度で引張った。試験片が切断された際の引張強さと伸びを測定した。この値を、上記(2)の測定値で割って、引張り残率と伸び残率を算出した。表1乃至表3には、以下の判定基準による判定の結果を記載した。
【0052】
(判定基準)
○:引張強さの残率が70%以上で且つ伸びの残率が65%以上
×:引張強さの残率が70%未満又は伸びの残率が65%未満
【0053】
(4)成形性:
電線テストピースの断面を30倍ルーペで観察し、気泡の有無を検査した。表1乃至表3には、以下の判定基準による判定の結果を記載した。
【0054】
(判定基準)
○:気泡が殆ど含まれていない
×:気泡が多数ある
【0055】
【表1】
【0056】
*1: エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポンケミカル製EV180)/ポリプロピレン(日本ポリケム製EX6)/SEPS(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体)(クラレ製セプトン4055)/プロセスオイル(出光興産製ダイアナプロセスオイルPW380)/マレイン酸変性低圧法低密度ポリエチレン(日本ポリオレフィン製アドテックスL6101M)=70/5/10/10/5(重量比)
*2: キスマ5(協和化学製)
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
*1: エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポンケミカル製EV180)/ポリプロピレン(日本ポリケム製EX6)/SEPS(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体)(クラレ製セプトン4055)/プロセスオイル(出光興産製ダイアナプロセスオイルPW380)/マレイン酸変性低圧法低密度ポリエチレン(日本ポリオレフィン製アドテックスL6101M)=70/5/10/10/5(重量比)
*2: キスマ5(協和化学製)
*3: 示差熱分析法による分解温度は252℃(ピーク温度)であった。
*4: S−1(新中村化学工業製シリコン・オリゴマー)[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
TECHNICAL FIELD The present invention relates to a flame retardant composition used for production of electric wires, cables, and the like, and electric wires, cables and various molded articles produced using the flame retardant composition.
[0002]
[Prior art]
In recent years, from the viewpoint of ensuring safety in the event of a fire, development of electric wires and cables that generate less smoke and do not generate harmful gases such as hydrogen halide gas has been promoted. That is, non-halogenation of flame retardant electric wires and flame retardant cables has been promoted. In recent years, recycling of materials has been promoted for environmental protection, and from this point of view, a flame-retardant electric wire and a flame-retardant cable not containing halogen are required.
[0003]
Under such circumstances, development of non-halogen flame retardant compositions based on organic polymers containing no halogen for the production of flame retardant electric wires and flame retardant cables has been actively conducted. As a typical example of such a composition, an ethylene-vinyl acetate copolymer resin having a high vinyl acetate content is used as a base polymer, and a metal hydroxide such as aluminum hydroxide or magnesium hydroxide is used as a flame retardant. A composition comprising a large amount of is known.
[0004]
However, such compositions have high extrusion torque and are therefore difficult to mold. Moreover, although the electric wire and cable manufactured from such a composition show high flame retardance, mechanical characteristics, especially tensile strength and tensile elongation are small. And although the flame retardancy of such electric wires and cables is high, it cannot be said that they are still at a sufficient level. In fact, such electric wires pass the UL standard vertical combustion test (UL1581). It is not (VW-1).
[0005]
Another example of a conventionally known flame retardant resin composition is a flame retardant resin composition obtained by adding a metal hydroxide, a silicon oligomer and a tetrazole foaming agent to an olefin resin (patent) Reference 1).
[0006]
The electric wire manufactured from the flame-retardant resin composition disclosed in Patent Document 1 exhibits higher flame retardancy than conventional ones. However, it did not show a high level of flame retardancy that passed in the vertical combustion test.
[0007]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Laid-Open No. 7-304891
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to provide a flame retardant composition having good moldability. Another object of the present invention is to provide an electric wire, a cable, and various molded articles exhibiting high flame retardancy.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
The inventors of the present invention have made extensive efforts to achieve the above object, and as a result, completed the present invention.
[0010]
That is, the present invention is selected from the group consisting of a thermoplastic resin (A) containing no halogen and 100 to 350 parts by weight of aluminum hydroxide and magnesium hydroxide with respect to 100 parts by weight of the resin (A). Selected from the group consisting of one or more halogen-free flame retardant (i) and an alkali metal salt and alkaline earth metal salt of 5-aminotetrazole having a decomposition temperature of 230 ° C. or higher and an average particle size of 15 μm or less The flame retardant (i) containing no halogen and the pyrolysis gas generator (ii) in a weight ratio of 95: 5 to 80 : It provides the flame retardant composition characterized by containing the thing formed by mixing in the ratio of 20 .
[0011]
In addition, the present invention provides a composition having particularly high heat resistance among the above-mentioned flame retardant compositions (electric wires produced from the composition pass the UL standard vertical combustion test (UL1581) (VW-1). An electric wire or cable obtained by coating a conductor or an optical fiber.
[0012]
Furthermore, this invention provides the molded object formed by extrusion molding, injection molding, blow molding, or calender molding the said flame-retardant composition.
[0013]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The flame retardant composition of the present invention includes the following embodiments.
1) Mixture (B) is a ratio of 95: 5 to 80:20, preferably 90:10 to 85:15, by weight ratio of flame retardant (i) containing no halogen and pyrolysis gas generator (ii). The flame retardant composition described above, which is a mixture of the above.
[0014]
2) The flame retardant composition described above, wherein the pyrolysis gas generator (ii) is at least one selected from the group consisting of alkali metal salts and alkaline earth metal salts of 5-aminotetrazole.
[0015]
3) The heat-resistant flame-retardant composition, which is the flame-retardant composition described above, wherein an electric wire produced from the composition passes (VW-1) the UL standard vertical combustion test (UL 1581).
[0016]
4) The flame retardant composition described above, wherein the halogen-free thermoplastic resin (A) contains 3 to 15% by weight of a heat-resistant thermoplastic resin not containing halogen.
[0017]
5) The flame retardant composition described above, wherein the halogen-free thermoplastic resin (A) contains a halogen-free thermoplastic resin other than the olefin-based thermoplastic resin.
[0018]
6) The flame retardant composition described above, wherein the halogen-free thermoplastic resin (A) is a mixture of an olefinic thermoplastic resin and a thermoplastic resin containing no halogen other than the olefinic thermoplastic resin.
[0019]
7) The above flame-retardant composition, wherein the halogen-free thermoplastic resin (A) is a thermoplastic resin containing no halogen other than the olefin-based thermoplastic resin.
[0020]
In the present invention, as the component (A), any thermoplastic resin containing no halogen can be used. It may be a hard resin such as polyethylene or polypropylene, or may be a flexible resin such as an ethylene copolymer, an olefin elastomer, or a styrene elastomer, and a urethane elastomer or a polyester elastomer may also be used. Can do. Moreover, the resin modified | denatured in order to provide a specific property may be sufficient. These can be used alone or as a blend of two or more kinds of resins.
[0021]
Among the resins classified as the halogen-free thermoplastic resin (A), what is called a heat-resistant thermoplastic resin is used, for example, an electric wire produced from the flame-retardant composition of the present invention. The cable is heat resistant. Examples of heat-resistant thermoplastic resins that do not contain halogen include polypropylene and the like.
[0022]
In addition, when an olefin-based elastomer is used as all or part of the thermoplastic resin (A) that does not contain a halogen, one produced from the flame-retardant composition of the present invention, such as an electric wire or cable, exhibits flexibility. .
[0023]
Since the polyolefin resin has high acceptability of the flame retardant, it is also preferable to use the polyolefin resin as all or part of the thermoplastic resin (A) not containing halogen. It is also preferable to use a blend of a polyolefin resin and an ethylene copolymer. Examples of ethylene-based copolymers include ethylene- (meth) acrylic acid ester copolymers, ethylene-vinyl acetate copolymers, ethylene-α-olefin copolymers, and styrene-ethylene-propylene-styrene copolymers. Can be mentioned.
[0024]
In the present invention, any flame retardant containing no halogen can be used as the component (i). Examples of the flame retardant containing no halogen include metal hydroxides such as aluminum hydroxide and magnesium hydroxide. Some metal hydroxides are subjected to surface treatment, but it is preferable to use those not subjected to surface treatment.
[0025]
In the present invention, as the pyrolysis gas generating agent (ii), a metal salt of a tetrazole compound having a decomposition temperature of 230 ° C. or higher and an average particle size of 15 μm or less is used. The pyrolysis gas generating agent (ii) needs to generate a large amount of incombustible gas near the flash point of the thermoplastic resin, and the metal salt of the tetrazole compound satisfies this condition. Further, when the pyrolysis gas generating agent is decomposed during the processing of the composition containing the pyrolysis gas generating agent, the manufactured product contains bubbles, which may cause inconveniences such as insufficient strength. Therefore, in the present invention, a pyrolysis gas generating agent having a decomposition temperature of 230 ° C. or higher is used.
[0026]
Among the metal salts of tetrazole compounds, alkali metal salts and alkaline earth metal salts of 5-aminotetrazole are particularly preferable. Examples of preferred alkali metals include sodium and potassium, and examples of preferred alkaline earth metals include magnesium, calcium, strontium and barium. These tetrazole compounds include, for example, a tetrazole compound and a hydroxide, oxide or carbonate of the above metal dissolved in water and reacted, and then evaporate water as a solvent and then evaporate the residue. It is obtained by drying the minutes. If the obtained metal salt of the tetrazole-based compound is subjected to pulverization or sieving as required, the particle size can be adjusted.
[0027]
The pyrolysis gas generating agent (ii) used in the present invention has an average particle size of 15 μm or less, particularly preferably 3 to 7 μm. When a pyrolysis gas generating agent having an average particle diameter of 15 μm or less is used, the material strength, particularly the tensile elongation is not lowered or hardly caused.
[0028]
The pyrolysis gas generating agent (ii) generates a large amount of non-flammable gas near the flash point of the thermoplastic resin, causing oxygen shortage in the combustion field, thereby showing effective flame retardancy.
[0029]
The flame retardant composition of the present invention comprises a halogen-free thermoplastic resin (A), 100 to 350 parts by weight of a flame retardant containing no halogen (i) and a tetrazole-based compound with respect to 100 parts by weight of the resin. And a mixture (B) with a pyrolysis gas generating agent (ii) having a decomposition temperature of 230 ° C. or higher and an average particle size of 15 μm or less.
[0030]
The weight ratio of the flame retardant (i) containing no halogen and the pyrolysis gas generating agent (ii) is preferably (i) :( ii) = 95: 5 to 80:20, and 90:10 to 85:15. Particularly preferred. When used in such a ratio, not only excellent flame retardancy can be obtained, but also from the viewpoint of material cost.
[0031]
From the viewpoint of flame retardancy, the mixture (B) of the halogen-free flame retardant (i) and the pyrolysis gas generating agent (ii) is based on 100 parts by weight of the thermoplastic resin (A) containing no halogen. 100 to 350 parts by weight, preferably 150 to 250 parts by weight are used.
[0032]
The flame retardant (i) containing no halogen and the pyrolysis gas generating agent (ii) can be blended with the thermoplastic resin (A) containing no halogen after mixing into the mixture (B), but not mixed in advance. Moreover, it can also mix | blend with a thermoplastic resin (A) separately.
[0033]
The flame retardant composition of the present invention is a plasticizer, a colorant, an antioxidant, a crosslinking aid, an ultraviolet absorber, a processing aid, a stabilizer and the like as long as it does not inhibit the effects of the present invention. The additive may also be contained. A plasticizer is a component generally used in combination with a thermoplastic resin. Also in the flame retardant composition of the present invention, in order to improve the moldability, a plasticizer, for example, process oil, is added in an amount of 0 to 15 weights with respect to 100 parts by weight of the halogen-free thermoplastic resin (A). It is preferable to make it contain in the ratio of a part. Moreover, when preparing the flame retardant composition of the present invention, it is preferable to prepare a mixture of a thermoplastic resin (A) and a plasticizer that does not contain halogen in advance.
[0034]
The flame retardant composition of the present invention can be easily prepared by uniformly mixing the blended components using a normal batch kneader such as a Banbury mixer or a pressure kneader.
[0035]
By using a single-screw extruder or the like and covering the periphery of a conductor such as a steel wire or an optical fiber with the flame retardant composition thus prepared, an electric wire or cable can be produced. Further, the flame retardant composition of the present invention can be molded into a plug or the like using an injection molding machine. Furthermore, the flame retardant composition of the present invention can be processed into various molded products by methods other than injection molding, such as extrusion molding, blow molding, and calendar molding.
[0036]
【The invention's effect】
According to the present invention, a flame retardant composition containing no halogen is obtained. Since the composition of the present invention does not contain halogen, there is an advantage that no harmful gas such as hydrogen halide gas is generated even in a fire. In addition, since no halogen is contained, the material can be easily recycled.
[0037]
From the flame retardant composition of the present invention, a highly flame retardant electric wire that passes the vertical flame retardant test (UL1581) can be produced.
[0038]
Moreover, what contains the heat resistant thermoplastic resin which does not contain a halogen in the flame-retardant composition of this invention also shows the effect that it is excellent in heat resistance.
[0039]
Furthermore, some of the electric wires, cables and various molded articles produced from the flame retardant composition of the present invention exhibit excellent mechanical properties and / or heat aging properties.
[0040]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described more specifically by way of examples. However, these are merely examples, and the present invention is not limited thereto.
[0041]
Tables 1 to 3 show the composition (unit: parts by weight) of the composition of the present invention and the comparative composition, and the performance evaluation test results of the test pieces manufactured from these compositions.
[0042]
(Synthesis of potassium salt of 5-aminotetrazole)
85.1 g (1 mol) of 5-aminotetrazole was added to 1.5 liters of water. The temperature of the resulting suspension was kept at 20-25 ° C. To this suspension, 69.1 g (0.5 mol) of potassium carbonate was added and reacted at the same temperature for 30 minutes to obtain a uniform aqueous solution. The aqueous solution was concentrated to dryness under reduced pressure to obtain 132.2 g (yield: 100%) of white 5-aminotetrazole potassium salt anhydride. It was 298 degreeC when the decomposition temperature of this potassium salt and anhydrate of 5-aminotetrazole was measured by the differential thermal analysis method (TG-DTA). Moreover, the average particle diameter was 22 micrometers. This was used in the comparative example.
[0043]
(Synthesis of magnesium salt of 5-aminotetrazole)
85.1 g (1 mol) of 5-aminotetrazole was added to 1.5 liters of water. The temperature of the resulting suspension was kept at 20-25 ° C. To this suspension, 29.2 g (0.5 mol) of magnesium hydroxide was added, and the resulting mixture was heated to 80 ° C. The mixture was reacted at the same temperature for 1 hour to obtain a uniform aqueous solution. This aqueous solution was concentrated to dryness under reduced pressure, and then heated and dried at 150 to 180 ° C. to obtain 96.2 g (yield: 100%) of 5-aminotetrazole magnesium salt / anhydrate. The decomposition temperature of the magnesium salt / anhydride of 5-aminotetrazole was measured by differential thermal analysis (TG-DTA) and found to be 303 ° C. Moreover, the average particle diameter was 22 micrometers. This was used in the comparative example.
[0044]
(Adjustment of grain size)
Each of potassium salt / anhydride of 5-aminotetrazole and magnesium salt / anhydride of 5-aminotetrazole was pulverized with a lab jet mill LJ type (manufactured by Nippon Pneumatic Industry). When the average particle diameter of the obtained particles was measured with a laser diffraction particle size distribution analyzer SALD-2100 (manufactured by Shimadzu Corporation), the average particle diameter was 7 μm. These were used in the examples.
[0045]
(Production of dumbbell No. 3 test piece)
Various materials shown in Examples 1 to 7 in Table 1 and Comparative Examples 1 to 10 in Table 2 and Table 3 were kneaded for 5 minutes with a pressure kneader, and then formed into a sheet with an open roll. The sheet thus obtained was pulverized with a sheet pelletizer.
[0046]
The obtained pulverized product was extruded into a sheet by a single screw extruder. This sheet-like extrudate was press-molded at 180 ° C. and 20 megapascals for 5 minutes to adjust the thickness to 1 mm. A JIS dumbbell No. 3 test piece was punched from the sheet-like extrudate having a thickness of 1 mm thus obtained.
[0047]
(Production of electric wire test piece for combustion test)
A pulverized product was obtained in the same manner as above. This pulverized product was passed through a single screw extruder to form a resin layer having a thickness of 0.4 mm around a steel wire having an outer diameter of 0.6 mm. In this way, an electric wire test piece for a combustion test was produced.
[0048]
The evaluation test was performed as follows.
(1) Flame retardance test Using the above-mentioned electric wire test piece, a combustion test (UL 1581 compliant, vertical combustion test) was performed.
[0049]
(2) Measurement of tensile strength A JIS No. 3 dumbbell test piece was pulled at a rate of 200 mm / min by a tensile tester. The tensile strength and elongation when the test piece was cut were measured. Tables 1 to 3 show the determination results based on the following determination criteria.
[0050]
(Criteria)
○: Tensile strength is 10.4 Mpa or more and elongation is 100% or more X: Tensile strength is less than 10.4 Mpa or elongation is less than 100%
(3) Heat aging characteristics The JIS dumbbell No. 3 test piece was heat-aged by being held at 136 ° C for 168 hours. The test piece after heat aging was pulled at a rate of 200 mm / min by a tensile tester. The tensile strength and elongation when the test piece was cut were measured. This value was divided by the measured value of (2) above to calculate the residual tensile rate and residual elongation rate. Tables 1 to 3 show the determination results based on the following determination criteria.
[0052]
(Criteria)
○: Residual rate of tensile strength is 70% or more and residual rate of elongation is 65% or more ×: Residual rate of tensile strength is less than 70% or residual rate of elongation is less than 65%
(4) Formability:
The cross section of the electric wire test piece was observed with a magnifying glass 30 times to inspect for bubbles. Tables 1 to 3 show the determination results based on the following determination criteria.
[0054]
(Criteria)
○: Almost no bubbles are included ×: There are many bubbles
[Table 1]
[0056]
* 1: Ethylene-vinyl acetate copolymer (EV180 manufactured by Mitsui DuPont Chemical) / Polypropylene (EX6 manufactured by Nippon Polychem) / SEPS (styrene-ethylene-propylene-styrene block copolymer) (Kuraray Septon 4055) / Process oil ( Idemitsu Kosan Diana Process Oil PW380) / Maleic Acid Modified Low Pressure Polyethylene (Nippon Polyolefin Adtex L6101M) = 70/5/10/10/5 (weight ratio)
* 2: Kisuma 5 (Kyowa Chemical)
[0057]
[Table 2]
[0058]
[Table 3]
[0059]
* 1: Ethylene-vinyl acetate copolymer (EV180 manufactured by Mitsui DuPont Chemical) / Polypropylene (EX6 manufactured by Nippon Polychem) / SEPS (styrene-ethylene-propylene-styrene block copolymer) (Kuraray Septon 4055) / Process oil ( Idemitsu Kosan Diana Process Oil PW380) / Maleic Acid Modified Low Pressure Polyethylene (Nippon Polyolefin Adtex L6101M) = 70/5/10/10/5 (weight ratio)
* 2: Kisuma 5 (Kyowa Chemical)
* 3: The decomposition temperature by differential thermal analysis was 252 ° C. (peak temperature).
* 4: S-1 (Shin Nakamura Chemical Silicon Oligomer)
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