JP3934742B2 - Anti-reflection coating - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば支持層に被着され、反射防止特性を有すると共に、さらに例えば電磁波のもれや静電気の帯電等を防止する光学膜としての反射防止膜に係わる。
【0002】
【従来の技術】
従来、反射防止膜は、例えば空気とガラスとの光学的境界面における屈折率を減少させることが好ましかったり、また、その必要がある光学や電気光学の分野で広く使われている。これらの応用分野としては、カメラのレンズ、コピー機械のプラテン(原稿台)用パネル、その他の表示装置などがある。
【0003】
各種の応用分野で使われる光学的な薄膜コーティングには、マグネシウムフッ化物から成る膜等の単一層コーティングや、1つの波長領域における屈折率を最小にする2層のコーティングや、比較的広い波長領域例えば可視光領域の範囲にわたって低い屈折率を生じる多層の広帯域コーティング等がある。
【0004】
ここで、上述の2層のコーティングには、例えば次のような構成が提案されている。
まず、米国特許第4422721号に開示された2層膜で構成される反射防止膜(以下、反射防止膜Aとする)は、少なくとも1つの低屈折率の材料から成る層例えばマグネシウムフッ化物から成る層と、薄い透明な高屈折率で導電性を有する材料から成る層、例えばインジウム錫酸化物(ITO)、カドミウム錫酸塩、或いは錫アンチモン酸化物から成る層とから構成され、光学基材の表面から順に低屈折率の材料から成る層、薄い透明な高屈折率で導電性を有する材料から成る層が被着して成る。
導電性材料から成る層は、1.0nm〜30.0nmの厚さを有し、また低屈折率材料から成る層は、導電性材料から成る層が劣化しないように、導電性材料から成る層の厚さに対応させて膜厚が選定される。
【0005】
この反射防止膜Aは、低い屈折率の層と高い屈折率の層から成る2層膜によって、電気的に直接接続できCRT(陰極線管)やコピー機等に最適な導電性のある反射防止膜を提供している。
【0006】
また、米国特許第4732454号に開示された2層膜で構成される反射防止膜(以下、反射防止膜Bとする)は、透明なプラスチックから成る基板と、堅くてかつ引っかき傷に耐性であって、基板に被着される第1の層と、第1の層に密着すると共に酸素原子存在下及び150℃以下における高周波放電によるスパッタ法或いは真空蒸着法で構成される導電性材料から成る第2の層と、この第2の層に密着すると共に第2の層の屈折率より低い屈折率を有する第3の層とから成り、第2の層がITOを含む構成である。
【0007】
この反射防止膜Bは、光を伝搬できると共に、プラスチックの保護層に被着させてCRT(陰極線管)のフィルタからの電磁波のフィルタとして最適な反射防止膜を提供している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の反射防止膜Aは、導電性が低いこと、及び広い周波数帯域にわたり反射防止率が低い、という問題がある。
また上述の反射防止膜Bにおいても、同様に広い周波数帯域にわたり反射防止率が低い。
導電性が低いと、例えば反射防止膜をCRTのパネル上に装着した場合に、静電気の防止やCRTのパネルからの電磁波の出力防止に対する効力が少なくなる。
【0009】
この問題を解決するために、先に提案した2層膜構造の反射防止膜を図5に示す。
【0010】
図5に示す反射防止膜50は、プラスチック等から成る支持層55の上に、光を吸収する導電性の材料から成る第1の層51と、屈折率が2.0以下の材料から成る第2の層52が積層されて成る。
【0011】
第1の層51は、例えば窒化チタン、不純物としてタングステンが混合された窒化チタン、ジルコニウムの酸窒化物、インジウム鉛酸化物(ITO)等導電性酸化物が添加された金属等の導電性の材料により構成される。
第2の層52は、例えばSiO2 等により構成される。
【0012】
このように反射防止膜50を構成することにより、前述の反射防止膜Aや反射防止膜Bと比較して、高い導電性を有し、また広い周波数帯域において反射防止率を高くすることができる。
【0013】
しかしながら、上述の2層膜構造の反射防止膜50には、主として次に挙げる問題がある。
2層膜構造の反射防止膜50は、前述の反射防止膜Aや反射防止膜Bと比較すると高い導電性を有するが、まだ導電性が充分ではない。反射防止膜に要求されるシート抵抗の仕様は、従来は1000Ω/□であったが、最近では270Ω/□と厳しくなっている。2層膜構造では1000Ω/□の仕様は満足できるが、270Ω/□の仕様は満足できない。
【0015】
上述した問題の解決のために、本発明においては、光学特性が良好である反射防止膜を提供するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の反射防止膜は、窒化チタンから成る第1の層と、光学的に吸収がある材料から成る第2の層と、屈折率が1.3〜1.7の範囲である第3の層とが、基板側から順次積層形成されて成り、第2の層が酸素の量xを調整された酸化硅素SiOx(0<x<2)から成り、第3の層が二酸化珪素から成る構成である。
【0017】
上述の本発明の構成によれば、光学的に吸収のある材料から成る層が第1の層と第2の層との2層により構成されるため、第2の層が第1の層の光学特性を補完することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明は、窒化チタンから成る第1の層と、光学的に吸収がある材料から成る第2の層と、屈折率が1.3〜1.7の範囲である第3の層とが、基板側から順次積層形成されて成り、第2の層が酸素の量xを調整された酸化硅素SiOx(0<x<2)から成り、第3の層が二酸化珪素から成る反射防止膜である。
【0022】
また本発明は、上記反射防止膜において、第1の層がタングステンをドープした窒化チタンから成る構成とする。
【0023】
また本発明は、上記反射防止膜において、第1の層の膜厚が2〜25nmである構成とする。
【0025】
また本発明は、上記反射防止膜において、第2の層の材料の屈折率nと消衰係数kが制御されて形成された層である構成とする。
【0027】
また本発明は、上記反射防止膜において、第2の層の膜厚が20〜110nmである構成とする。
【0029】
また本発明は、上記反射防止膜において、第1の層、第2の層及び第3の層のうち、少なくとも1層以上が、異なる光学特性を有する複数の膜から成る複層構造を成す構成とする。
【0030】
また本発明は、上記反射防止膜において、第3の層の膜厚が1〜110nmである構成とする。
【0031】
また本発明は、上記反射防止膜において、基板と第1の層との間に酸化硅素から成る密着層が配置され、密着層の膜厚が0.1〜10nmである構成とする。
【0032】
以下、図面を参照して本発明の反射防止膜の一例を説明する。
図1に示す反射防止膜10は、プラスチック等から成る支持層11の上に、光学的に吸収がある材料から成る第1の層1と、光学的に吸収がある材料から成る第2の層2と、屈折率が1.3〜1.7の範囲である第3の層3が順次積層されて成る。
【0033】
第1の層1は、光学的に吸収がある材料により構成する。
そして、好ましくは導電性材料、より好ましくは窒化金属例えば窒化チタンや窒化ジルコニウム、不純物としてタングステンが混合された窒化チタン等の材料により構成される。
また、第1の層の膜厚は、好ましくは2〜25nmとする。
【0034】
第2の層2は、例えば酸化硅素等により構成され、光学的に吸収があるように構成される。
また、第2の層2の膜厚は、好ましくは20〜110nmとする。
【0035】
酸化硅素を光学的に吸収があるようにするためには、SiOx (0<x<2)のxの値を調整する。二酸化窒素SiO2 は透明であるが、xを減らすと光学的に吸収を有するようになる。
好ましくは、充分な吸収があるようにxを1.0程度とする。
【0036】
その他の酸化物セラミックについても、酸素の量を調整することにより光学的に吸収を有するようにすることができる。
【0037】
第3の層3は、屈折率が1.3〜1.7の材料、例えばSiO2 (屈折率1.45)により構成される。このような材料は、屈折率が低く、また第2の層との密着性が良好で耐久性が高い等の特徴を有する。
この他例えば二フッ化マグネシウム(MgF2 、屈折率1.38)、酸化アルミニウム(Al2 O3 、屈折率1.67)等を用いてもよい。
また、第3の層3の膜厚は、好ましくは1〜110nmとする。
【0038】
即ち本例においては、先に提案した反射防止膜50と同様に、第1の層1にタングステンをドープした窒化チタン等の光学的に吸収がある導電性の材料を用いて、先に提案した反射防止膜50の第2の層52を2層に分けて、第2の層2及び第3の層3として構成している。
そして、第2の層2を吸収のある材料によって構成することにより、吸収のある材料によって構成された第1の層1の光学特性を補完することができるため、吸収のある材料により構成された層が第1の層51のみである従来の2層構造の反射防止膜50よりも、光学特性を向上させることができる。
【0039】
第2の層2は、その紫側即ち短波長側での吸収が、赤側即ち長波長側での吸収より強い光学特性を有することが好ましい。これにより、効果的に第1の層1の屈折率nと消衰係数kを補正することができる。
前述の2層構造の反射防止膜50においては、第1の層51の窒化チタン膜を最も良好な特性にしたものであっても、まだ反射色を最適にしつつ反射率を低くするための理想的なnとkの値からは実際の値がかけ離れていた。即ち、2層構造の反射防止膜50では、理想的なnとkを有する材料がなかった。
これに対して、3層構造の反射防止膜10では、第2の層2の光学特性を、第1の層1の光学特性を補正するように構成することにより、反射防止膜10全体の光学特性を従来より向上させることができる。
【0040】
これにより、新たに設けた吸収層である第2の層2が第1の層1の光学的不完全さを補うため、第1の層1の厚さをより厚くすることができるようになる。
これにより、反射防止膜10の反射色を向上させてより理想的な色にしたり、導電性の材料により第1の層1を構成したときには導電性を向上させることができる。
さらに、成膜コストは2層構造の反射防止膜と同等かそれ以下である。
【0041】
第2の層2として有用な膜はSiOx である。この材料は、硬く、密着が良く、一般的なターゲットとスパッタ装置で作製することができる。
第2の層2の成膜にあたっては、スパッタ中に光学的モニターで透過率等を測定し、フィードバックすることによりnとkを制御して成膜するとよい。成膜のコントロールは、具体的には酸素の流量等で行うとよい。
【0042】
この例では、第1の層1は導電性を有する材料であり、3層構造の反射防止膜10は2層構造の反射防止膜50と比較して第1の層1の厚さを3倍にすることができる。これにより導電性を3倍にすることができ、270Ω/□の仕様にも対応することができる。
【0043】
ここで3層構造の反射防止膜としては、例えば国際特許#PCT/JP95/02550において、3層構造の反射防止膜が示されているが、この場合には第2の層は透明な材料即ち吸収のない材料とされている。
【0044】
本発明においては、第2の層2として、SiOx 等の吸収のある材料から成る膜を用いた。この第2の層2は、光学特性と電気特性で独特の有利な特性を示すもので、上述の特許には示されていない。
【0045】
ここで、第1の層1の材料として、実際に成膜されたタングステンをドープした窒化チタンの材料分析を行った。窒化チタンはTiNx Wy と記述することができる。
分析の結果、x=0.85、y=0.023であった。
さらに、酸素の分析も行ったところ、組成はTiN0.85W0.023 O0.26であった。
尚、酸素は残留ガスのコンタミネーションに起因するもので、光学特性や電気特性に与える影響は少ない。
【0046】
表1は、例えばBK7から成る基板上に形成した、典型的な2層構造の反射防止膜及び3層構造の反射防止膜における、各層の材料及び膜厚の設計条件を比較して示す。尚、表1中、TiN(W)はタングステンをドープした窒化チタンを示す。
PET(ポリエチレンテレフタレート)から成る基板上に反射防止膜を形成する場合における各層の材料及び膜厚設計も、このBK7基板上の場合とほとんど同じである。
【0047】
尚、これらの基板等による支持層11と第1の層1との間に、密着性を改善する目的で、酸化硅素から成る密着層を配置してもよい。密着層の膜厚は、安定して製造できかつなるべく薄くなるように0.1〜10nmとする。
【0048】
【表1】
【0049】
計算に用いた屈折率nと消衰係数kの値を表2に示す。
表2に示した値は、一般的なタングステンをドープした窒化チタン、SiOx 、SiO2 の測定値である。
【0050】
【表2】
【0051】
表2の一般的な値から、さらにSiOx のnとkの値を最適化することにより、3層構造の反射防止膜10の光学特性をより向上させることができる。
一方、窒化チタンの光学特性の改善によっても、2層構造の反射防止膜50、3層構造の反射防止膜10共に特性が向上するが、この窒化チタンの光学特性の改善は、実際には実現することがかなり困難であり、実現できたとしても安定して製造できる製造プロセスの確立が困難である。
【0052】
尚、図示しないが、上述の第1の層、第2の層及び第3の層の3つの層のうち、少なくとも1層が、異なる光学特性を有する複数の膜が積層された複層構造を成した構成をとってもよい。
【0053】
次に、2層構造の反射防止膜50と、3層構造の反射防止膜10の各種特性を比較して表3及び図2〜図4及び図6〜図8に示す。
図2〜図4は3層構造の反射防止膜10の場合の特性(理論値T3及び実測値M3)を示し、図6〜図8は2層構造の反射防止膜50の場合の特性(理論値T2)を示す。
図2及び図6は光の波長と反射防止膜10,50の反射率の関係を示し、図3及び図7は反射防止膜10,50の反射色を示し、図4及び図8は光の波長と反射防止膜10,50の透過率との関係を示す。
【0054】
【表3】
【0055】
表3において、2層構造の反射防止膜50の数値は、計算値(理論値)であるが、これまでの経験から、計算値と実測値とはかなり一致することがわかっている。
一方、表3中、3層構造の反射防止膜10の数値は、実測値である。
【0056】
表3より、反射色を最適化したときには、3層構造の反射防止膜10の方が反射率を低くすることができ、2層構造の反射防止膜50より優れていることを示す。
2層構造の反射防止膜50でも、反射率をより低くすることができるが、反射率を低くするように構成した場合には、反射色が悪くなってしまう。
【0057】
また表3より、3層構造の反射防止膜10のシート抵抗は、2層構造の反射防止膜50のシート抵抗よりかなり低い。これは、導電性の第1の層1が厚いことによる。
2層構造の反射防止膜50は、前述のシート抵抗の仕様である270Ω/□を満足しないが、3層構造の反射防止膜10は充分なセーフティマージンを有して仕様を満足する。
【0058】
尚、このシート抵抗の計算には、窒化チタンの体積抵抗値2×10-4Ωcmを用いた。これは窒化チタンの典型的な値である。最小の抵抗値1×10-4Ωcmを有する窒化チタンを用いれば、2層構造の反射防止膜50でも仕様を満足することが可能であるが、最小の抵抗値の窒化チタンを大量に用意することが困難であるため、この条件では大量生産が困難である。
【0059】
一方、3層構造の反射防止膜10の欠点は、表3、図4及び図8に示すように、2層構造の反射防止膜50よりも透過率が低くなることである。
しかしながら、ディスプレーへの用途ではこの差はさほど重要ではない。
CRT用のガラスにおける反射防止膜も含めた全層における透過率は、40〜50%であることから、反射防止膜の透過率が50%以上であれば、ガラス基板の方の透過率を制御することにより、全層における透過率を最適化できる。
表3及び図4から、3層構造の反射防止膜10は、50%以上の透過率が確保できることがわかり、全層における透過率を最適化することが可能である。
【0060】
また、図3及び図7より、3層構造の反射防止膜10と2層構造の反射防止膜50のいずれにおいても、反射色は最適値(x=0.25,y=0.25)に対して±0.03以内である。
実際に製造した2層構造の反射防止膜50では、図7に示した理論値T2よりも赤い位置(図7中xが増加した位置)になる傾向があり、最適値との差が大きくなることがある。
これに対して、3層構造の反射防止膜10では、実測値M3が最適値に対して±0.03以内であり、充分なマージンを有することがわかる。
【0061】
前述の2層構造の反射防止膜50を形成する場合には、反射防止膜50における吸収が少ないため、ガラス基板における吸収があることが必要不可欠である。これに対して、3層構造の反射防止膜を形成する場合には、透明或いは若干の吸収を持つ基板が最適である。
製造コスト、均一性や制御性を考慮すると、吸収はガラス基板ではなく反射防止膜にある方がよいと考えられる。
【0062】
一方、膜の材料費や製造コストは、おおよそ膜厚から推定することができる。表3より、2層構造の反射防止膜50も、3層構造の反射防止膜10も、ほぼ同程度の膜厚であるので、これらの成膜コストは同じくらいであることが予想される。尚、より正確に成膜コストを比較するならば、使用する成膜装置と成膜の工程内容も考慮する必要がある。
【0063】
ここで、全工程中で通常SiO2 の成膜工程が最も時間がかかるため、SiO2 の厚さが製造コストに大きく影響する。
3層構造の反射防止膜10では、2層構造の反射防止膜50に対して、SiO2 の一部をSiOx で置き換えているため、SiOx の成膜レートがSiO2 の成膜レートより高いことから、製造コストの面で有利に働く。ただし、SiO2 の成膜レートとSiOx の成膜レートは、それぞれ成膜方法に依存するので簡単には比較できない。
使用する成膜装置と成膜の工程内容次第では、3層構造の反射防止膜10を2層構造の反射防止膜50より低い成膜コストとすることも可能であると考えられる。
【0064】
本発明の反射防止膜は、上述の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【0065】
【発明の効果】
上述の本発明による反射防止膜によれば、第2の層で第1の層の光学特性を補完して光学特性を制御することができるので、反射率を低くすることができる。
【0066】
また、第2の層で光学特性を制御することができるので、第1の層の光学特性の条件が緩和され、第1の層の膜厚を厚く形成することができる。
そして、第1の層を厚く形成することができるので、第1の層を導電性の材料により構成したときには、反射防止膜を高い導電性を有する膜とすることができる。
従って、例えばCRT等の陰極線管の表面の導電膜として用いたときに、表面からの電磁波出力防止の効果が大きくなる。
【0067】
また、2層構造の反射防止膜と比較して、同等または少ない製造コストで反射防止膜を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による3層構造の反射防止膜の一例の概略構成図である。
【図2】図1の3層構造の反射防止膜における光の波長と反射率との関係を示す図である。
【図3】図1の3層構造の反射防止膜における反射色を示す図である。
【図4】図1の3層構造の反射防止膜における光の波長と透過率との関係を示す図である。
【図5】2層構造の反射防止膜の一例を示す概略構成図である。
【図6】図5の2層構造の反射防止膜における光の波長と反射率との関係を示す図である。
【図7】図5の2層構造の反射防止膜における反射色を示す図である。
【図8】図5の2層構造の反射防止膜における光の波長と透過率との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 第1の層、2 第2の層、3 第3の層、10 反射防止膜、11 支持層、50 反射防止膜、51 第1の層、52 第2の層、55 支持層[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to an antireflection film as an optical film which is applied to, for example, a support layer and has antireflection characteristics, and further prevents, for example, leakage of electromagnetic waves and electrostatic charging.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, for example, it is preferable to use an antireflection film to reduce the refractive index at the optical interface between air and glass, and the antireflection film is widely used in the fields of optics and electro-optical where it is necessary. These application fields include camera lenses, copy machine platen panels, and other display devices.
[0003]
Optical thin-film coatings used in various applications include single-layer coatings such as magnesium fluoride films, two-layer coatings that minimize the refractive index in one wavelength range, and a relatively wide wavelength range. For example, multilayer broadband coatings that produce a low refractive index over the visible light range.
[0004]
Here, for example, the following configuration has been proposed for the above-described two-layer coating.
First, an antireflection film (hereinafter referred to as an antireflection film A) composed of a two-layer film disclosed in US Pat. No. 4,422,721 is made of at least one layer made of a material having a low refractive index, for example, magnesium fluoride. And a layer made of a thin transparent high refractive index conductive material, for example, a layer made of indium tin oxide (ITO), cadmium stannate, or tin antimony oxide, A layer made of a material having a low refractive index and a layer made of a thin transparent material having a high refractive index and conductivity are deposited in this order from the surface.
The layer made of the conductive material has a thickness of 1.0 nm to 30.0 nm, and the layer made of the low refractive index material is a layer made of the conductive material so that the layer made of the conductive material is not deteriorated. The film thickness is selected according to the thickness of the film.
[0005]
This antireflection film A is a conductive antireflection film that can be directly electrically connected by a two-layer film composed of a low refractive index layer and a high refractive index layer, and is optimal for a CRT (cathode ray tube), a copying machine, or the like. Is provided.
[0006]
In addition, the anti-reflection film (hereinafter referred to as anti-reflection film B) composed of a two-layer film disclosed in US Pat. No. 4,732,454 is a substrate made of a transparent plastic and is hard and resistant to scratches. A first layer to be deposited on the substrate, a first layer made of a conductive material that is in close contact with the first layer and is formed by sputtering or vacuum deposition using high frequency discharge in the presence of oxygen atoms and at 150 ° C. or lower. The second layer includes a third layer that is in close contact with the second layer and has a refractive index lower than that of the second layer, and the second layer includes ITO.
[0007]
This antireflection film B can transmit light and is applied to a plastic protective layer to provide an optimum antireflection film as an electromagnetic wave filter from a CRT (cathode ray tube) filter.
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
However, the above-described antireflection film A has a problem of low conductivity and low antireflection rate over a wide frequency band.
Similarly, the antireflection film B has a low antireflection rate over a wide frequency band.
When the conductivity is low, for example, when an antireflection film is mounted on the CRT panel, the effectiveness for preventing static electricity and preventing the output of electromagnetic waves from the CRT panel is reduced.
[0009]
In order to solve this problem, an antireflection film having a two-layer structure proposed previously is shown in FIG.
[0010]
The
[0011]
The
The
[0012]
By configuring the
[0013]
However, the
The
[0015]
In order to solve the above problems, the present invention provides an antireflection film having good optical characteristics.
[0016]
[Means for Solving the Problems]
The antireflection film of the present invention includes a first layer made of titanium nitride, a second layer made of an optically absorbing material, and a third layer having a refractive index in the range of 1.3 to 1.7. And the second layer is made of silicon oxide SiO x (0 <x <2) in which the amount of oxygen x is adjusted, and the third layer is made of silicon dioxide. It is a configuration.
[0017]
According to the above-described configuration of the present invention, the layer made of the optically absorbing material is composed of two layers of the first layer and the second layer, so that the second layer is the first layer. Optical characteristics can be complemented.
[0018]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The present invention includes a first layer made of titanium nitride, a second layer made of an optically absorbing material, and a third layer having a refractive index in the range of 1.3 to 1.7. The antireflection film is formed by sequentially laminating from the substrate side, the second layer is made of silicon oxide SiO x (0 <x <2) in which the amount of oxygen x is adjusted, and the third layer is made of silicon dioxide. is there.
[0022]
According to the present invention, in the antireflection film, the first layer is made of titanium nitride doped with tungsten.
[0023]
According to the present invention, in the antireflection film, the first layer has a thickness of 2 to 25 nm.
[0025]
According to the present invention, the antireflection film is a layer formed by controlling the refractive index n and the extinction coefficient k of the material of the second layer.
[0027]
According to the present invention, in the antireflection film, the thickness of the second layer is 20 to 110 nm.
[0029]
According to the present invention, in the antireflection film, at least one of the first layer, the second layer, and the third layer has a multilayer structure including a plurality of films having different optical characteristics. And
[0030]
According to the present invention, in the antireflection film, the third layer has a thickness of 1 to 110 nm.
[0031]
According to the present invention, in the antireflection film, an adhesion layer made of silicon oxide is disposed between the substrate and the first layer, and the film thickness of the adhesion layer is 0.1 to 10 nm.
[0032]
Hereinafter, an example of the antireflection film of the present invention will be described with reference to the drawings.
An
[0033]
The
It is preferably made of a conductive material, more preferably a metal nitride such as titanium nitride or zirconium nitride, or titanium nitride mixed with tungsten as an impurity.
The film thickness of the first layer is preferably 2 to 25 nm.
[0034]
The
The film thickness of the
[0035]
In order to optically absorb silicon oxide, the value of x in SiO x (0 <x <2) is adjusted. Nitrogen dioxide SiO 2 is transparent, but when x is reduced, it has optical absorption.
Preferably, x is about 1.0 so that there is sufficient absorption.
[0036]
Other oxide ceramics can also have optical absorption by adjusting the amount of oxygen.
[0037]
The
In addition, for example, magnesium difluoride (MgF 2 , refractive index 1.38), aluminum oxide (Al 2 O 3 , refractive index 1.67) or the like may be used.
The film thickness of the
[0038]
That is, in the present example, similarly to the previously proposed
Since the
[0039]
The
In the above-described
On the other hand, in the
[0040]
Thereby, since the
Thereby, the reflection color of the
Further, the deposition cost is equal to or less than the antireflection film having a two-layer structure.
[0041]
A useful film for the
In forming the
[0042]
In this example, the
[0043]
Here, as an antireflection film having a three-layer structure, for example, an antireflection film having a three-layer structure is shown in International Patent # PCT / JP95 / 02550. In this case, the second layer is a transparent material, It is considered as a material that does not absorb.
[0044]
In the present invention, a film made of an absorbing material such as SiO x is used as the
[0045]
Here, as the material of the
As a result of analysis, x = 0.85 and y = 0.024.
Further, when oxygen was analyzed, the composition was TiN 0.85 W 0.023 O 0.26 .
Note that oxygen is caused by residual gas contamination and has little influence on optical characteristics and electrical characteristics.
[0046]
Table 1 shows a comparison of material and film thickness design conditions of a typical two-layer antireflection film and a three-layer antireflection film formed on a substrate made of, for example, BK7. In Table 1, TiN (W) indicates titanium nitride doped with tungsten.
The material and film thickness design of each layer when an antireflection film is formed on a substrate made of PET (polyethylene terephthalate) are almost the same as those on the BK7 substrate.
[0047]
An adhesive layer made of silicon oxide may be disposed between the
[0048]
[Table 1]
[0049]
Table 2 shows the values of the refractive index n and the extinction coefficient k used in the calculation.
The values shown in Table 2 are measured values of general tungsten-doped titanium nitride, SiO x , and SiO 2 .
[0050]
[Table 2]
[0051]
The optical characteristics of the
On the other hand, the improvement of the optical characteristics of titanium nitride also improves the characteristics of both the
[0052]
Although not shown, at least one of the three layers of the first layer, the second layer, and the third layer described above has a multilayer structure in which a plurality of films having different optical characteristics are stacked. You may take the structure which was made.
[0053]
Next, various characteristics of the
2 to 4 show the characteristics (theoretical value T3 and measured value M3) in the case of the
2 and 6 show the relationship between the wavelength of light and the reflectance of the
[0054]
[Table 3]
[0055]
In Table 3, the numerical value of the
On the other hand, in Table 3, the numerical value of the
[0056]
Table 3 shows that when the reflection color is optimized, the
Even with the
[0057]
From Table 3, the sheet resistance of the
The
[0058]
The sheet resistance was calculated using a volume resistance value of 2 × 10 −4 Ωcm of titanium nitride. This is a typical value for titanium nitride. If titanium nitride having a minimum resistance value of 1 × 10 −4 Ωcm is used, the
[0059]
On the other hand, the disadvantage of the
However, this difference is not very important for display applications.
Since the transmittance of all layers including the antireflection film in CRT glass is 40 to 50%, the transmittance of the glass substrate is controlled if the transmittance of the antireflection film is 50% or more. By doing so, the transmittance in all layers can be optimized.
From Table 3 and FIG. 4, it can be seen that the
[0060]
3 and 7, the reflection color is the optimum value (x = 0.25, y = 0.25) in both the
The
On the other hand, in the
[0061]
When the
Considering the manufacturing cost, uniformity and controllability, it is considered that the absorption should be in the antireflection film rather than the glass substrate.
[0062]
On the other hand, the material cost and manufacturing cost of the film can be estimated from the film thickness. From Table 3, since the
[0063]
Here, since the SiO 2 film forming process usually takes the most time in all the processes, the thickness of the SiO 2 greatly affects the manufacturing cost.
In the
Depending on the film forming apparatus used and the details of the film forming process, it is considered that the
[0064]
The antireflection film of the present invention is not limited to the above-described example, and various other configurations can be taken without departing from the gist of the present invention.
[0065]
【The invention's effect】
According to the anti-reflection film according to the invention described above, it is possible to control the optical properties to complement the optical properties of the first layer in the second layer, it is possible to lower the reflectance.
[0066]
Further, since the optical characteristics can be controlled by the second layer, the conditions of the optical characteristics of the first layer are relaxed, and the first layer can be formed thick.
Since the first layer can be formed thick, when the first layer is made of a conductive material, the antireflection film can be a highly conductive film.
Therefore, for example, when used as a conductive film on the surface of a cathode ray tube such as a CRT, the effect of preventing electromagnetic wave output from the surface is increased.
[0067]
In addition, the antireflection film can be produced at the same or less production cost than the antireflection film having a two-layer structure.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic configuration diagram of an example of a three-layer antireflection film according to the present invention.
FIG. 2 is a diagram showing the relationship between the wavelength of light and the reflectance in the antireflection film having the three-layer structure of FIG.
3 is a diagram showing a reflection color in the antireflection film having the three-layer structure of FIG. 1;
4 is a diagram showing the relationship between the wavelength of light and the transmittance in the antireflection film having the three-layer structure shown in FIG. 1. FIG.
FIG. 5 is a schematic configuration diagram showing an example of an antireflection film having a two-layer structure.
6 is a diagram showing the relationship between the wavelength of light and the reflectance in the antireflection film having the two-layer structure shown in FIG. 5;
7 is a diagram showing a reflection color in the two-layer antireflection film of FIG.
8 is a diagram showing the relationship between the wavelength of light and the transmittance in the antireflection film having the two-layer structure of FIG.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF
Claims (8)
光学的に吸収がある材料から成る第2の層と、
屈折率が1.3〜1.7である材料から成る第3の層とが、
基板側から順次積層形成されて成り、
上記第2の層が酸素の量xを調整された酸化硅素SiOx(0<x<2)から成り、
上記第3の層が二酸化珪素から成る
ことを特徴とする反射防止膜。 A first layer of titanium nitride ;
A second layer of optically absorbing material;
A third layer made of a material having a refractive index of 1.3 to 1.7,
It is formed by laminating sequentially from the substrate side,
The second layer is made of silicon oxide SiO x (0 <x <2) with a controlled amount of oxygen x;
The antireflection film, wherein the third layer is made of silicon dioxide.
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