JP3933310B2 - 電動送風機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電動送風機に関する。さらに詳しくは送風効率を向上させることができる電動送風機に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来の電動送風機は、図8〜9に示されるように、電動機(図示せず)の駆動軸Dに連結された羽根車であるインペラ31と、インペラ31と電動機とのあいだに配設されたディフューザ32、および当該インペラ31およびディフューザ32を収容するボリュートケース33を備えている。
【0003】
ディフューザ32は、円盤状の略平板からなる底壁部34を有し、当該底壁部における前記インペラ31に対向する側の面に複数のボリュートリブ35が突設され、前記インペラ31と反対側の面に複数の戻り通路リブ36が突設されている。
【0004】
従来のディフューザ32においては、ボリュートリブ35の外端径D1 、戻り通路リブ36の外端径D2 および円盤状の略平板径D3 がほぼ同じになるように(D1 ≒D2 ≒D3 )、ボリュートリブ35および戻り通路リブ36が底壁部34に設けられている。
【0005】
かかる構成においては、ボリュートリブ35の外端は、風W1 をボリュート通路37から戻り通路38に流入させるために、通常、ボリュートケース33の内周面と密着せず、環状の隙間39を有している。ボリュートリブ35を通過した風W1 (図8(a)参照)は、この環状の隙間39を通過し(図9参照)、戻り通路38に流入する(図8(b)参照)。
【0006】
環状の隙間39が狭いと、通路面積が充分確保できず、通気抵抗が大きくなり、送風効率が低下する原因となる。
【0007】
そこで、通路面積を確保するために、ボリュートリブ35の外端径D1 を小さくすることにより、環状の隙間39を大きくする方法がある。このばあい、ボリュートリブ35の長さが短くなり、インペラ31から排出された風の動圧を静圧に変換して送風効率を向上させるためのボリュート通路37が短くなり、送風効率を低下させるという問題がある。
【0008】
反対に、ボリュートリブ35の長さを変えずに、ボリュートケース33の外径を大きくして、通路面積の確保を図る方法があるが、この方法では、電動送風機全体の寸法を大きくしてしまうという問題がある。
【0009】
大型化の解決策として、特開平7−18994号公報に記載される方法では、図8(a)に示されるように、底壁部34の一部を切り欠いて略三角形通路40を形成することにより、通路面積の確保を図る方法がある。しかし、この方法では、通路面積の拡大が不充分であり、結局、ボリュートリブ35の長さを短くせざるを得ない。
【0010】
また、このばあい、ボリュート通路37と戻り通路38とのあいだの相関関係がないので、ボリュート通路37から戻り通路38へのスムーズな流入通路を実現できない。たとえば、隣接する2本のボリュートリブ35のあいだに三角形通路40を形成しても、戻り通路リブ36が三角形通路40を塞ぐ場合がある。
【0011】
さらに、ボリュート通路37を通過した風W1 が、戻り通路38に流入するときに、ボリュート通路37の端面からガイドするリブがまったく存在しないので、その部分で、乱流が発生して送風効率を低下させるという問題がある。
【0012】
本発明はかかる問題を解消するためになされたものであり、ボリュート通路から戻り通路リブへの風の流れをスムーズにして送風効率を向上させることができる電動送風機を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の電動送風機は、電動機の駆動軸に連結されたインペラ、当該インペラと電動機とのあいだに配設されたディフューザおよび少なくとも前記インペラおよびディフューザを収容するボリュートケースを備え、
前記ディフューザが、円盤状の略平板からなる底壁部を有し、当該底壁部における前記インペラに対向する側の面に複数のボリュートリブが突設され、前記インペラと反対側の面に複数の戻り通路リブが突設されてなる電動送風機であって、前記ディフューザのボリュートリブの外端径が、前記戻り通路リブの外端径よりも大きく、
前記ディフューザの隣接する2本のボリュートリブと底壁部とで囲まれてなるボリュート通路の形状が、前記ボリュート通路の底壁部の外周端と前記戻り通路リブの曲線状の外周側とがほぼ一致するような形状を呈し、さらに前記ボリュートリブの外周側先端部分が前記底壁部の外周端から突出しており、
前記ボリュートリブの外周側先端部分と、前記戻り通路リブ外周外側と、前記ボリュートケースの側壁とで囲まれた環状の第1空間部が形成されてなることを特徴とするものである。
【0014】
前記ボリュートリブの外周端が、前記ボリュートケースの内周面から1〜3mm程度内側に位置することにより、当該ボリュートリブ外周端とボリュートケースとのあいだに環状の第2空間部が形成されてなるのが好ましい。
【0015】
前記戻り通路リブの先端が、前記ボリュートリブの曲線状の外周端に一致または外周端より内側に位置するのが好ましい。
【0016】
前記ボリュートリブおよび戻り通路リブがそれぞれ17〜23枚程度の同じ枚数だけ設けられてなるのが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
つぎに図面を参照しながら本発明の電動送風機を詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態を示す電動送風機の断面説明図であり、図2は図1のディフューザの平面図、図3は図1のディフューザの断面図、図4は図1のディフューザをボリュートリブが突設された側から見た斜視図、図5は図1のディフューザを戻り通路リブが突設された側から見た斜視図、図6は図1のボリュートリブの先端部分の拡大図および図7は図6に対する比較例として戻り通路リブがボリュートリブよりも外側へ突出している状態を示す説明図である。
【0018】
図1に示される電動送風機は、従来と同様に、電動機(図示せず)の駆動軸Dに連結された羽根車であるインペラ1と、インペラ1と電動機とのあいだに配設されたディフューザ2、および当該インペラ1およびディフューザ2を収容するボリュートケース3を備えている。さらに、図1のボリュートケース3は、電動機のフレームFも収容している。
【0019】
また、ディフューザ2は、従来と同様に、円盤状の略平板からなる底壁部4を有し、当該底壁部4におけるインペラ1に対向する側の面に複数のボリュートリブ5が突設され、インペラ1と反対側の面に複数の戻り通路リブ6が突設されている。
【0020】
本実施の形態の電動送風機では、図2〜5に示されるように、ディフューザ2のボリュートリブ5の外端径D4 が、前記戻り通路リブ6の外端径D5 よりも大きくなっている。
【0021】
しかも、ディフューザ2の隣接する2本のボリュートリブ5と底壁部4とで囲まれてなるボリュート通路7の形状が、ボリュート通路7の底壁部4の外周端(図2における出口端7a)と曲線状に曲げられた前記戻り通路リブ6の曲線状の外周側の部分6aとがほぼ一致するような形状を呈し、さらに前記ボリュートリブ5の先端部分5aが前記底壁部4の外周端(前記出口端7a)から突出している。
【0022】
さらに、図3に示されるように、ボリュートリブ5の先端部分5aと、戻り通路リブ6と、ボリュートケース3の側壁とで囲まれた環状の第1空間部11が形成されている。
【0023】
すなわち、ディフューザ2において、曲線状に曲げられた戻り通路リブ6の外周側の部分6aが、ボリュート通路7の出口端7aとなる。出口端7aより下流側の通路7bはボリュート通路7のサイド部通路壁(すなわち、ボリュートリブ5の先端部分5a)は存在するが、底壁部4は存在せず、軸方向に開放状態となる。また、底壁部4が存在しないボリュート通路7の外側のボリュートリブ5の先端部分5aは、電動機のフレームFに対して離間した状態となる。
【0024】
したがって、ボリュートリブ5をボリュートケース3の内周面の近傍まで、延ばし、ボリュートケース3の内周面との環状の隙間をなくしたり、または小さくしても、風W2 はボリュートケース3内部の第1空間部11を通ることができ、戻り通路8へ流入する通路面積が充分確保できるので、電動送風機の外形寸法を大きくすることなく、ボリュート通路7を電動機の最大直径程度まで長く確保することができる。その結果、送風効率を向上することができる。
【0025】
また、ボリュート通路7の出口端7aを出た風W2 は、軸方向に開放状態となるが、ボリュート通路7のサイド部の通路壁が存在するので、軸に対し、垂直方向はボリュートリブ5で整流される。軸方向にはボリュートリブ5の先端部分5aが宙に浮いた状態であるので、ボリュートリブ5が風W2 の通路を塞ぐことなく、風W2 はスムーズに軸方向に方向転換され、戻り通路8へと導かれるので、送風効率を向上することができる。
【0026】
また、戻り通路リブ6の入口角θ1 (図2(b)参照)は、風W2 の方向転換の容易さを考えた場合、小さい方が好ましいが、あまり小さいと隣接する2本の戻り通路リブ6のあいだの通路幅が小さくなり、通気抵抗を増加させるため、好ましくない。そこで、入口角θ1 は、15〜30゜程度に設定するのが好ましい。また、実施例では、入口角θ1 は22°程度に設定されている。
【0027】
さらに、ディフューザ2を型成形するための金型を考えた場合、戻り通路リブ6の間隔Gが狭いと、金型のリブ(すなわち、隣接する2本の戻り通路リブ6のあいだの凹部に相補的な凸部)が細くなり、金型の強度を充分確保できず、その結果、金型の寿命が短くなる。
【0028】
そこで、戻り通路8は、ボリュートケース3の内周面と密着させないで、環状の隙間として第1空間部11を有するようにしている。ボリュートケース3の内周面において、中心部からボリュート通路7を通って外周へ向かった風W2 を、第1空間部11において、逆に軸方向へ方向転換(Uターン)させ(図1参照)、Uターンした風W2 を隣り合う戻り通路8だけでなく、自由に滑らかに、戻り通路8に流入させ、中心部へ向かって、ガイドする。それにより、図2(b)に示されるように、戻り通路リブ6の入口角θ1 を大きくすることができ、戻り通路8の間隔Gを広く確保することができるので、通気抵抗が減少し、送風効率を向上することができる。さらに、前記金型のリブを厚くすることができるので、金型の強度を向上させることができる。
【0029】
また、本実施の形態では、ボリュートリブ5の外周端が、前記ボリュートケース3の内周面から1〜3mm程度内側に位置することにより、当該ボリュートリブ5とボリュートケース3とのあいだに環状の第2空間部12が形成されている。
【0030】
すなわち、ボリュートリブ5の先端部分5aをボリュートケース3の内周面と密着させた方が、ボリュートリブ5の長さをより長くすることができるが、密着させた場合、ボリュートリブ5とボリュートケース3の内周面とで形成される略三角形部分T(図2(b)参照)で周方向における通路がなくなり、その部分で風のよどみ(乱流)が発生し、送風性能を低下させる。
【0031】
また、ボリュート通路7の出口角θ2 がボリュートケース3の内周面に対して立っている(θ2 が大きい)と、風W2 がボリュートケース3に衝突し、損失を招く。逆に、出口角θ2 を寝かせる(θ2 が小さい)と、ボリュートリブ5が必要以上に長くなり、ボリュート通路7のスムーズな拡大が実現しにくい。しかもボリュート通路7の出口角θ2 が非常に鋭角なナイフエッジとなり、生産上問題となる。
【0032】
そこで、本実施の形態では、従来よりも長いボリュートリブ5を採用しているので、若干のボリュートリブ5の縮小(1〜3mm程度の縮小)があっても、従来のボリュートリブよりも高い性能を確保できるので、ボリュートリブ5の外周端をボリュートケース3の内周面に密着させず、若干の隙間として環状の第2の空間部12を形成している。しかも、ボリュートリブ5は、ボリュートケース3の内周面に対し、接円(接する円弧形状)ではなく、若干の角度を持たせている。それにより、ボリュート通路7を流れてきた風W2 の一部が、ボリュートリブ5とボリュートケースの内周面で形成される環状の第2の空間部12によって周方向に流れることができるので、よどみなくスムーズに風W2 が流れ、乱流による性能の低下を防止することができる。
【0033】
また、ボリュートリブ5からボリュートケース3までの環状の第2空間部12をボリュート通路の一部とし、かつ、ボリュートリブ5を、ボリュートケース3の内周面に対し、接円ではなく、若干の角度を持たせた構成により、ボリュートリブ5の先端部分5aをナイフエッジの形状に形成しなくても充分スムーズな風の流れが得られるため、先端部分5aを丸くすることができる(図6参照)。したがって、生産上の問題がなくなる。
【0034】
さらに、本実施の形態では、図6に示されるように、戻り通路リブ6の先端6bが、ボリュートリブ5の曲線状の外周端に一致または外周端より内側に位置するように設けられている。通常、ボリュート通路7を流れてきた風W2 が、戻り通路8に流入するときに、風W2 の多くが図7に示されるように、内側のボリュートリブ5に一体に構成される戻り通路リブ6の突出する先端6bにより、強制的に戻り通路8に流入させられるときの強制的な方向転換による風量および風圧の損失(風損)が生じるが、図6に示されるように先端6bを配置すれば風損を防止することができる。
【0035】
したがって、図2(b)に示されるように、ボリュート通路7から流れた風W2 が、ボリュートケース3の内周に沿って方向転換し、隣り合う戻り通路8だけでなく、さらに隣の戻り通路8に流入するので、全体的な整流通路を長く取ることができ、送風効率を向上できる。また、戻り通路リブ6の角度を風の流入角度に合わせて通常よりも大きな入口角θ1 で形成できるので、戻り通路8の間隔Gを広くとることができ、通気抵抗が減少し、送風効率を向上できるとともに、金型強度の向上にもつながる。また、戻り通路8の屋根がない部分(たとえば、図7に示されるように、戻り通路リブ6の先端部分6bが突出した場合の部分8b)がなくなるので、逆流による性能低下を防止することができる。
【0036】
さらに、本実施の形態では、ボリュートリブ5の数と戻り通路リブ6の数とを同じ数にすることにより、ボリュートリブ5と戻り通路リブ6とを1対1で構成できるので、各ボリュート通路7を通過した風W2 が、一様に、ボリュートケース3の内側と戻り通路8とのあいだに排出され、戻り通路8にスムーズに流入するので、風圧の強弱による乱流を防止できる。それとともに、乱流による騒音の増大を防止することができる。
【0037】
また、ディフューザ2を型成形する場合の金型を考えた場合、たとえばボリュートリブ5および戻り通路リブ6がそれぞれ23枚の場合、まず、それぞれの1枚のリブの形状をCADまたはNC加工機などにプログラムし、ついで、360°/23の回転角でディフューザ2の軸心まわりに回転コピーしていくことにより、容易に金型加工用のプログラムを作成することができる。しかも、金型設計および金型加工時間の短縮およびメンテナンスの簡略化を実現することができる。
【0038】
ボリュートリブ5および戻り通路リブ6の枚数は、少ないと騒音が増大し、整流が不充分で性能が低下し、また、多すぎると通気抵抗が増大する。
【0039】
本実施の形態のボリュートリブ5および戻り通路リブ6においては、傾斜通路(底壁部4の厚さ方向に傾斜したボリュート通路7または戻り通路8)が存在しない2次元的な形状であり、戻り通路8も入口角θ1 が大きいので、枚数は比較的多いほうが好ましい。
【0040】
以上の点を考慮するとともに実験結果を考慮すれば、性能および騒音などの点において、ボリュートリブ5および戻り通路リブ6は17〜23枚程度設けるのが好ましい。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、ボリュートリブを外側へ延ばし、かつ戻り通路リブの外周側に第1空間部を確保することにより、ボリュート通路から戻り通路リブへの風の流れをスムーズにして送風効率を向上させることができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す電動送風機の断面説明図である。
【図2】図1のディフューザの平面図であり、図2(a)はディフューザを上から見た図であり、図2(b)はディフューザを下から見た図である。
【図3】図1のディフューザの断面図である。
【図4】図1のディフューザをボリュートリブが突設された側から見た斜視図である。
【図5】図1のディフューザを戻り通路リブが突設された側から見た斜視図である。
【図6】図1のボリュートリブの先端部分を拡大図である。
【図7】図6に対する比較例として戻り通路リブがボリュートリブよりも外側へ突出している状態を示す説明図である。
【図8】従来のディフューザの平面図であり、図8(a)はディフューザを上から見た図であり、図8(b)はディフューザを下から見た図である。
【図9】図8のディフューザの平面図である。
【符号の説明】
1 インペラ
2 ディフューザ
3 ボリュートケース
4 底壁部
5 ボリュートリブ
6 戻り通路リブ
7 ボリュート通路
8 戻り通路
11 第1空間部
Claims (4)
- 電動機の駆動軸に連結されたインペラ、当該インペラと電動機とのあいだに配設されたディフューザおよび少なくとも前記インペラおよびディフューザを収容するボリュートケースを備え、
前記ディフューザが、円盤状の略平板からなる底壁部を有し、当該底壁部における前記インペラに対向する側の面に複数のボリュートリブが突設され、前記インペラと反対側の面に複数の戻り通路リブが突設されてなる電動送風機であって、前記ディフューザのボリュートリブの外端径が、前記戻り通路リブの外端径よりも大きく、
前記ディフューザの隣接する2本のボリュートリブと底壁部とで囲まれてなるボリュート通路の形状が、前記ボリュート通路の底壁部の外周端と前記戻り通路リブの曲線状の外周側とがほぼ一致するような形状を呈し、さらに前記ボリュートリブの外周側先端部分が前記底壁部の外周端から突出しており、
前記ボリュートリブの外周側先端部分と、前記戻り通路リブ外周外側と、前記ボリュートケースの側壁とで囲まれた環状の第1空間部が形成されてなる電動送風機。 - 前記ボリュートリブの外周端が、前記ボリュートケースの内周面から1〜3mm程度内側に位置することにより、当該ボリュートリブ外周端とボリュートケースとのあいだに環状の第2空間部が形成されてなる請求項1記載の電動送風機。
- 前記戻り通路リブの先端が、前記ボリュートリブの曲線状の外周端に一致または外周端より内側に位置する請求項1記載の電動送風機。
- 前記ボリュートリブおよび戻り通路リブがそれぞれ17〜23枚程度の同じ枚数だけ設けられてなる請求項1記載の電動送風機。
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