JP3932954B2 - 伸縮クリーナーホース - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として電気掃除機に取り付けられて使用される伸縮クリーナーホースに関し、詳しくは収縮付勢される状態で螺旋状に巻かれた導電線をホース壁を形成する合成樹脂製のホース本体にて覆うことにより通常時は短縮側に付勢され、引っ張り操作することにより伸長させることができる伸縮クリーナーホースに関する。
【0002】
【従来の技術】
上記伸縮クリーナーホースを電気掃除機に取り付けることにより、収納時(非使用時)や狭い箇所での掃除を行う時において有利になるように短縮時において短くなるように構成されており、特に肩に掛けて使用する小型(携帯用)の電気掃除機においては、上記伸縮クリーナーホースが多く採用されている。
上記伸縮クリーナーホースは、螺旋状に巻回された導電線をその巻回ピッチよりも大きなピッチで送り出し、導電線に溶融状態で押し出される帯状の合成樹脂を巻き付け、巻き付け後において導電線の短縮側への戻り力が作用することにより、図10に示すように、凸部(山部)21内に導電線22が入ると共に管軸芯方向において隣り合う凸部(山部)21,21同士が引っ付き合う(接触する)ことで凸部21,21間に位置する導電線22の無い部分が径方向内側に湾曲して折り畳まれた凹部(谷部)23を形成して、短縮状態の伸縮クリーナーホースを構成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記伸縮クリーナーホースでは、非使用時(収納時)等において伸長時に比べて出来る限り短くすることができるように、短縮状態では伸長時の半分又は3分の1の長さになるように構成することによって、収納時において一層コンパクトに収納することができるように構成されている。そのため、伸縮クリーナーホースを収納時において出来る限り短縮された状態にするために導電線22の短縮側への戻り力を比較的大きく設定している。
そして、このように導電線22の短縮側への戻り力を比較的大きく設定していると、使用時において移動させるための車輪が付いた掃除機本体の重量による反力だけでは、掃除機本体を移動させるために伸縮クリーナーホースを引っ張っても、すぐに掃除機本体が追従して移動するため、伸縮クリーナーホースを常に伸長側に操作することができない。つまり、掃除機本体の重量に対して導電線22の短縮側への戻り力の方が大きいため、例えば、掃除機本体を片手で押さえ付けた状態にし、もう一方の手で伸縮クリーナーホースを伸長側へ強制的に操作しなければならず、実際には通常の使用状態では伸縮クリーナーホースとしての伸長機能を十分に発揮させることができないものであった。因みに、前記小型(携帯用)の掃除機では、前記のように掃除機本体を肩に掛けているため、片手で伸縮クリーナーホースを伸長操作することができるものの、伸長側への大きな操作力を必要とする不都合がある。又、小型(携帯用)の掃除機では、上記のように車輪の付いた移動型の掃除機の場合に比べて伸長度合いをあまり大きくしなくてもよいことから、上記不都合が顕著に現れないものである。
前記のように伸長機能を発揮させることができない場合には、図10に示すように、谷部23が折り畳まれた状態を維持していることになり、導電線22の内側に形成される密閉された空間24内に塵25等が一旦入り込むと、その塵25が付着堆積してしまうことがあるだけでなく、ホースの内径が小さいままであることから、エアの流動抵抗も大きくなり、仕事率が悪化することもあった。
【0004】
本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、どのような使用状況であっても伸長機能を十分に発揮させることができるようにすることによって、塵等の付着堆積がないと共に、仕事率をアップさせることができる伸縮クリーナーホースを提供する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の伸縮クリーナーホースは、収縮付勢される状態で螺旋状に巻かれた導電線と、この導電線を覆う合成樹脂製のホース本体とからなり、前記ホース本体が、導電線を内部に収納してなる凸部と、管軸芯方向で隣り合う前記凸部同士が接触した状態に付勢されると同時にこれら凸部同士間に位置する導電線の無い部分が径方向内側に湾曲した短縮状態に形成された凹部とからなる伸縮クリーナーホースであって、前記凸部同士を離間させる側へ強制的に移動させるための強制伸長手段として、少なくとも前記凹部の一部又は全部をそれの外面に密着又はほぼ密着した状態で重ね合わせた被覆部材と、前記被覆部材と凹部との間に加圧エアを供給して両者の間に空間を形成することができる加圧エア供給手段とからなる強制伸長手段を設けたことを特徴としている。
従って、掃除機の使用時において強制伸長手段にて凸部同士を離間させることによって、径方向内側に湾曲した短縮状態の凹部を管軸芯方向に伸ばすことができ、伸縮クリーナーホースを伸長させた状態で使用することができる。そして、従来のように導電線の内側に密閉された空間が発生することがなく、塵等の付着堆積がないだけでなく、ホースの内径を大きくして吸引仕事率をアップさせることができる。又、掃除機の非使用時には、導電線の収縮付勢力を利用して伸縮クリーナーホースを短縮させておくことにより、コンパクト化を図ることができ、収納に便利になる。
【0006】
また、前記強制伸長手段として、少なくとも前記凹部の一部又は全部をそれの外面に密着又はほぼ密着した状態で重ね合わせた被覆部材と、前記被覆部材と凹部との間に加圧エアを供給して両者の間に空間を形成することができる加圧エア供給手段とからなるものを用いているので、上記のように加圧エア供給手段からの加圧エアを被覆部材と凹部との間に供給して両者の間に空間を形成することによって、径方向内側に湾曲した短縮状態の凹部が管軸芯方向に伸び、伸縮クリーナーホースを伸長させた状態で使用することができる。そして、前記と同様に従来のように導電線の内側に密閉された空間が発生することがなく、塵等の付着堆積がないだけでなく、ホースの内径を大きくして吸引仕事率をアップさせることができる。又、掃除機の非使用時には、導電線の収縮付勢力を利用して伸縮クリーナーホースを短縮させておくことにより、コンパクト化を図ることができ、収納に便利になる。又、加圧エアを用いることによって、液体を用いた場合に発生する液体漏れによる液体の回収作業や清掃作業等を行う必要があるが、エア漏れが発生した場合でも、エアの回収作業や清掃作業が不要であり、取扱面において有利である。
【0007】
前記被覆部材が、前記ホース本体の凸部と凹部の両方を覆うものでなり、前記ホース本体の凸部とこれに対応する前記被覆部材の部位とを接合させ、前記加圧エア供給手段からの加圧エアを前記凹部と被覆部材の間に供給するように構成してもよい。
上記のように加圧エア供給手段からの加圧エアを被覆部材と凹部との間に供給して両者の間に空間を形成することによって、径方向内側に湾曲した短縮状態の凹部が管軸芯方向に伸び、伸縮クリーナーホースを伸長させた状態で使用することができる。そして、請求項1と同様に従来のように導電線の内側に密閉された空間が発生することがなく、塵等の付着堆積がないだけでなく、ホースの内径を大きくして吸引仕事率をアップさせることができる。又、掃除機の非使用時には、伸縮クリーナーホースを短縮させておくことにより、コンパクト化を図ることができ、収納に便利になる。
【0008】
前記導電線を、管軸芯方向で所定ピッチを隔てて螺旋状に巻かれた複数本から構成してもよい。
【0009】
前記加圧エア供給手段を、掃除機本体から排出される排気エアを利用するものから構成することによって、別の加圧エア供給手段を設ける場合に比べて装置の大型化の抑制及びコストの低減を図ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1及び図2に、車輪付きの移動型の電気掃除機が示され、その電気掃除機の掃除機本体1の前側には、吸引ホースとして使用される伸縮クリーナーホース2が備えられ、この伸縮クリーナーホース2の先端には、スイッチを備えた握り操作部2Cが備えられ、その握り部2Cの先端には、非伸縮型の延長管3が抜き差し自在に接続され、この延長管3の先端には、回転ブラシ等を備えた吸い込み体4が接続され、握り部2C付近を持って掃除機本体1を引っ張り移動させることができるように構成している。
前記伸縮クリーナーホース2が、それの基端部の水平軸芯X周りで揺動自在に前記掃除機本体1に取り付けられている。そして、掃除機本体1の上面には、前記伸縮クリーナーホース2が入り込むための凹部1Aが形成されており、電気掃除機の非使用時において延長管3を伸縮クリーナーホース2から取り外した状態で伸縮クリーナーホース2を水平軸芯X周りで掃除機本体1側へ揺動させることにより、図2に示すように凹部1A内に短縮状態の伸縮クリーナーホース2を入り込ませて収納することができる利点があるが、この構成でなくてもよい。
【0011】
前記伸縮クリーナーホース2は、断面形状円形(角形等でもよい)の合成樹脂でなり、図3(a),(b)に示すように、管径方向内方側に円弧状に湾曲した折り畳み状態の凹部を形成する内壁2Aと、この内壁2Aから管径方向外方側に湾曲した状態で突出し、かつ、螺旋状の凸部を形成する外壁2Bとからなるホース本体2aと、前記外壁(凸部)2B内に熱溶着又は接着剤により固定された導電線としての硬鋼線(ピアノ線であってもよい)5とからなっている。前記硬鋼線5は、裸線に合成樹脂でなる被覆層にてコーディングされたものでなっているが、裸線のままで使用してもよい。そして、前記内壁2A及び前記外壁2Bの外面に合成樹脂でなる被覆部材6をほぼ密着した状態(隙間が全く無い完全に密着させた状態でもよい)で重ね合わせ、外壁2Bの外面とこれに対応する被覆部材6の部位とを熱溶着又は接着剤により接合させると共に、前記内壁2Aと被覆部材6の間に加圧エアを供給するための加圧エア供給手段7を設けて、外壁2B,2B同士を離間させる側へ強制的に移動させるための強制伸長手段8を構成している。
従って、加圧エア供給手段7により内壁2Aと被覆部材6の間に加圧エアを螺旋状(断面図であるため直線状にしか描けないが)の方向K2に供給すると、被覆部材6と内壁2Aとの間に空間11を形成しながら折り畳み状態(短縮状態)となった被覆部材6及び内壁2Aが管軸芯方向に伸びて、管軸芯方向で隣り合う外壁2B,2B同士が離間し、図3(b)に示すように、伸縮クリーナーホース2を伸長状態にすることができる。尚、前記被覆部材6にてホース本体2aの全ての外面を覆うようにしたが、図8(a),(b)に示すように、内壁2Aのみ(内壁2Aの一部であってもよい)を覆う被覆部材6Sであってもよい。この場合には、外壁2B及び内壁2Aの両方を覆うものに比べて、被覆部材の材料費のコストの低減を図ることができるだけでなく、伸縮クリーナーホース全体の重量の軽減を図ることができる利点がある。図8(a),(b)に示す説明しなかった部分は、図3(a),(b)に示すものと同一であるため、同一の符号を付すと共に説明を省略する。前記加圧エア供給手段7により内壁2Aと被覆部材6の間に加圧エアを供給する場合には、掃除機本体1の作動スイッチに連動して加圧エアを供給するように構成してもよいし、掃除機本体1とは別に非連動なスイッチをON−OFFすることにより加圧エアを供給するようにしてもよい。
【0012】
前記加圧エア供給手段7を掃除機本体1から排出される排気エアを利用するものでもよい。つまり、図1に示すように、矢印で示した吸引方向K1に沿って移動したエアが、掃除機本体1へ吸引されて掃除機本体1から排出される排気エアを矢印で示す螺旋状の方向K2に流すように構成することによって、別のエアコンプレッサ等により構成したものに比べて装置の兼用化によるコストの低減化を図ることができるが、別のエアコンプレッサ等により加圧エア供給手段7を構成することもできる。
前記加圧エア供給手段7からのエア圧を、0.05MPa(メガパスカル)とし、伸縮クリーナーホースの外径が36.5mmで、内径が25.5mm、硬鋼線5が80C(カーボン数)×外径0.7mmを合成樹脂にて被覆したときの被覆外径が1.6mmで、短縮時の外壁2B,2B同士間の距離(ピッチ)が3mm、ホースの肉厚が0.25mmとした伸縮クリーナーホースを用いたときに、加圧エアを供給して伸長させた時に図2で示した短縮時に比べて図1に示すように約3倍伸ばすことができた。ここでは、伸縮クリーナーホース2を短縮時の約3倍伸長させるものを示しており、収納時において2倍や1.5倍の伸長率を有するものに比べてコンパクトに(短く)なり、収納に便利になるが、伸長率は、1.5倍や2倍であってもよいし、更にコンパクト化を図ることができるように3倍を超える伸長率であってもよい。
又、現在市販されている家庭用の掃除機では、排気のエア圧が0.05MPaよりも小さいため、排気のエア圧を0.05MPaまで高めるための補助用の小型のエアコンプレッサを用いることによって、掃除機本体1の大型化を抑制することができる。前記別のエアコンプレッサを設ける場合には、前記掃除機本体1の吸引用のファンを回転させるモータの駆動軸を用いてエアコンプレッサをも回転駆動させる構成にすることによって、構成の兼用化を図ることができるだけでなく、エア圧をロスの無い状態で得ることができる利点がある。
【0013】
図3(a),(b)では、1本の硬鋼線5を備えた伸縮クリーナーホース2を示したが、図4(a)に示すように、2本の硬鋼線5,9を備えた伸縮クリーナーホース2や、図6(a)に示すように、3本の硬鋼線5,9,10を備えた伸縮クリーナーホースであってもよいし、又、図示していないが、4本以上の硬鋼線を備えた伸縮クリーナーホースであってもよい。
図4(a)に示す2本の硬鋼線5,9を用いて伸縮クリーナーホース2を構成すると、図5に示すように、図の最も左側に位置する硬鋼線5とこれと吸引方向K1で隣り合う硬鋼線9の間に位置する内壁2Aと被覆部材6の間にのみ加圧エアを供給することにより、螺旋状の方向K2に加圧エアを移動させて1つの螺旋状の空間11を形成することで硬鋼線5とこれと隣り合う硬鋼線9とを離間させ、かつ、該硬鋼線9とこれと吸引方向K1で隣り合う硬鋼線5の間に位置する内壁2Aと被覆部材6の間に加圧エアを供給しないことにより、該硬鋼線9と該硬鋼線5とを接触させて、2つの螺旋状の内壁2A,2A1のうちの一方の内壁2Aのみを伸長させた第1伸長状態と、図4(b)に示すように、図の最も左側に位置する硬鋼線5とこれと吸引方向K1で隣り合う硬鋼線9の間に位置する内壁2Aと被覆部材6の間及び該硬鋼線9とこれと吸引方向K1で隣り合う硬鋼線5の間に位置する内壁2Aと被覆部材6の間に加圧エアを供給することにより、2つの螺旋状の方向K2,K3に加圧エアを移動させて2つの空間11,12を形成することで2つの螺旋状の内壁2A,2A1の両方を伸長させた第2伸長状態とに加圧エアの供給状態を切り換えることができるように構成して、伸縮クリーナーホース2を2段階に伸縮することができるように構成して実施することができる。尚、空間11,12への加圧エアの供給は、制御弁を切り換えることにより行ったり、加圧エアを供給する2つのノズルとそれら2つのノズルに別々に加圧エアを供給することができるエアコンプレッサ等とを設けて実施することになる。
又、図6(a),(b)及び図7(a),(b)に示す3本の硬鋼線5,9,10を用いて伸縮クリーナーホースを構成すると、図7(a)に示すように、図の最も左側に位置する硬鋼線5とこれと吸引方向K1で隣り合う硬鋼線9の間に位置する内壁2Aと被覆部材6の間及び該硬鋼線9とこれと吸引方向K1で隣り合う硬鋼線10の間に位置する内壁2A1と被覆部材6の間に加圧エアを供給せず、かつ、該硬鋼線10これと吸引方向K1で隣り合う硬鋼線5の間に位置する内壁2A2と被覆部材6の間にのみ加圧エアを供給することにより、1つの螺旋状の方向K3に加圧エアを移動させて1つの螺旋状の空間11を形成することで1つの螺旋状の内壁2Aを伸長させた第1伸長状態と、図7(b)に示すように、図の最も左側に位置する硬鋼線5とこれと吸引方向K1で隣り合う硬鋼線9の間に位置する内壁2Aと被覆部材6の間及び該硬鋼線9とこれと吸引方向K1で隣り合う硬鋼線10の間に位置する内壁2A1と被覆部材6の間に加圧エアを供給し、かつ、該硬鋼線10これと吸引方向K1で隣り合う硬鋼線5の間に位置する内壁2A2と被覆部材6の間にのみ加圧エアを供給しないことにより、2つの螺旋状の方向K2,K4に加圧エアを移動させて2つの螺旋状の空間11,12を形成することで2つの螺旋状の内壁2A,2A1を伸長させた第2伸長状態と、図6(b)の最も左側に位置する硬鋼線5とこれと吸引方向K1で隣り合う硬鋼線9の間に位置する内壁2Aと被覆部材6の間と、該硬鋼線9とこれと吸引方向K1で隣り合う硬鋼線10の間に位置する内壁2A1と被覆部材6の間と、該硬鋼線10これと吸引方向K1で隣り合う硬鋼線5の間に位置する内壁2A2と被覆部材6の間にそれぞれ加圧エアを供給することにより、3つの螺旋状の方向K2,K3,K4に加圧エアを移動させて3つの螺旋状の空間11,12,13を形成することで3つの螺旋状の内壁2A,2A1,2A2の全てを伸長させた第3伸長状態の3つの伸長状態に切り換えることができるように構成して、伸縮クリーナーホース2を3段階に伸縮することができるように構成して実施することができる。尚、前記3つの空間11,12,13への加圧エアの供給は、制御弁を切り換えることにより行ったり、加圧エアを供給する3つのノズルとそれら3つのノズルに別々に加圧エアを供給することができるように構成されたエアコンプレッサ等とを設けて実施することになる。
【0014】
前記硬鋼線5を用いて伸縮クリーナーホース2を製造する製造方法について説明すれば、例えば左巻きの硬鋼線5を反対方向である右巻きに巻き付けるための駆動回転体(ホーマーとも言う)に巻き付けてから、巻き付けられた硬鋼線5上に所定幅に押出形成された帯状の合成樹脂を巻き付けることによりホース本体2aを形成し、その上から被覆部材6を構成する所定幅に押出形成された帯状の合成樹脂を巻き付けると共に硬鋼線5上に相当する接触部分を接着剤(熱溶着であってもよい)により接合させ、被覆部材6を前記駆動回転体から硬鋼線5とホース本体2aと被覆部材6とが一体となった一体物を外すことで、硬鋼線5が元に戻ろうとする力により発生する短縮力により図3(a)で示したような径方向外方側へ大きく突出した外壁2Bと内方側に湾曲した短縮状態の内壁2Aを得ることができ、伸縮クリーナーホース2を構成することができるのであるが、他の製造方法を用いてもよい。尚、2本の硬鋼線5,9や3本の硬鋼線5,9,10を用いて伸縮クリーナーホースを製造する場合も前記同様に製造することができる。
【0015】
尚、本発明の実施の形態ではないが、強制伸長手段の参考例として、図9(a),(b)に示すように管軸芯方向で両端に位置する一方の外壁2Bに流体圧シリンダ14のピストンロッド14Aの先端をブラケット15を介して枢支し、前記流体圧シリンダ14のシリンダチューブ14Bの基端部をブラケット16を介して枢支して、流体圧シリンダ14を伸縮作動させることにより伸縮クリーナーホース2を伸縮させることができるように構成してもよい。前記ピストンロッド14Aは、前記ブラケット15に枢支連結される先端側のロッド部14aと、このロッド部14aを収納可能なシリンダチューブ14B側のロッド部14bとからなっているが、他の構成であってもよい。この場合には、流体圧シリンダ14が伸縮クリーナーホース2に対して大きく突出するだけでなく、重量が増大することになり、取扱面において不利になる。
【0016】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、凸部同士を離間させる側へ強制的に移動させるための強制伸長手段を設けることによって、車輪の付いた移動式の掃除機であっても、通常の使用状態において径方向内側に湾曲した短縮状態の凹部を管軸芯方向に伸ばすことができ、伸縮クリーナーホースを十分に伸長させた状態で使用することができることは勿論のこと、従来のように導電線の内側に密閉された空間が発生することや、塵等が付着堆積することがないだけでなく、ホースの内径を大きくして吸引仕事率をアップさせることができる伸縮クリーナーホースを提供することができる。又、掃除機の非使用時には、導電線の収縮付勢力を利用して伸縮クリーナーホースを短縮させておくことにより、コンパクト化を図ることができ、収納に便利になる。
【0017】
また、強制伸長手段として、凹部の一部又は全部をそれの外面に密着又はほぼ密着した状態で重ね合わせた被覆部材と、被覆部材と凹部との間に加圧エアを供給して両者の間に空間を形成することができる加圧エア供給手段とからなるものを用いているので、凸部と凹部の両方を覆うものに比べて材料コストの低減及び伸縮クリーナーホースの全重量の軽減を図ることができる利点がある。又、前記と同様に伸縮クリーナーホースを伸長させた状態で使用することができることは勿論のこと、従来のように導電線の内側に密閉された空間が発生することや、塵等が付着堆積することがないだけでなく、ホースの内径を大きくして吸引仕事率をアップさせることができる伸縮クリーナーホースを提供することができる。又、掃除機の非使用時には、導電線の収縮付勢力を利用して伸縮クリーナーホースを短縮させておくことにより、コンパクト化を図ることができ、収納に便利になる。又、加圧エアを用いることによって、液体を用いた場合に発生する液体漏れによる液体の回収作業や清掃作業等を行う必要があるが、エア漏れが発生した場合でも、エアの回収作業や清掃作業が不要であり、取扱面において有利である。
【0018】
請求項2の発明によれば、被覆部材が、ホース本体の凸部と凹部の両方を覆うものでなり、前記ホース本体の凸部とこれに対応する前記被覆部材の部位とを接合させ、前記加圧エア供給手段からの加圧エアを前記凹部と被覆部材の間に供給するように構成することによって、径方向内側に湾曲した短縮状態の凹部が管軸芯方向に伸び、伸縮クリーナーホースを伸長させた状態で使用することができる。そして、請求項1と同様に従来のように導電線の内側に密閉された空間が発生することがなく、塵等の付着堆積がないだけでなく、ホースの内径を大きくして吸引仕事率をアップさせることができる。又、掃除機の非使用時には、伸縮クリーナーホースを短縮させておくことにより、コンパクト化を図ることができ、収納に便利になる。
【0019】
請求項3の発明によれば、導電線を、管軸芯方向で所定ピッチを隔てて螺旋状に巻かれた複数本から構成する場合には、複数の空間のうちの特定の空間のみに加圧エアを供給して段階的に伸縮させることができる伸縮クリーナーホースを提供することができる。
【0020】
請求項4の発明によれば、加圧エア供給手段を、掃除機本体から排出される排気エアを利用するものから構成することによって、別の加圧エア供給手段を設ける場合に比べて装置の大型化の抑制及びコストの低減を図ることができ、商品化し易い伸縮クリーナーホースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気掃除機の全体を示す一部省略側面図である。
【図2】伸縮クリーナーホースを収納した状態を示す掃除機本体の側面図である。
【図3】1本の導電線を備えさせた伸縮クリーナーホースの要部の断面図であり、(a)は短縮状態を示し、(b)は伸長状態を示している。
【図4】2本の導電線を備えさせた伸縮クリーナーホースの要部の断面図であり、(a)は短縮状態を示し、(b)は最大伸長状態を示している。
【図5】図4(a)の伸縮クリーナーホースを最大伸長状態のほぼ半分のみ伸長させた状態を示す要部の断面図である。
【図6】3本の導電線を備えさせた伸縮クリーナーホースの要部の断面図であり、(a)は短縮状態を示し、(b)は最大伸長状態を示している。
【図7】(a)は図6(a)の伸縮クリーナーホースを最大伸長状態のほぼ1/3のみを伸長させた状態を示す要部の断面図であり、(b)は図4(a)の伸縮クリーナーホースを最大伸長状態のほぼ2/3のみを伸長させた状態を示す要部の断面図である。
【図8】凹部の表面にのみ被覆部材を備えさせた別の伸縮クリーナーホースの要部の断面図であり、(a)は短縮状態を示し、(b)は伸長状態を示している。
【図9】伸縮クリーナーホースを流体圧シリンダにより伸縮させる構成の要部の断面図であり、(a)は短縮状態を示し、(b)は伸長状態を示している。
【図10】従来の伸縮クリーナーホース内に塵が堆積した状態を示す要部の断面図である。
【符号の説明】
1 掃除機本体 2a ホース本体
2B 外壁 2 伸縮クリーナーホース
2 伸縮クリーナーホース
2A,2A1,2A2 内壁
2C 握り操作部 3 延長管
4 吸い込み体 5 硬鋼線
6,6S 被覆部材 7 加圧エア供給手段
8 強制伸長手段 9,10 硬鋼線
11,12,13 空間
14 流体圧シリンダ
14A ピストンロッド
14B シリンダチューブ
15,16 ブラケット
21 凸部 22 導電線
23 凹部 24 空間
25 塵 K1 吸引方向
K2,K3,K4 螺旋状の方向
Claims (4)
- 収縮付勢される状態で螺旋状に巻かれた導電線と、この導電線を覆う合成樹脂製のホース本体とからなり、前記ホース本体が、導電線を内部に収納してなる凸部と、管軸芯方向で隣り合う前記凸部同士が接触した状態に付勢されると同時にこれら凸部同士間に位置する導電線の無い部分が径方向内側に湾曲した短縮状態に形成された凹部とからなる伸縮クリーナーホースであって、前記凸部同士を離間させる側へ強制的に移動させるための強制伸長手段として、少なくとも前記凹部の一部又は全部をそれの外面に密着又はほぼ密着した状態で重ね合わせた被覆部材と、前記被覆部材と凹部との間に加圧エアを供給して両者の間に空間を形成することができる加圧エア供給手段とからなる強制伸長手段を設けたことを特徴とする伸縮クリーナーホース。
- 前記被覆部材が、前記ホース本体の凸部と凹部の両方を覆うものでなり、前記ホース本体の凸部とこれに対応する前記被覆部材の部位とを接合させ、前記加圧エア供給手段からの加圧エアを前記凹部と被覆部材の間に供給するように構成してなる請求項1記載の伸縮クリーナーホース。
- 前記導電線が、管軸芯方向で所定ピッチを隔てて螺旋状に巻かれた複数本からなる請求項1又は2記載の伸縮クリーナーホース。
- 前記加圧エア供給手段が、掃除機本体から排出される排気エアを利用するものでなる請求項1〜3のいずれかに記載の伸縮クリーナーホース。
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