JP3932651B2 - 自動演奏鍵盤楽器のペダル構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動演奏が可能なグランドピアノなどの鍵盤楽器において、ペダルの動作に伴い、例えばソステヌート機構などの作動機構を作動させるペダル構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の自動演奏可能なグランドピアノのペダル構造としては、通常のグランドピアノのペダル構造と近似した構造の途中にソレノイドユニットを介在したものが一般的である。つまり、通常のグランドピアノには、演奏者による演奏時に踏み下げられるペダルと、ペダルに連結されておりペダルの踏み下げに伴い突き上げられるペダル突上げロッドと、ペダル突上げロッドにより回動される長尺のレバーが設けられており、このレバーにより最終作動目的であるラウド機構またはシフト機構を作動するようになっている。そして、一般に自動演奏可能なグランドピアノでは、ペダル突上げロッドにソレノイドユニットのプランジャを連結し、プランジャでレバーを回動するようにしている。
【0003】
これにより、演奏者がペダルを踏み下げると、ペダル突上げロッドがプランジャとともに上昇し、レバーが回動される。また、自動演奏時には、ソレノイドでプランジャを上昇させて、レバーを回動すると同時に、プランジャに連結されたペダル突上げロッドもプランジャにより上昇させてペダルを揺動させる。これにより、あたかも見えない演奏者がペダルを踏み下げているかのように見せている。
【0004】
上記のような自動演奏が可能なグランドピアノには、はじめから自動演奏を行えるように製造したものと、通常のグランドピアノを改造したものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、自動演奏が可能なグランドピアノでは、ペダル構造が自動化されているだけではなく、各鍵を操作する自動打鍵装置も設けられている。この自動打鍵装置は、外部から見えないように、鍵盤の後端直下に配置され、鍵の後端部を操作するのが普通である。ところが、ペダル構造の最終作動目的であるラウド機構などが鍵盤の後方付近に設けられているため、鍵盤の後端直下に自動打鍵装置を配置すると、ペダル構造の構成部品の形状、大きさおよび配置は極めて制約される。
【0006】
例えば、通常のグランドピアノにならって長尺のレバーを設けたペダル構造でも、レバーは通常のグランドピアノと同様のものを使用するわけにはゆかず、しかもレバーの位置も変えたり、場合によっては、ラウド機構も部分的に変更したりする必要がある。従って、通常のグランドピアノを改造する場合でさえも、大幅な改変が避けられない。そして、これらのレバーの形状、大きさなどは、自動演奏機の機種に応じて適切になるように選定されるため、複数の機種においてレバーなどを共用化することができなかった。
また、ペダル突上げロッドと最終目的作動機構の間に、長尺のレバーの代わりにリンク機構を設けることも考えられるが、この場合も、リンク機構を複数の機種で共用化することができなかった。
【0007】
さらに、従来のペダル構造は、長尺のレバーを用いた場合もリンク機構を用いた場合も、部品が剛体で構成されており、他の部品を避けてこれらを配置し、適切な性能を発揮するためには、精度の高い作業を要する。このため、従来は、自動演奏可能なグランドピアノを製造する場合でも、通常のグランドピアノを改造する場合でも、作業に熟練が必要とされていた。
【0008】
また、通常のグランドピアノには、ペダルを踏み下げる際に、演奏者の脚に抵抗力が加わる。自動演奏機でも、演奏者による演奏時には、違和感を感じさせないように、通常の鍵盤楽器と同等の抵抗力をペダルを介して演奏者の脚に与える必要がある。しかし、ソレノイドユニットのプランジャで、ペダルも連動するようにすると、この抵抗力がプランジャに加わるため、ソレノイドの駆動力を大きくしなければならず、そのためにソレノイドも大型化する。
【0009】
さらに、上記のように、ペダル突上げロッドにソレノイドユニットのプランジャを連結した構造では、次のような問題もある。つまり、グランドピアノでは、シフトペダル、ソステヌートペダル、ラウドペダルにそれぞれ対応するペダル突上げロッドが互いに隣接した位置に配置されているため、これら三つの突上げロッドに対応する三つのソレノイドを配置するスペースがない。このため、従来は、両サイドのシフトペダル突上げロッドとラウドペダル突上げロッドにそれぞれソレノイドユニットのプランジャを連結しても、中央のソステヌートペダルにはプランジャを連結せず、ソステヌート機構を自動化してこなかった。
【0010】
本発明は上記の事情を考慮してなされたものであり、複数の機種の鍵盤楽器に対して部品を共通化することが可能であり、製造が容易で、駆動エネルギを節約することができ、かつソステヌート機構の自動化も可能な自動演奏鍵盤楽器のペダル構造を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る自動演奏鍵盤楽器のペダル構造は、揺動可能に設けられ、演奏者による演奏時に踏み下げられるペダルと、演奏者により上記ペダルが踏み下げられたときに一方向に引きつけられる可撓性長尺部材と、上記可撓性長尺部材に連結され、上記可撓性長尺部材が上記一方向に引きつけられるのに伴い同方向に移動させられるようにされた往復部材と、自動演奏時に、上記往復部材を上記一方向に移動させる自動駆動手段と、上記往復部材に連結され、上記往復部材が上記一方向に移動させられる時に作動させられる作動部材と、上記往復部材と上記ペダルとの間に設けられ、上記自動演奏時に、上記自動駆動手段が上記往復部材を上記一方向に移動させても、上記ペダルが連動しないように、上記可撓性長尺部材に対する上記往復部材の相対移動を許容する相対移動許容手段と、上記ペダルから上記相対移動許容手段までの間に設けられ、上記ペダルを初期位置に戻す方向に力を与え、上記往復部材には力を与えない第1の抵抗手段とを具備することを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、ワイヤなどの可撓性長尺部材を介してペダルと作動機構とを連動させるようにしたことにより、鍵盤楽器の構造や他の部材の配置などの要因に応じて、この可撓性長尺部材の長さを決定すれば、複数の機種の鍵盤楽器においても、可撓性長尺部材や自動駆動手段などを共用することが可能である。また、内部が複雑に入り組んでいる自動演奏可能な鍵盤楽器であっても、可撓性長尺部材は適当に撓ませることができるため、他の部品を避けて可撓性長尺部材を自由に設置することができ、製造が容易になる。
また、この構成では、演奏者による演奏時にペダルが踏み下げられると、可撓性長尺部材が引きつけられ、往復部材が一方向に移動させられ、第2の可撓性長尺部材が引きつけられて、作動部材が作動するようにされている。一方、自動演奏時に自動駆動手段により往復部材が一方向に移動させられると、第2の可撓性長尺部材が引きつけられて、作動部材が作動する。ところが、ペダルと往復部材との間には、部材相互の相対運動を許容する相対運動許容手段が設けられている。これにより、自動演奏時に自動駆動手段により往復部材が一方向に移動させられても、相対運動許容手段よりもペダル側の部材は作動しない。従って、自動駆動手段にかかる力は、従来よりも小さくすることが可能であり、その駆動エネルギを節約することができる。
さらに、この構成では、他の部品を避けて自動駆動手段を任意の位置に配置することが容易になる。従って、従来、ペダル突上げロッドの配置上、自動化が困難だったソステヌートペダル構造にも、自動駆動手段を設けることが可能であり、ソステヌート機構を自動化することができる。
【0013】
また、本発明に係る自動演奏鍵盤楽器のペダル構造は、揺動可能に設けられ、演奏者による演奏時に踏み下げられるペダルと、演奏者により上記ペダルが踏み下げられたときに一方向に引きつけられる可撓性長尺部材と、上記可撓性長尺部材に連結され、上記可撓性長尺部材が上記一方向に引きつけられるのに伴い同方向に移動させられるようにされた往復部材と、自動演奏時に、上記往復部材を上記一方向に移動させる自動駆動手段と、上記往復部材に連結され、上記往復部材が上記一方向に移動させられる時に作動させられる作動部材と、上記可撓性長尺部材のペダル側の一端部と上記ペダルとの間に設けられ、上記自動演奏時に、上記自動駆動手段が上記往復部材を上記一方向に移動させても、上記ペダルが連動しないように、上記ペダルに対する上記可撓性長尺部材の相対移動を許容する相対移動許容手段と、上記ペダルから上記相対移動許容手段までの間に設けられ、上記ペダルを初期位置に戻す方向に力を与え、上記往復部材には力を与えない第1の抵抗手段とを具備することを特徴とする。
【0014】
また、演奏者がペダルを踏み下げる時の抵抗力を積極的に与える手段である第1の抵抗手段が、ペダルから相対移動許容手段までの間に設けられている。上記のように、自動演奏時に自動駆動手段が往復部材を一方向に移動させても、相対移動許容手段によって、ペダルから相対移動許容手段までの間に設けられた第1の抵抗手段は、往復部材に力を与えることがなく、自動駆動手段の駆動エネルギが節約される。
【0015】
さらに、上記の構成において、上記作動部材を初期位置に戻す方向に力を与える第2の抵抗手段を設けてもよい。
上記のように、演奏者による演奏時も、自動演奏時も、往復部材が一方向に移動することにより、作動部材が作動する。ここで、第2の抵抗手段が設けられていることにより、演奏者の力または自動演奏駆動手段の力が解除された時には、第2の可撓性長尺部材が逆方向に引きつけられ、作動部材が初期位置に復帰される。これにより、必要でない時まで、作動部材がその作動位置のままにおかれるのを防止することが可能である。
【0016】
また、上記の構成において、上記往復部材は上記自動駆動手段により回動軸を中心に往復回動させられるようになっているとともに、上記往復部材と上記作動部材は第2の可撓性長尺部材により連結されて上記往復部材の一方向への回動に伴い上記第2の可撓性長尺部材により上記作動部材が作動するようになっており、上記往復部材における上記可撓性長尺部材に対する連結位置と、上記第2の可撓性長尺部材に対する連結位置は、上記回動軸を挟んで互いに反対側にあるようにしてもよい。このように往復回動させられる往復部材において、二つの可撓性長尺部材に対する連結位置を回動軸を挟んだ互いに反対側にしたことにより、二つの可撓性長尺部材は、互いに平行またはそれに近い状態で接近した位置に並べて配置可能となる。従って、二つの可撓性長尺部材を直列またはそれに近い状態に配置する場合よりも、省スペース化を図ることができ、配設も容易である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
1.第1実施形態
A. 鍵盤楽器の基本的構成
まず、図1は本発明の第1実施形態に係るペダル構造を備えたグランドピアノの上部を示す側面断面図である。同図において、符号20は棚板を示し、棚板20は、脚21の上端に脚桁22を介して水平に固定されている。棚板20の下面には、ペダル持竿23が固定され、ペダル持竿23を介してペダル笠木24が懸垂されており、このペダル笠木24には、ペダルの支柱となる下方に延びるペダル吊り25が支持されている。
【0018】
棚板20の上方には、枠状の筬26が載置されており、筬26の上方には、鍵27が支持されている。鍵27は、筬26に突設されたバランスピン28を介して回動自在になされており、演奏者が図における左側である前端部を押し下げて演奏するようになっている。このようにして、複数の鍵27が図の紙面垂直方向である左右方向に並設され、鍵盤が構成されている。
【0019】
また、棚板20の後方には収納孔30が形成されている。図4に示すように、収納孔30は棚板20の左右(図の紙面垂直方向)に長く形成されており、図1に示すように収納孔30の内部には押鍵装置31が収納されている。押鍵装置31には、それぞれ鍵27と同数のソレノイドユニット32が設けられており、自動演奏時には、ソレノイドユニット32が対応する鍵27の後端部を突き上げることにより、鍵27を回動するようになっている。
【0020】
さて、筬26の上方には、鍵27と同数のハンマアクション機構34が併設されており、演奏者またはソレノイドユニット32が鍵27を回動すると、対応するハンマアクション機構34が作動し、そのハンマ35が弦(図1では示さない)を打弦して音を発生させるようになっている。
【0021】
このハンマアクション機構34の奥側には、弦を押さえるダンパアクション機構40が設けられている。符号41は、鍵盤の全長にわたって設けられたダンパレールである。このダンパレール41には、ダンパレバーフレンジ42を介して、前後方向に延びるダンパレバー43の一端が回動自在にピン結合されている。ダンパレバー43は、各鍵27に対応して設けられている。ダンパレバー43の自由端部である前端部には、ダンパブロック44が回動自在に取り付けられ、このダンパブロック44には、上方に延びるダンパワイヤ45が取り付けられている。
【0022】
このダンパワイヤ45の上端に、弦を上から押さえる図示せぬダンパが取り付けられている。このダンパアクション機構40によれば、回動された鍵27の後端部によりダンパレバー43が突き上げられ、ハンマ35が弦を打撃する直前に、ダンパが弦から上に離れるようになっている。したがって、押鍵されていない鍵27に対応する弦の共振が防がれる。
【0023】
B. ペダル構造
次に、図2は、上記のペダル吊り25およびその付近を示す側面図である。このペダル吊り25の下端には、ペダル支持部50が設けられている。
ペダル支持部50には、ソステヌートペダル51が支点ピン51aを中心として回動可能に取り付けられており、演奏者は、ペダル支持部50から突き出したソステヌートペダル51の前方部分を踏み下げるようになっている。なお、ペダル支持部50には、ソステヌートペダル51のほかにも、ラウドペダルおよびシフトペダルが取り付けられ、これらも演奏者に踏み下げられるようになっているが、その説明は省略する。
【0024】
ペダル吊り25の背面側には、ペダル突上げロッド52が、その長手方向をほぼ垂直になるように配設されている。ペダル突上げロッド52は、1本の真直な棒であって、その上部は、ペダル吊り25の背面に固定された固定板68に固定された支持枠76に支持されており、これによりペダル突上げロッド52は、ほぼ垂直に移動可能にされている。また、ペダル突上げロッド52の下部はソステヌートペダル51の後端に連結されている。このようにして、ソステヌートペダル51が踏み下げられると、ペダル突上げロッド52が上昇するようになっている。ペダル突上げロッド52の上端には、キャプスタンスクリュー73が取り付けられている。
【0025】
さて、図3に示すように、ペダル突上げロッド52の上端部付近は、固定板68に固定された支持枠76に固着された緩衝材80に挿通されている。緩衝材80は、フェルト、クロス、樹脂またはゴムからなり、ペダル突上げロッド52が傾斜しないように支持するとともに、ペダル突上げロッド52の上下方向への移動を案内する。
【0026】
また、ペダル突上げロッド52の上端部付近には、ペダル突上げロッド52を下方に押し戻す反力を与える第1の抵抗手段75が配設されている。まず、ペダル突上げロッド52の上端部付近は、上記した支持枠76に固着された緩衝材80を挿通させられている。支持枠76は、上方に大きく開口した椀状の部材であり、その底部には、ペダル突上げロッド52が挿通させられる孔が形成されている。
【0027】
支持枠76の下方において、ペダル突上げロッド52はコイルバネ78およびリング79を挿通させられている。リング79は、ペダル突上げロッド52にネジ止めされており、コイルバネ78は支持枠76の底部の下面とリング79との間に挟持されている。このようにして、コイルバネ78は、ペダル突上げロッド52に常時下向きの力を与えるようになっている。従って、演奏者がソステヌートペダル51を踏み下げることによりペダル突上げロッド52が上昇する時には、支持枠76に支持されたコイルバネ78がリング79を介してペダル突上げロッド52に反力を与え、演奏者は、この時、通常のピアノのペダルを踏み下げるときと同様のソフトな抵抗感を感じ取る。また、演奏者がソステヌートペダル51に与える力を解除すると、コイルバネ78の力により、ペダル突上げロッド52は押し下げられる。
【0028】
さて、棚板20の下面にはブラケット81が固着されている。ブラケット81は、棚板20の下面にネジ止めされた平板状の上部81aと、上部81aから下方に曲折された二つの平板状の側部81b,81cを備える。このブラケット81の一方の側部81bは、他方の側部81bよりも短く形成されており、両方の側部81b,81cには、ピン83が掛け渡されている。そして、ピン83を支点とする第1のレバー(第1のリンク)82がブラケット81に設けられている。第1のレバー82は、ピン83に懸垂された一つの腕部84と、腕部84に直交する他方の腕部85とからなる。
【0029】
第1のレバー82の腕部85の下面には、フェルト、樹脂またはゴムからなる緩衝材86が固着されており、上記のようにペダル突上げロッド52が上昇させられると、キャプスタンスクリュー73が緩衝材86に当接し、第1のレバー82を図中の時計方向に回動させるようになっている。なお、腕部85の上面には、やはりフェルト、樹脂またはゴムからなる緩衝材87が固着されており、緩衝材87はクロス88で被覆されている。棚板20の下面には、クロス88に対向するレギュレーションスクリュー89が取り付けられており、第1のレバー82が時計方向に回動すると、クロス88がレギュレーションスクリュー89に当接し緩衝材87が緩衝するようになっている。このレギュレーションスクリュー89により、ペダル突上げロッド52の上昇が規制される。換言すれば、ペダル突上げロッド52のストロークが定まる。
【0030】
なお、ピン83の周囲には、第1のレバー82に捻り力を与えるコイルバネ(第1の抵抗手段)69が配置されている。コイルバネ69の一端は、ブラケット81に掛止され、他端は第1のレバー82に掛止されている。これにより、第1のレバー82には、常に反時計方向の付勢力が与えられており、このため、緩衝材86が常にキャプスタンスクリュー73に接触している。また、この付勢力は、キャプスタンスクリュー73を介してペダル突上げロッド52に伝達され、演奏者がソステヌートペダル51を踏み下げる時の抵抗力の一部となる。
【0031】
また、上記のブラケット81の他方の側部81cの片方の側縁からは、屈曲部81dが紙面手前側に向けて屈曲されて設けられている。この屈曲部81dには、第1のワイヤ(可撓性長尺部材)90の一端部が挿通されたソケット91が固定されている。ソケット91は、ほぼ筒状の硬質の部材であり、その一端には内部に第1のワイヤ90を保持する可撓性のあるシース92が接合されている。また、ソケット91の他端からは、第1のワイヤ90の端部が露出しており、この端部は、第1のレバー82の腕部84の端部に形成された屈曲壁部(相対移動許容手段)84aの溝を通過させられてピン93に固着されている。第1のワイヤ90はピン93の付近において、ピン83を中心とした仮想円の接線方向に延びている。
【0032】
ここで、ソケット91およびシース92の内径は、第1のワイヤ90の直径よりも大きくされ、第1のワイヤ90はこれらの内部を摺動可能になっている。このようにして、第1のレバー82が時計方向に回動すると、ピン93が第1のレバー82の屈曲壁部84aに掛かっていることにより、第1のワイヤ90が牽引され、ソケット91およびシース92の内部を摺動するようになっている。
【0033】
さて、図4に示すように、第1のワイヤ90の他端部は、棚板20の上面に固定されたL字形のブラケット95に取り付けられたソケット94に挿通されている。ソケット94は、ほぼ筒状の硬質の部材であり、その一端には上記のシース92が接合されている。また、ソケット94の他端からは、第1のワイヤ90の端部付近が露出しており、この端部は、ソレノイドユニット110のプランジャ(往復部材)111の端部に後述する状態で係合されている。なお、ソケット94の内径も第1のワイヤ90の直径より大きくされ、第1のワイヤ90はソケット94の内部を摺動可能になっている。
【0034】
ソレノイドユニット110は、棚板20の上面に取り付けられたブラケット112の上に配置されており、ボビンにコイルが巻回されたソレノイド(自動駆動手段)113を備える。このソレノイド113は、ブラケット112に固定されたハウジング114に囲まれている。プランジャ111は、ソレノイド113のボビンを挿通させられており、ボビンの両端にはプランジャ111を支持する軸受115,116が取り付けられている。ソレノイド113のコイルには、あらかじめ記録された演奏データに基づいて、電圧が印加され、これにより励磁が行われて、プランジャ111が水平移動するようになっている。
【0035】
図4(A)に第1のワイヤ90とプランジャ111の接続構造を拡大し破断して示す。ここに示すように、第1のワイヤ90の端部には、他の部分よりも大径な大径部90aが形成されている。あるいは、第1のワイヤ90の端部に他の部品を固定して大径部(相対移動許容手段)90aを設けてもよい。
一方、プランジャ111の端部111aには、オネジが螺刻されており、このオネジには中空円筒状のケーシング(相対移動許容手段)111bが螺合されている。ケーシング111bには、プランジャ111と反対側に貫通孔111cが形成されており、この貫通孔111cを第1のワイヤ90が通過させられている。このようにして、第1のワイヤ90の端部に設けられた大径部90aがケーシング111cの内部空間に配置されているとともに、軸線方向におけるこれらの相対移動が可能になっている。これにより、第1のワイヤ90を左方に引きつければ、大径部90aがケーシング111bの貫通孔111cの周縁に掛かって、プランジャ111も左方に移動させられる。しかし、逆に、プランジャ111を左方に移動させても、貫通孔111cを第1のワイヤ90が摺動し、このため第1のワイヤ90は移動しないようになっている。
【0036】
また、第1のワイヤ90と反対側において、プランジャ111には、ホルダ117が固定されており、このホルダ117には、平板状のグレースケール118が取り付けられている。グレースケール118は、透明材料からなり、黒で着色され、その黒色の濃淡が水平方向に沿って階級的に変化するようになされている。このグレースケール118は、ブラケット112の上に固定されたフォトインタラプタ119により検出されるようになっている。このようにして、プランジャ111の変位が検出され、この検出結果に基づいて、プランジャ111の動作がフィードバック制御される。
なお、ソステヌートペダル機構は、オン/オフ切替動作を制御さえすれば、十分に再現演奏(自動演奏)が可能であるため、このような変位の検出をする検出手段の代わりに、プランジャ111が移動したか否かのみを検出するセンサを用いてもよい。
【0037】
さて、ブラケット112の両端には、上方へ突出する壁部112a,112bが形成されている。一方の壁部112aには、第1のワイヤ90に連結されるプランジャ111の端部が支持される軸受120が取り付けられている。他方の壁部112bには、第2のワイヤ121の一端部が挿通されたソケット122が固定されている。ソケット122は、ほぼ筒状の硬質の部材であり、その一端には内部に第2のワイヤ121を保持する可撓性のあるシース123が接合されている。また、ソケット122の他端からは、第2のワイヤ121の一端部が露出しており、この端部は、第1のワイヤ90が連結された端部とは反対側のプランジャ111の端部に掛止されている。
【0038】
図5(A)に示すように、第2のワイヤ121の他端部は、ソケット124に挿通されており、ソケット124は、ブラケット125に固定されている。ブラケット125は、グランドピアノの上部にネジ止めされた側部125aと、側部125aに対して直角に屈曲された屈曲部125bとを有しており、ソケット124は屈曲部125bに固定されている。ソケット124は、ほぼ筒状の硬質の部材であり、その一端には上記のシース123が接合されている。また、ソケット124の他端からは、第2のワイヤ121の端部が露出しており、この端部はピン96に固着されている。ソケット122、シース123およびソケット124の内径も第2のワイヤ121の直径より大きくされ、第2のワイヤ121はこれらの内部を摺動可能になっている。
【0039】
図中、符号97は、円柱形のソステヌートロッド(作動部材)を示す。ソステヌートロッド97は、グランドピアノの上部に固定された軸受(図示せず)に支持されて、ソステヌートロッド97の軸線を中心にして回動自在にされている。ソステヌートロッド97の側面には、硬質の羽根98が突設されており、羽根98はソステヌートロッド97の軸線方向に沿って延在させられている。
【0040】
羽根98とは反対側において、ソステヌートロッド97の側面には、第2のレバー(第2のリンク)99がネジ止めされており、これにより第2のレバー99はソステヌートロッド97を回動軸として回動する。第2のレバー99は逆J字形になされており、その湾曲した端部には上記のピン96が内包されている。なお、図5(B)に示すように、この第2のレバー99の端部には周溝100が形成されており、周溝100には第2のワイヤ121が貫通させられている。このようにして、ピン96は、第2のレバー99の湾曲した端部内で回動自在になっている。そして、第2のワイヤ121が図5(A)の矢印に示すように、左方へ牽引されると、第2のレバー99はソステヌートロッド97を中心として図5(A)の反時計方向に回動する。これによりソステヌートロッド97に突設された羽根98が持ち上げられる。
【0041】
なお、第2のレバー99には、コイルバネ(第2の抵抗手段)101の一端部が掛止されている。コイルバネ101の他端部は、グランドピアノの上部に固定されたフック102のリング103に掛止されている。コイルバネ101の端部を係止するため、第2のレバー99の湾曲した端部には、図5(B)に示すように、孔104が形成されている。
【0042】
このコイルバネ101により、常時、第2のレバー99は、図5(A)中の時計方向へ付勢されている。従って、第2のワイヤ121が左方へ牽引されない限り、ソステヌートロッド97に突設された羽根98は、図示のように斜め下方を向いている。
以上のソステヌートのペダル構造においては、第1のワイヤ90を内部に保持するシース92は単一であってもよいが、第1のレバー82から第2のレバー99までの長さが大きいときには、継手を用いて複数のシース92を軸方向に連結し、これらのシース92の内部に第1のワイヤ90を摺動可能に挿通してもよい。第2のワイヤ121を内部に保持するシース123についても同様である。
【0043】
C.ペダル構造の動作
さて、上記のペダル構造において、演奏者がコイルバネ78,69の力に抗してソステヌートペダル51を踏み下げると、第1のレバー82が図3の時計方向に回動させられる。これにより、第1のワイヤ90が第1のレバー82の方へ牽引される。この時には、第1のワイヤ90の端部に設けられた大径部90aがプランジャ111のケーシング111bの貫通孔111cの周縁部に掛かって、これによりソレノイドユニット110のプランジャ111が図4中の左方に移動させられる。すると、プランジャ111により第2のワイヤ121がコイルバネ101の力に抗してソレノイドユニット110の方へ牽引される。これにより、第2のレバー99が図5(A)の反時計方向に回動し、羽根98が持ち上げられる。図6は、この時の羽根98を示しており、この時には羽根98はほぼ水平な状態になっている。
【0044】
また、演奏者の押鍵により鍵27の先端が押し下げられて、鍵27が回動すると、上昇した鍵27の後端部によりダンパレバー43が突き上げられ、ダンパワイヤ45が上昇する。ダンパワイヤ45の上端には、ダンパ47が取り付けられており、ダンパワイヤ45が上昇すると、ダンパ47が弦48から離間するようになっている。ここで、鍵27の回動後に、羽根98が図示のような水平状態にされると、ダンパレバー43とダンパワイヤ45の間に介在させられたダンパブロック44に設けられたタブリップ44aが、羽根98の上に係止する。このため、ダンパ47は弦48から離間した位置に保持され、鍵27が平常位置に復帰しても、ハンマ35(図1)による打弦音が継続するようになっている。
一方、羽根98が水平状態になった後に、鍵27が回動してダンパレバー43が突き上げられても、ダンパブロック44のタブリップ44aは、羽根98より上方には上昇せず、鍵27が平常位置に復帰すると直ちにダンパ47は下降して弦48に接触し、打弦音を抑止する。
【0045】
そして、演奏者が、ソステヌートペダル51の踏下げをやめると、コイルバネ78,69によりペダル突上げロッド52が下降させられる。また、コイルバネ101により第2のレバー99が図5(A)において時計方向に回動され、羽根98が斜め下方に向けられるとともに、第2のワイヤ121がコイルバネ101の方へ牽引されて、ソレノイドユニット110のプランジャ111が初期位置に復帰させられる。これと同時に、ケーシング111bの開口部11cの周縁部に第1のワイヤ90の端部の大径部90aが掛かって、第1のワイヤ90も初期位置に復帰させられる。
【0046】
このように、再度、羽根98が斜め下方に向けられることにより、鍵27が回動してダンパレバー43が突き上げられても、羽根98はタブリップ44aには作用しなくなり、鍵27が平常位置に復帰すると直ちにダンパ47は下降して弦48に接触し、打弦音を抑止する。
【0047】
また、自動演奏時には、ソレノイドユニット110のソレノイド113が励磁されて、プランジャ111が図4中の左方に移動させられる。すると、第2のワイヤ121に牽引されて第2のレバー99が図5(A)の反時計方向に回動し、羽根98が持ち上げられる。
上記のように、自動演奏時には、ソレノイドユニット32が鍵27の後端部を突き上げ、これによりダンパレバー43が突き上げられ、ダンパワイヤ45が上昇する。この場合も、鍵27の回動直後に、羽根98が図示のような水平状態にされると、ダンパレバー43とダンパワイヤ45の間に介在させられたダンパブロック44に設けられたタブリップ44aが、羽根98の上に係止する。このため、ダンパ47は弦48から離間した位置に保持され、鍵27が平常位置に復帰しても、ハンマ35(図1)による打弦音が継続するようになっている。
【0048】
ただし、ソレノイド113の励磁によりプランジャ111が移動しても、図4(A)に示すケーシング111bが第1のワイヤ90に対して相対移動し、第1のワイヤ90に力が伝達されない。また、第1のレバー82は、コイルバネ69により常時、反時計方向に付勢されており、しかも静止しているキャプスタンヘッド73に緩衝材86を介して当接しているため、第1のレバー82は回動することはない。また、第1のレバー82においては、腕部84の屈曲壁部84aに形成された溝を第1のワイヤ90が摺動するようになっている。これによっても、第1のレバー82の回動が防止される。従って、プランジャ111には、ソステヌートペダル51およびペダル突上げロッド52の荷重や、コイルバネ78,69の踏み下げ抵抗が加わることもない。このため、ソレノイド113の駆動エネルギを節約することが可能である。
【0049】
また、上記の構造によれば、第1のワイヤ90および第2のワイヤ121を介して、ペダル突上げロッド52とソステヌートロッド97とを連動させるようにしたことにより、複数の機種の鍵盤楽器においても、多くの部品を共用することが可能である。すなわち、機種が異なるために、ペダル突上げロッド52とソステヌートロッド97との距離やその他の部材の配置などが異なる場合には、適当な長さの第1のワイヤ90および第2のワイヤ121を準備し、シース92,123を切断したり継手で連結したりして適当な長さにしておけばよい。従って、レバー82,99などは、多種類、準備しておく必要はない。
【0050】
また、自動演奏のための押鍵装置31が設けられているために鍵盤楽器の内部が複雑に入り組んでいる場合であっても、ワイヤ90,121およびシース92,123は、可撓性を有するため適当に湾曲させ、容易に設置することが可能である。しかも、ワイヤ90,121およびシース92,123は、湾曲させたからといって、曲率がよほど大きくなければ耐用寿命の低下を招くことはない。
さらに、この構成では、他の部品を避けてソレノイドユニット110を任意の位置に配置することができる。従って、従来、ペダル突上げロッドの配置上、自動化が困難だったソステヌートペダル構造にも、ソレノイドユニット110を設けることが可能であり、ソステヌート機構を自動化することができる。
【0051】
ただし、ワイヤ90,121およびシース92,123は、両者の接触面積が減少するように、できるだけ湾曲した部分を少なくし、曲率も小さく(曲率半径を大きく)するのが好ましい。ワイヤ90,121およびシース92,123との間の摺動抵抗(摩擦力)は、演奏者がソステヌートペダル51を踏み下げる時の抵抗力の一部となり、この摩擦力が予期せぬ時に変動すると演奏者に違和感を与えるため、摩擦力は小さいのが望ましく、摩擦力を小さくするには、ワイヤ90,121およびシース92,123ができるだけ直線的であるのが好ましいからである。また、この目的のため、ワイヤ90,121の外面に、ポリテトラフルオロエチレンなどの低摩擦係数の物質をコーティングしたり、ワイヤ90,121およびシース92,123の間に潤滑剤を介在させたりするのが望ましい。
【0052】
また、ワイヤ90,121およびシース92,123の間の摩擦力を小さくするためには、第1のレバー82の腕部84を長くして回動中心であるピン83と第1のワイヤ90との距離を大きくするとよい。これによれば、第1のレバー82を回動させるモーメントが同一であっても、第1のワイヤ90を摺動させるのに必要な力(すなわち第1のワイヤ90の張力)は、小さくて済む。第1のワイヤ90とシース92との間の摩擦力は、摩擦係数と張力の積であるから、張力を小さくすることにより、摩擦力も小さくすることが可能である。
【0053】
しかも、上記の構造においては、ペダル突上げロッド52に下向きの力を与えるコイルバネ78が設けられており、第1のレバー82にコイルバネ69が設けられている。これらのコイルバネ78,69によりソステヌートペダル51を踏み下げる時の抵抗感を演奏者に与えるようになっている。もし、このような抵抗感を積極的に与える要素を設けない場合には、上記のワイヤ90,121およびシース92,123の摩擦力、およびコイルバネ101の抗力のみで、この抵抗感を与えることになる。しかし、ワイヤ90,121およびシース92,123の摩擦力は、予期せぬ時に変動しがちであり、演奏者に違和感を与えかねない。
【0054】
これに対して、上記の構造においては、コイルバネ78,69により、演奏者がソステヌートペダル51を踏み下げる時には、ソステヌートペダル51に反力が与えられ、演奏者はこれを感じ取ることができるようになっている。このコイルバネ78,69による反力を、ワイヤ90,121およびシース92,123の摩擦力およびコイルバネ101の抗力よりも十分に大きくしておき、しかも上記の措置によりワイヤ90,121およびシース92,123の摩擦力をきわめて小さくしておくことにより、演奏者は、実質的にコイルバネ78,69による反力のみを感じ取る。ここで、コイルバネ78,69の反力は再現性があり、演奏者は違和感を感じることなく、演奏が可能である。上記のように、これらの抵抗力は、自動演奏時には、プランジャ111に加わることがなく、ソレノイド113の駆動エネルギを上昇させることがない。
【0055】
また、第1のワイヤ90の一端に連結された第2のレバー99には、コイルバネ101により初期位置に戻す方向に力が与えられている。これによれば、演奏者がソステヌートペダル51を踏み下げるのをやめたり、ソレノイド113の励磁が停止されたりしたときには、コイルバネ101により、第2のレバー99および羽根98も確実に初期位置に戻される。また、第2のワイヤ121、プランジャ111および第1のワイヤ90もコイルバネ101に引きつけられて初期位置に復帰させられる。これにより、必要でない時まで、以上の部材がその作動位置のままにおかれるのを防止することが可能である。
【0056】
このコイルバネ101の力は、羽根98を斜め下方に向けておき、かつ第2のワイヤ121、プランジャ111および第1のワイヤ90を初期位置に引きつけておくのに必要な最小限の力でよく、コイルバネ78,69の力よりもはるかに小さくしておくとよい。これにより、演奏者がソステヌートペダル51を踏み下げる時の反力に、コイルバネ101の力があまり影響しないようにすることが可能である。
言い換えると、人間がペダルを踏み込む場合には、コイルバネ78,69により充分な抵抗感を与えることができるとともに、自動演奏時にはコイルバネ101のみに抗する力をソレノイド113で発生すればよい。このとき、コイルバネ101の力は、ソステヌートロッド97およびプランジャ111などを初期位置に戻すだけでよいため、コイルバネ78,69の力に比して非常に小さくてよい。従って、自動演奏時にソレノイド113を駆動する駆動エネルギを非常に小さくすることができる。
【0057】
2.第2実施形態
A.第2実施形態の構成
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態に係るペダル構造が設けられている鍵盤楽器も自動演奏可能なグランドピアノであり、その基本的構成は第1実施形態と同様であり、ソステヌートペダル51およびペダル突上げロッド52、ラウドペダル、およびシフトペダルも第1実施形態と同様に設けられている。図7は、第2実施形態のペダル構造におけるペダル突上げロッド52の上端付近を示す。同図に示すように、棚板20の下面には、レバーユニット178が取り付けられている。レバーユニット178は、棚板20の下面に固定されたベースブラケット180と、これに支持されたレバーブラケット181およびワイヤブラケット179を有する。
【0058】
さて、レバーユニット178のレバーブラケット181は、ベースブラケット180に固定されており、ピン183を支持している。そして、ピン183を支点とする第1のレバー(第1のリンク)182がレバーブラケット181に設けられている。第1のレバー182は、ピン183に懸垂された一つの腕部184と、腕部184にほぼ直交する他方の腕部185とからなる。
【0059】
第1のレバー182の腕部185の下面には緩衝材186が固着されており、ペダル突上げロッド52が上昇させられると、ペダル突上げロッド52の上端のキャプスタンスクリュー73が緩衝材186に当接し、第1のレバー182を仮想線で示すように図中の時計方向に回動させるようになっている。なお、腕部185の上面には、同様の緩衝材187が固着されており、緩衝材187は上側の部材と第1のレバー182との衝撃時に緩衝する。
【0060】
ワイヤブラケット179は、第1のレバー182の腕部184に近接した位置(ピン183を中心にして腕部184から反時計方側)に配置され、ベースブラケット180に固定されている。ワイヤブラケット179と腕部184との間には、腕部184に引張り力を与えるコイルバネ(第1の抵抗手段)169が配置されている。コイルバネ169の一端は、ワイヤブラケット179に掛止され、他端は第1のレバー182の腕部184に掛止されている。これにより、第1のレバー182には、常に反時計方向の付勢力が与えられており、このため、緩衝材186が常にキャプスタンスクリュー73に接触している。また、この付勢力は、キャプスタンスクリュー73を介してペダル突上げロッド52に伝達され、演奏者がソステヌートペダル51を踏み下げる時の抵抗力の一部となる。
【0061】
また、ワイヤブラケット179には、第1のワイヤ(可撓性長尺部材)90の一端部が挿通されたソケット191が固定されている。ソケット191は、ほぼ筒状の硬質の部材であり、その一端には内部に第1のワイヤ90を保持する可撓性のあるシース192が接合されている。また、ソケット191の他端には、オネジが螺刻されており、この部分がワイヤブラケット179に螺合されている。ソケット191のオネジ側の端部からは、第1のワイヤ90の端部が露出しており、この端部はピン193に固着されている。ピン193は第1のレバー182の腕部184の保持部184aに保持されている。なお、第1のワイヤ90はピン93の付近において、ピン183を中心とした仮想円の接線方向に延びている。
【0062】
ここで、ソケット191およびシース192の内径は、第1のワイヤ90の直径よりも大きくされ、第1のワイヤ90はこれらの内部を摺動可能になっている。このようにして、第1のレバー182が時計方向に回動すると、ピン193が第1のレバー182の保持部184aに掛かっていることにより、第1のワイヤ190が牽引され、ソケット191およびシース192の内部を摺動するようになっている。
【0063】
さて、図8(A)および図8(B)に示すように、第1のワイヤ90の他端部は、ソケット194に挿通されている。ソケット194は、ほぼ筒状の硬質の部材であり、その一端には上記のシース192が接合されている。このソケット194は、ソレノイド支持ブラケット195に固定されている。
【0064】
ソケット194からは、第1のワイヤ90の端部付近が露出しており、この端部は、ロータリソレノイドユニット210のロータプレート(往復部材)211の一端部に後述する状態で係合されている。なお、ソケット194の内径も第1のワイヤ90の直径より大きくされ、第1のワイヤ90はソケット194の内部を摺動可能になっている。
【0065】
ソケット194を支持するソレノイド支持ブラケット195は、例えば図9に示すように、グランドピアノの響板の下部など、ピアノの音質に影響のない適宜な位置に取り付けられる。ソレノイド支持ブラケット195は、上記響板の下部などの固定部分に固定された取付壁部195aと、ここから直角に曲折された平面壁部195bと、平面壁部195bの両端から互いに平行になるように直角に曲折された二つの曲折壁部195c,195dとを有する。ソケット194は、曲折壁部195cに固定されている。
【0066】
ロータリソレノイドユニット210は、ロータリソレノイド(自動駆動手段)と、ロータリソレノイドにより往復回動させられるロータコア212と、ロータコア212に固定されたロータプレート211とを備える。ロータリソレノイドは、ハウジング214に囲まれており、図10に示すように、このハウジング214は、ソレノイド支持ブラケット195の平面壁部195bにネジ215で固定されている、ロータリソレノイドには、あらかじめ記録された演奏データに基づいて、電圧が印加され、これにより励磁が行われて、ロータプレート211が所定の角度だけ回動し、印加を停止するとロータプレート211が逆方向に回動して元の角度位置に復帰する。
【0067】
図8(A)および図8(B)に示すように、ロータプレート211は、ロータコア212を中心にして互いに逆向きにほぼ等距離だけ延在する二つの腕部211a,211bからなる板状の部材である。一方の腕部211aにはワイヤ係合部(相対移動許容手段)211cが設けられ、他方の腕部211bにはワイヤ係合部211dが設けられている。
【0068】
図8(A)および図8(B)において、ワイヤ係合部211cを破断して示す。これらの図を参照し、ワイヤ係合部211cと第1のワイヤ90の係合状態を説明する。ワイヤ係合部211cには、ソケット194側に開口した溝211eと、溝211eに連通したこれよりも幅の広い凹部211fが形成されている。第1のワイヤ90の露出した端部は溝211eを通過させられており、その最端部にはワイヤ90の直径より大きいサイズの係合体(相対移動許容手段)190aが固定されている。係合体190aは凹部211fに嵌まり合うようになっているが、凹部211fは溝211eの反対側が開放されていて、第1のワイヤ90の軸線方向において、係合体190aとワイヤ係合部211cの相対移動が可能になっている。
【0069】
これにより、図8(B)に示すように、第1のワイヤ90を図の左方に引きつければ、係合体190aがワイヤ係合部211cの凹部211fに掛かって、ロータプレート211は反時計方向に回動させられる。しかし、ロータリソレノイドでロータプレート211を反時計方向に回動させても、溝211eを第1のワイヤ90が摺動し、このため仮想線で示すように、第1のワイヤ90は移動しないようになっている。
【0070】
一方、ロータプレート211の他端にあるワイヤ係合部211dには、第2のワイヤ121の一端部に固定された係合体121aが保持されており、両者間の相対的な移動は不可能とされている。第2のワイヤ121は、ソステヌートロッド97を駆動するものであり、ほぼ筒状の硬質のソケット222と可撓性のあるシース123に挿通されている。ソケット222の一端にはシース123が接合されており、他端にはオネジが螺刻されており、この部分がソレノイド支持ブラケット195の曲折壁部195cに螺合されている。
【0071】
また、ソレノイド支持ブラケット195の曲折壁部195dには、ストッパホルダ217が取り付けられており、このストッパホルダ217には、一対のストッパ218が取り付けられている。これらのストッパ218には、ロータリソレノイドユニット210のロータプレート211の回動時に、ロータプレート211の両方の腕部211a,211bがそれぞれ当接する。これにより、ロータプレート211の回動角度範囲が規制される。ロータプレート211の回動角度範囲を調節できるように、ストッパ218はオネジ体である。
【0072】
さらに、曲折壁部195dには、スイッチホルダ219が取り付けられており、このスイッチホルダ219には、リーフスイッチ220が支持されている。このリーフスイッチ220は、ロータプレート211の腕部211bが常に接触しており、ロータプレート211の回動角度によりオン/オフ切替される。これにより、演奏者によるペダル操作の有無を検出することができる。また、リーフスイッチ226により、ロータプレート211が適切に作動したか否か判断するようにしてもよく、この場合には腕部211b側のみならず、腕部211aの側にも同様のリーフスイッチを設けるようにするとよい。
【0073】
さて、図11に示すように、第2のワイヤ121は、ソステヌートロッド97を駆動するように、第2のレバー99に係合されている。この係合状態は、第1実施形態と本質的に同様であり、部材の形態が若干相違するだけなので、図11では図5と共通する構成要素に同一の符号を付けて、詳細な説明は省略する。また、図11(A)では、円弧状部材221とブラケット223を示す。円弧状部材221は、ネジ224によりブラケット223に固定されている。これらの円弧状部材221とブラケット223は、ソステヌートロッド97を回動自在に支持する軸受となる。
【0074】
コイルバネ101により、常時、第2のレバー99は、図11(A)中の時計方向へ付勢されている。従って、第2のワイヤ121が右下向きに牽引されない限り、第2のレバー99は実線で示す状態にあり、この状態でソステヌートロッド97に突設された羽根98は、図11(B)に示すように斜め下方を向いている。そして、上記のロータリソレノイドユニット210のロータプレート211により第2のワイヤ121が牽引されると、第2のレバー99はソステヌートロッド97を中心として図11(A)の反時計方向に回動する。これによりソステヌートロッド97に突設された羽根98が図11(B)の仮想線で示す状態まで持ち上げられる。
【0075】
B.ペダル構造の動作
さて、第2実施形態のペダル構造において、演奏者が図2に示すコイルバネ78および図7に示すコイルバネ169の力に抗してソステヌートペダル51を踏み下げると、第1のレバー182が図7の時計方向に回動させられる。これにより、第1のワイヤ90が第1のレバー182の方へ牽引される。この時には、図8に示す第1のワイヤ90の端部に設けられた係合体190aがロータプレート211のワイヤ係合部211cの凹部211fに掛かって、これによりロータリソレノイドユニット210のロータプレート211が図8中の反時計方向に移動させられる。つまり、図8(A)の状態から図8(B)の状態になる。すると、ロータプレート211により第2のワイヤ121がコイルバネ101(図11参照)の力に抗してロータリソレノイドユニット210の方へ牽引される。
これにより、第2のレバー99が図11(A)の反時計方向に仮想線に示すように回動し、羽根98が持ち上げられる。図6は、この時の羽根98を示しており、この時には羽根98は、ほぼ水平な状態になっている。
【0076】
従って、第1実施形態と同様に、羽根98が水平になる時点で押し下げられていた鍵27に対応する音が伸ばされる。すなわち、演奏者の押鍵により鍵27の先端が押し下げられて、鍵27が回動すると、上昇した鍵27の後端部によりダンパレバー43が突き上げられ、ダンパワイヤ45が上昇する。ダンパワイヤ45の上端には、ダンパ47が取り付けられており、ダンパワイヤ45が上昇すると、ダンパ47が弦48から離間するようになっている。この状態で、羽根98が図示のような水平状態にされると、ダンパレバー43とダンパワイヤ45の間に介在させられたダンパブロック44に設けられたタブリップ44aが、羽根98の上に係止する。このため、ダンパ47は弦48から離間した位置に保持され、鍵27が平常位置に復帰しても、対応するハンマ35(図1)による打弦音が継続するようになっている。
一方、羽根98が水平状態になった後に、鍵27が回動してダンパレバー43が突き上げられても、ダンパブロック44のタブリップ44aは、羽根98より上方には上昇せず、鍵27が平常位置に復帰すると直ちにダンパ47は下降して弦48に接触し、打弦音を抑止する。
【0077】
そして、演奏者が、ソステヌートペダル51の踏下げをやめると、コイルバネ78,169によりペダル突上げロッド52が下降させられる。また、コイルバネ101により第2のレバー99が図11(A)において実線で示すように時計方向に回動され、羽根98が斜め下方に向けられるとともに、第2のワイヤ121がコイルバネ101の方へ牽引されて、ロータリソレノイドユニット210のロータプレート211が時計方向に回動させられ初期位置に復帰させられる。つまり、図8(B)の状態から図8(A)の状態になる。これと同時に、ロータプレート211のワイヤ係合部211cの凹部211fに第1のワイヤ90の端部の係合体190aが掛かって、第1のワイヤ90も初期位置に復帰させられる。これにより、羽根98が水平になる時点で押し下げられていた鍵27のうち、羽根98が初期位置に復帰した時点で平常位置に復帰した鍵27に対応する打弦音が抑止される。
このように、再度、羽根98が斜め下方に向けられることにより、鍵27が回動してダンパレバー43が突き上げられても、羽根98はタブリップ44aには作用しなくなり、鍵27が平常位置に復帰すると直ちにダンパ47は下降して弦48に接触し、打弦音を抑止する。
【0078】
また、自動演奏時には、ロータリソレノイドユニット210のロータリソレノイドが励磁されて、ロータプレート211が図8中の反時計方向に回動させられる。つまり、図8(A)の状態から図8(B)の状態になる。すると、第2のワイヤ121に牽引されて第2のレバー99が図11(A)の仮想線で示すように反時計方向に回動し、羽根98が持ち上げられる。
この場合も、鍵27の回動直後に、羽根98が図示のような水平状態にされると、ダンパレバー43とダンパワイヤ45の間に介在させられたダンパブロック44に設けられたタブリップ44aが、羽根98の上に係止する。このため、ダンパ47は弦48から離間した位置に保持され、鍵27が平常位置に復帰しても、ハンマ35(図1)による打弦音が継続するようになっている。
【0079】
ただし、ロータリソレノイドの励磁によりロータプレート211が反時計方向に回動しても、図8(B)に示すように、ロータプレート211のワイヤ係合部211cは、第1のワイヤ90に対して相対移動し、第1のワイヤ90に力が伝達されない。つまり、溝211eが第1のワイヤ90の直径より大きいので、第1のワイヤ90に対して、ワイヤ係合部211cが摺動し、係合体190aが図8(B)の仮想線で示すように取り残される。
【0080】
従って、ロータプレート211には、ソステヌートペダル51およびペダル突上げロッド52の荷重や、コイルバネ78,169の抵抗が加わることもない。このため、ソレノイド113の駆動エネルギを節約することが可能である。また、第1のレバー182は、コイルバネ169により常時、反時計方向に付勢されており、しかも静止しているキャプスタンヘッド73に緩衝材86を介して当接しているため、第1のレバー182は反時計方向に回動することはない。
【0081】
また、上記の構造によれば、第1のワイヤ90および第2のワイヤ121を介して、ペダル突上げロッド52とソステヌートロッド97とを連動させるようにしたことにより、複数の機種の鍵盤楽器においても、多くの部品を共用することが可能である。すなわち、機種が異なるために、ペダル突上げロッド52とソステヌートロッド97との距離やその他の部材の配置などが異なる場合には、適当な長さの第1のワイヤ90および第2のワイヤ121を準備し、シース192,123を切断したり継手で複数連結したりして適当な長さにしておけばよい。従って、レバー182,99などは、多種類、準備しておく必要はない。
【0082】
また、自動演奏のための押鍵装置31が設けられているために鍵盤楽器の内部が複雑に入り組んでいる場合であっても、ワイヤ90,121およびシース192,123は、可撓性を有するため適当に湾曲させ、容易に設置することが可能である。しかも、ワイヤ90,121およびシース192,123は、湾曲させたからといって、曲率がよほど大きくなければ耐用寿命の低下を招くことはない。
さらに、この構成では、他の部品を避けてロータリソレノイドユニット210を任意の位置に配置することができる。従って、従来、ペダル突上げロッドの配置上、自動化が困難だったソステヌートペダル構造にも、ロータリソレノイドユニット210を設けることが可能であり、ソステヌート機構を自動化することができる。
【0083】
ただし、第1実施形態についても述べたように、ワイヤ90,121およびシース192,123は、互いの摩擦力を少なくするためには、接触面積が減少するように、できるだけ湾曲した部分を少なくし、曲率も小さく(曲率半径を大きく)するのが好ましい。また、ワイヤ90,121の外面に、ポリテトラフルオロエチレンなどの低摩擦係数の物質をコーティングしたり、ワイヤ90,121およびシース192,123の間に潤滑剤を介在させたりするのが望ましい。ワイヤ90,121およびシース192,123との間の摺動抵抗(摩擦力)は、演奏者がソステヌートペダル51を踏み下げる時の抵抗力の一部となり、この摩擦力が予期せぬ時に変動すると演奏者に違和感を与えるため、摩擦力は小さいのが望ましいからである。また、ワイヤ90,121およびシース192,123の間の摩擦力を小さくするためには、第1のレバー182の腕部184を長くして回動中心であるピン183と第1のワイヤ90との距離を大きくするとよい。
【0084】
上記の構造においては、ペダル突上げロッド52に下向きの力を与えるコイルバネ78が設けられており、第1のレバー182にコイルバネ169が設けられている。従って、第1実施形態について述べたのと同様に、コイルバネ78,169による反力を、ワイヤ90,121およびシース192,123の摩擦力およびコイルバネ101の抗力よりも十分に大きくしておき、しかも上記の措置によりワイヤ90,121およびシース192,123の摩擦力をきわめて小さくしておくことにより、演奏者は、ペダル突上げロッド52を踏み下げるときに、実質的にコイルバネ78,169による反力のみを感じ取り、違和感を感じることなく、演奏が可能である。上記のように、これらの抵抗力は、自動演奏時には、ロータプレート211に加わることがなく、ロータリソレノイドの駆動エネルギを上昇させることがない。
【0085】
また、第1のワイヤ90の一端に連結された第2のレバー99には、コイルバネ101により初期位置に戻す方向に力が与えられている。これによれば、演奏者がソステヌートペダル51を踏み下げるのをやめたり、ソレノイド113の励磁が停止されたりしたときには、コイルバネ101により、第2のレバー99および羽根98も確実に初期位置に戻される。また、第2のワイヤ121、ロータプレート211および第1のワイヤ90もコイルバネ101に引きつけられて初期位置に復帰させられる。これにより、必要でない時まで、以上の部材がその作動位置のままにおかれるのを防止することが可能である。
第1実施形態についても述べたように、コイルバネ101の力は、羽根98を斜め下方に向けておき、かつ第2のワイヤ121、ロータプレート211および第1のワイヤ90を初期位置に引きつけておくのに必要な最小限の力でよく、コイルバネ78,169の力よりもはるかに小さくしておくとよい。これにより、演奏者がソステヌートペダル51を踏み下げる時の反力に、コイルバネ101の力があまり影響しないようにすることが可能である。また、自動演奏時にソレノイド113を駆動する駆動エネルギを非常に小さくすることができる。
【0086】
第2実施形態においては、ロータプレート211はロータリソレノイドによりロータコア212の回動軸を中心に往復回動させられるようになっているとともに、ロータプレート211における第1のワイヤ90に対する連結位置と、第2のワイヤ121に対する連結位置とがロータコア212を挟んで互いに反対側にある。このように連結位置を配置したことにより、二つのワイヤ90,121は、互いに平行またはそれに近い状態で接近した位置に並べて配置可能となる。従って、第1実施形態のように二つのワイヤ90,121を直列またはそれに近い状態に配置する場合よりも、省スペース化を図ることができ、配設も容易である。特に、上述したように、ワイヤ90,121にかかる摩擦力を少なくするために、ワイヤの湾曲部分を少なくし、曲率半径を大きくするのが望ましいので、この実施形態のように、ワイヤ90,121を並列するのは有利である。
【0087】
3.変更例
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、以下のように様々な変更が可能である。
(1) 上記の実施形態においては、自動演奏可能なグランドピアノに、本発明を適用しているが、通常のグランドピアノに本発明を適用してもよい。また、グランドピアノだけでなく、アップライトピアノ、チェンバロ、チェレスタ、オルガン等、あらゆる鍵盤楽器にも、本発明を適用することができる。
(2) また、上記の実施形態においては、ソステヌートペダル52のペダル構造に本発明を適用しているが、これに限らず、ラウドペダルやシフトペダルのペダル構造に本発明を適用することも可能である。
【0088】
(4) ワイヤ90,121の代わりに、ひも、糸などのその他の可撓性のある長尺部材を用いることも可能である。
(5) 第1実施形態においては、ペダル突上げロッド52にコイルバネ78を設け、第1のレバー82にコイルバネ69を設けて、これらのコイルバネ78,69により、演奏者がソステヌートペダル51を踏み下げる際の抵抗力を与えるようにしているが、十分な抵抗力を与えることができるのであれば、コイルバネ78,69のいずれかを廃してもよい。第2実施形態についても、コイルバネ78,169のいずれかを廃してもよい。
【0089】
(6) 上記の実施形態においては、アクチュエータ(自動駆動手段)として、直動式のソレノイドまたはロータリソレノイドが用いられているが、直動式のソレノイドに代えてリニアモータを用いることもでき、ロータリソレノイドに代えて回転式モータを用いることもできる。直動または回動させる範囲は小さいので、モータを用いる場合には、起動時に大きなトルクを得ることができるタイプを使用するとよい。さらに、自動駆動手段は電動式に限らず、液圧式や空気圧式であってもよい。
【0090】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数の機種の鍵盤楽器に対して部品を共通化することが可能であり、自動演奏鍵盤楽器の製造も容易にすることが可能である。また、自動演奏時の駆動エネルギを節約することができる。さらに、従来、困難だったソステヌート機構の自動化も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る自動演奏鍵盤楽器のペダル構造が適用されたグランドピアノを示す側面断面図である。
【図2】 上記ペダル構造の一部を示す側面図である。
【図3】 図2の拡大図である。
【図4】 図2と連なる上記ペダル構造の一部を示す側面図である。
【図5】 図4と連なる上記ペダル構造の一部を示す図であって、(A)は側面図、(B)は(A)のB線矢視図である。
【図6】 上記ペダル構造で作動される部材であるソステヌートロッドを示す側面図である。
【図7】 本発明の第2実施形態に係る自動演奏鍵盤楽器のペダル構造の一部を示す側面図である。
【図8】 図7と連なる上記ペダル構造の一部を示す平面図であって、(A)は平常時、(B)は作動時の状態を示す。
【図9】 第2実施形態に係る自動演奏鍵盤楽器のペダル構造が適用されたグランドピアノを示す側面断面図である。
【図10】 図8の構成の側面図である。
【図11】 (A)は図8と連なる上記ペダル構造の一部を示す図である。(B)は(A)の構成に含まれるソステヌートロッドの断面図である。
【符号の説明】
51…ソステヌートペダル、52…ペダル突上げロッド、69…コイルバネ(第1の抵抗手段)、75…第1の抵抗手段、78…コイルバネ、81…ブラケット、82…第1のレバー(リンク)、84a…屈曲壁部(相対移動許容手段)、90…第1のワイヤ(可撓性長尺部材)、90a…大径部(相対移動許容手段)、97…ソステヌートロッド(作動部材)、98…羽根、99…第2のレバー、101…コイルバネ(第2の抵抗手段)、110…ソレノイドユニット、111…プランジャ(往復部材)、111b…ケーシング(相対移動許容手段)、113…ソレノイド(自動駆動手段)、121…第2のワイヤ、169…コイルバネ(第1の抵抗手段)、178…レバーユニット、182…第1のレバー(第1のリンク)、190a…係合体(相対移動許容手段)、195…ソレノイド支持ブラケット、210…ロータリソレノイドユニット(自動駆動手段)、211…ロータプレート(往復部材)、211c…ワイヤ係合部(相対移動許容手段)211c
Claims (4)
- 揺動可能に設けられ、演奏者による演奏時に踏み下げられるペダルと、
演奏者により上記ペダルが踏み下げられたときに一方向に引きつけられる可撓性長尺部材と、
上記可撓性長尺部材に連結され、上記可撓性長尺部材が上記一方向に引きつけられるのに伴い同方向に移動させられるようにされた往復部材と、
自動演奏時に、上記往復部材を上記一方向に移動させる自動駆動手段と、
上記往復部材に連結され、上記往復部材が上記一方向に移動させられる時に作動させられる作動部材と、
上記往復部材と上記ペダルとの間に設けられ、上記自動演奏時に、上記自動駆動手段が上記往復部材を上記一方向に移動させても、上記ペダルが連動しないように、上記可撓性長尺部材に対する上記往復部材の相対移動を許容する相対移動許容手段と、
上記ペダルから上記相対移動許容手段までの間に設けられ、上記ペダルを初期位置に戻す方向に力を与え、上記往復部材には力を与えない第1の抵抗手段と
を具備することを特徴とする自動演奏鍵盤楽器のペダル構造。 - 揺動可能に設けられ、演奏者による演奏時に踏み下げられるペダルと、
演奏者により上記ペダルが踏み下げられたときに一方向に引きつけられる可撓性長尺部材と、
上記可撓性長尺部材に連結され、上記可撓性長尺部材が上記一方向に引きつけられるのに伴い同方向に移動させられるようにされた往復部材と、
自動演奏時に、上記往復部材を上記一方向に移動させる自動駆動手段と、
上記往復部材に連結され、上記往復部材が上記一方向に移動させられる時に作動させられる作動部材と、
上記可撓性長尺部材のペダル側の一端部と上記ペダルとの間に設けられ、上記自動演奏時に、上記自動駆動手段が上記往復部材を上記一方向に移動させても、上記ペダルが連動しないように、上記ペダルに対する上記可撓性長尺部材の相対移動を許容する相対移動許容手段と、
上記ペダルから上記相対移動許容手段までの間に設けられ、上記ペダルを初期位置に戻す方向に力を与え、上記往復部材には力を与えない第1の抵抗手段と
を具備することを特徴とする自動演奏鍵盤楽器のペダル構造。 - 上記作動部材を初期位置に戻す方向に力を与える第2の抵抗手段とを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の自動演奏鍵盤楽器のペダル構造。
- 上記往復部材は上記自動駆動手段により回動軸を中心に往復回動させられるようになっているとともに、上記往復部材と上記作動部材は第2の可撓性長尺部材により連結されて上記往復部材の一方向への回動に伴い上記第2の可撓性長尺部材により上記作動部材が作動するようになっており、上記往復部材における上記可撓性長尺部材に対する連結位置と、上記第2の可撓性長尺部材に対する連結位置は、上記回動軸を挟んで互いに反対側にあることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の自動演奏鍵盤楽器のペダル構造。
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