JP3932390B2 - エアチャック - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気圧により開閉する一対の把持部材によってワーク等の対象物を把持するエアチャックに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ワーク等の対象物の把持、搬送に使用するエアチャックとして、図4に示すように、チャックボディ31に、対象物を把持する一対の把持部材32,32を直線的に開閉可能に組み付け、これらの把持部材32,32を、該ボディ31内のシリンダ孔34内に配設したエア駆動のピストン33によって開閉動作させるようにしたエアチャックは公知である。
この種のエアチャックは、ピストン33のストロークを調整して両把持部材32,32間の閉じ幅を可変に設定可能にするのが、各種対象物に必要以上の把持力を作用させないようにし、あるいは把持部材が閉じた状態から開くまでの時間を短くするために有効である。そのため、この種のものは、通常、上記シリンダ孔34の端部を塞ぐエンド部材35に、該エンド部材35を貫通して上記ピストン33の一端側に当接するピストン33のストローク調整用の調整部材36が螺挿された構成を有していて、この調整部材36を螺動させてピストン33のストロークの長さを調整することにより、把持部材32の移動距離を調整できるようにしている。
【0003】
上記構成を有するエアチャックにおいては、エンド部材35と調整部材36との間をシールしてシリンダ孔34内の気密を保つ必要があるが、この場合、調整部材36にねじ山の無い部分を設け、その部分にOリング等のシール部材37を取付けてシールするのが通例である。
しかしながら、この構成のものは、調整部材36を移動させると、その移動距離分だけシール部材37がエンド部材35内を摺動するため、該エンド部材35は、最低でも調整部材36の螺挿長さとシール部材37の摺動距離Lとの和に相当する厚みが必要となり、この結果、エアチャックの全長がエンド部材35の厚み分だけ長くなってしまい、一層の小型化が要求されるエアチャックにおいては大きな問題であった。
しかも、上記シール部材37を交換する場合には、調整部材36全体を抜き取る必要があるため、交換作業が非常に面倒であるだけでなく、せっかく調整したピストン33のストローク長を再度調整する必要があり、きわめて不便であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の技術的課題は、エンド部材内における調整部材のシール部材の摺動距離をなくすることにより、エンド部材の厚みを小さくして、全体の小型化を可能としたエアチャックを提供することにある。
本発明の他の技術的課題は、上記シール部材の交換が容易なエアチャックを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明のエアチャックは、内部にシリンダ孔が設けられたチャックボディと、該シリンダ孔内に摺動可能に挿入されて軸線方向にエア駆動されるピストンと、シリンダ孔の一端側を気密に塞ぐエンド部材と、上記チャックボディに組み付けられ、上記ピストンに設けたロッドの移動により、該ロッドの軸線と直交する方向に直線的に駆動されて対象物を把持又は解放する一対の開閉自在の把持部材とを備え、上記エンド部材に、それを貫通して上記ピストンの一端側に当接するピストンストローク調整用の調整部材のねじ杆を螺挿し、該ねじ杆とエンド部材との間を、該エンド部材の外側においてねじ杆のねじ溝部分に嵌入してシールするファスナーシールによりシールし、上記エンド部材における調整部材の導出部にキャップを被着すると共に、チャックボディの凹部内に上記ロッドの動作を把持部材の開閉動作に変換するレバーを配設して、該凹部を、レバーの先端部が導出される導孔を除いてガイドブロックによって塞ぎ、上記キャップ内及びチャックボディの凹部に、発生した塵埃を排出する排出路を設けたことを特徴とするものである。
【0006】
上記構成を有するエアチャックは、チャックボディのシリンダ孔内のピストンをエア駆動することによりロッドを移動させると、一対の把持部材が移動して対象物の把持動作を行うが、エンド部材に螺挿されている調整部材によってピストンのストローク長を調整することにより把持部材の閉じ幅を設定することができる。
このとき、上記調整部材のねじ杆のねじ溝部分には、エンド部材と該ねじ杆との間をシールするファスナーシールが、上記エンド部材の外側に嵌入されているため、従来のもののように、調整部材にねじ山のない部分を設けて、その部分にシール部材を取付ける必要がなく、該シール部材がエンド部材内を摺動することがない。
これにより、上記調整部材の移動に伴うシール部材の摺動距離だけエンド部材の厚みを小さくすることが可能であり、この結果、チャックの全長を短縮し、全体を小型化することができる。
【0007】
しかも、上記ファスナーシールはエンド部材の外部に取付けられているため、いちいち調整部材全体を引き抜かなくても、このファスナーシールの交換を簡単に行うことが可能な構成とすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は本発明のエアチャックの一実施例を示すもので、この実施例のエアチャックは、内部にシリンダ孔2が設けられたチャックボディ1と、該シリンダ孔2内に摺動可能に挿入されて軸線方向にエア駆動されるピストン3と、上記チャックボディ1の上部においてシリンダ孔2の一端側を気密に塞ぐエンド部材4と、上記チャックボディ1に組み付けられ、上記ピストン3により駆動されて対象物を把持又は解放する一対の開閉自在の把持部材5,5とを備えている。
【0010】
上記ピストン3は、上記把持部材5を動作させるためのロッド6が一体に設けられていて、該ピストン3の駆動により、後述するように、把持部材5を該ロッド6の軸線と直交する方向に開閉動作させるものである。
また、上記チャックボディ1は、上記ピストン3のヘッド側及びロッド側に個別に連通する圧縮流体給排用のポート10,11を有していて、これらのポート10,11は該チャックボディの側面に開口している。
したがって、上記ポート10,11を通じてシリンダ孔2内におけるピストン3のヘッド側及びロッド側に圧縮流体を給排すると、ピストン3及びロッド6がシリンダ孔2内において往復駆動される。
【0011】
また、上記チャックボディ1の下部には、凹部16が形成されていて、該凹部16内に、上記ロッド6の先端を導出配置せしめると共に、該ロッド6の動作を上記把持部材5,5の開閉動作に変換する一対の略L字状のレバー12,12を配設している。
上記レバー12は、その中間部がチャックボディ1にピン21によって回転自在に枢支され、レバー12の基端に設けた凹状の切込12aにロッド6の先端の駆動ピン6aを嵌入係止させていて、上記ロッド6の上動又は下動により把持部材5の係合孔5aに係合するレバー12の先端部12bが一定角度回動するようになっている。
【0012】
さらに、上記チャックボディ1の下端部には、上記凹部16を塞ぐようにガイドブロック13が固定され、該ガイドブロック13の下面に、把持部材5,5の摺動方向に沿う凹溝14が設けられていて、該凹溝14の内側面間に上記把持部材5,5が転動部材により直線的に摺動自在に保持されている。上記レバー12は、その先端部12bがガイドブロック13における上記凹溝14内に開設された導孔13aから下方に導出され、凹溝14内に摺動自在の上記把持部材5,5の係合孔5aに係合されている。
【0013】
上記エンド部材4は、その中央部にねじ孔が穿設されていて、該ねじ孔には、エンド部材4を貫通して上記ピストン3のヘッド側に当接するピストンストローク調整用の調整部材7が螺挿されている。
上記調整部材7は、全体として棒状に形成され、全周にわたってねじ山が設けられたねじ杆を備え、上端面部に設けた穴に工具を差し込んで回転させることにより、調整部材7の軸方向へ螺動できるものである。この調整部材7は、下方に螺動させるにしたがって、ピストン3のストローク長が短くなり、把持部材5,5の閉じ幅を広く設定することができる。
【0014】
なお、上記ピストン3は、ヘッド側、即ち上記調整部材7が当接する側に窪み3aが設けられていて、この窪み3a内に、ピストン3と調整部材7とが接触した際の衝撃を緩衝する、ゴムや軟質の合成樹脂等の弾性部材によって形成された緩衝部材20が取付けられている。この緩衝部材20は、上記把持部材5,5の閉じ幅を精密に設定する必要がある場合、ピストン3のストローク長を精度よく調整することができるように、衝撃による弾性変形が小さい材質のものを用いることができる。
【0015】
上記エンド部材4の外側における調整部材7のねじ杆には、該ねじ杆とエンド部材4との間を流体密にシールするため、全体として円環状をしたファスナーシール8が嵌入されていて、固定用ナット9によって押圧固定されている。
上記ファスナーシール8は、図1及び図3に示すように、円環状に形成された金属製のリテーナ22と、その内周に取付けられ、該リテーナ22より厚みのあるゴム部材23とからなっていて、該ゴム部材23の内側にはひだ状のリップ部23aが複数枚一体に設けられている。
このファスナーシール8は、それを調整部材7のねじ杆に取付けた場合に、ゴム部材23及びリップ部23aがねじ杆のねじ溝部分の形状に合うように変形、密着すると共に、ゴム部材23のリテーナ22から突出した部分が上記固定用ナット9によってエンド部材4に押圧されることにより、調整部材7とエンド部材4との間を流体密にシールするものである。また、このファスナーシール8は、調整部材7をある程度螺動させても、ゴム部材23及びリップ部23aがその動きに追随して調整部材7のねじ杆におけるねじ溝に密着し、該ねじ杆とエンド部材4との間をシールするものである。
【0016】
上記エンド部材4の上面側には、上記ファスナーシール8、固定用ナット9及び調整部材7の導出部を被包するように、キャップ15が被着されている。そして、このキャップ15内、並びに前記凹部16内においては、エンド部材4及びチャックボディ1に、調整部材7の螺動、あるいは把持部材5やロッド6等の動作によって発生した摩耗粉を排出する排出路17,24をそれぞれ設けて、クリーンルーム内等でこのエアチャックを使用する場合における周辺環境の汚染を抑えるようにしている。これらの排出路17,24は、チャックボディ1に設けたポート10,11等との干渉を避けるように配設され、排出路17はチャックボディ1の上部側に設けた排出用ポート18に、排出路24はチャックボディ1の下部側に設けた排出用ポート19にそれぞれ連通させている。
【0017】
上記構成を有するエアチャックは、チャックボディ1のシリンダ孔2のヘッド側に圧縮流体を供給して、ピストン3をエア駆動することによりロッド6を駆動すると、レバー12を介して一対の把持部材5,5が開駆動され、一方、ロッド側に圧縮流体を供給してヘッド側を排気させると、把持部材5,5により対象物の把持動作が行われる。
【0018】
この場合に、エンド部材4に螺挿されている調整部材7のねじ杆を螺動することにより、ピストンのストローク長を調整しておくことにより、把持部材5,5の閉じ幅を設定することができる。
このストロークの調整に際し、上記調整部材7のねじ杆のねじ溝部分には、上記エンド部材4の外側において、該エンド部材4と調整部材7との間をシールするファスナーシール8のリップ部23aが嵌入しているため、従来のもののように、調整部材にねじ山のない部分を設けて、その部分にシール部材を取付ける必要がなく、該シール部材がエンド部材内を摺動することがない。これにより、該調整部材の移動に伴うシール部材の摺動距離だけ、エンド部材4の厚みを小さくすることができ、この結果、エアチャックの全長を短縮し、全体を小型化することができる。
【0019】
しかも、上記ファスナーシール8は、エンド部材4の外部に取付けられているため、その交換は、いちいち調整部材7を引き抜かなくても、固定用ナット9を取外しさえすれば簡単に行うことができる。また、このファスナーシール8は、上記調整部材7のねじ杆をある程度螺動させても、該調整部材7とエンド部材4との間を確実にシールするため、調整部材7の装着のための調整作業も容易に行うことができる。
【0020】
なお、上記実施例においては、調整部材7を全体としてねじ杆状に形成したものを示しているが、これに限るものではない。また、ピストン3のロッド6により略L字状のレバー12を介して把持部材5を開閉駆動するようにしているが、各種構造のレバー等を介して一対の把持部材5を開閉するように構成できるのはもちろんである。
【0021】
【発明の効果】
以上に詳述したように、本発明のエアチャックによれば、ピストンのストローク長を調整する調整部材のねじ溝部分に、エンド部材と該ねじ溝との間をシールするファスナーシールが嵌入され、しかもそれが上記エンド部材の外側に嵌入されているため、従来のもののように、調整部材にねじ山のない部分を設けて、その部分にシール部材を取付ける必要がなく、該シール部材がエンド部材内を摺動することがない。したがって、上記調整部材の移動に伴うシール部材の摺動距離だけエンド部材の厚みを小さくすることが可能であり、その結果、チャックの全長を短縮し、全体を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエアチャックの一実施例を示す縦断正面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】ファスナーシールを示す斜視図である。
【図4】従来のエアチャックを示す断面図である。
【符号の説明】
1 チャックボディ
2 シリンダ孔
3 ピストン
4 エンド部材
5 把持部材
6 ロッド
7 調整部材
8 ファスナーシール
15 キャップ
17 排出路

Claims (1)

  1. 内部にシリンダ孔が設けられたチャックボディと、該シリンダ孔内に摺動可能に挿入されて軸線方向にエア駆動されるピストンと、シリンダ孔の一端側を気密に塞ぐエンド部材と、上記チャックボディに組み付けられ、上記ピストンに設けたロッドの移動により、該ロッドの軸線と直交する方向に直線的に駆動されて対象物を把持又は解放する一対の開閉自在の把持部材とを備え、
    上記エンド部材に、それを貫通して上記ピストンの一端側に当接するピストンストローク調整用の調整部材のねじ杆を螺挿し、該ねじ杆とエンド部材との間を、該エンド部材の外側においてねじ杆のねじ溝部分に嵌入してシールするファスナーシールによりシールし、
    上記エンド部材における調整部材の導出部にキャップを被着すると共に、チャックボディの凹部内に上記ロッドの動作を把持部材の開閉動作に変換するレバーを配設して、該凹部を、レバーの先端部が導出される導孔を除いてガイドブロックによって塞ぎ、上記キャップ内及びチャックボディの凹部に、発生した塵埃を排出する排出路を設けた、
    ことを特徴とするエアチャック。
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