JP3929205B2 - Method for melting the primary coating layer - Google Patents
Method for melting the primary coating layer Download PDFInfo
- Publication number
- JP3929205B2 JP3929205B2 JP17612299A JP17612299A JP3929205B2 JP 3929205 B2 JP3929205 B2 JP 3929205B2 JP 17612299 A JP17612299 A JP 17612299A JP 17612299 A JP17612299 A JP 17612299A JP 3929205 B2 JP3929205 B2 JP 3929205B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- ring material
- coating layer
- primary coating
- melting
- inductor
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P10/00—Technologies related to metal processing
- Y02P10/25—Process efficiency
Landscapes
- Constitution Of High-Frequency Heating (AREA)
- Coating By Spraying Or Casting (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中空の円筒状の部材(以下リング材という)の外周面、内周面或いは端面に、耐摩耗性、耐熱性、耐食性等を付与するために溶射法等で形成した金属被覆層(一次被覆層という)を緻密化するための高周波誘導加熱による溶融処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属管或いは金属ローラ等の外周面に、物性を向上させるために、溶射等によって金属被覆層を形成することが行われている。また、溶射等によって金属被覆層を形成した後、その金属被覆層(一次被覆層)を誘導加熱して溶融させ、その一次被覆層に存在していた気孔及び酸化物を除去し、緻密な二次被覆層にするといった溶融処理を施すことも知られている。通常、金属管或いは金属ローラの外周面に形成した一次被覆層に高周波誘導加熱による溶融処理を施すには、金属管或いは金属ローラの軸線方向の一部区間を取り囲む環状の誘導コイルを用い、その誘導コイルで一次被覆層を環状に加熱、溶融させると共にその誘導コイルを金属管或いは金属ローラの軸線方向に相対的に移動させ、一次被覆層の全長に溶融処理を施していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
最近、直径が1〜3mに及ぶ大径のリング材の外周面、内周面或いは端面の物性向上のために、緻密な組織を持った金属被覆層を形成するという要求が生じた。これに対処するには、例えば、リング材の外周面に金属被覆層を形成する場合には、従来の金属管や金属ローラに対する場合と同様に、リング材の外周面に金属材料の一次被覆層を溶射法等を用いて形成し、次いで、そのリング材を取り囲むように環状の誘導コイルを配置し、リング材外周面の一次被覆層に高周波誘導加熱による溶融処理を施して一次被覆層に存在していた気孔及び酸化物を除去し、緻密な二次被覆層とすれば良いと考えられる。ところが、大径のリング材の外周面に形成した一次被覆層を取り囲む構成の誘導コイルは、きわめて大型となるので、溶融処理装置全体がきわめて大型化し、設備費が大きくなるという問題を生じる。また、誘導コイルに代えて炉加熱を利用することも考えられるが、その場合には大きいリング材を入れるための大型の炉を必要とするばかりでなく、加熱に時間がかかり生産性が悪いという問題があり、また炉内にリング材を置いた時の支持手段を適切にしないとリング材に温度むらが生じて被覆層の処理むらが生じるとかリング材に不規則な変形が生じるという問題がある。これらの問題は、リング材の内周面や端面に一次被覆層を形成した場合にも同様に生じる。
【0004】
そこで、本発明者等はこれらの問題点を解決する方法として、リング材の外周面又は内周面に形成した一次被覆層の周方向の一部区間を誘導加熱しうる誘導子を前記リング材外周面又は内周面に対向して配置し、その誘導子に通電した状態で、前記リング材を外径の拡大を妨げない形で支持して定位置で回転させ、これによって、一次被覆層の周方向の一部区間を加熱、溶融しながらその溶融処理部分を前記一次被覆層の全周にわたって移動させ、一次被覆層の全周を溶融して気孔及び酸化物を除去し、緻密な二次被覆層とする方法を開発し、特許出願した〔特願平10−262926号(特許第3729657号)〕。この方法は、大径のリング材に形成した一次被覆層に対して、小型の誘導子を用いて効率良く高周波誘導加熱による溶融処理を行うことができ、且つリング材に不安定な変形を生じさせることがない等の効果を有している。
【0005】
ところが、この方法の実施に当たって一次被覆層を加熱するための誘導子として、一次被覆層にほぼ平行な面内でループ状に形成した、いわゆる面焼きコイルを用いたところ、更に改良すべき点のあることが判明した。すなわち、面焼きコイルで一次被覆層の周方向の一部区間を誘導加熱すると、温度むらが生じ易く、特に角部の温度が高くなる傾向がある。更に、面焼きコイルと一次被覆層との間隔が発生熱量及び電磁力に大きい影響を与えており、この間隔が変動することでも温度むらが生じ、また電磁力による攪拌効果にむらが生じる。この結果、溶融処理後の被覆層に割れ、しわ、くぼみ、くびれ等が生じやすい。これを防ぐには、面焼きコイルでの加熱条件(一次被覆層との間隔、印加周波数、供給電力、リング材に対する相対的な移動速度等)を、処理対象に応じた狭い最適条件に設定して保持すると共に、面焼きコイルと一次被覆層との間隔も精密に制御しなければならないという問題があった。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、リング材に形成した一次被覆層を誘導加熱により溶融処理するに際し、誘導子と一次被覆層との間隔を精密に制御する必要をなくし、且つ加熱条件も比較的ラフに設定することで、良好に一次被覆層の溶融処理を行うことを可能とする溶融処理方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、リング材の外周面、内周面又は端面に形成した一次被覆層を高周波誘導加熱によって溶融処理するために、前記リング材を複数のローラで、前記リング材の熱膨張に伴う拡径、冷却時の熱収縮に伴う縮径を許容する形で且つ定位置で回転させることができるように支持すると共に、前記リング材の周方向の一部区間を誘導加熱することができるよう、その一部区間を環状に取り囲む誘導子を配置し、前記リング材を回転させながら、該リング材の周方向の一部区間を前記誘導子で誘導加熱するという構成としたものである。ここで、「リング材の熱膨張に伴う拡径、冷却時の熱収縮に伴う縮径を許容する形で」とは、リング材の外周面或いは内周面が全く拘束されていない場合のみならず、リング材の外周面又は内周面の1箇所若しくは複数箇所が移動しないように拘束されていてもリング材が全体として拡径可能、縮径可能な場合を含むものである。
【0008】
本発明は、この構成により、誘導子が前記リング材の周方向の一部区間を誘導加熱してその部分にある一次被覆層を溶融させ、リング材の回転によってその溶融部分が前記一次被覆層に沿って全周に亘って移動し、一次被覆層に存在していた気孔及び酸化物を除去し、緻密な二次被覆層にすることができる。ここで使用する誘導子は、リング材の周方向の一部区間を取り囲む形状のものであるので、リング材の外径に関係なく小型のものとすることができる。また、その誘導子はリング材の周方向の一部区間を取り囲んでいるので、その誘導子で取り囲んだリング材の断面内に、誘導子を流れる電流とは反対方向に循環する誘導電流が発生してリング材及び一次被覆層を誘導加熱することができ、且つその時の誘導電流量は誘導子とリング材との間隔の影響をあまり受けないので、間隔が多少変動しても発熱量は変化しない。更に、誘導子は一次被覆層のみならずリング材も加熱しているので、被加熱部分の熱容量が大きく、このため、面焼きコイルによって主として一次被覆層を加熱する場合に比べて、一次被覆層の温度むらが生じにくい。かくして、誘導子とリング材との間隔を精密に制御しなくても、また、面焼きコイルを使用する場合に比べて広い加熱条件でも、一次被覆層を均一に加熱して良好に溶融処理することができる。また、この誘導子はリング材を局部的に加熱するため、リング材の加熱された部分には熱膨張による伸びが生じるが、リング材は、拡径、縮径を許容する形で支持されているため比較的自由に伸びたり、縮んだりすることができ、従って、拘束による異常変形が生じるということがなく、大径のリング材に対しても小さい誘導子を用いて良好に高周波誘導加熱による溶融処理を施すことができる。
【0009】
本発明の高周波誘導加熱による溶融処理に当たっては、リング材を400〜800℃に予熱しておくことが好ましい。このように予熱を行っておくと、一次被覆層の溶融処理に当たっての昇温温度を小さくでき、一次被覆層に生じる恐れのある亀裂や割れを防止できる。もし、予熱を行っていない場合には、リング材の一部区間を急速に且つ大きい昇温範囲で昇温させることが必要となり、その場合、リング材と一次被覆層の熱膨張率差に起因して一次被覆層に過大な引っ張り力が作用し、亀裂や割れが生じる恐れがあるが、予熱によりこれを防止でき、安定した溶融処理が可能となる。なお、予熱を行う方法は、特に限定されず、炉で加熱する方法、バーナー等で加熱する方法等を用いることができるが、溶融処理を行うための誘導子を用いることが好ましい。すなわち、リング材を誘導子で誘導加熱しながら、リング材を溶融処理時に比べて高速で回転させることで、リング材を全周に亘って予熱することができ、これにより、予熱専用の装置が不要となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において、溶融処理の対象とするリング材の形状及び一次被覆層の位置の代表例としては、図11(a)に示すように、単純なリング状のリング材1の外周面に一次被覆層2を形成したもの、図11(b)に示すように、単純なリング状のリング材1の内周面に一次被覆層3を形成したもの、図11(c)に示すように、扁平なリング材4の端面に一次被覆層5を形成したものを挙げることができるが、これに限らず、適宜変更可能である。例えば、一次被覆層をリング材の外周面に形成する場合において、図12(a)、(b)、(c)に示すリング材1A、1B、1Cに示すように、内外面に段差を設けるとか、溝を形成する等の変更を行い、また、一次被覆層2A、2B、2Cのように形成位置を変更してもよい。一次被覆層を内周面に形成する場合、端面に形成する場合においても同様に変更を加えても良い。
【0011】
リング材(1、1A、1B、1C、4等)の寸法も特に限定されるものではないが、径の大きいもの、例えば外径が1〜3mといった大径のものが、本発明適用の効果が特に大きい。また、リング材の材質も限定されるものではないが、具体例としては、炭素鋼、低合金鋼、ステンレス鋼、鋳鋼、鋳鉄、Ni基合金、Cu基合金等を挙げることができる。
【0012】
リング材に形成する一次被覆層(2、2A、2B、2C、5等)の材料としては、Ni基合金、Co基合金、或いはこれらにWC、Cr3 C2 、TiB2 等の硬質材微粒子を配合したもの等を挙げることができる。また、一次被覆層の材料には、溶融が円滑に行えるよう、B、Siなどのフラックス生成成分を配合して自溶性を具備させておくことが望ましい。リング材に対して金属材料の一次被覆層を形成する方法は、溶射法が一般的であるが、それ以外にも圧密法、スラリー塗布法、遠心堆積法(リング材内周面に形成する場合)等を採用しうる。一次被覆層の厚さは、所期の厚さの金属被覆層(二次被覆層)が最終的に得られるように定めるものであり、通常、0.5〜5mm程度に選定される。
【0013】
以下、一次被覆層をリング材の外周面に形成した場合、内周面に形成した場合、及び端面に形成した場合に分けて、実施形態を説明する。
【0014】
図1、図2は、リング材1の外周面に形成した一次被覆層2を高周波誘導加熱により溶融処理する場合の一実施形態を示すものであり、ここでは、リング材1を、その中心軸線が垂直になるように保持して回転させる構成となっている。この実施形態で用いる装置(溶融処理装置)は、リング材1を回転可能に保持するための手段として、軸線が垂直になるように且つ回転可能に設けられた3個の支持ローラ11A、11B、11Cと、水平に設けられた受けローラ12を設けている。ここで、3個の支持ローラ11A、11B、11Cのうち、2個の支持ローラ11A、11Bは、一定位置で回転するように設けられているが、残りの支持ローラ11Cはその軸線に直角方向に(矢印Aで示す方向に)移動可能に設けられている。更に、その支持ローラ11Cには、その支持ローラ11Cを適当な圧力でリング材1の内面に押し付けるようエアシリンダ等の押圧手段(図示せず)が連結されている。かくして、3個の支持ローラ11A、11B、11Cを取り囲むようにリング材1を配置し、支持ローラ11Cを矢印A方向に押してリング材1の内周面に押し付けることにより、リング材1の内周面を定位置に配置された2個の支持ローラ11A、11Bに押し付け、リング材1をその2個の支持ローラ11A、11Bで定まる所定位置に位置決めして保持できる。
【0015】
このように、移動可能な支持ローラ11Cを含む3本の支持ローラ方式を採用すると、リング材1をセットする際に、支持ローラ11Cを矢印Aとは反対方向に引っ込めておくことにより、リング材1のセットをきわめて容易に行うことができ、またリング材1の内径の大小に関係なく、リング材1を2個の支持ローラ11A、11Bで定まる所定位置に位置決めして保持できるという効果が得られる。なお、支持ローラ11A、11Bの配置間隔は簡単に変更できるようにしておくことが好ましい。ここで使用する支持ローラの個数は、図示した3個に限らず、2個或いは4個以上とすることも可能である。例えば、2個使用する場合には、一方を定位置に設け、他方を移動可能とすることにより、リング材2をその2個の支持ローラがリング材2の直径上に位置するように位置決めすることができる。また、4個を使用する場合には2個を定位置に設け、残り2個を移動可能とすることで、リング材を定位置の2個で定まる位置に位置決めすることができる。
【0016】
図1、図2の実施の形態において、更に、1個の支持ローラ11Aには、その支持ローラを回転駆動するための駆動手段(図示せず)が連結されており、その支持ローラ11Aを回転させることで、リング材1を回転させることができる。前記した支持ローラ11Cをリング材1の内周面に押し付ける押圧力としては、リング材1が半径方向に移動しないように拘束すると共に支持ローラ11Aの回転をリング材1に伝達可能な摩擦力を確保しうるが、リング材1を変形させることがないように低く定めている。なお、駆動手段で回転させる支持ローラは、1個に限らず、2個或いは全部としてもよい。回転駆動する支持ローラの個数を多くすると、リング材1を回転させるのに必要な摩擦力が小さくて済むので、リング材1を回転させるために要する支持ローラのリング材1に対する押圧力を小さくすることが可能となる。
【0017】
リング材1を支持する受けローラ12は、単にリング材1の重量を受けるためのものであり、リング材1の回転に支障を生じないよう、受けローラ12も回転自在に設けられている。なお、リング材1を回転自在に保持する手段としては受けローラ12に限らず、適宜変更可能である。
【0018】
図1、図2に示す溶融処理装置は更に、一次被覆層2を加熱、溶融させるための誘導子14を備えている。この誘導子14は、リング材1の周方向の一部区間を誘導加熱することができるよう該一部区間を環状に取り囲む構成のものであり、高周波電源装置(図示せず)に接続されている。なお、誘導子14は、リング材1を取り囲むように取り付けるのを容易とするため二つ割り構造とするとか、ヒンジ開閉構造とすることが好ましい。誘導子14による加熱領域15(図3にハッチングで示す領域)の周方向の寸法dは、誘導子14による投入電力、リング材1の回転速度等によっても異なるが、通常は20〜70mm程度に設定される。この寸法dが20mmよりも小さいと、加熱領域が小さすぎて、良好な誘導加熱が困難となると共にリング材1の回転速度を小さくせざるを得ず、このため処理速度が遅くなり、一方70mmよりも大きいと、誘導子14が大型化してしまう。これらを考慮すると上記した寸法範囲が好ましい。誘導子14は通常、リング材1の回転中心軸線に平行に配置され、従って、加熱領域15もリング材1の中心軸線に平行となっている。なお、必要に応じ、誘導子14をリング材1の軸線に対して傾斜させることも可能であり、その場合には、図4に示すように加熱領域15Aは、リング材1の軸線に対して傾斜した状態に形成される。
【0019】
次に、上記構成の溶融処理装置による溶融処理動作を説明する。外周面に溶射等で形成した金属材料の一次被覆層2を備えたリング材1を図1、図2のようにセットし、3個の支持ローラ11A、11B、11Cで所定位置に位置決めすると共に、そのリング材1の周方向の一部区間を取り囲むように誘導子14をセットする。次いで、誘導子14によるリング材1の予熱を行う。すなわち、誘導子14に通電を開始し、それに囲まれたリング材1の一部区間を誘導加熱すると共に支持ローラ11Aの回転を開始し、リング材1を連続的に回転させる。この時、リング材1の回転速度は、一次被覆層2が直ちに溶融温度まで昇温することがないように大きく設定しており、このためリング材1及び一次被覆層2が徐々に昇温してゆく。
【0020】
リング材1及び一次被覆層2が所望の予熱温度(例えば、400〜800℃程度)に達すると、リング材1の一部が誘導子14を通り抜ける間に一次被覆層2が溶融温度以上に昇温し、溶融処理が行われるように、リング材1の回転速度を低下させ且つ/又は誘導子14の加熱電力を上昇させ、その状態で回転を継続する。これにより、リング材1の誘導子14による加熱領域15において一次被覆層2が溶融して、その一次被覆層2に存在していた気孔及び酸化物を除去され、この加熱領域15が一次被覆層2の周方向に連続的に移動してゆくことで一次被覆層15の新たな部分を次々と溶融させ、気孔及び酸化物を除去してゆく。そして、加熱領域15がリング材1の外周面を1周することにより、一次被覆層2の全面が溶融処理され、緻密な二次被覆層が形成される。
【0021】
以上の溶融処理動作において、図2(b)から良く分かるように、誘導子14がリング材1を取り囲んでいるため、リング材1及び一次被覆層2には矢印で示すようにその断面を循環する誘導電流が発生してリング材1及び一次被覆層2を発熱させる。このように誘導子14で取り囲まれた断面内に生じる誘導電流は、誘導子14とリング材1との間隔の影響をあまり受けないので、誘導子14をセットする際に誘導子14とリング材1との間隔が多少設定値とは異なっても、また、リング材1の回転中にリング材1の偏心等によって誘導子14とリング材1との間隔が変動しても、発生する誘導電流量はあまり変化しない。これにより、一次被覆層2に周方向の温度むらがほとんど発生しない。更に、誘導子14はそれに囲まれているリング材1の一部区間の全周を加熱するので、主として一次被覆層2を加熱する場合に比べて熱容量が大きく、このため、図2に示す断面内において一次被覆層2の温度むらが生じにくい。これにより、一次被覆層が幅方向にも、周方向にも均一に加熱されて溶融処理されることとなり、溶融処理後の被覆層に割れ、しわ、くぼみ、くびれ等が生じることがなく、表面が平滑な且つ緻密な二次被覆層を形成できる。
【0022】
また、一次被覆層2を誘導子14により溶融処理する前に、リング材1及び一次被覆層2を予熱しているので、一次被覆層2の溶融処理の際の上昇温度幅が小さくなる。これにより、溶融処理のための昇温時にリング材1及び一次被覆層2に生じる熱膨張量が小さくなり、両者の熱膨張率差に基づく熱膨張量の差も小さくなり、加熱、昇温時に一次被覆層2に生じるひび、割れを防止できる。もし、リング材1及び一次被覆層2を常温から急速に一次被覆層2の溶融温度まで昇温させると、熱膨張が急激に生じ、その際一次被覆層2はリング材1に比べて熱膨張率がきわめて小さいため、一次被覆層2には過大な引っ張り力が作用してひび、割れを発生する恐れがあるが、予熱を行うことにより、これを防止できる。なお、リング材1及び一次被覆層2の予熱の際にも、昇温を急激に行うと一次被覆層2にひびや割れが生じる恐れがあるので、ひびや割れが生じないようにゆっくりと昇温させる。入熱時の昇温速度(リング材が誘導子を通過する間の昇温速度)は、予熱対象によっても異なるが、通常は5〜50℃/s程度に設定することが好ましい。予熱温度はあまり低いと予熱の意味がなく、一方、高過ぎると一次被覆層の溶融が始まるとか、予熱に時間がかかる等の問題が生じるので、これらを考慮して定めるものであり、通常、上記したように、400〜800℃とすることが好ましい。
【0023】
上記した予熱時及び溶融処理時において、リング材1は誘導子14により局部的に加熱され、その部分が熱膨張しようとし、リング材1を拡径させようとし、またその後冷却時には熱収縮して縮径しようとする。この時、リング材1は半径方向には、その内周面を3個の支持ローラ11A、11B、11Cで支えられるのみであり、かつその内の1個の支持ローラ11Aは移動可能であるので、拡径、縮径方向には自由である。このため、リング材1の加熱部は支障なく熱膨張でき、また、冷却時に縮径することもでき、拘束による異常変形が生じるということがなく、良好な溶融処理を行うことができる。
【0024】
以上の溶融処理を行うと、リング材1は幾分縮径し且つその縮径量は十分な再現性を持っていることが判明した。そこで、所望外径又は内径の、二次被覆層を備えたリング材を製造するには、一次被覆層2を形成するリング材1の外径又は内径寸法を、高周波誘導加熱による溶融処理を施すことによって生じる前記リング材の外径又は内径の縮径分を見込んであらかじめ大きく設定しておく。これにより、溶融処理後には、所望の外径又は内径を持った、二次被覆層を備えたリング材を得ることができる。
【0025】
なお、以上の説明は、誘導子14による加熱領域15が図3に示すようにリング材1の中心軸線に対して平行に形成される場合のものであるが、図4に示すように加熱領域15Aを傾斜させた場合も、同様にして一次被覆層2の全周に対して溶融処理を行うことができる。そしてこの場合には、一次被覆層2のリング材中心軸線に平行な部分、例えば、図4の線B−B上の部分の溶融処理処理が時間差をおいて実施されるので、一次被覆層2に対して周方向の品質むらがきわめて小さい溶融処理を行うことができる。
【0026】
図5は、リング材1の回転中心軸線を水平に配置した実施の形態による溶融処理装置を示すものである。この溶融処理装置は、外周面に一次被覆層2を形成したリング材1を回転可能に保持するための手段として、軸線が水平になるように且つ同じ高さに間隔をあけて設けられた2個の支持ローラ21A、21Bを用いている。この実施の形態では、単に定位置に設けられた2個の支持ローラ21A、21Bの上にリング材1の内周面を載せることで、種々な内径のリング材1を所定位置に回転可能に保持することができ、構造を簡単化できる利点が得られる。なお、支持ローラ21A、21Bの配置間隔も簡単に変更できるようにしておくことが望ましい。また、必要に応じ、支持ローラ21A、21Bに保持されたリング材1が軸線方向に動くのを阻止するための適当な手段を設けてもよい。更には図1記載例と同様に第三の支持ローラをリング材周方向の適宜個所に設けてリング材が踊りにくいようにしてもよい。
【0027】
更に、この実施の形態においても、少なくとも1個の支持ローラ21Aに、その支持ローラを回転駆動するための駆動手段(図示せず)が連結されており、その支持ローラ21Aを回転させることで、リング材1を回転させることができる。なお、リング材1の自重のみでは、支持ローラ21Aに対する摩擦力が不足し、支持ローラ21Aで回転させられることが困難な場合には、2個の支持ローラ21A、21Bの下方に、図1に示す装置の支持ローラ11Cと同様に移動可能な支持ローラを設け、それを押圧手段によってリング材1の内周面に押し付ける構成とすればよい。
【0028】
この実施形態でも、リング材1の周方向の一部区間を取り囲むように誘導子24が設けられ、高周波電源装置(図示せず)に接続されている。誘導子24の取り付け位置は、特に限定されるものではないが、この実施の形態では、リング材1の回転中心軸線O−Oから水平に引いた水平線H−Hよりも上方の位置でリング材1を加熱するように誘導子24を位置させている。
【0029】
図5に示す実施の形態でも、誘導子24に通電した状態で、リング材1を高速で回転させることにより、リング材1及び一次被覆層2を予熱し、所望温度に予熱した時点で、リング材1の回転速度を低下させ且つ/又は誘導子24の加熱電力を上昇させ、誘導子24で一次被覆層2を加熱、溶融させ、その溶融部分を一次被覆層2の周方向に連続的に移動させて行くことができ、一次被覆層2に対して高周波誘導加熱による溶融処理を行って緻密な二次被覆層を形成することができる。また、この溶融処理の際、リング材1は外径方向に拘束されていないため、加熱部分が熱膨張する際或いは冷却時の熱収縮する際に、拘束による異常変形を生じることがない。かくして、リング材に異常変形を残すことなく、溶融処理を行うことができる。更に、上記の実施の形態では、誘導子24をリング材1の上半分に対向する位置に配置したため、一次被覆層2の溶融した部分が上向きとなっており、気泡が抜けやすいという利点が得られる。また、リング材1の回転中心軸線を水平としているので、一次被覆層2の溶融した部分が水平となっており、このため溶融金属が重量で下方に流れることがあるとしても、水平方向には流れず、一次被覆層2の幅方向の皮膜厚さの変化を抑制できるという利点も得られる。なお、溶融処理時におけるリング材1の回転方向としては、図5に示すように、誘導子24に対向する一次被覆層2が上向きに移動するように選定することが好ましい。この構成とすると、溶融した金属が下方に流れるのを阻止しうる利点が得られる。
【0030】
以上の説明では、図1、図2、図5等に示す溶融処理装置で、リング材1の外周面の一次被覆層2に高周波誘導加熱による溶融処理を施す場合のみを説明したが、この装置は高周波誘導加熱による溶融処理のみならず、一次被覆層2を形成するための溶射時にも使用可能である。例えば、図1、図2に示す溶融処理装置においては、3本の支持ローラ11A、11B、11Cにリング材1を保持させ、そのリング材1に対向して溶射ガンを配置しておき、リング材1を回転させながらリング材1の外周面に対して溶射を行うことで、一次被覆層2を形成することが可能である。更には、上記溶射に続く一連動作で溶融処理を行うことも可能であり、これによって生産性を向上させることができる。
【0031】
次に、リング材1の内周面に形成した一次被覆層3を高周波誘導加熱によって溶融処理する場合の実施形態を説明する。図6は、リング材1の回転中心軸線を垂直に配置して処理を行うための溶融処理装置を示すものである。この溶融処理装置は、図1、図2に示した溶融処理装置に比べて、3個の支持ローラ31A、31B、31Cをリング材1の外周面に接触するように配置した点において異なっているが、その他の構成は同様である。図7の実施の形態においても、3個の支持ローラ31A、31B、31Cのうち、2個の支持ローラ31A、31Bは、一定位置で回転するように設けられているが、残りの支持ローラ31Cはその軸線に直角方向に(矢印Cで示す方向に)移動可能に設けられ、且つ適当な圧力でリング材1の外周面に押し付けるようエアシリンダ等の押圧手段(図示せず)に連結されている。また、1個の支持ローラ31Aには、その支持ローラを回転駆動するための駆動手段(図示せず)が連結されている。
【0032】
この構成により、3個の支持ローラ31A、31B、31Cの内側に位置するようにリング材1を配置し、支持ローラ31Cを矢印C方向に押してリング材1の外周面に押し付けることにより、リング材1の外周面を定位置に配置された2個の支持ローラ31A、31Bに押し付け、リング材1をその2個の支持ローラ31A、31Bで定まる所定位置に位置決めして保持でき、支持ローラ31Aを回転させることでリング材1を回転させることができる。ここで、前記した支持ローラ31Cをリング材1の外周面に押し付ける押圧力としては、リング材1を定位置に配置された2個の支持ローラ31A、31Bに押し付けて位置決めすると共に支持ローラ31Aの回転をリング材1に伝達可能な摩擦力は確保できるが、リング材1が誘導子34によって加熱され拡径しようとした時には、支持ローラ31Cがその拡径を拘束することなく後退させられるように低く定めている。従って、リング材1は3個の支持ローラ31A〜31Cによって外径の拡大、縮小を許容する形で回転可能に保持されることとなる。
【0033】
リング材1及び一次被覆層3の加熱のための誘導子34は、図1の実施形態における誘導子14と同様なものであり、リング材1の周方向の一部区間を取り囲んで誘導加熱するものである。
【0034】
上記構成の溶融処理装置においても、図1、2に示す装置で説明したのと同様な溶融処理動作が行われる。すなわち、内周面に溶射等で形成した金属材料の一次被覆層3を備えたリング材1を図6に示すようにセットし、3個の支持ローラ31A〜31Cで所定位置に位置決めすると共に、そのリング材1を取り囲むように誘導子34をセットし、誘導子34への通電を開始すると共にリング材1を高速で回転させてリング材1及び一次被覆層3を予熱し、予熱終了後は、リング材1の回転速度を低下させ且つ/又は誘導子34の加熱電力を上昇させて、誘導子34で囲まれた一部区間を高温に加熱し、一次被覆層3を溶融処理する。これにより、加熱領域で一次被覆層3が溶融して、その一次被覆層3に存在していた気孔及び酸化物が除去され、その加熱領域がリング材1を1周することにより、一次被覆層3の全面が溶融処理され、緻密な二次被覆層が形成される。この動作の際、リング材1は拡径、縮径方向には拘束されていないので、誘導子34による局部的な加熱による熱膨張或いは冷却時の収縮によって、異常変形が生じるということがなく、良好な溶融処理を行うことができる。
【0035】
図7は、リング材1の回転中心軸線を水平に配置した実施の形態による溶融処理装置を示すものである。この溶融処理装置は、図6に示した溶融処理装置に比べて、2個の支持ローラ41A、41Bをリング材1の外周面を乗せて支持するように配置すると共に上面を押さえるように押圧機構(図示せず)を備えた支持ローラ41Cを設けた点において異なっているが、その他の構成は同様である。この実施の形態においても、支持ローラ41Cの押圧力は、支持ローラ41Aの回転をリング材1に伝達可能な摩擦力は確保できるが、リング材1が誘導子44によって加熱され拡径しようとした時には、支持ローラ41Cがその拡径を拘束することなく後退させられるように低く定めている。従って、リング材1は3個の支持ローラ41A〜41Cによって外径の拡大、縮小を許容する形で回転可能に保持されることとなる。なお、リング材1の自重のみで支持ローラ41Aの回転をリング材1に伝達可能な摩擦力を確保できる場合には、支持ローラ41Cは省略してよい。
【0036】
図7に示す実施の形態でも、誘導子44に通電した状態で、リング材1を高速で回転させてリング材1及び一次被覆層3を予熱し、次いで、回転速度を低下させ且つ/又は誘導子44の加熱電力を上昇させることにより、誘導子44で一次被覆層3を溶融させ、その溶融部分を一次被覆層3の周方向に連続的に移動させて行くことができ、一次被覆層3に対して高周波誘導加熱による溶融処理を行って緻密な二次被覆層を形成することができる。また、この溶融処理の際、リング材1は拡径方向、縮径方向に拘束されていないため、拘束による異常変形を生じることがなく、良好な溶融処理を行うことができる。なお、図示したように、誘導子44をリング材1の最下部を取り囲むように配置すると、一次被覆層3の溶融した部分が上向きとなって、気泡が抜けやすく、また、一次被覆層3の溶融した部分が水平であるので溶融金属が自重で流れるということがなく、一次被覆層3の皮膜厚さの変化を抑制できるという利点が得られる。
【0037】
なお、図6、図7に示す実施の形態においても、溶融処理によりリング材1は縮径するので、所望外径又は内径の、二次被覆層を備えたリング材を製造するには、一次被覆層2を形成するリング材1の外径又は内径寸法を、高周波誘導加熱による溶融処理を施すことによって生じる前記リング材の外径又は内径の縮径分を見込んであらかじめ大きく設定しておけばよい。
【0038】
次に、リング材4の端面に形成した一次被覆層5を高周波誘導加熱により溶融処理する場合の実施形態を説明する。図8は、リング材4の回転中心軸線を垂直に配置して処理を行うための溶融処理装置を示すものである。この溶融処理装置は、図1、図2に示した溶融処理装置と実質的に同様なものであり、リング材4の内周面に接触するように設けた3個の支持ローラ51A、51B、51Cと、リング材4を支持する受けローラ52と、リング材4の周方向の一部区間を取り囲む構成の誘導子54等を備えている。この実施形態では、リング材4を一次被覆層5が上向きとなるようにセットし、誘導子54に通電した状態で、リング材4を高速で回転させてリング材4及び一次被覆層5を予熱し、次いで、回転速度を低下させ且つ/又は誘導子54の加熱電力を上昇させることにより、誘導子54で一次被覆層5を溶融させ、その溶融部分を一次被覆層5の周方向に連続的に移動させて行くことができ、一次被覆層5に対して溶融処理を行って緻密な二次被覆層を形成することができる。また、この溶融処理の際、リング材4は拡径方向、縮径方向に拘束されていないため、拘束による異常変形を生じることがなく、良好な溶融処理を行うことができる。この実施形態では、溶融処理すべき一次被覆層5が上向きとなっているので、気泡が抜けやすく、また、一次被覆層5の溶融した部分が水平であるので溶融金属が自重で流れるということがなく、一次被覆層5の皮膜厚さの変化を抑制できるという利点が得られる。なお、リング材4の端面の一次被覆層5の溶融処理を行う装置としては、これに限らず、図5、図6、図7に示す装置を用いても良い。
【0039】
扁平な断面形状のリング材4の端面に形成した一次被覆層5を誘導子54により溶融処理を行うと、リング材4と被覆層との熱膨張率の差によるためか、冷却後には図9に示すように、リング材4の断面に二次被覆層5Aが凹面となるそりが生じることが判明した。そして、このそりの量は、十分再現性を持っていた。そこで、平坦の二次被覆層5Aを備えたリング材4を製造するには、図10(a)に示すように、あらかじめリング材4の断面形状として、溶融処理を施すことによって前記リング材の断面形状に生じるそりを見込んであらかじめ逆そりを与えた形状に設定しておき、その端面に一次被覆層5を形成する。そしてこのリング材4及び一次被覆層5に対して溶融処理を施すことによって、図10(b)に示すように、二次被覆層5Aを形成すると共にリング材4にそりを生じさせ、平坦な二次被覆層5Aを持ったリング材4を得ることができる。
【0040】
【実施例】
〔実施例1〕
図11(a)に示す単純なリング状のリング材1であって、外径2000mm×内径1900mm×厚さ(軸線方向の寸法)80mm、材質S25Cのリング材1を用意し、その外周に溶射により厚さ2.5mmの一次被覆層2(JIS16C相当)を形成した。
【0041】
このリング材1を図1、図2に示す溶融処理装置の3個の支持ローラ11A、11B、11Cの周囲にセットし、そのリング材1の周方向の一部区間を取り囲むように誘導子14を取り付けた。ここで使用した誘導子14は、図2(b)に示す寸法fが100mm、寸法gが70mm、リング材の周方向の幅が50mmのものを用いた。まず、誘導子14に通電し(周波数2kHz、電力40kW)、リング材1を周速20mm/sで回転させ、予熱を行った。約35分間予熱を行って、リング材1を約650℃に昇温させた後、リング材1の回転数を5mm/sに低下させ、且つ誘導子14への電力を100kWに上昇させた。これにより、リング材1の誘導子14内を通過する部分で一次被覆層2が直ちに溶融し、溶融処理が行われた。この時の温度は、1050±20℃であった。この溶融処理をリング材1の全周に亘って行った後、リング材1の加熱及び回転を停止し、放冷した。
【0042】
得られた二次被覆層の外観を目視検査したところ、表面が平滑で良好な外観を呈していた。また、リング材1に溶融処理による異常変形は生じていなかった。処理後のリング材1の内径を測定したところ、1891.8mmであり、縮径量(内径)は8.2mm、縮径率は0.43%であった。
【0043】
〔実施例2〕
溶融処理後のリング材1のサイズとして、外径2000mm×内径1900mm×厚さ80mmのものを得るために、実施例1で求めた縮径分を見込んで、外径2008mm×内径1908mm×厚さ70mm、材質S25Cのリング材1を用意し、その外周に溶射により厚さ2.5mmの一次被覆層2(JIS16C相当)を形成した。このリング材1を実施例1と同一条件で溶融処理を行ったところ、表面が平滑で良好な外観を呈した二次被覆層を得ることができた。また、処理後のリング材1の内径を測定したところ、1899.5mmであり、縮径量(内径)は8.5mm、縮径率は0.45%であり、ほぼ希望サイズのリング材を得ることができた。
【0044】
〔実施例3〕
実施例1と同一仕様のリング材1(外径2000mm×内径1900mm×厚さ80mm、材質S25C)の内周面に溶射により厚さ2.5mmの一次被覆層3(JIS16C相当)を形成し、これを図6に示す装置にセットし、実施例1で用いた誘導子14と同一寸法の誘導子34(100×70×50mm)を用いて、実施例1と同一条件で溶融処理を行った。その結果、表面が平滑で良好な外観を呈した二次被覆層を得ることができ、且つリング材1には異常変形は見られなかった。処理後のリング材1の外径を測定したところ、1994.4mmであり、縮径量(外径)は5.6mm、縮径率は0.28%であった。なお、実施例1に比べて縮径率が異なっているのは、一次被覆層がリング材の外周面にある場合と内周面にある場合の差によるものと思われる。
【0045】
〔実施例4〕
溶融処理後のリング材1のサイズとして、外径2000mm×内径1900mm×厚さ70mmのものを得るために、実施例3で求めた縮径分を見込んで、外径2006mm×内径1906mm×厚さ80mm、材質S25Cのリング材1を用意し、その内周に溶射により厚さ2.5mmの一次被覆層3(JIS16C相当)を形成した。このリング材1を実施例3と同一条件で溶融処理を行ったところ、表面が平滑で良好な外観を呈した二次被覆層を得ることができた。また、処理後のリング材1の外径を測定したところ、2000mmであり、縮径量(外径)は6mm、縮径率は0.3%であり、希望サイズのリング材を得ることができた。
【0046】
〔実施例5〕
図11(c)に示す単純なリング状のリング材4であって、外径2500mm×内径1900mm×厚さ(軸線方向の寸法)35mm、材質S25Cのリング材1を用意し、その一方の端面に溶射により厚さ2.5mmの一次被覆層5(JIS16C相当)を形成した。
【0047】
このリング材1を図8に示す溶融処理装置にセットし、そのリング材1の周方向の一部区間を取り囲むように誘導子54を取り付けた。ここで使用した誘導子54は、リング材4の半径方向及び軸線方向の内法寸法がそれぞれ、330mm、65mm、リング材周方向の幅が50mmのものを用いた。まず、誘導子54に通電し(周波数2kHz、電力40kW)、リング材4を周速20mm/sで回転させ、予熱を行った。約50分間予熱を行って、リング材4を約630℃に昇温させた後、リング材4の回転数を3mm/sに低下させ、且つ誘導子54への電力を110kWに上昇させた。これにより、リング材4の誘導子54内を通過する部分で一次被覆層5が直ちに溶融し、溶融処理が行われた。この時の温度は、1050±20℃であった。この溶融処理をリング材4の全周に亘って行った後、リング材4の加熱及び回転を停止し、放冷した。
【0048】
得られた二次被覆層の外観を目視検査したところ、表面が平滑で良好な外観を呈していた。また、リング材4に溶融処理による異常変形は生じていなかった。ただし、そのリング材4には、図9に示すように反りが生じており、その大きさhは2mmであった。
【0049】
〔実施例6〕
溶融処理後に反りのないリング材4を得るために、実施例5で求めた反りを見込んで、リング材4として図10(a)に示すようにj=2mmの逆反りを与えたリング材4を用意し、その他は実施例5と同一として溶融処理を行った。その結果、反りが0.3mm程度の、従って反りの小さいリング材4を得ることができた。なお、この場合にも、リング材4の外径は2mm縮径していた。
【0050】
【発明の効果】
以上のように、本発明方法は、リング材を、拡径、縮径を許容する形で支持して定位置で回転させると共に、そのリング材の周方向の一部区間を取り囲むように誘導子を配置し、該誘導子に通電して誘導加熱を行うことにより、リング材の外周面、内周面又は端面に形成している一次被覆層を誘導加熱して溶融させ、一次被覆層に存在していた気孔及び酸化物を除去し、緻密な二次被覆層にするという溶融処理を、リング材の径の大小に関係なく且つ一次被覆層の全周に亘って行うことができ、また、この際、温度むらが発生しにくいので、一次被覆層を均一に且つ割れ、しわ、くぼみ、くびれ等を生じることなく溶融処理することができ、このため、小型の誘導子を用いて種々な径のリング材に対して良好な溶融処理を行うことができるという効果を有している。
【0051】
ここで、一次被覆層の溶融処理に際して、リング材及び一次被覆層を予熱しておくと、溶融のための昇温温度を低くでき、被覆層に亀裂や割れが発生することを防止でき、一層良好な溶融処理を行うことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態の高周波誘導加熱による溶融処理を行う装置を示す概略斜視図
【図2】 (a)は図1に示す装置の概略断面図
(b)は誘導子を配置した部分を拡大して示す概略断面図
【図3】 図1の装置において誘導子が加熱する一次被覆層の領域を示す概略側面図
【図4】 誘導子が加熱する領域の変形例を示す図3と同様な概略側面図
【図5】 本発明の他の実施形態の高周波誘導加熱による溶融処理を行う装置を示す概略斜視図
【図6】 本発明の更に他の実施形態の高周波誘導加熱による溶融処理を行う装置を示す概略斜視図
【図7】 本発明の更に他の実施形態の高周波誘導加熱による溶融処理を行う装置を示す概略斜視図
【図8】 本発明の更に他の実施形態の高周波誘導加熱による溶融処理を行う装置を示す概略斜視図
【図9】 図8に示す装置で溶融処理を行った後のリング材の概略断面図
【図10】 (a)は溶融処理前のリング材の概略断面図
(b)は溶融処理後のリング材の概略断面図
【図11】 (a)、(b)、(c)は、本発明で溶融処理を行う対象のリング材の代表例を示す概略断面図
【図12】 (a)、(b)、(c)は、リング材の変形例を示す概略断面図
【符号の説明】
1、4 リング材
2、3、5 一次被覆層
11A、11B、11C 支持ローラ
12 受けローラ
14 誘導子
15 加熱領域
21A、21B 支持ローラ
24 誘導子
31A、31B、31C 支持ローラ
34 誘導子
41A、41B、41C 支持ローラ
44 誘導子
51A、51B、51C 支持ローラ
54 誘導子[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention is a metal coating layer formed by a thermal spraying method or the like to impart wear resistance, heat resistance, corrosion resistance, etc. to the outer peripheral surface, inner peripheral surface or end surface of a hollow cylindrical member (hereinafter referred to as ring material). (Referred to as primary coating layer) High frequency for densifying By induction heating The present invention relates to a melt processing method.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, in order to improve physical properties on the outer peripheral surface of a metal tube or a metal roller, a metal coating layer is formed by thermal spraying or the like. In addition, after forming a metal coating layer by thermal spraying or the like, the metal coating layer (primary coating layer) is induction-heated and melted to remove pores and oxides existing in the primary coating layer, and to form a dense two-layer coating. Next coating layer Melting It is also known to perform a melting process. Usually, a high frequency is applied to the primary coating layer formed on the outer peripheral surface of a metal tube or metal roller. By induction heating To perform the melting process, the axial direction of the metal tube or metal roller part Using an annular induction coil surrounding the section, the primary coating layer is heated and melted in an annular shape by the induction coil, and the induction coil is moved relative to the axial direction of the metal tube or metal roller so that the total length of the primary coating layer Dissolved in It was melted.
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
Recently, in order to improve the physical properties of the outer peripheral surface, inner peripheral surface or end surface of a large-diameter ring member having a diameter of 1 to 3 m, a demand has arisen for forming a metal coating layer having a dense structure. To cope with this, for example, on the outer peripheral surface of the ring material metal When forming the coating layer, as in the case of conventional metal pipes and metal rollers, a primary coating layer of a metal material is formed on the outer peripheral surface of the ring material using a thermal spraying method, etc. An annular induction coil is arranged so as to surround it, and high frequency is applied to the primary coating layer on the outer peripheral surface of the ring material. By induction heating It is considered that the pores and oxides present in the primary coating layer are removed by performing a melting treatment to form a dense secondary coating layer. However, the induction coil that surrounds the primary coating layer formed on the outer peripheral surface of the large-diameter ring material is extremely large. , Melt The entire melt processing apparatus becomes very large, resulting in a problem that the equipment cost is increased. In addition, it is conceivable to use furnace heating instead of the induction coil, but in that case, not only a large furnace for storing a large ring material is required, but heating takes time and productivity is poor. There is a problem, and if the support means when placing the ring material in the furnace is not appropriate, the temperature of the ring material will be uneven and the processing of the coating layer will be uneven, or the ring material will be irregularly deformed. is there. These problems also occur when a primary coating layer is formed on the inner peripheral surface or end surface of the ring material.
[0004]
Therefore, the present inventors, as a method of solving these problems, in the circumferential direction of the primary coating layer formed on the outer peripheral surface or inner peripheral surface of the ring material. part An inductor capable of inductively heating the section is disposed opposite to the outer circumferential surface or inner circumferential surface of the ring material, and the ring material is supported in a form that does not hinder the expansion of the outer diameter while the inductor is energized. Rotate in a fixed position, which allows the circumferential direction of the primary coating layer part A method in which the melt-treated portion is moved over the entire circumference of the primary coating layer while heating and melting the section, and the pores and oxides are removed by melting the entire circumference of the primary coating layer to form a dense secondary coating layer. And applied for a patent Wish Hei 10-262926 ( Japanese Patent No. 3729657 ]]. This method uses a small inductor to efficiently apply high frequency to the primary coating layer formed on a large-diameter ring material. By induction heating Melting treatment can be performed, and the ring material does not cause unstable deformation.
[0005]
However, when this method is used, a so-called face-fired coil formed in a loop shape in a plane substantially parallel to the primary coating layer is used as an inductor for heating the primary coating layer. It turned out to be. That is, in the circumferential direction of the primary coating layer with the face-fired coil part When the section is induction-heated, temperature unevenness is likely to occur, and in particular, the temperature at the corner tends to increase. Furthermore, the distance between the face-baking coil and the primary coating layer has a great influence on the amount of generated heat and the electromagnetic force, and fluctuations in the distance also cause temperature unevenness and unevenness in the stirring effect due to the electromagnetic force. As a result, cracks, wrinkles, dents, constrictions, etc. are likely to occur in the coating layer after the melting treatment. In order to prevent this, the heating conditions for the face-fired coil (interval with the primary coating layer, applied frequency, power supply, relative movement speed with respect to the ring material, etc.) are set to narrow optimum conditions according to the processing target. The gap between the face-fired coil and the primary coating layer must be precisely controlled.
[0006]
The present invention has been made in view of such problems, and eliminates the need to precisely control the distance between the inductor and the primary coating layer when the primary coating layer formed on the ring material is melted by induction heating, and By setting the heating conditions relatively rough, the primary coating layer can be melted satisfactorily. Melting An object is to provide a fusion processing method.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
In the present invention, in order to melt the primary coating layer formed on the outer peripheral surface, inner peripheral surface or end surface of the ring material by high-frequency induction heating, The ring material is supported by a plurality of rollers so that it can be rotated at a fixed position in a form that allows diameter expansion accompanying thermal expansion of the ring material and diameter reduction accompanying thermal contraction during cooling. , In the circumferential direction of the ring material part So that the section can be induction heated part Place an inductor that surrounds the section in a ring, While rotating the ring material, a part of the circumferential direction of the ring material is induction-heated by the inductor. This is the structure. here," In a form that allows diameter expansion associated with the thermal expansion of the ring material and contraction due to thermal contraction during cooling. '' Means not only when the outer peripheral surface or inner peripheral surface of the ring material is not constrained at all, but also when the outer peripheral surface or inner peripheral surface of the ring material is constrained so that it does not move. Includes a case where the diameter can be expanded or reduced as a whole.
[0008]
According to the present invention, the inductor is arranged in the circumferential direction of the ring material. part The primary coating layer in the section is melted by induction heating of the section, and the molten portion moves along the primary coating layer along the primary coating layer by the rotation of the ring material, and the pores existing in the primary coating layer And the oxide can be removed to form a dense secondary coating layer. The inductor used here is the circumferential direction of the ring material. part Since the shape surrounds the section, it can be made small regardless of the outer diameter of the ring material. The inductor is a ring material. Partial section in the circumferential direction In the cross section of the ring material surrounded by the inductor, an induction current circulating in the direction opposite to the current flowing through the inductor is generated, and the ring material and the primary coating layer can be induction-heated. In addition, since the amount of induced current at that time is not significantly affected by the distance between the inductor and the ring material, the amount of heat generated does not change even if the distance slightly varies. Furthermore, since the inductor heats not only the primary coating layer but also the ring material, the heat capacity of the heated portion is large, and therefore, the primary coating layer is larger than the case where the primary coating layer is mainly heated by the face-fired coil. The temperature unevenness of is difficult to occur. Thus, even if the distance between the inductor and the ring material is not precisely controlled, and even under a wide heating condition compared to the case where a face-coiled coil is used, the primary coating layer is uniformly heated and melted satisfactorily. be able to. In addition, since this inductor locally heats the ring material, the heated portion of the ring material undergoes elongation due to thermal expansion, but the ring material has an increased diameter and reduced diameter. Allow Because it is supported in a shape, it can be stretched and contracted relatively freely, so there is no abnormal deformation due to restraint, and it is good to use a small inductor even for large diameter ring materials To high frequency By induction heating It can be melted.
[0009]
High frequency of the present invention By induction heating In the melting treatment, the ring material is preferably preheated to 400 to 800 ° C. When preheating is performed in this manner, the temperature rise temperature during the melting treatment of the primary coating layer can be reduced, and cracks and cracks that may occur in the primary coating layer can be prevented. If preheating is not performed, the ring material part It is necessary to raise the temperature of the section rapidly and in a large temperature rise range, in which case, excessive tensile force acts on the primary coating layer due to the difference in thermal expansion coefficient between the ring material and the primary coating layer, and cracks and Although there is a risk of cracking, this can be prevented by preheating, and stable melting processing is possible. The method for preheating is not particularly limited, and a method of heating in a furnace, a method of heating with a burner, or the like can be used, but it is preferable to use an inductor for performing a melting treatment. That is, the ring material can be preheated over the entire circumference by rotating the ring material at a higher speed than in the melting process while induction heating the ring material with an inductor. It becomes unnecessary.
[0010]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
In the present invention, as a typical example of the shape of the ring material to be melted and the position of the primary coating layer, as shown in FIG. 11A, the outer peripheral surface of a simple ring-shaped
[0011]
The dimensions of the ring material (1, 1A, 1B, 1C, 4 etc.) are not particularly limited, but those having a large diameter, for example, having a large diameter such as an outer diameter of 1 to 3 m, are effective in applying the present invention. Is particularly large. The material of the ring material is not limited, but specific examples include carbon steel, low alloy steel, stainless steel, cast steel, cast iron, Ni-base alloy, Cu-base alloy and the like.
[0012]
The material of the primary coating layer (2, 2A, 2B, 2C, 5 etc.) formed on the ring material is Ni-based alloy, Co-based alloy, or WC, Cr Three C 2 TiB 2 And the like, which contain hard material fine particles such as In addition, it is desirable that the material of the primary coating layer has a self-solving property by blending flux generating components such as B and Si so that melting can be performed smoothly. The method of forming a primary coating layer of a metal material on a ring material is generally a thermal spraying method, but other than that, a consolidation method, a slurry coating method, a centrifugal deposition method (when forming on the inner peripheral surface of the ring material) Or the like. The thickness of the primary coating layer is determined so that a metal coating layer (secondary coating layer) having a desired thickness is finally obtained, and is usually selected to be about 0.5 to 5 mm.
[0013]
Hereinafter, the embodiments will be described separately when the primary coating layer is formed on the outer peripheral surface of the ring material, when formed on the inner peripheral surface, and when formed on the end surface.
[0014]
FIG. 1 and FIG. 2 show that the
[0015]
As described above, when the three support roller system including the
[0016]
In the embodiment shown in FIGS. 1 and 2, a driving means (not shown) for rotating the support roller is connected to one
[0017]
The receiving
[0018]
1 and 2 Melting The melting apparatus further includes an
[0019]
Next, the above configuration Melting The melt processing operation by the melt processing apparatus will be described. The
[0020]
When the
[0021]
In the above melting treatment operation, as can be seen from FIG. 2B, the
[0022]
Moreover, since the
[0023]
During the preheating and the melting process described above, the
[0024]
When the above melting treatment was performed, it was found that the
[0025]
The above description is for the case where the
[0026]
FIG. 5 shows an embodiment in which the rotation center axis of the
[0027]
Furthermore, also in this embodiment, driving means (not shown) for rotating the support roller is connected to at least one
[0028]
Also in this embodiment, the circumferential direction of the
[0029]
In the embodiment shown in FIG. 5 as well, when the
[0030]
In the above description, it is shown in FIG. 1, FIG. 2, FIG. Melting A high frequency is applied to the
[0031]
Next, the
[0032]
With this configuration, the
[0033]
An
[0034]
The above configuration Melting In the melting processing apparatus, the same melting processing operation as that described in the apparatus shown in FIGS. That is, the
[0035]
FIG. 7 shows an embodiment in which the rotation center axis of the
[0036]
Also in the embodiment shown in FIG. 7, with the
[0037]
In the embodiment shown in FIGS. 6 and 7, the
[0038]
Next, the
[0039]
If the
[0040]
【Example】
[Example 1]
A
[0041]
This
[0042]
When the appearance of the obtained secondary coating layer was visually inspected, the surface was smooth and had a good appearance.
[0043]
[Example 2]
As a size of the
[0044]
Example 3
A primary coating layer 3 (equivalent to JIS16C) having a thickness of 2.5 mm is formed on the inner peripheral surface of the ring material 1 (outer diameter 2000 mm × inner diameter 1900 mm × thickness 80 mm, material S25C) having the same specifications as in Example 1, This was set in the apparatus shown in FIG. 6, and the melting process was performed under the same conditions as in Example 1 using the inductor 34 (100 × 70 × 50 mm) having the same dimensions as the
[0045]
Example 4
As a size of the
[0046]
Example 5
11C is a simple ring-shaped
[0047]
This
[0048]
When the appearance of the obtained secondary coating layer was visually inspected, the surface was smooth and had a good appearance.
[0049]
Example 6
In order to obtain the
[0050]
【The invention's effect】
As described above, the method of the present invention uses a ring material, Allow expansion and contraction It is supported in a shape and rotated at a fixed position, and the circumferential direction of the ring material part An inductor is arranged so as to surround the section, and the primary coating layer formed on the outer peripheral surface, inner peripheral surface or end surface of the ring material is induction-heated and melted by energizing the inductor and performing induction heating. The pores and oxides present in the primary coating layer are removed to form a dense secondary coating layer. Melting Fusing treatment can be performed regardless of the diameter of the ring material and over the entire circumference of the primary coating layer, and in this case, since the temperature unevenness hardly occurs, the primary coating layer is uniformly and cracked, Can be melt-processed without causing wrinkles, dents, constrictions, etc., and is therefore good for ring materials of various diameters using small inductors Melting It has the effect of being able to perform melting processing.
[0051]
Here, when the ring material and the primary coating layer are preheated during the melting treatment of the primary coating layer, the temperature rise temperature for melting can be lowered, and cracks and cracks can be prevented from occurring in the coating layer. The effect that a favorable melting process can be performed is acquired.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 shows a high frequency according to an embodiment of the present invention. By induction heating Schematic perspective view showing an apparatus for performing a melting process
2A is a schematic cross-sectional view of the apparatus shown in FIG.
(B) is a schematic sectional view showing an enlarged portion where the inductor is arranged
3 is a schematic side view showing a region of a primary coating layer heated by an inductor in the apparatus of FIG. 1;
4 is a schematic side view similar to FIG. 3, showing a modification of the region heated by the inductor. FIG.
FIG. 5 shows a high frequency according to another embodiment of the present invention. By induction heating Schematic perspective view showing an apparatus for performing a melting process
FIG. 6 shows a high frequency according to still another embodiment of the present invention. By induction heating Schematic perspective view showing an apparatus for performing a melting process
FIG. 7 shows a high frequency according to still another embodiment of the present invention. By induction heating Schematic perspective view showing an apparatus for performing a melting process
FIG. 8 shows a high frequency according to still another embodiment of the present invention. By induction heating Schematic perspective view showing an apparatus for performing a melting process
9 is a schematic cross-sectional view of the ring material after being melted by the apparatus shown in FIG.
FIG. 10 (a) is a schematic cross-sectional view of the ring material before melting processing.
(B) is a schematic sectional view of the ring material after the melting treatment
FIGS. 11A, 11B and 11C are schematic cross-sectional views showing typical examples of ring materials to be melt-processed according to the present invention.
12 (a), (b), and (c) are schematic cross-sectional views showing a modification of the ring material.
[Explanation of symbols]
1, 4 Ring material
2, 3, 5 Primary coating layer
11A, 11B, 11C Support roller
12 Receiving roller
14 Inductor
15 Heating area
21A, 21B Support roller
24 Inductor
31A, 31B, 31C Support roller
34 Inductor
41A, 41B, 41C Support roller
44 Inductor
51A, 51B, 51C Support roller
54 Inductor
Claims (4)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17612299A JP3929205B2 (en) | 1999-06-22 | 1999-06-22 | Method for melting the primary coating layer |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17612299A JP3929205B2 (en) | 1999-06-22 | 1999-06-22 | Method for melting the primary coating layer |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001003153A JP2001003153A (en) | 2001-01-09 |
JP3929205B2 true JP3929205B2 (en) | 2007-06-13 |
Family
ID=16008071
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17612299A Expired - Fee Related JP3929205B2 (en) | 1999-06-22 | 1999-06-22 | Method for melting the primary coating layer |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3929205B2 (en) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6451529B2 (en) * | 2015-07-07 | 2019-01-16 | トヨタ自動車株式会社 | High frequency induction heating method |
-
1999
- 1999-06-22 JP JP17612299A patent/JP3929205B2/en not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001003153A (en) | 2001-01-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
RU2630726C2 (en) | Method for manufacturing forming roll, forming roll and device for manufacturing forming roll | |
JP4950360B2 (en) | Method and apparatus for semi-continuous casting of hollow ingot | |
WO2018186258A1 (en) | Method for cooling ring rolling main roll and method for manufacturing ring rolled body | |
US4082936A (en) | Device and method for heating die | |
JP4327907B2 (en) | Continuous caster roll stainless steel surface cladding | |
JP3929205B2 (en) | Method for melting the primary coating layer | |
WO2024119945A1 (en) | Spray welding remelting device and spray welding remelting method for elongated solid roller | |
JP3729657B2 (en) | Method and apparatus for remelting treatment of primary coating layer | |
JP2013216959A (en) | Thermal treatment equipment for ring-shaped member | |
JP3233423U (en) | Transmission device for mold steel processing equipment | |
JPS62177183A (en) | Method for forming metallic lining on inside surface of metallic pipe or the like | |
KR100725796B1 (en) | Method and device for providing a layer to a piston ring | |
JP2000005816A (en) | Multi-wound stainless steel pipe | |
JP3875555B2 (en) | Method for coating self-fluxing alloy on inner surface of metal cylinder | |
JP4446530B2 (en) | Method for correcting average diameter of ring material having metal coating layer | |
JP2008169432A (en) | Heat-treatment method and heat-treatment apparatus for steel ball | |
KR102560881B1 (en) | Local heat treatment method of work roll | |
US5611143A (en) | Process for making chilled iron rolls | |
RU21544U1 (en) | VACUUM INSTALLATION FOR DIFFUSION WELDING SHORT PIPES WITH LAP | |
JP3846761B2 (en) | Method for forming metal coating layer | |
RU20480U1 (en) | DIFFUSION WELDING DEVICE IN VACUUM OF TUBULAR ADAPTERS FROM DIFFERENT MATERIALS | |
JPH10277687A (en) | Device for heating work for hot forging | |
JP2007039725A (en) | Partial quenching method for boss-fitted work, and quenched boss-fitted component | |
JP5903455B2 (en) | Heat treatment apparatus and heat treatment method | |
JPS624830A (en) | Heat treatment of large diameter weld steel pipe |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050728 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20051027 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060606 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060803 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070306 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070306 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110316 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110316 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130316 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140316 Year of fee payment: 7 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |