JP3927214B2 - 換羽誘導用配合飼料及びその給餌方法 - Google Patents

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Description

本発明は、産卵鶏の換羽誘導に用いる配合飼料とその給餌方法に関する。詳しくは、換羽誘導のための産卵鶏用の配合飼料とその配合飼料を用いて適切に産卵鶏を換羽誘導する方法に関する。
雌鶏は、秋から冬にかけて、ホルモンの関係で2〜4月間ほど産卵を休止する。この期間に雌鶏の古い羽毛が抜け落ちて新しい羽毛に換わり、いわゆる「自然換羽」が起こる。また、人為的に換羽を誘導する「換羽誘導」が、飼養管理の手法としておこなわれている(社団法人中央畜産会ホームページ)。
換羽誘導の実質的効果は産卵停止の有無で判断される。すなわち、換羽誘導により産卵鶏の生殖器官(卵管と卵巣)が十分に萎縮すると産卵は停止する。産卵停止はまた、産卵再開のシグナルとなる。
換羽誘導は、必ずしも全ての産卵鶏に対し実施されるものではない。しかし、一般に、産卵鶏は、日齢の経過と共に産卵率の低下と卵殻質の劣化から80〜85週齢で淘汰されるが、換羽を実施すれば100〜105週齢に産卵期間を延長できると言われている。
しかし、従来の一般的な換羽誘導(強制換羽と称されることもある。)は、産卵鶏が65〜70週齢に達した頃、絶水はしないものの、絶食(断餌)と鶏舎の点灯時間の短縮という厳しい条件下でおこなわれる。その結果、産卵鶏の性ホルモンの分泌が抑制され、体重は開始時に比べ25〜30%減少し、この時点で産卵鶏の羽が抜け落ち、産卵を停止する。このように従来の換羽誘導はきわめて過酷な条件下で行われていた。
換羽誘導は、産卵鶏の産卵期間を延ばしてヒナの導入回数を低減すると共に卵殻質の劣化を防止することを目的としておこなわれるが、従来の方法では、産卵鶏を飢餓状態に追い込んで大きなストレスを与えるため、様々な問題が発生している。例えば、斃死鶏が増加すると共に、絶食のために糞便性状を悪化させる。環境規制が強化される中で、下痢便状の鶏糞処理はきわめて劣悪な作業となる。また、産卵回復後も、産卵ピークが現れないケースが見られる。さらに、換羽誘導をおこなうと産卵鶏の免疫機能に影響が出ることも知られている。すなわち、換羽誘導によって、B細胞が関与するIgMやIgGなどの血中抗体産生に係る液性免疫には影響を及ぼさないものの、T細胞が関与する細胞性免疫に強い影響を与え、産卵鶏の健康維持能力を低下させ、さらには、腸内細菌叢にも乱れが生じ、結果としてサルモネラエンテリティディス感染の確率が高まり、感染持続期間を延長させることが知られている。併せて最近の研究報告によれば、絶食に伴うストレスがサルモネラ菌の腸管内や生殖器官への定着を増加させ、卵の汚染率を高めるリスクが指摘されている。
そのため、換羽誘導期の産卵鶏に与える過酷な条件を緩和して斃死鶏の減少などを企図し、継続した絶食(断餌)日数を減らすべく、スキップ(隔日給与)による給餌技術や、トウモロコシ・ふスマ・コーングルテンフィード・大豆皮のような単味飼料を給与して産卵鶏の空腹感のみをなくす技術、また、高繊維及び低代謝エネルギー飼料の給与やナトリウム含量を減少させた飼料の給与、或いは亜鉛を高濃度に含む飼料などを給与することで飼料摂取量を自然に低減させる技術などが知られている。しかし、これらの給与技術は、必ずしも換羽誘導に期待される効果を十分に上げるには及ばず、そのため、換羽誘導期に給与するのに相応しい産卵鶏の換羽誘導用配合飼料(成鶏飼育用配合飼料)及びその適切な給与方法が確立されているとは言いがたい状況にある。
特開平11−113502号公報 特開2004−250365号公報 「鶏鳴新聞」(株式会社鶏鳴新聞)2003年4月25日発行の 「ファインラクト換羽用を新発売/カルピス」の記事 「日本家禽学会誌」(第42巻:日本家禽学会春季大会講演予稿 集)所載II−20「採卵鶏におけるストレスの少ない休産法」 (2005年3月30日講演) 「日本家禽学会誌」(第42巻:日本家禽学会春季大会講演予稿 集)所載II−21「Effects of nonfeed removal induced molting on post-molt performance 」(2005年3月30日講演)
従来の換羽誘導技術について公知文献を調べたところ、特許文献1(特開平11−113502号公報)には、産卵鶏の餌切り時などにおけるサルモネラ属細菌を主とする腸内有害細菌を減少させることが可能であり、バチルス属の生菌体と単糖類とを含有する鳥類用飲水添加用混合飼料(その他の混合飼料。いわゆるサプリメント)及びこの飼料を換羽誘導中の少なくとも1日に産卵鶏に対し飲水に混和して給与する方法について開示されている。また、特許文献2(特開2004−250365号公報)には、家禽を絶食させる工程と、ホモ型乳酸菌とヘテロ型乳酸菌とを組み合わせて含有する強制換羽傷害防御剤を飲水か栄養のない飼料のどちらかに混入させて家禽に給餌する工程とを含む、家禽のダメージを防止して有効な強制換羽を行う方法が開示されている。
さらに、非特許文献1(2003年4月25日発行の鶏鳴新聞)には、換羽誘導中でも有用菌を腸内に存在させて健康な腸管を維持し、より安全に換羽を迎える目的で開発された、健康な腸内菌叢の速やかな形成に効果的に働くラクトバチルス(乳酸菌)2菌種と換羽誘導中の有用菌の維持・増殖のためオリゴ糖を配合してなる「乳酸菌混合飼料」(その他の混合飼料。いわゆるサプリメント)について紹介されている。
このように、特許文献1や特許文献2、非特許文献1に記載の飼料は、いずれも換羽誘導期の産卵鶏に与える飼料であるにしても、飲水に添加して給与するものであり、産卵鶏の空腹を抑え、ストレスを軽減させるには十分ではない。なお、特許文献2には、強制換羽傷害防御剤を栄養のない飼料に混入させて給与する方法も開示されているが、特許文献2の方法は、家禽を絶食させる工程を必須としており、そのため、換羽誘導期の家禽のストレスを防止するには十分ではない。また、換羽誘導期の産卵鶏に給与する配合飼料について、その他の文献には見るべきものはない。
このような状況に鑑み、本発明者らは、産卵鶏のストレスを抑え、上記諸問題を解消するには、換羽誘導期であっても絶食や減食をしないで、産卵鶏には配合飼料を給与し続けることが必要であると考え、研究を続けた結果、換羽誘導期の産卵鶏に給与するのに適切な成鶏飼育用配合飼料とその給与方法について発明を完成することができ、特願2004−05574として特許出願している。本発明は、この特許出願に係る発明をさらに改良したものである。
なお、非特許文献2や非特許文献3には、換羽誘導用配合飼料についての研究が所載されていて、これらの研究は、長期の絶食に伴う産卵鶏のストレスを解消する意図については本発明と同じであるが、絶食法に比べてふすまや脱脂米ぬかの給与が休産後の卵殻質の改善や飼育期間の延長に有用であるという従来公知の事項を指摘するに留まっている。
本発明は、産卵鶏の換羽誘導に当たり、産卵鶏が受けるストレスを軽減させ、換羽誘導によって生じる様々な弊害を低減できる産卵鶏用の配合飼料(成鶏飼育用配合飼料)とその適切な給餌方法を提供することを課題とする。すなわち、本発明は、換羽誘導期の産卵鶏に給与することによって、換羽誘導に伴う斃死鶏の発生を抑制すると共に、産卵再開後の卵殻質の劣化を防止することができ、しかも、養鶏の現場で使用しやすい、新規な産卵鶏用の配合飼料とその適切な給餌方法を提供することを課題とする。
上記の課題を解決する本発明のうち、特許請求の範囲・請求項1に記載する発明は、糟糠類を主原料とし、嵩比重が0.40〜0.56kg/Lでかつ粒度分布において1mm以上の部位が40%以上に調整してあると共に、カルシウム含量は3.5%以上に、代謝エネルギーは1900kcal/kg以上で2100kcal/kg未満に仕上げてある産卵鶏の換羽誘導用配合飼料である。なお、請求項1に記載の配合飼料は、換羽誘導の全期間を通して使用できるが、換羽誘導の初期、すなわち、換羽誘導の開始日から7〜10日目までの間に給餌すると、特に効果がある。
同じく請求項2に記載する発明は、糟糠類を主原料とし、嵩比重が0.40〜0.56kg/Lでかつ粒度分布において1mm以上の部位が40%以上に調整してあると共に、カルシウム含量は3.5%以上に、代謝エネルギーは2100kcal/kg以上で2400kcal/kg以下に仕上げてある産卵鶏の換羽誘導用配合飼料である。なお、請求項2に記載の配合飼料は、換羽誘導の全期間を通して使用できるが、換羽誘導の後期、すなわち、換羽誘導の開始日から7〜10日経過した後に給餌すると、特に効果がある。
同じく請求項3に記載する発明は、さらに、飼料用油脂を添加してある請求項1又は2に記載の産卵鶏の換羽誘導用配合飼料である。なお、飼料用油脂の添加量は0.5〜2.0%程度が好ましい。
同じく請求項4に記載する発明は、さらに、以下の(1)〜(4)の原料又は成分のうち少なくとも一つを含有させてある請求項1から3のいずれかに記載の産卵鶏の換羽誘導用配合飼料である。
(1)ビタミンAを5000IU/kg以上、ビタミンDを1000IU/kg、ビタ ミンEを5IU/kg以上
(2)マンガンを30mg/kg以上、亜鉛を40mg/kg以上、ヨウ素を0.3mg /kg以上
(3)セイヨウオトギリソウを0.5〜5.0%
(4)ナトリウム塩を0.1〜0.5%
同じく請求項5に記載する発明は、換羽誘導開始から7〜10日間は請求項1に記載の配合飼料を給餌し、この期間が経過した後は請求項2に記載の合飼料を給餌して産卵鶏を換羽誘導する方法である。
同じく請求項6に記載する発明は、鶏舎内の点灯時間を換羽誘導開始7〜10日前のうち3〜7日間は24時間/日とし、換羽誘導開始3〜5日前を16時間/日以下として産卵鶏を飼育した後、請求項5に記載の方法を用いて産卵鶏を換羽誘導する方法である。
本発明に係る産卵鶏の換羽誘導用配合飼料(成鶏育成用配合飼料)は、上記の構成であり、ふすま、米ぬか、コーングルテンフィードなどの糟糠類を主原料とし、比重が軽く、また粒度が小さい状態に加工してあり、かつ、産卵鶏が産卵及び母体の維持に必要とする代謝エネルギーを可及的に低く設計すると共に所要のカルシウム分を添加して仕上げてある低カロリー飼料であるから、これを換羽誘導中に産卵鶏(レイヤー)に給与すると、産卵鶏は飢餓によるストレスを感じることがなく、従来よりも斃死率をきわめて低く抑えることができる。また、それでいて、産卵鶏を絶食させたのと同様の産卵停止効果を生じさせることができる。しかも、産卵再開に必要なカルシウム分を補ってあるから、産卵鶏は換羽誘導期間中も大腿骨の骨密度を健全に維持することができ、そのため、産卵開始時に発生する廃棄卵を減少させると共に産卵再開後の卵殻質の回復を早めることができ、更には、産卵開始後の卵殻質を長期に渡って高水準に維持できる。
さらに、本発明に係る産卵鶏の換羽誘導用配合飼料は、2種類あって、どちらも糟糠類を主原料とし、特定の嵩比重と特定の粒度分布であると共にカルシウムを特定量含有させてある点では同じであるが、代謝エネルギーを少しずつ変えて仕上げることによって、換羽誘導の前期用飼料又は換羽誘導の後期用飼料として使い分けることができる。
さらに、本発明に係る産卵鶏の換羽誘導用配合飼料は、通常の産卵鶏用配合飼料に比べて比重が軽く、粒度も小さいが、好ましくは、飼料用油脂を添加することによって、小さな粒子を圧縮することなく、粒子間に隙間があってふんわりした状態のまま、飛散させずに流通させることができ、養鶏の現場で使用しやすい換羽誘導用配合飼料を提供することができる。
さらに、本発明に係る産卵鶏の換羽誘導用配合飼料は、好ましくは、ビタミンA、ビタミンD及びビタミンEを所定量に調整した飼料を給餌することによって、産卵鶏の病気に対する抵抗力を強化することができ、換羽誘導期間中の斃死率をさらに低下させることが可能となる。
また、好ましくは、ミネラル分であるマンガン、亜鉛、ヨウ素を所定量に調整した飼料を給餌することによって、換羽誘導期間中の卵殻質の弱化をさらに抑えることができる。
さらに、本発明に係る産卵鶏の換羽誘導用配合飼料は、好ましくは、セイヨウオトギリソウを所定量加配した飼料を給餌することによって、産卵鶏のスムースな体重減を実現させ、換羽誘導を促進することができ、また、換羽誘導期間中の斃死率をさらに低下させることができる。これは、セイヨウオトギリソウに含まれるメラトニンがヒトに対する鎮静効果を有するので、産卵鶏に対しても睡眠リズムを整える効果を奏し、それが換羽誘導を促進させるものと考えられる。
さらに、好ましくは、ナトリウム塩を所定量に調整した飼料を給餌することによって、換羽誘導期間中の糞便性状をさらに改善することができ、糞便処理作業をいちじるしく軽減させることができる。
また、本発明に係る産卵鶏を換羽誘導用配合飼料は、2種類あって、どちらも、糟糠類を主原料とし、嵩比重が0.40〜0.56kg/Lでかつ粒度分布において1mm以上の部位が40%以上であると共にカルシウム含量を3.5%以上に調整してある点は同じであるが、代謝エネルギーについては、一方は1900kcal/kg以上で2100kcal/kg未満としてあるので、換羽誘導の初期(前期)に給餌するのに適している。また、他の一方は2100kcal/kg以上で2400kcal/kg以下としてあるので、換羽誘導の後期に給餌するのに適している。すなわち、換羽誘導開始日から7〜10日目までは代謝エネルギーが1900kcal/kg以上で2100kcal/kg未満の飼料を給餌し、その後は代謝エネルギーが2100kcal/kg以上で2400kcal/kg以下の飼料を給餌する方法を採ると、換羽誘導期の初期に最少の維持エネルギーを給与することになり、産卵停止をスムースに誘導できる。さらに、この方法によれば、換羽誘導の全期間を通して産卵鶏の斃死率を抑えることができる。
また、鶏舎内の点灯時間を換羽誘導開始7〜10日前のうち3〜7日間は24時間/日とし、換羽誘導開始3〜5日前を16時間/日以下として産卵鶏を飼育した後、上記2種類の飼料を初期と後期に使い分ける給餌方法(請求項5に記載する方法)を用いて換羽誘導を実行すると、点灯時間の変化が産卵鶏を換羽に導くスイッチを入れる役割を果たし、換羽誘導の初期(誘導開始後7〜14日目)において産卵量がスムースに低下し、いっそう効率的な換羽誘導を実現できる。
以上詳しく説明のとおり、本発明は、産卵鶏の換羽誘導に当たり、産卵鶏が受けるストレスを軽減させ、換羽誘導によって生じる様々な弊害を低減できる産卵鶏用の配合飼料とその適切な給餌方法を提供できる。具体的には、換羽誘導期の産卵鶏に給与することによって、換羽誘導に伴う斃死鶏の発生を抑制すると共に、産卵再開後の卵殻質の劣化を防止することができ、しかも、長期に渡って高卵殻質維持をも可能にし、養鶏の現場で使用しやすい、新規な産卵鶏用の配合飼料を提供できる。また、本発明は、換羽誘導用配合飼料の効率的な給餌方法を提供できる。
本発明においては、特定の嵩比重と特定の粒度分布を有する糟糠類を主原料として使用する。本発明において、糟糠類とは、食用穀類を精白ないし製粉する際に生ずる副産物の総称であり、小麦粉製粉時の副生品であるふすまや米の精白時の副生品である米ぬか及び脱脂米ぬかは、飼料原料としての利用価値が高い。実際に飼料工場では、飼料安全法により飼料原料の表示方法が定められており、米ぬか、脱脂米ぬか、ふすま、特殊ふすま、麦ぬか、ホミニーフィード、コーングルテンフィード、大豆皮、ビール粕などが糟糠類に該当する。
本発明に係る産卵鶏の換羽誘導用配合飼料は、糟糠類を主原料とし、嵩比重が0.40〜0.56kg/Lで、かつ、粒度分布において1mm以上の部位が40%以上のものであると共に、代謝エネルギーとカルシウム含量を調整してある。飼料の嵩比重が上記の上限を越えたものであると、産卵鶏の飼料摂取量を抑えることができないので、換羽誘導期間(2〜3週間)中に産卵の完全停止に至らないか又は産卵停止までの所要期間が長くなってしまう。その上、従来から換羽の指標とされている体重減少も起こり難くなる。さらに、飼料の嵩比重が上記の下限よりも小さく、また、粒度の分布において1mm以上の部位の割合が40%未満であると、貯蔵タンク内でブリッジを起こしやすく、搬送が停滞しがちとなるので現場では受け入れ難いものとなる。
なお、本発明において、嵩比重の測定は、飼料業界で慣用されている方法、すなわち、1L容のメスシリンダーに飼料を満杯に充填し、その飼料重量を計測する方法で測定すればよい。また、飼料中、粒度分布において1mm以上の部位の割合を測定するには、例えば、100gの飼料を網径1mmの篩にかけて篩上に残留する飼料の重量を計測すればよい。
また、本発明に係る産卵鶏の換羽誘導用配合飼料は、上記に加えて、カルシウム含量を3.5%以上、好ましくは、3.5〜4.0%に調整する必要がある。その理由は、産卵再開後の卵の卵殻強度を確保するためである。すなわち、換羽誘導用配合飼料中のカルシウム含量が3.5%未満であると、換羽誘導期間中に産卵鶏の大腿骨の骨密度が低下してしまうほど鶏体内のカルシウム需給がアンバランスとなり、産卵開始直後の卵殻質を悪化させるばかりか、その影響は後々も引きずられ、147日目の卵殻質強度では明確な差異が確認された。なお、飼料中のカルシウムの含量は4.0%を越えてもよいが、経済性を考慮すると、カルシウムは含量4.0%までで十分である。
また、本発明に係る産卵鶏の換羽誘導用配合飼料は、上記に加えて、代謝エネルギーを1900kcal/kg以上で2100kcal/kg未満に仕上げてあるか、又は、代謝エネルギーを2100kcal/kg以上で2400kcal/kg以下に仕上げてあることが必要である。いずれにしても、代謝エネルギーは、1900kcal/kg以上で2400kcal/kg以下であることが必要である。その理由は、産卵鶏の斃死率を低く抑え、産卵をスムースに停止させるためである。すなわち、換羽誘導期間の代謝エネルギーを1900kcal/kgで一本化すると斃死率が高まり、これを2400kcal/kgで一本化した場合は、いつまでも産卵を停止しないか又は産卵停止に至るまでの期間が長くなると共に、鶏の体重減少速度を遅らせることになるからである。
また、本発明に係る産卵鶏の換羽誘導用配合飼料は、飼料用油脂を添加してあることが好ましい。本発明において、飼料用油脂とは、飼料用の動植物性油脂であって農林水産省の成分規格等省令に適合するものをいう。本発明では、飼料用油脂を1%程度添加することによって、本発明の換羽誘導用配合飼料のように比重が軽くて粒度が小さい飼料でも、粒子の隙間を維持したまま飛散性を抑えることができ、そのため、配送が容易になり、養鶏の現場でより使用しやすい配合飼料に改質することができる。
また、本発明に係る産卵鶏の換羽誘導用配合飼料は、産卵鶏の健康や代謝を通常の状態に近づけるべく、鶏の生育に必須であり、かつ、一般の原料に不足しがちな脂溶性のビタミンや各種ミネラルを添加したものであることが好ましい。具体的には、飼料1kgにつき、ビタミンAを5000IU/kg以上、ビタミンDを1000IU/kg以上、ビタミンEを5IU/kg以上含有させてあることが好ましい。その理由は、産卵鶏が換羽誘導期間中にこれらビタミン類が欠乏すると、リンやカルシウムの吸収や代謝機能が低下して病気に対する抵抗力が衰えて疾病の原因となりやすく、また、脚弱などにより死亡することもあるからである。
また、本発明に係る産卵鶏の換羽誘導用配合飼料は、マンガンを30mg/kg以上、亜鉛を40mg/kg以上、ヨウ素を0.3mg/kg以上含有させてあることが好ましい。その理由は、産卵鶏が換羽誘導期間中にこれらミネラル分が欠乏すると、リンやカルシウムの代謝機能が低下して卵殻質の強度が弱くなり、産卵開始後の初期に廃棄卵が多くなりやすいからである。
また、本発明に係る産卵鶏の換羽誘導用配合飼料は、セイヨウオトギリソウを0.5〜5.0%(抽出物として0.0005〜0.005%)添加してあることが好ましい。その理由は、セイヨウオトギリソウに含まれているメラトニンが産卵鶏にも沈静効果を与えて睡眠リズムを整える効果があり、そのため、産卵鶏の体重減がスムースに始まって、換羽誘導がいっそうスムースにおこなわれるからである。
また、本発明に係る産卵鶏の換羽誘導用配合飼料は、ナトリウム塩を0.1〜0.5%添加してあることが好ましい。その理由は、産卵鶏が換羽誘導期間中にナトリウム分が欠乏すると、鶏体内のバランスが崩れて斃死しやすくなり、また、ナトリウム分を強化すると、糞便の性状が改善され、その処理作業がいちじるしく楽になるからである。
また、本発明に係る産卵鶏の換羽誘導用配合飼料は、糟糠類を挽き割りにしたマッシュ状の飼料か又は一旦ペレットに成形したものを砕いたクランブル状の飼料であることが好ましい。なお、本発明の配合飼料は、マッシュ状のものでもクランブル状のものでも、配合割合が同一であるかぎりは産卵率の低下は略同じであり、換羽誘導用配合飼料としては同じ効果を奏することが確認されている。
本発明に係る換羽誘導用配合飼料の給餌方法について説明する。
本発明に係る給餌方法では、換羽誘導開始から略10日目までに給餌する飼料の代謝エネルギーをできるだけ低く抑え、その後は飼料の代謝エネルギーをやや高める方法を採るそ、産卵停止がスムースに進行すると共に斃死率を低く抑えることができる。特に、換羽誘導開始から7〜10日間は請求項1に記載する飼料(糟糠類を主原料とし、嵩比重が0.40〜0.56kg/Lでかつ粒度分布において1mm以上の部位が40%以上に調整してあると共にカルシウム含量は3.5%以上に、代謝エネルギーは2100kcal/kg以上で2100kcal/kg未満に仕上げてある配合飼料)を給餌し、この期間が経過した後は請求項2に記載する飼料(糟糠類を主原料とし、嵩比重が0.40〜0.56kg/Lでかつ粒度分布において1mm以上の部位が40%以上に調整してあると共にカルシウム含量は3.5%以上に、代謝エネルギーは2100kcal/kg以上で2400kcal/kg以下に仕上げてある配合飼料)を給餌するように切り換えることが好ましい。その理由は、換羽誘導の初期において代謝エネルギーの高い飼料を与えてしまうと、産卵をなかなか停止しない個体が増えるからである。また、換羽誘導の全期間を通して代謝エネルギーの低い飼料を給与すると、期間の後半になって斃死する個体は増えるからである。本発明者らの試験の結果、換羽誘導の前期・後期ともそれぞれに応じた維持エネルギ−ぎりぎりの飼料で換羽誘導をすることが、スムースな産卵停止と斃死率の低下につながることが解明された。
また、本発明に係る産卵鶏を換羽誘導する方法は、以下の要件に基づいておこなうと、換羽誘導がスムースに実現するのできわめて好ましい。
(1)換羽誘導に要する期間は概ね2〜3週間であるが、この期間中は不断給餌を基本とし、全ての個体が均一に飼料を摂取できる環境を提供すること、
(2)換羽誘導開始から7〜10日間は請求項1の飼料を給餌し、この期間が経過した後は請求項2の飼料を給餌するように切り換えること、
(3)鶏舎内の点灯時間を換羽誘導開始7〜10日前のうち3〜7日間は24時間/日とし、換羽誘導開始3〜5日前を1日16時間/日以下にして産卵鶏を飼育してから換羽誘導を開始すること、
以下、本発明を試験例及び実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
なお、本発明の説明において、「%」の表示は、特に断らない限り、重量割合を示す。
試験例1
<飼料の給餌試験>
(1)試験方法
69週齢の白色レグホーン(ハイライン・ローラ)300羽を各区50羽ずつに分け、表1に示す飼料1〜飼料6(表2の大雛用飼料にふすまを配合したもの)をそれぞれ3週間給餌し、その間の供試鶏の斃死の有無や性状の変化を計測した。給餌に当たっては、供試鶏が常に飼料を摂取でき、飽食状態を維持するように不断給餌とし、水は常に与えた。
Figure 0003927214
(2)試験結果
試験結果は表3に示すとおりである。
(3)所見
飼料1(嵩比重0.59kg/L)では、飼料の期間摂取量(99 g/日)が多すぎ、体重減少率が不十分であり、産卵停止(換羽終了を意味する。)に至らず、飼料2(同0.56kg/L)ではじめて産卵を停止した。したがって、換羽誘導用飼料の物理的要件が飼料の嵩比重にあるものと考えられる。すなわち、本発明に係る配合飼料は、嵩比重0.56kg/L以下に調整する必要があることが確認された。併せて、本試験例においては全ての供試飼料について期間斃死率がきわめて低いことから、飽食状態で換羽誘導を実施すれば、期間中の斃死問題も解決できることが確認された。
Figure 0003927214
Figure 0003927214
試験例2
<生殖器官重量比較試験>
(1)試験方法
試験例1で供試した鶏の「試験開始後21日目」の生殖器官(卵管と卵巣)の重量を測定して、その平均値を算出した。
(2)試験結果
試験結果は表4に示すとおりである。
(3)所見
飼料1(嵩比重0.59kg/L)と飼料2(同0.56kg/L)の間に分岐点があり、同じ時期の生殖器官の重量が22g近辺に達したとき、はじめて全鶏群の産卵が停止し、換羽誘導が完了することが理解できる。
Figure 0003927214
試験例3
<飼料の流動性と嵩比重の関係確認試験>
(1)試験方法
現在のシステム化された大規模養鶏の現場で受け入れられるか否かを評価するため、試験例1で用いた6種類の飼料を大規模なコマーシャルベースの養鶏場に持ち込み、飼料の搬送系に当てはめてみた。その結果を表5に示す。
(2)試験結果
試験結果は表5に示すとおりである。
Figure 0003927214
(3)所見
飼料5(嵩比重0.39kg/Lで 1mm以上の部位が39.9%)と飼料6(嵩比重0.34kg/Lで 1mm以上の部位が35.2%)は、換羽誘導そのものには問題なく対応できるが、貯蔵タンク内でブリッジが発生し、それ以降の鶏舎への搬送が停滞しがちになるので、養鶏現場で用いる飼料としては物性上受け入れ難いことが判明した。すなわち、飼料の嵩比重が0.39kg/L以下で粒度1mm以上の割合が39.9%以下では、微細な部位が多すぎてブリッジを起こしやすく、市場のニーズに合致しないものと認められる。一方、飼料3(嵩比重0.42kg/Lで 1mm以上の部位が41.7% )は全くブリッジが起きていない。よって、換羽誘導のための産卵鶏用配合飼料として物理的に適正な範囲は、嵩比重は0.40kg/L以上(で0.56kg/L以下)、かつ、粒度分布において1mm以上の部位の割合が40%以上であると認められる。
試験例4
<飼料のカルシウム含量と産卵再開後の卵の性状の確認試験1>
(1)試験方法
産卵鶏の換羽誘導用配合飼料の「給餌開始10日間のカルシウムレベル」が成鶏用飼料へ戻した後の卵殻強度へ及ぼす影響について確認した。
65週齢の白色レグホーン(ジュリア)を各区500羽ずつ5つに分け、1区から5区までとし、いずれの区も表6・表7に示す「カルシウムレベルの異なる換羽誘導用配合飼料」を3週間不断給餌した。3週間後、全ての区を表8に示す配合飼料(市販の成鶏用配合飼料)に切り換え、各区ごとに換羽誘導期間中及び換羽誘導終了後の卵殻の強度並びに「卵殻強度が2.5kg/cm2 未満(容器にパックしたときに破卵になりやすい強度)の発生割合」について調査・測定した。この試験には各区250個の卵を供した。
Figure 0003927214
Figure 0003927214
(2)試験結果
試験の結果は表9〜表12に示すとおりである。
(3)所見
表9から、4区と5区では換羽誘導開始10日目になっても卵殻の強度は低下しにくいこと、また、表10から、4区と5区では換羽誘導開始10日目になっても卵殻の強度が2.5kg/cm2 未満の卵の発生割合が低いことが確認できる。さらに、表11から、4区と5区では、産卵再開の早い段階から卵殻強度の大きい卵が得られること、表12から、産卵再開の早い段階から「卵殻強度2.5kg/cm2 未満」の割れやすい卵は発生が少なく、産卵再開3週間目以降はほとんど発生しないことが確認できる。よって、本試験例により、換羽誘導の初期に給餌する飼料について、カルシウムレベルを3.5%以上に高めることで割れやすい産卵再開後の卵殻強度が大幅に改善できることが確認された。これは、飼料中のカルシウム含量を3.5%以上に維持することで、換羽誘導中の鶏体内のカルシウム喪失を防止し、ひいては、換羽誘導期間中の卵殻質の悪化を防止することができ、また、産卵開始直後からスムースに卵殻へカルシウムを供給できることによる効果であると考えられる。
なお、表9から表12までを通して試験4区(Ca3.5%添加)と同5区(Ca4.0%添加)の成績に大差がないこと、及び経済性の点を考慮すると、本発明に係る換羽誘導用配合飼料中のカルシウム含量は「3.5〜4.0%」で十分であると認められる。
Figure 0003927214
Figure 0003927214
Figure 0003927214
Figure 0003927214
Figure 0003927214
試験例5
<飼料のカルシウム含量と鶏骨密度の推移確認試験>
(1)試験方法
試験例4で供試した産卵鶏について換羽誘導開始前後の骨密度を測定し、表13にまとめた。表13の骨密度は、供試鶏の右大腿骨を用い、その周囲の肉をアルカリで落とした後、乾燥させたもので測定した。骨密度は「単位長さ当たりの重量(g/cm)」で示してある。なお、表13の骨密度は5羽の平均値である。
(2)試験結果
試験結果は表13に示すとおりである。
(3)所見
表13に示すとおり、いずれの試験区についても換羽誘導開始前の産卵鶏の骨密度は、0.46〜0.47と高い値であったが、換羽誘導用飼料を給餌開始後14日目には、飼料中のカルシウムレベルが低い1区飼料〜3区飼料を給餌された産卵鶏については0.37〜0.38となり、大幅に骨密度の低下が見られた。しかし、飼料中のカルシウムレベルが3.5の4区飼料と同4.0%の5区飼料を給餌された産卵鶏については、換羽誘導開始14日目になっても0.42〜0.43であり、骨密度の低下が抑制される傾向が見られた。よって、換羽誘導開始初期少なくとも10日間のカルシウムレベルを3.5%以上に維持することによって、換羽誘導期間中の産卵鶏の骨密度の低下が抑えられ、骨の健全性が確保されるものと考えられる。なお、表13の数値を考慮すると、カルシウム含量は3.5〜4.0%程度で十分であることが理解できる。
Figure 0003927214
試験例6
<飼料のカルシウム含量と産卵再開後の卵の性状の確認試験2>
(1)試験方法
産卵鶏の換羽誘導用配合飼料の「給餌開始10日間のカルシウムレベル」が成鶏用飼料へ戻した後の卵殻強度へ及ぼす影響について確認した。
65週齢の白色レグホーン(ジュリア)を各区500羽ずつ5つに分け、1区から5区までとし、いずれの区も表14に示す「カルシウムレベルの異なる換羽誘導用配合飼料」を3週間不断給餌した。3週間後、全ての区を表8に示す配合飼料(市販の成鶏用配合飼料:試験例4で用いたものと同じ)に切り換え、各区ごとに換羽誘導期間中及び換羽誘導終了後の卵殻強度並びに「卵殻強度が2.5kg/cm2 未満(容器にパックしたときに破卵になりやすい強度)の発生割合」について調査・測定した。この試験には各区250個の卵を用いた。
(2)試験結果
試験の結果は表15〜表18に示すとおりである。
(3)所見
表15から、4区と5区では換羽誘導開始10日目になっても卵殻の強度は低下しにくいこと、また、表16から、4区と5区では換羽誘導開始10日目になっても卵殻の強度が2.5kg/cm2 未満の卵の発生割合が低いことが理解できる。さらに、表17と表18から、4区と5区では、産卵再開の早い段階から卵殻強度の大きい卵が得られることが理解できる。よって、本試験例により、換羽誘導開始初期の10日間でカルシウムレベルを3.5%以上に高めることにより換羽誘導中の鶏体内のカルシウムの喪失を防止することで換羽誘導期間中の卵殻質の悪化を阻止し、また、成鶏用飼料に戻した後の卵殻強度の改善を促進し、換羽誘導の後期になっても卵殻質悪化を防止できることが確認された。また、卵殻強度2.5kg/cm2 未満の卵(破卵になりやすく、商品化率を大きく低下させる要因としてみるべき値である。)の発生割合は、換羽誘導開始初期10日間のカルシウムレベルを3.5%以上に高めることで改善される効果が確認された。これは、産卵開始直後からスムースに卵殻へカルシウムを供給できる効果であると考えられる。
Figure 0003927214
Figure 0003927214
Figure 0003927214
Figure 0003927214
Figure 0003927214
試験例7
<飼料用油脂添加効果の確認試験>
(1)試験方法
産卵鶏の換羽誘導用配合飼料に飼料用油脂を添加することで、飼料の物性(飼料のバラツキ、飛散性)に及ぼす影響を確認した。
65週齢の白色レグホーン(ジュリア)を各500羽ずつの2つの区に分け、どちらの区も、表19に示す換羽誘導用配合飼料を3週間不断給餌した。3週間後、全ての区を表8に示す配合飼料(市販の成鶏用配合飼料)に切り換え、各区ごとに換羽誘導期間中及び換羽誘導終了後の卵殻の強度及び「卵殻強度が2.5kg/cm2 未満(容器にパックしたときに破卵になりやすい強度)の発生割合」について調査・測定した。この試験には各区250個の卵を供した。
試験は、供試飼料を農場で降ろす際に、5分ごとに配送バルク車よりサンプリングを行ない、成分値(粗タンパク質、粗灰分)のバラツキを計測した。また、飼料の飛散性は、専用容器に入れた供試飼料を30cmの高さより落下させ、その拡がり具合を面積として計測した。
(2)試験結果
試験の結果は表20・表21に示すとおりである。
Figure 0003927214
Figure 0003927214
Figure 0003927214
(3)所見
本試験例により、産卵鶏の換羽誘導用飼料に飼料用油脂を添加することで、飼料成分のバラツキが抑えられ、均一な飼料を給餌できることが確認された(表20・表21)。なお、対照区飼料での粗灰分値の変動係数が高くなっているが(表20)、これは、対照区飼料では比重の重い炭酸カルシウムなど粗灰分値の高い原料が比較的早く搬送され、逆に粗タンパク質の値が後半(15分後)に高くなっていることから、比重の軽いふすまや脱脂ぬか、コーングルテンフィードなどが多く残っているためと推測される。これに対して試験区飼料は、飼料用油脂を添加することで変動係数が低くなっている。この結果から、飼料用油脂を1%程度加配することによって、換羽誘導用飼料についても、飼料成分の分離を防止できることが確認された。
また、表20から、対照区飼料では15分後の飛散性が高く、飼料の散らばる面積が広がることが推定された。これに対して、試験区飼料では拡がりが抑えられておりこの結果から、飼料用油脂を添加することにより、飼料の飛散性を抑制できることが確認された。
表20・表21を総合すると、比重が軽く、また、粒度が小さいことが特徴の一つである本発明の換羽誘導用飼料においては、飼料用油脂を添加することによって、より均一な飼料を給与することができ、作業現場での環境悪化を防止できることが確認された。
試験例8
<代謝エネルギーの産卵停止と斃死率への影響の確認試験>
(1)試験方法
産卵鶏の換羽誘導用配合飼料の代謝エネルギーレベルが産卵停止時期と斃死率に及ぼす影響について試験をおこなった。すなわち、換羽誘導期を迎えた産卵鶏に表22に示す配合で表23に示す物理的性状を有する3通りの換羽誘導用配合飼料を給餌すると共に、給餌開始0〜10日目と11〜21日目に異なる代謝エネルギーの飼料に切り換えることとし、表24に示すように9つの試験区を設け、各試験区250羽ずつの65週齢の白色レグホーン(ジュリア)に対して9通りの給餌方法により換羽誘導をおこない、産卵率と斃死率を算出した。いずれの区も3週間の不断給餌とし、この給餌試験を産卵鶏を変えて4回繰り返した。換羽誘導後に給餌する成鶏用配合飼料には表8の市販飼料を用いた。
(2)試験結果
試験結果は表25に示すとおりである。
Figure 0003927214
Figure 0003927214
Figure 0003927214
Figure 0003927214
(3)所見
表25から、給餌開始前半(10日目まで)の代謝エネルギーを低くし、後半(11日目以降)の代謝エネルギーを高める方が産卵停止がスムースに生じると共に、通期の斃死率抑制効果が発揮されることが確認できた。逆に、給餌開始前半の代謝エネルギーを高くすると、給餌開始21日目になっても産卵を停止しない個体数が増加すること、また、換羽誘導の全期間を通して代謝エネルギーを低く抑えると、産卵停止はスムースに進むが、斃死率が高くなることが確認できた。よって、換羽誘導初期(0〜10日目頃まで)は代謝エネルギーの低い、維持エネルギーぎりぎりの飼料を与え、後期において代謝エネルギーがやや高い飼料を与えて換羽誘導することにより、産卵鶏の斃死率を抑えると共にスムースな産卵停止に誘導できることが理解される。
本試験の結果を総合すると、換羽誘導の初期(開始0〜10日目)には飼料の代謝エネルギーを1900〜2100kcal/kg未満に留め、換羽誘導の後期(開始11〜21日目)には代謝エネルギー2100〜2400kcal/kg以下の飼料を給餌する方法が、換羽誘導期間中の斃死羽数を抑制できると共に、産卵停止を順調に誘発できることが確認された。
試験例9
<点灯管理が産卵停止に及ぼす影響の確認試験>
(1)試験方法
換羽誘導前の鶏舎内の点灯管理が換羽誘導中の産卵の停止に及ぼす影響について、以下の3通りの試験区(1区〜3区)を設けて試験を行なった。
イ)「1区」は、点灯時間を換羽誘導開始前10日間は16時間/日で一定とし、その後 換羽誘導を行なった区である。
ロ)「2区」は、点灯時間を換羽誘導開始前10日間は24時間/日で一定とし、その後 換羽誘導を行なった区である。
ハ)「3区」は、換羽誘導開始10日前から7日間を24時間/日点灯とし、その後3日 間を16時間/日に変更し、その後換羽誘導を行なった区である。
67週齢の白色レグホーン(マリア)を各区1000羽ずつに振り分け、いずれの試験区も3週間の不断給餌とした。供試飼料は、換羽誘導開始前は表8に示す飼料(市販の配合飼料)を給餌し、換羽誘導には試験例4で用いた表6の1区の飼料(嵩比重 0.482kg/Lで、粒度分布において1.0mm 以上の部位の割合52.4%、代謝エネルギー 2200kcal/kg)を用いた。
(2)試験結果
試験結果は表26に示すとおりである。
(3)所見
表26から、換羽誘導開始前に点灯時間の切り替えを行なった3区の産卵停止が1区・2区に比べて明らかにスムースに進んでいることが読み取れる。一方、点灯時間を一定にしておいた1区・2区の産卵停止には顕著な差異は見られなかった。このことから、換羽誘導開始前の点灯刺激が産卵停止に大きく影響することが理解された。また、当然のことながら、換羽誘導の前後を通して供試鶏は常時飽食状態に置かれていたことから、斃死への悪影響は観察されなかった。
Figure 0003927214
本試験の結果を総合すると、鶏舎内の点灯時間を換羽誘導開始7〜10日前のうち3〜7日間は24時間/日とし、換羽誘導開始3〜5日前は16時間/日以下として産卵鶏を飼育した後、換羽誘導期を迎え、所定の換羽誘導用配合飼料を給餌する方法が効果的であることが理解できる。特に、鶏舎内の点灯時間を換羽誘導開始7〜10日前のうち3〜7日間は24時間/日とし、換羽誘導開始3〜5日前は16時間/日以下として産卵鶏を飼育した後、請求項9に記載した2段階給餌法で換羽誘導を行なうと、最も効果的な方法であることが理解できた。
以上詳しく説明したとおり、本発明に係る産卵鶏の換羽誘導用配合飼料は、産卵鶏に飢餓によるストレスを感じさせることなく、絶食させたのと同様の産卵停止効果を生じさせることができる。したがって、換羽誘導に伴う産卵鶏の斃死を抑制することができる。その上、本発明に係る産卵鶏の換羽誘導用配合飼料は、産卵再開に必要なカルシウム分を補ってあるので、産卵鶏は、換羽誘導期間中であっても、大腿骨が健全に維持され、産卵再開後の卵の卵殻質の回復を早め、廃棄卵の発生を抑制することができる。
さらに、本発明に係る産卵鶏の換羽誘導用配合飼料は、好ましくは飼料用油脂を添加することによって、養鶏の現場で使用しやすいものとすることができる。
さらに、本発明に係る産卵鶏を換羽誘導する方法は、産卵のスムースな停止に向かって産卵鶏を誘導することができると共に、期間中の斃死を大幅に抑制することができる。
このように、本発明に係る産卵鶏の換羽誘導用配合飼料及び本発明に係る産卵鶏を換羽誘導する方法は養鶏業発展に大きく貢献できるものである。

Claims (6)

  1. 糟糠類を主原料とし、嵩比重が0.40〜0.56kg/Lでかつ粒度分布において1mm以上の部位が40%以上に調整してあると共に、カルシウム含量は3.5%以上に、代謝エネルギーは1900kcal/kg以上で2100kcal/kg未満に仕上げてある産卵鶏の換羽誘導用配合飼料。
  2. 糟糠類を主原料とし、嵩比重が0.40〜0.56kg/Lでかつ粒度分布において1mm以上の部位が40%以上に調整してあると共に、カルシウム含量が3.5%以上に、代謝エネルギーは2100kcal/kg以上で2400kcal/kg以下に仕上げてある産卵鶏の換羽誘導用配合飼料。
  3. さらに、飼料用油脂を添加してある請求項1又は2に記載の産卵鶏の換羽誘導用配合飼料。
  4. さらに、以下の(1)〜(4)の原料又は成分のうち少なくとも一つを含有させてある請求項1から3のいずれかに記載の産卵鶏の換羽誘導用配合飼料。
    (1)ビタミンAを5000IU/kg以上、ビタミンDを1000IU/kg、ビタミンEを5IU/kg以上
    (2)マンガンを30mg/kg以上、亜鉛を40mg/kg以上、ヨウ素を0.3mg /kg以上
    (3)セイヨウオトギリソウを0.5〜5.0%
    (4)ナトリウム塩を0.1〜0.5%
  5. 換羽誘導開始から7〜10日間は請求項1に記載の配合飼料を給餌し、この期間が経過した後は請求項2に記載の配合飼料を給餌して産卵鶏を換羽誘導する方法。
  6. 鶏舎内の点灯時間を換羽誘導開始7〜10日前のうち3〜7日間は24時間/日とし、換羽誘導開始3〜5日前を16時間/日以下として産卵鶏を飼育した後、請求項5に記載の方法を用いて産卵鶏を換羽誘導する方法。
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