JP3927108B2 - レンズ付きフイルムユニット及び逆止爪 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズ付きフイルムユニットに関し、更に詳しくはフイルム詰め替え品の製造,販売を有効に防止できるレンズ付きフイルムユニット及び逆止爪に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
簡易なシャッタ機構や巻上げ機構等からなる撮影装置を備えたユニット本体に、製造時に未露光の写真フイルムを装填してあり、購入してすぐに撮影を楽しむことができるレンズ付きフイルムユニットが本出願人から製造・販売されている。このレンズ付きフイルムユニットは、1コマ撮影する毎に巻上げダイヤルを操作して露光済みの写真フイルムを1コマ分ずつパトローネ本体に収納していき、全てのコマを撮影し終わった後、フイルム巻き戻し操作を行うことなく、そのまま現像取扱店に提出される。なお、巻上げダイヤルの外周に形成された歯列には、巻上げダイヤルの巻上げ方向と逆の回転操作を阻止する逆止爪が係合している。
【0003】
現像取扱店では、レンズ付きフイルムユニットから露光済みの写真フイルムを収納したパトローネ本体を抜き取り、これを自動現像機にセットして、現像及びプリント処理を行う。そして、仕上がったプリント写真と現像済みのネガとを客に返却する。空のレンズ付きフイルムユニットは、メーカの循環生産工場に回収され、リサイクルされる。
【0004】
ところが、一部のレンズ付きフイルムユニットは、メーカの循環生産工場に回収されずに、第三者のフイルム詰め替え業者に渡り、いわゆる詰め替え品として市販されている。この詰め替え品は、なんらの検査も行わないまま製造されているため、フイルム通路の損傷によって写真フイルムに擦れ傷がついたり、撮影装置の故障によって撮影途中で動作しなくなる等のトラブルを起こし、レンズ付きフイルムユニット全体のイメージダウンにつながるおそれがある。
【0005】
そこで、本出願人は、例えば本体基部に設けられている逆止爪を後カバーに瞬間熱かしめ溶着し、フイルム詰め替えのために本体基部から後カバーを取り外そうとすれば、逆止爪が破壊されるようにしている(特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−024208号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1記載のようなフイルム詰め替え防止策を講じているにもかかわらず、いまだに大量の詰め替え品が市場に出回っている。これは、逆止爪が破損しても、接着剤を使用して逆止爪を貼り付ける等の比較的手軽な方法で修復が可能なためであると思われる。
【0008】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、フイルム詰め替え品の製造,販売を有効に防止できるレンズ付きフイルムユニット及び逆止爪を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のレンズ付きフイルムユニットは、写真フイルムパトローネのパトローネ本体を収納するパトローネ室と、パトローネ本体から引き出した未露光の写真フイルムをロール状にして収納するフイルムロール室と、前記パトローネ室の上方に設けられ、露光済みの写真フイルムをパトローネ本体内に収納する際に操作される巻上げダイヤルと、この巻上げダイヤルの外周に形成された歯列に係合部が係合して巻上げダイヤルの巻上げ方向と逆の回転操作を阻止する逆止爪とを備えたレンズ付きフイルムユニットにおいて、前記パトローネ室の上部の一部に開口を設け、この開口から逆止爪の係合部がパトローネ室の上方に突出し、かつ逆止爪の基部が開口を光密に塞ぐように、パトローネ室内に挿入したパトローネ本体とパトローネ室の上部内壁との間で逆止爪の基部を挟持し、パトローネ室からパトローネ本体を抜き出すことに伴って逆止爪がパトローネ室の内側に落下するようにしたものである。
【0010】
また、本発明の逆止爪は、写真フイルムパトローネのパトローネ本体を収納するパトローネ室と、パトローネ本体から引き出した未露光の写真フイルムをロール状にして収納するフイルムロール室と、前記パトローネ室の上方に設けられ、露光済みの写真フイルムをパトローネ本体内に収納する際に操作される巻上げダイヤルとを備えたレンズ付きフイルムユニットに設けられ、前記巻上げダイヤルの外周に形成された歯列に係合部が係合して巻上げダイヤルの巻上げ方向と逆の回転操作を阻止する逆止爪において、前記係合部と、これを支持する基部とからなる独立した部品であって、前記パトローネ室の上部の一部に設けられた開口から係合部がパトローネ室の上方に突出するようにパトローネ室の内側から差し込まれ、前記パトローネ室内に挿入したパトローネ本体とパトローネ室の上部内壁との間に基部が挟持されることにより基部が開口を光密に塞ぐとともに、前記パトローネ本体をパトローネ室から抜き出した際には、パトローネ室の内側に落下するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
レンズ付きフイルムユニット2は、図1に示すように、本体基部3、露光ユニット4、これらの前後に被せられる前カバー5、後カバー6、及び135タイプの写真フイルムパトローネ7とから構成されいる。前カバー5には、撮影窓5aやファインダー対物窓5b,シャッタボタン5c等が形成されている。
【0012】
本体基部3には、写真フイルムパトローネ7のパトローネ本体7aを収納するパトローネ室10と、パトローネ本体7aから引き出した写真フイルム7bをロール状に収納するフイルムロール室11とが形成され、また背面側にはアパーチャ(図示せず)が露呈している。
【0013】
後カバー6は、アパーチャに対面する部分にフイルム支持面6aが形成されており、その底面側にパトローネ室10とフイルムロール室11との底面を覆うプルトップ式の蓋6b,6cとがそれぞれ設けられている。蓋6bは露光済みの写真フイルム7bを収納したパトローネ本体7aを取り出すときの取り出し蓋となる。
【0014】
露光ユニット4には、カウンタ表示板12,係止レバー13,シャッタ駆動レバー,シャッタ羽根,撮影レンズ14,従動スプロケット等からなるフイルム巻き上げ機構及びシャッタ機構が一体的に設けられている。露光ユニット4は、本体基部3に前面から着脱自在に取り付けられる。
【0015】
図2に示すように、パトローネ室10の上部には、パトローネ本体7aの巻芯と係合する係合部が設けられた巻上げダイヤル15が配設されている。巻上げダイヤル15は、図中の矢印方向に回動操作することによって、撮影済みの写真フイルム7bをパトローネ本体7a内に巻き上げる方向に巻芯を回転させる。
【0016】
巻上げダイヤル15の外周には歯列15aが形成され、この歯列15aには、巻上げダイヤル15の巻き上げ方向とは逆の回転操作を阻止する逆止爪16が係合している。この逆止爪16は、ほぼ三角形状をした基部16aと、この上面に立設された支柱部16bと、この支柱部16bの側部から側方に突出形成され、先端がテーパー状に形成された係合部16cとからなり、この係合部16cが歯列15aに係合する。
【0017】
パトローネ室10は、側部上方の一部がほぼ三角錐の形状に側方に張り出ており、この張り出した部分10aの上部中央からパトローネ室10の上部の一部にかけてほぼ三角形状の開口10bが形成されている(図4参照)。図3に示すように、この開口10bをパトローネ室10の内側から光密に塞ぐように逆止爪16の基部16aが挿入され、逆止爪16が落下しないように、パトローネ室10に挿入されたパトローネ本体7aの上部によって基部16aが下方から支持される。なお、係合部16cは、開口10bを余裕をもって通過するサイズに形成されている。
【0018】
なお、開口10bの縁と基部16aの縁との隙間を遮光するために、開口10bの縁の下部には突条が形成され、これに入り込む溝が基部16aの縁近傍に形成されている。ただし、パトローネ室10からパトローネ本体7aを抜き出した際には、直ちに逆止爪16が開口10bから外れるように、突条と溝との係合はゆるやかなものとする。
【0019】
次に、上記構成の作用を簡単に説明する。使用済みのレンズ付きフイルムユニット2が現像取扱店に提出されると、店員はまず巻上げダイヤル15を回転して全ての写真フイルム7bをパトローネ本体7a内に収納する。次に、蓋6bを開けてパトローネ室10からパトローネ本体7aを抜き出す。これにより、パトローネ本体7aのよる支持がなくなった逆止爪16は、開口10bから外れてパトローネ室10の内側に落下し、ほとんどの場合パトローネ室10から更に外に排出される。この後、逆止爪16はゴミとして廃棄される。
【0020】
パトローネ本体7aは、自動現像機にセットされ、現像処理及びプリント処理が行われた後、仕上がったプリント写真とネガがお客に返却される。空のレンズ付きフイルムユニット2は、一旦専用の保管箱等で保管された後、メーカの循環生産工場に回収されてリサイクルされる。なお、逆止爪16も空のレンズ付きフイルムユニット2と一緒に循環生産工場に回収されるようにしてもよい。
【0021】
空のレンズ付きフイルムユニット2が第三者に渡る場合もあり得るが、逆止爪16が外れているから、そのまま写真フイルムの詰め替えを行っても、巻上げダイヤル15が逆転して撮影することができない。また、パトローネ室10の開口10bを塞ぐ必要もある。
【0022】
また、逆止爪16を第三者が手に入れたとしても、小さい部品である逆止爪16をパトローネ室10の最奥の開口10bに挿入し、かつ係合部16cが巻上げダイヤル15の歯列15aに正しく係合させた状態を保ったままパトローネ本体7aをパトローネ室10内に挿入する作業は多大な手間を要する。
【0023】
また、逆止爪16を新たに製作することも考えられるが、巻上げダイヤル15の歯列15aと正確に係合させるためには、逆止爪16を高精度に製作する必要があり、技術面及びコスト面で困難である。これにより、詰め替え業者の利益が大幅に減少するため、詰め替え品の販売を諦めさせることに貢献できる。
【0024】
なお、パトローネ本体7aをパトローネ室10から抜き出す際に確実に逆止爪16が外れるように、例えばフイルム装填時にパトローネ本体7aと逆止爪16との間に両面粘着テープを挟むようにしてもよい。この場合には、パトローネ本体7aは、この上部に逆止爪16が両面粘着テープを介して貼り付いた状態でパトローネ室から抜き出されるので、逆止爪16を両面粘着テープごとパトローネ本体7aの上部から引き剥がしてから、パトローネ本体7aを自動現像機にセットする。
【0025】
以上説明した実施形態では、逆止爪を支柱部から係合部が側方に突出される形状としたが、本発明はこれに限定されることなく、例えばL字型の形状にしてもよい。また、逆止爪の基部の形状をほぼ三角形状にしたが、本発明はこれに限定されることなく、例えば円形状等でもよい。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、パトローネ室の上部に設けた開口から逆止爪の係合部がパトローネ室の上方に突出し、かつ逆止爪の基部が開口を光密に塞ぐように、パトローネ室内に挿入したパトローネ本体とパトローネ室の上部内壁との間で逆止爪の基部を挟持したので、パトローネ室からパトローネ本体を取り出すと、逆止爪が外れてパトローネ室の内側に落下する。この逆止爪が外れたままのレンズ付きフイルムユニットにフイルム詰め替えを行っても、巻上げダイヤルが逆回転して撮影することができず、かつパトローネ室の上部の開口を遮光する必要もあることから、この開口を塞ぐ新たな逆止爪を取り付ける必要がある。このためには、高度の技術と多大な手間が必要であるから、フイルム詰め替え業者を採算割れの状態に追い込むことができ、フイルム詰め替え品の製造,販売を有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レンズ付きフイルムユニットを示す分解斜視図である。
【図2】本体基部を示す斜視図である。
【図3】パトローネ本体によって支持された逆止爪を示すパトローネ室の断面図である。
【図4】パトローネ本体の抜き出しによって逆止爪が落下する状態を示すパトローネ室の断面図である。
【符号の説明】
2 レンズ付きフイルムユニット
7 写真フイルムパトローネ
7a パトローネ本体
10 パトローネ室
10b 開口
15 巻上げダイヤル
15a 歯列
16 逆止爪
16a 基部
16c 係合部

Claims (2)

  1. 写真フイルムパトローネのパトローネ本体を収納するパトローネ室と、パトローネ本体から引き出した未露光の写真フイルムをロール状にして収納するフイルムロール室と、前記パトローネ室の上方に設けられ、露光済みの写真フイルムをパトローネ本体内に収納する際に操作される巻上げダイヤルと、この巻上げダイヤルの外周に形成された歯列に係合部が係合して巻上げダイヤルの巻上げ方向と逆の回転操作を阻止する逆止爪とを備えたレンズ付きフイルムユニットにおいて、
    前記パトローネ室の上部の一部に開口を設け、この開口から逆止爪の係合部がパトローネ室の上方に突出し、かつ逆止爪の基部が開口を光密に塞ぐように、パトローネ室内に挿入したパトローネ本体とパトローネ室の上部内壁との間で逆止爪の基部を挟持し、パトローネ室からパトローネ本体を抜き出すことに伴って逆止爪がパトローネ室の内側に落下するようにしたことを特徴とするレンズ付きフイルムユニット。
  2. 写真フイルムパトローネのパトローネ本体を収納するパトローネ室と、パトローネ本体から引き出した未露光の写真フイルムをロール状にして収納するフイルムロール室と、前記パトローネ室の上方に設けられ、露光済みの写真フイルムをパトローネ本体内に収納する際に操作される巻上げダイヤルとを備えたレンズ付きフイルムユニットに設けられ、前記巻上げダイヤルの外周に形成された歯列に係合部が係合して巻上げダイヤルの巻上げ方向と逆の回転操作を阻止する逆止爪において、
    前記係合部と、これを支持する基部とからなる独立した部品であって、前記パトローネ室の上部の一部に設けられた開口から係合部がパトローネ室の上方に突出するようにパトローネ室の内側から差し込まれ、前記パトローネ室内に挿入したパトローネ本体とパトローネ室の上部内壁との間に基部が挟持されることにより基部が開口を光密に塞ぐとともに、前記パトローネ本体をパトローネ室から抜き出した際には、パトローネ室の内側に落下することを特徴とする逆止爪。
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