JP3926560B2 - 軽量化ミラー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、軽量化ミラーに関し、特に、人工衛星等の移動体に搭載される望遠鏡や光学センサないし光アンテナに使用される軽量化ミラーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図10は従来の軽量化ミラーを示す図であり、この図において、1は板状のガラス材料からなるミラー構成体、2はこのミラー構成体1の一方の表面を研磨して形成した鏡面、3はミラー構成体1の他方の表面に形成された複数の凹穴、4はこの凹穴3から構成されたコアをそれぞれ示す。
この従来の軽量化ミラーでは、図10のように、コア4側に施した複数の凹穴3の開口部にバックプレートをつけず、凹穴3の入り口を開口したまま使用していた。この場合、小型軽量化ミラーでは、重量が軽く、重量に比較して剛性も十分高く、移動体に搭載された場合でもあまり大きな荷重が発生しないので、コア4側をバックプレートにより補強しなくても問題がなかった。
【0003】
図11は従来の軽量化ミラーの別の例を示す図であり、この図において、1は板状のガラス材料からなるミラー構成体、2はこのミラー構成体1の一方の表面を研磨して形成した鏡面、3はミラー構成体1の他方の表面に形成された複数の凹穴、4はこの凹穴3から構成されたコア、5はミラー構成体1のコア4側に取り付けられたバックプレートをそれぞれ示す。
この従来の中規模の大きさの軽量化ミラーでは、移動体に搭載したときに被る荷重が大きくなるため、図11のように、コア4の凹穴3の開口部を略全面覆うような形状を成すバックプレート5が取り付けられていた。なお、ミラー構成体1に対してバックプレート5を取り付ける方法としては接着や溶着が用いられていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の軽量化ミラーのうち、図10に示す方式では、軽量化ミラーサイズが直径300mm程度より大型になると、重量が大きくなり、剛性不足により固有値が低下し、移動体の主要振動モードと共振して大荷重が発生しやすいという問題があった。また、強度不足により、移動体に搭載した際に、振動荷重などに耐えられなくなるという問題もあった。
【0005】
また、図11に示す方式では、軽量化ミラーサイズが中規模の場合は軽量かつ高剛性を確保しやすいが、直径600mm程度より大型になると、バックプレート5をミラー構成体1のコア4側に取り付ける際に、接触して固着するべき面積が大きいため、バックプレート5とコア4のいずれについても、平面度と面粗さの両面で厳しい加工精度を必要とした。このため、加工が難しく、長時間の加工が必要で、コストが高くなるという課題があった。また、接触面全面を均一に固着させることが難しく、不良品が発生するリスクが高いため、歩留りが悪いという課題があった。
【0006】
この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、バックプレートの取リ付けに関し、加工時間の短縮化、取リ付け作業の簡便化および時間短縮化、バックプレート取リ付け費用の低減を図った軽量化ミラーを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る軽量化ミラーは、板状のガラス材料からなり、一方の表面を研磨して鏡面と成し、他方の表面には複数の凹穴からなるコアを形成してなるミラー構成体と、前記ガラス材料と同一または同等の線膨張係数を有する材料からなり、前記ミラー構成体のコア側表面に取り付けられて前記ミラー構成体を補強する板状のバックプレートとを具備し、前記ミラー構成体の前記コア側表面は、前記バックプレートとの接触面が平面度を維持したまま研磨されており、前記バックプレートは、前記ミラー構成体の前記コア側表面との接触面が平面度を維持したまま研磨されており、オプティカルコンタクトまたはオプティカルコンタクトした後さらに昇温固着により前記コア側表面に接合されるものである。
また、前記バックプレートは、前記コアに形成された個々の凹穴の開口形状より大きい複数のバックプレート形成部材に分割されているものである。
【0008】
ここに、前記ガラス材料は、アモルファスガラス材料の他にガラスセラミックス材料も含むものとする。
【0009】
また、上記構成によれば、バックプレートをミラー構成体のコア側に取り付ける際、分割されたバックプレート形成部材毎に取り付ければよい。したがって、バックプレート形成部材をミラー構成体に接触させて固着するための接触面積が小さくなる。したがって、バックプレート形成部材やミラー構成体のコア側表面に要求される接触部の平面度および面粗さは従来に比し緩和され、加工が容易となり、加工時間が短縮され、かつ、取リ付け作業も容易となり取リ付け作業時間の短縮を図ることができ、コスト低減に寄与できる。なお、バックプレート形成部材の大きさおよび個数は、バックプレート形成部材の加工性、取り付け作業性等を考慮して総合的に見てコスト低減が最高となるように決めればよい。
【0010】
また、前記バックプレート形成部材は、全て、形状寸法が同一であるように構成してもよい。
【0011】
このように構成すれば、バックプレート形成部材の加工、および、バックプレート形成部材の取リ付け作業の共通化を図ることができ、より一層コスト低減を可能とすることができる。
【0012】
また、前記複数の凹穴は、前記ミラー構成体の周縁に形成された凹穴を除く全てについて、形状寸法が同一である同一開口部とされ、前記バックプレート形成部材は、前記凹穴の同一開口部に対応した形状寸法としてもよい。
【0013】
このように構成すれば、バックプレート形成部材が小型化され、バックプレート形成部材1枚あたりのバックプレート形成部材とミラー構成体のコア側表面との接触面積がより小さくなり、その結果バックプレート形成部材とミラー構成体のコア側表面との固着のための接触部の平面度および面粗さの精度がより一層緩和され、加工がより一層容易となり、コストをより一層低減することが可能となる。
【0014】
また、前記バックプレート形成部材は、前記同一開口部の凹穴全てに対して取り付けられているものとしてもよい。
【0015】
このように構成すれば、バックプレート形成部材とミラー構成体とに要求される加工精度を緩和しながら、強度および剛性の高い直径600mmを超過するような大型の軽量化ミラーを実現することができる。また、この場合、要求される加工精度の緩和により、不良品が発生するリスクが低減され、歩留りが向上する。
【0016】
また、前記凹穴は、前記同一開口部の形状が略正三角形であり、前記バックプレート形成部材は、この同一開口部の凹穴に対して一つおきに取り付けられているものとしてもよい。
【0017】
このように構成すれば、バックプレート形成部材が一つおきの凹穴に取り付けられるにもかかわらず、バックプレート形成部材が周縁部の一部の凹穴を除く凹穴の3辺に接触して取り付けられることになり、従来の軽量化ミラーと同等の強度剛性を確保することができる。したがって、冗長的なバックプレート形成部材の取リ付けを回避することにより、より効果的に軽量化できるという効果がある。
【0018】
また、前記凹穴は、前記同一開口部の形状が略正三角形であり、また、前記凹穴のうち前記コアの中心に対し一定円周上に等間隔に配置された凹穴における略正三角形の3頂点それぞれが、この軽量化ミラーを他部材に固定するための固定具が設けられる固定部を成し、前記バックプレート形成部材は、この固定部を成す3頂点を備えた凹穴に隣接する全ての凹穴に取り付けられているものとしてもよい。
【0019】
このように構成すれば、大荷重を受けたり、高剛性を必要とする固定部の周辺がバックプレート形成部材により補強されるので、数少ないバックプレート形成部材により、効果的に強度剛性を向上させることができ、コアによる軽量効果をより一層大きくすることができる。
【0020】
また、前記凹穴は、前記同一開口部の形状が略正三角形であり、また、前記凹穴のうち前記コアの中心に対し一定円周上に等間隔に配置された凹穴における略正三角形の3頂点それぞれが、この軽量化ミラーを他部材に固定するための固定具が設けられる固定部を成し、前記バックプレート形成部材は、前記等間隔に配置された凹穴の外周部およびこの凹穴の中心同士を直線的に結ぶ線上に存在する全ての凹穴に取り付けられているものとしてもよい。
【0021】
このように構成すれば、大荷重を受けたり、高剛性を必要とする固定部相互間がバックプレート形成部材により補強されるので、数少ないバックプレート形成部材により、効果的に強度剛性を向上させることができ、コアによる軽量効果を大きくすることができる。
【0022】
また、前記ミラー構成体は、その周縁を等分する位置に、この軽量化ミラーを他部材に固定するための固定具が設けられる固定部を有し、前記バックプレート形成部材は、この固定部のうち隣接する固定部の両端同士を結ぶ直線の間に存在する全ての凹穴に取り付けられているものとすることもできる。
【0023】
このように構成すれば、大荷重を受けたり、高剛性を必要とする固定部相互間がバックプレート形成部材により補強されるので、数少ないバックプレート形成部材により、効果的に強度剛性を向上させることができ、コアによる軽量効果を大きくすることができる。
【0024】
また、前記バックプレート形成部材は、前記ミラー構成体に対する配置場所に応じて異なる厚さであるものとしてもよい。
【0025】
このように構成すれば、必要に応じてバックプレート形成部材の厚さを最適化して、効果的に強度剛性を確保し、軽量効果を大きくすることが可能となる。
【0028】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る軽量化ミラーを示し、中心を通る半径方向の線で切断した略半分の部分を斜視図で表している。なお、他半分はこの図1のものと対称的に構成されているものとする。
この図1において、1は板状のガラス材料からなるミラー構成体、2はこのミラー構成体1の一方の表面を研磨して形成した鏡面、3はミラー構成体1の他方の表面に形成された複数の凹穴(図面では1個の凹穴にのみ符号を付している)、4はこの凹穴3から構成されたコアである。また、ミラー構成体1は中央部に円柱状の孔10を具備している。
【0029】
凹穴3の開口形状は、略正三角形状を成すように形成されている。なお、コア4の殆どの凹穴が略正三角形の凹穴3として形成されているが、ミラー構成体1の円筒状外周壁に隣接する部分では、この円筒状外周壁と略正三角形の2辺を構成するリブとで形成される凹穴31ができる。この凹穴31は、ミラー構成体1の外形に影響を受けるため、正三角形とはならない。
【0030】
そして、このように形成されたミラー構成体1に対し、一部の凹穴3、具体的には、前記円柱状の孔10の周りの複数の凹穴3を覆うようにバックプレート5が取り付けられている。また、このバックプレート5は、複数のバックプレート形成部材51に分割されている。
【0031】
ミラー構成体1に使用する材料としては、温度変化によるミラー熱変形を抑制しやすいことに配慮して、例えば、クリアセラム-Z(クリアセラムは株式会社オハラの登録商標)などの極低膨張ガラスセラミックス材料や、SiO2−TiO2系組成の極低膨張アモルファスガラス材料等の線膨張係数がゼロに近い材料が適している。
【0032】
バックプレート形成部材51は、上記ミラー構成体1と同一の材料ないしは同等の線膨張係数を有する材料から形成されており、上記コア4に形成された個々の凹穴3の開口形状よりやや大きい略正三角形状に形成されている。より詳細には、コア4では、前記略正三角形状の複数の凹穴3の相互間にミラー構成体1を形成する材料がリブ状に残されており、各バックプレート形成部材51は、この凹穴3の開口部の形状と同一でかつ若干寸法が大きく、より具体的には、各辺共上記リブの厚さの半分以下分だけ大きく成形されている。また、バックプレート形成部材51の形状および寸法は、同一に統一されている。そして、バックプレート5としてバックプレート形成部材51をコア4に取り付ける際は、バックプレート形成部材51の周縁部と上記リブの接触面とが固着されることにより行われている。
【0033】
また、バックプレート5をコア4に取り付ける方法としては、平面度を維持したままそれぞれの接触面を十分研磨して密着させるオプティカルコンタクト(光学接着)と呼ばれる方法により実現することができる。また、真空中で使用する人工衛星搭載用望遠鏡などに利用する場合には、さらに昇温して固着させる方法や、圧力を作用させながら昇温固着させるダイレクトボンディング(直接接合)と呼ばれる方法により、固着強度を向上させつつ均一性を向上することが可能となる。また、トールシール(米国Varian社の登録商標)等の接着剤で接着する方法も可能であることはいうまでもない。
【0034】
なお、各バックプレート形成部材51の中央部には、円形孔51aが設けられている。この円形孔51aは、空気抜きおよび加工用ツーリングホールを兼ねたものであり、人工衛星搭載用望遠鏡などに使用される際に、コア4とバックプレート形成部材51との間に残留空気が存在しないようにするものである。
【0035】
また、コア4を形成する凹穴3の開口形状は、略正三角形状のものであるが、より詳細には、各三角形の彫り込みの隅部には、回転加工した際にドリル等のツールの跡が残っているものである。また、個々の略正三角形の頂点部分には、さらに軽量化するために、小さな円形の凹穴3aが施されている。
【0036】
実施の形態1では、上記のようにバックプレート5が複数のバックプレート形成部材51により構成されているので、このバックプレート形成部材51をミラー構成体1のコア4側に取り付ける際、接触して固着するための接触面積が小さくなる。したがって、バックプレート形成部材51やミラー構成体1のコア4側表面に要求される接触部の平面度および面粗さは従来に比し緩和されるので、バックプレート5の加工が容易となり、その加工時間が短縮される。また、バックプレート形成部材51とミラー構成体1との接触面前面を均一に固着させることが容易になるので、バックプレート5の取リ付け作業が容易となり、取り付け作業時間の短縮を行うことができ、これに加えて、バックプレート5を取り付けることについての歩留りも向上し、総合的に見てバックプレート5の取り付けコストを低減することができる。
【0037】
また、前記バックプレート形成部材51は、全て同一形状かつ同一寸法であるように構成されているので、バックプレート形成部材51の加工、および、バックプレート形成部材51の取リ付け作業の共通化を図ることができ、より一層コスト低減を可能とすることができる。
【0038】
上記実施の形態1において、次のように変形してもよい。
(1) また、凹穴3およびバックプレート5を構成するバックプレート形成部材51の大きさおよび個数は、バックプレート形成部材の加工性、取り付け作業性等を考慮して総合的に見てコスト低減が最高となるように決めればよい。
(2) バックプレート5を構成するバックプレート形成部材51は、厚さ、形状などを配置される場所により変え得るように、複数種類のバックプレート形成部材51を使用してもよい。
(3) また、コア4の凹穴3の開口形状は、略正三角形に限ったものではなく、これを円形または正三角形以外の他の多角形とし、この凹穴3の形状に合わせてバックプレート形成部材51の形状を変更してもよい。また、同様に、前記凹穴3を四角形状の彫り込みによるエッグクレー構造や、六角形状に彫り込むハニカム構造としてもよい。
【0039】
実施の形態2.
次に、実施の形態2について図2に基づき説明する。図2は、この発明の実施の形態2に係る軽量化ミラーのコア側表面図である。なお、実施の形態1と同一の要素には同一の符号を付し、その詳細説明を省略する。
【0040】
実施の形態1においては、バックプレート形成部材51は一部の凹穴3に取り付けられていたが、図2の実施の形態2においては、コア4における開口部形状が略正三角形である略同一形状の凹穴3の全てに対して個別にバックプレート形成部材51が取り付けられている。なお、この図においては、識別性を考慮しバックプレート形成部材51にハッチングを施している。
【0041】
また、鏡面2を形成するミラー構成体1は、実施の形態1でも述べたように、コア側表面からから見て円形として構成されているため、コア4の殆どの凹穴が略正三角形の凹穴3として扱えるが、ミラー構成体1の円筒状外周壁に隣接する部分では、この円筒状外周壁と略正三角形の2辺を構成するリブとで形成される正三角形にならない凹穴31ができ、この凹穴31にはバックプレート形成部材51が取り付けられていないが、必要に応じて異型のバックプレートを取り付けてもよいことは勿論である。
【0042】
この実施の形態2では、ミラー構成体1の周縁に形成された一部の凹穴31を除く全ての凹穴3が、形状寸法が同一または略同一とした開口部とされ、バックプレート形成部材51は、凹穴3の同一開口部に対応した形状寸法とされているので、バックプレート形成部材51が小型化され、バックプレート形成部材51とミラー構成体1のコア4側表面との接触面積がより小さくなり、その結果バックプレート形成部材51とミラー構成体1のコア4側表面との固着のための接触部の平面度および面粗さの精度がより一層緩和され、加工がより一層容易となり、コストをより一層低減することが可能となる。
【0043】
また、前記バックプレート形成部材51は、開口部形状が同一の凹穴3全てに対して取り付けられているので、バックプレート形成部材51とミラー構成体1とに要求される加工精度を緩和しながら、強度および剛性の高い直径600mmを超過するような大型の軽量化ミラーを実現することができる。また、この場合、要求される加工精度の緩和により、不良品が発生するリスクが低減され、歩留りが向上する。
【0044】
実施の形態3.
次に、実施の形態3について図3に基づき説明する。図3は、この発明の実施の形態3に係る軽量化ミラーのコア側表面図である。なお、実施の形態1と同一の要素には同一の符号を付し、その詳細説明を省略する。
【0045】
実施の形態2においては、バックプレート形成部材51は開口部が略正三角形状を成す凹穴3全てに取り付けられていたが、図3の実施の形態3においては、コア4の開口部が略正三角形状を成す凹穴3に対し一つおきに、したがって、約半数の凹穴3にバックプレート形成部材51を取り付けている。
【0046】
したがって、この実施の形態3では、バックプレート形成部材51が一つおきの凹穴3に取り付けらているにもかかわらず、バックプレート形成部材51が周縁部の一部の凹穴3を除く凹穴3の3辺に接触して取り付けられることになり、従来の軽量化ミラーと同等の剛性を確保することができる。また、余分なバックプレート形成部材を省略しているので、より効果的に軽量化できるという効果がある。
【0047】
実施の形態4.
次に、実施の形態4について図4に基づき説明する。図4は、この発明の実施の形態4に係る軽量化ミラーのコア側表面図である。なお、実施の形態1と同一の要素には同一の符号を付し、その詳細説明を省略する。
【0048】
図4において、凹穴3は、実施の形態2の場合と同様に、同一開口部の形状が略正三角形である。また、この凹穴3のうちコア4の中心(すなわち、ミラー構成体の中心)に対し、一定円周上に等間隔に配置された三つの凹穴3における略正三角形の3頂点6a、6b、6cそれぞれが、この軽量化ミラーを他部材に固定するための固定具が設けられる固定部を成している。
なお、固定部を成す3頂点6a、6b、6cは、例えば、当該軽量化ミラーを使用した望遠鏡を人工衛星等に搭載して打ち上げる際などに、軽量化ミラーを保持するために使用するものである。
【0049】
そして、三つの凹穴3それぞれの3頂点6a、6b、6cには、図4に示されるように、それぞれねじ孔ないしは固定具挿入用孔が設けられており、この3頂点6a、6b、6c1式で固定のための1グループを構成している。したがって、この固定のための1グループは、前記コア4の中心に対し、等位相角(この実施の形態4では120度)の位置にそれぞれ配置され、コア4上で合計3グループ構成されている。
【0050】
一方、前記バックプレート形成部材51は、固定部を成す3頂点6a、6b、6cを備えた三つの凹穴3に隣接する全ての凹穴3に取り付けられている。
【0051】
以上のように、実施の形態2では、バックプレート形成部材51は開口部が略正三角形状を成す凹穴3全てに取り付けられていたのに対し、実施の形態4においては特定の位置の凹穴3に対してのみバックプレート形成部材51が取り付けられている。すなわち、実施の形態4においては、凹穴3のうちコア4の中心に対し、一定円周上に等間隔に配置された凹穴3における略正三角形の3頂点6a、6b、6cそれぞれが、この軽量化ミラーを他部材に固定するための固定具が設けられる固定部を成し、バックプレート形成部材51は、この固定部を成す3頂点6a、6b、6cを備えた凹穴3に隣接する全ての凹穴3に取り付けられている。したがって、実施の形態4では、大荷重を受けたり、高剛性を必要とする固定部の周辺がバックプレート形成部材51により補強されるので、数少ないバックプレート形成部材51により、効果的に強度剛性を向上させることができ、コア4による軽量効果をより一層大きくすることができる。
【0052】
実施の形態5.
次に、実施の形態5について図5に基づき説明する。図5は、この発明の実施の形態5に係る軽量化ミラーのコア側表面図である。なお、実施の形態4と同一の要素には同一の符号を付し、その詳細説明を省略する。
【0053】
この実施の形態5では、図5に示すように、また、実施の形態4の場合と同様に、コア4の中心に対し、一定円周上に等間隔に配置された(この場合120度の等位相角で配置された)三つの凹穴3における略正三角形の3頂点6a、6b、6cそれぞれが、この軽量化ミラーを他部材に固定するための固定具が設けられる固定部を成している。そして、バックプレート形成部材51は、この固定部を成す3頂点6a、6b、6cを備えた三つの凹穴3の外周およびこの凹穴の中心同士を直線的に結ぶ線上にある全ての凹穴3に取り付けられている。
【0054】
したがって、実施の形態5では、大荷重を受けたり、高剛性を必要とする固定部相互間がバックプレート形成部材51により補強されるので、数少ないバックプレート形成部材51により、効果的に強度剛性を向上させることができ、コア4による軽量効果をより一層大きくすることができる。
【0055】
実施の形態6.
次に、実施の形態6について図6に基づき説明する。図6は、この発明の実施の形態6に係る軽量化ミラーのコア側表面図である。なお、実施の形態4と同一の要素には同一の符号を付し、その詳細説明を省略する。
【0056】
この実施の形態6では、図6に示すように、固定部を成す固定台座7がミラー構成体1の側面に配置されている。すなわち、円盤状のミラー構成体1の側面部を円周方向に均等に3分割する3個所に固定部が設けられている。
そして、バックプレート形成部材51は、上記3個所の固定部のうち隣接する固定部の両端同士を結ぶ直線の間に存在する全ての凹穴3に取り付けられている。
【0057】
したがって、実施の形態6では、実施の形態5の場合とほぼ同様に、大荷重を受けたり、高剛性を必要とする固定部相互間がバックプレート形成部材51により補強されるので、数少ないバックプレート形成部材51により、効果的に強度剛性を向上させることができ、コア4による軽量効果をより一層大きくすることができる。
【0058】
実施の形態7.
次に、実施の形態7について図7に基づき説明する。図7は、この発明の実施の形態7に係る軽量化ミラーの部分側断面図である。なお、実施の形態1と同一の要素には同一の符号を付し、その詳細説明を省略する。
【0059】
この実施の形態7では、バックプレート形成部材51は、コア4の配置場所に応じて異なる厚さとされている。一般的に、円盤状の軽量化ミラーの周縁部は、構造的には拘束が弱く、強度剛性上余裕があるので、バックプレート形成部材51を取り付けるとしても薄いものでよい。一方、固定部(図7には図示されていない)付近では大荷重を受け、高剛性化が必要となるため、厚いバックプレート形成部材51を取り付けるのが好ましい。
【0060】
このように実施の形態7によれば、バックプレート形成部材51は、コア4の裏面の配置場所に応じて異なる厚さとしているので、必要に応じてバックプレート形成部材51の厚さを最適化することができ、効果的に強度剛性を確保し、軽量効果を大きくすることが可能となる。
【0061】
実施の形態8.
次に、実施の形態8について図8に基づき説明する。図8は、この発明の実施の形態8に係る軽量化ミラーのコア側表面図である。なお、実施の形態1と同一の要素には同一の符号を付し、その詳細説明を省略する。
【0062】
この実施の形態8は、実施の形態4におけるバックプレート形成部材51を4個分まとめて略正三角形状のバックプレート形成部材52としたものである。そして、このバックプレート形成部材52を取り付け可能な最大数取り付けている。なお、各バックプレート形成部材52の中央部には、円形孔52aが設けられている。この円形孔52aは、空気抜きおよび加工用ツーリングホールを兼ねたものであり、人工衛星搭載用望遠鏡などに使用される際に、コア4とバックプレート形成部材52との間に残留空気が存在しないようにするものである。
【0063】
このようにバックプレート形成部材52は、その大きさは必ずしも凹穴3の形状大きさに対応したものとしなくてもよく、適宜バックプレート形成部材52の加工性や取り付け作業性を配慮して、総合的に見て最もコスト低減に寄与できるような大きさにすればよい。なお、この実施の形態8は、実施の形態1における変形例の一つに相当する。
【0064】
実施の形態9.
次に、実施の形態9について図9に基づき説明する。図9は、この発明の実施の形態9に係る軽量化ミラーの部分側断面図であり、この発明の検査方法を説明するためのものである。なお、実施の形態1と同一の要素には同一の符号を付し、その詳細説明を省略する。
【0065】
図9において、8はバックプレート形成部材51に簡易的に貼付される加速度計、9はミラー構成体1に対してインパルスまたは振動を印加する加振機である。この加振機としては、ハンマリング試験で振動モードを測定するモーダルハンマでもよいし、マイクロバイブレータのような加振機でもよく、いずれもミラー構成体1が破損しない程度の入力で使用する。また、この実施の形態9では、バックプレート形成部材51が同一形状で複数使用され、コア4との固着状態もいずれのバックプレート形成部材51についても同様になるため、正常な固着ができていれば固有値や振動の伝達特性が同等になる。しかし、例えば3角形のバックプレート形成部材51の1辺の固着が不良であれば、固有値が他より低下するので、検査で発見可能となる。また、応答倍率が他より小さかったり、共振点で波形のなまりがある場合は、異物混入や接着不良の兆候が発見可能となる。
【0066】
上記のように実施の形態9によれば、コア4に対する個々のバックプレート形成部材51の接着状態および溶着状態が正常であるかどうかの検査を、容易、かつ、精度良く行うことができる。
【0067】
【発明の効果】
第1の発明に係る軽量化ミラーによれば、ミラー構成体のコア側表面は、バックプレートとの接触面が平面度を維持したまま研磨されており、バックプレートは、ミラー構成体のコア側表面との接触面が平面度を維持したまま研磨されており、オプティカルコンタクトまたはオプティカルコンタクトした後さらに昇温固着によりコア側表面に接合されているので、固着強度を向上させることができる。
また、第2の発明によれば、バックプレートは、コアに形成された個々の凹穴の開口形状より大きい複数のバックプレート形成部材に分割されているので、加工が容易となり、加工時間が短縮され、かつ、取リ付け作業の容易化、作業時間の短縮化を行うことができ、また、歩留りの向上もあり、総合的に見てバックプレートの取り付けコストを低減することができる。
【0068】
また、第の発明によれば、第の発明において、バックプレート形成部材は、全て、形状寸法が同一であるように構成されるので、凹穴およびバックプレートの加工、および、バックプレートの取リ付け作業の共通化を図ることができ、より一層コスト低減を可能とすることができる。
【0069】
また、第の発明によれば、第の発明において、前記複数の凹穴は、前記ミラー構成体の周縁に形成された凹穴を除く全てについて、形状寸法が同一である同一開口部とされ、前記バックプレート形成部材は、前記凹穴の同一開口部に対応した形状寸法とされているので、バックプレート形成部材とミラー構成体のコア側表面との固着のための接触部の平面度および面粗さの精度がより一層緩和され、加工がより一層容易となり、コストをより一層低減することが可能となる。
【0070】
また、第の発明によれば、第の発明において、前記バックプレート形成部材は、前記同一開口部の凹穴全てに対して取り付けられているので、バックプレート形成部材とミラー構成体とに要求される加工精度を緩和しつつ大型の軽量化ミラーを実現することができる。また、この場合、要求される加工精度の緩和により、不良品が発生するリスクが低減され、歩留りが向上する。
【0071】
また、第の発明によれば、第の発明において、前記凹穴は、前記同一開口部の形状が略正三角形であり、前記バックプレート形成部材は、この同一開口部の凹穴に対して一つおきに取り付けられているので、従来の軽量化ミラーと同等の剛性が確保可能な上、冗長的なバックプレート形成部材の取リ付けを回避することにより、より効果的に軽量化できる。
【0072】
また、第の発明によれば、第の発明において、前記凹穴は、前記同一開口部の形状が略正三角形であり、また、前記凹穴のうち前記コアの中心に対し一定円周上に等間隔に配置された凹穴における略正三角形の3頂点それぞれが、この軽量化ミラーを他部材に固定するための固定具が設けられる固定部を成し、前記バックプレート形成部材は、この固定部を成す3頂点を備えた凹穴に隣接する全ての凹穴に取り付けられているので、大荷重を受けたり、高剛性を必要とする固定部の周辺がバックプレート形成部材により補強されるので、数少ないバックプレート形成部材により、効果的に強度剛性を向上させることができ、コアによる軽量効果をより一層大きくすることができる。
【0073】
また、第の発明によれば、第の発明において、前記凹穴は、前記同一開口部の形状が略正三角形であり、また、前記凹穴のうち前記コアの中心に対し一定円周上に等間隔に配置された凹穴における略正三角形の3頂点それぞれが、この軽量化ミラーを他部材に固定するための固定具が設けられる固定部を成し、前記バックプレート形成部材は、前記等間隔に配置された凹穴の外周および凹穴の中心同士を直線的に結ぶ線上に存在する全ての凹穴に取り付けられているので、大荷重を受けたり、高剛性を必要とする固定部相互間がバックプレート形成部材により補強されるので、数少ないバックプレート形成部材により、効果的に強度剛性を向上させることができ、コアによる軽量効果を大きくすることができる。
【0074】
また、第の発明によれば、第の発明において、前記ミラー構成体は、その周縁を等分する位置に、この軽量化ミラーを他部材に固定するための固定具が設けられる固定部を有し、前記バックプレート形成部材は、この固定部のうち隣接する固定部の両端同士を結ぶ直線の間に存在する全ての凹穴に取り付けられているので、大荷重を受けたり、高剛性を必要とする固定部相互間がバックプレート形成部材により補強されるので、数少ないバックプレート形成部材により、効果的に強度剛性を向上させることができ、コアによる軽量効果を大きくすることができる。
【0075】
また、第10の発明によれば、第から第9の発明において、前記バックプレート形成部材は、前記ミラー構成体に対する配置場所に応じて異なる厚さであるので、必要に応じてバックプレートの厚さを最適化して、効果的に強度剛性を確保し、軽量効果を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係る軽量化ミラーについて、中心を通る半径方向の線で切断した略半分の部分を斜視図で表している。である。
【図2】 この発明の実施の形態2に係る軽量化ミラーのコア側表面図である。
【図3】 この発明の実施の形態3に係る軽量化ミラーのコア側表面図である。
【図4】 この発明の実施の形態4に係る軽量化ミラーのコア側表面図である。
【図5】 この発明の実施の形態5に係る軽量化ミラーのコア側表面図である。
【図6】 この発明の実施の形態6に係る軽量化ミラーのコア側表面図である。
【図7】 この発明の実施の形態7に係る軽量化ミラーの部分側断面図である。
【図8】 この発明の実施の形態8に係る軽量化ミラーのコア側表面図である。
【図9】 この発明の実施の形態9に係る軽量化ミラーの部分側断面図であり、この発明の検査方法を説明するためのものである。
【図10】 従来の軽量化ミラーの一例を示す、片半分の斜視図である。
【図11】 従来の軽量化ミラーの別の例を示す、片半分の斜視図である。
【符号の説明】
1 ミラー構成体、2 鏡面、3 凹穴、4 コア、5 バックプレート、6a、6b、6c 固定部を成す凹穴の3頂点、7 固定部を成す固定台座、31
凹穴、51、52 バックプレート形成部材、8 加速度計、9 加振機。

Claims (10)

  1. 板状のガラス材料からなり、一方の表面を研磨して鏡面と成し、他方の表面には複数の凹穴からなるコアを形成してなるミラー構成体と、
    前記ガラス材料と同一または略同等の線膨張係数を有する材料からなり、前記ミラー構成体のコア側表面に取り付けられて前記ミラー構成体を補強する板状のバックプレートとを具備し、
    前記ミラー構成体の前記コア側表面は、前記バックプレートとの接触面が平面度を維持したまま研磨されており、
    前記バックプレートは、前記ミラー構成体の前記コア側表面との接触面が平面度を維持したまま研磨されており、オプティカルコンタクトまたはオプティカルコンタクトした後さらに昇温固着により前記コア側表面に接合される
    ことを特徴とする軽量化ミラー。
  2. 前記バックプレートは、前記コアに形成された個々の凹穴の開口形状より大きい複数のバックプレート形成部材に分割されていることを特徴とする請求項1記載の軽量化ミラー。
  3. 前記バックプレート形成部材は、全て、形状寸法が同一であることを特徴とする請求項2記載の軽量化ミラー。
  4. 前記複数の凹穴は、前記ミラー構成体の周縁に形成された凹穴を除く全てについて、形状寸法が同一である同一開口部とされ、前記バックプレート形成部材は、前記凹穴の同一開口部に対応した形状寸法とされていることを特徴とする請求項3記載の軽量化ミラー。
  5. 前記バックプレート形成部材は、前記同一開口部の凹穴全てに対して取り付けられていることを特徴とする請求項記載の軽量化ミラー。
  6. 前記凹穴は、前記同一開口部の形状が略正三角形であり、前記バックプレート形成部材は、この同一開口部の凹穴に対して一つおきに取り付けられていることを特徴とする請求項記載の軽量化ミラー。
  7. 前記凹穴は、前記同一開口部の形状が略正三角形であり、また、前記凹穴のうち前記コアの中心に対し一定円周上に等間隔に配置された凹穴における略正三角形の3頂点それぞれが、この軽量化ミラーを他部材に固定するための固定具が設けられる固定部を成し、前記バックプレート形成部材は、この固定部を成す各頂点に隣接する全ての凹穴に取り付けられていることを特徴とする請求項記載の軽量化ミラー。
  8. 前記凹穴は、前記同一開口部の形状が略正三角形であり、また、前記凹穴のうち前記コアの中心に対し一定円周上に等間隔に配置された凹穴における略正三角形の3頂点それぞれが、この軽量化ミラーを他部材に固定するための固定具が設けられる固定部を成し、前記バックプレート形成部材は、前記等間隔に配置された凹穴の外周およびこの凹穴の中心同士を直線的に結ぶ線上に存在する全ての凹穴に取り付けられていることを特徴とする請求項記載の軽量化ミラー。
  9. 前記ミラー構成体は、その周縁を等分する位置に、この軽量化ミラーを他部材に固定するための固定具が設けられる固定部を有し、前記バックプレート形成部材は、この固定部のうち隣接する固定部の両端同士を結ぶ直線の間に存在する全ての凹穴に取り付けられていることを特徴とする請求項記載の軽量化ミラー。
  10. 前記バックプレート形成部材は、前記ミラー構成体に対する配置場所に応じて異なる厚さとされていることを特徴とする請求項2〜9のいずれか1項に記載の軽量化ミラー
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