JP3926290B2 - Processing apparatus and processing method - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイオキシン類などの有機ハロゲン化物に汚染された処理対象物を処理する処理装置および処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ダイオキシン類、コプラナPCB類、臭素化ダイオキシン類、クロルデン、BHC(ヘキサクロロシクロヘキサン)、PCP(ペンタクロロフェノール)等のPOPs農薬など有害な化学物質による環境汚染が問題となっている。例えば廃棄物の焼却処理に際しては、焼却灰(主灰、飛灰)や燃焼ガスのダイオキシン類による汚染が社会問題となっている。土壌や河川の底質へのダイオキシン類の拡散も深刻な問題となっている。
【0003】
このような問題に対応するため、近年ではダイオキシン類に対する各種規制もなされている。例えば焼却施設等の排ガス中のダイオキシン類は、燃焼状態の適正管理や、バグフィルター、活性炭フィルターなどの各種フィルター類でのろ過により大気中に放出されないようになりつつある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしダイオキシン類を補足したバグフィルターの濾材(例えば炭酸カルシウム)や活性炭フィルターの濾材(活性炭)は、埋め立てや焼却などにより処分されているのが実情である。
【0005】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものである。本発明は有害な有機ハロゲン化物を含むか生成能を有する処理対象物体を効果的に処理することができる処理装置、処理方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するため本発明では以下のような構成を採用している。
【0007】
本発明の処理装置は、少なくとも1種の有機ハロゲン化物を含むか加熱により前記有機ハロゲン化物を生成可能な処理対象物を処理する処理装置において、前記処理対象物を加熱する手段と、加熱により前記処理対象物から生じるガスを排気する排気系と、前記排気系に配設され、前記ガスに減圧下で電磁場を印可する領域とを具備し、前記排気系は、第1の排気経路と、この第1の排気経路から分岐した第2の排気経路とを具備し、前記電磁場印加領域は、前記第1の排気経路と前記第2の排気経路との分岐部に配設されると共に、前記処理対象物から生じるガスが、前記第1の排気経路へ導入される第1のフラクションと、前記第2の排気経路に導入される第2のフラクションとで前記ガスの少なくとも1つの構成成分の濃度が異なるように電磁場を印加することを特徴とする。
【0011】
本発明では有機ハロゲン化物を含むか加熱により有機ハロゲン化物を生じることが可能な処理対象物体を処理するものである。前者はダイオキシン類、コプラナPCB類、臭素化ダイオキシン類(これらを総称して以下単にダイオキシン類という)、あるいはクロルデン、BHC、PCPなどの有害な有機ハロゲン化物を含む場合である。後者は処理対象物体(例えば土壌など)を加熱することにより有機ハロゲン化物が生成されるような場合であって、例えばベンゼン環を有する化合物とハロゲンが処理対象物体に含まれているような場合である。
【0012】
排気系には系内を真空に排気することが可能な真空ポンプを備えてもよい。また排気系は排気ブロワなどでもよくこの場合には系内は常圧から負圧程度に排気される。
【0013】
処理対象物体を加熱する手段は、各種ヒータや、高周波加熱、マイクロ波加熱など必要に応じて適宜選択すればよい。
【0014】
電磁場を印加する電磁場印加領域では、電磁場を印加する手段として、例えば磁石(電磁石を含む)や電極を用いることができる。磁石は配管に環状に巻きつけてもよいし、管内に電磁場がかかるように対向配置してもよい。またこの領域における配管をガラスなどの誘電体で構成してもよい。これら電磁場を印加する電磁場印加領域は、処理対象物体に由来するガス(例えば処理対象物体の加熱により生じるガス)の排気経路に配置される。気密領域に処理対象物体を収容し、この気密領域を真空ポンプで排気しながら処理対象物体を加熱する場合、電磁場印加ゾーンは気密領域から真空ポンプまでのどこかに配設される。
【0015】
本発明の一の形態によれば、前記電磁場印加領域は、前記第1の排気経路及び前記第2の排気経路を流通する分子の運動の自由度が小さくなるように前記分岐部に電磁場を印加することを特徴とする。例えば電磁場は分子の配向をある程度制限するように印加される。また電磁場は、例えば分子(分子のイオンや活性種を含む、以下同じ)の電荷、分極状態などにより、分岐部内(配管内)を流通するガスの種類によって配管内で少なくとも1つのガス成分の濃度に偏りが生じるように印加される。
【0016】
ベンゼン環を有する化合物は、ダイオキシン類の先駆体となり得る。ベンゼンは平面分子であり、これを構成するすべての炭素原子、水素原子は同一平面状にる。6個の炭素原子はσ電子により環状に結合している。またp軌道のπ電子によって、炭素原子の作る平面の上下に連続的ドーナツ型の電子雲が存在する。このπ電子は電子源として機能する。またダイオキシン類の重要な構成要素としてハロゲンがある。これらハロゲンは電気陰性度が大きく、分子内での電子の局在に起因する電気的な偏りも生じやすい。
【0017】
本発明では分子の運動を電磁場により拘束し、ダイオキシン類の生成、再合成を抑制するものである。電磁場を印加すると、分子は印加された電磁場に応答する。このためベンゼン環を有する有機化合物やハロゲンなど、ダイオキシン類の合成の材料となる分子も電磁場に応答し、磁力線や電気力線に沿って配向するなど、分子の並進、回転などの自由度が抑制される。またダイオキシン類の分子も同様である。すなわち処理対象物体に由来するガスの構成分子は、秩序の度合いが相対的に高まった状態で排気系を流通していくため、化学反応の起こる確率は電磁場を印加しない場合に比較して低くなる。したがって本発明によればダイオキシン類などの有害な有機ハロゲン化物が反応生成したり再合成したりする確率も低く抑制することができる。
【0018】
これらの効果は分子が流通する空間が減圧されている場合、さらに顕著になる。減圧下では隣接する分子間の距離が長く、分子の平均自由行程も長い。このため減圧下でダイオキシン類が生成する確率は、常圧下よりもずっと小さい。したがって減圧下で電磁場を印加すると圧力による効果と電磁場による効果とがあいまって、ダイオキシン類の生成確率をさらに低く抑制することができる。
【0019】
上述の本発明では、電磁場印加領域は、電磁場により分子の運動の自由度を抑制することによってダイオキシン類などの有害な有機ハロゲン化物の生成確率、再合成確率を低減する役割を果たすものである。
【0020】
そして前記電磁場印加領域は、前記処理対象物から生じるガスが、前記第1の排気経路へ導入される第1のフラクションと、前記第2の排気経路に導入される第2のフラクションとで前記ガスの少なくとも1つの構成成分の濃度が異なるように電磁場を印加する。ダイオキシン類などの有機ハロゲン化物は真空中で加熱されると、脱塩素反応などによってハロゲンが脱離したり、複数のフラグメントに分解したりする。この際、分子やフラグメントはイオン化されることがある。本発明ではこの電荷により、排気経路を流通する分子を質量分離することによって、ダイオキシン類などの有害な有機ハロゲン化物の生成確率、再合成確率を低減するものである。荷電粒子は電磁場に対して、その質量と電荷に応じて質量分離することができる。つまり、第1の排気経路へ導入される第1のフラクションと、第2の排気経路に導入される第2のフラクションとで、処理対象物体に由来するガスの少なくとも1つの構成成分の濃度が異なるように電磁場を印加するのである。電磁場印加領域より下流側で第1の排気経路と第2の排気経路とは分離されているので、そうしない場合に比べて有機ハロゲン化物の生成確率は小さく抑制される。
本発明の処理方法は、少なくとも1種の有機ハロゲン化物を含むか加熱により前記有機ハロゲン化物を生成可能な処理対象物を処理する処理方法において、前記処理対象物に由来するガスが、第1の排気経路へ導入される第1のフラクションと、前記第1の排気経路から分岐した第2の排気経路に導入される第2のフラクションとで前記ガスの少なくとも1つの構成成分の濃度が異なるように、前記処理対象物に由来するガスに対して減圧下で電磁場を印加することを特徴とする。
本発明の一の形態によれば、前記第1の排気経路及び前記第2の排気経路を流通する分子の運動の自由度が小さくなるように前記第1の排気経路及び前記第2の排気経路の分岐部に電磁場を印加することを特徴とする。
本発明の一の形態によれば、前記電磁場が印加され前記第1の排気経路及び前記第2の排気経路を通過したガスを真空ポンプにより排気することを特徴とする。
本発明の一の形態によれば、前記処理対象物に由来するガスを冷却することを特徴とする。
【0021】
次に、活性炭やバグフィルターの濾材(炭酸カルシウム、粘土、シラス、アルミナなど、またはこれらの混合物の生産方法について説明する。本発明によれば、焼却処理場や、各種工場、廃棄物処分場などで幅広くかつ大量に用いられているフィルター材の生産または再生を行うことができる。
【0022】
本発明の処理方法は、少なくとも1種の有機ハロゲン化物を吸した活性炭を減圧下で加熱することを特徴とする。
【0023】
本発明の処理装置は、気相中のダイオキシン類を補足するフィルターと、前記フィルターの少なくとも一部を減圧下で加熱する手段と、を具備したことを特徴とする。
【0024】
本発明のフィルター材の生産方法は、有機ハロゲン化物と重金属とを含むフィルター材から清浄なフィルター材を生産する方法において、前記フィルター材の少なくとも一部を減圧下で加熱して前記有機ハロゲン化物のハロゲンの少なくとも一部を脱離させる程と、前記フィルター材の少なくとも一部を減圧下で加熱して前記重金属を蒸発させる工程とを有することを特徴とする。
【0025】
また本発明の活性炭の生産方法は、少なくとも1種の有機ハロゲン化物を第1の濃度で含む第1の活性炭から前記第1の濃度よりも小さな第2の濃度で前記有機ハロゲン化物を含む第2の活性炭を生産する方法であって、前記第1の活性炭を減圧下で加熱することを特徴とする。
【0026】
発明者はダイオキシン類を真空中で加熱することにより、脱塩素反応が生じて分解することを見出した。例えばPCDDsとして知られるダイオキシン類には、塩素数が4、5、6、7、8の異性体がある。そして例えば置換塩素数8のダイオキシンであるOCDDを真空中で加熱すると、炭素と酸素からなる骨格自体の分解とは別に塩素が脱離していき塩素数0〜7の分子を生じるのである。これは減圧加熱の状態では塩素の脱離が生じやすいためだと考えられる。真空中での脱塩素反応は200℃程度から始まり、400℃では十分効果的に脱塩素反応が生じる。さらに高温では脱塩素骨格が分解したり、気化したりするので残渣はきわめて清浄になる。また4置換体のダイオキシンであるTeCDDsのうち2,3,7,8−TeCDDは最も毒性が高いとされる。脱塩素によりOCDDからTeCDDsが生成する場合、統計力学的に考えると塩素の置換は位置すべて個別であるので、TeCDDsのうち2,3,7,8−TeCDDが生成する確率は小さなものとなる。さらに脱塩素が進むと塩素置換数が3より小さい化合物が生じるが、これらの化合物は毒性を有しないとされている。
【0027】
クロルデンやPCPなどの有機塩素化合物、臭素化ダイオキシンなどの有機ハロゲン化物についても同様であって、これらの有機ハロゲン化物を減圧下で加熱することによりより毒性の小さい、または毒性のない化学物質を生じさせることができる。
【0028】
脱離した塩素などのハロゲンは、酸化カルシウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリと反応させて塩として固定する。アルカリスクラバーの場合は水処理が必要となるので、水処理を不要とする観点からは固体のアルカリを用いることが好ましい。また塩素による装置の腐食を防止する観点からは脱塩素した塩素はできるだけ速やかにアルカリと反応させることが好ましい。真空中での固体状態のアルカリと塩素との反応性を向上させるために、アルカリは粒径を小さくし、比表面積を大きくすることが好ましい。しかしながらあまり粒径を小さくすると真空ポンプで排気されたり、真空配管のコンダクタンスが大きくなりすぎることがあるので、粒径は数mm程度から数cm程度が好ましい。
【0029】
前記有機ハロゲン化物は、N個のハロゲンを有する有機化合物であり、この有機化合物を減圧下で加熱することにより前記N個のハロゲンの少なくとも一部を脱離する。またさらに加熱することにより脱ハロゲンだけでなく、化合物全体が分解したり蒸発したりする。本発明者は実験により得られたこのような知見に基づいて本発明を想到した。
【0030】
また本発明の活性炭の生産方法は、第1の濃度でダイオキシン類を含む活性炭から前記第1の濃度よりも小さな第2の濃度で前記ダイオキシン類を含む活性炭を生産する方法において、前記活性炭を減圧下で加熱する工程と、加熱された前記活性炭を賦活する工程とを有することを特徴とする。活性炭は通常活性化(賦活)する必要がある。したがって減圧下で加熱処理した活性炭は、必要に応じて賦活するようにすればよい。賦活はガス賦活法によっても塩化亜鉛等を用いた薬品賦活によってもよい。ガス賦活法は物理的な賦活であり、炭化された原料を高温で水蒸気、炭酸ガス、酸素等の酸化ガスと接触反応させて、微細で多孔質な吸着炭をつくる方法である薬品賦活法は、原料に賦活薬品を均等に含浸させて、不活性雰囲気中または真空中で加熱し、薬品の脱水および酸化反応により多孔質の吸着炭をつくる方法である。賦活薬品としては例えば塩化亜鉛、燐酸、塩化カルシウム、硫化カリウム等をあげることができる。
【0031】
また本発明の炭酸カルシウムの生産方法は、有機ハロゲン化物を第1の濃度で含む炭酸カルシウムから前記第1の濃度よりも小さな第2の濃度で前記有機ハロゲン化物を含む炭酸カルシウムを生産する方法であって、減圧下で前記炭酸カルシウムを加熱し、前記有機ハロゲン化物を構成するハロゲンの少なくとも一部を脱離させることを特徴とする。
【0032】
排ガスや廃液は活性炭などのフィルターによりろ過されることが多い。例えば燃焼排ガスのフィルターとして一般的なバグフィルターや、活性炭フィルターでは、濾材に有機ハロゲン化物(ダイオキシン類、コプラナーPCB、臭素化ダイオキシン、クロルデン、PCP、BHC、HCBなど)、あるいは鉛、亜鉛、カドミウム、砒素、水銀をはじめとする重金属等の有害物質が補足されており、そのまま捨てることはできない。また排水処理に用いられる活性炭フィルターについても同様である。現在ダイオキシン類等の大気中への放散を防止するために、都市ゴミの焼却炉、工業炉、産業廃棄物の焼却炉などに、このようなフィルターは大量に用いられている。したがってフィルターの炉材の適正な処理技術を確立することが求められている。
【0033】
これらフィルター材は、従来セメント固化して埋め立てたり、焼却処理を行って処理していた。本発明では有機ハロゲン化物を吸着した活性炭を減圧下で加熱することにより、有機ハロゲン化物を除去し、濾材を無害化することができる。また活性炭は減圧下で加熱されることで単に無害化するだけではなく活性炭として再生される。このため本発明によれば活性炭を再利用することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0035】
この実施形態は、本発明をシュレッダーダストのエネルギーを利用して焼却灰を無害化する処理システムに適用したものである。
【0036】
図1はこの処理システムの概略構成を示す図である。
【0037】
この処理システム11は、シュレッダーダストを熱分解する第1の処理系12と、前記熱分解されたシュレッダーダストの焼却灰及び焼却灰を加熱処理する第2の処理系13とを備える。
【0038】
第1の処理系12では、シュレッダーダストを熱分解するときに発生する分解ガスを用いて発電が行われ、その電力、分解ガス(クリーンガス)及び加熱残渣のカーボンの燃焼ガスが第2の処理系13で焼却灰を加熱処理するときのエネルギーとして又分解ガスのエネルギーとしても利用されるようになっている。第1の処理系12により熱分解されたシュレッダーダストからは、金属、ガラス、酸化物等が回収される。
【0039】
第2の処理系13では、加熱処理後の焼却灰からアルカリ成分が抽出され、そのアルカリ水溶液が第1の処理系12に供給され、上記の第1の処理系12における発生した分解ガス中のハロゲン化物、NOx、SOx等の酸性物質を中和する中和液として利用されるようになっている。また、アルカリ性金属はこのときアルカリ成分と同時に溶解して除去される。
【0040】
第1の処理系12で熱分解されたシュレッダーダストの加熱残渣は、第2の処理系13で、直接投入された焼却灰(例えば都市ごみの焼却灰)とともに加熱処理されるようになっている。そして、第2の処理系13により加熱処理されてアルカリ成分が抽出された焼却灰は無公害無機物としてセメントや煉瓦等の建築資材、田畑の土壌改良剤、土木資材等に再利用されるようになっている。なお、アルカリ成分の必要とする焼却灰はアルカリ抽出しない場合もある。
【0041】
図2は上述した第1の処理系12の構成を示す図である。
【0042】
受け入れ設備21は、外部からシュレッダーダストを受け入れ、受け入れたシュレッダーダストを後段の減圧熱分解炉22へ移送する、例えばベルトコンベアにより構成される。
【0043】
減圧熱分解炉22は、受け入れ設備21から移送されたシュレッダーダストを減圧下で加熱処理する。これにより、シュレッダーダストは熱分解され、分解ガスが発生すると共に、金属、ガラス、酸化物、焼却灰等からなる分解残渣とされる。発生した分解ガスはガス処理系24により回収され、分解残渣は分別機23に搬送される。
【0044】
ガス処理系24では、分解ガスが第2の処理系13側から供給される中和液としてのアルカリ水溶液により中和等されて蓄積されるようになっている。この蓄積された分解ガスはガスエンジン25に供給されて発電機26の発電用のエネルギーとして用いられるようになっている。また、この蓄積されたガスは減圧熱分解炉22及び第2の処理系13の真空炉(後述する)、熱風炉27に供給され、炉を外側から加熱するためのエネルギーとして用いられるようになっている。
【0045】
ガスエンジン25は発電機26を駆動するために用いられる。発電機26で発電された電力は第2の処理系13の真空炉(後述する)のエネルギーとして用いられる。また、発電機26で発電された電力は第1の処理系2内で用いることもできるし、システム外で用いることも可能である。
【0046】
分別機23は、例えば強力な電磁石を用いて金属を分別回収し、更に送風機を用いて分解残渣(カーボン)を分別回収する。分別回収された金属やガラス、酸化物は例えばベルトコンベアを介してシステム外に回収される。また、分別回収されたカーボンは熱風炉27に搬送される。
【0047】
熱風炉27は、搬入されたカーボンを燃料として例えば500〜800℃の範囲の温度の熱風を作り、この熱風を各部に加熱エネルギーとして供給する。これにより省エネルギー化を図ることができる。
【0048】
熱風炉27には、熱風用の空気として例えば設備付近の空気を、活性炭等を用いて空気から塩素成分等を除去するフィルタ28を介して供給される。熱風炉27から排出された熱風はガス処理系24及び第2の処理系13の真空炉(後述する)における加熱用のガスとして用いられるようになっている。
【0049】
上述したフィルタ28を介して塩素成分が除去された空気は減圧熱分解炉22にも供給されて燃焼用及び冷却用の空気として用いられる。このように、空気から塩素成分を除去して用いることで、ダイオキシン等の有機ハロゲン化物の発生を抑制することができる。
【0050】
熱風炉27で熱風にて生成された焼却灰は第2の処理系13に搬送される。
【0051】
図3は上述した第2の処理系13の構成を示す図である。
【0052】
受け入れ設備31は、外部から焼却灰を受け入れ、受け入れた焼却灰を後段の灰サイロ32へ移送する、例えばベルトコンベアにより構成される。灰サイロ32では、受け入れ設備31及び第1の処理系12から移送された焼却灰を蓄積する。
【0053】
真空炉33は、灰サイロ32から焼却灰を供給され、供給された焼却灰を減圧下で加熱処理することにより有害重金属及びアルカリ成分を回収する。また、この真空炉33には、燃焼及び冷却用の空気として例えば設備付近の空気を、活性炭等を用いて空気から塩素成分等を除去するフィルタ34を介して供給される。そして、この真空炉33では、加熱処理された後の焼却灰を上記の塩素成分の除去された空気で燃焼し、その後冷却する。
【0054】
アルカリ成分抽出部35は、真空炉33で加熱処理された焼却灰からアルカリ成分を抽出する。そして、アルカリ成分が抽出された焼却灰はシステム外に搬出され、上述したように再利用される。アルカリ成分抽出部35では、中性の水が供給され、この水を用いて焼却灰からアルカリ成分を抽出している。アルカリ成分を抽出してアルカリ化してアルカリ水溶液はアルカリ性水処理装置37に送水される。また、アルカリ成分抽出部35及びアルカリ性水処理装置37から溢れたアルカリ水溶液は浸透膜やイオン交換樹脂等のイオン交換体を有するフィイル38を介してアルカリ成分が回収されるようになっている。なお、アルカリ成分抽出部35に供給される中性の水は、真空炉33における冷却用の水として使われた後にアルカリ成分抽出部35に供給されるようになっている。これにより、後述するようにアルカリ成分抽出部35に供給される水を高温にして供給する必要がある場合があるが、そのような場合にエネルギーを有効利用することによりアルカリ抽出の効率を高めることができる。
【0055】
アルカリ性水処理装置37では、送水されたアルカリ水溶液を蓄積すると共に、必要に応じて苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)や消石等が供給され、アルカリ水溶液のアルカリ性が維持されるようになっている。また、アルカリ性水処理装置37からガス洗浄装置39及び第1の処理系12のガス処理系24のガス洗浄装置(後述する)、その他のガス処理装置にアルカリ水溶液が送水されるようになっている。
【0056】
ガス洗浄装置39は、真空炉33から排出される排気ガスをアルカリ性水処理装置37から供給されるアルカリ水溶液で洗浄する。これにより、真空炉33から排出されるNOx、SOx、ダイオキシン等の有機ハロゲン化物及び分解物を含んだ排気ガスがアルカリ水溶液によって中和されて無害化される。
【0057】
図4は上述した減圧熱分解炉22の構成を示す図である。
【0058】
減圧熱分解炉22は、パージ室41、気密室42、冷却室43から構成されている。
【0059】
これら各室は開閉可能な隔壁である扉44によって隔てられている。すなわち、装置外部とパージ室41、パージ室41と気密室42、気密室42と冷却室43、冷却室43と装置外部とは扉44によりそれぞれ隔てられている。そして、減圧熱分解を行うシュレッダーダストは、外部からパージ室41、気密室42、冷却室43、外部の順番で例えば炉内の搬送装置により搬送されるようになっている。また、これら各室を隔てる扉44は気密保持性と断熱性とを備えており、各室を熱的、圧力的に隔てている。加熱室が高温の場合、気密扉と断熱扉の二重構造としてもよい。
【0060】
パージ室41及び冷却室43には排気系45が接続されている。また、気密室42で発生するシュレッダーダストを熱分解するときに発生する分解ガスは真空ポンプ46を介して外部(ガス処理系24)に排出されるようによっている。シュレッダーダストを熱分解するときに発生する分解ガスには、クラッキング装置を介することで生じる、メタンガス、エタンガス、水素ガス、一酸化炭素等があるが、これらの分解ガスには一般的にNOx、SOx、ダイオキシン等の有機ハロゲン化物等の有害物質が含まれている。
【0061】
そして本発明では気密室47と接続された排気系には、管内を流通するガスに電磁場を印加するための磁石100が配置されている。
【0062】
図10は配管内を流通するガスに電磁場を印加する様子を模式的に示す図である。この配管は気密室47と真空ポンプ46とを接続する配管である。この配管には1対の磁石100が配管内に電磁場を印加するように埋め込まれている。
【0063】
気密室47での処理対象物の加熱により生じたガスは、真空ポンプによる排気作用でこの配管内を真空ポンプの方へと移動してゆく。圧力は真空ポンプに近いほうがより低くなる。このときガスの構成分子は磁石100による電磁場に応答しつつ流れていく。すなわち分子には磁力線に沿って所定の向きに配向するなど、分子の運動を拘束する力が作用する。なお図では平面状(または棒状)の分子が、磁力線に沿って配向する様子を示したが、分子の配向方向は、実際には分子の内部構造により異なる。したがって処理対象物体に由来するガスの構成分子は、秩序の度合いが相対的に高まった状態で排気系を流通していくことになる。したがって本発明によればダイオキシン類などの有害な有機ハロゲン化物が反応生成したり再合成したりする確率も低く抑制することができる。例えば処理対象物体に由来するガスにベンゼン環を有する有機化合物やハロゲンなど、ダイオキシン類の合成の材料となる分子も含まれていても、これらの材料からダイオキシン類が合成されるのを防止することができる。
【0064】
これらの効果は本実施形態のように分子が流通する空間が減圧されている場合、さらに顕著になる。減圧下では隣接する分子間の距離が長く、分子の平均自由行程も長い。このため減圧下でダイオキシン類が生成する確率は、常圧下よりもずっと小さい。したがって減圧下で電磁場を印加すると圧力による効果と電磁場による効果とがあいまって、ダイオキシン類の生成確率をさらに低く抑制することができる。
【0065】
電磁場を印加は、ガスを冷却しつつ行えばさらに効果的である。ダイオキシン類は300℃〜500℃程度で再合成されることが知られている。したがって加熱されたガスが上記の温度領域に滞留する時間が短いほどダイオキシン類は生成しにくい。本発明では磁石100が配設された配管を冷却することで、配管内を流通するガスを冷却している。
【0066】
配管内、気密室42内はポンプ46による排気により1〜50torr、より好ましくは20torr(260パスカル)程度に減圧されるようになっている。このように爆発限界以内の圧力で処理することで安全性を高めることができる。
【0067】
気密室42はガスバーナー等の加熱手段47によって600〜1200℃、より好ましくは800℃で加熱されるようになっている。加熱手段47には燃焼用のエネルギーとしてガス処理系24からクリーンガスが供給されるようになっている。これによりエネルギーを有効利用することができる。
【0068】
冷却室43では、気密室42で減圧熱分解された分解残渣の冷却が行われる。この冷却室43には上述した例えば設備付近から供給される空気を、活性炭等を用いて空気から塩素成分を除去するフィルタ28を介して供給され、この空気が酸化剤、加熱用空気及び冷却用の媒体として用いられる。このように冷却用の媒体としての空気は塩素成分が除去されているので、有機ハロゲン化物が発生することはない。処理物の酸化処理が必要ない場合には窒素でもよい。
【0069】
図5は上述したガス処理系24の構成を示す図である。
【0070】
ガス高温クラッキング部51では、減圧熱分解炉22から送出される分解ガスを例えば1000℃程度にてクラッキングする。
【0071】
ガス急冷部52ではクラッキングされた分解ガスを例えば10秒以内に1000℃から100℃程度に急冷する。このように急冷することでダイオキシンなどの有機ハロゲン化物の発生を抑制することができる。この場合、抽出アルカリ水溶液で中和処理を同時にすることも合理的な方法である。
【0072】
アルカリ式バグフィルター53では、上記急冷された分解ガスを苛性ソーダや消石灰を通過させることで酸化性の分解ガスを中和、除去する。
【0073】
ガス洗浄装置54では、上記フィルター53を通解した分解ガスを第2の処理系13のアルカリ性水処理装置37から供給されるアルカリ水溶液で例えばシャワーリングする。これにより、NOx、SOx、ダイオキシン等の有機ハロゲン化物を含んだ分解ガスがアルカリ水溶液によって中和されて無害化される。また、アルカリ性水処理装置37から供給されるアルカリ水溶液を用いることで構成を簡単化でき、更に省資源化することにもなり、ランニングコストの低減を図ることができる。
【0074】
そして、分解ガスは触媒式脱硫装置55でSOx等が除去され高圧ガスタンク56に蓄積される。高圧ガスタンク56より、ガスエンジン25、減圧熱分解炉22、真空炉33に対してクリーンガスが燃焼用のエネルギーとして供給される。これにより、エネルギーを効率的に利用することができる。
【0075】
図6は上述した真空炉33の構成を示す図である。
【0076】
真空炉33は、パージ室61、気密室62、冷却室63から構成されている。
【0077】
これら各室は開閉可能な隔壁である扉64によって隔てられている。すなわち、装置外部とパージ室61、パージ室61と気密室62、気密室62と冷却室63、冷却室63と装置外部とは扉64によりそれぞれ隔てられている。そして、減圧加熱処理を行う焼却灰は、灰サイロ32からパージ室61、気密室62、冷却室63、アルカリ成分抽出部35の順番で例えば炉内の搬送装置により搬送されるようになっている。また、これら各室を隔てる扉64は気密保持性と断熱性とを備えており、各室を熱的、圧力的に隔てている。なお、気密扉と断熱扉を一対にしてもよい。
【0078】
パージ室61、気密室62及び冷却室63には排気系65が接続されている。排気系65からの排気は上述したガス洗浄装置39に送出される。
【0079】
気密室62内は上記の排気により1×10−1〜50torr、より好ましくは7×10−1torr程度に減圧されるようになっている。そして気密室62と排気系65(真空ポンプ、排気ブロワなど)との間には、前述のように磁石100が配設されている。すなわちこの磁石により排気系を流通するガスの分子の運動を拘束し、ダイオキシン類の合成を抑制している。蒸発物及び反応物は真空ポンプと気密室との間に介挿された回収装置69により回収される。回収される迄にアルカリ蒸発物は酸性ガス等と反応して無害化される。即ち、ダイオキシン、コプラナP.C.B.等の酸性ガスがアルカリと反応し、回収装置69によりNaCl等の中性物質として回収され、排気ガスは無害化される。
【0080】
気密室62はそれぞれガスバーナー等の加熱手段66、67によって800〜1200℃、より好ましくは1000℃で加熱されるようになっている。加熱手段66、67には燃焼用のエネルギーとしてガス処理系24からクリーンガスが供給されるようになっている。これによりエネルギーを有効利用することができる。
【0081】
冷却室63では、重金属が多く減圧加熱蒸発で除去できない場合には気密室62で減圧加熱処理された焼却灰をまず600〜900℃、より好ましくは800℃程度で燃焼(酸化)し、無公害残渣としてその後常温に冷却するようになっている。この冷却室43にはN2クリーン空気又は水を冷却媒体とする冷却手段68が隣接している。冷却手段68で使用され高温となった水は後段のアルカリ成分抽出部35に供給され、アルカリ成分の抽出用の媒体として用いられるようになっている。また、この冷却室43には上述した例えば設備付近から供給される空気が、活性炭等の吸着剤を用いて空気から塩素成分を除去するフィルタ34を介して供給され、この空気が燃焼用及び冷却用の媒体として用いられる。このように焼却灰を空気を使って燃焼させているので、重金属が酸化されて無害化される。また、その空気は塩素成分が除去されているので、該空気を使って焼却灰を冷却処理する際に焼却灰に含有するカーボンが燃焼し、有機ハロゲン化物が発生することはない。
【0082】
図7は上記したフィルタ28、34の構成を示す図である。
【0083】
筒状のフィルター本体71の一端に例えば設備付近から供給される空気が供給される入力孔72が設けられ、他端には出力孔73が設けられている。そして、フィルター本体71内には吸着剤、例えば活性炭74が挿入され、入力孔72から入った空気が活性炭74を通過して塩素成分が除去され、出力孔73から出力されるようになっている。
【0084】
本発明ではこの活性炭74についても無害化処理、再生処理をすることができる。すなわち使用後の活性炭74を処理対象物体として減圧下で加熱処理することで、有機ハロゲン化物を除去することができる。本発明によれば、活性炭同様バグフィルター92の濾材や、セラミックフィルターの捕捉物なども処理することができる。したがって例えば使用済みの濾過材を原材料として、新たな濾過材を生産することができる。
【0085】
図8は上記したアルカリ成分抽出部35の構成を示す図である。
【0086】
容器81内には焼却灰が載置されるメッシュ状の載置部82が設けられている。載置部82の上部には載置部82に載置された焼却灰に向けて高圧で高温の水蒸気(装置内又はボイラーから供給)を噴出するノズル83が配置されている。そして、ノズル83から噴出された水蒸気が焼却灰からアルカリ成分を抽出し、載置部82を通過して容器81の下に落ちる。容器81の底面には排出孔84が設けられていて、これらのアルカリ性の水溶液は排出孔84から排出され、アルカリ性水処理装置37に送られる。なお、真空炉33とアルカリ成分抽出部35との間をベルトコンベアを介して焼却灰を搬送し、更に載置部82自体を容器81から搬送する構成とすることで、人手を介することなく一連の処理を行うことができる。
【0087】
焼却灰からアルカリ成分を抽出する手段としては、例えば焼却灰を煮沸するような構成としてもよい。
【0088】
図9は本システム1における排出処理系の構成を示す図である。
【0089】
このシステム1においては、減圧熱分解炉22、ガスエンジン25、ガス洗浄装置39から排気される排気ガス及びアルカリ成分抽出部35、アルカリ性水処理装置37から排出されるアルカリ水溶液を、乾燥炉91及びバグフィルタ92を介し、排気ファン93により外部に排出している。乾燥炉91及びバグフィルタ92を介することで排気ガス及びアルカリ水溶液からアルカリ成分を回収している。
【0090】
処理前の焼却灰には、鉛及び鉛の化合物が2.4mg/l、銅及び銅の化合物が0.04mg/l、亜鉛及びその化合物0.05mg/l含まれていた。これに対して、減圧下(5×10−1〜10torr)1000℃で加熱処理した焼却灰には、銅及び銅の化合物が0.01mg/lが含まれるだけとなった。また、減圧下(5×10−1〜10torr)800℃で加熱処理し、塩素成分が除去されていない空気で800℃で燃焼し、その後該空気で冷却した焼却灰には、銅及び銅の化合物が0.01mg/l、六価クロムが0.53mg/lが含まれるだけとなった。更に、減圧下(5〜10torr)1000℃で加熱処理し、塩素成分が除去された空気で800℃で燃焼し、その後該空気で冷却した焼却灰には、これらの金属が含まれていなかった。
【0091】
また、焼却灰に代えて土壌、活性炭について同様の処理を行ったところ、未処理の土壌には0.008mg/lの鉛及びその化合物が含まれており、1000℃で真空蒸発処理した土壌には0.012mg/lの鉛及びその化合物、0.001mg/lのカドミウム及びその化合物が含まれており、1000℃で真空蒸発処理して1000℃で酸化処理した土壌には鉛及びその化合物もカドミウム及びその化合物も含まれていなかった。
【0092】
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではない。
【0093】
例えば、上述した実施の形態は、本発明をシュレッダーダストのエネルギーを利用して焼却灰を無害化する処理システムに適用したものであったが、シュレッダーダストの他に廃家電製品、廃プラスチック、廃材、紙、油等に適用することができ、焼却灰の他に焼却灰、土壌、汚泥等に適用できる。さらに活性炭、バグフィルターの濾材、セラミックフィルターの捕捉物などにも適用することができる。
【0094】
更に、上記実施形態では、アルカリ成分の抽出を常圧状態で行うものであったが、減圧中でアルカリ成分を抽出するように構成しても構わない。減圧中で処理すると沸点が低下するためにエネルギーコストを低減することができる。
【0095】
更に、上記実施形態では、加熱処理を減圧下で行っていたが、常圧で加熱処理するものであっても本発明を適用できる。
【0096】
(実施例2)
つぎに本発明の別の実施形態について説明する。図11は本発明の処理装置が備える電磁場印加領域の別の例を説明するための図である。この電磁場印加領域(この例では磁石)100は、少なくとも1種の有機ハロゲン化物を含むか加熱により前記有機ハロゲン化物を生成可能な処理対象物を処理する処理装置において、加熱により前記処理対象物から生じるガスを排気する排気系200に、このガスを所定の程度に質量分離するために配設されている。この排気系200は、第1の排気経路201と、この第1の排気経路202から分岐した第2の排気経路202とを具備しており、電磁場印加領域200は、第1の排気経路201と前記第2の排気経路202との分岐部に配設されている。そして電磁場印加領域100では、電磁場は、気密領域で加熱された処理対象物体に由来するガスが、第1の排気経路201へ導入される第1のフラクションと、第2の排気経路202に導入される第2のフラクションとでガスの少なくとも1つの構成成分の濃度が異なるように印加する。例えば三角で表示した分子種Aと円で表示した分子種Bとが(少なくとも一方は電荷を有しているか、分極しているとする)、処理対象物体に由来して配管を流通しているとする。これらABはダイオキシン類等の有害な有機ハロゲン化物を生成可能な分子種であるとする。本発明では電磁場引火領域でこれらABを質量分離することによって、第1の経路201と第2の経路202とでABの濃度が変化するようになっており、有機ハロゲン化物の合成、再合成を抑制することができる。
【0097】
(実施例3)
つぎに本発明のフィルター材の生産方法について説明する。
【0098】
図13は本発明の処理装置の形態の例を概略的に示した平面図である。この処理システム101は、トレーラ本体102の上に各種の処理部を搭載して構成される。これにより、いわゆるオンサイトでのフィルター剤の生産(または再処理)の無害化処理を可能したものである。
【0099】
トレーラ本体102上には、一対の蒸発器103a、103b、一対の弁104a、104b、クラッキング炉105、アルカリ反応器106、一次冷却器107a、二次冷却器107b、真空ポンプ108が図中X方向に沿って順番に配置されている。また、これら配管111〜115を介して順番に接続されている。なお、符号109は制御盤である。また、蒸発器103a、103bの手前には、パージ室用の空間110が設けられており、必要に応じてこの空間110にパージ室を設けても構わない。
【0100】
一対の蒸発器103a、103bは、X方向に沿って並列に配置されている。各蒸発器103a、103bには、それぞれ加熱手段としてのヒータ121a、121bが配置されている。
【0101】
3本のU字状配管151、152、153には、それぞれ生石灰(CaO)が充填されている。これにより、気化された有機溶媒または農薬を中和(ハロゲン化物をアルカリにより捕捉する)するものである。
【0102】
一次冷却器107a及び二次冷却器107bは中和された気体を冷却するものである。例えばアルカリ反応器106から導入される気体を例えば液体窒素により凝縮するものである。冷却方法としては、液体窒素の他に例えば冷却水等を用いても構わないが、特に液体窒素を用いて気体を非常に低温で凝縮することで、反応生成物(塩)をできるだけ捕捉することができるのに加え、農薬中に含まれていた水銀や鉛、砒素 を捕捉することが可能になる。
【0103】
そして、一次冷却器107aと二次冷却器107bとが配管114を介して接続され、二次冷却器107bと真空ポンプ108とが配管115を介して接続されている。従って、真空ポンプ8はこれら直列に連接された蒸発器103a、103b、10弁4a、104b、クラッキング炉105、アルカリ反応器106、一次冷却器107a及び二次冷却器107bを例えば0.5〜1000Pa程度減圧するように構成されている。
【0104】
なお、真空ポンプ108の排気側にはアルカリ反応容器を更に接続し、真空ポンプ108の排気をこのアルカリ反応器を介して外部にするように構成しても構わない。これは、フェイルセーフのために用いられる。すなわち、例えばアルカリ反応器6が故障した場合にこのアルカリ反応器がハロゲン化物をアルカリにより捕捉する。これにより、ハロゲン化物が誤って外部に漏洩するようなことはなくなる。このアルカリ反応器の例えば後段にアフターバーナーを設けてもよい。
【0105】
次に、このように構成されたシステムの処理動作を説明する。
【0106】
まず、土壌から掘り起こしたPCPやクロルデン等のハロゲン化合物の農薬又は活性炭、バグフィルターの濾過材である炭酸カルシウムを蒸発器103a、103bに導入し、減圧下で加熱する。例えば、5〜1000Paの減圧下で、PCPは350℃程度、クロルデンは200℃程度まで加熱するが、蒸発量を規制するために加熱のプロファイルは系内の圧力を見ながら調節する。なお、このような条件での減圧加熱による蒸発終了後、蒸発器3a、3b内を600℃〜800℃まで減圧下で加熱する方がより好ましい。これは農薬に含まれていたダイオキシン類、加熱により新たに生じたダイオキシン類がチャンバ内壁に付着している可能性があるためである。
【0107】
次に、アルカリ反応器6内では、ダイオキシン類、PCP、クロルデンから脱離した塩素を生石灰(CaO)またはソーダ石灰(CaO+NaOH)と反応させて塩を生成する。クロルデンが未分解のまま飛んできてもアルカリ存在下で塩素を放って分解するので、この塩素も塩として捕捉する。
【0108】
なお、次亜塩素酸ナトリウム等の爆発性を有する成分を生じる可能性もあるので、その一方では反応性を向上させ、更にはダイオキシン類の発生防止の観点からも、アルカリ反応器6は常に次亜塩素酸ナトリウムの分解温度(約150〜200℃)以上に保持する方がより好ましい。また、このような条件下でもアルカリ反応器6内でダイオキシン類等が検出される場合には、このアルカリ反応器6内を真空排気したまま600℃〜800℃程度に加熱することで脱塩素、分解すればよい。
【0109】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば有機ハロゲン化物を含有する処理対象物体、または加熱により有機ハロゲン化物生成能を有する処理対象物体を、無害化処理することができ、排気系で有機ハロゲン化物が生成したり再合成するのを防止することができる。また本発明によれば活性炭フィルターバグフィルターの濾過剤を効率的に生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る処理システムの概略構成を示す図である。
【図2】図1に示した第1の処理系の構成を示す図である。
【図3】図1に示した第2の処理系の構成を示す図である。
【図4】図2に示した減圧熱分解炉の構成を示す図である。
【図5】図2に示したガス処理系の構成を示す図である。
【図6】図3に示した真空炉の構成を示す図である。
【図7】図2及び図3に示したフィルタの構成を示す図である。
【図8】図3に示したアルカリ成分抽出部の構成を示す図である。
【図9】本システムにおける排出処理系の構成を示す図である。
【図10】配管内を流通するガスに電磁場を印加する様子を模式的に示す図である。
【図11】本発明の処理装置を説明するための図である。
【図12】本発明のフィルター濾過材の生産方法を説明するための図である。
【図13】本発明のフィルター濾過材の生産方法を説明するための図である。
【符号の説明】
11…処理システム
12…第1の処理系
13…第2の処理系
21…受入設備
22…減圧熱分解炉
23…分別機
24…ガス処理系
25…ガスエンジン
26…発電機
27…熱風炉
28…フィルタ
31…受入設備
32…灰サイロ
33…真空炉
34…フィルタ
35…アルカリ成分抽出部
37…アルカリ性水処理装置
38…フィイル
39…ガス洗浄装置
41…パージ室
42…気密室
43…冷却室
44…扉
45…排気系
46…真空ポンプ
47…加熱手段
51…ガス高温クラッキング部
52…ガス急冷部
53…アルカリ式バグフィルター
54…ガス洗浄装置
55…触媒式脱硫装置
56…高圧ガスタンク
61…パージ室
62…気密室
63…冷却室
64…扉
65…排気系
66.67…加熱手段
68…冷却手段
69…回収装置
71…フィルター本体
72…入力孔
73…出力孔
74…活性炭
81…容器
82…載置部
83…ノズル
84…排出孔
91…乾燥炉
92…活性炭同様バグフィルター
93…排気ファン
100…磁石
101…処理システム
102…トレーラ本体
103a.103b…一対の蒸発器
103a.103b…蒸発器
104a.104b…一対の弁
105…クラッキング炉
106…アルカリ反応器
107a…一次冷却器
107b…二次冷却器
108…真空ポンプ
110…空間
111〜115…配管
121a.121b…ヒータ
151…U字状配管
200…排気系
200…電磁場印加領域
201…第1の排気経路
202…第2の排気経路[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a processing apparatus and a processing method for processing a processing object contaminated with an organic halide such as dioxins..
[0002]
[Prior art]
In recent years, environmental pollution by harmful chemical substances such as POPs pesticides such as dioxins, coplanar PCBs, brominated dioxins, chlordane, BHC (hexachlorocyclohexane), and PCP (pentachlorophenol) has become a problem. For example, when incinerating waste, contamination by incineration ash (main ash, fly ash) and combustion gas with dioxins is a social problem. Diffusion of dioxins into soil and river sediments is also a serious problem.
[0003]
In recent years, various regulations on dioxins have been made to deal with such problems. For example, dioxins in exhaust gas from incineration facilities and the like are not released into the atmosphere by appropriate management of the combustion state and filtration through various filters such as bag filters and activated carbon filters.
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
However, bag filter media supplemented with dioxins (for example, calcium carbonate) and activated carbon filter media (activated carbon) are disposed of by landfill or incineration.
[0005]
The present invention has been made to solve such problems. It is an object of the present invention to provide a processing apparatus and a processing method capable of effectively processing a target object containing a harmful organic halide or having a generation ability..
[0006]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve such a problem, the present invention adopts the following configuration.
[0007]
The processing apparatus of the present invention includes at least one organic halide.OrIn a processing apparatus for processing a processing object capable of generating the organic halide by heating, a means for heating the processing object, an exhaust system for exhausting a gas generated from the processing object by heating, and the exhaust system And an area for applying an electromagnetic field to the gas under reduced pressure. The exhaust system includes a first exhaust path and a second exhaust path branched from the first exhaust path. The electromagnetic field application region is disposed at a branch portion between the first exhaust path and the second exhaust path, andArising from the processing objectThe electromagnetic field is such that the concentration of at least one component of the gas differs between the first fraction introduced into the first exhaust path and the second fraction introduced into the second exhaust path. Is applied.
[0011]
In the present invention, an object to be treated that contains an organic halide or can generate an organic halide by heating is treated. The former is a case containing dioxins, coplanar PCBs, brominated dioxins (hereinafter collectively referred to simply as dioxins), or harmful organic halides such as chlordane, BHC and PCP. The latter is a case where an organic halide is generated by heating the object to be treated (for example, soil), for example, when a compound having a benzene ring and halogen are contained in the object to be treated. is there.
[0012]
The exhaust system may be provided with a vacuum pump that can exhaust the system to a vacuum. The exhaust system may be an exhaust blower or the like. In this case, the system is exhausted from normal pressure to about negative pressure.
[0013]
The means for heating the object to be processed may be appropriately selected as required, such as various heaters, high frequency heating, microwave heating and the like.
[0014]
In the electromagnetic field application region for applying the electromagnetic field, for example, a magnet (including an electromagnet) or an electrode can be used as means for applying the electromagnetic field. The magnet may be wound around the pipe in an annular shape, or may be disposed so as to face the electromagnetic field in the pipe. Further, the piping in this region may be made of a dielectric such as glass. The electromagnetic field application region for applying these electromagnetic fields is arranged in the exhaust path of gas derived from the object to be processed (for example, gas generated by heating the object to be processed). When the object to be processed is accommodated in the airtight region and the object to be processed is heated while the airtight region is exhausted by the vacuum pump, the electromagnetic field application zone is arranged somewhere from the airtight region to the vacuum pump.
[0015]
According to an aspect of the present invention, the electromagnetic field application region includes the first exhaust path and the second exhaust path.So that the degree of freedom of movement of molecules flowing throughAn electromagnetic field is applied to the branch part.. For example, an electromagnetic field is applied to limit the molecular orientation to some extent. In addition, the electromagnetic field is caused by, for example, the charge of a molecule (including molecular ions and active species, the same shall apply hereinafter)Inside the branch (in the piping)It is applied so that the concentration of at least one gas component is biased in the pipe depending on the type of gas flowing through the pipe.
[0016]
A compound having a benzene ring can be a precursor of dioxins. Benzene is a planar molecule, and all the carbon atoms and hydrogen atoms constituting it are coplanar. Six carbon atoms are linked in a ring by σ electrons. In addition, a continuous donut-shaped electron cloud exists above and below the plane formed by carbon atoms due to π electrons in the p orbit. The π electrons function as an electron source. Halogen is an important component of dioxins. These halogens have a large electronegativity, and an electrical bias due to the localization of electrons in the molecule is likely to occur.
[0017]
In the present invention, the movement of molecules is restricted by an electromagnetic field, and the production and resynthesis of dioxins are suppressed. When an electromagnetic field is applied, the molecules respond to the applied electromagnetic field. For this reason, molecules that synthesize dioxins such as organic compounds and halogens that have a benzene ring also respond to electromagnetic fields and are aligned along the lines of magnetic force and lines of electric force. Is done. The same applies to dioxin molecules. In other words, the constituent molecules of the gas derived from the object to be processed flow through the exhaust system with a relatively high degree of order, so the probability of a chemical reaction is lower than when no electromagnetic field is applied. . Therefore, according to the present invention, it is possible to suppress the probability that harmful organic halides such as dioxins are reacted and re-synthesized.
[0018]
These effects become even more prominent when the space in which the molecules flow is reduced. Under reduced pressure, the distance between adjacent molecules is long and the mean free path of the molecules is also long. For this reason, the probability that dioxins are generated under reduced pressure is much smaller than under normal pressure. Therefore, when an electromagnetic field is applied under reduced pressure, the effect of pressure and the effect of the electromagnetic field are combined, and the generation probability of dioxins can be further reduced.
[0019]
In the above-described present invention, the electromagnetic field application region plays a role of reducing the generation probability and resynthesis probability of harmful organic halides such as dioxins by suppressing the degree of freedom of movement of molecules by the electromagnetic field.
[0020]
And the electromagnetic field application region is theArising from the processing objectThe electromagnetic field is such that the concentration of at least one component of the gas differs between the first fraction introduced into the first exhaust path and the second fraction introduced into the second exhaust path. Apply. When an organic halide such as dioxins is heated in a vacuum, the halogen is eliminated or decomposed into a plurality of fragments by a dechlorination reaction or the like. At this time, molecules and fragments may be ionized. In the present invention, this charge reduces the generation probability and resynthesis probability of harmful organic halides such as dioxins by mass-separating molecules flowing through the exhaust path. Charged particles can be mass separated from an electromagnetic field according to their mass and charge. That is, the concentration of at least one component of the gas derived from the object to be treated is different between the first fraction introduced into the first exhaust path and the second fraction introduced into the second exhaust path. Thus, an electromagnetic field is applied. Since the first exhaust path and the second exhaust path are separated on the downstream side of the electromagnetic field application region, the generation probability of the organic halide is suppressed to be smaller than that in the case where the first exhaust path and the second exhaust path are not separated.
The treatment method of the present invention is a treatment method for treating a treatment object containing at least one organic halide or capable of producing the organic halide by heating, wherein the gas derived from the treatment object is a first substance. The concentration of at least one component of the gas is different between the first fraction introduced into the exhaust path and the second fraction introduced into the second exhaust path branched from the first exhaust path. The electromagnetic field is applied to the gas derived from the processing object under reduced pressure.
According to an aspect of the present invention, the first exhaust path and the second exhaust path are configured so that the degree of freedom of movement of molecules flowing through the first exhaust path and the second exhaust path is reduced. It is characterized in that an electromagnetic field is applied to the bifurcation part.
According to an aspect of the present invention, the electromagnetic field is applied, and the gas that has passed through the first exhaust path and the second exhaust path is exhausted by a vacuum pump.
According to one form of this invention, the gas originating in the said process target object is cooled, It is characterized by the above-mentioned.
[0021]
Next, a method for producing activated carbon or bag filter material (calcium carbonate, clay, shirasu, alumina, etc., or a mixture thereof will be described. According to the present invention, incineration plants, various factories, waste disposal sites, etc. It is possible to produce or regenerate filter materials that are widely used in large quantities.
[0022]
The treatment method of the present invention is characterized by heating activated carbon that has absorbed at least one organic halide under reduced pressure.
[0023]
The treatment apparatus of the present invention comprises a filter for capturing dioxins in the gas phase, and means for heating at least a part of the filter under reduced pressure.
[0024]
The method for producing a filter material of the present invention is a method for producing a clean filter material from a filter material containing an organic halide and a heavy metal, wherein at least a part of the filter material is heated under reduced pressure to produce the organic halide. The method includes the steps of desorbing at least part of the halogen and evaporating the heavy metal by heating at least part of the filter material under reduced pressure.
[0025]
Further, the activated carbon production method of the present invention includes a second activated carbon containing the organic halide at a second concentration smaller than the first concentration from the first activated carbon including at least one organic halide at the first concentration. In which the first activated carbon is heated under reduced pressure.
[0026]
The inventor found that dechlorination occurs and decomposes when dioxins are heated in vacuum. For example, dioxins known as PCDDs include isomers having 4, 5, 6, 7, and 8 chlorine numbers. For example, when OCDD, which is a dioxin having 8 substituted chlorine atoms, is heated in a vacuum, the chlorine is eliminated apart from the decomposition of the skeleton itself composed of carbon and oxygen, resulting in molecules having 0 to 7 chlorine atoms. This is thought to be due to the detachment of chlorine easily under reduced pressure heating. The dechlorination reaction in vacuum starts at about 200 ° C., and the dechlorination reaction occurs sufficiently effectively at 400 ° C. At higher temperatures, the dechlorination skeleton decomposes and vaporizes, so the residue becomes very clean. Of TeCDDs, which are 4-substituted dioxins, 2,3,7,8-TeCDD is considered to have the highest toxicity. When TeCDDs are generated from OCDD by dechlorination, since the substitution of chlorine is individual in terms of statistical mechanics, the probability of 2,3,7,8-TeCDD being generated among TeCDDs is small. Further progress of dechlorination produces compounds with a chlorine substitution number of less than 3, but these compounds are not considered toxic.
[0027]
The same applies to organic chlorine compounds such as chlordane and PCP, and organic halides such as brominated dioxin, and heating these organic halides under reduced pressure produces less toxic or non-toxic chemical substances. Can be made.
[0028]
The released halogen such as chlorine is fixed as a salt by reacting with an alkali such as calcium oxide or sodium hydroxide. In the case of an alkali scrubber, water treatment is required, and therefore solid alkali is preferably used from the viewpoint of eliminating the need for water treatment. Further, from the viewpoint of preventing corrosion of the apparatus by chlorine, it is preferable to react the dechlorinated chlorine with the alkali as soon as possible. In order to improve the reactivity between alkali and chlorine in a solid state in a vacuum, the alkali preferably has a small particle size and a large specific surface area. However, if the particle size is too small, it may be evacuated by a vacuum pump or the conductance of the vacuum piping may become too large, so the particle size is preferably about several mm to several cm.
[0029]
The organic halide is an organic compound having N halogens, and at least a part of the N halogens is eliminated by heating the organic compound under reduced pressure. Further, by further heating, not only dehalogenation but also the entire compound is decomposed or evaporated. The present inventor has conceived the present invention based on such knowledge obtained through experiments.
[0030]
The activated carbon production method of the present invention is a method for producing activated carbon containing dioxins at a second concentration lower than the first concentration from activated carbon containing dioxins at a first concentration, wherein the activated carbon is decompressed. It has a process of heating under, and a process of activating the heated activated carbon. Activated carbon usually needs to be activated (activated). Therefore, the activated carbon heat-treated under reduced pressure may be activated as necessary. The activation may be performed by a gas activation method or chemical activation using zinc chloride or the like. The gas activation method is a physical activation, and the chemical activation method is a method of making carbonized raw materials contact with an oxidizing gas such as water vapor, carbon dioxide, oxygen, etc. at high temperature to produce fine and porous adsorbed charcoal. In this method, the raw material is uniformly impregnated with an activation chemical, heated in an inert atmosphere or in vacuum, and porous adsorbed charcoal is produced by dehydration and oxidation reaction of the chemical. Examples of the activation chemical include zinc chloride, phosphoric acid, calcium chloride, potassium sulfide and the like.
[0031]
The calcium carbonate production method of the present invention is a method of producing calcium carbonate containing the organic halide at a second concentration smaller than the first concentration from calcium carbonate containing the organic halide at a first concentration. Then, the calcium carbonate is heated under reduced pressure, and at least a part of the halogen constituting the organic halide is eliminated.
[0032]
Exhaust gas and waste liquid are often filtered by a filter such as activated carbon. For example, in general bag filters or activated carbon filters as combustion exhaust gas filters, the filter medium is organic halide (dioxins, coplanar PCB, brominated dioxin, chlordane, PCP, BHC, HCB, etc.) or lead, zinc, cadmium, Hazardous substances such as arsenic and mercury are supplemented and cannot be discarded. The same applies to the activated carbon filter used for wastewater treatment. At present, such filters are used in large quantities in municipal waste incinerators, industrial furnaces, industrial waste incinerators, etc., in order to prevent the release of dioxins into the atmosphere. Therefore, it is required to establish an appropriate processing technology for filter furnace materials.
[0033]
Conventionally, these filter materials have been solidified by cement or landfilled or incinerated. In the present invention, the activated carbon on which the organic halide is adsorbed is heated under reduced pressure to remove the organic halide and render the filter medium harmless. Activated carbon is not only made harmless by being heated under reduced pressure, but also regenerated as activated carbon. For this reason, according to this invention, activated carbon can be reused.
[0034]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
(Embodiment 1)
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described with reference to the drawings.
[0035]
In this embodiment, the present invention is applied to a processing system for detoxifying incinerated ash using the energy of shredder dust.
[0036]
FIG. 1 is a diagram showing a schematic configuration of this processing system.
[0037]
The treatment system 11 includes a
[0038]
In the
[0039]
In the
[0040]
The heated residue of the shredder dust thermally decomposed in the
[0041]
FIG. 2 is a diagram showing the configuration of the
[0042]
The receiving
[0043]
The reduced
[0044]
In the
[0045]
The
[0046]
The
[0047]
The
[0048]
For example, air near the facility is supplied to the
[0049]
The air from which the chlorine component has been removed through the
[0050]
Incinerated ash generated with hot air in the
[0051]
FIG. 3 is a diagram showing the configuration of the
[0052]
The receiving
[0053]
The
[0054]
The alkali
[0055]
The alkaline
[0056]
The
[0057]
FIG. 4 is a diagram showing the configuration of the above-described reduced
[0058]
The reduced
[0059]
These chambers are separated by a
[0060]
An
[0061]
In the present invention, the exhaust system connected to the
[0062]
FIG. 10 is a diagram schematically showing a state in which an electromagnetic field is applied to the gas flowing in the pipe. This pipe is a pipe connecting the
[0063]
The gas generated by heating the object to be processed in the
[0064]
These effects become more prominent when the space in which molecules circulate is decompressed as in this embodiment. Under reduced pressure, the distance between adjacent molecules is long and the mean free path of the molecules is also long. For this reason, the probability that dioxins are generated under reduced pressure is much smaller than under normal pressure. Therefore, when an electromagnetic field is applied under reduced pressure, the effect of pressure and the effect of the electromagnetic field are combined, and the generation probability of dioxins can be further reduced.
[0065]
It is more effective to apply the electromagnetic field while cooling the gas. It is known that dioxins are re-synthesized at about 300 ° C to 500 ° C. Accordingly, the shorter the time during which the heated gas stays in the above temperature range, the less dioxins are generated. In this invention, the gas which distribute | circulates the inside of piping is cooled by cooling the piping in which the magnet 100 was arrange | positioned.
[0066]
The inside of the pipe and the
[0067]
The
[0068]
In the cooling
[0069]
FIG. 5 is a diagram showing the configuration of the
[0070]
In the gas high-
[0071]
In the
[0072]
The
[0073]
In the
[0074]
The cracked gas is stored in the high-pressure gas tank 56 after SOx and the like are removed by the
[0075]
FIG. 6 is a diagram showing the configuration of the
[0076]
The
[0077]
These chambers are separated by a
[0078]
An
[0079]
The inside of the
[0080]
The
[0081]
In the cooling
[0082]
FIG. 7 is a diagram showing the configuration of the
[0083]
An
[0084]
In the present invention, the activated
[0085]
FIG. 8 is a diagram showing the configuration of the alkali
[0086]
In the
[0087]
As a means for extracting the alkali component from the incinerated ash, for example, the incinerated ash may be boiled.
[0088]
FIG. 9 is a diagram showing the configuration of the discharge processing system in the system 1.
[0089]
In this system 1, the exhaust gas exhausted from the reduced
[0090]
Incinerated ash before treatment contained 2.4 mg / l of lead and lead compounds, 0.04 mg / l of copper and copper compounds, and 0.05 mg / l of zinc and its compounds. In contrast, under reduced pressure (5 × 10-110 torr) The incinerated ash heat-treated at 1000 ° C. contained only 0.01 mg / l of copper and a copper compound. Also, under reduced pressure (5 × 10-110 torr) Heat treatment at 800 ° C., burning at 800 ° C. with air from which chlorine components have not been removed, and then cooling with the air contains 0.01 mg / l of copper and a compound of copper, hexavalent Only 0.53 mg / l of chromium was included. Furthermore, incineration ash that was heat-treated at 1000 ° C. under reduced pressure (5 to 10 torr), burned at 800 ° C. with air from which chlorine components had been removed, and then cooled with the air did not contain these metals. .
[0091]
In addition, when the same treatment was performed on soil and activated carbon in place of incinerated ash, untreated soil contained 0.008 mg / l of lead and its compound, and the soil subjected to vacuum evaporation at 1000 ° C. Contains 0.012 mg / l of lead and its compound, 0.001 mg / l of cadmium and its compound, and lead and its compound are also present in soil that has been vacuum-evaporated at 1000 ° C. and oxidized at 1000 ° C. Neither cadmium nor its compounds were included.
[0092]
The present invention is not limited to the embodiment described above.
[0093]
For example, in the above-described embodiment, the present invention is applied to a processing system for detoxifying incineration ash using the energy of shredder dust. In addition to shredder dust, waste home appliances, waste plastic, waste materials In addition to incineration ash, it can be applied to incineration ash, soil, sludge, and the like. Furthermore, it can also be applied to activated carbon, bag filter media, and ceramic filter traps.
[0094]
Furthermore, in the said embodiment, although extraction of the alkali component was performed in a normal pressure state, you may comprise so that an alkali component may be extracted in pressure_reduction | reduced_pressure. When the treatment is performed under reduced pressure, the energy cost can be reduced since the boiling point is lowered.
[0095]
Furthermore, in the said embodiment, although heat processing was performed under pressure reduction, this invention is applicable even if it heat-processes by a normal pressure.
[0096]
(Example 2)
Next, another embodiment of the present invention will be described. FIG. 11 is a diagram for explaining another example of the electromagnetic field application region provided in the processing apparatus of the present invention. The electromagnetic field application region (magnet in this example) 100 includes at least one organic halide or is heated from the processing target in a processing apparatus that processes the processing target capable of generating the organic halide by heating. An
[0097]
(Example 3)
Next, a method for producing the filter material of the present invention will be described.
[0098]
FIG. 13 is a plan view schematically showing an example of the form of the processing apparatus of the present invention. The
[0099]
On the
[0100]
The pair of
[0101]
The three U-shaped pipes 151, 152, and 153 are each filled with quicklime (CaO). This neutralizes the vaporized organic solvent or pesticide (captures the halide with an alkali).
[0102]
The
[0103]
The
[0104]
In addition, an alkali reaction vessel may be further connected to the exhaust side of the
[0105]
Next, the processing operation of the system configured as described above will be described.
[0106]
First, an agrochemical of a halogen compound such as PCP or chlordane digged up from soil or activated carbon, or calcium carbonate as a filter material for a bag filter is introduced into the
[0107]
Next, in the alkaline reactor 6, chlorine released from dioxins, PCP, and chlordane is reacted with quick lime (CaO) or soda lime (CaO + NaOH) to generate a salt. Even if chlordane flies undecomposed, it releases chlorine in the presence of alkali and decomposes, so this chlorine is also captured as a salt.
[0108]
In addition, since there is a possibility that explosive components such as sodium hypochlorite may be generated, the alkaline reactor 6 is always the next from the viewpoint of improving the reactivity and also preventing the generation of dioxins. It is more preferable to maintain the decomposition temperature of sodium chlorite (about 150 to 200 ° C.) or higher. Further, when dioxins or the like are detected in the alkaline reactor 6 even under such conditions, dechlorination is achieved by heating the alkaline reactor 6 to about 600 ° C. to 800 ° C. while evacuating the inside of the alkaline reactor 6. It only has to be disassembled.
[0109]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, an object to be treated containing an organic halide, or an object to be treated having an organic halide generating ability by heating can be detoxified, and the organic halide is exhausted in the exhaust system. Can be prevented from being generated or re-synthesized. Moreover, according to this invention, the filter agent of an activated carbon filter bag filter can be produced efficiently.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram showing a schematic configuration of a processing system according to an embodiment of the present invention.
2 is a diagram showing a configuration of a first processing system shown in FIG. 1. FIG.
FIG. 3 is a diagram showing a configuration of a second processing system shown in FIG. 1;
4 is a diagram showing a configuration of the reduced pressure pyrolysis furnace shown in FIG. 2. FIG.
FIG. 5 is a diagram showing a configuration of a gas processing system shown in FIG. 2;
6 is a diagram showing a configuration of the vacuum furnace shown in FIG. 3. FIG.
7 is a diagram showing a configuration of the filter shown in FIGS. 2 and 3. FIG.
8 is a diagram illustrating a configuration of an alkali component extraction unit illustrated in FIG. 3. FIG.
FIG. 9 is a diagram showing a configuration of a discharge processing system in the present system.
FIG. 10 is a diagram schematically showing a state in which an electromagnetic field is applied to a gas flowing in a pipe.
FIG. 11 is a diagram for explaining a processing apparatus of the present invention.
FIG. 12 is a diagram for explaining a method for producing a filter material of the present invention.
FIG. 13 is a diagram for explaining a method for producing a filter material of the present invention.
[Explanation of symbols]
11 ... Processing system
12 ... 1st processing system
13 ... Second processing system
21 ... Reception facilities
22 ... Low pressure pyrolysis furnace
23. Sorting machine
24 ... Gas treatment system
25 ... Gas engine
26 ... Generator
27 ... Hot stove
28 ... Filter
31 ... Reception facilities
32 ... ash silo
33 ... Vacuum furnace
34 ... Filter
35 ... Alkali component extraction unit
37 ... Alkaline water treatment device
38 ... File
39 ... Gas cleaning device
41 ... Purge chamber
42 ... Airtight room
43 ... Cooling room
44 ... door
45 ... Exhaust system
46 ... Vacuum pump
47. Heating means
51. Gas high temperature cracking section
52 ... Gas quenching section
53 ... Alkaline bag filter
54 ... Gas cleaning device
55 ... Catalytic desulfurization equipment
56 ... High pressure gas tank
61 ... Purge chamber
62 ... Airtight room
63 ... Cooling room
64 ... door
65 ... Exhaust system
66.67 ... Heating means
68. Cooling means
69 ... Recovery device
71 ... Filter body
72 ... Input hole
73 ... Output hole
74 ... Activated carbon
81 ... container
82: Placement section
83 ... Nozzle
84 ... Discharge hole
91 ... Drying oven
92 ... Bug filter as with activated carbon
93 ... Exhaust fan
100 ... Magnet
101 ... Processing system
102 ... Trailer body
103a. 103b ... a pair of evaporators
103a. 103b ... Evaporator
104a. 104b ... a pair of valves
105 ... Cracking furnace
106 ... Alkaline reactor
107a ... Primary cooler
107b ... Secondary cooler
108 ... Vacuum pump
110 ... space
111-115 ... Piping
121a. 121b ... heater
151 ... U-shaped piping
200 ... exhaust system
200: Electromagnetic field application region
201: First exhaust path
202 ... Second exhaust path
Claims (8)
前記処理対象物を加熱する手段と、
加熱により前記処理対象物から生じるガスを排気する排気系と、
前記排気系に配設され、前記ガスに減圧下で電磁場を印可する領域とを具備し、
前記排気系は、第1の排気経路と、この第1の排気経路から分岐した第2の排気経路とを具備し、
前記電磁場印加領域は、前記第1の排気経路と前記第2の排気経路との分岐部に配設されると共に、前記処理対象物から生じるガスが、前記第1の排気経路へ導入される第1のフラクションと、前記第2の排気経路に導入される第2のフラクションとで前記ガスの少なくとも1つの構成成分の濃度が異なるように電磁場を印加することを特徴とする処理装置。In a processing apparatus for processing a processing object containing at least one organic halide or capable of generating the organic halide by heating,
Means for heating the object to be treated;
An exhaust system for exhausting gas generated from the object to be treated by heating;
A region disposed in the exhaust system and applying an electromagnetic field to the gas under reduced pressure;
The exhaust system includes a first exhaust path and a second exhaust path branched from the first exhaust path,
The electromagnetic field application region is disposed at a branch portion between the first exhaust path and the second exhaust path, and a gas generated from the processing object is introduced into the first exhaust path. A processing apparatus, wherein an electromagnetic field is applied so that a concentration of at least one component of the gas is different between one fraction and a second fraction introduced into the second exhaust path.
当該処理装置は、前記管を冷却する手段をさらに具備したことを特徴とする請求項3に記載の処理装置。The exhaust system has at least a pipe that forms the branch portion;
The processing apparatus according to claim 3, further comprising means for cooling the pipe.
前記処理対象物に由来するガスが、第1の排気経路へ導入される第1のフラクションと、前記第1の排気経路から分岐した第2の排気経路に導入される第2のフラクションとで前記ガスの少なくとも1つの構成成分の濃度が異なるように、前記処理対象物に由来するガスに対して減圧下で電磁場を印加する
ことを特徴とする処理方法。In a treatment method for treating a treatment object containing at least one organic halide or capable of producing the organic halide by heating,
The gas derived from the object to be processed is a first fraction introduced into a first exhaust path and a second fraction introduced into a second exhaust path branched from the first exhaust path. A processing method comprising applying an electromagnetic field under reduced pressure to a gas derived from the object to be processed so that the concentration of at least one constituent of the gas is different.
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