JP3926118B2 - 加熱調理器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のマグネトロンを用いて高圧トランスやインバータ制御等の高電圧制御により駆動し、高出力にて被調理物を加熱調理可能とした加熱調理器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、マグネトロンによるマイクロ波加熱を利用して被調理物を加熱調理する加熱調理器においては、マグネトロンに高圧電源を供給するため、高電圧発生装置を備えている。そして、このマグネトロンや高電圧発生装置自体が温度上昇すると安定した電気特性が得られないため、通常冷却ファン装置を設けて冷却するようにしている。
図7は、その一例を示した加熱調理器本体1の側面図で、その外郭を形成する外箱2(二点鎖線で示す)を除去した状態の構成を示している。図示するように、調理室3の外側壁の上部に2個のマグネトロン4a,4bを備え、これらを同時に駆動させ高出力による高周波加熱を可能としている。そして、これらマグネトロン4a,4bに対応して夫々高圧電源を供給する高電圧発生装置としては、例えば高圧トランス5a,5bおよび高圧コンデンサ6a,6bを夫々本体1の底部に配設固定している。
【0003】
このように、上部にマグネトロン4a,4bを備え、その下方に高圧トランス5a,5bを配した構成とするとともに、その両者間を仕切るように送風ダクト7および冷却ファン装置8を設けている。従って、冷却ファン装置8の吸気(風上)側には高圧トランス5a,5bが位置し、吐出(風下)側にマグネトロン4a,4bが配置されて、いずれも冷却風が流れる通路上にあって該冷却ファン装置8の回転駆動により両者共に冷却されるようにしている。
【0004】
しかるに、冷却用の外気取込み口9は、本体1前面の下部に設けられることが多い。それは、外気取込み口9には通常フィルタ(図示せず)が着脱可能に設けられ、随時掃除のために着脱作業が容易であること、および前面側であれば外気取込み口9が塞がれるおそれが少ないことなどの根拠に基づくもので、取り込まれた外気は冷却風として図中に示す矢印E方向に流れる。
即ち、冷却ファン装置8の駆動により外気取込み口9から取り込まれた外気は、冷却風として2個の高圧トランス5a,5bを順次冷却した後、2個のマグネトロン4a,4bを冷却し、その冷却風の一部は調理室3内に供給され、他の一部は図示しない排気口から直接機外に排出される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成によれば、2個のマグネトロン4a,4bの発振に基づく加熱調理が行われている間、冷却ファン装置8も駆動されて生成された冷却風によりマグネトロン4a,4bおよび高圧トランス5a,5b、更には高圧コンデンサ6a,6b等を同時に冷却する。
しかしながら、2個の高圧トランス5a,5bは、省スペース延いては本体1のコンパクト化のために調理室3に外側壁に沿うように配設され、これは冷却風が流れる通路上に沿って並んで設けられている。従って、冷却ファン装置8の回転駆動により取り込まれた外気は冷却風として、外気取込み口9に近い風上側の高圧トランス5aへの冷却作用に比して、その後方に位置する高圧トランス5bに対しては、冷却風が一部死角になったり、冷却風が熱を吸収して若干温度上昇していることなどにより冷却作用が低下することは否めない。
【0006】
このため、温度上昇が限界に達しないように、温度上昇による耐久性や絶縁破壊等から保護するには、入力を小さく設定して温度上昇を抑える必要がある。ところが、この種高圧トランス5a,5bは、定格容量等の特性仕様は共通にして取扱いや管理作業等を容易にしていることから、この場合、温度条件が悪い高圧トランス5b側の小さい入力設定に合わせて一方の高圧トランス5aの入力も共通に設定している。従って、高圧トランス5a側では冷却作用も十分で余裕があるにも係わらず、入力を小さく設定せざるを得ず、その結果出力効率を悪くしたり、これに対処するにはマグネトロン4a,4bや高圧トランス5a,5bの性能アップや大型化などが必要でコストアップする等の憂いを有していた。
【0007】
本発明は上述の事情に鑑みてなされ、従ってその目的は、複数の高電圧発生装置の冷却効果に応じて異なる入力設定とし、効率の良い高出力化が可能な加熱調理器を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の加熱調理器は、本体内に形成され被調理物を収容する調理室と、該調理室内の被調理物を高周波加熱するためマイクロ波を発振する複数のマグネトロンと、これらマグネトロンに夫々高圧電源を供給するための複数の高電圧発生装置と、これら高電圧発生装置を設定入力に基づき通電制御する制御装置と、前記各マグネトロンおよび各高電圧発生装置を冷却するための冷却ファン装置を具備したものにおいて、前記制御装置は、前記各高電圧発生装置の設定入力を調整可能とし、前記各高電圧発生装置に対する前記冷却ファン装置による冷却効果に応じて、各高電圧発生装置への最大設定入力を異ならせたことを特徴とする(請求項1の発明)。
【0009】
斯かる構成によれば、複数のマグネトロンおよび高電圧発生装置を備えたものに生じ易い、冷却ファン装置による異なる冷却効果に対処できるようにしたもので、冷却効果が低い高電圧発生装置には入力を小さく設定し、一方冷却効果が良好な高電圧発生装置に対しては設定入力を大きくして、いずれも上限の温度上昇の許容する範囲内にて最大の出力を発揮させることができ、以って総合的には複数のマグネトロンにより効率良く高出力にて発振させた加熱調理が実行できる。
【0010】
そして、請求項1記載のものにおいて、本体下部に冷却用の外気取込み口を有し、複数の高電圧発生装置およびこれら高電圧発生装置に夫々対応した冷却ファン装置を上下方向に備えたものにあって、そのうち下部の高電圧発生装置の入力を、上部の高電圧発生装置より大きく設定したことを特徴とする(請求項2の発明)。
【0011】
斯かる構成によれば、上部に位置する高電圧発生装置は、下部に位置するものより本体下部の外気取込み口から冷却ファン装置に至るまでの吸気経路が長く、しかも本体内の上部は温度上昇の傾向が大きいことも相俟って冷却ファン装置による冷却効果が低下することは否めない。従って、冷却効果が良好な下部の高電圧発生装置の入力を、上部の高電圧発生装置より大きく設定することにより、過剰な温度上昇を抑えながら上限の温度上昇の許容範囲内にて最大の出力を発揮させることができる。
【0012】
また、請求項1記載のものにおいて、本体下部に冷却用の外気取込み口を有し、複数の高電圧発生装置を左右方向に並んで配置するとともに、夫々の高電圧発生装置に対応した冷却ファン装置を異なる位置に備えたものにあって、そのうち前記外気取込み口より冷却ファン装置までの吸気経路が短い側の高電圧発生装置の入力を、他方の吸気経路が長い側の高電圧発生装置より大きく設定したことを特徴とする(請求項3の発明)。
【0013】
斯かる構成によれば、高電圧発生装置を並設した構成にあっても、マグネトロンの配置等により対応する各冷却ファン装置を異なる位置に設ける場合が多く、しかして吸気経路が短くて冷却効果が良好な高電圧発生装置の入力を、吸気経路が長い側の高電圧発生装置より大きく設定することにより、請求項2の発明と同様に上限の温度上昇の許容範囲内にて最大の出力を発揮させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の加熱調理器を示す一実施例につき、図1ないし図5を参照して説明する。
まず図4は、加熱調理器全体の外観斜視図を示したもので、調理器本体11は、概略的には外郭を形成するコ字状の外箱12と、その内部に破線で示す調理室13と、該調理室13の前面を開閉する扉14などにより構成されている。そして、本体11の前面には、下部に後述する冷却風とするためのグリル状の外気取込み口15を有し、上部には被調理物を加熱調理する温めキーや表示部などを有する操作パネル16が設けられている。尚、後面には図5の背面図に示す後面板17が取り付けられ、本実施例では前記調理室13の後方の空間を機械室18として構成している。
【0015】
次いで、図1〜図3は、いずれも外箱12(二点鎖線で示す)を除去した状態の背面図、側面図、および平面図を示したもので、そのうち図1は特には前記した機械室18内の構成を示している。即ち、図1において共通仕様の2個のマグネトロン19a,19bを上下部に配設するとともに、夫々に高圧電源を供給するやはり共通の2個のインバータ装置20a,20bを設けていて、所謂二組のマイクロ波発生手段を上下部に装備している。
【0016】
そのうちの一組である上部のマグネトロン19aは、特に図3に示すように調理室13の天井部位に固定された導波管21aの後端部下面に取り付けられ、該マグネトロン19aから発振されたマイクロ波は、導波管21a内を導かれ前端部から調理室13内に供給されるようにしていて、その前端部にはスタラファン用モータ22が設けられ、調理室13内に供給されるマイクロ波を拡散するようにしている。
そして、図1において上記マグネトロン19aの右側に並べるように該マグネトロン19aと対をなすインバータ装置20aを設けている。このインバータ装置20aは、ダイオードブリッジやIGBT、チョークコイル、高周波トランス等の回路部品を回路基板の上面に実装してなるもので、マグネトロン19aに高圧電源を供給する所謂高電圧発生装置を構成している。
【0017】
一方、もう一組の下部に配したマグネトロン19bおよびインバータ装置20bは、上部のものとは対称位置で上下部反転した形態に設けられている。例えば、マグネトロン19bを備えた導波管21bは、調理室13の底部に固定されており、従って、マイクロ波は同様に調理室13底部の略中央部から内部に拡散供給される。
尚、上記各インバータ装置20a,20bは、左側であるマグネトロン19a,19b側に行くほど双方が大きく離反する傾斜状態に配設されている。
【0018】
斯かる構成の機械室18内に冷却風を供給すべく、本実施例では共通の2個の冷却ファン装置23a,23bを設けている。これら冷却ファン装置23a,23bは、前記インバータ装置20a,20bの右側に夫々対向する上下位置に並設されている。斯くして、図1に示すように各冷却ファン装置23a,23bの風下側にインバータ装置20a,20bとマグネトロン19a,19bが夫々順に配置され、更にその風下において、上部には給気ダクト24の一端が開口して設けられ、その他端は図3に示すように調理室13の側壁の前部寄りに連通接続されている。
【0019】
しかるに、図3に示す調理室13の天井部位に設けられた排気ダクト25は、一端が調理室13内部に連通し、他端は本体11の後面まで延びて後面板17(図5参照)に形成された多数の小孔からなる排気口26aに連通接続されている。また、後面板17には、図示左方に位置してもう一つの排気口26bを形成していて、これは図1に基づき説明すると最も風下側に位置して機械室18に連通して設けられている。
【0020】
尚、図2に示す調理室13の側壁には、該調理室13内を照らす庫内灯27が設けられ、当該側壁には小孔からなる投光部28が形成されている。
また、図3に示すように、操作パネル16の裏側に制御装置29を備えている。これは、マイクロコンピュータを有する回路構成を主体とした回路基板からなり、操作パネル16の温めキー等の選択操作に基づき、被調理物を予め記憶された設定時間加熱するように制御したり、加熱調理器として組み立てた製品完成時に前記インバータ装置20a,20b個々への入力値を、これらの温度上昇(冷却効果)に応じて設定できて、以後この入力値をマイクロコンピュータにより制御するように所謂入力調整を可能としている。
【0021】
上記のように構成された本実施例の作用について説明すると、調理室13内に被調理物を収納し、扉14を閉じた後、操作パネル16の例えば温めキーによる設定操作を行いスタートさせる。この入力設定を受けて、制御装置29によりインバータ装置20a,20bを介してマグネトロン19a,19bにインバータ制御された高圧電源が供給され、所定時間マイクロ波による加熱調理が実行制御される。即ち、各マグネトロン19a,19bから発振されたマイクロ波は、夫々上下部の導波管21a,21bを介して調理室13内に上下部から同時に供給され、高出力のもとにスタラファン用モータ22の駆動により図示しないスタラファンにより拡散供給されながら、被調理物の加熱調理が開始される。
【0022】
しかるに、上記加熱調理が行われている間、冷却ファン装置23a,23bも通電駆動され、本体11の前面下部の外気取込み口15から取り込まれた外気は、冷却風として生成され夫々図示矢印A,B方向に流れる。これら冷却風により、発熱性のIGBT等回路部品からなるインバータ装置20a,20b、およびマグネトロン19a,19bを冷却する。
【0023】
更に具体的に述べると、このうち矢印Aで示す冷却風の流れについては、まず図2に示す下部の外気取込み口15から取り込まれた外気が上部の冷却ファン装置23aに向って調理室13の外側壁に沿って流れ、また一部は反対側の調理室13の外周壁を迂回して冷却ファン装置23aに吸い込まれる。そして、この冷却ファン装置23aから吐出された冷却風は、図1に示すように上部のインバータ装置20aおよびマグネトロン19aを順次冷却する。
【0024】
このマグネトロン19aを冷却した後の冷却風は、特に図3に示すように主に給気ダクト24に取り込まれ、そして調理室13内に供給される。これにより、調理室13内で被調理物から発生した蒸気等を含んだ庫内空気と置換しつつ、調理室13の天井部位に設けられた排気ダクト25へ導かれ、後面板17の排気口26aから機外に排出される。このように、矢印Aで示した冷却風は、インバータ装置20aおよびマグネトロン19aを冷却した後は、調理室13内の換気用として利用される。
【0025】
これに対し、矢印Bで示す冷却風は、まず図2において本体11の前面下部の外気取込み口15から取り込まれた外気が、速やかに下部の冷却ファン装置23bに吸い込まれる。そして、図1に示すように下部に位置するインバータ装置20bおよびマグネトロン19bを順次冷却し、その後、主に後面板17の他の排気口26bから直接機外に排出される。
【0026】
ところが、上記矢印AおよびBで示す冷却風は、特に各冷却ファン装置23a,23bまでの吸気経路が異なるために冷却風の温度に差を有する。その理由は、前記したように前面下部の同じ外気取込み口15に対して、上部の冷却ファン装置23aまで至る間の距離が長い上に、調理室13の外周壁から熱を吸収して加温される傾向が大きく、これに対し下部の冷却ファン装置23bの吸気経路は短くて簡素な経路であることは明らかである。
【0027】
これに伴い、各冷却ファン装置23a,23bから吐出される冷却風による冷却作用にも差を生じ、当然ながら下部に位置するインバータ装置20bおよびマグネトロン19bに対する冷却作用は、上部のインバータ装置20a等の冷却作用より優れた効果を発揮することは明白である。このことは、換言すれば上部のインバータ装置20aが下部のインバータ装置20bより温度上昇し易い事情にある。
【0028】
そこで本実施例では、製品完成時に個々に上記冷却効果(温度上昇)を実測しつつ、これに応じたインバータ装置20a,20bへの入力調整を行なっている。例えば、操作パネル16の特殊なキー操作により、上部のインバータ装置20aには小さめの入力値に設定して温度上昇が限界に達しないように制御し、また下部のインバータ装置20bは十分な冷却性能が得られるので、許容される範囲内で最大限の入力値に設定し、以後これを制御装置29が有するマイクロコンピュータにより管理制御する。従って、各インバータ装置20a,20bにあっては、夫々の冷却効果に応じた最大限の入力設定のもとに通電され、効率良くインバータ制御が行われるとともに2個のマグネトロン19a,19bを総合して高出力とした高周波加熱が実行される。
【0029】
このように、上記実施例によれば次の効果を有する。
即ち、本実施例では上部に位置する高電圧発生装置20aは、下部に位置する高電圧発生装置20bより本体11下部の外気取込み口15から冷却ファン装置23aに至るまでの吸気経路が長くて、取り込まれた外気が調理室13の外周壁等周囲の熱を吸収して温度上昇し易く、しかも本体11内の上部は温度上昇の傾向が大きいことも相俟って冷却ファン装置23aによる冷却効果が低下することは否めない。
【0030】
従って、吸気経路が短くて冷却ファン装置23bによる冷却効果が良好で温度上昇の上限までに余裕のある下部のインバータ装置20bへの入力を大きく設定し、これに対し冷却効果が低い上部のインバータ装置20aには小さい入力値に設定することにより、これらインバータ装置20a,20bのいずれに対しても過剰な温度上昇を抑えて安定化を図るとともに、上限の温度上昇の範囲内にて最大の出力を発揮させることができる。しかして、インバータ装置20a,20bによりインバータ制御され高周波による高圧電源が供給されたマグネトロン19a,19bは、総じて効率の良い高出力のもとに加熱調理が実行でき、業務用などの強力な加熱にて素早く温め調理をする場合に好適する。
【0031】
斯くして、この種、複数のマグネトロン19a,19bおよび各インバータ装置20a,20bを備えたものでは、外気取込み口15或は冷却ファン装置23a,23b等の配置構成から同一の冷却作用を得ることは難しく、各インバータ装置20a,20bに対する冷却効果が異なることは避けがたい。しかるに、本実施例によればマグネトロン19a,19b、各インバータ装置20a,20bおよび冷却ファン装置23a,23bの各々を同一仕様による部品の共通化を維持した上で、異なる冷却効果に応じて各インバータ装置20a,20bへの入力を調整して設定するようにしたもので、調理器本体11の大型化を招くことなく製造組立時の作業性も良好でコストアップも抑えながら高出力化に対処できる。
【0032】
(変形例)
次いで、図6は、本発明の変形例を示したもので、上記実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について述べる。
しかして、図6は、やはり外箱32(二点鎖線で示す)を除去した状態を示す図1相当の概略構成図で、このものは上記実施例では各インバータ装置20a,20b等を上下に配置した構成であったのに対し、このものは左右方向に並ぶように配置した構成にある。即ち、この調理器本体30は、上記実施例と同様に調理室31の後方における図示しない後面板との間の機械室33内において、図示左半部にマグネトロン34aとインバータ装置35a、およびこれらを冷却するための冷却ファン装置36aを配備し、同様に右半部にもマグネトロン34bとインバータ装置35b、およびこれらを冷却するための冷却ファン装置36bを配備した構成としている。
【0033】
具体的には、各インバータ装置35a,35bは、略中央部位にて相対峙するように並設され、またマグネトロン34a,34bは、夫々機械室33の左上部の隅部と右下部の隅部の所謂対角位置に配設されている。そして冷却ファン装置36a,36bは、夫々インバータ装置35a,35bおよびマグネトロン34a,34bを順に冷却するように設けられ、従って、左側の冷却ファン装置36aではインバータ装置35aの下部に配置され、また右側の冷却ファン装置36bは、インバータ装置35bの上部に配置されている。
【0034】
そして、上記各マグネトロン34a,34bには導波管37a,37bが調理室31の天井部位および底部に沿うように設けられ、また、一方のマグネトロン34aの近傍の風下側には、調理室31内に連通してその外側壁に設けられた給気ダクト38を有し、その反対側の調理室31の外側壁には該調理室31内から機外に連通開口した排気ダクト39を有している。
【0035】
尚、図中40,41,42は風ガイド部で、この変形例では後述するように機械室33内で左右に分かれて逆方向に冷却風が流れるため、これらが混合しないように区分し、且つ所定方向に案内する構成としている。また、外気取込み口は図示しないが、上記実施例と同様に本体30の前面下部(図示の反対側)の1個所に設けられており、因みに図中矢印CまたはDは、取り込まれた外気および冷却風の流れを示しており、左右において逆方向に流れる。
【0036】
斯かる構成によれば、左半部においては冷却ファン装置35aからの冷却風は、インバータ装置36aおよびマグネトロン34aを順次冷却した後、給気ダクト38から調理室31内に送り込まれ、内部空気と置換しつつ排気ダクト39から機外に排出される。一方、右半部における冷却風は、同じくインバータ装置35bおよびマグネトロン34bを冷却した後、図示しない排気口から直接機外に排出される。
【0037】
しかるに、本体30の下部から取り込まれた外気は、矢印Cで示す左側の冷却ファン装置36aに至るまでの吸気経路は、矢印Dで示す右側の冷却ファン装置36bに至るまでの吸気経路に比して短く且つ単純経路であることが理解できる。つまり、右側の冷却ファン装置36bについて述べれば、その吸気経路が迂回して長いために取り込まれた外気が調理室31の外周壁等からの熱で暖められる。従って、これを冷却風とする冷却効果は当然低下することとなり、左側の冷却効果とは差異を生ずることになる。
【0038】
このため、左側の冷却効果が良好なインバータ装置35aに対してはできるだけ入力を大きく設定し、右側の冷却効果が低く温度上昇し易いインバータ装置35bにおいては、温度上昇を抑えるべく入力を小さく設定する。これにより、過剰な温度上昇を抑えて安定化を図るとともに、上限の温度上昇の許容範囲内にて総合的に最大の出力を発揮させ得、以って高出力による加熱調理が実行できるもので、その他、上記実施例と同様の作用効果が期待できる。
【0039】
尚、本発明は上記し且つ図面に示した各実施例に限らず、例えば高電圧発生装置としてインバータ装置を採用したが、これに代えて高圧トランスを用いた駆動制御でも良いし、また高電圧発生装置は同一個所に設けたものに限らず、従って上下,左右などの配置に限らず冷却効果が異なる配置構成のものに広く採用できるもので、その他、マグネトロンや高電圧発生装置を2個以上備えた構成ものにも適用できるなど、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて種々変更して実施できるものである。
【0040】
【発明の効果】
本発明は以上説明した通り、調理室内の被調理物を高周波加熱するためマイクロ波を発振する複数のマグネトロンと、これらマグネトロンに夫々高圧電源を供給するための複数の高電圧発生装置を有するとともに、これらを冷却するための冷却ファン装置を具備したものにおいて、前記各高電圧発生装置に対する前記冷却ファン装置による冷却効果に応じて、各高電圧発生装置に対し異なる入力を設定するようにした。
【0041】
これにより、複数のマグネトロンおよび高電圧発生装置を備えたものに生じ易い、冷却ファン装置による異なる冷却効果に対処したもので、冷却効果が低い高電圧発生装置には入力を小さく設定し、一方冷却効果が良好な高電圧発生装置に対しては入力を大きく設定して、いずれも上限の温度上昇の許容範囲内にて最大の出力を発揮させることができ、総じて複数のマグネトロンにより効率良く高出力にて加熱調理が実行可能な加熱調理器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す外箱を除去した状態の背面図
【図2】側面図
【図3】平面図
【図4】全体の外観斜視図
【図5】背面図
【図6】変形例を示す図1相当の概略構成図
【図7】従来例を示す外箱を除去した状態の側面図
【符号の説明】
11,30は本体、12,32は外箱、13,31は調理室、15は外気取込み口、18,33は機械室、19a,19b,34a,34bはマグネトロン、20a,20b,35a,35bはインバータ装置(高電圧発生装置)、21a,21b,37a,37bは導波管、23a,23b,36a,36bは冷却ファン装置、24,38は給気ダクト、および25,39は排気ダクトを示す。

Claims (3)

  1. 本体内に形成され被調理物を収容する調理室と、該調理室内の被調理物を高周波加熱するためマイクロ波を発振する複数のマグネトロンと、これらマグネトロンに夫々高圧電源を供給するための複数の高電圧発生装置と、これら高電圧発生装置を設定入力に基づき通電制御する制御装置と、前記各マグネトロンおよび各高電圧発生装置を冷却するための冷却ファン装置を具備したものにおいて、
    前記制御装置は、前記各高電圧発生装置の設定入力を調整可能とし、前記各高電圧発生装置に対する前記冷却ファン装置による冷却効果に応じて、各高電圧発生装置への最大設定入力を異ならせたことを特徴とする加熱調理器。
  2. 本体下部に冷却用の外気取込み口を有し、複数の高電圧発生装置およびこれら高電圧発生装置に夫々対応した冷却ファン装置を上下方向に備えたものにあって、そのうち下部の高電圧発生装置の入力を、上部の高電圧発生装置より大きく設定したことを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
  3. 本体下部に冷却用の外気取込み口を有し、複数の高電圧発生装置を左右方向に並んで配置するとともに、夫々の高電圧発生装置に対応した冷却ファン装置を異なる位置に備えたものにあって、そのうち前記外気取込み口より冷却ファン装置までの吸気経路が短い側の高電圧発生装置の入力を、他方の吸気経路が長い側の高電圧発生装置より大きく設定したことを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
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