JP3926040B2 - 窒化アルミニウムの製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
この発明は、窒化アルミニウムの製造方法に関し、特にα−アルミナの生成がなく全てが窒化アルミニウムとなるような窒化アルミニウムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
窒化アルミニウムは、半導体素子の樹脂封止材料の充填材料や金属との複合材として使用されている。出願人は、すでに特願平7−206027号、特願平8−308754号、特願平9−298854号として窒化アルミニウムの製法を提案している。特願平7−206027号は、炭化水素ガスを0.5容積%以上含有する炭化水素ガスとアンモニアガスとの混合ガス中でγ−アルミナ又はその前駆体を1200〜1700℃で加熱するものである。
【0003】
この方法は、従来の方法に比べて窒化アルミニウムの製法としては1200℃で反応が進行する点で画期的なものであったが、製造条件によってはα−アルミナとして大量の酸素が残留して窒化アルミニウムの熱伝導率を著しく低下させることがあった。ここにおける1200℃という反応温度は、AlN化反応を進行させるだけでなく、場合によってはγ−アルミナのα相への転移も同時に起こり得る領域であるために、例えば一度に大量のγ−アルミナを処理するなどして、反応ガスの供給が不十分となった場合などはα−アルミナ化が進行することが考えられた。そして、一旦α−アルミナが生成してしまうと、これを完全にAlN化するには高温で長時間の窒化処理が必要であった。
【0004】
特願平8−308754号は、原料のγ−アルミナにCa、Sr、Ba、Y、La、Ceを添加して高熱伝導性AlNを得るものである。しかし、この方法も上記の方法と同様に製造条件によっては、α−アルミナを生成してしまうという問題を有するものであった。
【0005】
さらに、特願平9−174394号は、別の低酸素濃度窒化アルミニウムの製造方法である。この方法は、γ−アルミナ又はその前駆体を炭化水素ガスとアンモニアガスとの混合ガスの中で加熱して比表面積が10m2 /g以上の多孔質アルミニウムを製造し、これを不活性ガス、アンモニアガス、これらの混合ガスなどの中で1600〜2000℃で加熱するものである。しかしながら、この方法でも窒化アルミニウムの製造方法は上記の特願平7−206027号と基本的には異なるものではなく、その製造過程でα−アルミナの生成といった同じような問題を生じる恐れがあった。
【0006】
また、特願平9−298854号は、アルミナにγ−アルミナ又はその前駆体を仮焼してその水分含有率を1重量%以下としたγ−アルミナを用い、上記と同じようにして窒化反応を容易に行うことが出来るようにしたものである。しかしながら、この方法においても加熱温度は1200〜1700℃で上記の特願平7−206027号と基本的には同じで、その製造過程で同じような問題が生じていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、原料にマグネシウムを含有するγ−アルミナを用いることによって、γ−アルミナがAlN化とα−アルミナ化の双方同時に起こる温度領域でも、α−アルミナ化が生じること無くAlN化反応だけが生じるようにして、α−アルミナを生成することなく確実にAlNのみを得ようとするものである。また、従来のAlN化反応温度よりも低温で反応が起こるようになり、α−アルミナ化の反応速度が非常に遅い温度領域でのAlN化反応を可能とするものである。
【0008】
【発明を解決するための手段】
この発明は、水に、水溶性の有機又は無機アルミニウム化合物と、水溶性の有機又は無機マグネシウム化合物を加えた水溶液を混合し、これを乾燥し仮焼して得たマグネシウムを含有するγ−アルミナを、炭化水素ガスを0.5容積%以上含有する炭化水素ガスとアンモニアガスとの混合ガス中で1100〜1700℃で加熱処理して窒化アルミニウムを製造し、次に得られた窒化アルミニウムを不活性ガス、アンモニアガス及びアンモニアガスと不活性ガスとの混合ガスの中のいずれか一種のガス雰囲気で1600〜2000℃で加熱することを特徴とする窒化アルミニウムの製造方法(請求項1)、水溶性の有機又は無機アルミニウム化合物が、塩基性塩化アルミニウム若しくはその水和物、塩化アルミニウム若しくはその水和物、硫酸アルミニウム若しくはその水和物、アルミニウムミョウバン若しくはその水和物、アンモニウムアルミニウム炭酸塩若しくはその水和物、ベーマイト若しくはその水和物及びアルミニウムアルコキシドの中のいずれか一種であることを特徴とする請求項1 記載の窒化アルミニウムの製造方法(請求項2)、水溶性の有機又は無機マグネシウム化合物が、塩化マグネシウム若しくはその水和物、過酸化マグネシウム若しくはその水和物、臭化マグネシウム若しくはその水和物、沃化マグネシウム若しくはその水和物のいずれか一種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の窒化アルミニウムの製造方法(請求項3)、マグネシウムを含有するγ−アルミナが、繊維、微細な粒子、フレークのいずれか一種又は二種以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の窒化アルミニウムの製造方法(請求項4)及びマグネシウムを含有するγ−アルミナの組成が、マグネシウム0.24〜2.40重量%、γ−アルミナ97.60〜99.76重量%であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の窒化アルミニウムの製造方法(請求項5)である。
【0009】
【発明の実施の態様】
この発明は、炭化水素ガスを0.5容積%以上含有する炭化水素ガスとアンモニアガスとの混合ガス中で、γ−アルミナを加熱して窒化アルミニウムを製造するに際し、γ−アルミナに少量のMgを分子レベルで含有させることでAlN化反応の反応性を高め、これによってγ−アルミナのα−アルミナ化反応を防止しAlNのみを確実に得ようとするものである。
【0010】
一般に、γ−アルミナにMgOを添加して加熱するとγ−アルミナのα−アルミナ化の進行を促進することが知られている。この場合は、添加したMgOが一種の焼結助材として作用してアルミナの比表面積の著しい低下をもたらすものである。従って、こうした場合のMgの添加は、アルミナのAlN化の促進には全く寄与しないものである。
【0011】
しかしながら、本発明のようにγ−アルミナにMgを分子レベルで含有させた場合は、アルミナのAlN化が著しく促進されることが、この度の発明者の研究で発見されたものである。そして、γ−アルミナのAlN化が著しく促進されると、反面でγ−アルミナのα−アルミナ化反応が防止されるといった効果が期待できるようになったものである。
【0012】
即ち、γ−アルミナのAlN化とα−アルミナ化の双方が同時に起こり得る1200℃以上の温度で反応をさせても、γ−アルミナにMgを分子レベルで含有させた場合は、アルミナのAlN化が著しく促進されることで、γ−アルミナのα−アルミナ化への反応が防止され、確実にAlNのみを得ることが出来るようになったものである。
【0013】
また、本発明ではAlN化の反応性を高めることが出来たことで、従来の反応温度の下限(1200℃)よりも低い温度でも反応が起こるようになり、その場合はα−アルミナ化の反応速度が非常に遅い温度でのAlN化反応が可能となって、α−アルミナの生成が一層防止できるようになったものである。さらに、γ−アルミナのAlN化反応性が向上したことで反応速度も従来に比較して速く出来るようになったものである。
【0014】
本発明において、γ−アルミナにMgを分子レベルで含有させるとは次のような意味である。即ち、γ−アルミナはMgAl2 O3 に代表されるように、スピネル構造のうちMgの位置の一部が空孔となっていて欠損スピネルともいわれるものである。このような欠損の存在が、高い比表面積やAlN化反応の源となっていると考えられた。そこで発明者は、γ−アルミナのAlN化反応の反応性を高めるためには、γ−アルミナの空孔の一部にMgを入れておいて、高温までスピネル構造を保持しておくことが有効であると考えたものである。このように、γ−アルミナの空孔の一部にMgを入れることがγ−アルミナにMgを分子レベルで含有させることの意味である。
【0015】
γ−アルミナにMgを分子レベルで含有させるには、水にγ−アルミナ源として塩基性塩化アルミニウムや塩化アルミニウムなどの水溶性の有機又は無機アルミニウム化合物と、Mg源として塩基性塩化マグネシウムなどの水溶性の有機又は無機マグネシウム化合物を添加した水溶液を混合すると、AlとMgがイオンの状態となり分子レベルで分散し、この分散液を乾燥してさらに仮焼してマグネシウムを含有したγ−アルミナを生成させるものである。
【0016】
水溶性の有機又は無機アルミニウムは、上記の塩基性塩化アルミニウムの外に、その水和物、塩化アルミニウム若しくはその水和物、硫酸アルミニウム若しくはその水和物、アルミニウムミョウバン若しくはその水和物、アンモニウムアルミニウム炭酸塩若しくはその水和物、ベーマイト若しくはその水和物、アルミニウムアルコキシドなどがある。
【0017】
また、水溶性の有機又は無機マグネシウム化合物としては、上記の塩化マグネシウムの外に、その水和物、過酸化マグネシウム若しくはその水和物、臭化マグネシウム又はその水和物、沃化マグネシウム若しくはその水和物などである。
【0018】
マグネシウムを含有するγ−アルミナの組成は、マグネシウム0.24〜2.40重量%、γ−アルミナ97.60〜99.76重量%とする。Mgが0.24重量%未満ではMg含有によりAlN化反応の反応性が向上しα−アルミナ化への反応は防止されるものの、反応性を大きく向上させることはできない。
【0019】
Mgが2.4重量%を超えると、生成したAlNを1600〜2000℃で加熱処理して酸素を低減させる低酸素化処理の際に、窒化アルミニウムの結晶成長が阻害されるため、酸素含有率が1重量%以下と酸素量の極めて低い窒化アルミニウムを得るためには高温、長時間の加熱が必要となり好ましくない。
【0020】
仮焼温度ではMgは揮発しないため、水溶性MgをMg換算で0.24〜2.40重量%添加することによって、Mg0.24〜2.40重量%、γ−アルミナ97.60〜99.76重量%のマグネシウムを含有するγ−アルミナが得られる。
【0021】
窒化処理の雰囲気ガスでは、炭化水素の含有量を0.5容積%以上としたのは、これが0.5容積%未満では炭化水素ガスの分圧が低く窒化反応の進行が遅くなるからである。窒化処理温度は1100〜1700℃とする。処理温度の下限は従来の処理温度より100℃低い1100℃とすることが可能である。これは原料にマグネシウムを含有するγ−アルミナを用いたことによって、γ−アルミナのAlN化反応の反応性が高められ、処理温度の低下が可能となったものである。処理温度の上限は1700℃まで可能であるが、1400℃以下とすればより低コストとなる。
【0022】
この発明では、γ−アルミナを繊維、微細な粒子、フレークのいずれか一種又は二種以上とすることが出来る。これらは例えば次のようにして行われる。水に出発原料として、水溶性アルミニウム化合物、水溶性マグネシウム化合物、バインダーとしてポリビニールアルコール、コロイド状シリカなどを加えて攪拌してからエバポレータで濃縮し、高濃度の水溶液とする。
【0023】
次に、この粘稠液を遠心紡糸機に入れ回転する。この場合、紡糸機のノズル孔の径、形状、回転速度、紡糸液の粘度などの調整によって繊維、微細粒子、フレーク或いはこれらの混合物とすることが出来る。上記のアルミナ繊維、微細な粒子、フレークは、その後これを1100℃以下で仮焼することによって得られる。この仮焼物を1100〜1700℃で窒化処理して窒化アルミニウムとする。
【0024】
ここにおける仮焼温度を1100℃以下としたのは、1100℃を超えるとごく少量のα−アルミナが生成する恐れがあるためである。300〜1100℃で仮焼を行うと、得られるγ−アルミナ繊維の含有水分量を外率で1重量%未満とすることができ窒化反応を促進することができる。
【0025】
上記で得られた窒化アルミニウムは、この後これを不活性ガス、アンモニアガス、アンモニアガスと不活性ガスとの混合ガスの中のいずれか一種のガス雰囲気で、1600〜2000℃で加熱処理することによって結晶成長が行われ、比表面積が小さくなり、含有酸素を低減した熱伝導率の高い窒化アルミニウムとすることが出来る。ここにおける加熱温度が1600℃未満では窒化アルミニウム結晶の成長が十分でなく比表面積が十分に小さくならず、低酸素化が十分に行われない。また、2000℃を超える加熱処理は行う必要はない。1700〜1800℃で加熱処理をすれば短時間に低コストで低酸素化することができる。
【0026】
【実施例】
(実施例1,比較例1)
Al含有量がAl2 O3 換算で23.5重量%の塩基性塩化アルミニウム水溶液400gに、10重量%のポリビニルアルコール水溶液858gと40重量%のMgCl2 ・6H2 Oの水溶液164gを添加し混合したのちロータリーエバポレータで濃縮し、粘度を20℃で30ポイズの粘稠液とした。
【0027】
次に、これを紡糸機に入れて乾燥した100℃の空気を満たした室内で2000r.p.m.で回転し、遠心紡糸機の外周に設けた小孔から繊維を押出して短繊維を紡糸した。この短繊維を900℃で2時間仮焼して水分含有率が外率で0.5重量%のγ−Al2 O3 の短繊維とした。このγ−Al2 O3 の短繊維の組成を原子吸光法により化学分析したところ、Mg0.83重量%、γ−アルミナ99.17重量%であった(実施例1)。
【0028】
また、上記方法でMgCl2 ・6H2 Oを添加しない従来のγ−Al2 O3 繊維を比較例1とした。これらのMg含有品(実施例1)とMg無添加品(比較例1)のγ−Al2 O3 の短繊維それぞれ10gを、LPGガスを2容積%含むアンモニア雰囲気下で1000〜1400℃の範囲内で窒化処理を行い、X線回折法によってAlN化の挙動を調査した。その結果を表1に示した。
【0029】
【表1】
【0030】
表1に示すように、Mgを含有したγ−アルミナを窒化処理して生成したAlNは、Mg無添加のγ−アルミナを窒化処理して生成したものと比較して、AlN化反応開始温度が約100℃低下した。このことから、Mgを含有させることがAlN化反応の反応性を大きく向上させることが分かる。
【0031】
(実施例2,比較例2)
実施例1、比較例1と同様のMg含有品(実施例2)とMg無添加品(比較例2)のγ−アルミナを用い、サンプル量(処理するγ−アルミナ量)を5〜30gの間で変化させて、直径90mmの炉芯管中で、アンモニア1000cc/min、LPG20cc/minの条件でガスを供給し、1200度で窒化処理を行いX線回折法で生成相を調査した。この結果を表2に示した。
【0032】
【表2】
【0033】
表2に示すように、Mgを含有したγ−アルミナを窒化処理した場合は、サンプル量が増加しても確実にAlN相のみが得られた(実施例2)。これに対し、Mg無添加品のγ−アルミナを窒化処理した場合は、サンプル量が増加するに従ってAlN相のみでなくα−アルミナ相が生成し、α−アルミナ相のピークの方が強くなった(比較例2)。これは恐らくサンプル量が増加したために反応ガスの供給が不十分となったためではないかと考えられる。
【0034】
このことから、Mgを含有させることによりAlN化反応が著しく促進され、α−アルミナ化が防止され確実にAlNのみを得られることが分かる。この理由を知るために、実施例1,比較例1で用いた窒化反応前のγーアルミナ、各種処理温度で処理して生成したものの比表面積をBET法で測定した。その結果を表3に示した。
【0035】
【表3】
【0036】
表3に示すように、窒化反応に大きく関わる比表面積については、Mg含有品とMg無添加品とで大きな違いは認められなかった。
【0037】
(実施例3,比較例3)
実施例1、比較例1と同様のMg含有品(実施例3)とMg無添加品(比較例3)のγ−アルミナ10gを用い、処理温度を1200℃とし、実施例1と同じ条件で窒化処理を行い、窒化処理時間と酸素含有率の関係を調査した。
【0038】
ここで、酸素含有率の低下はAlN化反応が進行したことを示すが、窒化処理の段階では比表面積が大きく、酸素含有率を5〜6%程度まで低減させることが限界であるため、酸素含有率が6%となるまでに要した窒化処理時間を表4に示した。
【0039】
【表4】
【0040】
表4に示すように、Mgを含有したγ−アルミナを窒化処理した場合は、酸素含有率を6%程度まで低減させるのに80分しかかからなかった(実施例3)。これに対し、Mg無添加品のγ−アルミナを窒化処理した場合は、130分もかかった(比較例3)。このことから、Mgを含有させることによりAlN化反応性が高まり、反応速度が著しく速くなったことが分かる。
【0041】
(実施例4)
実施例1と同様の方法でMgの含有率を変化させたγ−アルミナの短繊維とし、実施例1と同様の条件で1100℃で2時間窒化処理を行いX線回折法によってその生成相を調査した。その結果を表5に示した。
【0042】
【表5】
【0043】
表5に示すように、Mgの含有率が0.24重量%未満ではAlN化反応の反応性向上が不十分で1100℃、2時間の窒化処理ではAlON相となっている。
【0044】
(実施例5)
実施例4で得られたAlN(Mgの含有率が0.24重量%以上添加したもの)について、窒素雰囲気中1700℃で2時間加熱処理を行いAlNの低酸素化処理を行った。このものの比表面積と酸素含有率を測定した。その結果を表6に示した。
【0045】
【表6】
【0046】
表6に示すように、Mg含有率を3.60重量%まで増加させると低酸素化処理におけるAlNの結晶成長が阻害され、酸素含有率を1.0重量%以下とすることができなかった。この場合でもさらに高温、長時間の低酸素化処理を行えば比表面積及び酸素含有率が低下するが、コストアップとなって有効でない。以上のことから、Mg含有率を0.24〜2.4重量%の範囲とすることが好ましいことが分かる。
【0047】
(実施例6)
純水300ccに硫酸アルミニウム18水和物(Al2 (SO4 )3 ・18H2 O)を13.3gと硫酸マグネシウム(MgSO4 )0.45gを溶かし、よく攪拌した後にロータリーエバポレータで水分を除去し白色の粉末を得た。さらに、この粉末を120℃の乾燥機で乾燥した後、900℃で2時間仮焼して水分含有率が外率で0.5重量%のγ−アルミナ粉末とした。この仮焼粉の組成を原子吸光法により化学分析したところ、Mg1重量%、γ−アルミナ99重量%であった。この仮焼粉20gをアンモニア1000cc/min、LPG20cc/minの雰囲気で1100℃で3時間の窒化処理を行いAlN化させた。ここに生成した粉末をX線回折で調べたところAlNのみが検出された。
【0048】
このAlN粉末を窒素雰囲気中で1800℃、2時間の低酸素化処理を行った。生成後の粉末の酸素含有率を酸素・窒素同時分析装置で測定したところ、0.4重量%であった。また、SEMで粒子の形態を観察したところ、直径が5〜15μm程度の球状の粒子であった。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば原料にマグネシウムを含有するγ−アルミナを用いることによって、α−アルミナ化への反応を防止し、AlN化とα−アルミナ化の双方が同時に起こり得る温度で窒化処理を行っても確実にAlNのみを得ることができるようになったものである。
【0050】
さらに、γ−アルミナのAlN化反応の反応性を高めることによって、従来のAlN化反応温度よりも低温のα−アルミナ化の反応速度が非常に遅い温度領域でAlN化反応が可能なようにすることも出来て、α−アルミナを生成することなく確実にAlNのみを得ることが出来るようになったものである。
Claims (5)
- 水に、水溶性の有機又は無機アルミニウム化合物と、水溶性の有機又は無機マグネシウム化合物を加えた水溶液を混合し、これを乾燥し仮焼して得たマグネシウムを含有するγ−アルミナを、炭化水素ガスを0.5容積%以上含有する炭化水素ガスとアンモニアガスとの混合ガス中で1100〜1700℃で加熱処理して窒化アルミニウムを製造し、次に得られた窒化アルミニウムを不活性ガス、アンモニアガス及びアンモニアガスと不活性ガスとの混合ガスの中のいずれか一種のガス雰囲気で1600〜2000℃で加熱することを特徴とする窒化アルミニウムの製造方法。
- 水溶性の有機又は無機アルミニウム化合物が、塩基性塩化アルミニウム若しくはその水和物、塩化アルミニウム若しくはその水和物、硫酸アルミニウム若しくはその水和物、アルミニウムミョウバン若しくはその水和物、アンモニウムアルミニウム炭酸塩若しくはその水和物、ベーマイト若しくはその水和物及びアルミニウムアルコキシドの中のいずれか一種であることを特徴とする請求項1記載の窒化アルミニウムの製造方法。
- 水溶性の有機又は無機マグネシウム化合物が、塩化マグネシウム若しくはその水和物、過酸化マグネシウム若しくはその水和物、臭化マグネシウム若しくはその水和物、沃化マグネシウム若しくはその水和物のいずれか一種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の窒化アルミニウムの製造方法。
- マグネシウムを含有するγ−アルミナが、繊維、微細な粒子、フレークのいずれか一種又は二種以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の窒化アルミニウムの製造方法。
- マグネシウムを含有するγ−アルミナの組成が、マグネシウム0.24〜2.40重量%、γ−アルミナ97.60〜99.76重量%であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の窒化アルミニウムの製造方法。
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