JP3924864B2 - 回折格子ディスプレイ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画素(セル)を構成単位とするディスプレイに関する。
特に、画素(セル)となる回折格子がバイナリー回折格子(回折光の振幅もしくは位相の2値で表現される回折格子)であり、回折格子内の各位置での「格子周期に対する格子幅の比」が、回折格子面の少なくとも1方向について、中心部から周辺部へ向かって変化している回折格子セルを有する回折格子ディスプレイに関する。
【0002】
【従来の技術】
画素となるセルの集まりによって構成されるディスプレイには、各種のタイプがある。
このうち、セルが回折格子からなり、回折格子セルからの回折光(特に、1次回折光)によって画像を表示するタイプのディスプレイとして、本出願人による特開平2−72320号公報などが公知である。
【0003】
従来の回折格子ディスプレイでは、セルとして、図1に示すような、セル内では「格子周期に対する格子幅の比」が変化しない単純な回折格子が用いられており、回折格子セルからの1次回折光の強度分布は、セル平面では、図2に示す矩形関数のグラフで表されることになる。
【0004】
すなわち、1次回折光の強度分布が、セル平面では、セルの範囲内で一定(セルの位置に応じて強度分布が変化することはない)であり、1次回折光の強度分布は、図2のような矩形関数で表される。
【0005】
上記の強度分布は、セル面におけるセルの範囲内(図2の、−dから+d)で当てはまる説明であり、ディスプレイを観察する距離とセルのサイズとの関係によっては、以下のように事情が変わることになる。
【0006】
下式のように定義するフレネル数(N)で、N<<1の条件での観察状態がフラウンホーファー領域に相当する。それ以外の条件での観察状態はフレネル領域に相当する。「N<<1」は、「Nが1よりもずっと小さい」ことを意味する。一般には、数倍以上の差があれば良い。
何れの領域においても、(位相変調量の分布が変化しない)単純な回折格子セルからの1次回折光の強度分布は、フレネル数に対して一義的に決定される。
【0007】
【数1】
Figure 0003924864
【0008】
尚、上式において、セルから出射する光が球面波の位相を有する場合には、観察距離の値に、球面波の収束点あるいは発散点の距離を考慮する必要がある。
【0009】
観察状態がフラウンホーファー領域(一般に、セルのサイズが小さい場合)にあたる場合、セルでの回折の影響で、1次回折光は広がることになる。
すなわち、一つ一つのセルでの光強度分布は、周辺部でノイズ成分を伴うものとなり、セル間でのクロストークとなる。
【0010】
観察状態がフレネル領域にあたる場合でも、上記と同様に、セルからの1次回折光は、各周辺部でノイズ成分を伴うと共に、各中心部では光強度が激しく変化したものとなる。
【0011】
セル内で「格子周期に対する格子幅の比」が変化しない単純な回折格子であり、上記2種類の観察状態では、周辺部でノイズ成分を伴うことになる1次回折光の光強度分布(波形)の一例を、図3に示す。
同図は、左側の図が、回折格子セルに光を入射させて1次回折光を出射させる状態を概念的に表し、右側の図(上下に3種類)が、1次回折光の光強度分布(波形)の種々の例を表す。周辺部でノイズ成分を伴う従来技術は、中段の波形で示される。
【0012】
また、セルのサイズがある程度大きい場合には、1次回折光により表示される画像を観察することが可能な範囲が極めて限定されてしまう。
この際、ディスプレイから出射する1次回折光に散乱性を持たせれば広い範囲から観察することが可能となるが、視域を自由に設定することが難しくなる。
【0013】
図4に示すような既存のディスプレイでは、セルに入射させる照明光は、ディスプレイを介して観察者とは反対側からのバックライトによる照明光であり、セルでの回折の影響で、結果的に1次回折光が広がる現象が見られることはあるが、意図的に出射する光を発散光とする工夫がなされた提案は、現在のところ報告されていない。
【0014】
尚、照明光が回折格子セルを介して観察者と反対側から入射し、表示光(1次回折光)が観察者側に透過回折して出射するような、上記の形態に限らず、
本発明は、照明光が回折格子セルに対して観察者側から入射し、観察者側に反射回折して出射するような形態も包含するものである。
【0015】
このように、従来のセルからの1次回折光の不均一さに起因して、ディスプレイを観察すると、観察者の視点位置によりディスプレイの明るさが変化したり、ディスプレイ面に明暗の縞が観察されるという問題が起こる。
【0016】
上記のような単純な回折格子セルを画素とするディスプレイで、観察する方向に応じて視差を持つ異なる2次元画像を視覚させることによって、立体感のある画像表示を行なわせる工夫がなされた提案が、本出願人による特開平3−206401号公報・特開平4−311916号公報などで報告されているが、1次回折光が各周辺部でノイズ成分を伴うことに起因する「セル間でのクロストーク」の解決を図った提案は、現在のところ報告されていない。
【0017】
上記ディスプレイ(図4参照)では、本来、視覚するべき2次元画像を構成する画素を、対応するセルからのメインローブ(特定セルからの1次回折光が到達する領域に瞳が位置し、そのセルを視覚した状態)における1次回折光を、クロストークによって鮮明に視覚できないことになる。
そればかりか、隣のセルからの1次回折光による画素も混合して視覚することになり、立体感のある画像表示の上では致命的な問題となる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、セルからの1次回折光が、各周辺部でノイズ成分を伴わないようにし、観察状態が、フラウンホーファー領域・フレネル領域のいずれにあたる場合であっても、セル間でのクロストークを回避し、ディスプレイを安定に(視点位置により明るさが変化せず、明暗の縞が観察されないように)視覚させることを主な目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ディスプレイを構成する画素となる回折格子(バイナリー回折格子)からなるセルからの1次回折光が、セル面の少なくとも1方向について、セルの中心部から周辺部へ向かって低くなるような強度分布を有するように、回折格子セル内の各位置での「格子周期に対する格子幅の比(以下、前記比と称する)」を変化させることを特徴とする。
即ち、回折格子内の各位置での格子周期に対する格子幅の比が、回折格子面の少なくとも1方向について、中心部から周辺部へ向かって、格子周期:格子幅=2:1からずれる方向に減少していることを特徴とする回折格子ディスプレイである。
【0020】
請求項2の発明は、
回折格子セル内の各位置での前記比が、回折格子面の1方向では、回折格子面の1方向では、中心部から周辺部へ向かって、格子周期:格子幅=2:1からずれる方向に減少しており、それと直交する方向では、中心部から周辺部へ向かって一定であることを特徴とする。
【0021】
回折格子セル内の各位置での前記比が減少する方向は、作製するディスプレイに応じて、観察者に対して水平(または、垂直)とすることができる。
【0022】
請求項5の発明は、
回折格子セル内の各位置での前記比が、中心部から周辺部へ向かって変化する回折格子面の方向で、
前記比が、中心部から周辺部へ向かってなだらかに減少することを特徴とする。
【0023】
請求項6の発明は、
回折格子セル内の各位置での前記比が、中心部から周辺部へ向かって変化する回折格子面の方向で、
前記比が、中心部近傍では一定であり、中心部から離れた位置から周辺部へ向かって減少していることを特徴とする。
【0024】
請求項7の発明は、
回折格子セルが、球面波状の位相分布を有する1次回折光を出射することを特徴とする。
球面波状の位相分布としては、作製するディスプレイに応じて、収束球面波状としたり、発散球面波状としたり、適宜に選択される。
【0025】
上記ディスプレイにおいて、立体感を持つ表示を行なうために、請求項13の発明は、
球面波状の位相分布を有する1次回折光を出射するセル状の回折格子を、観察する方向に応じて視差を持つ異なる2次元画像の枚数に応じて複数に領域分割した各々を画素単位であるサブセルとし、
観察者に対して、サブセル面の少なくとも水平方向について、回折格子内の各位置での格子周期に対する格子幅の比が、中心部から周辺部へ向かって減少しており、
各サブセルが、視差を有する複数枚の2次元画像を構成する画素とすることにより、立体画像を表示することを特徴とする。
【0026】
<作用>
バイナリー回折格子からの1次回折光の回折効率は、格子周期に対する格子幅の比に依存する。
バイナリー回折格子が「位相型回折格子」の場合には、光が回折格子に入射してから出てくるまでの光路長(光学的に光の進んだ長さ)の長い部分と短い部分とで格子が形成されることになるが、それぞれの部分の幅の比が1:1のとき、すなわち格子周期に対してそれぞれの部分の幅が1/2のときに、1次回折光の回折効率が最大となる。
【0027】
前記比が減少(あるいは増加)するにつれ、この回折格子からの1次回折光の回折効率は減少する。例えば、表面レリーフ型の回折格子では、回折格子の周期に対する回折格子の谷の部分あるいは山の部分の幅により、回折格子からの1次回折光の回折効率が変化する。屈折率変調による回折格子も屈折率により光路長が変化することを考えると、表面レリーフ型の場合と全く同様に扱える。
【0028】
バイナリー回折格子が「振幅型回折格子」の場合は、遮光部分と光を透過(あるいは反射)する部分とで格子が形成されることになるが、この場合も同様に、それぞれの部分の幅の比が1:1のとき、すなわち格子周期に対してそれぞれの幅が1/2のときに、1次回折光の回折効率が最大となる。
前記比が減少(あるいは増加)するにつれ、この回折格子からの1次回折光の回折効率は減少する。
【0029】
従って、回折格子セル内の中心部で前記比が2:1の場合には、前記比を、セルの中心部から周辺部へ向かって低くしても高くしても、1次回折光の回折効率(すなわち、1次回折光の強度)は、セルの中心部から周辺部へ向かって低下することになる。
このことにより、セルからの1次回折光が、セル面の少なくとも1方向について、セルの中心部から周辺部へ向かって低くなるような強度分布を有するように制御することも可能である。
図9に、本発明による回折格子セル(2値位相の回折格子の場合)の中心部と周辺部での位相分布を示す。同図上が中心部(格子周期:格子幅=2:1)であり、同図下が周辺部(前記比が2:1からずれる場合)である。
【0030】
以上のことから、
回折格子セルにおける前記比が、中心部から周辺部へ向かって小さくなるように変化する方向に対して、個々のセルからの1次回折光の周辺部(特に、セルの幾何光学的な像よりも外側の部分)での強度を小さくすることができ、クロストークの原因となる周辺部のノイズ光が抑えられる。
【0031】
また、1次回折光の分布のメインローブ(特に、セルの幾何学的な像よりも内側の部分)内での均一性が向上する。
ここで、セル面の2方向(X方向,Y方向)に対して、前記比を変化させた場合には、上記2方向に1次回折光の分布を均一にすることができるため、観察者にとって、ディスプレイの上下方向・左右方向共に、メインローブ内での均一性が向上する。(請求項1)
【0032】
セル面の1方向(X方向,Y方向の何れか一方)についてのみ、前記比を変化させ、それと垂直な方向については、前記比を均一にした場合には、
2方向について変化させる場合よりも、セルから1次回折光が出射する割合が高くなり、光の利用効率が上がることになるため、ディスプレイの明るさが向上する。(請求項2)
【0033】
一般的に、観察者の視点の移動方向は水平方向が多いため、この方向に前記比を変化(中心部から周辺部へ向かって低くなるように)させれば、観察者の移動に対し、明るさの変化の少ないディスプレイとなる。(請求項3)
【0034】
中心部から周辺部へ向かって低くなるように、回折格子の前記比を変化させる場合、
中心部から周辺部へ向かってなだらかに低くなるように(図7のような波形)しても良いが、(請求項5)
中心部付近では一定の最大値であり、中心部からある程度離れた位置から周辺部へ向かって低くなるように(図8に示す台形状の波形)すると、セルへの入射光を高効率で1次回折光として寄与させることができ、ディスプレイの明るさが向上する。(請求項6)
【0035】
セルから出射する1次回折光が、球面波状の位相分布を有するようにすることで、セルのサイズに依存せず、出射する1次回折光を任意の範囲に拡げることができる。(請求項7)
【0036】
ディスプレイの特定方向での視域(表示画像を観察可能な角度範囲)を限定する際、セルからの1次回折光に球面波状の位相分布を付与することが有効であるが、前記の範囲内での1次回折光の分布が、その方向では不均一になりやすい。しかし、上記方向と一致する方向に各セルの透過率もしくは反射率を変化させている場合には、上記方向での1次回折光の強度を均一にし、また、前記の範囲外への不要な光(ノイズ光)を減少させることが可能である。
この場合でも、観察者の視点の移動方向は水平方向が多いため、上記特定方向としては、水平方向が一層有効である。(請求項8)
【0037】
球面波状の位相分布としては、セルからの1次回折光が、特定位置から発散すれば良いから、特定焦点に集光した後発散するような「収束球面波状」でも始めから発散するような「発散球面波状」であっても良い。(請求項9,10)
【0038】
本発明を、立体感のある画像表示を行なうディスプレイに応用する場合には、クロストークによって、隣のセルからの1次回折光による視差を持つ画素も混合して視覚するという致命的な問題が回避され、鮮明な立体画像を視覚することができる。(請求項13)
【0039】
【発明の実施の形態】
本発明は、画素である回折格子セル内での回折格子の「格子周期に対する格子幅の比」を、少なくとも1方向について、中心部から周辺部へ向かって変化させることにより、メインローブ内での出射光の強度を均一にし、メインローブの外側でのノイズ光を減少するディスプレイである。
【0040】
前記比の変調に依存して回折効率が変化することは前述したが、回折光の強度分布は、その平方根である振幅分布と関連する。
本発明の回折格子セルにおける前記比の変化に依存して生じる1次回折光の振幅分布についての数学的な表現としては、sinc関数、Bartlett窓関数、一般化Hamming 窓関数などが例示される。
【0041】
【数2】
Figure 0003924864
【0042】
【数3】
Figure 0003924864
【0043】
【数4】
Figure 0003924864
【0044】
上式において、回折格子セルが円形の場合、xはセル中心からの距離であり、回折格子セルが矩形の場合、xは矩形の任意の辺に垂直な軸をとり、開口中心を0とした座標である。
尚、Tはセルの大きさ(円形セルの場合は直径、矩形セルの場合は1辺の長さ)であり、−T/2≦x≦T/2の範囲の値をとる。
【0045】
一般化Hamming 窓関数においては、αにより関数の形を最適化できるが、α=0.5や0.54が一般的である。
【0046】
セル直後において、セルの中心部の振幅分布を一定にし、中心部から離れた位置から周辺部へ向かって減少するように(波形を台形状に)した場合は、台形関数に相当する。
ただし、本発明においては、台形関数として斜辺部は直線とは限らないものとする。(すなわち、中心付近で一定値をとり、その両側でなだらかに減少するような関数を台形関数と称することとする)
【0047】
なお、ここではセルからの1次回折光の振幅関数として、代表的ないくつかの関数をあげたが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0048】
上記の関数のフーリエ変換は、矩形関数のフーリエ変換に比べて、その振幅の値が周辺部で著しく小さくなることは知られている。
フーリエ変換は、光学系においては、平行光状の位相を持つ任意の振幅分布についてのフラウンホーファー領域(十分遠方)における回折光分布の計算と等価である。
すなわち、これらの関数を振幅分布とする1次回折光のフラウンホーファー領域における分布は、周辺部での強度が著しく小さいことになる。
【0049】
セルからの1次回折光が、球面波状の位相分布を有する場合、通常の観察条件(観察者とディスプレイとの距離が30cm〜1m程度)においても、1次回折光の分布が、セルの直後における振幅分布のフーリエ変換とは異なってしまい、一層不均一になりやすい。
この際、セルの振幅率が変化していると、1次回折光の分布を均一にすることができると共に、1次回折光の強度分布を周辺部において小さくすることができる。
【0050】
上記のように、セル内における回折格子の前記比の変調によりセル直後における1次回折光の振幅分布を変化させた場合、セル直後における1次回折光が、球面波状の位相分布を有する場合であっても、周辺部での強度を小さくできる。
ただし、球面波状の位相分布を有する場合には、矩形関数で表されるセルでは、メインローブでの1次回折光分布の不均一さが顕著になりやすいのに対し、上述のような本発明のセルでは、1次回折光の強度分布が均一になる傾向がある。
本発明による回折格子セルの一例を図6に示す。
また、本発明による回折格子セルからの、セル平面における1次回折光の強度分布の例を図7,8のグラフに示す。図7はセルの中心部から周辺部へ向かって強度がなだらかに減少する波形であり、図8は台形状の波形である。
【0051】
1次回折光に、球面波状の位相分布を持たせる手段としては、
(1)回折格子を曲線で構成する。(例えば、ゾーンプレートの一部を回折格子として用いる)
(2)1次回折光を発生させるための照明光を、平行光ではなく球面波状の位相分布を持つ光(例えば、点光源からの発散光)とする。
などがある。
【0052】
セル直後の1次回折光の振幅分布が台形関数の場合、1次回折光の強度分布が周辺部で減少を伴ったまま、中心部での強度を上げることができ、入射光の利用効率を上げることができるため、一層効果的である。
ただし、台形の斜辺部を小さくし過ぎる(矩形に近くする)と、セルからの1次回折光の強度分布が周辺部で上がり、効果が小さくなる。具体的には、例えばセルの大きさが50μmのとき、台形の斜辺部が10μm程度(上辺が30μmのような台形)なら、十分な効果がある。
【0053】
上記のような回折格子セルを画素とするディスプレイでの画像表示においては、従来のディスプレイと同様に、各画素(セル)への入射光(照明光)の強度や波長を変化させたり、あるいは画素毎にセルのサイズや位相変調量の最大値を変化させるなどにより、画像を表示すればよい。
【0054】
セル内で前記比を変化させる方向は、観察者に対して水平および/または垂直とすることができる。
【0055】
通常、ディスプレイを視覚する場合には、観察者の視点位置は、垂直方向には比較的狭い範囲に限定できる。(水平方向での観察者の移動に比べて、体格差・観察する姿勢による変位が少ないため)
そこで、1次回折光について、垂直方向に球面波状の位相分布を持たせるようにすると、その方向での光の利用効率を高くできる。
しかし、1次回折光の分布が不均一になりやすく、このため、セル内で、観察者に対して垂直方向で前記比を変化させることによって、1次回折光の分布を均一にすることができる。
同様のことが、水平方向についても当てはまる。
【0056】
球面波状の位相分布として、収束球面波状とすることにより、収束位置近辺に配置した別の素子(例えば、波長選択用のフィルターなど)へ、セルからの1次回折光を入射させることが容易になる。特に、その素子がディスプレイの画素と同様の配列である場合には非常に有効である。
【0057】
球面波状の位相分布として、発散球面波状とすることにより、照明光源からの入射光が画素(セル)を通過する前に、入射光の収束点に相当する場所がある場合には、この位置(収束点に相当する場所)に前述のような別の素子を配置することが可能である。
【0058】
このようなディスプレイで、両眼視差により立体感を伴う表示を行なうには、球面波状の位相分布を有する光を出射するセルを、観察者に対して水平方向(左右の眼が並ぶ方向)に複数に領域分割して、それぞれをサブセルとする。
領域分割する数は、視差を有する2次元画像の枚数に応じることになる。
上記ディスプレイを図5に概念的に示す。同図では、サブセル(視差を有する2次元画像)は4種類である。
【0059】
各サブセルを、観察する方向に応じて視差を持つ異なる2次元画像を構成する画素とすることで、ディスプレイが立体感のある画像表示を行なうことについての詳細は、前述の本出願人による特開平3−206401号公報・特開平4−311916号公報などに記載されている。
【0060】
各サブセルは、それぞれ少なくとも1方向(少なくとも、観察者に対して左右の眼が並ぶ水平方向)について、前記比が、中心部から周辺部へ向かって低く変化しており、各々が、上記の2次元画像を構成する画素単位となる。
【0061】
サブセルを適正に配置して、ディスプレイとすることにより、観察する方向に応じて視差を持つ異なる2次元画像を視覚させることができ、立体感のある画像表示を行なわせることが可能となる。
【0062】
このとき、本発明のディスプレイにおいては、各視差画像に対する視域内(上記のメインローブに相当)では1次回折光の強度分布が均一になりる。
さらに、観察者に対し水平方向に前記比を変化させているとき、他の視域から観察されるべき視差画像が重複して観察されてしまう「クロストーク(上記のメインローブの外側のノイズ光に相当)」が減少するため、より高品位な立体画像を表示できる。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のディスプレイでは、個々の画素(回折格子セル)からの出射光である1次回折光の強度を周辺部において小さくすることができる。
従って、観察者の視点位置に依存するディスプレイの明るさの変化が少なく、ディスプレイ面に明暗の縞なども現れない、均一な画像の表示が可能である。
特に、観察者に対して(両眼の並ぶ)左右方向に、各画素からの出射光の強度を周辺部において小さくし、かつ、出射光に球面波の位相を付与している場合には、各画素からの出射光によるクロストークが回避されると共に、各出射光分布のメインローブでの均一性が向上するため、立体感のある画像表示を行なわせる上で有効である。
【0064】
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の回折格子セルを示す説明図。
【図2】従来の回折格子セルからの1次回折光の強度分布(セル平面での)を示すグラフ。
【図3】従来の回折格子セルからの、周辺部でノイズ成分を伴うことになる1次回折光の光強度分布(波形)の一例を示すグラフ。
【図4】回折格子ディスプレイの一例を概念的に示す説明図。
【図5】立体表示の可能な回折格子ディスプレイを示す説明図。
【図6】本発明の回折格子セルの一例を示す説明図。
【図7】本発明の回折格子セルからの1次回折光の強度分布(セル平面での)の一例を示すグラフ。
【図8】本発明の回折格子セルからの1次回折光の強度分布(セル平面での)の一例を示すグラフ。
【図9】本発明の回折格子セルの中心部と周辺部での格子周期と格子幅との比の変化を示す説明図。

Claims (13)

  1. 回折格子を画素として構成されるディスプレイにおいて、
    回折格子がバイナリー回折格子であり、
    回折格子内の各位置での格子周期に対する格子幅の比が、回折格子面の少なくとも1方向について、中心部から周辺部へ向かって、格子周期:格子幅=2:1からずれる方向に減少していることを特徴とする回折格子ディスプレイ。
  2. 回折格子を画素として構成されるディスプレイにおいて、
    回折格子がバイナリー回折格子であり、
    回折格子内の各位置での格子周期に対する格子幅の比が、回折格子面の1方向では、中心部から周辺部へ向かって、格子周期:格子幅=2:1からずれる方向に減少しており、それと垂直な方向では、中心部から周辺部へ向かって一定であることを特徴とする回折格子ディスプレイ。
  3. 回折格子内の各位置での格子周期に対する格子幅の比が減少する方向が、観察者に対して水平であることを特徴とする請求項2に記載の回折格子ディスプレイ。
  4. 回折格子内の各位置での格子周期に対する格子幅の比が減少する方向が、観察者に対し
    て垂直であることを特徴とする請求項2に記載の回折格子ディスプレイ。
  5. 回折格子内の各位置での格子周期に対する格子幅の比が、中心部から周辺部へ向かって変化する回折格子面の方向で、
    前記比が、中心部から周辺部へ向かってなだらかに減少していることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の回折格子ディスプレイ。
  6. 回折格子内の各位置での格子周期に対する格子幅の比が、中心部から周辺部へ向かって変化する回折格子面の方向で、
    前記比が、中心部近傍では一定であり、中心部から離れた位置から周辺部へ向かって減少していることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の回折格子ディスプレイ。
  7. 回折格子が、球面波状の位相分布を有する1次回折光を出射することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の回折格子ディスプレイ。
  8. 回折格子内の各位置での格子周期に対する格子幅の比が、中心部から周辺部へ向かって減少する回折格子面の方向においてのみ、回折格子が球面波状の位相分布を有する1次回折光を出射することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の回折格子ディスプレイ。
  9. 球面波状の位相分布が、収束球面波状であることを特徴とする請求項7または8に記載の回折格子ディスプレイ。
  10. 球面波状の位相分布が、発散球面波状であることを特徴とする請求項7または8に記載の回折格子ディスプレイ。
  11. バイナリー回折格子が振幅型回折格子であることを特徴とする請求項7または8に記載の回折格子ディスプレイ。
  12. バイナリー回折格子が位相型回折格子であることを特徴とする請求項7または8に記載の回折格子ディスプレイ。
  13. 球面波状の位相分布を有する1次回折光を出射するセル状の回折格子を、観察する方向に応じて視差を持つ異なる2次元画像の枚数に応じて複数に領域分割した各々を画素単位であるサブセルとし、
    観察者に対して、サブセル面の少なくとも水平方向について、回折格子内の各位置での格子周期に対する格子幅の比が、中心部から周辺部へ向かって減少しており、
    各サブセルが、視差を有する複数枚の2次元画像を構成する画素とすることにより、立体画像を表示することを特徴とする請求項7または8に記載のディスプレイ。
JP26903397A 1997-10-01 1997-10-01 回折格子ディスプレイ Expired - Fee Related JP3924864B2 (ja)

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