JP3924832B2 - 真空アーク蒸着装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、真空アーク放電によって陰極(カソード)物質を蒸発させるアーク式蒸発源を有していて、当該陰極物質を基材に蒸着させて薄膜を形成する真空アーク蒸着装置に関し、より具体的には、そのアーク式蒸発源のトリガ電極と陰極との間の絶縁不良および接触不良を、人手を要することなく簡単に検出する手段に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の真空アーク蒸着装置の従来例を図4に示す。真空排気装置4によって真空排気される真空容器2内に、基材30を保持するホルダ32が設けられており、このホルダ32上の基材30に向くように、この例では真空容器2の側壁部に、アーク式蒸発源10が取り付けられている。この例のアーク式蒸発源10は、以下に詳述するけれども、その陰極12と、陽極を兼ねる真空容器2との間の真空アーク放電によって、陰極12を溶解させてそこから陰極物質14を蒸発させる。16はフランジ、20は絶縁物である。陰極12と真空容器2との間には、前者を負極側にして直流のアーク電源24が接続されている。真空容器2は通常は接地されている。
【0003】
ホルダ32上の基材30には、通常は、直流のバイアス電源36から、例えば−数十V〜−1000V程度の負のバイアス電圧が印加される。34は絶縁物である。また、基材30に対する成膜の均一性を良好にするために、基材30を保持したホルダ32を、矢印B方向またはその逆方向に回転させる場合もある。
【0004】
真空容器2内には、例えばガス導入口6から、通常はガス8が導入される。このガス8は、例えば、基材30の表面に化合物薄膜を形成する場合は陰極物質14と反応する反応性ガス(例えば窒素ガス)、あるいは基材30の表面に陰極物質14単独の金属薄膜を形成する場合は陰極物質14と反応しない不活性ガス(例えばアルゴンガス)、等である。
【0005】
アーク放電によって蒸発された陰極物質14の一部はイオン化しており、このイオン化した陰極物質14は、負のバイアス電圧が印加された基材30に引き付けられて衝突すると共に、反応性ガスを導入している場合はそれと化合し、基材30の表面に密着性の高い薄膜が形成される。これによって、基材30の表面に、例えば、TiN、CrN等の耐摩耗性に優れた化合物薄膜や、Ti 、Cr 等の
金属薄膜を形成することができる。
【0006】
上記アーク式蒸発源10の詳細例を図5に示す。このアーク式蒸発源10は、前述した陰極12と、それを支持する非磁性金属製のフランジ16と、その背面に取り付けられたアーク状態制御用の磁石(例えば永久磁石)18とを有しており、これらは絶縁物20を介して非磁性金属製の取付板42に取り付けられており、この取付板42は絶縁物44を介して真空容器2に取り付けられている。陰極12と真空容器2との間には、フランジ16を経由して、前述したアーク電源24から、例えば数十V程度の直流電圧が印加される。
【0007】
フィードスルー50を介して取付板42を貫通する軸48の先端部に、アーク点弧用のトリガ電極46が取り付けられている。このトリガ電極46は、駆動装置52によって、矢印Aのように陰極12の前後方向に、即ち陰極12に接触する状態と接触しない状態とに駆動される。軸48ひいてはトリガ電極46と真空容器2との間には、アーク点弧時の電流制限用の抵抗器38が接続されている。この抵抗器38の値は、例えば1Ω〜数十Ω程度である。
【0008】
陰極12の側方の周囲には、アークを広げるために、即ち陰極12とそれからある程度離れたところの陽極兼用の真空容器2との間でアーク放電を持続させるために、環状のシールド板26が陰極12を取り囲むように配置されており、このシールド板26によって陰極12の側方の周囲を覆っている。このシールド板26は、陰極12に対して電気的に絶縁されており、陰極12との間には隙間25があけられている。このシールド板26は、導電性の支柱27および電流制限用の抵抗器28を介して真空容器2に接続されている。このシールド板26も、この例では、磁石18の磁界を乱すのを避けるために、非磁性の金属から成る。抵抗器28の値は、例えば1Ω〜数十Ω程度である。
【0009】
トリガ電極46を駆動装置52によって移動させて、アーク電源24から直流電圧を印加している陰極12と接触させた後に離すと、トリガ電極46と陰極12との間に火花が生じ、これが引金となって初めは陰極12とシールド板26との間にアーク放電が生じるけれども、抵抗器28によってシールド板26に流れる電流が制限されるため、すぐにアーク放電は陰極12と陽極兼用の真空容器2との間の放電に移行して広がり、この両者間でアーク放電が持続し、それによって陰極12の表面が溶解されて陰極物質14が蒸発する。アーク放電が陰極12と真空容器2間に移行した後は、トリガ電極46には電流は流れなくなる。
【0010】
なお、アーク式蒸発源10用の陽極を真空容器2とは別に設ける場合もあり、その場合は、前記アーク電源24の正極、抵抗器28および抵抗器38は当該陽極に接続され、真空容器2は通常は接地される(図6参照)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記トリガ電極46の駆動時に、トリガ電極46の固定の仕方が悪くて初めからトリガ電極46が陰極12に接触したままの状態で陰極12から離れなかったり、逆に、陰極12が減ってトリガ電極46の接触動作を行ったにも拘わらずトリガ電極46が陰極12に接触できないことによって、陰極12においてアーク放電が発生せず、蒸着が正常に行えないことがある。このことが、長時間をかけて真空容器2内の真空排気を行った後の蒸着を始めるときになって初めて明らかになると、真空容器2内を再び大気圧に戻してアーク式蒸発源10のトリガ電極46の不良箇所の修復を行わなければならず、時間的損失が大きくなってしまう。
【0012】
これを避けるために従来は、真空容器2内の真空排気を行う前に毎回、作業者が実際にトリガ電極46を駆動して、トリガ電極46を陰極12に接触させる動作およびトリガ電極46を陰極12から引き離す動作を行い、そのときのトリガ電極46の動作状態を目視によって確認していた。このような方法は、動作確認に人手がかかるため、当該真空アーク蒸着装置の自動運転化を図る場合の障害になる。また、作業者による動作確認では時間がかかるため、生産性が低下する。特に、アーク式蒸発源10を複数台設けている場合や、大型の真空容器2で高い場所や作業者の手の届きにくい場所にアーク式蒸発源10が配置されている場合等においては、動作確認に特に多くの時間を要するので、生産性の低下は大きい。
【0013】
そこでこの発明は、上記のようなアーク式蒸発源のトリガ電極と陰極との間の絶縁不良および接触不良を、人手を要することなく簡単に検出することができるようにすることを主たる目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る真空アーク蒸着装置の一つは、前記真空容器内の圧力を計測する真空計と、前記トリガ電極に流れる電流を計測する電流計測器と、この電流計測器で計測した電流が0よりも大きいときに異常検出信号を出力する第1の比較手段と、前記電流計測器で計測した電流が0のときに異常検出信号を出力する第2の比較手段と、前記真空計で計測した圧力が1〜3Torr以上の条件下で、前記駆動装置を制御して前記トリガ電極を前記陰極に接触しない状態に駆動した後に前記アーク電源から電圧を出力させると共に前記第1の比較手段を能動化する第1の機能および前記駆動装置を制御して前記トリガ電極を前記陰極に接触する状態に駆動した後に前記アーク電源から電圧を出力させると共に前記第2の比較手段を能動化する第2の機能を有する制御手段とを備える異常診断装置を設けたことを特徴としている(請求項1)。
【0015】
上記構成によれば、制御手段による制御によって、真空容器内の圧力が1〜3Torr以上のときに、(1)トリガ電極を陰極に接触しない状態に駆動した後に、アーク電源から陰極に電圧を印加すると共に、第1の比較手段を能動化する第1の工程と、(2)トリガ電極を陰極に接触する状態に駆動した後に、アーク電源から陰極に電圧を印加すると共に、第2の比較手段を能動化する第2の工程とを実施することができる。
【0016】
上記第1の工程のときに、正常ならばトリガ電極と陰極との間の絶縁が保たれているのに、何らかの異常でトリガ電極が陰極と接触していて両者間の絶縁が保たれていないと、トリガ電極に幾らかの(即ち0よりも大きい)電流が流れるので、それがそのとき能動化されている第1の比較手段によって検出され、当該比較手段から異常検出信号が出力される。
【0017】
また、上記第2の工程のときに、正常ならばトリガ電極が陰極に接触しているのに、何らかの異常でトリガ電極が陰極に接触していないと、トリガ電極に電流は流れないので、それがそのとき能動化されている第2の比較手段によって検出され、当該比較手段から異常検出信号が出力される。
【0018】
このようにして、アーク式蒸発源のトリガ電極と陰極との間の絶縁不良および接触不良を、人手を要することなく簡単に検出することができる。
【0019】
上記のような異常診断を、真空容器内の圧力が1〜3Torr以上のときに行うようにしているのは、そのような圧力下では真空アーク放電が持続しないので、異常診断時に仮にトリガ電極と陰極間で火花が発生しても、これが種となって陰極とシールド板や真空容器との間でアーク放電が発生し持続することを防止することができるからである。
【0020】
トリガ電極に流れる電流の代わりに、トリガ電極と、陽極または陽極を兼ねる真空容器との間の電圧によって、トリガ電極と陰極との間の絶縁不良および接触不良を検出するようにしても良い(請求項2)。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明に係る真空アーク蒸着装置のアーク式蒸発源および異常診断装置周りの一例を示す断面図である。図4および図5の従来例と同一または相当する部分には同一符号を付し、以下においては当該従来例との相違点を主に説明する。真空アーク蒸着装置全体としての構成は、例えば先に図4を参照して説明したものと同じであるので、ここでは重複説明を省略する。
【0022】
この実施の形態では、トリガ電極46に流れる電流Iによってその異常診断を行う異常診断装置60aを設けている。この異常診断装置60aは、前記真空容器2内の圧力Pを計測する真空計62と、前記抵抗器38に直列に接続されていて当該抵抗器38を経由して前記トリガ電極46に流れる電流Iを計測する電流計測器68と、この電流計測器68で計測した電流Iと所定の基準値E1 (この例では0A)とを比較して当該電流Iが基準値E1 すなわち0よりも大きいときに異常検出信号Sを出力する第1の比較器66aと、前記電流計測器68で計測した電流Iと前記基準値E1 (即ち0A)とを比較して当該電流Iが基準値E1 以下のときに、具体的には当該電流Iが0のときに、異常検出信号Sを出力する第2の比較器67aと、真空計62で計測した圧力Pが数(1〜3)Torr以上の条件下で、▲1▼トリガ電極46の前記駆動装置52に非接触指令C1 を与えてトリガ電極46を前記陰極12に接触しない状態に駆動した後に、前記アーク電源24に電圧出力指令C3 を与えて当該アーク電源24から電圧を出力させて陰極12に電圧を印加すると共に、第1の比較器66aに比較指令C4 を与えて当該比較器66aを能動化して前記比較を行わせる第1の機能および▲2▼前記駆動装置52に接触指令C2 を与えてトリガ電極46を陰極12に接触する状態に駆動した後に、前記アーク電源24に電圧出力指令C3 を与えて当該アーク電源24から電圧を出力させて陰極12に電圧を印加すると共に、第2の比較器67aに比較指令C5 を与えて当該比較器67aを能動化して前記比較を行わせる第2の機能を有する制御回路64aとを備えている。
【0023】
真空容器2内の圧力Pが数Torr以上のときに、制御回路64aから上記指令C1 〜C5 を出して異常診断を行うようにしているのは、そのような圧力下では真空アーク放電が持続しないので、異常診断時に仮にトリガ電極46と陰極12間で火花が発生しても、これが種となって陰極12とシールド板26や真空容器2との間でアーク放電が発生し持続することを防止することができ、基材30に対する不本意な成膜を防止することができるからである。上記数Torr以上の圧力の内でも、大気圧が最も簡単で好ましいと言える。
【0024】
上記異常診断装置60aによれば、制御回路64aによる制御によって、真空容器2内の圧力Pが数Torr以上(例えば大気圧)のときに、図3のフローチャートにも示すように、▲1▼トリガ電極46を陰極12に接触しない状態に駆動した後に、アーク電源24から陰極12に電圧を印加すると共に比較器66aを能動化して比較を行わせる第1の工程(ステップ81〜84)と、▲2▼この第1の工程に引き続いて、トリガ電極46を陰極12に接触する状態に駆動した後に、アーク電源24から陰極12に電圧を印加すると共に比較器67aを能動化して比較を行わせる第2の工程(ステップ85〜88)とを実施することができる。なお、図3中のステップ83および87に示す電流計測を行うのは上記電流計測器68であり、()内の電圧計測を行うのは後述する図2に示す実施の形態における電圧計測器70である。
【0025】
上記第1の工程のときに、正常ならばトリガ電極46と陰極12との間の絶縁が保たれているのに、何らかの異常でトリガ電極46が陰極12と接触していて両者間の絶縁が保たれていないと、アーク電源24から陰極12を経由してトリガ電極46に幾らかの(即ち0よりも大きい)電流Iが流れる。例えば、上記アーク電源24が、定常的なアーク放電時に陰極12に、50V、30Aの電力を供給することができるものの場合、上記異常診断時にトリガ電極46には最大で30Aの電流Iが流れる。そしてこの電流Iが電流計測器68によって計測され、この計測された電流Iが、そのとき能動化されている比較器66aによって基準値E1 (ここでは0A)と比較され、I>0なのでこの比較器66aから異常検出信号Sが出力される。トリガ電極46と陰極12の接触がなく両者間の絶縁が保たれている場合は、トリガ電極46に流れる電流Iは0であるので、比較器66aから異常検出信号Sは出力されない。このようにして、トリガ電極46と陰極12との間の絶縁不良を自動的に検出することができる。
【0026】
また、上記第2の工程のときに、正常ならばトリガ電極46が陰極12に接触しているのに、何らかの異常でトリガ電極46が陰極12に接触していないと、トリガ電極46に電流Iは流れない。即ちI=0であり、それがそのとき能動化されている比較器67aによって検出され、当該比較器67aから異常検出信号Sが出力される。トリガ電極46が陰極12に接触している場合は、トリガ電極46に幾らかの(即ち0よりも大きく、最大で30A近くの)電流Iが流れるので、比較器67aから異常検出信号Sは出力されない。このようにして、トリガ電極46と陰極12との間の接触不良を自動的に検出することができる。
【0027】
上記のようにして、この異常診断装置60aによれば、アーク式蒸発源10のトリガ電極46と陰極12との間の絶縁不良および接触不良を、人手を要することなく簡単に検出することができる。その結果、当該真空アーク蒸着装置の自動運転化にも対応することができる。また、アーク式蒸発源10を複数台有している場合や、例えば高所のような作業者の手の届きにくい場所にアーク式蒸発源10が配置されている場合においても、動作確認の時間が短縮されるので、生産性が向上する。
【0028】
なお、上記制御回路64aと同じ機能を有する制御手段、上記比較器66aと同じ機能を有する比較手段および上記比較器67aと同じ機能を有する比較手段を、コンピュータを用いて構成しても良い(図2の実施の形態における制御回路64b、比較器66bおよび比較器67bについても同様)。
【0029】
図2に示す実施の形態では、トリガ電極46に加わる電圧Vによって異常診断を行う異常診断装置60bを設けている。この異常診断装置60bは、前記と同じ真空計62と、前記抵抗器38に並列に接続されていて当該抵抗器38の両端の電圧V、即ちトリガ電極46と真空容器2との間の電圧Vを計測する電圧計測器70と、この電圧計測器70で計測した電圧Vと所定の基準値E2 (ここでは0V)とを比較して当該電圧Vが基準値E2 すなわち0よりも大きいときに異常検出信号Sを出力する第1の比較器66bと、前記電圧計測器70で計測した電圧Vと前記基準値E2 (即ち0V)とを比較して当該電圧Vが基準値E2 以下のときに、具体的には当該電圧Vが0のときに、異常検出信号Sを出力する第2の比較器67bと、前記制御回路64aと同様の機能を有する制御回路64bとを備えている。
【0030】
この異常診断装置60bによれば、制御回路64bによる制御によって、真空容器2内の圧力Pが数Torr以上(例えば大気圧)のときに、図3のフローチャートにも示すように、▲1▼トリガ電極46を陰極12に接触しない状態に駆動した後に、アーク電源24から陰極12に電圧を印加すると共に比較器66bを能動化して比較を行わせる第1の工程(ステップ81〜84)と、▲2▼この第1の工程に引き続いて、トリガ電極46を陰極12に接触する状態に駆動した後に、アーク電源24から陰極12に電圧を印加すると共に比較器67bを能動化して比較を行わせる第2の工程(ステップ85〜88)とを実施することができる。
【0031】
上記第1の工程のときに、正常ならばトリガ電極46と陰極12との間の絶縁が保たれているのに、何らかの異常でトリガ電極46が陰極12と接触していて両者間の絶縁が保たれていないと、陰極12からトリガ電極46に幾らかの(即ち0よりも大きい)電圧Vが加わる。例えば、上記アーク電源24が、前述したように陰極12に50V、30Aの電力を供給することができるものの場合、上記異常診断時にトリガ電極46には最大で50Vの電圧Vが加わる。そしてこの電圧Vが電圧計測器70によって計測され、この計測された電圧Vが、そのとき能動化されている比較器66bによって基準値E2 (ここでは0V)と比較され、V>0なのでこの比較器66bから異常検出信号Sが出力される。トリガ電極46と陰極12の接触がなく両者間の絶縁が保たれている場合は、トリガ電極46に加わる電圧Vは0であるので、比較器66bから異常検出信号Sは出力されない。このようにして、トリガ電極46と陰極12との間の絶縁不良を自動的に検出することができる。
【0032】
また、上記第2の工程のときに、正常ならばトリガ電極46が陰極12に接触しているのに、何らかの異常でトリガ電極46が陰極12に接触していないと、トリガ電極46に電圧Vは加わらない。即ちV=0であり、それがそのとき能動化されている比較器67bによって検出され、当該比較器67bから異常検出信号Sが出力される。トリガ電極46が陰極12に接触している場合は、トリガ電極46に幾らかの(即ち0よりも大きく、最大で50V近くの)電圧Vが加わるので、比較器67bから異常検出信号Sは出力されない。このようにして、トリガ電極46と陰極12との間の接触不良を自動的に検出することができる。
【0033】
上記のようにして、この異常診断装置60bによっても、アーク式蒸発源10のトリガ電極46と陰極12との間の絶縁不良および接触不良を、人手を要することなく簡単に検出することができる。
【0034】
図6に、アーク式蒸発源10用の陽極76を真空容器2とは別に設けた場合の実施の形態を示す。これは、図1に示した実施の形態に対応している。この場合、アーク電源24の正極、抵抗器28および抵抗器38は陽極76に接続され、真空容器2は通常は接地される。図2に示した実施の形態についても同様である。
【0035】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、上記のような異常診断装置を設けたので、アーク式蒸発源のトリガ電極と陰極との間の絶縁不良および接触不良を、人手を要することなく簡単に検出することができる。その結果、当該真空アーク蒸着装置の自動運転化にも対応することができる。また、アーク式蒸発源を複数台有している場合や、例えば高所のような作業者の手の届きにくい場所にアーク式蒸発源が配置されている場合においても、動作確認の時間が短縮されるので、生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る真空アーク蒸着装置のアーク式蒸発源および異常診断装置周りの一例を示す断面図である。
【図2】この発明に係る真空アーク蒸着装置のアーク式蒸発源および異常診断装置周りの他の例を示す断面図である。
【図3】図1および図2中の異常診断装置を構成する制御回路による制御内容の一例を示すフローチャートである。
【図4】従来の真空アーク蒸着装置の一例を示す概略図である。
【図5】図4中のアーク式蒸発源周りの一例を示す断面図である。
【図6】アーク式蒸発源の陽極を真空容器とは別に設けた場合の実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
2 真空容器
10 アーク式蒸発源
12 陰極
14 陰極物質
24 アーク電源
30 基材
32 ホルダ
38 抵抗器
46 トリガ電極
52 駆動装置
60a、60b 異常診断装置
62 真空計
64a、64b 制御回路(制御手段)
66a、66b 第1の比較器(第1の比較手段)
67a、67b 第2の比較器(第2の比較手段)
68 電流計測器
70 電圧計測器
76 陽極

Claims (2)

  1. 真空容器と、真空アーク放電によって陰極から陰極物質を蒸発させるアーク式蒸発源と、このアーク式蒸発源の前記陰極とそれに対する陽極または陽極を兼ねる前記真空容器との間に前記陰極を負極側にして接続されたアーク電源とを備え、前記真空容器内において前記陰極物質を基材に蒸着する装置であって、前記アーク式蒸発源が、アーク放電点弧用のトリガ電極と、このトリガ電極を前記陰極に接触する状態と接触しない状態とに駆動する駆動装置と、前記トリガ電極と前記陽極または陽極を兼ねる前記真空容器との間に接続された抵抗器とを有する真空アーク蒸着装置において、前記真空容器内の圧力を計測する真空計と、前記トリガ電極に流れる電流を計測する電流計測器と、この電流計測器で計測した電流が0よりも大きいときに異常検出信号を出力する第1の比較手段と、前記電流計測器で計測した電流が0のときに異常検出信号を出力する第2の比較手段と、前記真空計で計測した圧力が1〜3Torr以上の条件下で、前記駆動装置を制御して前記トリガ電極を前記陰極に接触しない状態に駆動した後に前記アーク電源から電圧を出力させると共に前記第1の比較手段を能動化する第1の機能および前記駆動装置を制御して前記トリガ電極を前記陰極に接触する状態に駆動した後に前記アーク電源から電圧を出力させると共に前記第2の比較手段を能動化する第2の機能を有する制御手段とを備える異常診断装置を設けたことを特徴とする真空アーク蒸着装置。
  2. 真空容器と、真空アーク放電によって陰極から陰極物質を蒸発させるアーク式蒸発源と、このアーク式蒸発源の前記陰極とそれに対する陽極または陽極を兼ねる前記真空容器との間に前記陰極を負極側にして接続されたアーク電源とを備え、前記真空容器内において前記陰極物質を基材に蒸着する装置であって、前記アーク式蒸発源が、アーク放電点弧用のトリガ電極と、このトリガ電極を前記陰極に接触する状態と接触しない状態とに駆動する駆動装置と、前記トリガ電極と前記陽極または陽極を兼ねる前記真空容器との間に接続された抵抗器とを有する真空アーク蒸着装置において、前記真空容器内の圧力を計測する真空計と、前記トリガ電極と陽極または陽極を兼ねる真空容器との間の電圧を計測する電圧計測器と、この電圧計測器で計測した電圧が0よりも大きいときに異常検出信号を出力する第1の比較手段と、前記電圧計測器で計測した電圧が0のときに異常検出信号を出力する第2の比較手段と、前記真空計で計測した圧力が1〜3Torr以上の条件下で、前記駆動装置を制御して前記トリガ電極を前記陰極に接触しない状態に駆動した後に前記アーク電源から電圧を出力させると共に前記第1の比較手段を能動化する第1の機能および前記駆動装置を制御して前記トリガ電極を前記陰極に接触する状態に駆動した後に前記アーク電源から電圧を出力させると共に前記第2の比較手段を能動化する第2の機能を有する制御手段とを備える異常診断装置を設けたことを特徴とする真空アーク蒸着装置。
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