JP3922719B2 - スピン付与方法、スピン付与機構、宇宙機、及び人工衛星分離用スプリングアセンブリ - Google Patents

スピン付与方法、スピン付与機構、宇宙機、及び人工衛星分離用スプリングアセンブリ Download PDF

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Description

本願発明は、人工衛星の放出時に、該人工衛星に機軸に直交する軸回りのスピンを付与するための方法及びその機構に関し、特に、付与するスピンレートの調整が容易なスピン付与機構、該スピン付与機構を備えた打ち上げ用宇宙機、及び前記スピン付与機構を構成する人工衛星分離用スプリングアセンブリに関する。
例えば、特許文献1乃至3に開示されているように、打ち上げ用ロケットと、これに保持運搬される人工衛星との間に縮設されたスプリングを利用し、該人工衛星を打ち上げ用ロケットから機軸方向に押し出す分離機構が開示されており、これらの中には、このようなスプリングにより人工衛星を押し出しながら適宜のスピン付与機構を利用して機軸回りのスピンを人工衛星に付与するものがある。
これに対して近年では、機軸回りではなく、機軸に直交する軸回りのスピンを人工衛星に付与させたいとの要望が増加しており、このようなスピン付与機構の開発がなされている。
機軸方向に伸縮するスプリングを利用した機軸に直交する軸回りのスピン付与機構は、例えば、図9(a)及び(b)に示すようなものである。図9(a)において、人工衛星300は、打ち上げ用ロケット100の先端部に設けられた衛星分離部200にマルマンクランプバンド等の結合機構(図示せず)を介して固定されており、該衛星分離部200には、スプリングを利用したスピン付与機構201が設けられている。
より詳しくは、図9(a)及び(b)に示すように、上記スピン付与機構201は、スプリングを利用した複数のスプリングアセンブリ202a,202bを具備している。図9(a)及び(b)においては、スピン付与機構201は、小さいバネ定数のスプリングを内装した2つのスプリングアセンブリ202a,202aと、大きいバネ定数のスプリングを内装した2つのスプリングアセンブリ202b,202bとを具備しており、図9(b)の平面図に示すように、衛星分離部200の円周方向に等配され、片側に一方のスプリングアセンブリ202a,202aを、他側にスプリングアセンブリ202b,202bをそれぞれ纏めて配置し、これらが発生するモーメントアームLが同一になるようにしてある。
このような構成により、すべてのスプリングアセンブリ202a,202bが同時に解放されるのに応じてこれらが人工衛星300を機軸A1方向に押し出すが、このとき、大きいバネ定数のスプリングを内装した2つのスプリングアセンブリ202b,202bが小さいバネ定数のスプリングを内装した2つのスプリングアセンブリ202a,202aよりも大きな力で人工衛星300を押し出すため、図9(a)に示すように、人工衛星300には、その重心G回りに矢符方向(即ち、機軸A1に直交する軸回り)のスピンが付与される。
機軸A1方向に伸縮するスプリングを利用した機軸A1に直交する軸回りのスピン付与機構の別の例は、図10(a)及び(b)に示すようなものである。このスピン付与機構201は、スプリングを利用した複数のスプリングアセンブリ202a,202a…を具備している点、上記した図10(a)及び(b)にかかるスピン付与機構と同様であるが、これらスプリングアセンブリ202a,202a…のすべてが同一のバネ定数のスプリングを内装している。このため、このスピン付与機構201のスプリングアセンブリ202a,202a…は、図10(b)の平面図にてより判り易いように、衛星分離部200の円周方向に偏って非対称に配置され、例えば、図における右側のモーメントアームL2が左側のモーメントアームL1よりも大きくなるようにしてある。
このような構成により、すべてのスプリングアセンブリ202a,202a…が同時に解放されるのに応じてこれらが人工衛星300を機軸A1方向に押し出すが、このとき、モーメントアームが大きいL2側のスプリングアセンブリ202a,202aのほうが、他方よりも大きいモーメントを発生し、図10(a)に示すように、人工衛星300には、その重心G回りに矢符方向(即ち、機軸A1に直交する軸回り)のスピンが付与される。
特開昭61-54400号公報 特開昭63-297200号公報 特開2000-238700号公報
しかしながら、上述した従来のスピン付与機構にあっては、例えば、打ち上げ用ロケットと人工衛星とを電力供給可能に接続するアンビリカルコネクタが正常に分離する前の人工衛星の分離開始直後から、機軸に直交する軸回りのスピンを付与する構成となっているために、アンビリカルコネクタに曲げ応力が加わり、アンビリカルコネクタが破損する虞があった。
また、人工衛星に付与するスピンレートが、スプリングの特性(例えば、上記したようなバネ定数)及び幾何学的配置に依存しており、要求されるスピンレートに設計変更があった場合に対処することが困難であるばかりでなく、質量特性の異なる他の人工衛星への適用が困難である等、汎用性に欠けていた。
本願発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、例えば、衛星分離部の円周方向に配置された機軸方向に伸縮するスプリングの伸長ストロークを、機軸方向に直交する軸を境界として異ならせることにより、スプリングの特性及び幾何学的配置を変更することなくスピンレートを容易に変更することができ、もって設計変更への対応が容易な、また、汎用性の高いスピン付与方法及びスピン付与機構並びに該機構を備えた打ち上げ用宇宙機及び該機構を構成する人工衛星分離用スプリングアセンブリを提供することを目的とする。
本願発明に係るスピン付与方法は、人工衛星と該人工衛星の打ち上げ用宇宙機との間に、前記人工衛星の前記打ち上げ用宇宙機からの分離方向に伸長可能に配された複数のスプリング手段を縮設し、前記人工衛星を前記打ち上げ用宇宙機から分離する際に、該複数のスプリング手段を同時に解放すると共に、前記複数のスプリング手段の少なくとも何れか1つの伸長ストロークを制限することにより、前記人工衛星に分離方向に直交する軸回りのスピンを付与することを特徴とする。
また、本願発明に係るスピン付与機構は、人工衛星を該人工衛星の打ち上げ用宇宙機から分離する際に、前記人工衛星に分離方向に直交する軸回りのスピンを付与する機構であって、前記人工衛星と前記打ち上げ用宇宙機との間に縮設され、前記分離方向に伸長可能に配される複数のスプリング手段と、該複数のスプリング手段を同時に解放するスプリング解放手段と、前記複数のスプリング手段の少なくとも何れか1つの伸長ストロークを制限するストローク制限手段とを備えることを特徴とする。
上記発明によれば、打ち上げ用宇宙機からの人工衛星の分離方向(打ち上げ用ロケットの場合には、機軸方向)に伸縮するように向けられた複数のスプリング手段にその伸長ストロークを制限する手段を設けた簡易な構成で、人工衛星に分離方向に直交する軸回りのスピンを付与することができる。ここで、スプリング手段は、少なくともスプリングを具備する組立品(アセンブリ)である。また、本願発明は、複数のスプリング手段のうちの少なくとも何れか1つがストローク制限手段を有していればよく、すべてのスプリング手段を略同様の構成(特に、スプリング手段が具備するスプリングのバネ定数等の特性)とすることができるため、部品の互換性が高いという利点も有する。
すべてのスプリング手段に同様の構成を採用した場合には、例えば、複数のスプリング手段は、人工衛星の押し出し当接面に平行な面(分離方向に直交する面)内で、分離方向の軸を中心として円周方向に等配することが可能である。このとき、ストローク制限手段により伸長ストロークを制限されているスプリング手段も作動初期には、他のストローク制限手段により伸長ストロークを制限されていないスプリング手段と同様に伸長することができるため、この間はすべてのスプリング手段により同時に人工衛星を分離方向に押し出すことができる。
従って、ここで、ストローク制限手段により制限される伸長ストロークを、例えば、人工衛星と打ち上げ用宇宙機とを分離方向に接続するアンビリカルコネクタの差し込みストローク以上、又は少なくとも差し込みストローク内で分離に支障がない程度(例えば、アンビリカルコネクタが分離時に破損しない程度)にしておくことが望ましい。なお、上記伸長ストロークは、アンビリカルコネクタ以外であっても、人工衛星と宇宙機とをこのように分離方向に接続する装備品があれば、これらの装備品の差し込みストロークを基準に設定されてもよい。
その後、ストローク制限手段が作用したときには、分離方向の軸を通過する面を境界として両側におけるスプリング手段が人工衛星に作用するモーメントのバランスが崩れるため、結果として、分離方向に直交する軸回りのスピンを人工衛星に付与することができるのである。つまり、このようなモーメントバランスを崩すようにスプリング手段の幾何学的配置構成を決定することが望ましい。
ストローク制限手段による伸長ストロークの制限構造は、より大きなモーメントを発生させるために、スプリングの伸長をその伸長の途中にて物理的に停止させるような構造であるのが望ましく、例えば、スプリング手段が具備するスプリングの端面をその伸縮範囲内で係止することによって容易になし得る。従って、伸長ストロークもこの係止位置を変更することにより容易に調節可能である。
このように、本願発明によれば、スプリングの特性及び幾何学的配置構成を変更することなくスピンレートを容易に変更することができ、もって設計変更への対応が容易となる。
本願発明において、スプリング手段が具備するスプリングは、分離方向へ直線的な付勢力を発生すればよいことから、コイルスプリングが適しているが、概ね分離方向に付勢力を発生することができる構成であれば、その他の種類のスプリングを採用することも可能である。
コイルスプリングを採用した場合には、例えば、コイルスプリングを筒状部材に内装して分離方向に案内保持し、この筒状部材のコイルスプリングの伸縮範囲内の位置で筒状部材を横断するように部材を配設することにより、容易にコイルスプリングの伸長を制限することが可能である。
より詳しくは、例えば、コイルスプリングの一端から軸方向へ延び、この側の筒状部材の端面から突出するようにピン状部材を設け、該ピン状部材の中途に雄ネジ部を形成し、そして、内周に雌ネジ部を形成したナット部材をピン状部材の雄ネジ部に螺合する。他方、コイルスプリングの伸縮と共に動作するナット部材の移動範囲で筒状部材を横断するように所定の部材を設け、この部材によりナット部材の移動を係止することにより、コイルスプリングの伸長ストロークが制限される。このように、コイルスプリングの軸方向(設置状態では分離方向に一致される)の係止位置がネジ部により簡易に調整することができる。なお、このような係止位置の調整は、ナット部材を係止する部材の位置を変更することによっても達成することができることは言うまでもない。
なお、上記のようなストローク制限手段により伸長ストロークを制限されていないスプリング手段は、人工衛星にスピンを付与しない、所謂機軸方向への直線的な分離に対しても適用することができる。
また、以上の発明にあっては、従来技術の欄で挙げたような打ち上げ用ロケットに限定するものではなく、例えば、スペースシャトルのような任意の宇宙機であってよい。
以下、本願発明に係るスピン付与機構について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。
(第1の実施の形態)
図1(a)乃至(c)は、本願発明の実施の形態に係るスピン付与機構の全体構成及びその動作を示す模式図である。図1(a)乃至(c)に示すように、本実施の形態に係るスピン付与機構1は、打ち上げ用ロケット100の先端部に設けられた衛星分離部2に内装され、複数のスプリング手段たる2種類のスプリングアセンブリ3,4を具備している。基本的に、これらスプリングアセンブリ3,4は、人工衛星300の分離方向の軸(即ち、機軸A1)を中心として同一円周上に等配されており(図3参照)、衛星分離部2の片側(図1(a)乃至(c)においては左側)に配されたスプリングアセンブリ3にのみ、ストローク制限手段3aが設けられている。
2種類のスプリングアセンブリ3,4は、上述したように、一方の種類のスプリングアセンブリ3にのみストローク制限手段3aが設けられている以外、基本的には同様の構造を有しており、その各部品には相互互換性を持たせてある。
スプリングアセンブリ3,4の基本構造は、軸方向を機軸A1方向に向けた円筒状をなす筒状部材30にコイルスプリング31を内装してなり、該コイルスプリング31が伸長したときに、衛星分離部2の先端部に分離可能に取り付けられる人工衛星300をバネ力により押し出し分離するようになっている。
コイルスプリング31は、分離動作前は、図1(a)に示すように、縮められた状態でスプリング解放機構5により係止されている。スプリング解放機構5は、種々の構造を有することが可能であり、一般には、人工衛星300を衛星分離部2に結合しているマルマンクランプバンド,分離ナット,ラッチ機構等の結合機構を解除するものである。
従って、スプリング解放機構5は、上記のような人工衛星300の衛星分離部2への結合機構を解放するのに応じて、すべてのスプリングアセンブリ3,4の縮設されているコイルスプリング31を同時に解放する。これにより、解放直後は、図1(b)において黒塗り矢符で示すように、すべてのスプリングアセンブリ3,4が同様に人工衛星300を機軸A1方向に押し出し、アンビリカルコネクタ(図示せず)のスムーズな分離を促すことができる。
そして、図1(c)に示すように、一方のスプリングアセンブリ3にのみ設けられているストローク制限手段3aがこのスプリングアセンブリ3のコイルスプリング31の伸長を途中で止め、他方のスプリングアセンブリ4のコイルスプリング31は、この後も最後までフルストローク分、伸長するため、黒塗り矢符で示すように、人工衛星300を機軸A1方向に押し出すと共に、白抜き矢符で示すように、人工衛星300の重心G位置で、機軸A1に直交する軸回りのスピンを人工衛星300に付与する。
次に、図2乃至図5を参照しながら、本実施の形態に係るスピン付与機構1及びそのスプリングアセンブリ3,4の詳細な構造について説明する。
まず、図2(a)及び(b)に示すように、スプリングアセンブリ3,4は、筒状部材30にコイルスプリング31を内装してなり、該筒状部材30は、打ち上げ用ロケット100側(図2(a)及び(b)における下側)の端部を所定の留め具により衛星分離部2の下端部に固定されている。コイルスプリング31の下端部は、筒状部材30の内面に嵌合する形状をなした下部バネ受け32に当接し、該下部バネ受け32は、この側の筒状部材30の固定された端板33に調節ネジ34を介して固定されている。該調整ネジ34は、下部バネ受け32の機軸A1方向の位置を調節し、これによりコイルスプリング31のプリロードを調節することができるようになっている。プリロードの調節により、スプリングアセンブリ3,4の個体差を排除することが可能であるほか、人工衛星300の重心Gと機軸A1とのずれ等を補正することが可能である。
コイルスプリング31の上端部は、筒状部材30の内面に嵌合する形状をなした上部バネ受け35に当接し、該上部バネ受け35には、その中心部から上方へ延びた押し出しピン36が一体形成されている。該押し出しピン36の先端部は、コイルスプリング31が縮設された状態で、衛星分離部2の上端部に載置された人工衛星300の筒状のフレーム部311の下面に当接するようになっている。なお、フレーム部311と衛星分離部2とは、公知のマルマンクランプバンド等の結合機構312により締結され、これにより人工衛星300を衛星分離部2に分離可能に固定している。
また、押し出しピン36は、筒状部材30の一体形成された上端壁37の中心部に形成された開口と、これに連続して上方へ延びるガイド部38とによって機軸A1方向への摺動を案内されている。
前述したように、一方の種類のスプリングアセンブリ3にのみ設けられているストローク制限手段3aにより、このスプリングアセンブリ3のコイルスプリング31の伸長ストロークが制限されており、これにより、図2(b)に示すように、ストローク制限手段3a付きのスプリングアセンブリ3の伸長ストロークS2は、ストローク制限手段3a無しのスプリングアセンブリ4の伸長ストロークS1よりも小さくされている。図2(b)においては、押し出しピン36の突出量として示してあるが、より詳しくは、伸長ストロークS2は、アンビリカルコネクタ(図示せず)の差し込みストロークよりも大きくする。アンビリカルコネクタは、打ち上げ用ロケット100と人工衛星300とを複数箇所で接続し、一般に少なくとも10mm程度の差し込みストロークを有している。
図3に衛星分離部2の平面図を想像線で示すように、本例においては、スピン付与機構1を構成する複数のスプリングアセンブリ3,4は、同一円周上に等配され、一方のスプリングアセンブリ3が一側(図3における左側)に纏めて配置され、他方のスプリングアセンブリ4が他側(図3における右側)に纏めて配置される。本願発明における複数のスプリングアセンブリ3,4の幾何学的配置構成は、このような条件に限定されるものではなく、機軸A1に直交する軸回りのスピンを人工衛星300に付与すべく不均等なモーメントアームを有するのであれば、如何なる配置構成であってもよい。しかし、この例のように同一円周上に等配し、且つ、一方の側に同一種類のスプリングアセンブリを纏めて配置する方が全体として構成が簡素になるばかりでなく、より効率良く人工衛星300にスピンを付与することができる。
次に、一方の種類のスプリングアセンブリ3にのみ設けられているストローク制限手段3aについて図4及び図5を参照しながら説明する。
図4に図2のIV-IV断面図を示すように、ストローク制限手段3a付きのスプリングアセンブリ3においては、その筒状部材30の軸方向の中途部に、該筒状部材30を横断するように2本のストロークカットオフ用ボルト301,301が貫通しており、該2本のストロークカットオフ用ボルト301,301は、それらの間に適宜の間隔を空けて押し出しピン36を挟む態様に平行に設けられている。
また、図5(a)及び(b)に図2(a)及び(b)に示したストローク制限手段3aの一部拡大図をそれぞれ示すように、押し出しピン36の中途部には、鍔状をなすストロークカットオフ用ナット302が取り付けられており、これらストロークカットオフ用ボルト301,301と、ストロークカットオフ用ナット302とから、ストローク制限手段3aが概して構成されている。
ストロークカットオフ用ナット302は、その内周面に形成された雌ネジ部302aを、押し出しピン36の対応位置に外嵌された筒状部材304の外周面に形成された雄ネジ部304aに螺合されることにより、押し出しピン36の長手方向の所定位置に位置決めされている。また、ストロークカットオフ用ナット302の周方向に一箇所には、半径方向に貫通するようにネジ孔が形成されており、該ネジ孔には、回り止めネジ303が螺合し、その先端を押し出しピン36の外周面に当接することにより、ストロークカットオフ用ナット302の回り止めがなされている。
ストロークカットオフ用ナット302は、押し出しピン36を挟む態様に平行に設けられた2本のストロークカットオフ用ボルト301,301の間の間隔を超えるような大きさを有しており、これにより、ストロークカットオフ用ナット302は、コイルスプリング31の伸長に伴って押し出しピン36と共に上昇するが、伸長ストロークの中途で2本のストロークカットオフ用ボルト301,301により係止されるようになっている。
従って、図2(b)に示したストローク制限手段3a付きのスプリングアセンブリ3の伸長ストロークS2は、図5(a)に示すように、コイルスプリング31が縮設されているときの、ストロークカットオフ用ナット302の上面位置と、ストロークカットオフ用ボルト301,301の下端位置との間の距離で定められる。本実施の形態においては、ストロークカットオフ用ナット302の上下方向位置は、回り止めネジ303を緩めてストロークカットオフ用ナット302を押し出しピン36周りに回転させることにより調節することができ、調節後は、再び回り止めネジ303を締めて固定される。
(第2の実施の形態)
図6(a)及び(b)は、本願発明の実施の形態に係る分離機構の全体構成及びその動作を示す模式図である。また、図7は、図6(a)及び(b)に示した分離機構の詳細な構成及びその動作を示す図であり、(a)は、分離動作開始前の状態を示し、(b)は、分離動作後の状態をそれぞれ示してある。さらに、図8は、図7(a)及び(b)に示した分離機構が具備するスプリングアセンブリの幾何学的配置構成を示す平面図である。
本実施の形態にかかる機構は、上記の第1の実施の形態に示したようなスピン付与を目的としたものではなく、人工衛星300を機軸A1方向に真っ直ぐ押し出す分離機構1Aであり、ストローク制限手段3a無しのスプリングアセンブリ4のみから構成されている。それ以外は、上記の第1の実施の形態のスピン付与機構1と同様の構成であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な構造の説明は省略する。
図6(a)及び(b)並びに図7に示すように、本実施の形態に係る分離機構1Aは、打ち上げ用ロケット100の先端部に設けられた衛星分離部2に内装され、複数のスプリング手段たる1種類のスプリングアセンブリ4を具備している。基本的に、これらスプリングアセンブリ4は、図8に示すように、人工衛星300の分離方向の軸(即ち、機軸A1)を中心として同一円周上に等配されている。
従って、スプリング解放機構5が、人工衛星300の衛星分離部2への結合機構を解放するのに応じて、すべてのスプリングアセンブリ4の縮設されているコイルスプリング31を同時に解放する。これにより、図6(b)において黒塗り矢符で示すように、すべてのスプリングアセンブリ4が同様に人工衛星300を機軸A1方向に真っ直ぐ、如何なるスピンを付与することなく押し出し、アンビリカルコネクタ(図示せず)のスムーズな分離を促すことができる。
本実施の形態のように人工衛星300を機軸A1方向に真っ直ぐ押し出して分離させるときにも、人工衛星300の重心G位置を機軸A1に正確に一致させた状態で、機軸A1に沿って分離放出するために、すべてのスプリングアセンブリ4が人工衛星300を押し出す力は厳密に均等でないといけない。そのため、本実施の形態にかかる分離機構1Aにおいても、各スプリングアセンブリ4に設けられた調整ネジ34によりコイルスプリング31のプリロードを調節することにより、スプリングアセンブリ4の個体差を排除し、人工衛星300の重心Gと機軸A1とのずれ等を補正することができるようになっている。
以上のように、本願発明に係るスピン付与方法及びスピン付与機構並びに該機構を備えた打ち上げ用宇宙機及び該機構を構成する人工衛星分離用スプリングアセンブリによれば、例えば、衛星分離部の円周方向に配置された機軸方向に伸縮するスプリングの伸長ストロークを、機軸方向に直交する軸を境界として異ならせることにより、スプリングの特性及び幾何学的配置を変更することなくスピンレートを容易に変更することができ、もって設計変更への対応が容易であり、また、汎用性が高い等、本願発明は優れた効果を奏する。
(a)乃至(c)は、本願発明の実施の形態に係るスピン付与機構の構成及びその動作を示す模式図である。 図1(a)乃至(c)に示したスピン付与機構の詳細な構成及びその動作を示す図であり、(a)は、分離動作開始前の状態を示し、(b)は、分離動作後の状態をそれぞれ示してある。 図2(a)及び(b)に示したスピン付与機構が具備するスプリングアセンブリの幾何学的配置構成を示す平面図である。 図2(a)に示したストローク・カットオフ機構を備えたスプリングアセンブリの構成を示すIV-IV断面図である。 (a)は、図2(a)に示したストローク・カットオフ機構の分離動作開始前の状態を示す拡大図、(b)は、図2(b)に示したストローク・カットオフ機構の分離動作後の状態を示す拡大図である。 (a)及び(b)は、本願発明の実施の形態に係る分離機構の構成及びその動作を示す模式図である。 図6(a)及び(b)に示した分離機構の詳細な構成及びその動作を示す図であり、(a)は、分離動作開始前の状態を示し、(b)は、分離動作後の状態をそれぞれ示してある。 図7(a)及び(b)に示した分離機構が具備するスプリングアセンブリの幾何学的配置構成を示す平面図である。 (a)は、従来のスピン付与機構の構成の一例を示す模式図であり、(b)は、それが具備するスプリングアセンブリの幾何学的配置構成を示す平面図である。 (a)は、従来のスピン付与機構の構成の他の例を示す模式図であり、(b)は、それが具備するスプリングアセンブリの幾何学的配置構成を示す平面図である。
符号の説明
1 スピン付与機構
1A 分離機構
2 衛星分離部
3 スプリングアセンブリ
3a ストローク制限手段
4 スプリングアセンブリ
5 スプリング解放機構
30 筒状部材
31 コイルスプリング
32 下部バネ受け
33 端板
34 調節ネジ
35 上部バネ受け
36 押し出しピン
37 上端壁
38 ガイド部
100 打ち上げ用ロケット
300 人工衛星
301 ストロークカットオフ用ボルト
302 ストロークカットオフ用ナット
302a 雌ネジ部
303 回り止めネジ
304 筒状部材
304a 雄ネジ部
311 衛星フレーム部
312 結合機構
A1 機軸(分離方向軸)
G 重心位置
S1 伸長ストローク
S2 伸長ストローク

Claims (8)

  1. 人工衛星と該人工衛星の打ち上げ用宇宙機との間に、前記人工衛星の前記打ち上げ用宇宙機からの分離方向に伸長可能に配された複数のスプリング手段を縮設し、前記人工衛星を前記打ち上げ用宇宙機から分離する際に、前記複数のスプリング手段を同時に解放前記複数のスプリング手段がフルストローク分伸長する前に、途中で前記複数のスプリング手段の少なくとも何れか1つの伸長ストロークを制限し、それ以外のスプリング手段を継続して伸長させることにより、前記人工衛星に分離方向に直交する軸回りのスピンを付与することを特徴とするスピン付与方法。
  2. 人工衛星を該人工衛星の打ち上げ用宇宙機から分離する際に、前記人工衛星に分離方向に直交する軸回りのスピンを付与する機構であって、
    前記人工衛星と前記打ち上げ用宇宙機との間に縮設され、前記分離方向に伸長可能に配される複数のスプリング手段と、
    該複数のスプリング手段を同時に解放するスプリング解放手段と、
    該スプリング解放手段が前記複数のスプリング手段を解放し、該複数のスプリング手段がフルストローク分伸長する前に、途中で該複数のスプリング手段の少なくとも何れか1つの伸長ストロークを制限するストローク制限手段と
    を備え、それ以外のスプリング手段を継続して伸長することによって、前記人工衛星に分離方向に直交する軸回りのスピンを付与することを特徴とするスピン付与機構。
  3. 前記ストローク制限手段により制限される前記伸長ストロークを、前記人工衛星と前記打ち上げ用宇宙機とを前記分離方向に差し込み接続する接続部品がスピン付与時の曲げ応力により破損しないストローク以上のストロークにしてあることを特徴とする請求項2記載のスピン付与機構。
  4. 前記複数のスプリング手段は、前記分離方向の軸を中心として同一円周上に等配されていることを特徴とする請求項2又は3記載のスピン付与機構。
  5. 前記ストローク制限手段は、
    前記複数のスプリング手段の少なくとも何れか1つをその伸縮範囲内で係止することによって前記伸長ストロークを制限するスプリング係止手段と、
    該スプリング係止手段の係止位置を調節する係止位置調節手段と
    を具備することを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載のスピン付与機構。
  6. 前記複数のスプリング手段は、それぞれ、コイルスプリングと、該コイルスプリングを内部で前記分離方向に案内保持する筒状部材とを具備し、
    前記スプリング係止手段は、前記コイルスプリングの伸縮範囲内で前記筒状部材の内部を横断して配設され、前記コイルスプリングの端面に当接すべくなしてある
    ことを特徴とする請求項5記載のスピン付与機構。
  7. 上記請求項2乃至6の何れかに記載のスピン付与機構を、分離可能に取り付けられる前記人工衛星との間に備えることを特徴とする宇宙機。
  8. 筒状部材と、
    該筒状部材の内部軸方向に案内保持されたコイルスプリングと、
    該コイルスプリングの一端から軸方向へ延び前記筒状部材の端面から突出するように設けられ、その中途に雄ネジ部を形成されたピン状部材と、
    該雄ネジ部に螺合する雌ネジ部を内周に形成されたナット部材と、
    前記コイルスプリングの伸縮と共に動作する前記ナット部材の移動範囲で前記筒状部材の内部を横断するように設けられ、前記ナット部材をその移動途中で係止する係止部材と
    を備え、前記筒状部材から突出する前記ピン状部材の先端部で人工衛星を押し出し分離するように構成してあることを特徴とする人工衛星分離用スプリングアセンブリ。
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