JP3921664B2 - 非細菌性前立腺炎モデル動物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、慢性非細菌性前立腺炎モデル動物及びその作製方法に関する。より詳細には、ヒト慢性非細菌性前立腺炎を模倣した非ヒト動物及びその作製方法に関する。さらに本発明は当該モデル動物を用いてヒト慢性非細菌性前立腺炎の予防または治療に有効な物質を選別する方法、並びに当該方法によって選別された物質を有効成分とするヒト慢性非細菌性前立腺炎の予防用または治療用の医薬組成物に関する。また、本発明は、上記のモデル動物を用いて、ヒト慢性非細菌性前立腺炎の予防または治療用の医薬組成物の薬効を評価する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
前立腺炎は成人男性に発症する性器疾患の一つで、比較的頻度の高い泌尿器科疾患である。アメリカにおいて、前立腺炎は、尿路性器疾患の中で18〜50歳の男性では最多であり〔外来受診者総数の0.77 %(泌尿器科疾患の患者は全受診者数の約5%)〕、50歳を超える男性では前立腺肥大症、及び前立腺癌に次いで3番目に多い(外来受診者総数の0.83 %)疾患と報告されている(例えば、非特許文献1等参照)。そしてアメリカでは、年間約200万人が前立腺炎と診断されている。
【0003】
また、 日本では、 前立腺炎症候群の新患(新しく受診する患者)は年間約60〜100万人程度と推測されている(例えば、非特許文献2等参照)。その病型は、大きく▲1▼急性細菌性前立腺炎(ABP)、▲2▼慢性細菌性前立腺炎(CBP)、▲3▼慢性非細菌性前立腺炎(CNP)、及び▲4▼前立腺関連疼痛症候群(Prostatodynia)の4つに分類される。その病型別頻度は、 ▲1▼、▲2▼の細菌性の前立腺炎は僅かであり、 ▲3▼、▲4▼の非細菌性の前立腺炎が、前立腺炎全体の大多数を占めるとの報告がある(例えば、非特許文献3等参照)。臨床病態からは、 大きく▲1▼の急性症と▲2▼、▲3▼、▲4▼の慢性症とに分かれる。急性症に分類される▲1▼急性細菌性前立腺炎では、症状として発熱の他に、膀胱三角部から後部尿道にかけて炎症が波及することによるいわゆる膀胱症状として、排尿痛、頻尿、残尿感などが認められる。一方、慢性症に分類される▲2▼、▲3▼及び▲4▼の慢性前立腺炎の自覚症状としては、頻尿、排尿痛などの膀胱症状と、会陰部や下腹部の不定愁訴などがあり、特に頻尿は比較的高頻度に自覚される代表的な症状の一つである(例えば、非特許文献4等参照)。なお、慢性前立腺炎は、上記の通り3つの病型(▲2▼、▲3▼、▲4▼)に分類されるが、臨床病態は互いに非常に類似しており、臨床病態からの病型を鑑別することは困難である(例えば、非特許文献5等参照)。
【0004】
前立腺炎の診断法として、four-glass testの結果から病型鑑別を行う方法がある。▲1▼急性細菌性前立腺炎(ABP)はfour-glass testを実施することで敗血症を生じる危険性があるため禁忌であるが、慢性前立腺炎(▲2▼、▲3▼、▲4▼)は、four-glass testによるEPS(expressed prostatic secretion、前立腺マッサージ時に採取した前立腺圧出液)及びVB3(Voided bladder 3、前立腺マッサージ後の初尿)中の細菌の有無により、細菌性と非細菌性に鑑別することができる。更に、EPS中の白血球の有無により非細菌性前立腺炎と前立腺痛に鑑別することができる(例えば、非特許文献5等参照)。また、近年、慢性前立腺炎の診断法として、 NIHよりthe National Institutes of Health chronic prostatitis symptom index(NIH-CPSI) が公表されている。このNIH-CPSIは、慢性前立腺炎の多彩な臨床症状により特徴づけられる症候群の整合性ある症状スコアとして作られ、本症候群を疼痛を主体にして捉え、閉塞症状(排尿困難、尿閉、排尿時間の延長または間欠排尿など)よりも刺激症状(頻尿、尿失禁、夜間頻尿または尿意切迫など)を中心に、QOL(Quality of Life)を重視したものである(例えば、非特許文献3等参照)。このNIH-CPSIは、米国及び日本において 慢性前立腺炎での重症度と薬剤の治療効果判定の為に重要と判断され利用されている。それを用いた研究によれば、慢性前立腺炎は、同様に前立腺疾患である前立腺肥大症と比較して、排尿刺激症状(頻尿など)は同等であるものの、痛み・不快感及びQOLは高値を示すことが報告されている(例えば、非特許文献6及び7等参照)。このことから、慢性前立腺炎は自覚症状として非常に苦渋を伴う疾患であることが伺える。このNIH-CPSI による症状スコアから、慢性に経過する前立腺炎症候群の治療が目指すべきエンドポイントはあくまで症状の軽快(排尿障害、疼痛、QOLの改善)にあることが再認識されている。ところで、前立腺炎モデル動物を用いた基礎研究において、炎症を起こした前立腺病理組織像を示し、その改善をもって治療効果を評価している実験が散見される(例えば、非特許文献8等参照)。しかし、実際には慢性前立腺炎患者について前立腺の組織診を行うことは殆どなく、報告例もあまりないことから、前立腺組織がどの段階でどのような形態を示しているのか分かっていないのが現状である。
【0005】
次に、慢性非細菌性前立腺炎に対する治療法であるが、慢性非細菌性前立腺炎の発症病因は、前立腺液のうっ滞、自己免疫やアレルギーの関与、MycoplasmaやChlamydia trachomatisの関与、性ホルモンバランス失調、心理的要因などの多様な原因や病態が背景にある(例えば、非特許文献9及び10等参照)。そのため、抗菌薬投与、前立腺マッサージ、排尿障害改善のためのα1遮断薬(prazocin、bunazocin、terazocinなど)や催眠鎮静剤・抗不安剤(ジアゼパムなど)の投与、前立腺部尿道の浮腫を除くことを目的とした植物エキスや花粉エキス(セルニルトン)、漢方薬、及び非ステロイド系消炎鎮痛剤などの投与、温座浴、並びに温熱療法(hyperthermia)などの種々の治療法が試みられている(例えば、非特許文献11等参照)。しかしながら、慢性非細菌性前立腺炎は各種治療に抵抗性を示し、長期持続性のある難治性疾患である。この理由として、その病因が多岐であるため、 抗菌薬や抗炎症剤投与などで主な要因である前立腺の炎症を沈静化しても、前立腺炎により前立腺組織に隣接する膀胱や尿道(膀胱及び尿道を総称して「下部尿路」ともいう)などへの波及的影響あるいは排尿に関わる神経系への影響が残存し、これによって疼痛や排尿刺激症状を呈している可能性が考えられる(例えば、非特許文献12等参照)。
【0006】
臨床病態として下部尿路障害をもたらす疾患は数多く、下部尿路障害のうち頻尿や尿失禁等の刺激症状(蓄尿障害)を来す疾患として、膀胱炎、尿道炎、前立腺炎、神経性頻尿、膀胱神経症、及び萎縮膀胱(間質性膀胱炎など)などが、また、排尿困難や尿閉等の閉塞症状(排尿障害)を来す疾患として膀胱排尿筋収縮障害、膀胱頸部硬化症、膀胱腫瘍、前立腺癌、前立腺炎、尿道狭窄、及び尿道腫瘍などが報告されている(例えば、非特許文献13等参照)。このように前立腺炎は、上記下部尿路障害の刺激症状(蓄尿障害)と閉塞症状(排尿障害)の双方を併発し得る疾患である。このため、かかる下部尿路障害の改善を含めた新たな治療法及び治療薬の開発が望まれている。
【0007】
慢性前立腺炎の病態解明及び治療薬開発の手段として、基礎研究において様々な前立腺炎モデル動物の作製が試みられ検討が繰り返されてきた。細菌性前立腺炎のモデル動物に関しては起炎菌の直接接種によるモデル動物の作製が、また、非細菌性前立腺炎のモデル動物に関しては、主に自己免疫反応によるモデル動物作製及びアンドロゲン及びエストロゲンの過剰投与によるホルモンバランス不均衡のモデル動物作製、その他、外科的手法による尿道の部分閉塞によるモデル動物作製、加齢による自然発症的なモデル動物作製、ストレス刺激によるモデル動物作製、リポ多糖(LPS)直接前立腺接種によるモデル動物作製、妊娠時及び授乳期に雌ラットに薬物投与し出生雄ラットに自然発症を誘発するモデル動物作製、食餌の成分変化させた継続的な摂取による発症モデル動物作製、起炎微生物(クラミジア)接種によるモデル動物作製等を挙げることができる。これらのモデル動物を対象とした研究は、いずれも炎症を起こした前立腺組織の病理組織学的検討、それに伴う炎症性サイトカインの変動、炎症性細胞浸潤(肥満細胞、リンパ球)に関わるパラメータ、炎症関連遺伝子の変化などを主眼としたものであって、臨床で問題となっている自覚症状(排尿障害、疼痛、QOL)に主眼をおいた研究報告は未だない。前立腺炎に付随する病態を探索する上で、前立腺組織障害に加え下部尿路障害を併せ持つ臨床病態を反映した前立腺炎モデル動物が作製できれば、同一モデルにおいて組織障害改善作用と下部尿路障害改善作用の両方を同時に評価することが可能となり、前立腺炎予防・治療薬を開発するうえでのスクリーニング用モデル動物として非常に有用であろうと期待される。
【0008】
慢性前立腺炎に伴う下部尿路障害として、非細菌性前立腺炎は炎症による浮腫、腫脹により頻尿(蓄尿障害)を呈し、前立腺関連疼痛症候群は、骨盤底筋の過緊張、下部尿路の機能障害などにより排尿困難(排尿障害)を呈する。こうした下部尿路障害は、前立腺が解剖学的に膀胱の出口部で尿道を取り囲むように存在することによることが知られている。ゆえに、前立腺炎等の前立腺疾患は、程度は種々あるものの、下部尿路障害を併発しやすい。さらに、前立腺疾患は下部尿路障害に引き続いて膀胱の形態や機能変化を生じることがあることも指摘されている(排尿障害プラクティス,8:41-48,2000)。
【0009】
しかしながら、現在、ヒトの慢性前立腺炎で見られるような前立腺炎に起因する下部尿路障害(頻尿等の蓄尿障害、排尿困難等の排尿障害)を呈する病態モデル非ヒト動物は存在せず、その開発が待望されているのが実情である。
【0010】
現在までに、非細菌性前立腺炎モデル動物としては、▲1▼リポ多糖(LPS)を用いて作製されたモデル動物(例えば、非特許文献14等参照)、▲2▼Dihydrotestosterone+Estradiolを用いて作製されたモデル動物(例えば、非特許文献15等参照)、▲3▼去勢ラットにEstradiolを注入して作製されたモデル動物(例えば、非特許文献16等参照)、▲4▼雄ラットの前立腺腹葉にエタノールを注入し粘膜機能を低下させ、dinitrobenzenesulfonic acid (DNBS)を処置して炎症を誘発させて作製したモデル動物(例えば、非特許文献17等参照)、▲5▼塩酸をラット輸精管内に注入して作製したモデル動物(例えば、非特許文献18等参照)等が公知である。しかしながら、上記▲1▼〜▲4▼のモデル動物には少なからず下記の欠点があることが指摘されている。具体的には、▲1▼については前立腺組織障害がLPS注入局所周囲に限定されること、▲2▼、▲3▼はいずれもホルモンと投与することによってホルモンバランスを崩して作製されるためモデル成立までに比較的長い期間を要すること(最低3〜4週間)、また作製途中で確実にホルモンが投与されているかどうかを確認することができないため、ホルモン投与用のカプセル不具合によってモデル不成立の可能性もあること、▲3▼についてはモデル動物の作製に際して、去勢手術とホルモン投与用のカプセル移植の2回の手術を要する等、煩雑な処理が必要であること、及び▲4▼についてはモデル動物作製の7日目には前立腺炎症が重篤になり、モデル動物の半数以上が尿道閉塞によって死亡することを挙げることができる。また、▲5▼については、本発明者らによる実験結果により、病理組織学的見地から前立腺炎症が非常に軽度しか発症しないことが判明している(後述する実施例参照)。
【0011】
【非特許文献1】
Collins、MM.: How common is prostatitis? A national survey of physician visits. J Urol 159: 1224-1228, 1998.
【0012】
【非特許文献2】
北川敏博, 速見浩士,川原元司 他: 前立腺炎症候群の患者数−前立腺炎症候群は増えているのか?− Prog. Med. 18: 2149-2152, 1998
【0013】
【非特許文献3】
荒川創一:前立腺炎症候群の原因と治療.日本醫事新報, 4017:25-30, 2001
【0014】
【非特許文献4】
荒川創一:前立腺炎と頻尿.今月の治療 6: 863-865, 1998
【0015】
【非特許文献5】
横山雅好:[前立腺診療のすべて] 前立腺炎とプロスタトディニア. 臨床科学 33:1561-1567, 1997
【0016】
【非特許文献6】
門田晃一, 津川昌也, 二ノ宮祐子,他:The National Institutes of Health chronic prostatitis symptom index (NIH-CPSI、日本語版・岡山大学案)の有用性と慢性非細菌性前立腺炎に対するセルニチンポ−レンエキスの臨床評価.日泌尿会誌. 93: 539-547, 2002
【0017】
【非特許文献7】
Mark, SL., Mary, M-C., Floyd, JF. et al.: The national institutes of health chronic prostatitis symptom index:development and validation of new outcome measure. J.Urol. 162: 369-375, 1999.
【0018】
【非特許文献8】
花本美津恵, 廖敏, 鈴木始, 他:Cernitin pollen-extract (CerniltonR)のラット非細菌性前立腺炎に対する作用. 薬理と治療. 26: 1807-1815, 1998.
【0019】
【非特許文献9】
Pewitt, EB., Schaeffer, AJ.: Urinary tract infection in urology : including acute and chronic prostatitis. Infect Dis Clin North Am. 11: 623-646, 1997.
【0020】
【非特許文献10】
Donovan,DA., Nicholas, PK.:Diagnosis and treatment in primary care. Nurse Practitioner. 22: 144-156, 1997.
【0021】
【非特許文献11】
小野寺昭一:前立腺炎症候群の病態別治療 4.非細菌性前立腺炎. Prog. Med. 18: 2191-2194, 1998.
【0022】
【非特許文献12】
塚本泰司, 舛森直哉:排尿の症状と前立腺.日医雑誌. 119: 609-612, 1998.
【0023】
【非特許文献13】
宮武竜一郎, 栗田孝:前立腺肥大症 他の原因による排尿障害との鑑別診断. 排尿障害プラクティス. 10: 78-81, 2002.
【0024】
【非特許文献14】
J. Urol., 162:248, 1999
【0025】
【非特許文献15】
Prostate, 44:19, 2000
【0026】
【非特許文献16】
Prostate, 12:271, 1988
【0027】
【非特許文献17】
Micheal, DL., J.Curtis, N., Merle, EO. et al. :Rat model of experimenttally induced abacterial prostatitis. The Prostate. 45: 201-206, 2000.
【0028】
【非特許文献18】
後藤俊弘: 前立腺炎の基礎的, 臨床的検討. 西日泌尿.50: 446-455、 1988
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ヒト慢性非細菌性前立腺炎の予防又は治療薬の開発に有効に使用することのできるモデル動物(非ヒト動物)、具体的には、前立腺の病理組織学的変化および下部尿路障害、また好ましくは更に膀胱重量の増加の点から、ヒト慢性非細菌性前立腺炎の病態を模倣した非細菌性前立腺炎モデル動物(非ヒト動物)を提供することである。また、本発明の目的は、上記モデル動物の作製方法を提供することである。
【0030】
更に、本発明の目的は、上記モデル動物を用いることによるヒト慢性非細菌性前立腺炎の予防または治療に有効な物質のスクリーニング方法、ならびに当該方法によって取得される物質を有効成分とするヒト慢性非細菌性前立腺炎の予防若しくは治療用の医薬組成物を提供することである。
【0031】
また、本発明の目的は、上記モデル動物を用いることによって、被験薬物について、ヒト慢性非細菌性前立腺炎の予防に対する薬効評価をする方法、またはヒト慢性非細菌性前立腺炎の治療に対する薬効評価をする方法を提供することである。
【0032】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、日夜鋭意検討を重ねていたところ、塩酸を非ヒト動物の前立腺被膜下に注入することにより、前立腺の病理組織学的変化および下部尿路障害、さらに好適には膀胱重量の増加の点から、ヒト慢性非細菌性前立腺炎の病態を模倣する症状を備えた非ヒト動物が作製できることを見いだした。そして、当該非ヒト動物をヒト慢性非細菌性前立腺炎のモデル動物として用いることによって、ヒト慢性非細菌性前立腺炎の予防または治療に有効な薬物(候補物質)の取得が可能であり、さらにヒト非細菌性前立腺炎の予防または治療に有効な薬物の薬効評価が可能であることを確信した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0033】
すなわち、本発明は下記(1)〜(2)に掲げるモデル動物である:
(1)前立腺被膜下に塩酸を注入することにより作製される非ヒト動物であって、前立腺組織にヒト慢性非細菌性前立腺炎に特徴的に認められる組織障害とヒト慢性非細菌性前立腺炎に特徴的に認められる下部尿路障害を同様に有することを特徴とする非細菌性前立腺炎モデル動物。
(2)非ヒト動物が、ラットである(1)に記載の非細菌性前立腺炎モデル動物。
【0034】
なお、本発明のモデル動物には下記の態様のものも含まれる:
(i)塩酸を前立腺の側葉被膜下に注入することにより作製される非ヒト動物である、上記(1)または(2)に記載の非細菌性前立腺炎モデル動物。
(ii)前立腺被膜下に塩酸を注入し、4日〜1週間程度飼育した非ヒト動物である、上記(1)または(2)に記載の非細菌性前立腺炎モデル動物。
(iii)さらに膀胱重量の増加(膀胱/体重の重量比の増加)を有するものである上記(1)または(2)に記載の非細菌性前立腺炎モデル動物。
【0035】
更に本発明は、下記(3)及び(4)に掲げる、上記非細菌性前立腺炎モデル動物を作製する方法である:
(3)非ヒト動物の前立腺被膜下に塩酸を注入し、該非ヒト動物を飼育して、前立腺炎を生じさせることを含む、(1)の非細菌性前立腺炎モデル動物を作製する方法。
(4)非ヒト動物が、ラットである(3)記載の非細菌性前立腺炎モデル動物の作製方法。
【0036】
なお、本発明のモデル動物の作製方法には下記の態様のものも含まれる:
(iv)塩酸を前立腺の側葉被膜下に注入することによって行われる、上記(3)または(4)に記載の非細菌性前立腺炎モデル動物の作製方法。
(v)前立腺被膜下に塩酸を注入し、飼育を4日〜1週間程度行う、上記(3)または(4)に記載の非細菌性前立腺炎モデル動物の作製方法。
【0037】
また本発明は、下記(5)に掲げるヒト慢性非細菌性前立腺炎の治療用物質、並びに(6)に掲げるヒト慢性非細菌性前立腺炎の予防用物質のスクリーニング方法である:
(5)上記(1)または(2)に記載の非細菌性前立腺炎モデル動物に被験物質を投与し、該被験物質について非細菌性前立腺炎モデル動物の前立腺組織における組織障害及び/又は下部尿路障害に対する改善効果を検定する工程を含む、ヒト慢性非細菌性前立腺炎の治療用物質のスクリーニング方法。
(6)前立腺被膜下に塩酸を注入することにより作製される前立腺炎未発生の予備・非細菌性前立腺炎モデル動物に被験物質を投与し、該被験物質について予備・非細菌性前立腺炎モデル動物の前立腺組織における組織障害及び/又は下部尿路障害に対する発生抑制効果を検定することを含む、ヒト慢性非細菌性前立腺炎の予防用物質のスクリーニング方法。
【0038】
なお、上記で用いられる予備・非細菌性前立腺炎モデル動物は、上記(3)及び(4)に記載する非細菌性前立腺炎モデル動物の作製方法において、非ヒト動物の前立腺被膜下に塩酸を注入し、4日未満内の飼育で作製することができる前立腺炎未発生の非ヒト動物である。
【0039】
また、本発明は、下記(7)に記載するように、上記スクリーニング方法を用いることによって得られた物質を含む医薬組成物に関する:
(7)上記(5)または(6)に記載のスクリーニング方法により非細菌性前立腺炎に対して改善効果又は予防効果を有すると判定された物質を含有するヒト非細菌性前立腺炎の治療用又は予防用の医薬組成物。
【0040】
更に、上記(5)及び(6)の方法は、それぞれ投与する被験物質(被験薬物)のヒト非細菌性前立腺炎に対する治療効果及び予防効果の評価方法として応用することができる。当該方法は、下記(8)、(9)として規定することができる:
(8)上記(1)〜(2)のいずれかに記載のモデル動物に、薬効評価すべき被験薬物を投与し、該薬物の非細菌性前立腺炎モデル動物の前立腺組織における組織障害及び/又は下部尿路障害に対する改善効果を検定する工程を含む、薬物のヒト非細菌性前立腺炎の改善に対する薬効評価方法。
(9)前立腺被膜下に塩酸を注入することにより作製される前立腺炎未発生の予備・非細菌性前立腺炎モデル動物に、薬効評価すべき被験薬物を投与し、該薬物について予備・非細菌性前立腺炎モデル動物の前立腺組織における組織障害及び/又は下部尿路障害に対する発生抑制効果を検定することを含む、薬物のヒト非細菌性前立腺炎の予防に対する薬効評価方法。
【0041】
【発明実施の形態】
(1)非細菌性前立腺炎モデル動物及びその作製方法
本発明が対象とする非細菌性前立腺炎モデル動物は、ヒトの慢性非細菌性前立腺炎を反映したヒト以外の病態モデル動物(非ヒト動物)である。具体的には、本発明の非細菌性前立腺炎モデル動物は、少なくとも、前立腺組織、好適には前立腺及びその周辺組織が、慢性非細菌性前立腺炎に罹患したヒトの前立腺組織またはその周辺組織に認められる病理組織学的特徴、並びにヒト慢性非細菌性前立腺炎に特有に認められる下部尿路障害を同様に有するヒト以外の動物である。
【0042】
ヒト慢性非細菌性前立腺炎の病理組織学的特徴については、組織像は慢性炎症性反応と間質線維の増生とからなり、小葉周囲にリンパ球、形質細胞及び大食細胞の浸潤が認められ、導管部基底細胞の過形成を伴うことが多いと報告されている(外科病理学, 文光堂(株), p.793-794, 1999)。本発明が対象とする非細菌性前立腺炎モデル動物は、具体的には、少なくとも前立腺の間質部に炎症性細胞浸潤及び結合組織の増加(増生)といった特徴を備えているものである。
【0043】
詳細は後述する実施例に記載するが、本発明の好適なモデル動物は、作製(塩酸注入)4日目以降に前立腺の間質内に重度の線維芽細胞の増生と線維化が観察され、炎症性細胞浸潤(マクロファージ、好酸球等の湿潤)が認められている。当該モデル動物の病理組織像はヒトの慢性非細菌性前立腺炎組織像と一致している。また、当該モデル動物は、尿道周辺の前立腺組織まで、上記障害が認められ、そうした組織障害がモデル作製の8日目以後まで持続する。しかし、当該モデル動物は、前立腺組織及びその周辺組織のみに障害を有しており、尿道や膀胱組織に障害は認められない。ゆえに、本発明の好適な非細菌性前立腺炎モデル動物は、前立腺または前立腺とその周辺組織にヒトの慢性非細菌性前立腺炎に特徴的に認められる障害を同様に有するものの、尿道や膀胱組織といった尿路下部組織には組織障害を有さない非ヒト動物であることができる。
【0044】
またヒトにおける慢性非細菌性前立腺炎の病態としては、下腹部や会陰部の疼痛、射精時の不快感、及び下部尿路障害(排尿時に関する症状:頻尿などの蓄尿障害、及び排尿困難などの排尿障害)などが報告されている。また、慢性非細菌性前立腺炎の診断には、泌尿・生殖器・骨盤領域の痛みと排尿症状をスコア化させたものを問診票として用いる方法が採用されている。中でも慢性非細菌性前立腺炎患者が最も症状を訴えるのは排尿症状、特に頻尿症状(蓄尿障害:排尿間隔の短縮症状)である。これは前立腺に炎症が生じることによって膀胱が過活動性になる(無抑制膀胱収縮、不安定膀胱)ことによるものである。通常は膀胱の知覚はAδ繊維を介して背髄に伝達されるが、炎症時にはC繊維が傷害信号伝達神経として機能し、 Aδ繊維にC繊維による知覚伝達が加算され知覚過敏となって無抑制膀胱収縮が発生するとの可能性が報告されている(排尿障害プラクティス, 8: 97-102, 2000)。また、こうした不安定膀胱が神経系の変化を伴っているとの報告もある(排尿障害プラクティス, 8: 97-102, 2000)。
【0045】
本発明が対象とする非細菌性前立腺炎モデル動物は、上記ヒト慢性非細菌性前立腺炎に特徴的に認められる病態(症状)のうち、少なくとも下部尿路障害を同様に有する非ヒト動物である。下部尿路障害のうち、好ましくは頻尿、尿失禁、有効膀胱容量の減少(1回排尿量の低下)などの症状を有する蓄尿障害である。
【0046】
詳細は後述する実施例に記載するが、本発明の好適なモデル動物は、対応する正常動物に比して、排尿間隔が短く、また一回排尿量が少なくかつ残尿量が多いことが認められている。当該モデル動物の病態(症状)は慢性非細菌性前立腺炎に罹患したヒト患者の下部尿路障害に関わる病態(症状)と一致している。ゆえに、本発明の好適な非細菌性前立腺炎モデル動物は、ヒトの慢性非細菌性前立腺炎に特徴的に認められる下部尿路障害、少なくとも頻尿、有効膀胱容量の減少(1回排尿量の低下)、残尿といった蓄尿障害を同様に有する非ヒト動物であることができる。
【0047】
なお、非ヒト動物について上記蓄尿障害、特に頻尿、有効膀胱容量(1回排尿量)、及び残尿を評価する方法としては、排尿間隔、一回排尿量、及び残尿量を測定する方法を例示することができる。当該方法は、当業界において「覚醒下ラット膀胱内圧・排泄量同時測定法」や「シストメトリー法」等として既に確立しており(Am.J.Physiol.,251:R1177, 1986; 神経泌尿器科学研究法, (株)日本医学館, p158-165, 2000)、当該方法に準じて行うことができる。
【0048】
詳細は実施例において記載するが、簡単に説明すれば以下の通りである。
▲1▼体重測定し、麻酔薬ウレタンを1.0g/kgの用量で腹腔内投与し麻酔する。腹部を切開し膀胱を露出する。
▲2▼測定する非ヒト動物の膀胱内にポリエチレンカテーテルを約6mm挿入して固定する。
▲3▼膀胱内に挿入固定したカテーテルの他端は三方活栓で二分し、一方はトランスデューサーを介して圧力アンプで膀胱内圧を測定する。
▲4▼カテーテルの他方は、生理食塩液を注入するため、生理食塩液保温装置を経由して持続注入器に接続する。
▲5▼測定対象の非ヒト動物を伏臥位に固定し、膀胱内に5.0mL/hrの速度で生理食塩液(37℃)を注入し、膀胱内圧を測定し記録する。
▲6▼同時に膀胱から尿管を通じて排泄される尿量(排尿量)は、非ヒト動物を収容したケージ直下にデジタル天秤を設置し、排泄される尿をシャーレ内に累積的にトラップしながら、その重量変化を測定し記録する。
▲7▼測定終了後、排尿終了時点で膀胱内に貯留している液を吸引し、これを残尿量とする。
▲8▼なお、排尿間隔、一回排尿量、残尿量の値は、測定開始30〜60分の30分間の膀胱内圧波形、排尿量のモニター結果を解析することにより算出する。
【0049】
ところで、最近、膀胱重量の測定は、臨床において尿閉を予測したり、下部尿路閉塞の程度や膀胱の組織学的変化を推測するのに有用であるとの報告がされている(排尿障害プラクティス, 8:41-48, 2000)。このことから、今後、膀胱重量は、非細菌性前立腺炎を含む前立腺疾患に共通した下部尿路症状の病態の予測因子としても有用であろうと考えられる。ゆえに、本発明の非細菌性前立腺炎モデル動物は、より好適には、ヒト慢性非細菌性前立腺炎と同様に、上記組織学的(前立腺組織障害)かつ病態的特徴(下部尿路障害)を備えるとともに、付加的要素として膀胱重量が対応する正常動物に比して増加していることを一つの特徴とすることもできる。なお、膀胱重量の増加は、実施例で具体的に示すように、通常、体重当たりの膀胱重量比でもって評価することができる。
【0050】
こうした、組織学的及び病態的にヒト慢性非細菌性前立腺炎と同様の特徴を備え、また好適には更に膀胱の重量増加が認められる本発明の非細菌性前立腺炎モデル動物は、非ヒト動物の前立腺被膜下に塩酸を注入し、一定期間飼育することにより作製することができる。
【0051】
ここで当該病態モデル動物の作製のために使用できる非ヒト動物としては、ヒト以外の例えばラット、ヌードラット、マウス、ヌードマウス、モルモット、ハムスター、ウサギ、イヌ、ネコ、サル等の通常実験に汎用される哺乳動物を挙げることができる。好ましくは、ラット、ヌードラット、マウス、ヌードマウス、モルモット、ハムスター、ウサギ等のげっ歯動物であり、より好ましくは操作や飼育の簡便性からラット、ヌードラット、マウス又はヌードマウスを挙げることができる。また、当該動物は、例えばラット、マウス、ヌードマウス等の場合、10〜12週齢のものを用いることが好ましい。
【0052】
本発明にて使用される塩酸の濃度としては、0.1〜0.6Nを挙げることができる。好ましくは0.2〜0.5Nである。注入量は、対象とする非ヒト動物の種類によっても異なるが、通常0.2〜0.35ml/kg体重、好ましくは0.25〜0.3ml/kg体重を例示することができる。
【0053】
なお、前立腺被膜下への塩酸の注入方法も特に制限されないが、簡便には、例えば27G静脈用針装填のディスポーザブル注射筒を用いた前立腺被覆下投与を利用することができる。
【0054】
塩酸は、前述する非ヒト動物の前立腺被膜下に注入される。注入部位として具体的にはヒトの前立腺炎の好発部位である辺縁部に解剖学的に近似した前立腺側葉を好適に挙げることができる。
【0055】
斯くして前立腺被膜下に塩酸が注入された非ヒト動物は、飼育に供される。飼育条件は特に制限されず、通常の飼育条件を採用してもよいし、また抗菌条件下で飼育することもできる。具体的には、飼育条件として温度20〜26℃、相対湿度30〜70%、照明12時間の明暗サイクル、換気回数10回以上/時間の飼育室環境で、収容動物数3匹/ケージで飼育し、固形飼料の自由摂食、自動飲水装置からの自由摂水条件を例示することができる。
【0056】
非ヒト動物の飼育期間は、塩酸注入後、通常3日〜2週間程度であり、好ましくは塩酸注入から4日〜1週間程度である。その結果、前立腺被膜下に塩酸が注入された非ヒト動物の前立腺組織は慢性非細菌性前立腺炎に罹患したヒトの前立腺組織と同様な病理組織学的特徴を備えるようになり、また当該非ヒト動物は、慢性非細菌性前立腺炎ヒト患者に特徴的に認められる病態(症状)である下部尿路障害(特に頻尿、一回排尿量の低下、残尿などの蓄尿障害)を備えている。
【0057】
斯くして作製された非ヒト動物を、ヒト慢性非細菌性前立腺炎を反映した非細菌性前立腺炎モデル動物として提供することができる。当該ヒト慢性非細菌性前立腺炎を反映したより好適な非細菌性前立腺炎モデル動物は、塩酸注入し飼育8日経過後の非ヒト動物である。
【0058】
当該非細菌性前立腺炎モデル動物はヒト慢性非細菌性前立腺炎の治療の為の有効物質の探索、並びに個々の被験物質または被験薬物についてヒト慢性非細菌性前立腺炎に対する治療効果を評価するのに有効に用いることができる。
【0059】
(2)ヒト慢性非細菌性前立腺炎の治療有効成分のスクリーニング方法
本発明は、上記のヒト慢性非細菌性前立腺炎を反映した非細菌性前立腺炎モデル動物を用いて、ヒト慢性非細菌性前立腺炎の治療に有効な物質をスクリーニングする方法に関する。
【0060】
具体的には、当該方法は、前述する非細菌性前立腺炎モデル動物に被験物質を投与し、該被験物質について非細菌性前立腺炎モデル動物の前立腺組織における組織障害及び/又は下部尿路障害に対する改善効果を検定することによって実施することができる。
【0061】
対象とする非細菌性前立腺炎モデル動物は、前述するものである限りにおいて特に制限されないが、好適にはラット、ヌードラット、マウス又はヌードマウス、より好ましくはラットであり、塩酸注入後4日以上、好ましくは4日〜1週間程度飼育したもの、より好ましくは飼育8日経過後のものを好適に用いることができる。
【0062】
なお、ここで用いられる被験物質は、特に制限されず、低分子有機/無機化合物、高分子有機/無機化合物、核酸、アミノ酸、ペプチドまたは蛋白質のいずれをも対象とすることができる。また、これらは精製物であっても、また植物、動物または微生物等の抽出物等のように粗精製物であってもよい。また被験物質の製造方法も特に制限されず、天然物から単離されたものであっても、化学的または生化学的に合成されたものであっても、また遺伝子工学的に調製されたものであってもよい。
【0063】
また非細菌性前立腺炎モデル動物に対する被験物質の投与方法も特に制限されない。投与する被験物質の種類に応じて、経口投与または皮下、静脈、局所、経皮若しくは経腸(直腸)などの非経口投与を適宜選択することができる。好ましくは経口投与である。
【0064】
被験物質のヒト慢性非細菌性前立腺炎に対する治療効果は、当該被験物質について非細菌性前立腺炎モデル動物に対する前立腺組織(または前立腺及びその周辺組織)における組織障害及び/又は下部尿路障害に対する改善効果を検定することによって評価することができる。具体的には、被験物質をモデル動物に投与後、一定期間飼育した後に、当該モデル動物について、前立腺組織(または前立腺及びその周辺組織)を観察して病理組織学的特徴を評価したり、また膀胱機能(排尿量、排尿頻度、残尿量など)を測定することによって、モデル動物の当初の組織障害や下部尿路障害が改善されているかどうかを評価することによって実施することができる。なお、組織障害及び下部尿路障害の改善は、両方の改善の有無を評価することが望ましいが、いずれか一方を評価してもよい。
【0065】
さらに上記の検定に加えて、モデル動物の膀胱重量を測定し、膀胱の重量増加の抑制効果を改善の指標の一つとすることもできる。
【0066】
なお、病理組織の評価は、対象とする組織をヘマトキシリン・エオジン(H.E.)で染色して組織標本スライドを作成し、これを光学顕微鏡を用いて観察倍率20〜100倍で観察することによって行うことができる。具体的には、被験モデル動物の前立腺組織(または前立腺及びその周辺組織)を光学顕微鏡で観察し、その病理組織学的な変化を正常な非ヒト動物の対応する臓器〔前立腺組織(または前立腺及びその周辺組織)〕と比較する。この際、病理グレードの評価基準(グレード(障害度):1:変化なし[正常非ヒト動物の組織(正常組織)と比べて変化がない]、2:軽微[正常組織と比較して初めて変化が分かる程度]、3:軽度[組織障害が1/4程度]、4:中等度[組織障害が1/2程度]、5:重度[明らかに組織障害が1/2以上])を指標として、被験モデル動物の病理組織の評価を行うことができる。組織障害の改善効果の有無は、被験モデル動物について上記グレード(障害度)の変動により判定することができる(グレードの低下:改善効果あり、グレードの上昇:改善効果なし)。
【0067】
こうして、被験物質投与前の非細菌性前立腺炎モデル動物が備える前立腺組織障害及び/又は下部尿路障害を改善して、対応する正常な非ヒト動物が備える前立腺組織(組織像)及び膀胱機能に近づける効果を有する被験物質を、また好適にはさらに膀胱重量の増大化を抑制する効果を有する被験物質を、ヒト慢性非細菌性前立腺炎の治療に有効な物質として選択することができる。
【0068】
具体的には、かかる治療効果物質の選択は、被験物質を投与しない対照の非細菌性前立腺炎モデル動物(比較動物)について、同様に、一定期間飼育後、前立腺組織及び/又は膀胱機能、さらに必要に応じて膀胱重量を測定し、次いで被験物質を投与して一定期間飼育した被験動物と上記比較動物とで、前立腺組織及び/又は膀胱機能、さらに必要に応じて膀胱重量を対比し、当該被験動物の前立腺組織及び/又は膀胱機能、さらに膀胱重量(膀胱/体重の重量比)を、正常な非ヒト動物の前立腺組織及び/又は膀胱機能、さらに膀胱重量(膀胱/体重の重量比)により近づける効果を奏する被験物質を選択することによって実施することができる。
【0069】
斯くして選別される物質は、ヒト慢性非細菌性前立腺炎の治療薬の有効成分として有用に用いることが可能である。
【0070】
なお、前述する本発明のスクリーニング方法により、選抜されるヒト慢性非細菌性前立腺炎の治療有効物質は、必要に応じて、さらに他の薬効試験や安全性試験などを行うことにより、またさらにヒト慢性非細菌性前立腺炎患者への臨床試験を行うことにより、より効果の高い、また実用性の高い治療有効物質を選別することができる。
【0071】
このようにして選別される治療有効物質は、さらにその構造解析結果に基づいて、化学的合成、生化学的合成(発酵)または遺伝子学的操作によって、工業的に製造することもできる。
【0072】
(3)ヒト慢性非細菌性前立腺炎の予防有効成分のスクリーニング方法
本発明は、さらにヒト慢性非細菌性前立腺炎の予防に有効な物質をスクリーニングする方法に関する。
【0073】
当該方法は、前述する本発明の非細菌性前立腺炎モデル動物の作製過程において得られる、前立腺炎未発生のいわゆる予備・非細菌性前立腺炎モデル動物を被験動物として用いることによって実施することができる。
【0074】
具体的には、予備・非細菌性前立腺炎モデル動物は、上記非細菌性前立腺炎モデル動物の作製に用いられる非ヒト動物の前立腺被膜下、好ましくは前立腺側葉被膜下に、前述する方法で塩酸を注入することによって作製することができる。塩酸注入直後もしくは初期の、前立腺炎未発生の状態の非ヒト動物を、ここでいう予備・非細菌性前立腺炎モデル動物として規定することができる。
【0075】
前立腺炎未発生とは、具体的には、前述する非細菌性前立腺炎モデル動物に認められる特有の前立腺組織または前立腺及びその周辺組織における組織障害が実質的に生じていない状態、さらに下部尿路障害が実質的に生じていない状態を意味する。
【0076】
通常、塩酸注入直後もしくは注入から飼育4日未満の非ヒト動物を利用することができる。
【0077】
本発明の方法は、当該予備・非細菌性前立腺炎モデル動物を対象として、被験物質を投与し、該被験物質について予備・非細菌性前立腺炎モデル動物の前立腺組織(または前立腺及びその周辺組織)における組織障害及び/又は下部尿路障害に対する発生抑制効果を検定することによって実施することができる。
【0078】
ここで用いられる被験物質、及びその投与方法としては、(2)において前述するもの及び方法を同様に挙げることができる。
【0079】
被験物質のヒト慢性非細菌性前立腺炎に対する予防効果は、当該被験物質の予備・非細菌性前立腺炎モデル動物に対する前立腺組織(または前立腺及びその周辺組織)における組織障害及び/又は下部尿路障害の発生抑制効果から評価することができる。具体的には、モデル動物に被験物質を投与後、一定期間(ラットの場合1週間程度)飼育した後に、当該モデル動物について、前立腺組織(または前立腺及びその周辺組織)を観察して病理組織学的特徴を評価したり、また膀胱機能(一回排尿量、排尿頻度、残尿量など)を測定することによって、非細菌性前立腺炎モデル動物で認められる組織障害や下部尿路障害を生じていないかどうかを評価することによって実施することができる。なお、組織障害や下部尿路障害の発生の有無は、両方とも評価することが望ましいが、いずれか一方を評価してもよい。
【0080】
さらに上記に加えて、膀胱の重量を測定し、膀胱の重量が増加していないことを予防の指標の一つとすることもできる。
【0081】
なお、病理組織の評価は、(2)において前述する方法を同様に使用することができる。組織障害の予防効果の有無は、被験モデル動物について上記グレード(障害度)の変動により判定することができる(グレードの上昇なし:予防効果あり、グレードの上昇あり:予防効果なし)。
【0082】
被験モデル動物(予備・非細菌性前立腺炎モデル動物)に対して、非細菌性前立腺炎モデル動物が備える前立腺組織障害及び/又は下部尿路障害の発生を抑制して、モデル動物に対応する正常な非ヒト動物が備える前立腺組織(組織像)及び膀胱機能を維持する効果を有する被験物質を、また好適にはさらに膀胱重量の増大化を抑制する効果を有する被験物質を、ヒト慢性非細菌性前立腺炎の予防に有効な物質として選択することができる。
【0083】
具体的には、かかる予防効果物質の選択は、被験物質を投与しない対照の予備・非細菌性前立腺炎モデル動物(比較動物)について、同様に、一定期間飼育後、前立腺組織及び/又は膀胱機能、さらに必要に応じて膀胱重量を測定し、次いで被験物質を投与し一定期間飼育した被験動物と上記比較動物とで、前立腺組織及び/又は膀胱機能、さらに必要に応じて膀胱重量を対比し、当該被験動物の前立腺組織及び/又は膀胱機能、及び必要に応じて膀胱重量(膀胱/体重の重量比)について、正常な非ヒト動物の前立腺組織及び/又は膀胱機能の状態、さらに必要に応じて膀胱重量(膀胱/体重の重量比)の状態を維持する効果を奏する被験物質を選択することによって実施することができる。
【0084】
斯くして選別される物質は、ヒト慢性非細菌性前立腺炎の予防薬の有効成分として有用に用いることが可能である。
【0085】
なお、前述する本発明のスクリーニング方法により、選抜されるヒト慢性非細菌性前立腺炎の予防有効物質は、必要に応じて、さらに他の薬効試験や安全性試験などを行うことにより、またさらにヒトに対するの臨床試験を行うことにより、より効果の高い、また実用性の高い予防有効物質として選別することができる。
【0086】
このようにして選別される予防有効物質は、さらにその構造解析結果に基づいて、化学的合成、生化学的合成(発酵)または遺伝子学的操作によって、工業的に製造することもできる。
【0087】
(4)ヒト慢性非細菌性前立腺炎の予防または治療のための医薬組成物
上記のスクリーニングによって得られるヒト慢性非細菌性前立腺炎の治療または予防に有効な物質は、そのままもしくは自体公知の薬学的に許容される担体(賦形剤、増量剤、結合剤、滑沢剤などが含まれる)や慣用の添加剤などと混合して医薬組成物として調製することができる。
【0088】
本発明はかかるヒト慢性非細菌性前立腺炎の治療または予防のための医薬組成物を提供する。なお、これらの有効成分は、上記方法により選別され直接取得されたものに限定されず、上記で選別された物質に関する情報に基づいて常法に従って化学的、生化学的あるいは遺伝子工学的手法により製造されるものであってもよい。
【0089】
当該医薬組成物は、調製する形態(錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤;注射剤、点滴剤、外用剤、坐剤)等に応じて経口投与または非経口投与することができる。また投与量は、有効成分の種類、投与経路、投与対象または症状などによって異なり一概に規定できないが、1日0.0001〜5g程度を、1日1〜数回にわけて投与することができる。
【0090】
(5)被験薬物のヒト慢性非細菌性前立腺炎の改善に対する薬効評価方法
本発明は、上記のヒト慢性非細菌性前立腺炎を反映した非細菌性前立腺炎モデル動物を用いて、薬物についてヒト慢性非細菌性前立腺炎の改善・治療に対する薬効を評価する方法に関する。
【0091】
具体的には、当該方法は、前述する非細菌性前立腺炎モデル動物に被験薬物を投与し、該被験薬物について非細菌性前立腺炎モデル動物の前立腺組織(または前立腺及びその周辺組織)における組織障害及び/又は下部尿路障害に対する改善効果(治療効果)を評価することによって実施することができる。
【0092】
対象とする非細菌性前立腺炎モデル動物は、上記(3)において前述する非ヒト動物を同様に用いることができる。
【0093】
ここで被験薬物として用いられる薬物は、効果の程度を問わず、ヒト慢性非細菌性前立腺炎に対する改善効果(治療効果)が認められるものであればよく、医薬品の形態を採るものに限定されない。ゆえに低分子有機/無機化合物、高分子有機/無機化合物、核酸、アミノ酸、ペプチドまたは蛋白質のいずれをも対象とすることができる。また、これらは精製物であっても、また植物、動物または微生物等の抽出物等のように粗精製物であってもよい。また取得の別を問わず、天然物から単離されたものであっても、化学的または生化学的に合成されたものであっても、また遺伝子工学的に調製されたものであってもよい。
【0094】
また非細菌性前立腺炎モデル動物に対する被験薬物の投与方法も特に制限されない。投与する被験物質の種類に応じて、経口投与または皮下、静脈、局所、経皮若しくは経腸(直腸)などの非経口投与を適宜選択することができる。好ましくは経口投与である。
【0095】
被験薬物のヒト慢性非細菌性前立腺炎の改善に対する薬効評価は、当該被験薬物について非細菌性前立腺炎モデル動物の前立腺組織(または前立腺及びその周辺組織)における組織障害及び/又は下部尿路障害に対する改善効果を検定することによって評価することができる。具体的には、被験薬物をモデル動物に投与後、一定期間飼育した後に、当該モデル動物について、前立腺組織(または前立腺及びその周辺組織)を観察して病理組織学的特徴を評価したり、また膀胱機能(排尿量、排尿頻度、残尿量など)を測定することによって、モデル動物の組織障害や下部尿路障害の改善の度合いを評価することによって実施することができる。なお、組織障害や下部尿路障害の改善の度合いは、両方とも評価することが望ましいが、いずれか一方を評価してもよい。
【0096】
さらに上記の検定に加えて、モデル動物の膀胱重量を測定し、膀胱の重量増加の抑制の度合いを薬効評価の1つの指標とすることもできる。
【0097】
なお、組織障害の改善の度合いは、例えば、上記(3)において前述する病理グレードの評価基準(グレード(障害度):1:変化なし[正常非ヒト動物の組織(正常組織)と比べて変化がない]、2:軽微[正常組織と比較して初めて変化が分かる程度]、3:軽度[組織障害が1/4程度]、4:中等度[組織障害が1/2程度]、5:重度[明らかに組織障害が1/2以上])に従って評価することもできる。
【0098】
被験薬物のヒト慢性非細菌性前立腺炎の改善に対する薬効評価は、ヒト慢性非細菌性前立腺炎に対する治療効果及びその程度が公知の1または2以上の薬物を比較薬物として用いて、当該比較薬物と非細菌性前立腺炎モデル動物に対する改善効果(組織障害及び下部尿路障害に対する改善効果、必要に応じて膀胱重量の増加抑制効果)を対比して行うことによって、より簡便に実施をすることができる。なお、ヒト慢性非細菌性前立腺炎に対する治療効果が公知の薬物としては、ニューキノロン薬(例えば、sparfloxacin(スパラ)、levoflaxacin(クラビット)等)、テトラサイクリン系抗菌薬(例えば、ミノサイクリン、ドキシサイクリン等)、非ステロイド系抗炎症薬(例えば、イブプロフェン、インドメタシン等)、植物製剤(例えばセルニルトン、エビプロスタット、パラブロスト等)、漢方薬(例えば桂枝茯苓丸、四物湯等)を例示することができる。
【0099】
(6)被験薬物のヒト慢性非細菌性前立腺炎の予防に対する薬効評価方法
本発明は、薬物についてヒト慢性非細菌性前立腺炎の予防に対する薬効を評価する方法に関する。
【0100】
当該方法は、上記(1)及び(4)において前述する本発明の非細菌性前立腺炎モデル動物の作製過程において得られる、前立腺炎未発生のいわゆる予備・非細菌性前立腺炎モデル動物を被験動物として用いることによって実施することができる。
【0101】
本発明の方法は、当該予備・非細菌性前立腺炎モデル動物に被験薬物を投与し、該被験薬物について予備・非細菌性前立腺炎モデル動物の前立腺組織(または前立腺及びその周辺組織)における組織障害及び/又は下部尿路障害に対する発生抑制効果(予防効果)を評価することによって実施することができる。
【0102】
ここで用いられる被験薬物は、効果の程度を問わず、ヒト慢性非細菌性前立腺炎に対する予防効果(発生抑制効果)が認められるものであればよく、医薬品の形態を採るものに限定されない。ゆえに低分子有機/無機化合物、高分子有機/無機化合物、核酸、アミノ酸、ペプチドまたは蛋白質のいずれをも対象とすることができる。また、これらは精製物であっても、また植物、動物または微生物等の抽出物等のように粗精製物であってもよい。また取得の別を問わず、天然物から単離されたものであっても、化学的または生化学的に合成されたものであっても、また遺伝子工学的に調製されたものであってもよい。その投与方法としては、(5)において前述する方法を同様に挙げることができる。
【0103】
被験薬物のヒト慢性非細菌性前立腺炎の予防に対する薬効評価は、当該被験薬物について予備・非細菌性前立腺炎モデル動物の前立腺組織(または前立腺及びその周辺組織)における組織障害及び/又は下部尿路障害に対する発生抑制効果を検定することによって評価することができる。具体的には、モデル動物に被験薬物を投与後、一定期間飼育した後に、当該モデル動物について、前立腺組織(または前立腺及びその周辺組織)を観察して病理組織学的特徴を評価したり、また膀胱機能(一回排尿量、排尿頻度、残尿量など)を測定することによって、当該モデル動物の組織障害や下部尿路障害の発生抑制度合いを評価することによって実施することができる。なお、組織障害や下部尿路障害の発生抑制度合いの評価は、両方とも評価することが望ましいが、いずれか一方を評価することによって行っても良い。
【0104】
さらに上記に加えて、モデル動物の膀胱重量を測定し、膀胱の重量増加の抑制度合いを薬効評価の指標の一つとすることもできる。
【0105】
なお、組織障害の発生抑制の度合いは、例えば、上記(3)において前述する病理グレードの評価基準(グレード(障害度):1:変化なし[正常非ヒト動物の組織(正常組織)と比べて変化がない]、2:軽微[正常組織と比較して初めて変化が分かる程度]、3:軽度[組織障害が1/4程度]、4:中等度[組織障害が1/2程度]、5:重度[明らかに組織障害が1/2以上])に従って評価することもできる。
【0106】
被験薬物のヒト慢性非細菌性前立腺炎の予防に対する薬効評価は、ヒト慢性非細菌性前立腺炎に対する予防効果及びその程度が公知の1または2以上の薬物を比較薬物として用いて、当該比較薬物と非細菌性前立腺炎モデル動物に対する予防効果(組織障害及び/又は下部尿路障害に対する予防効果、必要に応じて膀胱重量の増加抑制効果)を対比して行うことによって、より簡便に実施をすることができる。なお、ここでヒト慢性非細菌性前立腺炎に対する予防効果のある薬物としては、植物製剤(例えば、セルニルトン、エビプロスタット、パラブロスト等)、漢方薬(例えば桂枝茯苓丸、四物湯等)を例示することができる。
【0107】
以下、本発明をより詳細に説明する為に実施例を記載する。但し、当該実施例は、本発明の実施態様の一つであり、本発明はかかる実施例によって何ら制限されるものではない。
【0108】
【実施例】
実施例1
1)モデル動物の作製
病理組織学的評価と膀胱機能測定の2つの実験について、以下のようにモデル動物の作製を行った。
【0109】
1-1) 病理組織学的評価のためのモデル動物
12週齡のWistar系雄性ラット18匹を3群(各群6匹、被験群、比較群、陰性対照群)にわけ、被験群はエーテル麻酔下で右鼠径部を切開し、露出した前立腺の右側葉被膜下に、滅菌処理した0.4Nの塩酸を100 μl注入した。また、比較群は同様にエーテル麻酔下で右鼠径部を切開し、露出した右輸精管内に精嚢方向に0.4Nの塩酸を100 μl注入した。それらは、その後、縫合糸で腹膜及び皮膚を縫合した。尚、手術による感染防止のために、切開部にカナマイシン含有水溶液を噴霧し、またセファゾリンナトリウム 7 mg/kgを大腿部筋肉内に注射した。さらに、評価のための陰性対照群として、切開術も塩酸注入も行わない全くの未処置のラット(正常ラット)を設定した。
【0110】
1-2) 膀胱機能(下部尿路障害の有無)測定のためのモデル動物
上記1-1)と同様に、12週齡のWistar系雄性ラットを用い、被験群を3群(0.1N塩酸注入群(n=3)、0.2N 塩酸注入群(n=4)、0.4N 塩酸注入群(n=2))に分け、これをエーテル麻酔下で右鼠径部を切開し、露出した前立腺の右側葉被膜下に、各群に対して滅菌処理した0.1、0.2または0.4Nの塩酸をそれぞれ100 μlずつ注入した。また、比較のため、12週齢のWistar系雄性ラットの比較群(4匹)の右輸精管内に0.4Nの塩酸を100 μl注入した。さらに対照群として、12週齡のWistar系雄性ラットに、上記被験群に対する塩酸注入に代えて、前立腺の右側葉被膜下に塩酸と同容量の生理食塩液を注入して塩酸非注入処理ラット(偽手術ラット(sham))を作製した。その後、縫合糸で腹膜及び皮膚を縫合した。尚、手術による感染防止のために、切開部にカナマイシン含有水溶液を噴霧し、またセファゾリンナトリウム 7 mg/kgを大腿部筋肉内に注射した。
【0111】
次いで、上記のようにして作製した各群のラットを下記の条件で飼育した。
<飼育条件>
・ステンレス製ラットブラケットケージのR-ISタイプ(サイズ:260×380×180mm)に、1ケージ3匹ずつ収容。
・飼育室環境:SPF飼育施設内で、温度20〜26℃、相対湿度30〜70%、照明は午前6時点灯・午後6時消灯の12時間明暗サイクル、換気回数は10回以上/時間
・飼料及び水投与:滅菌した固型飼料(CE-2)、日本クレア株式会社)及び紫外線殺菌装置にて殺菌した水道水を自動吸水装置により自由摂取。
【0112】
2)病理組織学的評価
上記1-1)で作製した各ラット(被験群、比較群、対照群)について、前立腺、膀胱及び尿道を採取し、各組織標本を作製して組織の変化を評価した。
【0113】
具体的には、上記被験群及び比較群の各ラットについて塩酸注入から6時間後(各群2匹)、4日後(各群2匹)、および8日後(各群2匹)の各時点で、エーテル麻酔下で放血安楽死処置し、前立腺、膀胱、及び尿道組織を一塊として採取し、各組織を4%パラホルムアルデヒドにて固定した。また、対照群のラットについても同様に処理した。
【0114】
次いで固定化した組織をOCT compound(10.24w/w% ポリビニルアルコール、4.26w/w% ポリエチレングリコール、85.50 w/w% 非活性成分)で処理して凍結ブロックを作製し、クリオスタットで厚さ5〜6 μmとなるように切断して組織切片のスライド標本を作製した。そして、該スライド標本をヘマトキシリン・エオジン(H.E)で染色し、顕微鏡で組織の様子を観察した。
【0115】
2-1) 前立腺被膜下塩酸注入ラット
0.4 Nの塩酸を100μl、右側葉被膜下に注入したラットについて、注入から6時間後、4日後、および8日後に観察評価した前立腺組織の所見を、対応する対照群(塩酸非注入処理ラット)の組織所見と併せて図1(前立腺長軸面の所見)及び図2(前立腺横軸面の所見)に示す。なお、各図中、標本番号Nは対照群(塩酸非注入処理ラット)、Pは被験群(前立腺被膜下塩酸注入ラット)の組織標本をそれぞれ示す。
【0116】
この結果からわかるように、前立腺側葉に0.4 Nの塩酸を注入したラットの前立腺組織(標本番号:P)は、注入6時間目で前立腺背側葉の腺腔において、軽度〜中等度〜重度の程度で、腺上皮細胞の脱落、上皮の剥離、変性壊死、及び赤血球の存在が認められた[図1(a)、図2(a)]。また、前立腺背側葉の間質内に軽度〜中等度の局在性の出血及び神経細胞虎斑融解が認められた[図2(a)]。また注入から4日目になると該腺腔及びその周辺からの出血並びに腺腔萎縮も認められ、さらに前立腺背側葉の間質内に中等度〜重度の線維芽細胞の増生及び線維化、並びに炎症性細胞浸潤(マクロファージ、好酸球等の湿潤)が認められた[図1(b)、図2(b)]。このように上記1)で作製したラットは重篤な前立腺組織障害を発症しており、その障害は塩酸注入から8日たった時点でも保持されていた[図1(c)、図2(c)]。また、塩酸注入から8日後に採取した組織の、前立腺側葉及び尿道周辺組織の長軸切片の組織画像を図3に、前立腺側葉腺腔及び神経細胞群の組織画像を図4に示す。なお、図3及び図4については原本であるカラー写真を参考図として別途提出する。この結果からわかるように、前立腺被膜下に塩酸を注入した被験群については、前立腺の腺腔壁凝固壊死が観察されるほど、重篤な組織障害が生じており、尿道周辺の前立腺組織まで影響を及ぼすことがわかった(図3)。さらに前立腺に付随あるいは内在する神経細胞群にも一部組織障害(虎斑融解)が生じていることが確認された(図4)。
【0117】
一方、尿道及び膀胱組織については、前立腺から尿道を経由して組織障害を与えた形跡は認められなかった。このことから、本発明のモデル動物(被験群)はほぼ前立腺組織のみに障害を有しており、純粋な化学物質誘発前立腺炎モデルであると考えられた。
【0118】
2-2) 輸精管内塩酸注入ラット(比較群)
0.4 Nの塩酸を100μl、輸精管内に注入したラット(比較群)について、注入から6時間後、4日後、および8日後に観察評価した前立腺組織、精管膨大部腺組織及び輸精管組織などの所見を図1(長軸面の所見)及び図2(横軸面の所見)に併せて示す。各図中、標本番号Yが当該比較群(輸精管内塩酸注入ラット)の組織標本を示す。この結果からわかるように、 輸精管内に0.4 Nの塩酸を注入したラットは、注入6時間目で前立腺背側葉の腺腔において重度の上皮脱落[図1(a)参照]、及び間質に重度の局在性出血が認められた[図2(a)参照]。しかし、注入から4日たったラットには前立腺組織障害は認められなかった。
【0119】
一方、精管膨大部腺組織に関しては、注入6時間目で腺腔における重度の上皮脱落、変性壊死及び出血[図1(a)]、及び間質に重度の出血が認められた[図1(a)、図2(a)]。しかし、注入から4日以上経過したラットには当該精管膨大部腺組織の障害は認められず、腺腔内に出血を思わせる軽度の赤血球の存在及び軽微な上皮細胞の脱落、及び間質に軽度な炎症性細胞湿潤及び軽微な線維化のみが観察された[図1(b)、(c)、図2(b)、(c)]。
【0120】
3)膀胱機能(下部尿路障害の有無)の測定
1-2)の方法に従って、12週齡のWistar系雄性ラット(3群)の前立腺の右側葉被膜下に、各群それぞれに対して滅菌処理した0.1、 0.2または0.4Nの塩酸を100 μlずつ注入し、上記と同じ条件で8日間飼育した。斯くして作製したラットについて、排尿間隔、一回排尿量、残尿量、体重に対する前立腺腹葉、前立腺背側葉及び膀胱の重量比(前立腺腹葉/体重、前立腺背側葉/体重及び膀胱/体重)を調べ、膀胱機能(下部尿路障害の有無)等を評価した(被験群)。
【0121】
具体的には、塩酸注入後、飼育8日目に、体重を測定した後、ウレタン麻酔下(1g/kg i.p.)でラットを仰臥位に固定し下腹部を剃毛し、開腹後、腹腔内より膀胱を露出した。膀胱頂部を小切開し、ポリエチレンカテーテル(PE-50:日本べクトン・ディッキンソン(株))を約6mm挿入して切開部を縫合し固定した。膀胱内に挿入固定したカテーテルの他端は三方活栓を介して二分し、一方を膀胱内圧を測るために、トランスデューサー(ディスポーザブル血圧モニタリング用ライフキットDX-360、日本光電(株))を介して圧力アンプ(日本電気三栄,2238)に接続し、他方を膀胱内に生理食塩液を注入するために、生食保温装置(BLOOD WATER TM-90、TORAY(株))を経由して持続注入器(テルフージョンシリンジポンプ STC-521、 テルモ(株))に接続した。ラットをポールマンケージ(山下技研(有))内に伏臥位に固定し、膀胱内に約37℃に保温した生理食塩液を一定速度(5 mL/hr) で持続注入した。
【0122】
膀胱内への生理食塩液の注入開始30〜60分の30分間にわたって膀胱内圧波形及び排尿量を測定し、その内圧波形及び排尿量の重量変化より、排尿間隔、一回排尿量を解析評価した。なお、膀胱内圧は、MacLabシステム(専用解析ソフトPowerLab/MacLac Chart v3.6s (AS Instruments Pty Ltd))を用いて記録した。また排尿量は、ケージ直下にデジタル天秤(HF-200、エー・アンド・デイ(株))を設置し、尿をシャーレ内に累積的にトラップし、その重量変化を上記と同様にMacLab/4Sシステムを用いて記録した。
【0123】
排尿間隔は、具体的には下記のようにして測定することができる。すなわち、膀胱内に生理食塩液を一定速度で注入すると、内圧が徐々に高まり、ある閾値を超えると内圧が急角度で立ち上がり、ピークを迎えて排尿を行い、排尿後その内圧は急下降する(排尿反射)。注入を持続的に行うとこうした排尿反射を繰り返す。その膀胱内圧のピーク(最大膀胱収縮圧)からピーク(最大膀胱収縮圧)の間の時間を排尿間隔として評価する。また一回排尿量は、ラット直下に設置した電子天秤の排尿時に変化する尿重量の値から読みとり評価する(神経泌尿器科学研究法,(株)日本医学館, p.158-165, 2000)。さらに残尿量は、排尿終了時点に注射筒を用いて、膀胱内に貯留している尿を吸引してその重量から評価する。
【0124】
また、測定後、前立腺腹葉、前立腺背側葉、及び膀胱を取り出して、その重量を測定した。
【0125】
なお、対照実験として、12週齡のWistar系雄性ラットの前立腺の右側葉被膜下に、塩酸に代えて生理食塩水100μlを注入して同様に8日間飼育した対照群(偽手術ラット(sham))を用いて、上記と同様にして膀胱機能(下部尿路障害の有無)を評価した。
【0126】
結果を図5(排尿間隔、一回排尿量)、図6(残尿量、前立腺腹葉/体重)、及び図7(前立腺背側葉/体重、膀胱/体重)に示す。その結果、被験群はいずれも、排尿間隔及び一回排尿量が対照群に比して顕著に低値を示した(図5)。また残尿量は、0.1N塩酸注入ラットを除き、対照群に比して顕著に高値を示した(図6)。さらに、体重当たりの前立腺腹葉、及び膀胱の重量は、対照群に比して同等若しくは有意に高値を示した(図6、図7)。
【0127】
上記被験群の膀胱機能障害に関する結果から、次のことが考えられる。
第一に、0.1Nの低濃度の塩酸を用いた場合でも比較的長期間にわたり膀胱機能障害が持続したことから、前立腺側葉に塩酸を注入する本発明の方法は、膀胱機能に与える影響が非常に大きいと考えられる。第二に、注入する塩酸濃度の違いにより、被験群で膀胱機能のパラメータ値に違いが生じることから、塩酸濃度を調節することにより、目的別の非細菌性前立腺炎モデルを作製することが可能であると示唆される。例えば0.1N塩酸注入ラットは残尿がなく(対照群ラットと同等の結果が得られることから)、排尿間隔及び一回排尿量が最も低値を示したことから、膀胱刺激症状を主とした非細菌性前立腺炎モデルである可能性がある。また、0.2N塩酸注入ラットは、残尿量が少し多く認められ、0.1N塩酸注入ラットほどではないものの、排尿間隔及び一回排尿量は対照群ラットに比して低値を示していることから、下部尿路通過障害を伴った非細菌性前立腺炎モデルであると考えられる。更に、0.4N塩酸注入ラットは、残尿量が最も多く認められ、0.2N塩酸注入ラットより一回排尿量が低下していることから、下部尿路通過障害が、より高度になった非細菌性前立腺炎モデルである可能性が考えられる。
【0128】
また、体重に対する前立腺重量(腹葉・側葉)及び膀胱重量の比率に関する結果から、被験群(本発明のモデル動物)の膀胱は注入する塩酸の濃度依存的に重量増加を示した。一方、前立腺については塩酸濃度と重量変化(前立腺重量の増加(前立腺肥大)あるいは前立腺萎縮)との間に一定の関係は認められなかった。これらのことから、注入する塩酸濃度の違いにより、前立腺組織の器質変化、あるいは前立腺に内在する神経系への影響の度合いが変化し、下部尿路通過障害の程度(残尿量の変化)として膀胱重量に反映している可能性が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において、前立腺被膜下塩酸注入ラット(被験群:P)、輸精管内塩酸注入ラット(比較群:Y)及び塩酸非注入処理ラット(正常ラット)(対照群:N)について、塩酸注入部位における組織を長軸面(尿道を中心として(ラットの正中線、頭から尾までを縦とする)組織を縦切りにして観察した面)から観察した所見を示す図である。
【図2】実施例1において、前立腺被膜下塩酸注入ラット(被験群:P)、輸精管内塩酸注入ラット(比較群:Y)及び塩酸非注入処理ラット(正常ラット)(対照群:N)について、塩酸注入部位における組織を横軸面(尿道を中心として(ラットの正中線、頭から尾までを縦とする)組織を横切りにして観察した面)から観察した所見を示す図である。
【図3】実施例1の2)において、前立腺被膜下塩酸注入ラットについて、塩酸注入から8日後に採取した前立腺組織のうち、前立腺側葉及び尿道周辺組織の長軸切片の像を示す図である。
【図4】実施例1の2)において、前立腺被膜下塩酸注入ラットについて、塩酸注入から8日後に採取した前立腺組織のうち、前立腺側葉腺腔及び神経細胞群の像を示す図である。
【図5】実施例1の3)において、前立腺被膜下塩酸注入ラット(塩酸注入から飼育8日目)及び対照群ラットについて、排尿間隔、及び一回排尿量を示す図である。
【図6】実施例1の3)において、前立腺被膜下塩酸注入ラット(塩酸注入から飼育8日目)及び対照群ラットについて、残尿量、及び前立腺腹葉/体重を示す図である。
【図7】実施例1の3)において、前立腺被膜下塩酸注入ラット(塩酸注入から飼育8日目)及び対照群ラットについて、前立腺背側葉/体重、及び膀胱/体重を示す図である。

Claims (7)

  1. 前立腺被膜下に塩酸を注入することにより作製される非ヒト動物であって、前立腺組織にヒト慢性非細菌性前立腺炎に特徴的に認められる組織障害とヒト慢性非細菌性前立腺炎に特徴的に認められる下部尿路障害を有することを特徴とする非細菌性前立腺炎モデル動物。
  2. 非ヒト動物が、ラットである請求項1に記載の非細菌性前立腺炎モデル動物。
  3. 非ヒト動物の前立腺被膜下に塩酸を注入し、該非ヒト動物を飼育して、前立腺炎を生じさせることを含む、請求項1または2に記載の非細菌性前立腺炎モデル動物を作製する方法。
  4. 請求項1または2に記載の非細菌性前立腺炎モデル動物に被験物質を投与し、該被験物質について非細菌性前立腺炎モデル動物の前立腺組織における組織障害及び/又は下部尿路障害に対する改善効果を検定する工程を含む、ヒト慢性非細菌性前立腺炎の治療用物質のスクリーニング方法。
  5. 前立腺被膜下に塩酸を注入することにより作製される前立腺炎未発生の予備・非細菌性前立腺炎モデル動物に被験物質を投与し、該被験物質について予備・非細菌性前立腺炎モデル動物の前立腺組織における組織障害及び/又は下部尿路障害に対する発生抑制効果を検定することを含む、ヒト慢性非細菌性前立腺炎の予防用物質のスクリーニング方法。
  6. 請求項1または2に記載の非細菌性前立腺炎モデル動物に、薬効評価すべき被験薬物を投与し、該薬物について非細菌性前立腺炎モデル動物の前立腺組織における組織障害及び/又は下部尿路障害に対する改善効果を検定する工程を含む、薬物のヒト非細菌性前立腺炎の改善に対する薬効評価方法。
  7. 前立腺被膜下に塩酸を注入することにより作製される前立腺炎未発生の予備・非細菌性前立腺炎モデル動物に、薬効評価すべき被験薬物を投与し、該薬物について予備・非細菌性前立腺炎モデル動物の前立腺組織における組織障害及び/又は下部尿路障害に対する発生抑制効果を検定することを含む、薬物のヒト非細菌性前立腺炎の予防に対する薬効評価方法。
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