JP3918769B2 - 食器洗浄機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗浄ポンプで加圧された水を複数の洗浄ノズルから噴射することで食器の洗浄を行う食器洗浄機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の食器洗浄機は図8および図9に示すように構成していた。以下、その構成について説明する。
【0003】
図8および図9に示すように、給水経路1は、水道水を食器洗浄機本体2へ給水するもので、給水弁3によって給水を制御する。洗浄槽4は、食器洗浄機本体2の内部に設け、この洗浄槽4の内部には給水した水を貯水する貯水部5を設け、貯水部5に連通した水位センサ6を設けている。
【0004】
貯水部5に貯水した水は、貯水部5に設けた温水ヒータ7で加熱されるとともに、洗浄ポンプ8で加圧され、複数個設けた洗浄ノズル9から食器かご10内に配置した食器に向けて噴射し、食器を洗浄するようにしている。排水ポンプ11は洗浄槽4内の水を排出するものである。
【0005】
食器洗浄機本体2には前面ドア12を開閉自在に設け、食器かご10を出し入れできるようにしている。残菜フィルタ13は食器に付着していた残菜を捕捉するものである。
【0006】
上記構成において動作を説明する。食器かご10内に食器を配置して洗浄槽4に収容し、運転を開始すると、給水弁3が開き、給水経路1を通して洗浄槽4に給水される。給水された水は、洗浄槽4の貯水部5に貯水され、水位センサ6により所定の水位を検知すると給水弁3を閉じて給水を終了し、洗浄ポンプ8を駆動する。
【0007】
これにより、貯水部5に貯水された水は、温水ヒータ7で加熱されるとともに、洗浄ポンプ8で加圧され、洗浄ノズル9から食器かご10の食器に向けて噴射され、食器を洗浄する。洗浄が終わると排水ポンプ11によって洗浄槽4内の水を排出する。
【0008】
また、他の従来例として、基本的な構成は上記従来例と同じで、各洗浄ノズルに対応した数だけ洗浄ポンプを設け、洗浄ノズルから選択的に水を噴射させることで、運転時の低騒音化と節水を可能とする構成のものもある(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平5−176875号公報(第2−3頁、第1図、第7図)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのような従来の構成では、複数の洗浄ノズル9から同時に水が噴射されるため、騒音が大きく、洗浄槽4内の水が大量に必要であった。
【0011】
また、各洗浄ノズルに対応した数だけ洗浄ポンプを設け、洗浄ノズルから選択的に水を噴射させる構成のものでは、低騒音化と節水が可能となるが、洗浄ポンプを複数個設けることはコストアップにつながると同時に、機器全体が大型化するという問題を有していた。
【0012】
本発明は上記課題を解決するもので、1つの洗浄ポンプで複数の洗浄ノズルから選択的に水を噴射できるようにし、コストアップや機器全体を大型化せずに、低騒音化と節水を実現することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、洗浄ポンプと複数の洗浄ノズルとを連結する水路の途中に切換弁を有し、切換弁は、洗浄ポンプで加圧した水を入口より導入し、導入した水を複数の出口より複数の洗浄ノズルに導出し、入口と出口を連結する通水部内で閉部材を断続的に回転して出口を順次切り換えるよう構成し、閉塞部材は、出口方向に移動する往路と入口方向に移動する復路とで入口と出口との間を往復運動し、この往復運動に連動して一方向に所定角度回転するカム機構を設け、往路では、閉塞部材が洗浄ポンプで加圧した水の持つ水力で上昇して閉塞部材の平坦部が出口の開口面に当接し、復路では、閉塞部材が重力の作用により下降して閉塞部材の平坦部が出口の開口面と所定の隙間を生じるように構成するとともに、洗浄ポンプの出力を制御するポンプ制御手段により、閉塞部材の平坦部が出口の開口面に当接する際に生じる衝撃音を低減するよう構成したものである。
【0014】
これにより、簡単な構成で切換動作音の小さな切換弁を実現でき、1つの洗浄ポンプで複数の洗浄ノズルから選択的に水を噴射させることができ、コストアップや機器全体を大型化せずに、低騒音化と節水を実現することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、洗浄ポンプと複数の洗浄ノズルとを連結する水路の途中に切換弁を有し、前記切換弁は、前記洗浄ポンプで加圧した水を導入する入口と、導入した水を複数の洗浄ノズルに導出する複数の出口と、前記入口と前記出口を連結する通水部と、前記通水部内で断続的に回転して前記出口を順次切り換える閉塞部材とを備え、前記閉塞部材は、前記出口方向に移動する往路と前記入口方向に移動する復路とで前記入口と前記出口との間を往復運動し、この往復運動に連動して一方向に所定角度回転するカム機構を設け、前記往路では、前記閉塞部材が前記洗浄ポンプで加圧した水の持つ水力で上昇して前記閉塞部材の平坦部が前記出口の開口面に当接し、前記復路では、前記閉塞部材が重力の作用により下降して前記閉塞部材の平坦部が前記出口の開口面と所定の隙間を生じるように構成するとともに、前記洗浄ポンプの出力を制御するポンプ制御手段により、前記閉塞部材の平坦部が前記出口の開口面に当接する際に生じる衝撃音を低減するよう構成したものであり、簡単な構造で切換動作音の小さな切換弁を実現でき、1つの洗浄ポンプで複数の洗浄ノズルから選択的に水を噴射させることができ、コストアップや機器全体を大型化せずに、低騒音化と節水を実現することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、ポンプ制御手段は、洗浄ポンプの運転と停止を交互に行うことで閉塞部材を上下に往復運動させ、前記閉塞部材が下降した位置にある前記洗浄ポンプの運転毎の起動時にポンプ出力を小さくするよう構成したものであり、簡単な制御で切換動作音の小さな切換弁を実現できる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、ポンプ制御手段は、洗浄ポンプの運転と停止を交互に行うことで閉塞部材を上下に往復運動させ、前記洗浄ポンプの運転毎に、前記閉塞部材が出口を塞ぐまでの間、前記洗浄ポンプを所定の出力以下にするよう構成したものであり、簡単な制御で切換動作音の小さな切換弁を実現できる。
【0018】
請求項に記載の発明は、上記請求項1〜に記載の発明において、ポンプ制御手段は、洗浄ポンプへの通電を小刻みにオンオフするスイッチング手段を備えたものであり、洗浄ポンプを駆動するモータがどのような方式のものであっても、きわめて簡単な制御で切換動作音の小さな切換弁を実現できる。
【0019】
請求項に記載の発明は、上記請求項1〜に記載の発明において、ポンプ制御手段は、洗浄ポンプの入力電圧を制御する電圧制御手段を備えたものであり、洗浄ポンプを駆動するモータがインバータ方式の場合、簡単な制御で切換動作音の小さな切換弁を実現できる。
【0020】
請求項に記載の発明は、上記請求項1〜に記載の発明において、ポンプ制御手段は、洗浄ポンプの入力位相を制御する位相制御手段を備えたものであり、洗浄ポンプを駆動するモータがインダクションモータの場合、簡単な制御で切換動作音の小さな切換弁を実現できる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の一実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、従来例と同じ構成のものは同一符号を付して説明を省略する。
【0022】
図2および図3に示すように、洗浄槽4の内部には、左側に洗浄ノズル14、右側に洗浄ノズル15、背面側に洗浄ノズル16を設けるとともに、これら洗浄ノズル14〜16と洗浄ポンプ8との間に切換弁17を設けており、洗浄ポンプ8で加圧した水を洗浄ノズル14〜16のいずれか1個ないし2個に通水するよう順次切り換えるようにしている。
【0023】
切換弁17は、図1に示すように構成しており、通水部18は、洗浄ポンプ8で加圧した水を導入する入口19と、導入した水を洗浄ノズル14〜16にそれぞれ導出する出口20a〜20d(詳細は図5参照)とを連結している。通水部18の内部には、入口19と出口20a〜20dとの間を往復運動し、断続的に回転しながら出口20a〜20dを順次塞いでいく閉塞部材21を設けている。この閉塞部材21の往復運動に連動して、一方向に所定角度回転するよう作用するカム機構22、23を閉塞部材21に設けている。
【0024】
閉塞部材21は、図4(a)〜(c)に示すように構成しており、主に切り欠き24と、平坦部25とを有する円盤26とで構成している。摺動面27a、27bは、円盤26の上面でカム機構22を構成するもので、傾斜を有し、円盤26の略中心を軸とする同一円周上に連なっている。また、摺動面28は、円盤26の下面でカム機構23を構成するもので、傾斜を有し、円盤26の略中心を軸とする同一円周上に連なっている。ガイド穴29は、円盤26の略中央に設けている。
【0025】
図5は、図1に指示した断面を示しており、図5(a)は図1のA−A線断面、図5(b)は図1のB−B線断面、図5(c)は図1のC−C線断面、図5(d)は図1のD−D線断面を示している。
【0026】
図5(a)に示すように、水を洗浄ノズル14〜16に導出する出口は4個の出口20a〜20dで構成され、出口20aは左側の洗浄ノズル14へ水を導出し、出口20cは右側の洗浄ノズル15へ水を導出し、出口20dは背面側の洗浄ノズル16へ水を導出し、出口20bは洗浄ノズル14、15の両方へ水を導出する。
【0027】
出口20a〜20dは平坦な同一面上の開口面30を有しており、閉塞部材21上の平坦部25と対向し、開口面30の穴径D1は平坦部25の外径D2より小さく設定している。閉塞部材21は、入口19と出口20a〜20dとの間で往復運動する際に平坦部25が開口面30に水密に当接し、閉塞部材21上の切り欠き24の位置と一致する出口20a〜20dのいずれか1つが洗浄ノズルへ水を導出する出口となり、残りの出口20a〜20dの3個は塞がれる。
【0028】
図6は、閉塞部材21の平坦部25が開口面30に当接した状態を示す一例であるが、この場合であれば出口20a、20c、20dは塞がれ、出口20bのみが出口として開口し、水は洗浄ノズル14、15の両方へ導出されることになる。
【0029】
閉塞部材21が上方へ移動する際の運動を往路とし、下方へ移動する際の運動を復路とすると、往路の終端においては閉塞部材21の平坦部25が開口面30に当接するが、復路の終端においては閉塞部材21の平坦部25が開口面30と所定の隙間を有する。往路と復路を1回ずつ移動すると往復運動を1回することになるが、この間、カム機構22、23によって、閉塞部材21はガイド穴29の中心軸31を中心に、出口20a〜20dの内、隣り合う2つの出口がつくる角度だけ回転するよう設定されている。
【0030】
したがって、図6の状態から閉塞部材21が下降して復路の終端へ移動し、つぎに閉塞部材21が上昇して往路の終端へ移動したときには、出口20bと出口20cがつくる角度だけ閉塞部材21が回転し、出口20a、20b、20dは塞がれ、出口20cのみが出口として開口して水は右側の洗浄ノズル15へ導出されることになる。
【0031】
なお、閉塞部材21の往復運動は、主に洗浄ポンプ8によって加圧された水が持つ水力と、閉塞部材21そのものに作用する重力で行う。重力は常時閉塞部材21に作用しているが、洗浄ポンプ8で発生する水力は閉塞部材21に作用する重力よりはるかに大きいため、閉塞部材21が水力を受ける時間は重力による作用をほとんど無視することができる。したがって、洗浄ポンプ8の運転と停止を交互に行うことで閉塞部材21は往復運動する。
【0032】
このように、洗浄ポンプ8が運転と停止を交互にくり返すことで、閉塞部材21は入口19と出口20a〜20dとの間を往復運動しながら、ガイド穴29の中心軸31を中心に所定角度回転するので、出口20a〜20dは同時に3個ずつ順次塞がれ、出口20a〜20dの内、1つが順次開口することになる。例えば、閉塞部材21の回転方向が図6に示すような向きである場合、20a→20b→20c→20d→20aの順に開口し、それに伴い、洗浄ノズル14→洗浄ノズル14および15の両方→洗浄ノズル15→洗浄ノズル16→洗浄ノズル14へと順次水を導出する。ここで、出口20bについては洗浄ノズル14および15の両方に接続されているものとする。
【0033】
つぎに、カム機構22について説明する。閉塞部材21の摺動面27aは、出口20a〜20dを構成する開口面30の一部であるリブ32と摺接し、カム機構22を構成することで直線運動を回転運動に変換している。リブ32は開口面30の略中心から略等間隔で放射状に延びている。
【0034】
閉塞部材21は下降した位置、すなわち復路の終端において、上方から平面的に見て摺動面27aとリブ32とが重なり合う位置にくるよう設定されており、閉塞部材21が洗浄ポンプ8で加圧した水の水力を受けて上昇すると、摺動面27aとリブ32が当接する。
【0035】
水力により、閉塞部材21は当接後も上方へ力を受けるが、このため摺動面27aの傾斜によって滑りが生じ、回転運動を行いながら上昇することになる。リブ32が摺動面27aを滑りきると、リブ32は閉塞部材21の平坦部25に当接し、閉塞部材21の上昇と回転運動は同時に停止する。このとき、複数のリブ32はすべて閉塞部材21の平坦部25に隙間なく当接し、閉塞部材21の円盤26で塞がれた出口20は水密されることになる。なお、摺動面27bとリブ32とが摺接するように設定すれば、閉塞部材21の回転方向は逆向きとなる。
【0036】
つぎに、カム機構23について説明する。図7は、閉塞部材21の摺動面28と対をなし、カム機構23を構成する摺動面33の斜視図である。摺動面33は傾斜を有し、中心軸31を軸とする同一円周上に連なっている。また、閉塞部材21のガイド穴29と嵌合する軸34を、摺動面33の中心に設けている。
【0037】
カム機構23は、カム機構22と同様な動作を行い、閉塞部材21の摺動面28が摺動面33と摺接することで、直線運動を回転運動に変換している。すなわち、閉塞部材21が上昇した位置、すなわち往路の終端において、下方から平面的に見て摺動面28と摺動面33とが重なり合う位置にくるよう設定されており、閉塞部材21が洗浄ポンプ8停止時の水力を受けない状態において重力によって下降すると、摺動面28と摺動面33が当接する。重力により、閉塞部材21は当接後も下方へ力を受けるが、このため、摺動面28の傾斜によって滑りが生じ、回転運動を行いながら下降することになる。
【0038】
摺動面33が摺動面28を滑りきると、閉塞部材21の下降と回転運動は同時に停止する。このとき、閉塞部材21の平坦部25と開口面30は所定の間隔を維持して静止する。そして、次回平坦部材21が水力を受けて再び上昇するときには、閉塞部材21の切り欠き24が、前回開口していた出口20a〜20dとは別の出口、例えば、出口20aのつぎはそれと隣接する出口20bと一致する。
【0039】
洗浄ポンプ8によって水を加圧し、その水力によって閉塞部材21は運動するが、上昇時は、閉塞部材21と開口面30とが当接する際には衝突する。この衝突が激しいと大きな衝突音が発生する。
【0040】
例えば、洗浄ポンプ8の起動時に定格通りのポンプ出力を一気に入力19に入力すると、閉塞部材21は開口面30に向けて勢いよく上昇運動を始める。その結果、閉塞部材21は開口面30へ勢いよく衝突してしまい、大きな衝突音が発生する。
【0041】
ここで、閉塞部材21の上昇は水力によって行われるものであるから、この水力を加減すれば、閉塞部材21と開口面30との衝突を和らげることができ、衝突音を小さくすることができる。
【0042】
図2に示すポンプ制御手段35は、洗浄ポンプ8の出力(吐出能力)を制御するもので、マイクロコンピュータと、このマイクロコンピュータの出力により制御される双方向性サイリスタ(スイッチング手段)とを有し、洗浄ポンプ8を駆動するモータ(図示せず)への通電を起動時に、双方向性サイリスタにより小刻みにオン、オフ、例えば、0.2秒オン、0.4秒オフを数回繰返し、その後連続して通電することで、閉塞部材21が出口20を塞ぐ際に生じる衝撃を緩和するよう構成している。
【0043】
これにより、閉塞部材21が下降した位置、すなわち復路の終端に位置するとき、当初はポンプ出力を小さくし、その後大きくすることで、閉塞部材21に水力が徐々に加わり、ゆっくりと開口面30へ向けて上昇を始める。したがって、閉塞部材21は開口面30へ勢いよく衝突することなく当接し、衝突音を小さくすることができる。
【0044】
また、ポンプ制御手段35は、洗浄ポンプ8への通電を小刻みにオン、オフするよう構成しているので、閉塞部材21の形状や重量、閉塞部材21が往復運動する距離、洗浄ポンプ8の吐出能力などに応じて、洗浄ポンプ8へのオン時間とオフ時間を適宜設定すれば、衝突音を極力抑えることができ、しかも切り換え動作の信頼性の高い切換弁17を実現できる。しかも、洗浄ポンプ8を駆動するモータがどのような方式のものであっても、きわめて簡単な制御で切換動作音の小さな切換弁を実現できる。
【0045】
つぎに、上記構成において全体の動作を説明する。食器かご10内に食器を配置して洗浄槽4内に収容し、運転を開始すると、給水弁3が開き、給水経路1を通して洗浄槽4に給水される。給水された水は、洗浄槽4内の貯水部5に貯水され、水位センサ6によって所定の水位を検知すると給水弁3を閉じて給水を終了し、洗浄ポンプ8を駆動する。
【0046】
これにより、貯水部5に貯水された水は洗浄ポンプ8で加圧され、切換弁17を通過して洗浄ノズル14〜16から食器かご10内の食器に向けて噴射され、貯水部5に戻る経路で循環する。このとき、洗浄ポンプ8は断続的に運転を行う。例えば、25秒運転後5秒停止といった具合に繰り返し運転を行うようにする。この断続的に行われる洗浄ポンプ8の運転により、切換弁17を構成する閉塞部材21は、水力を断続的に受けることになり、重力の影響も併せて上昇と下降すなわち往復運動を行うようになる。
【0047】
この往復運動は、切換弁17を構成するカム機構22、23によって回転運動に変換され、閉塞部材21は一往復するごとに所定の角度だけ回転し、洗浄ポンプ8から送られてくる水を出口20a〜20dに順次導出するようになる。これにより、洗浄ノズル14〜16から順次水が噴射されることになる。例えば、洗浄運転を合計30分間行うのであれば、洗浄ポンプ8を25秒運転後5秒停止の繰り返し運転とした場合に、切換弁17は切換動作を60回行うことになる。切換弁17の出口20a〜dは合計4個あるので、上述の60回のように、切換弁17の切換動作の回数を4の倍数に設定することで、食器かご10に配置した食器全体に均一に水を噴射することができる。
【0048】
洗浄ポンプ8で水は循環しながら、温水ヒータ7で加熱されて温水化する。洗浄が終わると排水ポンプ11によって洗浄槽4内の水は排出され、洗浄行程は終了する。
【0049】
以上のように本実施例によれば、洗浄ポンプ8と複数の洗浄ノズル14〜16とを連結する水路の途中に切換弁17を有し、切換弁17は、洗浄ポンプ8で加圧した水を入口19より導入し、導入した水を複数の出口20a〜20dより複数の洗浄ノズル14〜16に導出し、入口19と出口20a〜20dを連結する通水部18内で閉鎖部材21を断続的に回転して出口20a〜20dを順次塞ぐよう構成し、閉塞部材21は、入口19と出口20a〜20dとの間を往復運動し、この往復運動に連動して一方向に所定角度回転するカム機構22、23を設け、洗浄ポンプ8の出力を制御するポンプ制御手段35により、閉塞部材21が出口20a〜20dを塞ぐ際に生じる衝撃を緩和するよう構成したので、簡単な構成で切換動作音の小さな切換弁17を実現でき、洗浄ポンプ8は1つのままで、他の駆動源を必要としない簡単な構造の切換弁17で洗浄ノズル14〜16から水の噴射を順次行うので、コストアップにつながらず、機器全体も大きくならないで済む。また、切換弁17そのものも特別な駆動源を必要とせず、洗浄ポンプ8を断続的に運転するだけなので、低コストで実現でき、高い信頼性と耐久性も得ることができる。
【0050】
また、運転中の騒音は、洗浄ノズル14〜16から噴射された水が洗浄槽4に当たる音が大きな要因を占めるので、同時に噴射する水の量が少ない方が静かとなるが、本実施例によれば、すべての洗浄ノズルから同時に噴射するのに比べ、各洗浄ノズルから順次噴射するので同時に噴射する水の量を少なくでき、低騒音を実現できる。
【0051】
また、節水は、循環する水の量が少ない方が貯水部5に貯水する水の量を少なくできるので節水となるが、本実施例によれば、すべての洗浄ノズルから同時に噴射するのに比べ、各洗浄ノズルから順次噴射するので循環する水の量を少なくでき、節水が可能となる。
【0052】
また、本実施例によれば、循環する水の量が減った分、洗浄ポンプ8の送水能力を小さくすることができ、洗浄ポンプ8の低コスト化と、洗浄ポンプ8の小型化が図れ、これにより機器全体を小型化することができる。
【0053】
また、ポンプ制御手段35は、洗浄ポンプ8への通電を小刻みにオンオフするスイッチング手段で構成し、洗浄ポンプ8の起動時にポンプ出力を小さくし、その後大きくするよう構成したので、簡単な制御で切換動作音の小さな切換弁を実現できるとともに、洗浄ポンプ8を駆動するモータがどのような方式のものであっても、きわめて簡単な制御で切換動作音の小さな切換弁17を実現できる。
【0054】
なお、本実施例では、ポンプ制御手段35は、洗浄ポンプ8の起動時にポンプ出力を小さくし、その後大きくするよう構成しているが、閉塞部材21が出口20を塞ぐまでの間、洗浄ポンプ8を所定の出力以下にするよう構成してもよく、この場合は、閉塞部材21の水力による上昇速度を小さくすることができ、閉塞部材21が開口面30へ勢いよく衝突することなく当接し、衝突音が小さくすることができる。
【0055】
また、ポンプ制御手段35は、洗浄ポンプ8の起動後、閉塞部材21が入口19から出口20へ向けて移動する途中でポンプ出力を小さくするよう構成してもよく、この場合は、まず、閉塞部材21が下降した位置、すなわち復路の終端に位置するとき、洗浄ポンプ8を一気に起動し、閉塞部材21を勢いよく上昇させる。つぎに、閉塞部材21が開口面30に当接する前に、ポンプ出力を小さくあるいは一旦停止させて水力を弱め、閉塞部材21が開口面30に当接する際の速度を小さくすることで、衝突を緩和し、衝突音を小さくすることができる。この場合、閉塞部材21が開口面30に当接する直前だけ速度を小さくするので、閉塞部材21の往復運動に要する時間は上記のものに比べ短くでき、簡単な制御で切換動作音の一層小さな切換弁17を実現できる。
【0056】
また、ポンプ制御手段35は、洗浄ポンプ8の起動後、閉塞部材21が入口19から開口面30へ向けて移動し始めた直後に、ポンプ出力を小さくするよう構成してもよく、この場合は、閉塞部材21が下降した位置、すなわち復路の終端に位置するとき、閉塞部材21には主に重力のみが作用している。洗浄ポンプ8が起動しても、それによって発生する水力は直ちにこの重力より大きくなるわけではない。閉塞部材21は水力が重力より大きくなって始めて上昇し始めるが、上昇し始めた直後にポンプ出力を小さくするあるいは停止しても、閉塞部材21には慣性力が作用しており、速度は低下しながらも上昇を続ける。そのまま低速で開口面30と当接すれば当然衝突は緩和され衝突音は小さくなる。
【0057】
また、閉塞部材21の速度が低下したまま上昇をつづけ出口20に当接すると、カム機構22をうまく動作させるだけの力が不足することがある。この場合、閉塞部材21が開口面30に当接する直前でもう一度ポンプ出力を高めることで、カム機構21が確実に動作するようになり、衝突音が小さく信頼性の高い切換弁17を実現することができる。
【0058】
また、本実施例では、ポンプ制御手段35は、双方向性サイリスタ(スイッチング手段)により洗浄ポンプ8への通電を小刻みにオンオフするように構成しているが、電圧制御手段を設けて、洗浄ポンプ8の入力電圧を制御するよう構成してもよく、この場合は、洗浄ポンプ8を駆動するモータがインバータ方式の場合、ポンプ出力の細かな調整が行いやすく、閉塞部材21の上昇速度を制御しやすくなり、閉塞部材21を開口面30に一層静かに当接させることができる。
【0059】
また、ポンプ制御手段35は、位相制御手段を設けて、洗浄ポンプ8の入力位相を制御するようにしてもよく、この場合は、洗浄ポンプ8を駆動するモータがインダクションモータの場合、安価で簡単な制御を行うことができ、切換動作音の小さな切換弁を実現できる。
【0060】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1に記載の発明によれば、洗浄ポンプと複数の洗浄ノズルとを連結する水路の途中に切換弁を有し、切換弁は、洗浄ポンプで加圧した水を入口より導入し、導入した水を複数の出口より複数の洗浄ノズルに導出し、入口と出口を連結する通水部内で閉部材を断続的に回転して出口を順次切り換えるよう構成し、閉塞部材は、出口方向に移動する往路と前記入口方向に移動する復路とで入口と出口との間を往復運動し、この往復運動に連動して一方向に所定角度回転するカム機構を設け、往路では、閉塞部材が洗浄ポンプで加圧した水の持つ水力で上昇して閉塞部材の平坦部が出口の開口面に当接し、復路では、閉塞部材が重力の作用により下降して閉塞部材の平坦部が出口の開口面と所定の隙間を生じるように構成するとともに、洗浄ポンプの出力を制御するポンプ制御手段により、閉塞部材の平坦部が出口の開口面に当接する際に生じる衝撃音を低減するよう構成したから、閉塞部材が洗浄ポンプの断続的な運転によって往復運動し、閉塞部材に設けたカム機構でこの往復運動を所定の角度だけ回転させるといった、極めて簡単な構成で、切換動作音の小さな切換弁を実現でき、1つの洗浄ポンプで複数の洗浄ノズルから選択的に水を噴射させることができ、コストアップや機器全体を大型化せずに、低騒音化と節水を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の食器洗浄機の切換弁の断面図
【図2】 同食器洗浄機の断面図
【図3】 同食器洗浄機の側断面図
【図4】 (a)同食器洗浄機の切換弁の閉塞部材の側面図
(b)同食器洗浄機の切換弁の閉塞部材の上方斜視図
(c)同食器洗浄機の切換弁の閉塞部材の下方斜視図
【図5】 (a)同食器洗浄機のA−A線断面図
(b)同食器洗浄機のB−B線断面図
(c)同食器洗浄機のC−C線断面図
(d)同食器洗浄機のD−D線断面図
【図6】 同食器洗浄機の閉塞部材と開口面が当接した状態の平面図
【図7】 同食器洗浄機のカム機構を構成する摺動面の斜視図
【図8】 従来の食器洗浄機の断面図
【図9】 従来の食器洗浄機の側断面図
【符号の説明】
8 洗浄ポンプ
14 洗浄ノズル
15 洗浄ノズル
16 洗浄ノズル
17 切換弁
18 通水部
19 入口
20 出口
21 閉塞部材
22 カム機構
23 カム機構
35 ポンプ制御手段

Claims (6)

  1. 洗浄ポンプと複数の洗浄ノズルとを連結する水路の途中に切換弁を有し、前記切換弁は、前記洗浄ポンプで加圧した水を導入する入口と、導入した水を複数の洗浄ノズルに導出する複数の出口と、前記入口と前記出口を連結する通水部と、前記通水部内で断続的に回転して前記出口を順次切り換える閉塞部材とを備え、前記閉塞部材は、前記出口方向に移動する往路と前記入口方向に移動する復路とで前記入口と前記出口との間を往復運動し、この往復運動に連動して一方向に所定角度回転するカム機構を設け、前記往路では、前記閉塞部材が前記洗浄ポンプで加圧した水の持つ水力で上昇して前記閉塞部材の平坦部が前記出口の開口面に当接し、前記復路では、前記閉塞部材が重力の作用により下降して前記閉塞部材の平坦部が前記出口の開口面と所定の隙間を生じるように構成するとともに、前記洗浄ポンプの出力を制御するポンプ制御手段により、前記閉塞部材の平坦部が前記出口の開口面に当接する際に生じる衝撃音を低減するよう構成した食器洗浄機。
  2. ポンプ制御手段は、洗浄ポンプの運転と停止を交互に行うことで閉塞部材を上下に往復運動させ、前記閉塞部材が下降した位置にある前記洗浄ポンプの運転毎の起動時にポンプ出力を小さくするよう構成した請求項1記載の食器洗浄機。
  3. ポンプ制御手段は、洗浄ポンプの運転と停止を交互に行うことで閉塞部材を上下に往復運動させ、前記洗浄ポンプの運転毎に、前記閉塞部材が出口を塞ぐまでの間、前記洗浄ポンプを所定の出力以下にするよう構成した請求項1記載の食器洗浄機。
  4. ポンプ制御手段は、洗浄ポンプへの通電を小刻みにオンオフするスイッチング手段を備えた請求項1〜のいずれか1項に記載の食器洗浄機。
  5. ポンプ制御手段は、洗浄ポンプの入力電圧を制御する電圧制御手段を備えた請求項1〜のいずれか1項に記載の食器洗浄機。
  6. ポンプ制御手段は、洗浄ポンプの入力位相を制御する位相制御手段を備えた請求項1〜のいずれか1項に記載の食器洗浄機。
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