JP3918378B2 - 微細切削方法および微細切削装置 - Google Patents

微細切削方法および微細切削装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細切削方法および微細切削装置に関し、特に、金属材料からなる被加工物の切削対象部分の表面に最適の不働態膜を生成し、その不働態膜を切削除去して被加工物を加工する微細切削方法および微細切削装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属材料からなる被加工物の表面に、数十μm程度の幅及び深さの微細な加工を切削工具を用いて行いたいという要求がある。例えば、インクジェットヘッド部品、微細光学部品、これらを製造する金型の原型等を作製する場合である。微細切削を行うための切削工具は、当然、微細な形状になるため、被加工物との摩擦による切削工具の摩耗、切削抵抗による切削工具の変形や折損等の問題を解決しなければならない。このため、従来より被加工物の切削性を改良した微細切削方法や微細切削装置が提案されている。
【0003】
例えば、特開平10−156626号公報の微細切削方法は、導電性の金属からなる被加工物と電極との間に電解液を介在させ、被加工物と電極との間に電解電圧を印加し、被加工物の表面に不働態膜を生成させ、この不働態膜部分を微細切削工具により切削加工する。切削後、再び不働態膜を生成し、この不働態膜を切削工具により切削するという工程を何度も繰り返すことにより、所望の深さおよび形状の切削を行っている。
【0004】
不働態膜は、酸化膜あるいは水酸化膜であり、金属であったときとモル分子(原子)容積が異なるために、膨張して金属層との界面における応力が増大して剥離しやすくなり、また、適当な電解条件下において多孔質になり、機械的な性質が脆くなる。そこで、不働態膜を切削工具で切削すれば、極めて容易に切削が行え、不働態膜の生成とその切削を繰り返せば、切削工具の摩耗や、変形、折損を発生させることなく、微細な切削工具により、所望の深さおよび形状に加工することができる。
【0005】
そして、不働態膜の成膜においては、電解液のpHが影響を与えることが知られている。そこで、加工槽内の電解液のpHを検出し、pH値が所定値から変化したときに電解液に酸性溶液を滴下してpH値を調整し、常時、一定の電解条件が形成されるようにして被加工物表面に不働態膜を生成する微細切削方法も提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の微細切削方法および微細切削装置によると、特開平10−156626号公報の微細切削方法の場合、電極と被加工物間に発生している電解の状態を検出していないため、電解条件の変化によって、不働態膜が被加工物の表面に十分に形成されなかったり、被加工物表面が過不働態化状態になる恐れがある。電極と被加工物間に電解電圧を印加する際、被加工物表面に不働態膜を生成させるために適正な電解条件下で電解電圧の印加を行う必要があるが、被加工物の表面に不働態膜が十分に形成されない電解条件下で電解電圧を印加した場合、不働態化されていない状態の金属部分を切削することになり、切削抵抗が上昇し、切削工具の欠けや折損を発生させることになる。
【0007】
また、被加工物表面が過不働態化状態となる電解条件下において、電解電圧を印加した場合には、金属の粒界腐食による凹凸が発生し、加工面の形状精度や表面粗さを低下させる。
【0008】
さらに、電解液のpHの検出値の変化に応じて酸性溶液を電解液に滴下してpH値を調整する従来の微細切削方法によると、pH値の計測を行っている場所が、電解電圧が印加されている電極と被加工物の間ではないため、電極と被加工物間に局所的なpH値の変化が生じた場合には、不働態膜が被加工物の表面に十分に形成されなかったり、被加工物の表面が過不働態化状態になる恐れがある。
【0009】
したがって、本発明の目的は、不働態膜が被加工物表面に最適な条件により形成されるようにし、不働態膜が最適な条件下で形成されないことに起因する工具の欠けや折損を防止でき、更に加工面の形状精度や表面粗さの低下を防止できるようにした微細切削方法および微細切削装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するため、第1の特徴として、電解液が収納された加工槽内に被加工物とともに電極を配設し、前記被加工物と前記電極との間に電解電圧を印加して前記被加工物表面に不働態膜を生成し、この不働態膜を切削工具により切削して前記被加工物を所定の形状に加工する微細切削方法において、前記電解電圧を印加しているときに、前記切削工具により前記不働態膜を除去した時の前記電極と前記被加工物間の電解電流のピーク電流を計測し、前記電解電流のピーク電流と閾値とを比較し、前記電解電流のピーク電流が前記閾値より大きいとき、前記電解電圧を下げ、前記電解電流のピーク電流が前記閾値より小さいとき、前記電解電圧を上げ、前記電解電流のピーク電流が前記閾値と同じとき、前記電解電圧を維持することで、前記不働態膜を形成する時の電解電圧を制御することを特徴とする微細切削方法を提供する。
【0011】
この方法によれば、被加工物の表面に不働態膜が最適に形成される電解条件に設定され、被加工物表面が過不働態化状態や不働態膜が十分に形成されない状態となることを防ぎ、切削工具の欠けや折損を防止し、或いは加工面の形状精度や表面粗さの低下を防止することができる。
【0012】
また、本発明は、上記の目的を達成するため、第2の特徴として、電解液が収納された加工槽内に被加工物とともに電極を配設し、前記被加工物と前記電極との間に電解電圧を印加して前記被加工物表面に不働態膜を生成し、この不働態膜を切削工具により切削して前記被加工物を所定の形状に加工する微細切削装置において、前記被加工物と前記電極との間に電解電圧を印加する電解電圧印加手段と、前記電解電圧を印加しているときに、前記切削工具により前記不働態膜を除去した時の前記電極と前記被加工物との間に流れる電解電流のピーク電流を検出する電解電流検出手段と、前記電解電流検出手段によって検出された前記ピーク電流と閾値とを比較し、前記ピーク電流が前記閾値以上であるか、前記閾値以下であるかを判定する判定手段と、前記判定手段により前記ピーク電流が前記閾値より大きいと判定されたとき、前記電解電圧が下がり、前記ピーク電流が前記閾値より小さいと判定されたとき、前記電解電圧が上がり、前記ピーク電流が前記閾値と同じと判定されたとき、前記電解電圧が維持されるように、前記不働態膜を形成する時の前記電解電圧印加手段を制御する制御手段を備えることを特徴とする微細切削装置を提供する。
【0013】
この構成によれば、電解電圧印加手段により電極と被加工物間に電解電圧が印加され、その電解電流の波形が電解電流検出手段により検出され、電解電流の波形に基づいて被加工物の表面の不働態膜の形成状態が表面状態判別手段により判別され、その判別結果に応じて電解電圧印加手段の出力電圧の制御(電圧値の変更等)が行われる。したがって、被加工物表面に不働態膜圧が十分な量となる電解条件に設定され、被加工物表面の過不働態化状態や不働態膜圧が不十分となる状態を無くし、切削工具の欠けや折損を防止し、或いは加工面の形状精度や表面粗さの低下を防止することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の微細切削装置の構成を示す。
本発明の微細切削装置は、位置制御機構100、位置制御装置120、電解電圧印加装置130(電解電圧印加手段)、電解電圧検出装置140、電解電流検出装置150(電解電流検出手段)、表面状態判別装置160(表面状態判別手段)、pH調整装置170(pH調整手段)、pHセンサ180、及びpH調整溶液供給機構190を備えて構成されている。
【0015】
位置制御機構100は、被加工物107を水平方向へ移動させるためのX軸ステージ101、被加工物107をX軸ステージ101の移動方向と直交する方向に水平移動させるためのY軸ステージ102、切削工具105を保持して垂直方向へ移動させるZ軸ステー103、およびZ軸方向を中心軸にして切削工具105を回転させるθ軸ステージ104を備えて構成される。X軸ステージ101には、電解液108を満たした加工槽109が設置されている。そして、加工槽109内には被加工物107が設置され、この被加工物107に対して昇降自在に電極106が配設されている。ここでは、電極106に白金電極を用い、電解液108に0.01N硝酸ナトリウム水溶液を用いている。また、被加工物107には、不働態膜の生成が可能な材質、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、チタン、アルミニウム等の金属、或いは、鉄、ニッケル、コバルト、チタン、アルミニウム等を含む合金を用いることができる。
【0016】
位置制御装置120は、信号線121a,121b,122を介してX軸ステージ101、Y軸ステージ102、およびZ軸ステージ103に制御信号を出力する。電解電圧印加装置130は、ケーブル131,132を通して不働態膜を形成するための電圧(電解電圧)を電極106と被加工物107の間に印加する。電解電圧検出装置140は、その入力端子がケーブル131,132に接続され、切削工具105と被加工物107間の電解電圧値を計測する。電解電流検出装置150は、切削工具105と被加工物107間の電解電流の変化を計測する。
【0017】
表面状態判別装置160は、電解電圧印加装置130、電解電圧検出装置140、および電解電流検出装置150のそれぞれに信号線162,161,163を介して接続されており、電解電圧検出装置140および電解電流検出装置150で計測された電解状態を判別し、設定電圧値を電解電圧印加装置130へ送出する。電解電流検出装置150には、ケーブル132に接続された計測部150aが設置されている。pH調整装置170は、電解液108のpH値を調整するために用いられる。pHセンサ180は、その計測部が電解液108に浸されるように配置され、信号線171を介して計測したpH値はpH調整装置170に取り込まれる。
【0018】
pH調整溶液供給機構190は、希硝酸等の酸性溶液によるpH調整溶液192が収納された溶液槽191と、pH調整溶液192の加工槽109内への供給を制御するバルブ193と、先端部が溶液槽191の底部に結合され、他端が加工槽109の所定の位置に及ぶように設けられ、途中にバルブ193が設けられたパイプ194とを備えて構成されている。バルブ193は、信号線172を通して与えられるpH調整装置170よりの制御信号によって開閉制御される。
【0019】
図2は、電解電圧印加装置130の出力が電極105と被加工物107間に印加されたときの電解電流波形を示す。電解時における電解電流IE は、印加電圧及び電解液108のpH値に依存して変化する。この電解電流IE の変化は、電解電流検出装置150により計測される。被加工物107の表面が不働態化された状態にあっても、被加工物107の表面が完全な絶縁層の状態ではないため、電極106と被加工物107間には、平衡維持電流IB と呼ばれる微弱な電流が流れている。この状態で被加工物107の表面の不働態膜が除去されると、電解電圧の印加(図2のt1 時点)と同時に、数m秒程度の幅のピーク電流I1 を含む電解電流IE が流れる。電解電圧の印加に伴って、被加工物107の表面には不働態膜が形成されていくため、流れる電解電流値は時間とともに低下していき、最終的に平衡維持電流IB と同一値になる。
【0020】
図3は被加工物表面が過不働態化状態になった場合の電解電流波形を示す。図3においては、t1 時点で電解電圧の印加を開始した時、電解電流IE のピーク電流I2 が設定した閾値Th以上であるときの電解電流波形が示されている。ピーク電流I2 が閾値Thを越える状態は、過不働態化状態になることを意味しており、被加工物107の加工面に凹凸が発生し、加工面の形状精度の低下や表面粗さの低下を生じさせる。なお、被加工物表面にはわずかな電解溶出が発生しているため平衡維持電流よりも大きな電流値となる一定電流波形がピーク波形後に検出される。
【0021】
図4は不働態膜が十分に形成されない場合の電解電流波形を示す。図4においては、t1 時点で電解電圧の印加を開始した時、電解電流IE のピーク電流I3 が設定した閾値Th以上であったときの電解電流波形が示されている。ピーク電流I3 が閾値Th以下になる状態は、不働態膜が十分に形成されていないことを意味している。不働態膜が十分に形成されていない状態において加工を行うと、被加工物107自体を切削してしまい、切削抵抗が上昇するため、電極105の折損等を招き易くなる。この場合も、平衡維持電流IB が一定値になった後のt2 時点で電解電圧の印加を停止する。
【0022】
図2〜図4から明らかなように、閾値Thを適正に設定し、閾値Thと電解電流IE のピーク電流値とを比較すれば、この比較結果から被加工物表面の状態が十分な膜圧の不働態膜が形成(図2のケース)、過不働態化状態(図3のケース)、不働態膜の形成が不十分(図4のケース)のいずれかにあることを把握することができる。さらに、上記比較結果に基づいて電解電圧を制御すれば、不働態膜の成膜を制御することができる。
【0023】
次に、φ50μmの超硬材料の先端をD字形の断面形状に加工された切削工具105によりSUS304の被加工物107を加工する場合を例にし、かつ、具体的な数値を示して図1の微細切削装置の動作を図3および図4を参照して説明する。
【0024】
まず、電解電圧印加装置130により電極106と被加工物107の間に電解電圧を印加し、被加工物107の表面に不働態膜を形成する。電解電圧は、2.0Vを初期電圧とし、これを電極106と被加工物107の間に印加し、かつ、2.0Vの値を0.5秒間出力し、次に0.5秒間停止するパルス状の波形を繰り返し印加する。
【0025】
次に、θ軸ステージ104を駆動して、切削工具105を3000rpmで回転させ、切削工具105を被加工物107の上端面から10μmの位置、つまり、切り込み深さが10μmとなる切削開始位置まで移動させる。ついで、X軸ステージ101を用いて被加工物107を移動させながら切削加工を開始する。ここで、被加工物107の送り速度は、0.1μm/secとした。
【0026】
切削工具105により被加工物107の表面の不働態膜部分が除去されると、被加工物107の金属部分(素地)が露出する。この状態において、電極106と被加工物107の間に電解電圧が印加されていれば、不働態膜が形成される。そして、被加工物107に不働態膜が形成される過程で、電解電流が計測部150aと電解電流検出装置150により計測される。不働態膜が最適に形成された場合、閾値Thと同一又は近傍の値の図2に示すピーク電流I1 が計測される。電解電流検出装置150によるピーク電流の計測結果は、表面状態判別装置160に取り込まれ、閾値Thとピーク電流I1 の比較が行われ、偏差が無いことをもって被加工物107の表面に不働態膜が適正に形成されたものと判定し、現在の電解電圧値を維持するように電解電圧印加装置130に指示を出す。なお、表面状態判別装置160による被加工物107の表面状態の判定には、電解電圧の印加開始後15msecの時点の電解電流波形を用いた。
【0027】
次に、図3に示した波形の電解電流が計測された場合、表面状態判別装置160は、被加工物107の表面が過不働態化状態にあると判定する。この判定に伴い、表面状態判別装置160は、電解電圧印加装置130の出力電圧を所定の電圧だけ下がるように電解電圧印加装置130を制御する。この場合、電解電圧印加開始時のピーク電流値の判定に用いる閾値Thは、10μAとした。
【0028】
さらに、図4に示した波形の電解電流が計測された場合、表面状態判別装置160は、被加工物107の表面の不働態化が十分に行われていないと判定する。この判定に伴い、表面状態判別装置160は、電解電圧印加装置130の出力電圧を所定の電圧だけ上げるように電解電圧印加装置130を制御する。
【0029】
以上のように、電極106と被加工物107間に印加される電解電圧を適正な値に調整することによって、被加工物107の表面に最適な厚みの不働態膜を生成させることができ、不働態膜の部分を切削加工することによって低切削抵抗での切削加工が可能になる。
【0030】
ところで、不働態膜が形成される電解条件は、電極106と被加工物107間に印加される電解電圧と、電解液108のpH値により決定される。したがって、不働態膜を安定に生成するためには、印加する電解電圧と電解液108のpH値を適正に設定する必要がある。そこで、加工中においては、電解液のpH値が大きく変化しないように、予め設定されたpH値(例えば、6.8)が保持されるように制御する。pH値はpHセンサ180により所定の時間周期で計測され、その計測値がpH値調整装置170に取り込まれ、設定値との偏差に基づいてバルブ193の開閉を制御し、パイプ194を通して電解液108中へ滴下することにより、電解液108のpH値を調整することができる。pH値が安定であれば、電解電圧の設定のみにより不働態膜の生成を制御することができるので、制御が複雑化するのを防止することができる。
【0031】
図5は本発明の微細切削方法を示す。図5の処理は、電解電圧印加装置130、電解電圧検出装置140、電解電流検出装置150、および表面状態判別装置160によって実行される。まず、加工の開始(ステップ501)と同時に、電解電圧印加装置130により電極106と被加工物107の間に電解電圧(ここじは、2.0V)が印加される(ステップ502)。次に、電極106により所定の距離が加工されたか否かの判定、つまり、不働態膜の生成が必要か否かの判定が行われる(ステップ503)。所定の距離が加工されていれば加工を終了し(ステップ504)し、Z軸ステージ103を動作させ、切削工具105を電解液108内より退避させる。切削工具105による加工が所定の距離以下であれば、ステップ505へ移行する。ステップ505では、計測部150a及び電解電流検出装置150によりピーク電流が計測され、この計測結果は表面状態判別装置160に取り込まれる。表面状態判別装置160では、図3及び図4で説明したように、閾値Thとピーク電流I2 またはI3 との比較が行われる。表面状態判別装置160は、〔ピーク電流>閾値Th〕が判定されたときには電解電圧が0.1V下がるように電解電圧印加装置130を制御し(ステップ507)、逆に、〔閾値Th>ピーク電流〕が判定されたときには印加開始時の電解電圧に対し、電解電圧が0.1V上がるように電解電圧印加装置130を制御する(ステップ508)。ステップ507,508の処理後、ステップ502に戻り、以降の処理を繰り返し実行する。
【0032】
なお、上記実施の形態においては、電解電圧の増減は0.1V単位としたが、本発明はこの値に限定されるものではなく、設備規模や加工条件等に応じて任意に設定することができる。
【0033】
また、切削工具105にD字形の断面形状のものを用いたが、加工すべき形状、加工条件等に応じて任意の形状のものを用いることができる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明の微細切削方法および微細切削装置によれば、電極と被加工物間の電解電流の電流波形を計測し、この電流波形の計測結果に基づいて電解電圧を制御するようにしたので、最適な不働態膜を被加工物の表面に形成する電解条件を容易に設定することができ、その結果、被加工物表面の過不働態化状態や不働態膜が十分に形成されない状態が無くなるため、切削工具の欠けや折損が防止され、或いは加工面の形状精度や表面粗さの低下が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の微細切削装置の構成を示す構成図である。
【図2】被加工物表面に不働態膜が形成されているときの電解電流波形を示す波形図である。
【図3】被加工物表面が過不働態化状態であるときの電解電流波形を示す波形図である。
【図4】被加工物表面の不働態膜が十分に形成されていない状態であるときの電解電流波形を示す波形図である。
【図5】本発明の微細切削方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
100 位置制御機構
101 X軸ステージ
102 Y軸ステージ
103 Z軸ステージ
104 θ軸ステージ
105 切削工具
106 電極
107 被加工物
108 電解液
109 加工槽
120 位置制御装置
130 電解電圧印加装置
140 電解電圧検出装置
150 電解電流検出装置
150a 電解電流計測部
160 表面状態判別装置
170 pH調整装置
180 pHセンサ
190 pH調整溶液供給機構

Claims (5)

  1. 電解液が収納された加工槽内に被加工物とともに電極を配設し、
    前記被加工物と前記電極との間に電解電圧を印加して前記被加工物表面に不働態膜を生成し、
    この不働態膜を切削工具により切削して前記被加工物を所定の形状に加工する微細切削方法において、
    前記電解電圧を印加しているときに、前記切削工具により前記不働態膜を除去した時の前記電極と前記被加工物間の電解電流のピーク電流を計測し、
    前記電解電流のピーク電流と閾値とを比較し、
    前記電解電流のピーク電流が前記閾値より大きいとき、前記電解電圧を下げ、前記電解電流のピーク電流が前記閾値より小さいとき、前記電解電圧を上げ、前記電解電流のピーク電流が前記閾値と同じとき、前記電解電圧を維持することで、前記不働態膜を形成する時の電解電圧を制御することを特徴とする微細切削方法。
  2. 前記ピーク電流の計測は、前記電解電圧の印加開始し、前記切削工具により加工を開始した後、10〜20m秒の時点で行うことを特徴とする請求項1に記載の微細切削方法。
  3. 前記切削工具による加工は、前記電解液のpHを一定に保った状態で行うことを特徴とする請求項1記載の微細切削方法。
  4. 電解液が収納された加工槽内に被加工物とともに電極を配設し、前記被加工物と前記電極との間に電解電圧を印加して前記被加工物表面に不働態膜を生成し、この不働態膜を切削工具により切削して前記被加工物を所定の形状に加工する微細切削装置において、
    前記被加工物と前記電極との間に電解電圧を印加する電解電圧印加手段と、
    前記電解電圧を印加しているときに、前記切削工具により前記不働態膜を除去した時の前記電極と前記被加工物との間に流れる電解電流のピーク電流を検出する電解電流検出手段と、
    前記電解電流検出手段によって検出された前記ピーク電流と閾値とを比較し、前記ピーク電流が前記閾値以上であるか、前記閾値以下であるかを判定する判定手段と、
    前記判定手段により前記ピーク電流が前記閾値より大きいと判定されたとき、前記電解電圧が下がり、前記ピーク電流が前記閾値より小さいと判定されたとき、前記電解電圧が上がり、前記ピーク電流が前記閾値と同じと判定されたとき、前記電解電圧が維持されるように、前記不働態膜を形成する時の前記電解電圧印加手段を制御する制御手段を備えることを特徴とする微細切削装置。
  5. 前記加工槽は、前記電解液のpH値を一定に保つpH調整手段を備えることを特徴とする請求項4記載の微細切削装置。
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