JP3917512B2 - シートアンテナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンテナシート上にアンテナパターンがプリント形成されたシートアンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、携帯電話端末を用いてのデータ通信やモバイルコンピューティングが一般化しており、ユーザが自動車を利用している状態でもそのような通信環境を実現するべく、窓ガラス等に貼付して使用する携帯電話用の外付けアンテナが各種製品化されている。
【0003】
ところで近年の自動車用アンテナでは、透明のフィルムシート上にアンテナ素子パターンをプリント形成したアンテナを、例えばサイドウィンドウなどの窓ガラス内面に貼着する、フィルムアンテナやシートアンテナと呼称されるものを装着する例が増えている。
【0004】
しかるに、携帯電話端末に外付けする自動車のウィンドウ貼着用のシートアンテナは未だ実現しておらず、携帯電話端末内部に組付けるフレキシブル基板上に構成されたものがあるにすぎない。
【0005】
以下図4及び図5にそのようなアンテナ構成を例示する。
【0006】
図4は、約λ/4の素子長を有する直線状の放射素子部11と、矩形状のグランド部12とをアンテナパターンとしてフレキシブル基板のシート13上にプリント形成したアンテナの構成を示すものである。
【0007】
この場合、放射素子部11の基部の給電点11aと、グランド部12から導出された給電点12aが近接配置され、図示しない同軸アンテナケーブルの中心導体が放射素子部11の給電点11aに、同外部導体がグランド部12の給電点12aにそれぞれ接続されることとなる。
【0008】
また、図5は、基部側が90°屈曲形成されたL字形の第1の放射素子部21と、直線状の第2の放射素子部22とをアンテナパターンとしてフレキシブル基板シート23上にプリント形成したアンテナの構成を示すものである。
【0009】
このアンテナでは、第1の放射素子部21の基部の給電点21aと、第2の放射素子部22基部の給電点22aが同一方向に並列配置され、図示しない同軸アンテナケーブルの先端に設けられるコネクタの接着面に形成された各端子が上記給電点21a,22aにそれぞれ接続されることとなる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記図4及び図5で示したようなアンテナの構造は、いずれも理論上、指向性利得で2.15[dBi]程度と、決して高い利得を実現できるものではなく、自動車のウィンドウに貼着する、携帯電話端末外付け用のシートアンテナとしては実用に供することは困難であった。
【0011】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、アンテナシート上にアンテナパターンがプリント形成されるシートアンテナで、充分に高利得で自動車のウィンドウに貼着するなど実用に足るレベルで使用可能なシートアンテナを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、アンテナシート上にアンテナパターンがプリント形成されるシートアンテナであって、複数の放射素子をそれぞれ各放射素子の軸方向と直交する方向に突出させて設けた逆位相成分部を介して直列状に配置して一体に形成した放射素子部と、この放射素子部の一端の給電点となる端部を中心に包囲する略コ字状部、及び上記放射素子部の軸方向と直交する方向に上記略コ字状部から延在する一対の地線部とからなり、上記放射素子部の軸方向を中心に対称形状となる整合部とをアンテナパターンとして形成したことを特徴とする。
【0013】
このような構成とすれば、放射素子単体では必要な利得が得られずとも、放射素子を多段構成とすることで充分な利得を得ることができると共に、整合部の形状に応じてアンテナとケーブルとの整合が取り易く、且つ給電点の形状により生産性も向上させることができる。
【0014】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記複数の放射素子は、それぞれ略約3/8λ乃至5/8λ(λ:中心対象周波数の波長)の素子長とし、上記地線部は、それぞれ約λ/4の素子長とすることを特徴とする。
【0015】
このような構成とすれば、上記請求項1記載の発明の作用に加えて、例えば携帯電話端末の使用周波数帯域等で、ある程度のコンパクト化と高利得化とを実現でき、自動車のウィンドウ貼着に適したものとできる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明を自動車のウィンドウに貼着する携帯電話端末用の外付けシートアンテナに適用した場合の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1はその外観構成を示すもので、例えばポリエステル製の透明フィルムのシート31上に、例えば銀箔による放射素子部32と整合部33とをプリント形成する。
【0018】
放射素子部32は、第1放射素子32a、逆位相成分部32b、及び第2放射素子32cが全体で直線状に一体に配列構成されたものであり、第1放射素子32aと第2放射素子32cは共に該配列の軸方向に沿った線形状をなし、これらの間に介在する逆位相成分部32bは、該配列の軸方向に直交する一対の相対向したコ字状形状により矩形状ループを形成している。
【0019】
加えて、第2放射素子32cの逆位相成分部32bとは隣接しない一端部がこの放射素子部32の給電点32dとなる。
【0020】
一方、整合部33は、この第2放射素子32cの給電点32dを3方から包囲するようなコ字状部33aと、このコ字状部33aの両端側から、上記放射素子部32の配列軸方向に直交する方向に延在された一対の地線部33b,33cが一体に構成される。
【0021】
そして、上記給電点32dと相対向する上記コ字状部33aの近接位置を給電点33dとする。
【0022】
このような素子パターンのアンテナに対し、図示しない携帯電話端末に一端が接続された同軸ケーブル34の他端側に形成されたピックアップ35を上記給電点32d,33dの位置に合わせて接続する。
【0023】
具体的には、ピックアップ35のここでは図示しない下面側の接着面に上記同軸ケーブル34の中心導体及び外部導体とそれぞれ接続された端子が形成されており、該中心導体側の端子が放射素子部32の給電点32dと、該外部導体側の端子が整合部33の給電点33dと接続されるように例えば両面テープを用いて接着固定される。
【0024】
このような構成にあって、図示する如く第1放射素子32aと第2放射素子32cの素子長を共に約3/8λ乃至5/8λ(λ:対象中心周波数の波長)、逆位相成分部32bの矩形ループを構成する一対のコ字状部の素子長をそれぞれ同じく約3/8λ乃至5/8λ、上記整合部33の地線部33b,33cの長さをそれぞれ約λ/4とする。
【0025】
図2は、0.8[GHz]〜0.96[GHz]の周波数範囲におけるVSWRを示すもので、図中実線で示す特性Aが逆位相成分部32bを挟んで第1放射素子32aと第2放射素子32cの2段構成とした放射素子部32によるもの、破線で示す特性Bが参考までに放射素子部32から第1放射素子32a及び逆位相成分部32bを除去した1段構成によるものである。
【0026】
上述した周波数帯域全域に渡り、ケーブルロスの影響はあるが、ほぼ安定して良好な値となっていることがわかる。
【0027】
また図3は、上記図2と同様の周波数範囲におけるアンテナ利得を示すもので、図中実線で示す特性Cが逆位相成分部32bを挟んで第1放射素子32aと第2放射素子32cの2段構成とした放射素子部32の実測値、同特性C′が上記特性Cから反射等の影響を勘案してミスマッチロスをないものとして補正した値、破線で示す特性Dが参考までに放射素子部32から第1放射素子32a及び逆位相成分部32bを除去した1段構成による実測値、同特性D′が上記特性Dから反射等の影響を勘案してミスマッチロスをないものとして補正した値である。
【0028】
本アンテナでは、例えばλ/2アンテナ+λ/4アンテナの構成とした場合には、理論値でも4[dBi]前後の利得が得られることになっており、実際に同図からも、2段構成とした場合の方が最大で3[dB]もの利得差を得ることができることがわかった。
【0029】
加えて、上記整合部33の形状を工夫することにより、アンテナと同軸ケーブル34との整合が取り易くなると共に、給電点32d,33dの形状を工夫することにより、両面テープ等を用いた接着式のピックアップ35を採用して生産性を向上させることもできる。
【0030】
したがって、放射素子単体では必要な利得が得られずとも、放射素子を多段構成とすることで総じてアンテナ全体では充分な利得を得ることができると共に、駆動効率がよく、生産性も高いものとできる。
【0031】
さらに、上記図1で示したような各素子長とすれば、例えば携帯電話端末の使用周波数帯域等で、ある程度のコンパクト化と高利得化とを実現でき、自動車のウィンドウ貼着に適したものとできる。
【0032】
なお、上記実施形態では、放射素子部32を2つの第1放射素子32a,第2放射素子32cを逆位相成分部32bを介在する2段構成にするものとして説明したが、それぞれ逆位相成分部を介在して3段以上の構成とすることも容易に可能であり、その場合はアンテナ全体の長さは増してしまうものの、より高い利得を得るものにできる。
【0033】
その他、本発明は上記実施の形態に限らず、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能であるものとする。
【0034】
さらに、上記実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施の形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題の少なくとも1つが解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも1つが得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0035】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、放射素子単体では必要な利得が得られずとも、放射素子を多段構成とすることで充分な利得を得ることができると共に、整合部の形状に応じてアンテナとケーブルとの整合が取り易く、且つ給電点の形状により生産性も向上させることができる。
【0036】
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、例えば携帯電話端末の使用周波数帯域等で、ある程度のコンパクト化と高利得化とを実現でき、自動車のウィンドウ貼着に適したものとできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るシートアンテナの外観構成を示す斜視図。
【図2】同実施形態に係るVSWR特性を例示する図。
【図3】同実施形態に係るアンテナ利得特性を例示する図。
【図4】従来のシートアンテナの外観構成を例示する図。
【図5】従来のシートアンテナの外観構成を例示する図。
【符号の説明】
31…シート
32…放射素子部
32a…第1放射素子
32b…逆位相成分部
32c…第2放射素子
32d…給電点
33…整合部
33a…コ字状部
33b,33c…地線部
33d…給電点
34…同軸ケーブル
35…ピックアップ
Claims (2)
- アンテナシート上にアンテナパターンがプリント形成されるシートアンテナであって、
複数の放射素子をそれぞれ各放射素子の軸方向と直交する方向に突出させて設けた逆位相成分部を介して直列状に配置して一体に形成した放射素子部と、
この放射素子部の一端の給電点となる端部を中心に包囲する略コ字状部、及び上記放射素子部の軸方向と直交する方向に上記略コ字状部から延在する一対の地線部とからなり、上記放射素子部の軸方向を中心に対称形状となる整合部と
をアンテナパターンとして形成したことを特徴とするシートアンテナ。 - 上記複数の放射素子は、それぞれ約3/8λ乃至5/8λ(λ:対象中心周波数の波長)の素子長とし、
上記地線部は、それぞれ約λ/4の素子長とする
ことを特徴とする請求項1記載のシートアンテナ。
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