JP3917095B2 - Gprsシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、GPRS(汎用パケット無線サービス(General Paket Radio Service ))における移動機の各種試験を行う際に用いられるGPRSシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
3GPP(3rd Generation Partnership Project)規格には、GPRSシステムの動作が規定されている(http://www.3gpp.org/About/about.htm 又はhttp://www.3gpp.org/specs/specs.htm 参照)。具体的に、GPRSは、GSMシステムの新しいサービスであり、3GPPのGSMフェーズ2以降の標準化の対象となっている。このGPRSの動作環境は、GPRSバックボーンネットワークによって相互に連結された1もしくは1よりも多数のサブネットワークサービスエリアを備える。サブネットワークは、GPRSサポートノード(もしくはエージェント)と称する複数のパケットデータサービスノードを備えている。これら複数のパケットデータサービスノードは、各々複数の基地局を介して、パケットデータサービスを移動機(移動体データ端末機器、移動局を含む)に提供できるようになっている。このため、セルであるGSM移動体ネットワークに接続される。中間の移動体ネットワークは、サポートノードと移動体データ端末機器との間に回線交換もしくはパケット交換データ伝送を提供している。ここのサブネットワークは、例えばPSPDN(公衆交換パケットデータ網(Public Switched Packet Data Network ))といった外部データネットワークに接続される。これにより、GPRSサービスは、インターフェースネットワークとしてのGSMネットワーク機能として、移動体データ端末機器と外部データネットワークとの間にパケットデータ伝送を提供することができる。
【0003】
図11は上述したGPSRネットワークの一般的な装置の例を示している。移動体データ端末としての一般的な移動局の機能は、移動体ネットワークの移動局MS、及びデータインターフェースを介して移動局MSに接続された携帯パーソナルコンピュータPCを含んでいる。移動局は、PCアプリケーションによって使用されるプロトコルをサポートするダイレクトインターフェースポイントを任意に提供することができる。なお、移動局MS及び携帯パーソナルコンピュータPCを単一の構成要素に統合し、その中で、アプリケーションソフトウェアは、それが使用するプロトコルをサポートするインターフェースポイントを提供することも可能である。ネットワーク要素BSC及びMSCは、一般的なGSMネットワークで既知である。
【0004】
図11の例では、GPRSサービスの別個のサービングGPRSサポートノード(SGSN)を備えている。サポートノードは、ネットワークにおいて、あるパケット無線サービス動作を実施する。このような動作には、システム内及びシステム外の移動局MSの登録、移動局MSのルーティングエリアの更新、正しい目的地へのデータパケット(例えばデジタル形式にエンコードされた音声、コンピュータ相互間のデータトラフィック、テレファックスデータ、ショートプログラムコードシーケンス等のデジタル電気通信システムにおいて伝送される全ての情報)のルーティングが含まれる。SGSNノードは、基地局BTS、基地局コントローラBSC、もしくは移動交換センタMSCに配置することができる。
【0005】
なお、SGSNノードは、全ての要素とは独立して配置することもできる。SGSNノードと基地局コントローラBSCとの間のインターフェースは、Gbインターフェースと称される。また、1つの基地局コントローラBSCによって制御されるエリアは、基地局サブシステム(BSS)と称される。そして、移動局MSからネットワークへの方向をアップリンクといい、その反対方向をダウンリンクという。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては下記のものがある。
【0006】
【特許文献1】
特表2000−511753号公報
【0007】
ところで、上述した図11に示すGPSRネットワークの基地局サブシステム(BSS)に成り代わって擬似的に基地局を構成し、実際にパケット通信を行うに際して、移動局MSの各種試験を行うGPRS用シミュレータが知られている。従来、この種のGPRS用シミュレータは、外部の制御端末に接続されて擬似的に基地局を構成し、試験対象となる移動機から送信されるRLC(Radio Link Control)/MAC(Media Access Control)コントロールメッセージなどの各種メッセージやパケットデータを受信し、OSI(open systems interconnection)基本参照モデルのレイヤ1(物理層)やレイヤ2(データリンク層)に関する処理を実行し、移動機の各種試験を行っている。また、GPRS用シミュレータに接続される制御端末では、OSI基本参照モデルのレイヤ3(ネットワーク層)以上の処理を実行している。
【0008】
さらに説明すると、このGPRS用シミュレータでは、正常系の動作試験として、図5に示すように、移動機からパケットチャネル割り当て要求があると、移動機に対して上りパケットリソース割り当てを返信する。そして、移動機は、上りパケットリソース割り当ての返信を受けると、上りパケットデータを送信する。この上りパケットデータを受信すると、上りパケットデータ受信確認を返信する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来のGPRS用シミュレータでは、移動機から送信されるRLC/MACコントロールメッセージを受信した場合、この受信したRLC/MACコントロールメッセージを3GPP規格に記述された内容で処理して移動機にRLC/MACコントロールメッセージを返信していた。このため、従来のGPRS用シミュレータでは、移動機から送信されるRLC/MACコントロールメッセージに対し、決められた固定の処理を行ってRLC/MACコントロールメッセージを返信することしかできなかった。従って、RLC/MACコントロールメッセージに対する処理内容に自由が効かなかった。しかも、GPRS用シミュレータに接続される外部の制御端末は、レイヤ3以上の処理を行うため、下位レイヤであるRLC/MACコントロールメッセージに対する処理を直接取り扱うことができなかった。
【0010】
そして、従来のGPRS用シミュレータは、移動機を接続しようとするときに接続できるように正常動作することを前提としているので、移動機の正常系の試験を行うことはできるが、RLC/MACコントロールメッセージの内容を変えて準正常系の試験や異常系の試験を行うことができなかった。
【0011】
そこで、本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであって、移動機からのRLC/MACコントロールメッセージに対する処理内容を外部からのコマンド入力により編集可能とすることにより、RLC/MACコントロールメッセージに対する処理内容に拡張性を持たせることができるGPRSシステムを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
請求項1記載のGPRSシステムは、所定のRLC/MACコントロールメッセージを送信する移動機2から送信されるRLC/MACコントロールメッセージを受信したときに、この受信したRLC/MACコントロールメッセージの内容に応じた処理を実行するGPRS用シミュレータ3と、
該GPRS用シミュレータに接続され、前記RLC/MACコントロールメッセージに対する処理内容を設定して処理する返信設定処理部4aを有し、前記移動機から受信したRLC/MACコントロールメッセージをそのままGPRS用シミュレータを通過させるスルーモードと、前記移動機から受信したRLC/MACコントロールメッセージを前記GPRS用シミュレータ内の処理部3bで3GPP規格に記述されGPRSシステムで定義された動作内容で処理を行うオートモードとを選択的に切り替えるモード設定コマンドを前記GPRS用シミュレータに送信する制御端末4とを備え、
該制御端末は、前記GPRS用シミュレータにスルーモードのモード設定コマンドを送信したときに、前記移動機から前記GPRS用シミュレータを介してそのまま受信するRLC/MACコントロールメッセージに対して前記返信設定処理部で予め設定された前記RLC/MACコントロールメッセージに対する返信内容のシナリオによる処理内容で処理を行って前記移動機に返信することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るGPRS用シミュレータを含むGPRSシステムの好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明に係るGPRS用シミュレータを含むGPRSシステムの概略構成を示すブロック図、図2(a),(b)は本発明に係るGPRSシステムで使用されるRLC/MACコントロールメッセージのフォーマット図、図3は本発明に係るGPRSシステムにおけるオートモード時の動作シーケンスを示す図、図4は本発明に係るGPRSシステムにおけるスルーモード時の動作シーケンスを示す図である。
【0016】
図1に示すように、本実施の形態によるGPRSシステム1は、移動局をなすGPRS移動機(以下、移動機と略称する)2を試験対象とし、擬似的に基地局を形成するGPRS用シミュレータ(以下、シミュレータと略称する)3及び外部の制御端末4を備えて概略構成される。
【0017】
移動機2は、シミュレータ3との間で通信接続可能とされ、RLC/MACコントロールメッセージを含む各種メッセージ及びパケットデータをシミュレータ3に送信している。
【0018】
ここで、RLC/MACコントロールメッセージは、図2(a),(b)に示すようなフォーマット構成となっている。図2(a)は移動機2からシミュレータ3方向(アップリンク)に送信されるRLC/MACコントロールメッセージのフォーマットを示している。また、図2(b)はシミュレータ3(又は制御端末4)から移動機2方向(ダウンリンク)に送信されるRLC/MACコントロールメッセージのフォーマットを示している。
【0019】
図2(a),(b)に示すように、RLC/MACコントロールメッセージは、MACヘッダと複数のオクテットからなり、オクテットの部分にコントロールメッセージが書き込まれる。
【0020】
シミュレータ3は、移動機2と制御端末4との間に配置され、制御端末4からの操作によって制御されるものであり、移動機2から送信されるRLC/MACコントロールメッセージを含む各種メッセージ及びパケットデータを受信している。図1に示すように、このシミュレータ3は、第1処理部(PHY部)3aと第2処理部(RLC/MAC部)3bを備えている。第1処理部3aは、OSI(open systems interconnection)基本参照モデルのレイヤ1(物理層)に関する処理として、例えば変復調等の無線送受信系の処理や誤り訂正を含む符号化処理等を行っている。
【0021】
第2処理部3bは、OSI基本参照モデルのレイヤ2(データリンク層)に関する処理として、例えばデータをレイヤで規定されているサイズに編集する等のデータのやり取り時のデータの編集や分割の処理、メッセージの解析、リソース資源の割り当て、メッセージの再送制御等の処理を行っている。また、第2処理部3bには、ユーザの操作により制御端末4から2種類のモード(オートモード、スルーモード)の何れかのモードを示すモード指定コマンドが入力される。
【0022】
第2処理部3bは、制御端末4からモード指定コマンドが入力されると、そのモード指定コマンドがオートモードかスルーモードの何れのモードを示すものか判断している。そして、第2処理部3bは、モード指定コマンドがオートモードと判断したとき、移動機2から受信したRLC/MACコントロールメッセージに対して3GPP規格に記述されGPRSシステムで定義された動作内容の処理を行って移動機2に図2(b)に示すフォーマット構成のRLC/MACコントロールメッセージを返信している。これに対し、第2処理部3bは、モード指定コマンドがスルーモードと判断したときには、移動機2から受信したRLC/MACコントロールメッセージに対する処理を行わず、そのままRLC/MACコントロールメッセージを制御端末4に送信している。
【0023】
制御端末4は、予め設定されたシナリオを処理する返信設定処理部4aを有し、シミュレータ3と接続され、シミュレータ3からそのまま送られてくるRLC/MACコントロールメッセージの処理を含め、OSI基本参照モデルのレイヤ3(ネットワーク層)以上の処理を行っている。返信設定処理部4aでは、移動機2からシミュレータ3を介してそのまま送信されるRLC/MACコントロールメッセージに対する返信内容をユーザの操作により任意に設定編集できるようになっている。
【0024】
制御端末4は、ユーザの操作によりシミュレータ3の第2処理部3bにモード指定コマンドを送信している。このモード指定コマンドは、オートモードとスルーモードの2種類からなる。オートモードは、移動機2から受信したRLC/MACコントロールメッセージに対して3GPP規格に記述されGPRSシステムで定義された動作内容の処理をシミュレータ3の第2処理部3b内で行うモードである。スルーモードは、移動機2から受信したRLC/MACコントロールメッセージに対する処理を行わずそのままRLC/MACコントロールメッセージを制御端末4に送信し、返信設定処理部4aに設定された内容の処理を行うモードである。
【0025】
なお、本例のGPRSシステム1では、デフォルトの状態でオートモードが設定されている。また、制御端末4の表示画面には、移動機2との間における通信の進行状況が表示されるようになっている。
【0026】
次に、上記のように構成されるGPRSシステム1の動作について図3及び図4を参照しながら説明する。
【0027】
まず、移動機2からのRLC/MACコントロールメッセージに対する返信内容のシナリオを編集して制御端末4の返信設定処理部4aに予め設定して書き込んでおく。すなわち、スルーモード時に、移動機2からシミュレータ3を介してそのまま送られてくるRLC/MACコントロールメッセージに対し、どのような処理を行うか、その処理内容について編集して設定する。
【0028】
そして、ユーザの操作によりオートモードを示すモード指定コマンドが制御端末4からシミュレータ3の第2処理部3bに入力されると、図3に示すオートモードによる処理が実行される。このオートモードは、従来通りの処理であり、図3に示すように、移動機2からRLC/MACコントロールメッセージが送信されると、このRLC/MACコントロールメッセージがシミュレータ3の第1処理部3aを介して第2処理部3bに受信される。第2処理部3bでは、受信したRLC/MACコントロールメッセージを3GPP規格に記述された内容で処理を行って移動機2に返信する。
【0029】
これに対し、ユーザの操作によりスルーモードを示すモード指定コマンドが制御端末4からシミュレータ3の第2処理部3bに入力されると、図4に示すスルーモードによる処理が実行される。このスルーモードでは、図4に示すように、移動機2から受信したRLC/MACコントロールメッセージがシミュレータ3の第1処理部3a及び第2処理部3bをスルーしてそのまま制御端末4に送信される。そして、制御端末4では、シミュレータ3をスルーしてRLC/MACコントロールメッセージが入力されると、そのRLC/MACコントロールメッセージに対して予め返信設定処理部4aで設定された内容の処理を行い、その処理結果をシミュレータ3を介して移動機2に返信する。
【0030】
ここで、図5は本例のGPRSシステム1における上りパケットデータ転送時の正常系の試験を行う際の全体の流れを示している。
【0031】
図5において、移動局は移動機2に該当し、基地局はシミュレータ3及び制御端末4に該当する。図5に示すように、基地局は、移動局からパケットチャネル割り当て要求があると、移動局に対して上りパケットリソース割り当てを返信する。次に、移動局は、基地局から上りパケットリソース割り当ての返信を受けると、上りパケットデータを基地局に送信する。そして、基地局は、この上りパケットデータを受信すると、上りパケットデータ受信確認を移動局に返信する。
【0032】
次に、本例のGPRSシステム1の具体的な動作(図5の一点鎖線で囲まれた部分の動作に相当)について図6から図10に基づいて説明する。まず、移動機の正常系(データ通信が成功する基本シーケンス)の試験を行う場合の動作について図6を参照しながら説明する。
【0033】
この移動機の正常系の試験を行う場合には、オートモードの処理が実行される。制御端末4からシミュレータ3にオートモードのモード指定コマンドが送出されると、シミュレータ3は受信したモード指定コマンドにより現在のモードをオートモードに切り替える。そして、オートモードが指定された状態で、RLC/MACコントロールメッセージとして、移動機2からPacket Channel Request(パケットチャネルの割り当てを要求するメッセージ)が送信されると、このPacket Channel Requestをシミュレータ3の第2処理部3bが受信する。そして、第2処理部3bは、受信したPacket Channel Requestに対してPacket Uplink Assignment(パケット上りリソース割り当てを通知するメッセージ)を返信する。移動機は、Packet Uplink Assignmentを受信すると、シミュレータ3にパケットデータを転送する。そして、シミュレータ3の第2処理部3bは、移動機2から転送されるパケットデータを受信すると、その受信状況に応じてPacket Uplink Ack/Nack(パケット上りデータの受信確認の良否を通知するメッセージ)を移動機2に返信する。
【0034】
次に、移動機の準正常系(正常系とは違う何らかの手順を踏むが最終的には正常にデータ通信が終了するシーケンス)の試験を行う場合の動作として、図7及び図8を参照しながら2つの例について説明する。
【0035】
まず、スルーモード時に、移動機2からシミュレータ3を介してそのまま送られてくるRLC/MACコントロールメッセージに対し、どのような処理を行って移動機2に返信するか、その処理内容について編集して設定しておく。図7の例では、RLC/MACコントロールメッセージとして、Packet Channel Request(パケットチャネルの割り当てを要求するメッセージ)が送られてきたときに、Packet Queuing Notification (Packet Channel Requestを受けたが移動機に待機してもらうメッセージ)を返信するように処理内容が返信設定処理部4aに設定される。
【0036】
上記設定を終えた状態で、制御端末4からシミュレータ3にスルーモードのモード指定コマンドが送出されると、シミュレータ3は受信したモード指定コマンドにより現在のモードをスルーモードに切り替える。そして、スルーモードが指定された状態で、RLC/MACコントロールメッセージとして、移動機2からPacket Channel Requestが送信されると、このPacket Channel Requestはシミュレータ3を通過して制御端末4に送信される。制御端末4は、シミュレータ3を通過したPacket Channel Requestを受信すると、返信設定処理部4aにより予め設定されたPacket Queuing Notification をシミュレータ3を介して移動機2に返信する。移動機2は、制御端末4からPacket Queuing Notification を受信すると、そのまま待機状態になる。その後、制御端末4からPacket Uplink Assignment(パケット上りリソース割り当てを通知するメッセージ)がシミュレータ3を介して移動機2に返信される。続いて、制御端末4からシミュレータ3にオートモードのモード指定コマンドが送出されると、シミュレータ3は受信したモード指定コマンドにより現在のモードをオートモードに変更する。その後、移動機2は、制御端末4からのPacket Uplink Assignmentを受信すると、シミュレータ3にパケットデータを転送する。そして、シミュレータ3の第2処理部3bは、移動機2から転送されるパケットデータを受信すると、その受信状況に応じてPacket Uplink Ack/Nack(パケット上りデータの受信確認の良否を通知するメッセージ)を移動機2に返信する。この図7に示す処理によれば、Packet Queuing Notification を返信したときの移動機の動作を試験することができる。
【0037】
次に、図8の例では、RLC/MACコントロールメッセージとして、Packet Channel Request(パケットチャネルの割り当てを要求するメッセージ)が送られてきたときに、Packet Access Reject(チャネル要求を拒否するメッセージ)を返信するように処理内容が返信設定処理部4aに設定される。
【0038】
上記設定を終えた状態で、制御端末4からシミュレータ3にスルーモードのモード指定コマンドが送出されると、シミュレータ3は受信したモード指定コマンドにより現在のモードをスルーモードに切り替える。そして、スルーモードが指定された状態で、RLC/MACコントロールメッセージとして、移動機2からPacket Channel Requestが送信されると、このPacket Channel Requestはシミュレータ3を通過して制御端末4に送信される。制御端末4は、シミュレータ3を通過したPacket Channel Requestを受信すると、返信設定処理部4aに予め設定されたPacket Access Rejectをシミュレータ3を介して移動機2に返信する。この図8に示す処理によれば、Packet Access Rejectによりチャネル要求が拒否されたときの移動機2の動作を試験することができる。
【0039】
次に、移動機の異常系(異常終了で終わり、データ通信が正常に終了しないシーケンス)の試験を行う場合の動作として、図9及び図10を参照しながら2つの例について説明する。
【0040】
まず、スルーモード時に、移動機2からシミュレータ3を介してそのまま送られてくるRLC/MACコントロールメッセージに対し、どのような処理を行って移動機2に返信するか、その処理内容について編集して設定しておく。図9の例では、RLC/MACコントロールメッセージとして、Packet Channel Request(パケットチャネルの割り当てを要求するメッセージ)が送られてきたときに、内容が構文エラーのコントロールメッセージを返信するように処理内容が返信設定処理部4aに設定される。
【0041】
上記設定を終えた状態で、制御端末4からシミュレータ3にスルーモードのモード指定コマンドが送出されると、シミュレータ3は受信したモード指定コマンドにより現在のモードをスルーモードに切り替える。そして、スルーモードが指定された状態で、RLC/MACコントロールメッセージとして、移動機2からPacket Channel Requestが送信されると、このPacket Channel Requestはシミュレータ3を通過して制御端末4に送信される。制御端末4は、シミュレータ3を通過したPacket Channel Requestを受信すると、返信設定処理部4aに予め設定された内容が構文エラーのコントロールメッセージをシミュレータ3を介して移動機2に返信する。この図9に示す処理によれば、内容が構文エラーのコントロールメッセージを移動機2が受信したときの動作を試験することができる。
【0042】
次に、図10の例では、RLC/MACコントロールメッセージとして、Packet Channel Request(パケットチャネルの割り当てを要求するメッセージ)が送られてきたときに、応答しないように処理内容が返信設定処理部4aに設定される。
【0043】
上記設定を終えた状態で、制御端末4からシミュレータ3にスルーモードのモード指定コマンドが送出されると、シミュレータ3は受信したモード指定コマンドにより現在のモードをスルーモードに切り替える。そして、スルーモードが指定された状態で、RLC/MACコントロールメッセージとして、移動機2からPacket Channel Requestが送信されると、このPacket Channel Requestはシミュレータ3を通過して制御端末4に送信される。制御端末4は、シミュレータ3を通過したPacket Channel Requestを受信すると、返信設定処理部4aに予め設定された内容、すなわち移動機2に返信しない処理がなされる。この図10に示す処理によれば、制御端末4(基地局)が無応答のときの処理を試験することができる。
【0044】
このように、本例のGPRSシステムでは、RLC/MACレイヤの処理モードとしてオートモードとスルーモードの2種類のモードを持っている。そして、上位レイヤの試験時はスループットを向上させるためにオートモードに設定し、RLC/MACレイヤの試験時にはユーザが編集可能な返信設定処理部4a内にRLC/MACの処理を記述するスルーモードに設定する。これにより、両者の試験に一台のシミュレータで対応でき、テスト対象を拡張することができる。
【0045】
また、従来、シミュレータ内の処理部でしか取り扱えないRLC/MACレイヤのメッセージを外部の制御端末でも取り扱うことができ、レイヤ3以上の処理だけではなく、スルーモード時にRLC/MACレイヤ(RLC/MACコントロールメッセージに対する返信メッセージ)の処理までもユーザに開放して制御端末で処理することができる。従って、事前に返信設定処理部4a内にRLC/MACコントロールメッセージに対する処理内容を自由に書き込んでおけば、移動機の各種所望の試験を行うことができ、処理内容に拡張性を持たせることができる。
【0046】
具体的に、移動機から送信されるRLC/MACコントロールメッセージに対する処理内容を制御端末の返信設定処理部により予め編集して設定しておけば、制御端末からのモード指定コマンドの送出により、移動機からのチャネル割り当て要求に対しリソース割り当て通知を行って移動機の正常系の試験を行うだけでなく、図7乃至図10に示すような準正常系又は異常系の試験も行うことができる。これにより、移動機を多方面から試験し、その性能を評価することができる。また、移動機の正常系の試験を行うのは前述のオートモードだけでなく、スルーモードで処理を実行できる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、RLC/MACレイヤの処理モードとしてオートモードとスルーモードの2種類のモードを持ち、上位レイヤの試験時はスループットを向上させるためにオートモードに設定し、RLC/MACレイヤの試験時にはユーザが編集可能な返信設定処理部内にRLC/MACの処理を記述するスルーモードに設定する。これにより、両者の試験に一台のシミュレータで対応でき、テスト対象を拡張することができる。
【0048】
また、従来、シミュレータ内の処理部でしか取り扱えないRLC/MACレイヤのメッセージを外部の制御端末でも取り扱うことができ、レイヤ3以上の処理だけではなく、RLC/MACレイヤの処理もユーザに開放して制御端末で処理することができる。これにより、事前に返信設定処理部内にRLC/MACコントロールメッセージに対する処理内容を自由に書き込んで移動機の各種所望の試験を行うことができ、処理内容に拡張性を持たせることができる。
【0049】
具体的に、移動機から送信されるRLC/MACコントロールメッセージに対する処理内容を制御端末の返信設定処理部により予め編集して設定しておけば、制御端末からのモード指定コマンドの送出により、移動機の正常系の試験のみでなく、準正常系又は異常系の試験も行い、移動機を多方面から試験して性能を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るGPRS用シミュレータを含むGPRSシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】(a),(b) 本発明に係るGPRSシステムに使用されるRLC/MACコントロールメッセージのフォーマット図である。
【図3】本発明に係るGPRSシステムにおけるオートモード時の動作シーケンスを示す図である。
【図4】本発明に係るGPRSシステムにおけるスルーモード時の動作シーケンスを示す図である。
【図5】GPRSシステムにおける上りパケットデータ転送時の全体の流れを示す図である。
【図6】本発明に係るGPRSシステムにおいて正常系の試験を行う際の具体的な動作シーケンスの一例を示す図である。
【図7】本発明に係るGPRSシステムにおいて準正常系の試験を行う際の具体的な動作シーケンスの一例を示す図である。
【図8】本発明に係るGPRSシステムにおいて準正常系の試験を行う際の具体的な動作シーケンスの他の例を示す図である。
【図9】本発明に係るGPRSシステムにおいて異常系の試験を行う際の具体的な動作シーケンスの一例を示す図である。
【図10】本発明に係るGPRSシステムにおいて異常系の試験を行う際の具体的な動作シーケンスの他の例を示す図である。
【図11】GPSRネットワークの一般的な装置の例を示す図である。
【符号の説明】
1…GPRSシステム、2…移動機、3…シミュレータ、3a…第1処理部(PHY)、3b…第2処理部(RLC/MAC)、4…制御端末、4a…返信設定処理部。
Claims (1)
- 所定のRLC/MACコントロールメッセージを送信する移動機(2)から送信されるRLC/MACコントロールメッセージを受信したときに、この受信したRLC/MACコントロールメッセージの内容に応じた処理を実行するGPRS用シミュレータ(3)と、
該GPRS用シミュレータに接続され、前記RLC/MACコントロールメッセージに対する処理内容を設定して処理する返信設定処理部(4a)を有し、前記移動機から受信したRLC/MACコントロールメッセージをそのままGPRS用シミュレータを通過させるスルーモードと、前記移動機から受信したRLC/MACコントロールメッセージを前記GPRS用シミュレータ内の処理部(3b)で3GPP規格に記述されGPRSシステムで定義された動作内容で処理を行うオートモードとを選択的に切り替えるモード設定コマンドを前記GPRS用シミュレータに送信する制御端末(4)とを備え、
該制御端末は、前記GPRS用シミュレータにスルーモードのモード設定コマンドを送信したときに、前記移動機から前記GPRS用シミュレータを介してそのまま受信するRLC/MACコントロールメッセージに対して前記返信設定処理部で予め設定された前記RLC/MACコントロールメッセージに対する返信内容のシナリオによる処理内容で処理を行って前記移動機に返信することを特徴とするGPRSシステム。
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