JP3917042B2 - フレーム転送ネットワークにおけるフレーム送信速度制御方法およびフレーム転送装置に接続されるユーザ端末 - Google Patents

フレーム転送ネットワークにおけるフレーム送信速度制御方法およびフレーム転送装置に接続されるユーザ端末 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、フレーム転送ネットワークにおいて、ユーザ端末から送信されるフレームの送信速度制御に好適なフレーム送信速度制御方法並びにその方法を用いたフレーム転送装置およびユーザ端末に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数のユーザ端末が一つのフレーム転送装置を介して中継網に接続されるフレーム転送ネットワークにおいて、フレーム転送装置における中継網への送信インタフェース部で輻輳が起こると、フレーム転送装置と中継網を接続するリンクの帯域が、フレームを大量に送信する一部のユーザ端末に占有され、フレーム廃棄が発生する。このフレーム廃棄を回避するために、IEEEの802.3xでは、指定期間、フレームの送信を止めるPAUSEフレームを送信側の装置に送り、フレーム送信を抑制する手段が規定されている。このPAUSEフレームを用いた場合、輻輳を検出したフレーム転送装置は、PAUSEフレームにより輻輳を全てのユーザ端末に対して通知する。輻輳通知を受けたユーザ端末は、PAUSEフレームに含まれる規制時間の間、輻輳の継続を回避するために、フレーム送信を停止し、規制時間が経過した後、フレーム送信を開始する。
【0003】
また、フレーム転送装置における輻輳を回避し、帯域を保証する方法として、スケジューリング技術を用いた方法、送信速度の上限を常時小さく制御する方法などがある。スケジューリング技術による方法は、フレーム転送装置の中継網に接続するインタフェースにおいて、送信権を任意の順番でユーザ端末ごとにスケジューリングすることによって、ユーザ端末ごとの帯域保証を実現する。この方法によれば、常時、フレーム転送装置と中継網の間のリンク帯域を、ユーザ端末ごとに厳密に割り当てることができる。送信速度の上限を制御する方法は、ユーザ端末の送信速度を常時一定速度以下に設定する方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のフレーム送信速度制御方法では、フレーム転送装置内の中継網への送信インタフェースで輻輳が発生すると、規制時間にわたりユーザ端末のフレーム送信が完全に停止される。このとき、十分低速でフレームを送信していたユーザ端末も、大量にフレームを送信するユーザ端末が引き起こした輻輳によって生成されたPAUSEフレームに基づいて、送信速度は零になるように規制される。このため、規制時間中はユーザ毎にフレーム送信の最低速度を保証することができないという問題があった。さらに、全てのユーザ端末のフレーム送信が同一条件で規制されるため、音声通話など最低送信速度に対する要求条件が厳しいユーザ端末も、ホームページ閲覧など最低送信速度に対する要求条件が緩いユーザ端末も、送信速度を同一に零になるように規制される。このため、ユーザ端末のサービス要求に合わせて、送信速度を変えて保証することができない、あるいは、規制時間中にユーザ端末が送信する個々のアプリケーションに対して最低送信速度を保証することができないという問題があった。
【0005】
また、スケジューリング技術を用いた方法の場合、高速ネットワークにおいて物理インタフェース速度相当でフレームを送信することは、送信権の順番制御がないFIFO(First in first out)を用いても、処理負荷の観点から困難であるにもかかわらず、さらに、スケジューリングにともなって処理負荷が重くなるため、多くのハードウェア資源が必要である。このため、高速ネットワークにおいて、経済的に、ユーザ端末ごとの帯域保証を実現することが難しいという問題があった。また、送信速度の上限を制御する方法は、動的に上限速度の変更を行わないため、制御の安定性の観点では優れているが、常時、各ユーザの送信速度が小さく規制されるため、バースト性の強い送信トラヒック、すなわち短期間に大量のデータを送信するトラヒックでは、ユーザ全体の送信スループットが低下する。このため、ユーザ全体の網利用効率を維持しながらユーザ端末ごとの最低帯域を保証することができないという問題があった。
【0006】
この発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、その目的は、フレーム転送装置が、複数のユーザ端末に対して同一の、あるいは、ユーザ端末ごとに異なる、保証すべき最低送信速度を送信許可速度として輻輳通知フレーム内に含めて通知し、ユーザ端末は、規制時間にわたりフレーム送信速度の上限を通知された送信許可速度に制御することによって、フレーム送信の規制時間中であっても、各ユーザ端末の最低送信速度を保証することである。さらに、この発明の目的は、ユーザ端末が、非優先のアプリケーション情報を含むフレームを選択的に廃棄して、規制時間にわたり送信許可速度を越えない限り、優先アプリケーションのフレーム送信を維持することにより、規制時間中であっても個々のアプリケーションの最低速度を保証することである。
【0007】
また、本発明の他の目的は、フレーム転送装置において、ユーザ端末ごとに送信権をスケジューリングすることなく、FIFOのみを行うことによって、経済的に高速ネットワークヘの適用を可能にするとともに、速度が規制される時間を最低限に短縮することによって、バースト性が強いトラヒックに対してもユーザ全体の送信スループットの低下を防ぎ網利用効率を向上させることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数のユーザ端末と、該複数のユーザ端末から送信されたフレームを中継網に転送するフレーム転送装置を備えたフレーム転送ネットワークにおけるフレーム送信速度制御方法であって、前記フレーム転送装置は、輻輳検出手段を有し、該輻輳検出手段により輻輳が検出された場合、輻輳通知を示す識別子と、前記ユーザ端末側で送信を規制する期間を指定する規制時間と、規制時間中の送信許可速度とを含む輻輳通知フレームを前記ユーザ端末ごとに生成して全てのユーザ端末に送信し、前記ユーザ端末は、受信した輻輳通知フレームに含まれる規制時間と送信許可速度に基づいて、前記規制時間にわたりフレーム送信速度の上限を前記送信許可速度に制御し、前記規制時間を経過した後、送信速度規制を解除することを特徴とするフレーム転送ネットワークにおけるフレーム送信速度制御方法である。各ユーザ端末のフレーム送信速度の上限を送信許可速度に制御することによって、フレーム転送装置と中継網間の帯域が一部のユーザ端末に占有されることを防止できる。また、各ユーザ端末の送信許可速度を保証すべき最低速度に設定することによって、規制時間においてもユーザ端末のフレーム送信の最低速度を保証することができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のフレーム転送ネットワークにおけるフレーム送信速度制御方法において、前記輻輳検出手段により、輻輳の終了が検出された場合、前記フレーム転送装置は、前記ユーザ端末において送信を規制する規制時間を零に指定した輻輳通知フレームを生成して全ての前記ユーザ端末に送信し、前記ユーザ端末は、規制時間が零に指定された輻輳通知フレームを受信する場合に、送信速度規制を解除することを特徴とする。規制時間が経過する前に輻輳が終了した場合、前記ユーザ端末は、前記輻輳通知フレームに基づいて規制時間の経過を待たずに、ただちにフレーム送信を再開するため、規制時間が短縮される。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のフレーム転送ネットワークにおけるフレーム送信速度制御方法において、前記ユーザ端末は、受信した輻輳通知フレームによりフレーム送信速度を規制する場合、送信フレームに含まれるアプリケーション情報あるいはフレーム優先度に基づいて、非優先アプリケーションのフレームを廃棄することによって、フレーム送信速度の上限を前記輻輳通知フレームに指定された送信許可速度以下になるように制御することを特徴とする。これによって、ユーザ端末ごとに各アプリケーションの優先度に基づいて、最低フレーム送信速度を保証することができる。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のフレーム転送ネットワークにおけるフレーム送信速度制御方法において、前記ユーザ端末は、予め設定された送信許可速度を記憶し、受信した輻輳通知フレームに基づくフレーム送信速度の規制時間にわたり、フレーム送信速度の上限を前記記憶された送信許可速度に制御する。これによって、前記ユーザ端末が、当該ユーザ端末の保証する最低送信速度を設定することができる。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、前記フレーム転送装置は、装置自身が生成する輻輳通知フレームを検出して、当該輻輳通知フレームに含まれる規制時間と送信許可速度に基づき、前記規制時間にわたり各ユーザ端末から受信するフレーム受信速度の上限を前記送信許可速度に制御し、前記規制時間を経過した後、フレーム受信速度の規制を解除することを特徴とするフレーム転送ネットワークにおける速度制御方法である。前記規制時間において送信許可速度を越えて送信するユーザ端末があっても、他のユーザ端末の最低速度保証を実現できる。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、一つの中継網に対してフレームを送信するインタフェースを備えるフレーム転送装置であって、前記インタフェースにおいてフレーム送信の輻輳開始および輻輳終了を検出する輻輳検出手段と、ユーザ端末ごとに設定されたフレーム送信の規制時間と送信許可速度を記憶する記憶手段と、前記輻輳検出手段において、輻輳開始が検出された場合、前記記憶手段に記憶された規制時間と送信許可速度を含めた輻輳通知フレームを生成し、輻輳終了が検出された場合、前記規制時間を零に指定する輻輳通知フレームを生成する輻輳通知フレーム生成手段と、該輻輳通知フレーム生成手段により生成された輻輳通知フレームをユーザ端末に送信する送信手段とを具備することを特徴とするフレーム転送装置である。
【0014】
また、請求項7に記載の発明は、一つの中継網に対してフレームを送信するインタフェースを備えるフレーム転送装置であって、前記インタフェースにおいてフレーム送信の輻輳開始および輻輳終了を検出する輻輳検出手段と、ユーザ端末ごとに設定されたフレーム送信の規制時間と送信許可速度を記憶する記憶手段と、前記輻輳検出手段において、輻輳開始が検出された場合、前記記憶手段に記憶された規制時間と送信許可速度を含めた輻輳通知フレームを生成する輻輳通知フレーム生成手段と、装置自身が生成した輻輳通知フレームを受けて、規制時間と送信許可速度を抽出する輻輳通知フレーム検出手段と、該輻輳通知フレーム検出手段により抽出された規制時間と送信許可速度に基づき、前記規制時間にわたり前記送信許可速度を上限として前記ユーザ端末から受信されるフレーム受信速度を制御する手段と、前記規制時間を経過した後、受信速度規制を解除する解除手段とを具備することを特徴とするフレーム転送装置である。
【0015】
また、請求項8に記載の発明は、請求項6または請求項7に記載のフレーム転送装置において、前記輻輳検出手段は、予め設定された輻輳開始を検出する第1の閾値と輻輳終了を検出する第2の閾値を記憶し、中継網に転送するフレームの蓄積量が第1の閾値を越えた場合、輻輳開始を判断し、輻輳が開始した後、前記フレームの蓄積量が第2の閾値以下になった場合、輻輳終了を判断することを特徴とする。
【0016】
また、請求項9に記載の発明は、フレーム転送ネットワークを介して前記フレーム転送装置に接続されるユーザ端末において、前記フレーム転送装置から受信された輻輳通知フレームを検出し、該輻輳通知フレームに含まれる規制時間と送信許可速度を抽出する輻輳通知フレーム検出手段と、前記規制時間にわたり前記送信許可速度を上限としてフレーム送信速度を制御する制御手段と、前記規制時間を経過した後、送信速度規制を解除する規制解除手段とを具備することを特徴とするユーザ端末である。
【0017】
また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のユーザ端末において、送信するアプリケーションごとの優先度を記憶する記憶手段と、送信フレームに含まれるアプリケーション情報あるいはフレーム優先度を抽出し、前記記憶手段に記憶された優先度と照合して当該送信フレームの優先度を判別する判別手段と、受信された輻輳通知フレームに基づくフレーム送信の規制時間にわたり前記判別手段により検知された非優先アプリケーションのフレームを廃棄するフレーム廃棄手段とを、さらに、備えることを特徴とする。
【0018】
また、請求項11に記載の発明は、請求項9に記載のユーザ端末において、前記ユーザ端末は、予め設定されたユーザ端末自身の送信許可速度を記憶する記憶手段を備えることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。図1は、同実施形態を説明するネットワーク構成を示す概念図である。同図において、10は、フレーム転送装置であり、20a〜20cは、ユーザ端末である。なお、ユーザ端末の数は、フレーム転送装置10の収容能力、ネットワーク構成に応じて任意に定めることができる。ユーザ端末20a〜20cは、リンク40a〜40cを介して、それぞれフレーム転送装置10に接続される。また、フレーム転送装置10は、リンク50を介して、中継網30に接続されている。ここで、リンク40a〜40cとリンク50の通信帯域幅は100Mbpsとする。図2は、フレーム転送装置10の構成を示すブロック図である。15a〜15cは、ユーザ端末20a〜20cを、それぞれ、フレーム転送装置10に収容するポート(インタフェース)である。また、フレーム転送装置10は、ポート16により中継網30に接続される。
【0020】
11は、フレーム交換部であり、ポート15a〜15cに接続されたユーザ端末20a〜20cから受信したフレームを中継網30へ転送し、また、ポート16に接続された中継網30から受信したフレームをユーザ端末20a〜20cへ送出する。13a〜13cおよび14は、フレーム交換部11の、出力側に設けられた出力バッファである。12は、輻輳通知生成部である。輻輳通知生成部12は、出力バッファ14の蓄積量を常に監視し、輻輳開始を判断するため、蓄積量と予め設定した閾値(以下輻輳開始閾値と呼ぶ)との比較を行う。蓄積量が輻輳開始閾値を越えた場合、輻輳開始と判断して輻輳通知フレームを生成し、フレーム交換部11に出力する。
また、輻輳通知生成部12は、輻輳開始後、出力バッファ14の蓄積量が、予め設定した閾値(以下輻輳終了閾値と呼ぶ)を下回った場合、輻輳終了と判断し、規制時間を零とした輻輳通知フレームを生成してフレーム交換部11に出力する。
【0021】
図3は、輻輳通知生成部12により生成される輻輳通知フレームのフォーマットの例を示す図である。輻輳通知フレームは、IEEE802.3xで規定されるPAUSEフレームに基づいている。輻輳通知フレームは、PAUSEフレームのフォーマットに含まれる、フレームの送信先アドレス100a、送信元アドレス100b、輻輳通知フレームであることを示すフレームタイプ100c、輻輳識別子100d、フレーム送信を規制する期間を示す規制時間100e、および、規制時間中の送信許可速度を示す送信許可速度100fから構成される。
【0022】
図4は、ユーザ端末20aの構成を示すブロック図である。ユーザ端末20a〜20cの構成は同一とする。24は、フレーム転送装置10に割り当てられたポートである。22は、ポート24に受信された受信フレームの輻輳識別子を検知して輻輳通知フレームを抽出するフレーム処理部である。21は、規制制御部であり、フレーム処理部22から出力された輻輳通知フレームに含まれる規制時間と送信許可速度を抽出し、規制時間が零でない場合、フレーム送信速度の上限を、送信許可速度に規制するように指示する制御信号を生成する。また、規制時間を経過した後、あるいは、規制時間を零に指定した新たな輻輳通知フレームを受信した場合、送信速度規制を解除する制御信号を生成する。23は、規制制御部21から送信速度規制の制御信号を受けて、フレーム送信速度の上限を送信許可速度に規制する、あるいは、フレーム送信速度の規制を解除する速度規制部である。
【0023】
次に、図1〜4を参照して、上記構成によるフレーム転送装置10およびユーザ端末20a〜20cの動作を説明する。ここで、先ず、ユーザ端末20a、ユーザ端末20bおよびユーザ端末20cが、中継網30に対して100Mbpsの速度でフレーム送信を行うものとする。このとき、フレーム転送装置10から中継網30へのトラヒックは、300Mbpsになる。しかし、中継網30に接続するリンク50の帯域が100Mbpsであるため、出力バッファ14にフレームが蓄積され、輻輳が発生する。輻輳が発生すると輻輳通知生成部12は、出力バッファ14に蓄積されたフレーム蓄積量と輻輳開始閾値を比較し、閾値を越えているか否か判断する。閾値を越えている場合、輻輳が開始したと判断して、輻輳通知フレームを生成する。
【0024】
輻輳通知フレームは、次のような情報および設定値から構成される。送信先アドレス100aは、全ユーザ端末へのマルチキャストアドレス、ブロードキャストアドレス、または各ポートの先に収容されるユーザ端末のアドレスである。送信元アドレス100bは、フレーム転送装置10のアドレス、または“0”(NULL値)である。フレームタイプ100cは、IEEE802.3xに規定される値を用いて、0x8808とする。輻輳識別子100dには、輻輳中であることを示す値として、0x0001を設定する。規制時間100eには、輻輳通知生成部12に記憶されているユーザ端末ごとの規制時間を設定する。送信許可速度100fには、輻輳通知生成部12に記憶されているユーザ端末ごとの送信許可速度を定める。
【0025】
ここで、輻輳通知生成部12に記憶されているユーザ端末ごとの規制時間と送信許可速度は、ユーザ端末20a:1sec、10Mbps、ユーザ端末20b:1sec、20Mbps、ユーザ端末20c:1sec、30Mbpsとする。輻輳通知生成部12により生成された輻輳通知フレームは、フレーム交換部11を介して、ポート15a〜15cからユーザ端末20a〜20cへ送信される。
【0026】
次に、上述の輻輳通知フレームを受信したユーザ端末20aの動作を説明する。フレーム処理部22は、フレーム転送装置10に割り当てられたポート24に受信されたフレームのフレームタイプ100c、輻輳識別子100dを検出する。フレームタイプ100cの値が0x8808であり、かつ輻輳識別子100dが0x0001であることが検出された場合、この受信フレームが輻輳通知用フレームであることを特定して、規制制御部21に転送する。規制制御部21は、この輻輳通知フレームに含まれる規制時間100eと送信許可速度100fから1secと10Mbpsを検知して、ポート24から送信されるフレーム送信速度の上限を、10Mbpsに規制するように指示する制御信号を出力する。
【0027】
速度規制部23は、規制制御部21から入力された制御信号に基づき、フレーム送信速度の上限を、10Mbpsに規制する。ユーザ端末20b、20cにおいても、フレーム転送装置10から受信された輻輳通知フレームの規制時間100eと送信許可速度100fに基づいて、それぞれ、フレーム送信速度の上限が20Mbps、30Mbpsに規制される。従って、規制時間中のユーザ端末20a〜20cからフレーム転送装置10に送信されるフレーム速度の合計値は、60Mbpsになる。この結果、フレーム転送装置10における中継網30宛のトラヒックは、入力60Mbps、出力100Mbpsとなり、出力バッファ14の蓄積量が減少して、輻輳が解消される。そして、規制時間1secが経過した後、規制制御部21から送信規制を解除する信号が出力され、速度規制部23は、この信号を受けてフレーム送信速度の規制を解除する。
【0028】
上述のように、規制時間中のユーザ端末20a〜20cのフレーム送信速度は、それぞれ、10Mbps、20Mbps、30Mbpsに維持される。このように、各ユーザ端末に保証すべき最低フレーム送信速度を、送信許可速度として輻輳通知生成部12に設定することによって、規制時間中の各ユーザ端末のフレーム送信速度を送信許可速度に維持することができるため、規制時間中においてもユーザ端末ごとに最低速度を保証することができる。また、輻輳通知生成部12に、ユーザ端末毎に異なる送信許可速度を設定することによって、ユーザ端末ごとにサービス要求が異なる場合においても、対応することができる。
【0029】
一方、輻輳通知生成部12において輻輳が検出されてフレーム転送装置10から輻輳通知フレームがユーザ端末20a〜20cに送られ、送信規制が開始されると、出力バッファ14の蓄積量が減少する。蓄積量が輻輳終了閾値以下に減少した場合、輻輳通知生成部12は、輻輳が終了したと判断して、規制時間が経過する前であっても規制時間100eを零とする輻輳通知フレームを生成する。輻輳通知生成部12により生成された輻輳通知フレームは、フレーム交換部11を介してユーザ端末20a〜20cに通知される。
【0030】
ユーザ端末20a〜20cの規制制御部21は、入力された輻輳通知フレームの規制時間100eが零であることを検知して、規制時間がまだ終了していない場合は、速度規制部23に対して、送信速度規制を解除するように指示する。速度規制部23は、この指示に基づいて、送信速度規制を解除する。規制時間が既に終了している場合は、規制制御部21から指示は出されない。このように、フレーム転送装置10における輻輳が終了した場合、ユーザ端末20a〜20cの送信規制をただちに解除することによって、送信が規制される時間を短縮し、ユーザ端末全体のスループットを向上させることができる。
【0031】
(第2の実施の形態)以下、第2の実施の形態について説明する。ユーザ端末20a〜20cが優先度の異なる複数のアプリケーションを利用するとき、個々のアプリケーションごとに最低速度保証を行う場合である。ここで、ユーザ端末20aが、音声通話など最低送信速度に対する要求条件が厳しいアプリケーション110aと、ホームページ閲覧など最低送信速度に対する要求条件が緩やかなアプリケーション110bを利用しているものとする。ユーザ端末20aにおいて、速度規制部23は、規制時間中に、フレーム処理部22から送信されるフレームを解析して、フレームが含むアプリケーションを特定し、アプリケーション110bを含むフレームを全て廃棄するとともに、送信許可速度を越えない限り、アプリケーション110aを含むフレームの送信を維持する。このように、規制時間中でも特定のアプリケーションのフレーム送信を維持することによって、優先度の高いアプリケーションの最低送信速度を保証することができる。
【0032】
なお、速度規制部23において、送信フレームが含む各アプリケーションの優先度を検出する方法には、フレームのペイロード部分が含む上位レイヤのアプリケーション固有の情報を用いる方法、フレームのヘッダ部分が含むフレーム優先度情報を用いる方法などを用いることができる。上位レイヤのアプリケーション固有の情報を用いる方法では、フレームのペイロード部分が含むIP address、TOS(Type of Service)値、TCP(Transmission Control Protocol)またはUDP(User Datagram Protocol)のポート番号、MPEG(Moving Picture Experts Group)のピクチャタイプなどを参照する。また、フレーム優先度情報を用いる方法では、フレームのヘッダが含むIEEE802.1pで規定されるプライオリティタグ値などを参照する。
【0033】
(第3の実施の形態)以下、第3の実施の形態について説明する。図5は、同実施形態によるフレーム転送装置60の構成を示すブロック図である。なお、同図において、第1の実施の形態の図2と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。図5において、61は、輻輳通知フレームを受信し、送信速度規制の信号を出力する規制制御部である。62a〜62cは、ポート63a〜63cのフレーム受信速度を規制する速度規制部である。フレーム転送装置60において、輻輳が発生すると、輻輳通知生成部12は、輻輳開始を検知し、輻輳通知フレームを生成する。生成された輻輳通知フレームは、フレーム交換部11を介して規制制御部61に出力される。
【0034】
規制制御部61は、輻輳通知フレームから規制時間100eと送信許可速度100fを抽出し、ポート63a〜63cから受信されるフレーム速度の上限を送信許可速度100fに規制する制御信号を生成する。速度規制部62a〜62cは、規制制御部61により生成された制御信号に基づき、フレーム受信速度を規制する。このように、ユーザ端末ではなくフレーム転送装置において、フレーム受信速度を規制することによって、輻輳中においてもユーザ端末毎の送信速度を送信許可速度に制御できる。
【0035】
(第4の実施の形態)以下、第4の実施の形態について説明する。同実施形態によるユーザ端末は、当該ユーザ端末に設定された送信許可速度を記憶し、この速度以下にフレーム送信速度を制御する。例えば、ユーザ端末20aにおいて、送信許可速度、10Mbpsを予め設定した場合、規制制御部21は、この送信許可速度を記憶する。ユーザ端末20aは、フレーム転送装置10から輻輳通知フレームを受信すると、フレーム処理部22では、輻輳通知フレームを検出して規制制御部21に供給する。規制制御部21は、この輻輳通知フレームから規制時間100eを抽出し、さらに、規制制御部21に記憶されている送信許可速度を読み出し、速度規制部23に送信速度規制を指示する信号を出力する。速度規制部23は、この信号に基づいて送信速度の規制を開始する。
【0036】
このように、ユーザ端末20a〜20cが送信許可速度を記憶し、規制時間中、送信速度を規制することによって、当該ユーザ端末の最低保証速度を自ら設定することができる。実施例1の形態では、フレーム転送装置10が収容するユーザ端末が多くなると、ユーザ端末ごとに輻輳通知フレームを生成する負荷が大きくなるが、実施例4の形態では、輻輳通知フレームをコピーして同一輻輳通知フレームを全ユーザ端末に送信すれはよいため、輻輳通知の負荷が軽減される。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、フレーム転送装置において、フレーム送信の輻輳を検知して、送信許可速度を指示する輻輳通知フレームをユーザ端末に送り、フレーム送信速度を制御するため、フレーム送信速度を規制する期間においてもユーザ端末毎に最低送信速度を保証できる。また、ユーザ端末ごとに、あるいは、使用されるアプリケーションごとに最低送信速度を設定できるので、アプリケーションの優先度に応じた多様な要求に対して対応することができる。
【0038】
さらに、フレーム転送装置は、輻輳の終了を検出して輻輳通知フレームをユーザ端末に送り送信速度規制を解除するため、送信速度規制時間の短縮が可能になり、ユーザ端末全体のスループットを向上させ、フレーム転送ネットワークの利用効率を高めるという効果が得られる。また、本発明によれば、高速ネットワークにおいても、フレーム送信速度の制御を、処理負荷が小さく、簡略化されたハードウェア構成で行うことができるので、高速ネットワークに用いるフレーム転送装置とユーザ端末のコストを一層削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態によるネットワーク構成を示す概念図である。
【図2】 第1、第2および第4の実施の形態によるフレーム転送装置のブロック図である。
【図3】 輻輳通知フレームの構成例を示す図である。
【図4】 第1、第2および第4の実施の形態によるユーザ端末のブロック図である。
【図5】 第3の実施の形態によるフレーム転送装置のブロック図である。
【符号の説明】
10、60 フレーム転送装置
11 フレーム交換部
12 輻輳通知生成部
13a〜13c、14 出力バッファ
15a〜15c、16、24 ポート
20a〜20c ユーザ端末
21、61 規制制御部
22 フレーム処理部
23、62a〜62c 速度規制部
30 中継網
40a〜40c、50 リンク
63a〜63c、64 ポート

Claims (5)

  1. 複数のユーザ端末と、該複数のユーザ端末から送信されたフレームを中継網に転送するフレーム転送装置を備えたフレーム転送ネットワークにおけるフレーム送信速度制御方法であって、
    前記フレーム転送装置は、輻輳検出手段を有し、該輻輳検出手段により輻輳が検出された場合、輻輳通知を示す識別子と、前記ユーザ端末において送信を規制する期間を指定する規制時間と、規制時間中の送信許可速度とを含む輻輳通知フレームを前記ユーザ端末ごとに生成して全てのユーザ端末に送信し、
    前記ユーザ端末は、受信した輻輳通知フレームに含まれる規制時間と送信許可速度に基づいて、前記規制時間にわたりフレーム送信速度の上限を前記送信許可速度に制御する際に、送信フレームに含まれるアプリケーション情報あるいはフレーム優先度に基づき、非優先アプリケーションのフレームを廃棄することによって、フレーム送信速度の上限を前記輻輳通知フレームに指定された送信許可速度以下になるように制御し、前記規制時間を経過した後、送信速度規制を解除することを特徴とするフレーム転送ネットワークにおけるフレーム送信速度制御方法。
  2. 複数のユーザ端末と、該複数のユーザ端末から送信されたフレームを中継網に転送するフレーム転送装置を備えたフレーム転送ネットワークにおけるフレーム送信速度制御方法であって、
    前記フレーム転送装置は、輻輳検出手段を有し、該輻輳検出手段により輻輳が検出された場合、輻輳通知を示す識別子と、前記ユーザ端末において送信を規制する期間を指定する規制時間と、規制時間中の送信許可速度とを含む輻輳通知フレームを前記ユーザ端末ごとに生成して全てのユーザ端末に送信し、
    前記ユーザ端末は、受信した輻輳通知フレームに含まれる規制時間と送信許可速度に基づいて、前記規制時間にわたりフレーム送信速度の上限を前記送信許可速度に制御する際に、受信した前記輻輳通知フレームに基づくフレーム送信速度の規制時間にわたり、フレーム送信速度の上限を予め記憶部に記憶された送信許可速度に制御し、前記規制時間を経過した後、送信速度規制を解除することを特徴とするフレーム転送ネットワークにおけるフレーム送信速度制御方法。
  3. 前記輻輳検出手段により、輻輳の終了が検出された場合、前記フレーム転送装置は、前記ユーザ端末において送信を規制する規制時間を零に指定した輻輳通知フレームを生成して全ての前記ユーザ端末に送信し、前記ユーザ端末は、規制時間が零に指定された輻輳通知フレームを受信する場合に、送信速度規制を解除することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフレーム転送ネットワークにおけるフレーム送信速度制御方法。
  4. フレーム転送ネットワークを介して前記フレーム転送装置に接続されるユーザ端末であって、
    前記フレーム転送装置から受信された輻輳通知フレームを検出し、該輻輳通知フレームに含まれる規制時間と送信許可速度を抽出する輻輳通知フレーム検出手段と、
    送信するアプリケーションごとの優先度を記憶する記憶手段と、
    送信フレームに含まれるアプリケーション情報あるいはフレーム優先度を抽出し、前記記憶手段に記憶された優先度と照合して当該送信フレームの優先度を判別する判別手段と、
    受信された前記輻輳通知フレームに基づくフレーム送信の規制時間にわたり前記判別手段により検知された非優先アプリケーションのフレームを廃棄するフレーム廃棄手段と、
    前記規制時間にわたりフレーム送信速度の上限を前記送信許可速度に制御する制御手段と、
    前記規制時間を経過した後、送信速度規制を解除する規制解除手段と、
    を具備することを特徴とするユーザ端末。
  5. フレーム転送ネットワークを介して前記フレーム転送装置に接続されるユーザ端末であって、
    前記フレーム転送装置から受信された輻輳通知フレームを検出し、該輻輳通知フレームに含まれる規制時間を抽出する輻輳通知フレーム検出手段と、
    予め設定されたユーザ端末自身の送信許可速度を記憶する記憶手段と、
    前記規制時間にわたりフレーム送信速度の上限を前記送信許可速度に制御する制御手段と、
    前記規制時間を経過した後、送信速度規制を解除する規制解除手段と、
    を具備することを特徴とするユーザ端末。
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