JP3916529B2 - 結晶性薄膜形成方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基体表面に結晶性薄膜を形成する方法において、薄膜形成条件に依存せずに、薄膜の残留応力を必要な望みの値になるように調整する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
物理蒸着法又は化学蒸着法による薄膜形成技術は今日の工業界において表面処理技術、半導体デバイス等の形成プロセスなど非常に幅広い範囲で応用されている。しかし、多岐に亘って薄膜を応用する上での問題として、薄膜形成時に、基体と薄膜との間の物性の違いにより、薄膜の内部に残留応力が生じ、薄膜の変形や剥離、強度劣化等が生じる問題が挙げられる。
そのため、操業時には、薄膜の残留応力を適切な値に調整するために、薄膜材料に応じてその度に蒸着させる条件(圧力、雰囲気、バイアス電圧、膜厚など)を変化させることにより、最適条件を探索している。
【0003】
このような薄膜形成方法において、薄膜の結晶成長を制御する手段の一つとして基板を振動させる方法が知られている。例えば、特開昭64−62461号公報には、基板ホルダとして圧電板を用い、圧電板に交流電圧をかけることにより基板を面内方向に振動させてスパッタリングすることにより、粒子の衝突方向を変え、柱状構造の成長を抑え、形成膜の粒径を小さくする方法が開示されている。
【0004】
また、基体上に膜を形成するにあたり、該膜の内部応力を制御する方法として該膜の結晶性を制御すること(特開平7−18439号公報)、該膜の結晶粒径を制御すること(特開平7−207441号公報)、該膜の原子密度を制御すること(特開平7−207442号公報)等が知られている。
【0005】
さらに、特開平3−162566号(特許第2748982号)公報には、スパッタリング法、蒸着法又はCVD法によるパーマロイ膜等の薄膜形成において、基体表面に弾性表面波による励振を加え、該弾性表面波の励振振幅を1.5〜3.0nmとすることにより初期結晶成長を制御する方法を用いると、結晶粒径を縮小化し、表面の平滑化に有利であることが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
基体表面に形成された薄膜の残留応力は、亀裂や剥離を生じる原因となり、残留応力を緩和・制御することは薄膜デバイスの機能性・信頼性を高める重要な要素である。例えば、高い残留応力の存在は、c−BNに代表される新規硬質薄膜を形成する際に避けられない問題と言える。また、TiNは実用材料として密着性の向上が求められている。これまでにも、薄膜の残留応力の制御に関する研究が行なわれてきた。
しかし、スパッタリング法などに代表されるように、従来の方法は、バイアス電圧、雰囲気ガス圧等の薄膜形成条件を経験的に変化させることで残留応力変化を与えたものに過ぎず、薄膜形成条件に依存しない普遍性を持つ手法ではなかった。
【0007】
本発明は、各種の製品に形成される薄膜において、薄膜材料や薄膜形成条件に依存せずに、薄膜の残留応力が必要な望みの値になるように調整する手段の提供を課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題の解決のための手段として、ピエゾ(PZT)素子などで基体を励振させて基体を縦振動させ、かつその振幅を選択することによって、薄膜の種々の形成条件に依存せずに、結晶性薄膜の残留応力を所望の値に制御できることを見出した。本発明によれば、薄膜形成条件を探索する工程が省略できることに加えて、これまで残留応力の影響のため製品化が困難であった各種の製品の実用化が可能となる。
【0009】
すなわち、本発明は、基体表面に結晶性薄膜を物理蒸着法又は化学蒸着法により形成する方法において、
該薄膜を形成する際に、該基体を励振させて基体を縦振動させ、かつ励振の振幅を選択することにより薄膜の残留応力を縦振動をさせない場合の残留応力を基準値として、該基準値より引張応力側方向へ変化させることにより該薄膜の残留応力を所望の値に調整することを特徴とする結晶性薄膜形成方法である。
【0010】
また、本発明は、該基体をピエゾ素子により励振させ、振幅を該ピエゾ素子への印加電圧により定めることを特徴とする上記の結晶性薄膜形成方法である。
【0011】
本発明の方法は、基体表面に結晶性薄膜を物理蒸着法又は化学蒸着法により形成する装置において、該基体に、基体を縦振動させるための励振手段を設けて行なうことができる。
励振手段としてはピエゾ素子が好ましい
【0012】
【作用】
薄膜の残留応力とは、薄膜を基体上に形成する際に不可避的に導入される様々な内部応力が絡み合って発生している。これらの応力は一般に材料中の食い違い(incompatibility)によって生じる。これを固有ひずみと呼び、実際の内部応力形成要因となる固有ひずみは次の3つに分類される。
(1)熱膨張による熱ひずみ
(2)塑性ひずみ、双晶ひずみ
(3)相変態、固溶原子の拡散など構造に起因するミスフィット
【0013】
薄膜が形成される際、基体の加熱や蒸発源からの熱により熱ひずみが導入される。これは、基体と蒸着薄膜との熱膨張係数が異なることによるひずみであり、これによって発生した応力は熱応力σthと称される。また、上記の(2)や(3)のように格子定数の差や結晶構造、組織構造など、薄膜の持つ構造に起因する応力は真応力σint と称される。
【0014】
また、薄膜は一般的に真空中で成膜され、大気中で評価及び実用される。この際、大気中の反応物質、主として水分子との反応による応力を受けることがある。これは、内部応力に対し外部応力σexと称され、残留応力の形成要因の一つとなっている。薄膜形成時に導入される残留応力は以上の応力の総和、つまり、σ=σth+σint +σexとして表される。
【0015】
本発明の基体励振薄膜形成方法による残留応力値の変化は内部構造の変化による真応力σint の変化である。図1は、本発明の基体励振薄膜形成方法による残留応力値の調整メカニズムを結晶成長との関係で示す概念図である。基体励振下での成膜が内部構造変化を発生させるメカニズムについては次のように考察される。
【0016】
本明細書において、結晶性薄膜とは、非晶質薄膜ではないという意味である。図1の(a)および(b)に結晶成長過程を拡大して示すように、結晶性薄膜は成長過程において、図1の(a)に示すその初期段階では基体Sの表面に島状粒子Iとして形成され、これが蒸着粒子と連なることで次第に連続膜として成長する。この場合に、基体Sを励振することにより縦方向(基体Sの薄膜形成面に垂直方向)の振動を与えると、成膜時の初期核面密度が増加し、粒径の小さな結晶が生成し、かつ結晶粒の縦方向への成長が助長される。つまり、この効果により、図1の(b)に示すように、粒径の小さな柱状組織Cとして成長することで欠陥である粒界が増加する。そして、この際、結晶成長に斑(むら)が発生すると考えられる。この斑は、斜影効果を引き起こす。
【0017】
射影効果とは、図1の(a)に示すように、立体角ωAとωBでは差が大きく、島状粒子Iの表面の凹凸の凹の部分に原子が供給されにくくなる現象を指す。これにより柱状組織Cが形成される。さらに、この不安定な構造が保持されるためには薄膜界面の原子の移動度が関係してくる。特に、真空チャンバー内の残留ガスが吸着されると原子の移動を妨げて、硬さなど他の機械的性質に影響を与えない程度の微小なボイドBとなり、柱状組織Cの間にボイドBが取り残されることで図1の(c)に示すように、薄膜Fに引張応力が発生すると考えられる。
【0018】
上記のように、基体の縦振動により薄膜の残留応力が縦振動をさせない場合の残留応力を基準値として、該基準値より引張応力側方向へ変化する詳細な理由については、明確ではないが、一応、下記のようなメカニズムが考えられる。面内振動や表面波と比較して縦振動は薄膜の成長方向へ運動エネルギーを与え、面内方向と比較して柱状組織の柱軸方向(薄膜の面に垂直方向)への成長を促進する。このため、多くの柱状組織が発達することになって射影効果が現れるような表面の凹部が多くなる。したがって、印加電圧を大きくして振幅を増加させるほど効果的に残留応力を圧縮応力側から引張応力側方向へ変化させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の薄膜形成方法は、スパッタリング法、蒸着法又はCVD法などの物理蒸着法又は化学蒸着法による金属薄膜や、酸化物、炭化物、窒化物などの金属化合物薄膜などの結晶性薄膜の形成法のいずれにも適用できる。
基体を縦振動させるにはピエゾ素子や振動条件を実現できる電磁式振動体などを用いることができる。
【0020】
図2は、本発明の方法を実施する薄膜形成装置の概念をEB加熱蒸着装置を例として示す概念図である。図示した薄膜形成装置は、超音波発振器1、増幅器2、オシロシコープ3からなる振動制御系及び真空チャンバー5内に設置されて該振動系により振動する基体ホルダー6、銅製水冷坩堝7、真空チャンバー5内を排気する排気ポンプ4からなる。
【0021】
図3は、上記の薄膜形成装置の基体ホルダーの分解斜視図である。基体ホルダー6は基体に対して垂直方向の励振を加える仕様とするために、図3に示すように、真空チャンバー5内に取り付けるための支持部6−1と基体固定ステージ6−3との間にPZT素子6−2を挟みこむ形状となっている。各部品の接合には、小型化及び軽量化を考え接着を用いるとよい。接着剤には弾性振動を極力減らすために合成接着剤を用いることが好ましい。また、基板への漏電による成膜への影響を考慮し、PZT素子6−2と支持部6−1、基体固定ステージ6−3との間にカプトン箔6−4を挟むことで漏電対策とすることが好ましい。
【0022】
この薄膜形成装置は、10keVの電子ビームを坩堝7内のターゲット9に当て、加熱蒸発させることで蒸着粒子を作る。ターゲット9は、坩堝7の中心にある炉床8に置かれる。ビームの収束により入力密度を大きくすることが可能であり、高融点難揮発性物質の蒸着も可能とする。電子ビームは熱電子放射により引き出され、電磁石(図示せず)によりX軸、Y軸の両方向に掃引される。スパッタ蒸着と比較し蒸着粒子が非常に小さく原子オーダー又はクラスタオーダーでの蒸着を可能とする。
【0023】
本発明の基体励振薄膜形成法において振動条件を実現するためにピエゾ素子を用いる場合は、PZT素子を設置した固定台に基体を固定し、薄膜形成時に縦振動(基体の薄膜形成面に垂直方向に振動)させる。励振パラメータはPZT素子への印加電圧と振動数があり、このうち、PZT素子への印加電圧は振幅に対応する。ただし、印加電圧と振幅の関係は選択したピエゾ素子の特性で変化する。
【0024】
高周波数で振動している振動台の振幅を測ることは困難であることから、印加電圧によるPZT素子の伸び(変位)をレーザー変位計により測定し、振幅を算出する。図4に、振動数0Hz、印加電圧0〜175Vの範囲で測定したこの校正値を示す。図4に示すように、PZT素子の変位は基体に垂直方向で印加電圧50Vに対し約10nmである。したがって、PZT素子を用いて、振動数100Hz〜100kHz、印加電圧0〜175V、振幅0〜40nmの範囲で制御可能である。
【0025】
例えば、Ti薄膜の蒸着においては、励振条件である振動数、印加電圧それぞれに対し残留応力は−0.4GPa〜−0.3GPa、−0.4GPa〜0.2GPaであり、印加電圧が残留応力に大きな影響を与える。
そこで、実施する特定の成膜条件下で印加電圧を変えて、印加電圧と得られた薄膜の残留応力の関係を求めておき、実際の操業時に目的とする残留応力値に応じて励振の振幅を選択することにより薄膜の残留応力を所望の値にすることができる。これにより、薄膜の残留応力を縦振動をさせない場合の残留応力を基準値として、該基準値より引張応力側方向へ変化させることが可能となる。よって、本発明の方法は、特に、高機能薄膜を残留圧縮応力を低減しながら基板材料上に形成できる有効な手段となり得る。
【0026】
なお、励振による基体の温度上昇は熱電対測定により最大0.3℃程度であり、σthに影響を与えない。蒸発源からの熱による温度上昇は20℃以下であり、熱応力の影響は少なく、残留応力値の変化は真応力によるものと判断できる。
【0027】
【実施例】
実施例1
上記のEB加熱蒸着装置を用いて蒸着材料にTiを用い、Ti薄膜を蒸着した。基体には厚み0.5mmのSi(100)基板及びSiO基板(石英ガラス)を用いた。SiO基板の表面粗さはAFMにより測定したところ1nm以下であり、Si(100)基板とほぼ同等であった。成膜温度は室温とし、真空度が8.0×10−7Torrに到達した後に成膜を行い、成膜中の真空度は3.0×10−5Torr程度であった。この条件により、成膜速度60nm/minで膜厚300nmのTi薄膜を形成した。
振動数は、100Hz,1kHz,10kHz,100kHzとし、印加電圧は10V,30V,50V,100Vとした。なお、比較のために、振動数を0Hz、印加電圧を0Vとして薄膜を形成した。
【0028】
形成された薄膜の残留応力値の測定には表面形状測定器を用い、測定された曲率半径からStoney法によって算出した。Stoney法によって算出される残留応力値は、熱応力と真応力の和であり、熱応力に関してはヒートラベルによる温度測定により算出を行った結果、測定下限である40℃の点においてもヒートラベルの変色は見られず、成膜中の基板温度は40℃以下であったと判断できた。これより、蒸着による熱応力は受けておらず、基体励振による残留応力の変化は真応力によるものと確認した。
【0029】
図5に、振動数パラメータに対する残留応力値の変化を示す。振動数パラメータの増加に伴い圧縮残留応力値は減少する傾向を示したが、その変化量は0.1GPaと微小であり、この範囲での振動数では制御パラメータとしては有効ではなかった。
【0030】
図6に、振動数100Hzの場合の印加電圧パラメータに対する残留応力値の変化を示す(印加電圧100Vについては50Vと同一で図示せず)。図6に示すように、印加電圧パラメータによる残留応力値の変化は顕著なものであり、印加電圧の増加に伴い圧縮応力は緩和され、印加電圧は30V以上では引張応力を示した。X線回折法によりTi薄膜は結晶性薄膜であった。また、Si(100)基板及びSiO基板のいずれの薄膜も基体材料依存性は無かった。
【0031】
実施例2
蒸着材料を半導体回路構築の基礎材料として用いられるCuとし、厚み0.5mmのSi(100)基板を用いて成膜速度を30nm/minとし、膜厚1000nmのCu薄膜を成膜した。その他の条件は実施例1と同じとした。図7に、振動数100Hzの場合の印加電圧パラメータに対する残留応力値の変化(点線)を示す。この結果、残留応力値の変化は−0.3GPa〜0.1GPaであり、印加電圧の増加に比例して残留応力値が引張応力側へ変化する傾向が見られた。特に、印加電圧100VのCu薄膜では引張応力を示した。X線回折法によりCu薄膜は結晶性薄膜であった。
【0032】
実施例3
蒸着材料をAlとし、厚み0.5mmのSi(100)基板を用いて成膜速度を100nm/minとし、膜厚1000nmのAl薄膜を成膜した。その他の条件は実施例1と同じとした。図7に、実施例2と併せて、振動数100Hzの場合の印加電圧パラメータに対する残留応力値の変化(実線)を示す。この結果、残留応力値の変化は−0.2GPa〜−0.lGPaであった。X線回折法によりAl薄膜は結晶性薄膜であった。
【0033】
実施例4
上記のEB加熱蒸着装置を用いて蒸着材料にTiを用い、チャンバー内に9sccmの窒素ガスを流してTiN薄膜を蒸着した。真空度が1.0×10−6Torrに到達した後に成膜を行い、成膜中の真空度は2.3×10−4Torr程度であった。この条件により、成膜速度36nm/minで膜厚98〜130nmのTiN薄膜を形成した。振動数は100Hz、印加電圧は10V,15V,20V,50V,100Vとした。なお、比較のために、印加電圧を0Vとして薄膜を形成した。その他の条件は実施例1と同じとした。図8に、振動数100Hzの場合の印加電圧パラメータに対する残留応力値の変化を示す。これより、TiN薄膜について、印加電圧パラメータにより圧縮応力から引張応力の広い範囲で残留応力を変化させることができることが分かる。
【0034】
比較例1
蒸着材料を基体材料と同じSiとし、厚み0.4mmのSi(100)基板を用いて成膜速度を40nm/minとし、膜厚200nmのSi薄膜を成膜した。その他の条件は実施例1と同じとした。
図9に、振動数100Hzの場合の印加電圧パラメータに対する残留応力値の変化を示す。図9に示すように、印加電圧と残留応力値の相関関係は得られず、Si薄膜においては基体励振による効果は得られなかった。X線回折法によりSi薄膜は非晶質であった。
【0035】
比較例2
蒸着材料をCとし、厚み0.5mmのSi(100)基板を用いて成膜速度を3nm/minとし、膜厚100nmのC薄膜を成膜した。Cは昇華点が約3500℃と高く、蒸着時の大きな温度上昇のため、チャンバー及びホルダー部からもアウトガスが発生し、成膜時の真空度は2.0×10−4Torrとなった。
図9に、比較例1とともに、振動数100Hzの場合の印加電圧パラメータに対する残留応力値の変化を示す。図9に示すように、印加電圧と残留応力の相関関係は得られず、C薄膜においては基体励振による効果は得られなかった。X線回折法によりC薄膜は非晶質であった。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、形成される薄膜の残留応力値を薄膜形成条件に依存しないで調整できるため、薄膜形成条件を探索する工程が省略できることに加えて、これまで残留応力の影響のため製品化が困難であった各種の製品の実用化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の薄膜形成方法による残留応力制御メカニズムを結晶成長との関係で示す概念図である。
【図2】図2は、本発明の方法を実施する薄膜形成装置の概念図である。
【図3】図3は、本発明の方法を実施する薄膜形成装置の基体ホルダーの分解斜視図である。
【図4】図4は、ピエゾ素子への印加電圧と変位の関係を示すグラフである。
【図5】図5は、実施例1により成膜したTi薄膜の基体励振の振動数パラメータに対する残留応力の変化を示すグラフである。
【図6】図6は、実施例1により成膜したTi薄膜の基体励振の印加電圧パラメータに対する残留応力の変化を示すグラフである。
【図7】図7は、実施例2により成膜したCu薄膜及び実施例3により成膜したAl薄膜の基体励振の印加電圧パラメータに対する残留応力の変化を示すグラフである。
【図8】図8は、実施例4により成膜したTiN薄膜の基体励振の印加電圧パラメータに対する残留応力の変化を示すグラフである。
【図9】図9は、比較例1により成膜したSi薄膜及び比較例2により成膜したC薄膜の基体励振の印加電圧パラメータに対する残留応力の変化を示すグラフである。

Claims (2)

  1. 基体表面に結晶性薄膜を物理蒸着法又は化学蒸着法により形成する方法において、
    該薄膜を形成する際に、該基体を励振させて基体を縦振動させ、かつ励振の振幅を選択することにより薄膜の残留応力を縦振動をさせない場合の残留応力を基準値として、該基準値より引張応力側方向へ変化させることにより該薄膜の残留応力を所望の値に調整することを特徴とする結晶性薄膜形成方法。
  2. 該基体をピエゾ素子により励振させ、振幅を該ピエゾ素子への印加電圧により定めることを特徴とする請求項1記載の結晶性薄膜形成方法。
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