JP3916303B2 - 耐食性に優れたアルミニウムろう付品の製造方法 - Google Patents

耐食性に優れたアルミニウムろう付品の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば熱交換器の構成部材等として好適に用いられる耐食性に優れたアルミニウムろう付品の製造方法、特にろう付後の冷却処理方法に関するものである。
【0002】
なお、この明細書において、「アルミニウム」の語はアルミニウム及びアルミニウム合金の両方を含む意味で用いる。
【0003】
【従来の技術】
熱交換器、特に自動車用の熱交換器のフィンやチューブ等には従来よりアルミニウム系材料からなるブレージングシートが用いられている。このブレージングシートは高強度を有するアルミニウム合金を芯材とし、これの表面にSi等を含有するアルミニウム合金が設けられたものであり、熱交換器はこのようなブレージングシートを用いて作製されたフィンやチューブ等の各構成部材がろう付されて形成されている。
【0004】
このような熱交換器を構成する部材には、強度に優れるのみならず、耐食性にも優れていることが要求されている。特に自動車用の熱交換器においては、その使用環境が特に腐食されやすい環境であるために、耐食性に優れることが強く要請されているところである。
【0005】
ところで、ろう付後のブレージングシートの腐食は次のような機構で起こることが知られている。即ち図11に示すように、ろう付で溶融したSi含有アルミニウムろう材は冷却過程において、最初に初晶(53)が形成され、次いで共晶(54)相(Si+α相)が形成される。そして共晶相におけるα相(54a)が晶出Si(54b)との間に局部電池を形成して優先的に共晶α相(54a)の腐食が始まる。しかも共晶α相(54a)は初晶(53)に比してSi固溶量が少なく、これによりさらに優先的に共晶α相(54a)の腐食が進行して、その腐食が芯材(52)にまで到達することとなる。このように初晶(53)および晶出Si(54b)は腐食せずに、共晶α相(54a)の腐食が優先的に進行する局部腐食が生じる。このような機構で局部腐食が進行するため、従来のアルミニウムろう付品は耐食性に劣っていた。
【0006】
そこで、このようなアルミニウムろう付品の耐食性を向上させる方法として、米国特許4,699,674号公報には、ろう付冷却後に再加熱し溶体化処理する方法が記載され、また特開平8−276265号公報には、ろう付後の冷却過程において350〜500℃という比較的低い温度範囲で一時的に降温を停止する冷却方法が記載されている。
【0007】
一方、耐食性向上を目的として、ろう材層を芯材に対して電位的に卑にしてろう材を犠牲腐食層として働かせるために、芯材にCuを含有させる方法も提案されているが、ろう付加熱時のCuの拡散により芯材内部からろう材表面に向かって電位が卑になる所望の電位勾配が形成される一方で、Cuがろう材中へ拡散して共晶α相と晶出Siとの間にAl−Cu金属間化合物として偏析し、これにより前述の機構による局部腐食そのものは助長してしまうこととなり、結果的に耐食性はあまり向上されるものではなかった。
【0008】
そこで、この方法の改良として、特公平7−4661号公報には、ろう材中のCu含有量が0.05〜1.0wt%の範囲内となるようにろう付し、ろう付加熱後の冷却途中における固液共存温度域内の540〜577℃の範囲内の一定温度に一定時間保持してCuを液相拡散させることが記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記先行技術による場合、次のような問題があった。即ち、ろう付冷却後に再加熱する方法では、図10(イ)に示すように、既存の生産設備に新たに再加熱する工程(再加熱室)を新設する必要がある上に、これに伴い設備コストが増大し、しかも再加熱のための新たなエネルギーを要しエネルギーコストが増大するなどコストの増大が顕著であり、到底工業生産に適するものではなかった。
【0010】
また、ろう付後の冷却過程において一時的に降温を停止する冷却方法では、真空ろう付け炉においては、降温を途中で一時的に停止するには、図9に示すような既存の従来の設備構成では対応できず、図10(ロ)に示すように従来の取出室の前に一定温度に保つための保持室を新たに設けるか、図10(ハ)に示すように取出室にヒーターなどの温調設備を設ける必要があるが、いずれにせよ新たに多大な設備投資が必要となりコストの増大をもたらすという難点がある。
【0011】
また、ろう材中にCuを含有させ、固液共存温度域内の一定温度に一定時間保持してCuを液相拡散させる方法では、Al−Cu金属間化合物の偏析は緩和されCuの固溶は促進されてこれにより耐食性は向上するものの、一方で保持温度が高温度であるがゆえに初晶に固溶したSiを十分に析出させることができず、前記局部電池形成による共晶α相の優先腐食は依然として起こるために、その耐食性は未だ十分に満足できるものではなかった。
【0012】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、低コスト化を図り得るとともに、ろう材の局部腐食を防止し得る、耐食性に優れたアルミニウムろう付品の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明者らは鋭意研究の結果、加熱ろう付後の冷却処理を、それぞれ特定の冷却温度域まで特定範囲の冷却速度で冷却する少なくとも2段階からなる冷却処理方式とすることにより、耐食性に優れたアルミニウムろう付品が得られることを見出した。
【0014】
すなわち、請求項1の発明に係る耐食性に優れたアルミニウムろう付品の製造方法は、アルミニウム芯材の表面に、Siを含有するアルミニウムろう材が設けられたブレージングシートを用いた被ろう付品を加熱ろう付した後、冷却処理することによりアルミニウムろう付品を製造する方法において、前記冷却処理を、ろう付温度から548〜577℃の範囲の第1冷却温度域まで3〜15℃/分の冷却速度で冷却する第1冷却処理を行った後、該第1冷却温度域から350〜470℃の範囲の第2冷却温度域まで20〜60℃/分の冷却速度で冷却する第2冷却処理を行う冷却処理とすることを特徴とするものである。
【0015】
第1冷却処理では、徐冷却により溶融ろう材の凝固時の容積収縮による引け巣発生が効果的に防止される。第2冷却処理では、初晶に固溶したSiの析出が促進される。そして、前記初晶におけるSiの析出により、初晶α相と共晶α相のSi固溶量が均一化され、晶出Siとの局部電池形成による共晶α相の優先腐食が初晶α相まで拡大される。その結果、ろう材はほぼ全面的に腐食することになり、芯材に対して犠牲層として効果的に作用するから、アルミニウムろう付品の耐食性が向上される。
【0016】
また、請求項2の発明に係る製造方法は、Cuを含有するアルミニウム芯材の表面に、Siを含有するアルミニウムろう材が設けられたブレージングシートを用いた被ろう付品を加熱ろう付した後、冷却処理することによりアルミニウムろう付品を製造する方法において、前記冷却処理を、ろう付温度から548〜577℃の範囲の第1冷却温度域まで3〜15℃/分の冷却速度で冷却する第1冷却処理を行い、その後該第1冷却温度域から350〜470℃の範囲の第2冷却温度域まで20〜60℃/分の冷却速度で冷却する第2冷却処理を行った後、該第2冷却温度域から200℃以下の第3冷却温度域まで60℃/分以上の冷却速度で冷却する第3冷却処理を行う冷却処理とすることを特徴とするものである。
【0017】
第1冷却処理では、徐冷却により溶融ろう材の凝固時の容積収縮による引け巣発生が効果的に防止されるとともに、Cuの固溶が促進される。第2冷却処理では、初晶に固溶したSiの析出が促進される。第3冷却処理では、急冷により前記固溶したCuの析出(Al−Cu金属間化合物の偏析)が防止される。そして、前記初晶におけるSiの析出により、初晶α相と共晶α相のSi固溶量が均一化され、晶出Siとの局部電池形成による共晶α相の優先腐食が初晶α相まで拡大される。その結果、ろう材はほぼ全面的に腐食することになり、芯材に対して犠牲層として効果的に作用するから、アルミニウムろう付品の耐食性が向上される。しかもろう付加熱時のCuの拡散により芯材内部からろう材表面に向かって電位が卑になる電位勾配が形成される結果、ろう材層が芯材に対して電位的に卑になり、これによりろう材が犠牲腐食層として働くから、前記Si固溶量均一化による作用と相俟って優れた耐食性が確保される。
【0018】
また、請求項3の発明に係る製造方法は、Cuを含有するアルミニウム芯材の表面に、Siを含有するアルミニウムろう材が設けられたブレージングシートを用いた被ろう付品を加熱ろう付した後、冷却処理することによりアルミニウムろう付品を製造する方法において、前記冷却処理を、ろう付温度から548〜577℃の範囲の第1冷却温度域まで3〜15℃/分の冷却速度で冷却する第1冷却処理を行った後、該第1冷却温度域内の一定温度にまたはこの温度範囲内に30秒以上保持する保温処理を行い、その後該第1冷却温度域から350〜470℃の範囲の第2冷却温度域まで20〜60℃/分の冷却速度で冷却する第2冷却処理を行った後、該第2冷却温度域から200℃以下の第3冷却温度域まで60℃/分以上の冷却速度で冷却する第3冷却処理を行う冷却処理とすることを特徴とするものである。
【0019】
第1冷却処理では、徐冷却により溶融ろう材の凝固時の容積収縮による引け巣発生が効果的に防止される。次の保温処理では、前記第1冷却処理中に共晶α相と晶出Siとの間に濃縮されたCuが共晶α相に強制固溶される。これにより共晶α相と晶出Siの電位差が緩和され、共晶相の優先腐食が防止される。第2冷却処理では、初晶に固溶したSiの析出が促進される。第3冷却処理では、急冷によりCuの析出(Al−Cu金属間化合物の偏析)が防止される。そして、前記初晶におけるSiの析出により、初晶α相と共晶α相のSi固溶量が均一化される結果、前記同様にアルミニウムろう付品の耐食性が向上される。しかもろう付加熱時のCuの拡散により、前記同様にろう材層が芯材に対して電位的に卑になり、これによりろう材が犠牲腐食層として働くから、前記Si固溶量均一化による作用と相俟って優れた耐食性が確保される。
【0020】
前記保温処理の保持時間は40秒〜10分であるのが望ましい。これによりCuの共晶α相への一層均一な固溶が効率的になされる。
【0021】
上記において、アルミニウム芯材として、Cu:0.1〜1.2wt%、Mn:0.1〜1.5wt%、Ti:0.05〜0.30wt%を含有し、残部がアルミニウムおよび不純物よりなるものを用いる一方、Siを含有するアルミニウムろう材として、Si:6〜12wt%、Mg:1.0〜2.0wt%を含有し、残部がアルミニウムおよび不純物よりなるものを用いる場合には、ろう付性が向上するのみならず、一層強度に優れたアルミニウムろう付品が得られる。
【0022】
【発明の実施の形態】
この発明において対象とするアルミニウムろう付品は、図1に示すようにアルミニウム芯材(2)の表面に、Siを含有するアルミニウムろう材(1)が設けられたブレージングシートを用いて加熱ろう付されたものである。
【0023】
前記アルミニウム芯材(2)の組成は特に限定されることはないが、好ましくはCu:0.1〜1.2wt%を含有し、あるいはさらにMn:0.1〜1.5wt%、Ti:0.05〜0.30wt%を含有し、残部がアルミニウムおよび不純物よりなるものを用いるのが良い。Cu、Mn、Tiの含有意義及び含有量の限定理由は次のとおりである。
【0024】
Cu:強度を高めるとともに、前述したようにろう材層を芯材に対して電位的に卑にしてろう材を犠牲腐食層として働かせる効果がある。Cu量が0.1wt%未満では前記効果が十分に発揮されず、一方、1.2wt%を超えると成形性が低下する。
【0025】
Mn:強度を高める効果がある。Mn量が0.1wt%未満では強度向上効果が十分ではなく、一方1.5wt%を超えると成形性が低下する。
【0026】
Ti:深さ方向への腐食の進行を低下させる効果がある。Ti量が0.05wt%未満では上記腐食遅延の効果が十分ではなく、一方0.30wt%を超えて添加してもこれ以上の効果の向上は望めず、コスト増となる。
【0027】
一方、アルミニウムろう材(1)としては、Al−Si系合金が用いられる。好ましくはSi:6〜12wt%を含有し、あるいはさらにMg:1.0〜2.0wt%を含有し、残部がアルミニウムおよび不純物よりなるものを用いるのが良い。Si、Mgの含有意義及び含有量の限定理由は次のとおりである。
【0028】
Si:強度を高めるとともに、融点を低下させ流動性を増す効果がある。Si量が6wt%未満ではそれらの効果が十分ではなく、一方12wt%を超えるとろう付性が低下する。
【0029】
Mg:強度を高める効果がある。Mg量が1.0wt%未満では強度向上効果が十分ではなく、一方2.0wt%を超えるとろう付性が低下する。
【0030】
また、ろう材には濡れ性の向上のためにBi:0.03〜0.3wt%を含有させても良い。
【0031】
まず、請求項1の発明にかかる製造方法について述べる。この製造方法は、第2冷却処理工程において、図2に示すように、初晶(3)に固溶したSiの析出を促進させて、初晶α相(3a)と共晶α相(4a)のSi固溶量を均一化させることで、アルミニウムろう付品の耐食性を向上させることを可能ならしめているものである。
【0032】
第1冷却処理においては容積収縮による引け巣発生を防止する。この第1冷却処理は、ろう付温度から第1冷却温度域まで所定の冷却速度で冷却するものであるが、ここで第1冷却温度域は548〜577℃とする必要がある。また、冷却速度は3〜15℃/分とする必要がある。冷却速度が3℃/分未満では第1冷却処理にかかる時間が増大して生産効率が低下し、一方15℃/分を超えると引け巣発生防止効果が達成されない。中でも3〜10℃/分とするのが好ましい。
【0033】
一方、第2冷却処理においては、初晶(3)に固溶したSiの析出を促進する。この第2冷却処理は、上記第1冷却温度域から第2冷却温度域まで所定の冷却速度で冷却するものであるが、ここで第2冷却温度域は350〜470℃とする必要がある。また、冷却速度は20〜60℃/分とする必要がある。冷却速度が20℃/分未満では第2冷却処理にかかる時間が増大して生産効率が低下し、一方60℃/分を超えると初晶に固溶したSiの析出が十分になされず、その結果耐食性があまり向上しない。中でも20〜40℃/分とするのが好ましい。
【0034】
前記初晶(3)におけるSiの析出により、初晶α相(3a)と共晶α相(4a)のSi固溶量を均一化でき、晶出Siとの局部電池形成による共晶α相(4a)の優先腐食を初晶α相(3a)まで拡大させることができる。これにより、ろう材(1)をほぼ全面的に腐食させることができ、ろう材(1)が芯材(2)に対して犠牲層として効果的に作用する結果、アルミニウムろう付品の耐食性を向上させることができる。
【0035】
上記において、アルミニウム芯材がCuを含有する場合にも、もちろん耐食性は向上するのであるが、前述した共晶α相と晶出Siとの間におけるCuの析出(Al−Cu金属間化合物の偏析)が若干生じることは避けられず、Cuを含有しない芯材を用いた場合と対比すると、耐食性向上効果は若干低下することとなる。
【0036】
このようにアルミニウム芯材(2)がCuを含有する場合には、次に述べる請求項2または3にかかる製造方法を採用するのが、一段と優れた耐食性を確保し得る点から望ましい。
【0037】
そして、請求項2、3の発明に係る製造方法において、アルミニウム芯材(2)としてCuを含有するものを用いているが、これは主に強度の向上、およびろう材層を芯材に対して電位的に卑にしてろう材(1)を犠牲腐食層として働かせることを目的とするものである。
【0038】
請求項2の発明に係る製造方法について述べる。この製造方法は、第2冷却処理工程において、初晶(3)に固溶したSiの析出を促進させて、初晶α相(3a)と共晶α相(4a)のSi固溶量を均一化させるとともに、Cuの拡散により芯材(2)からろう材(1)に向かう電位勾配(ろう材側が卑)を形成させ、これらの相乗作用により、ろう材(1)を犠牲腐食層として全面的に腐食させ、アルミニウムろう付品の耐食性を著しく向上させることを可能ならしめるものである。しかも第1冷却処理工程においてCuの固溶を促進させ、かつ第3冷却処理工程の急冷によりこの固溶したCuの析出を確実に防止することができるから、前述のAl−Cu金属間化合物の偏析を確実に防止することができ、顕著な耐食性向上効果を確実に得ることができる。
【0039】
第1冷却処理においては、容積収縮による引け巣発生を防止するとともに、Cuの固溶を促進させる。この第1冷却処理は、ろう付温度から第1冷却温度域まで所定の冷却速度で冷却するものであるが、ここで第1冷却温度域は548〜577℃とする必要がある。また、冷却速度は3〜15℃/分とする必要がある。冷却速度が3℃/分未満では第1冷却処理にかかる時間が増大して生産効率が低下し、一方15℃/分を超えると引け巣発生防止効果が達成されないし、Cuの固溶も不十分となる。中でも3〜10℃/分とするのが好ましい。
【0040】
また、第2冷却処理においては、初晶(3)に固溶したSiの析出を促進する。この第2冷却処理は、上記第1冷却温度域(548〜577℃)から第2冷却温度域まで所定の冷却速度で冷却するものであるが、ここで第2冷却温度域は350〜470℃とする必要がある。また、冷却速度は20〜60℃/分とする必要があり、この限定理由は請求項1の場合と全く同じである。中でも冷却速度は20〜40℃/分とするのが好ましい。
【0041】
一方、第3冷却処理は、前記第1冷却処理工程において固溶したCuが析出することのないように、第2冷却温度域(350〜470℃)から200℃以下の第3冷却温度域まで60℃/分以上の冷却速度で冷却するものである。60℃/分未満では固溶したCuが析出しやすくなる。なお、250℃/分を超える冷却速度に設定するのは設備構成上困難を伴うことから、通常、この冷却速度は60〜250℃/分に設定される。
【0042】
次に、請求項3の発明にかかる製造方法について述べる。この製造方法は、第2冷却処理工程において、初晶(3)に固溶したSiの析出を促進させて、初晶α相(3a)と共晶α相(4a)のSi固溶量を均一化させるとともに、Cuの拡散により芯材(2)からろう材(1)に向かう電位勾配を形成させ、これらの相乗作用により、ろう材(1)を犠牲腐食層として全面的に腐食させ、アルミニウムろう付品の耐食性を著しく向上させることを可能ならしめるものである。しかも保温処理工程においてCuの共晶α相(4a)への固溶を促進させ、かつ第3冷却処理工程の急冷によりこの固溶したCuの析出を確実に防止することができるから、前述のAl−Cu金属間化合物の偏析を確実に防止することができ、顕著な耐食性向上効果を確実に得ることができる。
【0043】
第1冷却処理においては、容積収縮による引け巣発生を防止する。この第1冷却処理は、ろう付温度から第1冷却温度域まで所定の冷却速度で冷却するものであるが、ここで第1冷却温度域は548〜577℃とする必要がある。また、冷却速度は3〜15℃/分とする必要がある。この限定理由は請求項1の場合と全く同じである。中でも3〜10℃/分とするのが好ましい。
【0044】
保温処理工程においては、前記第1冷却処理中に共晶α相(4a)と晶出Si(4b)との間に濃縮されたCuを共晶α相(4a)に強制固溶させる。この保温処理は、前記第1冷却温度域(548〜577℃)内の一定温度に30秒以上保持するか、またはこの温度範囲(548〜577℃)内に30秒以上保持するものである。保持時間が30秒未満ではCuが共晶α相に十分固溶しない。中でも保持時間は40秒〜10分とするのが好ましい。40秒未満ではCuの共晶α相への固溶の均一性が不十分となり好ましくないし、一方10分を超えて処理するのは処理時間の増加に見合うより以上の効果がもはや得られず、徒に生産性を低下させてしまうので、好ましくない。
【0045】
また、第2冷却処理においては、初晶(3)に固溶したSiの析出を促進する。この第2冷却処理は、上記第1冷却温度域(548〜577℃)から第2冷却温度域まで所定の冷却速度で冷却するものであるが、ここで第2冷却温度域は350〜470℃とする必要がある。また、冷却速度は20〜60℃/分とする必要があり、この限定理由は請求項1の場合と全く同じである。中でも冷却速度は20〜40℃/分とするのが好ましい。
【0046】
一方、第3冷却処理は、前記保温処理工程において固溶したCuが析出することのないように、第2冷却温度域(350〜470℃)から200℃以下の第3冷却温度域まで60℃/分以上の冷却速度で冷却するものである。60℃/分未満では固溶したCuが析出しやすくなる。中でもこの冷却速度は60〜250℃/分とするのが好ましい。なお、250℃/分を超える冷却速度に設定するのは設備構成上困難を伴うことから、通常、この冷却速度は60〜250℃/分に設定される。
【0047】
なお、この請求項3の製造方法は、主に保温処理工程を設けた点が請求項2の製造方法と相違するのであるが、この製造方法は、請求項2の製造方法と比較して深さ方向への腐食の進行がやや遅くなるものであり、従ってより耐食性に優れたアルミニウムろう付品を製造できる利点がある。
【0048】
ところで、従来の生産設備は通常図9に示すようなろう付が実施される加熱室と冷却のための取出室から構成されるが、この発明の製造方法においては、第1冷却処理(徐冷却)および保温処理は、ろう付後、加熱室で引き続き行うことが可能であり、一方第2冷却処理および第3冷却処理も従来の既存設備の取出室にて行うことができ、このように既存の設備をそのまま使用することができるので、新たに多大な設備投資を行う必要がなく、この分低コストでの製造が可能となるから、経済性にも優れている。
【0049】
この発明の製造方法において、ろう付温度は特に限定されないが、通常590〜610℃である。ろう付方法としては、例えば真空ろう付法、フラックスろう付法等が適用可能であるが、中でも真空ろう付法が好適である。
【0050】
また、各処理工程(第1、2、3冷却処理、保温処理)を連続的に行うかどうかは特に限定されるものではない。ただ、生産性を向上させる観点からすると、連続的に行う方法を採用するのが好ましい。
【0051】
この発明の製造方法は、優れた耐食性が要求される、例えば自動車の空調用蒸発器や産業用ラジエ−タ、オイルクーラー等として使用される熱交換器の製造方法として好適である。
【0052】
図3〜8は、この発明に係る製造方法で製造されたアルミニウムろう付品の一例を示すもので、自動車の空調用蒸発器として使用される熱交換器である。この熱交換器はドロンカップ型と称される積層型のものである。
【0053】
図8に示す熱交換器の全体図において、(11)は垂直状態でかつ左右方向に積層された複数枚の偏平状チューブエレメント、(12)はその隣接するチューブエレメント(11)(11)間および最外側のチューブエレメント(11)の外側に配置され、かつろう付接合一体化されたコルゲートフィンである。
【0054】
前記チューブエレメント(11)は、長さ方向の両端に膨出状のタンク部(11a )(11b )を有すると共に、長さ方向の中間部に両タンク部(11a )(11b )を連通する偏平状の冷媒通路(11c )を有している。そして、各チューブエレメント(11)は隣接するものどおしがタンク部(11a )(11b )において当接状態にろう付接合されると共に、各タンク部(11a )(11b )に設けた冷媒流通孔(11d )(11d )を介して隣接タンク部相互が連通状態となされている。
【0055】
前記各チューブエレメント(11)は、いずれも2枚の皿状コアプレート(13)をその周端接合面(13a )において対向状に重ね合わせ、ろう付一体化することにより形成されている。
【0056】
上記コアプレート(13)は、最外側のチューブエレメント(11)を構成する外側コアプレート(13)を除いて、両端部に外方突出状の膨出部(14)が形成されている。最外側のチューブエレメント(11)の外側コアプレート(13)は、図7に示すように、その両端部ともにフラットな状態となされ下端部には幅方向に沿って3つの冷媒流通孔(11d )が穿設されている。
【0057】
また上記各膨出部(14)の頂壁には、コアプレート(13)の幅方向に沿って3つの冷媒流通孔(11d )が穿設され、該流通孔(11d )を通じて隣接するチューブエレメント(11)のタンク部相互が連通状態となされている。もっとも、図8に示す熱交換器の全体図において、その右から4番目と5番目に位置するチューブエレメント(11)(11)の下側タンク部(11b )(11b )の相互接合面、および同8番目と9番目に位置するチューブエレメント(11)(11)の上側タンク部(11a )(11a )の相互接合面,および同12番目と13番目に位置するチューブエレメント(11)(11)の下側タンク部(11b )(11b )の相互接合面をそれぞれ構成する前記膨出部(14)の各頂壁には、上述のような冷媒流通孔は穿設されておらず、その頂壁が隣接するチューブエレメント(11)のタンク部(11a )または(11b )相互の仕切りとして作用するようになされており、これにより全チューブエレメントで構成される冷媒通路が蛇行通路に形成されている。
【0058】
さらに、上記各コアプレート(13)の内面には、一方の膨出部(14)から他方の膨出部(14)に向かって真っ直ぐに延びた、結露水排水用溝としても機能する凹陥状内方突出リブ(15)が上記プレートの幅方向に所定間隔で突出形成されている。そして、かかるリブ(15)を有する2枚のコアプレート(13)(13)を重ね合わせることで、周端部(13a )同士が接合されるとともに、図5および図6に実線と一点鎖線とで示すように両コアプレート(13)(13)のリブ(15)(15)同士が交互に配置された状態となされ、かつ各リブ(15)の先端部が、対向するコアプレート(13)のリブ(15)相互間の平面部(16)に当接された交互配置状態で接合され、チューブエレメント(11)の冷媒通路(11c )内に、入口タンク部(11b )から出口タンク部(11a )に向かって真っ直ぐに延びた複数の単位冷媒通路(11e )が形成されている。
【0059】
しかして、上記のようなチューブエレメント(11)の複数枚が、相互間にコルゲートフィン(12)を介在配置せしめた状態で、隣接するものどおしがタンク部(11a )(11b )において当接状態にろう付接合されている。ここに、隣接チューブエレメント(11)(11)どうし及びチューブエレメント(11)とコルゲートフィン(12)との接合は、コアプレート(13)を構成するブレージングシートの外側ろう材層(1)を介して行われ、各チューブエレメント(11)におけるコアプレート(13)相互の接合はコアプレートの内側ろう材層(1)を介して行われる。また、右最外側のチューブエレメント(11)の下側タンク部(11b )には、冷媒入口管(17)が、また左最外側のチューブエレメント(11)の下側タンク部(11b )には冷媒出口管(18)がそれぞれ前記冷媒流通孔(11d )を介して連通接続されている。なお、図7および図8において、(19)は最外側のコルゲートフィンの外側に配設されたサイドプレートであり、これらのサイドプレートもブレージングシートによって形成され、最外側のフィンにろう付されたものである。
【0060】
上記のような熱交換器では、冷媒入口管(17)から流入した冷媒は前記仕切りによって区画された各チューブエレメント群毎に方向転換して蛇行状に流れ、出口管(18)から熱交換器外へと流出するものとなされている。そして、この間に、チューブエレメント(11)間に形成されたフィン(12)を含む空気流通間隙を流通する空気と熱交換を行うものとなされている。
【0061】
しかして、上記熱交換器は、前述したブレージングシートにより形成されたコアプレート(13)のろう材層(1)により各構成部材がろう付された後、この発明の製造方法にかかる冷却処理が施されているから、ろう材(1)における共晶α相の優先腐食が防止され、ろう材(1)が芯材(2)に対して犠牲腐食層として効果的に作用する結果、優れた耐食性が確保される。
【0062】
【実施例】
次に、この発明の具体的実施例について説明する。
【0063】
<実施例1〜8>
表1に示す組成からなる合金を溶解鋳造し、芯材用鋳塊を得た。また、表2に示す組成からなる合金を溶解鋳造し、ろう材用鋳塊を得た。これら芯材用鋳塊およびろう材用鋳塊をそれぞれ均質化処理した後、それぞれ熱間圧延した。前記芯材用合金の両面にろう材合金を熱間圧延クラッドした後、中間焼鈍、冷間圧延、最終焼鈍、冷間圧延を経て板厚500μmのブレージングシートを得た。
【0064】
前記ブレージングシートの2枚を重ね合わせ状に組み合わせて真空度1×10-5Torrで、表3、4に示すろう付温度にて5分間真空ろう付を行った。この後、表3、4に示す冷却条件に従って冷却を行い、板厚400μmのろう付試験片を作製した。なお、各処理工程は全て連続して行った。
【0065】
また、第1冷却処理および保温処理は加熱室(ろう付を実施する室)で行い、第2冷却処理は取出室にて大気を制御導入することにより行った。また、第3冷却処理は取出室にて直ちに強制大気導入することにより行った。
【0066】
【表1】
Figure 0003916303
【0067】
【表2】
Figure 0003916303
【0068】
【表3】
Figure 0003916303
【0069】
【表4】
Figure 0003916303
【0070】
<比較例1>
真空ろう付加熱後、取出室に移動して直ちに強制大気導入することにより表5に示す冷却条件で冷却処理した以外は、実施例1と同様にしてろう付試験片を作製した。
【0071】
<比較例2、3>
真空ろう付加熱後、表5に示す冷却条件で冷却処理した以外は、実施例1と同様にしてろう付試験片を作製した。
【0072】
【表5】
Figure 0003916303
【0073】
<ろう付性試験法>
上記作製された各試験片に対し、引け巣発生の有無を調べ、引け巣が発生していないものをろう付性良好と判定した。
【0074】
<耐食性試験法>
上記作製された各試験片に対し、ASTM G85 G43に準拠して、酢酸酸性塩水(50℃、5%NaCl、pH3)噴霧試験を240時間行った。試験後の試験片における腐食深さの最大値を計測するとともに、腐食部位の表面SEM観察を行い、その腐食形態を調べた。これらの結果から下記判定基準に基づき総合評価を行った。
【0075】
(判定基準)
初晶、共晶いずれもが腐食する全面腐食形態で、最大腐食深さは 100μm未満である…「◎」
全面腐食形態で、最大腐食深さは 100μm以上 120μm未満である…「○」
全面腐食形態で、最大腐食深さは 100μm以上 150μm未満である…「△」
共晶部のみ腐食している…「×」
共晶部のみ腐食し、しかも貫通して芯材まで腐食が進行している…「××」
【表6】
Figure 0003916303
【0076】
<評価結果>
上記の各試験による評価結果を表6に併せて示す。同表から明らかなように、この発明の製造方法で製造された実施例1〜8のアルミニウムろう付品は、引け巣の発生がなく、かつ耐食性に優れている。特に、請求項2、3の製造方法で製造された実施例3〜5のアルミニウムろう付品では、一段と優れた耐食性が確保されている。
【0077】
これに対し、この発明の範囲を逸脱する製造方法で製造された比較例1のアルミニウムろう付品は、ろう付性、耐食性ともに劣っている。また、比較例2、3のアルミニウムろう付品は耐食性に劣っていた。
【0078】
【発明の効果】
請求項1の発明に係る製造方法によれば、第1冷却処理の徐冷却により引け巣発生を防止できる。かつ第2冷却処理により初晶に固溶したSiを析出させることで初晶α相と共晶α相のSi固溶量を均一化できるから、晶出Siとの局部電池形成による共晶α相の優先腐食を初晶α相まで拡大させることができ、従ってろう材をほぼ全面的に腐食させることが可能となり、ろう材が芯材に対して犠牲層として効果的に作用することになるので、耐食性に優れた熱交換器等のアルミニウムろう付品の製作が可能となる。
【0079】
請求項2の発明に係る製造方法によれば、第1冷却処理の徐冷却により引け巣発生を防止できるとともに、Cuの固溶を促進させることができる。かつ第2冷却処理により初晶に固溶したSiの析出を促進させて初晶α相と共晶α相のSi固溶量を均一化させることができるとともに、一方芯材に含有されていたCuの拡散により芯材からろう材に向かう電位勾配が形成されるから、これらの相乗作用により、ろう材を犠牲腐食層として全面的に腐食させることができ、一段と耐食性に優れたアルミニウムろう付品の製作が可能となる。しかも第3冷却処理の急冷により前記固溶したCuの析出を確実に防止できるから、顕著な耐食性向上効果を確実に得ることができる。
【0080】
請求項3の発明に係る製造方法によれば、第1冷却処理の徐冷却により引け巣発生を防止できる。また、保温処理によりCuを共晶α相に強制固溶させることで、共晶α相と晶出Siの電位差を緩和することができ、これにより共晶α相の優先腐食を防止できる。かつ第2冷却処理により初晶に固溶したSiの析出を促進させて初晶α相と共晶α相のSi固溶量を均一化させることができるとともに、一方芯材に含有されていたCuの拡散により芯材からろう材に向かう電位勾配が形成されるから、これらの相乗作用により、ろう材を犠牲腐食層として全面的に腐食させることができ、一段と耐食性に優れたアルミニウムろう付品の製作が可能となる。しかも第3冷却処理の急冷により前記固溶したCuの析出を確実に防止できるから、顕著な耐食性向上効果を確実に得ることができる。
【0081】
上記いずれの製造方法も、従来の既存設備を何ら改良することなくそのまま使用することができるので、新たに多大な設備投資をする必要がなく、この分低コストにてアルミニウムろう付品を製造できる利点がある。従来技術では特に真空ろう付法においては低コスト化と優れた耐食性の両立が困難であったが、この両立を実現可能とするものであり、特に真空ろう付法によるろう付品の製造において従来技術よりも格段に優れた効果を享受し得るものである。
【0082】
上記保温処理の保持時間が40秒〜10分である場合には、Cuの共晶α相への一層均一な固溶状態を効率的に確保することができる。
【0083】
アルミニウム芯材として、Cu:0.1〜1.2wt%、Mn:0.1〜1.5wt%、Ti:0.05〜0.30wt%を含有し、残部がアルミニウムおよび不純物よりなるものを用いる一方、Siを含有するアルミニウムろう材として、Si:6〜12wt%、Mg:1.0〜2.0wt%を含有し、残部がアルミニウムおよび不純物よりなるものを用いる場合には、ろう付性の向上のみならず、一層強度に優れたアルミニウムろう付品の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る製造方法で使用されるブレージングシートの一例を示す断面図である。
【図2】この発明に係る製造方法で製造されたアルミニウムろう付品の微細構造を示す模式図である。
【図3】この発明に係る製造方法で製造される熱交換器のチューブエレメントのタンク部付近の拡大断面図である。
【図4】チューブエレメントを構成するコアプレートを冷媒通路側から見た平面図である。
【図5】(a)は図4のV−V線断面図、(b)は(a)の一部拡大図である。
【図6】(a)は図4のVIa −VIa 線断面図、(b)は同じくVIb −VIb 線断面図である。
【図7】図4に示した熱交換器の一部を分離して示す斜視図である。
【図8】図4に示した熱交換器の全体正面図である。
【図9】この発明の製造方法で使用される設備の構成の一例を示す概略図である。
【図10】従来の製造方法で使用される設備の構成を示す概略図である。
【図11】従来品の微細構造を示す模式図である。
【符号の説明】
1…ろう材
2…芯材

Claims (10)

  1. アルミニウム芯材の表面に、Siを含有するアルミニウムろう材が設けられたブレージングシートを用いた被ろう付品を加熱ろう付した後、冷却処理することによりアルミニウムろう付品を製造する方法において、
    前記冷却処理を、ろう付温度から548〜577℃の範囲の第1冷却温度域まで3〜15℃/分の冷却速度で冷却する第1冷却処理を行った後、該第1冷却温度域から350〜470℃の範囲の第2冷却温度域まで20〜60℃/分の冷却速度で冷却する第2冷却処理を行う冷却処理とすることを特徴とする耐食性に優れたアルミニウムろう付品の製造方法。
  2. Cuを含有するアルミニウム芯材の表面に、Siを含有するアルミニウムろう材が設けられたブレージングシートを用いた被ろう付品を加熱ろう付した後、冷却処理することによりアルミニウムろう付品を製造する方法において、
    前記冷却処理を、ろう付温度から548〜577℃の範囲の第1冷却温度域まで3〜15℃/分の冷却速度で冷却する第1冷却処理を行い、その後該第1冷却温度域から350〜470℃の範囲の第2冷却温度域まで20〜60℃/分の冷却速度で冷却する第2冷却処理を行った後、該第2冷却温度域から200℃以下の第3冷却温度域まで60℃/分以上の冷却速度で冷却する第3冷却処理を行う冷却処理とすることを特徴とする耐食性に優れたアルミニウムろう付品の製造方法。
  3. Cuを含有するアルミニウム芯材の表面に、Siを含有するアルミニウムろう材が設けられたブレージングシートを用いた被ろう付品を加熱ろう付した後、冷却処理することによりアルミニウムろう付品を製造する方法において、
    前記冷却処理を、ろう付温度から548〜577℃の範囲の第1冷却温度域まで3〜15℃/分の冷却速度で冷却する第1冷却処理を行った後、該第1冷却温度域内の一定温度にまたはこの温度範囲内に30秒以上保持する保温処理を行い、その後該第1冷却温度域から350〜470℃の範囲の第2冷却温度域まで20〜60℃/分の冷却速度で冷却する第2冷却処理を行った後、該第2冷却温度域から200℃以下の第3冷却温度域まで60℃/分以上の冷却速度で冷却する第3冷却処理を行う冷却処理とすることを特徴とする耐食性に優れたアルミニウムろう付品の製造方法。
  4. 前記保温処理の保持時間が40秒〜10分である請求項3に記載の耐食性に優れたアルミニウムろう付品の製造方法。
  5. アルミニウム芯材として、Cu:0.1〜1.2wt%、Mn:0.1〜1.5wt%、Ti:0.05〜0.30wt%を含有し、残部がアルミニウムおよび不純物よりなるものを用いる一方、Siを含有するアルミニウムろう材として、Si:6〜12wt%、Mg:1.0〜2.0wt%を含有し、残部がアルミニウムおよび不純物よりなるものを用いる請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐食性に優れたアルミニウムろう付品の製造方法。
  6. Cu:0.1〜1.2 wt %、Mn:0.1〜1.5 wt %、Ti:0.05〜0.30 wt %を含有し、残部がアルミニウムおよび不純物よりなるアルミニウム芯材の表面に、Si:6〜12 wt %、Mg:1.0〜2.0 wt %を含有し、残部がアルミニウムおよび不純物よりなるアルミニウムろう材が設けられたブレージングシートを用いて、皿状コアプレートを形成し、2枚の皿状コアプレートを対向状に重ね合わせて、長さ方向の両端に膨出状のタンク部を有すると共に長さ方向の中間部に両タンク部を連通する偏平状の冷媒通路を有したチューブエレメントを構成すると共に、複数枚のチューブエレメントを、相互間にコルゲートフィンを介在配置せしめた状態で加熱ろう付する工程と、
    ろう付温度から548〜577℃の範囲の第1冷却温度域まで3〜15℃/分の冷却速度で冷却する第1冷却処理を行った後、該第1冷却温度域から350〜470℃の範囲の第2冷却温度域まで20〜60℃/分の冷却速度で冷却する第2冷却処理を行う冷却工程と、を包含することを特徴とする耐食性に優れた熱交換器の製造方法。
  7. Cu:0.1〜1.2 wt %、Mn:0.1〜1.5 wt %、Ti:0.05〜0.30 wt %を含有し、残部がアルミニウムおよび不純物よりなるアルミニウム芯 材の表面に、Si:6〜12 wt %、Mg:1.0〜2.0 wt %を含有し、残部がアルミニウムおよび不純物よりなるアルミニウムろう材が設けられたブレージングシートを用いて、皿状コアプレートを形成し、2枚の皿状コアプレートを対向状に重ね合わせて、長さ方向の両端に膨出状のタンク部を有すると共に長さ方向の中間部に両タンク部を連通する偏平状の冷媒通路を有したチューブエレメントを構成すると共に、複数枚のチューブエレメントを、相互間にコルゲートフィンを介在配置せしめた状態で加熱ろう付する工程と、
    ろう付温度から548〜577℃の範囲の第1冷却温度域まで3〜15℃/分の冷却速度で冷却する第1冷却処理を行い、その後該第1冷却温度域から350〜470℃の範囲の第2冷却温度域まで20〜60℃/分の冷却速度で冷却する第2冷却処理を行った後、該第2冷却温度域から200℃以下の第3冷却温度域まで60℃/分以上の冷却速度で冷却する第3冷却処理を行う冷却工程と、を包含することを特徴とする耐食性に優れた熱交換器の製造方法。
  8. Cu:0.1〜1.2 wt %、Mn:0.1〜1.5 wt %、Ti:0.05〜0.30 wt %を含有し、残部がアルミニウムおよび不純物よりなるアルミニウム芯材の表面に、Si:6〜12 wt %、Mg:1.0〜2.0 wt %を含有し、残部がアルミニウムおよび不純物よりなるアルミニウムろう材が設けられたブレージングシートを用いて、皿状コアプレートを形成し、2枚の皿状コアプレートを対向状に重ね合わせて、長さ方向の両端に膨出状のタンク部を有すると共に長さ方向の中間部に両タンク部を連通する偏平状の冷媒通路を有したチューブエレメントを構成すると共に、複数枚のチューブエレメントを、相互間にコルゲートフィンを介在配置せしめた状態で加熱ろう付する工程と、
    ろう付温度から548〜577℃の範囲の第1冷却温度域まで3〜15℃/分の冷却速度で冷却する第1冷却処理を行った後、該第1冷却温度域内の一定温度にまたはこの温度範囲内に30秒以上保持する保温処理を行い、その後該第1冷却温度域から350〜470℃の範囲の第2冷却温度域まで20〜60℃/分の冷却速度で冷却する第2冷却処理を行った後、該第2冷却温度域から200℃以下の第3冷却温度域まで60℃/分以上の冷却速度で冷却する第3冷却処理を行う冷却工程と、を包含することを特徴とする耐食性に優れた熱交換器の製造方法。
  9. 前記保温処理の保持時間が40秒〜10分である請求項8に記載の耐食性に優れた熱交換器の製造方法。
  10. 請求項6〜9のいずれか1項に記載の製造方法で製造された蒸発器。
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