JP3914494B2 - レンズ間隔可変機構 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、レンズ間隔可変機構に関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】
本出願人は、中間の焦点距離で構成レンズ群のうちの2つのレンズ群の間隔を切り替えるズームレンズ系を提案した。より具体的には、焦点距離を変化させる可動の複数の変倍レンズ群を有すること;少なくとも一つの変倍レンズ群は、2つのサブ群を有し、その一方のサブ群が、他方のサブ群との関係において光軸方向の両移動端のいずれか一方に選択して位置する可動サブ群である切替群であること;短焦点距離端から中間焦点距離に至る短焦点距離側ズーミング域と、中間焦点距離から長焦点距離端に至る長焦点距離側ズーミング域とで、切替群中の可動サブ群は互いに異なるいずれか一方の移動端に位置すること;及び切替群と他の変倍レンズ群のズーミング基礎軌跡は、中間焦点距離において不連続であり、可動サブ群の位置に応じ、所定の像面に結像するように定められていること;を特徴とするズームレンズ系である(特開2000‐275518号)。
【0003】
このズームレンズ系を実現するには、中間焦点距離で2つのサブ群(レンズ群)の間隔を変化させなければならない。
【0004】
【特許文献】
特公平6-100708号公報
【0005】
【発明の目的】
本発明は、例えば以上のようズームレンズ鏡筒に使用できる、簡単な構造で2つのレンズ群の間隔を正確に変化させることのできるレンズ間隔可変機構を得ることを目的とする。
【0006】
【発明の概要】
本発明によるレンズ間隔可変機構は、第1のレンズ群を支持した第1レンズ枠;第2のレンズ群を支持し、第1レンズ枠に対して一定角度の相対回転が可能な第2レンズ枠;この第2レンズ枠の第1レンズ枠に対する相対回転の両回動端で両レンズ枠を異なる光軸方向の相対位置に移動させる相対移動機構;第2レンズ枠と一緒に回転する差動連係環;この差動連係環に対して、第2レンズ枠の第1レンズ枠に対する相対回転角度より大きい角度の相対回転を与えられる差動環;及びこの差動環と差動連係環との間に介在し、差動連係環及び第2レンズ枠が上記両回動端の間に位置するとき、差動環と差動連係環を一緒に回転させ、差動連係環及び第2レンズ枠が上記回動端に達してさらに差動環が該回動端方向に回転するとき、弾性変形されて該差動連係環を回動端方向に押し付けるばね部材;を有することを特徴としている。
【0007】
ばね部材は、具体的には、コイル部とこのコイル部の両端部から径方向外方に曲折した一対の脚部を有するトーションばねから構成することができる。トーションばねのコイル部を、差動連係環に摩擦係合させ、一対の脚部は該差動連係環に穿設した一対のばね穴から突出させ、トーションを与えた状態で差動環に形成した回転伝達突起を挟着するのである。
【0008】
相対移動機構は、第1レンズ枠と第2レンズ枠の周面の一方と他方に、傾斜カム面とこの傾斜カム面に当接するフォロア突起とを形成して構成することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
最初に、図1について、本実施形態のズームレンズ鏡筒を適用するズームレンズ光学系を説明する。このズームレンズ系は、物体側から順に、正のパワーの第1レンズ群L1、負のパワーの第2レンズ群L2、正のパワーの第3レンズ群L3、及び負のパワーの第4レンズ群L4からなっている。第2レンズ群L2と第3レンズ群L3は、中間焦点距離域(モード切替区間)において互いの間隔を変化させる(ワイド域(ワイドモード)での長間隔をテレ域(テレモード)での短間隔に変化させる)間隔変化群(L23とする)であり、ワイド域、テレ域ではそれぞれ一体に移動する。第1レンズ群L1と第4レンズ群L4は、常時一体に移動する。第1レンズ群L1、間隔変化群L23及び第4レンズ群L4は、短焦点距離端(ワイド端、W)から長焦点距離端(テレ端、T)に至る全ズーム域において像側から被写体側に単調に移動する。この実施形態のズームレンズ鏡筒は、焦点距離を複数段(6段)に設定したステップズームレンズ鏡筒であり、間隔変化群L23は、このステップズームレンズ鏡筒におけるフォーカス群として作用する。すなわち、図1の実線は、フォーカス動作を含むカム軌跡であり、間隔変化群(フォーカスレンズ群)L23の無限遠物体撮影時のズーミング基礎軌跡は一点鎖線で示した。
【0010】
以上のような中間焦点距離における間隔変化群を有するズームレンズ系は、本出願人が特開2000−275518号で提案した。このズームレンズ系は、焦点距離を変化させる可動の複数の変倍レンズ群を有すること;少なくとも一つの変倍レンズ群は、2つのサブ群を有し、その一方のサブ群が、他方のサブ群との関係において光軸方向の両移動端のいずれか一方に選択して位置する可動サブ群である切替群であること;短焦点距離端から中間焦点距離に至る短焦点距離側ズーミング域と、中間焦点距離から長焦点距離端に至る長焦点距離側ズーミング域とで、切替群中の可動サブ群は互いに異なるいずれか一方の移動端に位置すること;及び切替群と他の変倍レンズ群のズーミング基礎軌跡は、上記中間焦点距離において不連続であり、可動サブ群の位置に応じ、所定の像面に結像するように定められていること;を特徴としている。図1に示したステップズームレンズ鏡筒のズーミング軌跡では、中間焦点距離におけるズーミング基礎軌跡の不連続性をなくしている。また、図1では、第1レンズ群L1ないし第4レンズ群L4を単レンズとして図示したが、これらは勿論複数のレンズから構成するのが普通である。
【0011】
図1ないし図19は、本実施形態のズームレンズ鏡筒の全体構造を示している。カメラボディに固定される固定筒11には、図2ないし図5に示すように、その内周面に雌ヘリコイド11aと、光軸と平行な方向の直進案内溝11bとが形成されている。この固定筒11の雌ヘリコイド11aには、ヘリコイド環12の後端部に形成した雄ヘリコイド12aが螺合する。ヘリコイド環12の内周面には、第2直進案内環13が相対回転自在に、光軸方向にはヘリコイド環12と一緒に移動する態様で嵌まっている。すなわち、ヘリコイド環12の内周面には周方向溝12cが形成されており、この周方向溝12cに、第2直進案内環13の外周面に形成した案内突起13aが相対回転自在に嵌まっている。周方向溝12cと案内突起13aは、ヘリコイド環12と第2直進案内環13の使用状態では係合を保持する。第2直進案内環13の後端部には、固定筒11の直進案内溝11bに嵌まる径方向突起13bが形成されている。
【0012】
雄ヘリコイド12aの山部には平歯車12bが形成されていて、この平歯車12bが、固定筒11の内面凹部11c(図2)に位置させて回動自在に支持した駆動ピニオン14と常時噛み合う。したがって、駆動ピニオン14が正逆に回転駆動されると、ヘリコイド環12が回転しながら光軸方向に進退し、ヘリコイド環12と一緒に第2直進案内環13が直進移動する。
【0013】
第2直進案内環13の内周には、カム環15が嵌まっている。図6はこのカム環15の展開形状を示している。このカム環15の後端部外周には、雄ヘリコイド15aと、この雄ヘリコイド15aの一部から径方向に突出させたガイドピン15bが形成されている。雄ヘリコイド15aは、第2直進案内環13の内周面に形成した雌ヘリコイド13cに螺合し、ガイドピン15bは第2直進案内環13に貫通させて形成した、周方向成分と光軸方向成分を有する逃がし溝13dに嵌まっている。このガイドピン15bはさらに、逃がし溝13dを貫通してヘリコイド環12の内周面に形成された光軸と平行な方向の直進ガイド溝12d(図2)に嵌まっている。従って、カム環15は、ヘリコイド環12が回転すると、雌ヘリコイド13cと雄ヘリコイド15aの螺合関係に従って回転しながら光軸方向に直進移動する。カム環15の内周面には、雌ヘリコイド15cと有底カム溝15d(図6、図19)が形成されている。
【0014】
カム環15の内側には、切替環16、第1レンズ群L1を支持する1群支持環17及び第1直進案内環18が順番に嵌まっている(図9参照)。図7は切替環16単体の展開形状を示している。切替環16と1群支持環17は相対回転は自在で光軸方向には一緒に移動する一対の環状体である。1群支持環17の後端部外周には、雄ヘリコイド17aが形成されており、この雄ヘリコイド17aの直前に、切替環16の後端部内周に形成した周方向溝16a(図7)に相対回転自在に嵌まるガイド突起17bが形成されている。
【0015】
そして、1群支持環17の雄ヘリコイド17aはカム環15の雌ヘリコイド15cに螺合し、切替環16の後端部外周に突出形成した回転伝達突起16bは、カム環15の内周面に形成した光軸と平行な回転伝達溝15eに嵌まっている。
【0016】
一方、第1直進案内環18の後端部外周に形成したガイド突起18aは、第2直進案内環13の内周面に形成した光軸と平行な直進案内溝13eに嵌まっており、また、この第1直進案内環18の外周面に形成した光軸と平行な直進案内溝18b(図9参照)に、1群支持環17の内周面に形成した直進ガイド突起17c(同)が摺動自在に嵌まっている。つまり、第2直進案内環13、第1直進案内環18、1群支持環17は回転せずに、光軸方向に移動する部材である。また、第1直進案内環18の後端部に形成したフランジ18f(図9)は、カム環15の後端部内周に形成した周方向溝15f(図6)に相対回転自在で光軸方向には一緒に移動するように係合している。
【0017】
従って、カム環15の回転が回転伝達溝15eと回転伝達突起16bを介して切替環16に伝達されると、雌ヘリコイド15cに噛み合う雄ヘリコイド17aを有し第1直進案内環18によって回転を規制されている1群支持枠17が光軸方向に移動する。
【0018】
1群支持環17には、4群支持環19が光軸方向の直進移動を自在にして支持されている。すなわち、第4レンズ群L4を支持する4群支持環19の周囲には、3本の光軸平行腕19aが形成されており、この光軸平行腕19aが1群支持環17の光軸と平行な直進案内溝17dに嵌まっている。
【0019】
また、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3を支持する2−3群ブロック20の周囲には、3本の光軸と平行な方向の直進案内腕20aが形成されており、この直進案内腕20aは、第1直進案内環18に形成した光軸と平行な方向の直進案内溝18cに嵌まっている。さらに、この直進案内腕20aの先端に固定したカムフォロア20bは、カム環15の有底カム溝15dに嵌まっている。図10と図11は、この2−3群ブロック20の組立状態と分解状態を示している。このカム溝15dは、図6、図19に示すように、2−3群ブロック20を撮影可能位置に位置させる撮影領域(図19のワイドモード、モード切替区間、テレモード)15d1と、撮影を行わない収納位置に位置させる収納領域(収納位置)15d2と、撮影領域15d1から収納位置15d2に移行させるモード切替領域15d3を有している。このカム溝15の撮影領域15d1の全部とモード切替領域15d3の収納領域15d2側の端部を除く領域は、カムフォロア20bが最小のクリアランスで嵌まる幅狭領域であり、収納領域15d2及びモード切替領域15d3の収納位置側の端部領域は、後方が開放された開放カム領域である。従って、カム環15が回転すると、2−3群ブロック20が有底カム溝15dに従って光軸方向に直進移動する。なお、カム環15の周方向溝15fに相対回転自在に嵌まる第1直進案内環18のフランジ18fには、2−3群ブロック20が収納位置に位置するときに収納領域15d2の後方に位置してカムフォロア20bを逃げる切欠18f’(図3、図9、図18)が形成されている。
【0020】
そして、この2−3群ブロック20と4群支持環19の間には、該4群支持環19を後方に移動付勢する圧縮ばね31が挿入されている。4群支持環19の光軸平行腕19aには、この圧縮ばね31の力に抗して4群支持環19の後退端を規制する、1群支持環17の抜け止め突起17e(図8、図9)に係合する係合突起19b(図8)が形成されており、4群支持環19は、常時は(撮影状態では)1群支持環17に対する後退端に位置する。
【0021】
2−3群ブロック20の具体的構成を説明する前に、以上の構成による動作を纏めて説明すると、次のようになる。駆動ピニオン14を介してヘリコイド環12を回転駆動すると、ヘリコイド環12は回転しながら光軸方向に移動し、回転を規制されている第2直進案内環13がヘリコイド環12と一緒に光軸方向に進退する。ヘリコイド環12の回転は、カム環15に伝達され、カム環15は直進案内されている第1直進案内環18を伴い、回転しながら光軸方向に進退する。そして、カム環15が回転すると、切替環16が直進案内されている1群支持環17を伴いながら、光軸方向に進退する。1群支持環17が収納位置から前方に移動するときには、圧縮ばね31が徐々に伸張して4群支持環19を1群支持環17に対する後退端に位置させる。この後退端が撮影位置(ワイド端)であり、それ以後は1群支持環17と4群支持環19は一緒に移動する。1群支持環17は第1レンズ群L1を搭載し、4群支持環19は第4レンズ群L4を搭載しているから、図1のように、第1レンズ群L1と第4レンズ群L4はズーム域ではヘリコイド環12の回転角に対しリニアに(間隔を変化させることなく)一緒に移動する。
【0022】
また、収納位置では、図3に明らかなように、2−3群ブロック20の前端面が第1レンズ群L1を固定した1群枠29の後端面に極めて接近しまたは当接する。1群枠29は、1群支持環17の先端部に固定された部材である。このとき、カム溝15dの収納領域15d2は後方が開放されているため、1群枠29を介して、圧縮ばね31の力に抗し2−3群ブロック20が後方に押圧されると、カムフォロア20bがカム溝15dの前側カム面から離れて後退することができ、レンズ鏡筒の収納長が短縮される。収納位置では同時に、第4レンズ群L4を固定した4群枠30が、圧縮ばね31の力により遮光枠35に当接する位置まで後退する。4群枠30は4群支持環19に固定された部材であり、遮光枠35は、ヘリコイド環12の後端面に固定された部材である。
【0023】
一方、第1直進案内環18によって直進案内されている2−3群ブロック20の移動位置は、カム環15の内周面に形成されている有底カム溝15dによって規制される(定まる)。2−3群ブロック20は、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3を支持しており、カム環15と切替環16は、その連続回転により、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3に図1に示す移動軌跡を与える。以下、特に図9ないし図18について、この2−3群ブロック20、カム環15及び切替環16の関連構造を説明する。
【0024】
直進案内腕20aとカムフォロア20bは、2−3群移動環21に設けられている。この2−3群移動環21と、先端部押え板22との間に、前方から順に、第2レンズ群L2を支持した2群枠23、第3レンズ群L3を支持した3群枠24、差動連係環25、差動環26及び差動ばね(ばね部材)27が収納されている。先端部押え板22は、光軸と平行な直進ガイドピン22aを有し、2群枠23は、この直進ガイドピン22aに摺動自在に嵌まるガイドボス23aを有している。直進ガイドピン22aには2群枠23を後方に押圧する圧縮ばね22bが挿入されている。
【0025】
3群枠24、差動連係環25、差動環26は、光軸を中心とする回転部材である。2群枠23と3群枠24は、互いに嵌合関係となる筒状部を有し、2群枠23の筒状部の外周面には傾斜カム面23bが形成され、3群枠24の筒状部の内周面には、この傾斜カム面23bに係合するフォロア突起24aが形成されている。傾斜カム面23bは、周方向及び軸方向の双方に対して傾斜した直線カム面である。また3群枠24の外周面には、回転伝達突起24bが形成されている。差動連係環25の内周面には、回転伝達溝25aが形成されており、この回転伝達溝25aには3群枠24の回転伝達突起24bが嵌まっていて、差動連係環25と3群枠24が常に一緒に回動する。3群枠24は圧縮ばね22bの付勢力によって後方に押されており、2−3群移動環21に当て付くことにより、その光軸方向位置が定められている。また、差動連係環25の外周面には、強制回転伝達突起25bが形成されており、この強制回転伝達突起25bは差動環26の内周面に形成した強制回転伝達溝26aに嵌まっている。強制回転伝達突起25bと強制回転伝達溝26aの間には周方向の遊びが存在する(図16、図17参照)。
【0026】
差動ばね27は、トーションばねからなるもので、光軸中心のコイル部27aは、差動連係環25の内面に収納されて摩擦係合し、該コイル部27aから突出させた一対の脚部27bは、差動連係環25に穿設したばね穴25cから径方向外方に突出している。25d(図11)は、差動ばね27が差動連係環25から脱落するのを防ぐ突起である。差動ばね27の一対の脚部27bは、回転伝達突起26bの周方向の両側面に当接するようにトーションが掛けられており、差動環26が回転すると、通常は差動ばね27を介して差動連係環25が連れ回りする。一方、差動連係環25が回動端に達する(差動連係環25に一定以上の回動抵抗が存在する)と、一対の脚部27bが開くように差動ばね27が弾性変形し、差動連係環25に対して差動環26が相対回転する。
【0027】
差動環26の回転伝達突起26bには、径方向の連動ピン26cが固定されており、この連動ピン26cが切替駒28の内面に形成した光軸と平行な方向の回転伝達溝28aに嵌まっている。切替駒28は、図9に示すように、第1直進案内環18に形成した受け溝18dに一定角度だけ周方向に移動できるように支持されている。そして、その外面に形成したフォロア突起28bが、切替環16の内面に形成した有底切替溝16cに嵌まっている。
【0028】
有底切替溝16cは、図7、図18に示すように、テレ区間16cT、切替区間16cK、及びワイド区間16cWを有する。テレ区間16cTとワイド区間16cWは、カム環15の雌ヘリコイド15cと同一リードで逆傾斜をなし、切替区間16cKは、光軸と平行をなしている。このため、カム環15と切替環16が一緒に回転するとき、切替駒28のフォロア突起28bがテレ区間16cTとワイド区間16cWに位置している間は、第1直進案内環18と切替駒28には相対回転が生じない。これに対し、フォロア突起28bが切替区間16cKに係合しているときには、第1直進案内環18に対する切替駒28の相対回転が生じる。この相対回転により、図1のワイド域では第2レンズ群L2と第3レンズ群L3を離間位置に保持し、モード切替区間で、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3を接近位置に移動させ、テレ域では、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3を接近位置に保持する。
【0029】
3群枠24と2−3群移動環21には、図14、図15に示すように、3群枠24の回動角をワイド位置とテレ位置の切替に必要充分な角度に規制する回動範囲規制溝24cとストッパ突起21aが形成されている。これに対し、切替駒28及び差動環26の回動角は、この3群枠24の回動角より大きい角度回転するように設定されており、その差を差動ばね27が吸収する。
【0030】
すなわち、いま、図14に示すように、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3が隔離している状態において、有底切替溝16cとフォロア突起28bを介して、切替駒28に図16の反時計方向の回転が与えられると、差動環26が回転し、その回転が回転伝達突起26bと差動ばね27の一対の脚部27bの係合関係で差動連係環25に伝達され、3群枠24が同方向に回転する。3群枠24の回動範囲規制溝24cがストッパ突起21aに当接すると、常時3群枠24と一緒に回動する差動連係環25の回動も規制される。差動連係環25の回動が規制された後も差動環26は同方向に回転し、そのオーバチャージ分を差動ばね27が弾性変形して吸収する。そして、3群枠24が回転すると、圧縮ばね22bによって後方に移動付勢されている2群枠23は、フォロア突起24aと傾斜カム面23bの関係に従って後方に移動し、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3を接近させる(図15、図17)。なお、差動環26の強制回転伝達溝26aと差動連係環25の強制回転伝達突起25bは、差動連係環25に何らかの原因で大きい回動抵抗が存在する結果差動環26の回転初期に差動ばね27の一対の脚部27bが開いてしまったときに、互いに当接して、差動環26の回転を強制的に差動連係環25に伝達する作用を有する。
【0031】
図15と図17の状態から切替駒28が逆方向(時計方向)に回転すれば、以上とは逆に、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3が隔離する。差動環25、差動連係環26及び差動ばね27のオーバチャージ吸収作用は上述の正方向(反時計方向)への回転時と同様である。傾斜カム面23bの両端部には、フォロア突起24aをテレ位置とワイド位置に安定して保持するための凹部23b1と23b2とが形成されている。さらに、両端部にこの凹部23b1と23b2を有する傾斜カム面23b(及び対応するフォロア突起24a)は、2群枠23(3群枠24)の周方向に等角度間隔で4個設けられており、2群枠23と3群枠24の嵌合関係と相俟ち、ワイド位置とテレ位置でのレンズ群L2とL3のレンズ間隔精度及び同心性を確保する。
【0032】
なお、以上のズームレンズ鏡筒において、2−3群ブロック20の2−3群移動枠21の後方にはシャッタブロック32が固定されており、このシャッタブロック32からは、カメラ本体の制御回路に接続されるFPC基板33が出ている。また、1群枠17の先端面の内面と、2−3群ブロック20の前端面との間には、遮光蛇腹34が位置している。
【0033】
次に、図19に基づいて、本ステップズームレンズ鏡筒のフォーカス動作を説明する。本実施形態では、カム環15のカム溝15dによって(カム環15の回転によって)フォーカシングも行う。このため、ワイドモードで4段(ステップ1、2、3、4)、テレ側で2段(ステップ5、6)の合計6段の焦点距離ステップを有し、各焦点距離ステップにおいてそれぞれ、無限遠撮影位置(∞位置)と最短撮影位置(N位置)の間で2−3群ブロック20(第2レンズ群L2と第3レンズ群L3)を光軸方向に移動させるべく、カム溝15d形状が設定されている。より具体的には、カム溝15dは、回転方向の順に、ステップ1の∞位置、N位置、ステップ2のN位置、∞位置、ステップ3の∞位置、N位置、ステップ4のN位置、∞位置を順番に有し、モード切替区間を挟んで、ステップ5の∞位置、N位置、ステップ6のN位置、∞位置を順番に有している。カム環15の回転角(位置)は、設定焦点距離及び被写体距離情報に応じて制御される。
【0034】
このように、隣り合うステップのN位置同士、∞位置同士を隣接させることにより、カム溝15dの形状を単純化し、全長を短くすることができる。
【0035】
以上の実施形態において、2群枠23は第2レンズ群L2(第1のレンズ群)を支持した第1レンズ枠であり、3群枠24は第3レンズ群L3(第2のレンズ群)を支持した第2レンズ枠である。
【0036】
本発明の特徴部分は、切替駒28の周方向への往復回動によって、この第2レンズ群L2と第3レンズ群L3の間隔を広狭に切り替える間隔可変機構にある。主に図10ないし図17に基づいてこの特徴部分を説明する。3群枠24と差動連係環25は、常に一緒に回動する部材である。また、2群枠23と3群枠24との間には、傾斜カム23bとフォロア突起24aによる相対移動機構が形成されている。そして、フォロア突起24aの2群枠23に対する相対回転角(つまり3群枠24の回転角)は、傾斜カム23bの両端部の凹部23b1と23b2とによって定まっており、この相対回動端で、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3はそれぞれ離隔位置と接近位置をとる。
【0037】
これに対し、切替駒28及び差動環26の回動角は、この3群枠24の回動角より大きい角度回転するように設定されており、その差を差動ばね27が吸収する。すなわち、差動ばね27の一対の脚部27bは、トーションが掛けられた状態で回転伝達突起26bの周方向の両側面に当接しており、差動環26が回転すると、通常は差動ばね27を介して差動連係環25が連れ回りする。一方、差動連係環25が回動端に達する(差動連係環25に一定以上の回動抵抗が存在する)と、一対の脚部27bが開くように差動ばね27が弾性変形し、差動連係環25に対して差動環26が相対回転する。以上の作用は、差動環26の回転方向を問わない。
【0038】
このように差動環26が3群枠24の最大回動角より大きい角度だけ回動し、3群枠24との回動角の差をトーションばね27が弾性変形して吸収する構造とすることにより、確実に第2レンズ群L2と第3レンズ群L3の間隔を広狭二段に変化させることができる。
【0039】
以上の実施形態は、図1のズームレンズ系に適用したものであるが、本発明は、2つのレンズ群の間隔を差動環の正逆の回転で二段階に変化させる間隔可変機構一般に用いることができる。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、2つのレンズ群の間隔を差動環の正逆の回転で確実に変化させることができるレンズ間隔可変機構が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるズームレンズ鏡筒を適用する、切替群を有するステップズームレンズ系のズーミング基礎軌跡を示す図である。
【図2】本発明によるズームレンズ鏡筒の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図3】同ズームレンズ鏡筒の収納状態における上半断面図である。
【図4】同ズームレンズ鏡筒のワイド端無限遠撮影状態における上半断面図である。
【図5】同ズームレンズ鏡筒のテレ端無限遠撮影状態における上半断面図である。
【図6】同ズームレンズ鏡筒のカム環の内周面の展開図である。
【図7】同ズームレンズ鏡筒の切替環の内周面の展開図である。
【図8】同ズームレンズ鏡筒の1群支持環と4群枠との係止構造を示す上半断面図である。
【図9】同ズームレンズ鏡筒の切替環、1群支持環及び第1直進案内環の分解斜視図である。
【図10】同ズームレンズ鏡筒の2−3群ブロックの斜視図である。
【図11】同2−3群ブロックの分解斜視図である。
【図12】同2−3群ブロックを含む切替機構部分の上半断面図である。
【図13】同2−3群ブロック中の差動連係環、差動環及び差動ばねによるオーバチャージ機構を示す斜視図である。
【図14】同2−3群ブロックのワイドモード時の状態を示す展開図である。
【図15】同2−3群ブロックのテレモード時の状態を示す展開図である。
【図16】同2−3群ブロックのワイドモード時の状態を示す正面図である。
【図17】同2−3群ブロックのテレモード時の状態を示す正面図である。
【図18】同2−3群ブロックのワイドモードとテレモードの切替状態を示す展開図である。
【図19】カム環のカム形状の展開図である。
【符号の説明】
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群(第1のレンズ群)
L3 第3レンズ群(第2のレンズ群)
L4 第4レンズ群
L23 間隔変化群
11 固定筒
11a 雌ヘリコイド
11b 直進案内溝
11c 内面凹部
12 ヘリコイド環
12a 雄ヘリコイド
12b 平歯車
12c 周方向溝
12d 直進ガイド溝
13 第2直進案内環
13a 案内突起
13b 径方向突起
13c 雌ヘリコイド
13d 逃がし溝
14 駆動ピニオン
15 カム環
15a 雄ヘリコイド
15b ガイドピン
15c 雌ヘリコイド
15d 有底カム溝
15e 回転伝達溝
16 切替環
16a 周方向溝
16b 回転伝達突起
16c 有底切替溝
16cT テレ区間
16cK 切替区間
16cW ワイド区間
17 1群支持環
17a 雄ヘリコイド
17b ガイド突起
17c 直進ガイド突起
17e 抜け止め突起
18 第1直進案内環
18a ガイド突起
18b 直進案内溝
18c 直進案内溝
18d 受け溝
18f フランジ
18f’ 切欠
19 4群支持環
19a 光軸平行腕
19b 係合突起
20 2−3群ブロック
20a 直進案内腕
20b カムフォロア
21 2-3群移動環
21a ストッパ突起
22 先端部押え板
22a 直進ガイドピン
22b 圧縮ばね
23 2群枠(第1レンズ枠)
23a ガイドボス
23b 傾斜カム面
24 3群枠(第2レンズ枠)
24a フォロア突起
24b 回転伝達突起
24c 回動範囲規制溝
25 差動連係環
25a 回転伝達溝
25b 強制回転伝達突起
25c ばね穴
26 差動環
26a 強制回転伝達溝
26b 回転伝達突起
26c 連動ピン
27 差動ばね(ばね部材)
27b 脚部
28 切替駒
28a 回転伝達溝
28b フォロア突起
29 1群枠
30 4群枠
31 圧縮ばね
32 シャッタブロック
33 FPC基板
34 遮光蛇腹
35 遮光板
Claims (3)
- 第1のレンズ群を支持した第1レンズ枠;
第2のレンズ群を支持し、上記第1レンズ枠に対して一定角度の相対回転が可能な第2レンズ枠;
この第2レンズ枠の第1レンズ枠に対する相対回転の両回動端で両レンズ枠を異なる光軸方向の相対位置に移動させる相対移動機構;
第2レンズ枠と一緒に回転する差動連係環;
この差動連係環に対して、第2レンズ枠の第1レンズ枠に対する相対回転角度より大きい角度の相対回転を与えられる差動環;及び
この差動環と差動連係環との間に介在し、差動連係環及び第2レンズ枠が上記両回動端の間に位置するとき、差動環と差動連係環を一緒に回転させ、差動連係環及び第2レンズ枠が上記回動端に達してさらに差動環が該回動端方向に回転するとき、弾性変形されて該差動連係環を回動端方向に押し付けるばね部材;
を有することを特徴とするレンズ間隔可変機構。 - 請求項1記載のレンズ間隔可変機構において、上記ばね部材は、コイル部とこのコイル部の両端部から径方向外方に曲折した一対の脚部を有するトーションばねからなり、このトーションばねのコイル部は、差動連係環に摩擦係合し、一対の脚部は該差動連係環に穿設した一対のばね穴から突出して、差動環に形成した回転伝達突起を挟着するようにトーションが与えられているレンズ間隔可変機構。
- 請求項1または2記載のレンズ間隔可変機構において、上記相対移動機構は、第1レンズ枠と第2レンズ枠の周面の一方と他方に形成した傾斜カム面とこの傾斜カム面に当接するフォロア突起とを備えているレンズ間隔可変機構。
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