JP3912787B2 - ヘルメット内装型空気呼吸器用頭巾 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は火災時に消火作業者の頭部を保護する装備として使用する頭巾であり、内部にヘルメットを装着した空気呼吸器用頭巾に関する。
【0002】
【従来の技術】
火災時に燃えたり加熱したりすることがなく、かつ小型化して保管や携行に便利なように、頭巾表面にアルミニウム被膜を形成し、頭巾内面に左右前後に分割したファイバーボードを取付けた防災頭巾が提案されている(特許文献1)。
また、オートバイ等に乗る人用の呼吸器と一体化したヘルメットも提案されている(特許文献2)。
【0003】
原子炉施設の建物は、その建物の用途により事業所内の広い範囲に分散している。また、各々の建物には、放射線レベルが高く立ち入りが制限された区域や、窒息性ガス雰囲気としている場所など、誤って立ち入ると危険な場合がある。このため、万一の火災時には、施設内部の構造に精通した事業者側による初期消火が重要となるが、極めて専門性を有し、危険を伴う消火活動を、迅速かつ安全に実施するためには、安全で取り扱い性に優れた保護具を、誰にでも使いやすい状態で建物各所に配備しておく必要がある。特許文献1、特許文献2に提案のような頭巾やヘルメットでは、火災時の消火活動において、消火作業者の頭部を炎や熱から守るとともに、呼吸を確保することは困難であり、安全な消火活動は不可能である。そこで、空気呼吸器や消火服の内、ヘルメットと空気呼吸器を装着した上で、頭部を完全に覆うことのできる耐熱頭巾を火災対応用保護具として使用している。
【0004】
図3はこのような従来の耐熱頭巾を説明する図である。
耐熱頭巾1は旭化成工業株式会社製の耐炎化繊維(商品名:ラスタン)の生地を使用したもので、頭部から肩部までを覆うように末広がりに構成され、高さ及び裾部の前後の幅とも450mm程であり、頭巾内部のひも2をあごにまわして結びつけることにより装着する。頭巾の前部には高さ65mm×幅140mmの窓枠3が形成され、ここに厚さ5mmの透明強化ガラス及び厚さ2mmのポリカーボネイト板を重ねて挿入している。
【0005】
実際の使用時には、図示は省略しているが、落下物等による負傷を防ぐためにヘルメットを装着し、さらに高温時やガスの発生の中での呼吸を助けるための呼吸器を装着した上からこの耐熱頭巾をかぶって使用する。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−217220号
【0007】
【特許文献2】
特表平8−504235号
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の耐熱頭巾は、
▲1▼頭巾の前面ガラス窓が小さくて、視界がせまく階段などの歩行には不向きである。
▲2▼頭巾は空気呼吸器の全面マスク、ヘルメットを装着した上にかぶり、ひもで固定するため、装着に時間がかかるばかりか、作業中にずれて視界がほとんど確保できないことがある。
▲3▼火災時には現場付近の照明が焼損する恐れがあるが、懐中電灯を持ち歩いた場合には、消火器の操作に支障がでる。
▲4▼火災時には指揮所からの指示を受けたり状況の報告が必要となるが、全面マスク、頭巾を装着した上での固定式電話やページング装置による通話は殆ど聴き取りできない。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決しようとするもので、視界拡大、装着時間短縮、安全性の向上、関係者への状況報告ができるヘルメット内装型空気呼吸器用頭巾を提供することを目的とする。
【0010】
消防士は頭部保護のために、風防付きのヘルメットを用いる。これは空気呼吸器の面自体に防災性能を有するため、頭巾は使用せずに消防用ヘルメットに取付けられた風防を空気呼吸器の面体周囲に覆うことで使用する。しかし、放射性物質に汚染された環境下での使用では、脱装時に面体付近に付着した汚染を拡大させる恐れがあることや、ナトリウム火災時の水分接触によるナトリウム塊の飛散燃焼などの際に、風防と面体の隙間にナトリウム塊が入り込み火傷等の恐れがあることなどから、頭部の保護としてより安全な頭巾に改善した。
【0011】
すなわち、
▲1▼頭巾の形状を空気呼吸器マスクに合わせた形状とし、窓を可能な限り大型化するとともに、軽量化のため、ポリカーボネイト板を2枚重ねとした。
▲2▼頭巾内部にヘルメットを固定した。ヘルメットは耐用年数が決められているため、市販品から選定し、容易に交換できるようにひもにより頭巾に取付けた。
▲3▼頭巾上部に市販のスポット照明を設置できるようにベルト通しを取付けた。
▲4▼頭巾内部に携帯電話を差し込むポケットを取り付けた。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本実施形態の頭巾の外観図、図2は空気呼吸器を装着した状態の頭巾内部を説明する図である。
この頭巾のサイズは、従来の耐熱頭巾と同様で高さ及び裾部の前後の幅とも450mm程であり、頭巾内部には、常備している時点でヘルメットを後述する方法で固定する。図1においては、頭巾10の頭部にスポット照明用の照明具11を取り付けた状態を示しており、照明具11は、4箇所設けられた頭巾のベルト通し13を通したゴムバンド12で取付ける。スポット照明の取付けにより、停電が発生した場合の消火活動や歩行時の安全性を向上させることができる。なお、ベルト通し13は、ボタンによりリング状にして使用する。
【0013】
頭巾10の前部に設けた窓枠14の寸法は、高さ100mm×幅260mmであり、従来の頭巾に比して約3倍としている。この窓枠14に、厚さ2mmの透明ポリカーボネイト板2枚を重ねて挿入し、ねじ4本により固定する。なお、頭巾の生地は従来と同様の耐炎化繊維を使用している。
【0014】
図2に示すように、頭巾内部のヘルメット15は、頭巾内部左右に縫い付けたヘルメット固定ひも16をヘルメットに結びつけるとともに、ヘルメットのつばに貼り付けたマジックテープ(登録商標名)と、頭巾に縫い付けたマジックテープ(登録商標名)17を合わせることで固定する。このように、頭巾内部にヘルメット15が固定されているため、ワンタッチ着脱あごひも18の1本で簡単に装着できる。また、使用中に頭巾とヘルメットとがずれるおそれがない。
【0015】
頭巾を装着する前に空気呼吸器マスク19を装着するが、頭巾の形状を空気呼吸器マスクに合わせた形状とし、その前部は大きな窓(空気呼吸器面体)が設けられている。この空気呼吸器面体に合わせて頭巾10の窓枠14を大型としたことにより空気呼吸器面体の視界を妨げることはない。また、空気呼吸器マスク(全面マスク)を用いた場合、固定式電話やページング装置での通話はほとんど聴き取りができない。そこで、携帯電話を頭巾内部の携帯電話用ポケット20に差し込み、イヤホンマイク21を利用して使用する。イヤホンマイクの使用により呼吸器マスク、頭巾を装着した状態でも通話が可能であるため、関係者への状況報告が電話でできる。なお、この場合の連絡は携帯電話のグループ通話機能を使用する。
【0016】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、以下のような効果が達成される。
▲1▼視界拡大
視界面積は約3倍となり、空気呼吸器面体の視界を妨げる部分はほとんど無 くなった。また、窓材質を透明強化ガラスとポリカーボネイト板の2枚重ね から、透明ポリカーボネイト板の2枚重ねに変更したことでスポット照明無 しでの重さは従来の頭巾に比べて1割程軽くなった。
▲2▼装着時間短縮
頭巾内部にヘルメットを固定したため、従来の頭巾ではヘルメットのあごひもと頭巾のあごひもを別々に取り付ける必要があったのに対し、本発明による頭巾ではワンタッチ着脱式あごひも1本だけで装着できるようになった。これにより、装着時間に個人差は無くなり、熟練者で平均37秒要した装着時間が、初めて装着する者でも約12秒程度で難なく実施できるようになった。
▲3▼安全性の向上
ヘルメットを頭巾に固定したため、頭巾とヘルメットがずれる恐れが無くなった。また、頭巾にスポット照明を取り付けられるため、停電が発生した場合の消火活動や歩行時の安全性が向上した。
▲4▼個人管理の携帯電話に、準備してあるイヤホンマイクを差し込んだ後、頭巾を装着する。また、携帯電話は頭巾内のポケットに差し込む。かかる構成により関係者への状況報告ができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態の耐熱頭巾の外観図である。
【図2】 空気呼吸器装着後の頭巾内部を様子を示す図である。
【図3】 従来の耐熱頭巾の外観図である。
【符号の説明】
10…頭巾、11…照明具、12…ゴムバンド、13…ベルト通し、14…窓枠、15…ベクメット、16…固定ひも、17…マジックテープ(登録商標名)、18…あごひも、19…空気呼吸器マスク、20…携帯電話用ポケット、21…イヤホンマイク。

Claims (4)

  1. 空気呼吸器マスクに合わせた形状で、空気呼吸器マスクの装着後に装着し、前面に空気呼吸器マスクの窓に合わせて空気呼吸器マスクの視界を妨げない大きさの窓枠を形成したヘルメット内装型空気呼吸器用頭巾であって、
    内面頂部に設けられたヘルメットを固定するヘルメット固定部材と、
    頭部に設けられた照明具を取り付ける照明具取付け部材と、
    内面側にあって携帯電話を収納する携帯電話差し込みポケットとを有し、
    前記ヘルメット固定部材でヘルメットを内面頂部に固定し、前記照明具取付け部材で頭部に照明具を取り付けることを特徴とするヘルメット内装型空気呼吸器用頭巾。
  2. 頭巾のサイズは、高さ及び裾部の前後の幅が450mm程、前記窓枠は、高さ100mm×幅260mmの大きさであることを特徴とする請求項1記載のヘルメット内装型空気呼吸器用頭巾。
  3. 前記窓枠、透明ポリカーボネイト板を2枚重ねて装着固定し、軽量化したことを特徴とする請求項1記載のヘルメット内装型空気呼吸器用頭巾。
  4. 前記携帯電話差込ポケットの携帯電話により、イヤホンマイクを用いて他者との連絡を可能としたことを特徴とする請求項1記載のヘルメット内装型空気呼吸器用頭巾。
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