JP3912347B2 - リニアモータ駆動装置 - Google Patents
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Description
従来のリニアモータ駆動装置について、図を用いて説明する。図2は、従来の第1のリニアモータ駆動装置の概略構成図である。図2において、1はドライバであり、図示しない上位の位置決め制御装置等から出力される指令に基づく駆動電流をリニアモータへ供給する。2はリニアモータであり、ドライバ1からの上位指令に基づく駆動電流相当の推力を発生し、接続されるシステムを駆動する。リニアモータ2の巻線は、モータ3相分Y結線されている。11はダイオードブリッジであり、ドライバ1の電源入力であるAC電源を全波整流して、パワー素子121に主回路PN電圧を供給する。ここでいうAC電源は、単相/3相、100V/200Vの別を問わない。121はIGBT等の半導体パワー素子であり、電流アンプ131の出力信号であるPWMゲート信号に基づき、リニアモータ2へ駆動電流を供給する。141はシャント抵抗であり、パワー素子121とリニアモータ2との間の出力ラインに駆動電流を検出する手段として配備され、検出電圧を電流アンプ131へフィードバックする。151はヒューズであり、過電流/過負荷等の際、リニアモータ2の焼損防止等の保護機能として働き、その動作信号を電流アンプ131へフィードバックする。131は電流アンプであり、上位指令と電流検出フィードバック信号を入力値とした電流制御を司り、上位指令と電流検出フィードバック信号との偏差とその内部のキャリア発生手段からPWMゲート信号を生成し、パワー素子121をPWM制御する。また、保護機能のフィードバック信号が動作した際、ベースブロックする等のしかるべきシーケンス処理を施す。ここでいう電流アンプは、アナログ電流制御/ディジタル電流制御の別を問わない。ディジタル電流制御の場合、電流制御演算はCPUで行い、上位電流指令と電流検出フィードバック信号等の入力信号がアナログ信号であれば、A/D変換器を備える。
図3は、従来の第2のリニアモータ駆動装置の概略構成図である。図3において、1はドライバであり、上位指令に基づく駆動電流をリニアモータへ供給する。2はリニアモータであり、ドライバ1からの上位指令に基づく駆動電流相当の推力を発生し、接続されるシステムを駆動する。リニアモータ2の巻線は、その3相それぞれに互いに独立して配備されている。16は安定化電源であり、ドライバ1の電源入力であるAC電源からパワー素子122に主回路PN電圧を供給する。ここでいうAC電源は、単相/3相、100V/200Vの別を問わない。122はMOSFET等の高速スイッチング特性の半導体パワー素子であり、電流アンプ132の出力信号である上位指令と電流検出フィードバック信号との偏差に基づき、リニアモータ2へ駆動電流を供給する。141はシャント抵抗であり、パワー素子121とリニアモータ2との間の出力ラインに駆動電流を検出する手段として配備され、検出電圧を電流アンプ132へフィードバックする。152はヒューズであり、過電流/過負荷等の際、リニアモータ2の焼損防止等の保護機能として働き、その動作信号を電流アンプ132へフィードバックする。132は電流アンプであり、上位指令と電流検出フィードバック信号を入力値とした電流制御を司り、上位指令と電流検出フィードバック信号との偏差とその内部のキャリア発生手段からPWMゲート信号を生成し、パワー素子122をPWM制御する。ここでいうキャリア発生手段は、MOSFET等の高速スイッチング特性の半導体パワー素子を使用するため、IGBT等の半導体パワー素子のそれより一段と高いキャリア周波数を設定でき、小推力時の電流リップル/波形歪を更に小さくすることが出来る。これはより高いキャリア周波数を適用すると電動機へ供給する電流リップル(電流脈動)が小さくなるため電流リップルに起因するトルクリップル(トルク脈動)を小さくできるからである。また、保護機能のフィードバック信号が動作した際、ゼロ指令入力等のしかるべきシーケンス処理を施す。
このように、従来のリニアモータ駆動装置は、上位指令に基づく駆動電流をリニアモータへ供給して、システムを駆動するのである。
(1)IGBT等の半導体パワー素子を使用するPWM制御は、高耐圧・大電流のラインナップがあり、大容量のリニアモータ駆動が可能であるが、そのスイッチング特性によりキャリア周波数に上限があり、推力リップルに起因する電流リップルを小さくできず、また、0クロス近傍の不感帯の影響により、小推力時の電流制御特性が悪い。
(2)MOSFET等の半導体パワー素子を使用するPWM制御は、そのスイッチング特性によりキャリア周波数を高く設定でき、推力リップルに起因する電流リップルを小さく、また、0クロス近傍の不感帯の影響を極小にでき、小推力時の電流制御特性を良くすることができるが、高耐圧のラインナップがないため、小容量のリニアモータ駆動しかできない。
(3)Y結線は、駆動電流を流した際の相間干渉が少なからずともあり、小推力時の電流制御特性に影響を与える。
(4)独立巻線は、駆動電流を流した際の相間干渉の小推力時の電流制御特性への影響をなくすことができるが、駆動するドライバとの組合せにより大容量のリニアモータに適していない。
そこで、本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、大推力時に適したリニアモータ巻線とアンプの組合せと小推力時に適したリニアモータ巻線とアンプの組合せとを、駆動条件に応じて選択的に切替えることで、速度リップル/推力リップルのシステムへの影響を極小に留めることを特徴とするリニアモータ駆動装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、リニアモータと、前記リニアモータに駆動電流を供給するドライバとを備えたリニアモータ駆動装置において、前記ドライバが、前記駆動電流をPWM制御するPWMアンプと、前記PWMアンプよりキャリア周波数が一段と高く前記駆動電流をPWM制御する高キャリアPWMアンプとを有し、前記リニアモータが、モータ3相分をY結線した大推力用巻線と、モータ3相分を独立に配備した小推力用巻線とを互いに並列に有すると共に、各巻線への各接続端子とを有し、前記PWMアンプの出力を前記大推力用巻線への接続端子に、および、前記高キャリアPWMアンプの出力を前記小推力用巻線への接続端子に接続し、上位装置からのアンプ切替え信号に基づいて、前記リニアモータの駆動状態が、加減速状態の場合は前記PWMアンプから前記駆動電流を供給し、停止状態あるいは一定速状態の場合は前記高キャリアPWMアンプから前記駆動電流を供給するように、前記ドライバの出力と前記リニアモータの巻線との組合せを、前記駆動状態に応じて選択的に切替えるものである。
請求項1記載のリニアモータ駆動装置によれば、、大推力時に適したリニアモータ巻線とアンプ(PWMアンプ)の組合せと小推力時に適したリニアモータ巻線とアンプ(高キャリアPWMアンプ)の組合せとを、駆動条件に応じて選択的に切替えることができる。また、駆動条件に応じて、PWMアンプか高キャリアPWMアンプを使用することができ、使用していないアンプの入力はゼロ指令となるため、出力への影響をなくすことができる。また、精度を問わない大推力時には、大推力用巻線に駆動電流を供給することができ、精
度を要求される小推力時には、小推力用巻線に駆動電流を供給することができる。また、システムの加減速時に大推力が必要な場合、高耐圧・大電流なパワー素子を使用することができるため、大容量のリニアモータ駆動が可能であり、リニアモータ巻線設計においても極力損失を抑えることができる。また、システムの一定速時あるいは停止時に小推力/低速度リップル/低推力リップルが必要な場合、キャリア周波数を高いため、推力リップルに起因する電流リップルを小さく、また、0クロス近傍の不感帯の影響を極小にでき、小推力時の電流制御特性を良くすることができる。また、システムの加減速時の大推力が必要で、精密な電流制御特性を必要としない場合、比較的安価にできるアンプとモータの組合せでシステムを駆動することができる。また、システムの一定速時に小推力/低速度リップル/低推力リップルが必要で、精密な電流制御特性を必要とする場合、電流制御特性がよいアンプと駆動電流を流した際の相間干渉の小推力時の電流制御特性への影響をなくすことができるモータの組合せでシステムを駆動することができる。
(1)ドライバが2通りの異なるキャリア周波数による電流制御方式とリニアモータが2通りの巻線を有しているため、大推力時に適したリニアモータ巻線とアンプの組合せと小推力時に適したリニアモータ巻線とアンプの組合せとを、駆動条件に応じて選択的に切替えることで、速度リップル/推力リップルのシステムへの影響を極小に留めることができる。
(2)アンプ切替え信号により短時間でアナログスイッチを切替えるため、システムへの切替えの影響を極小に留めることができる。
(3)ドライバ/リニアモータ共に、大推力用と小推力用として、それぞれの特長を出せるものを有しているため、個別に有するものより、要求仕様に対して、更に追究する事ができる。
次に動作を説明する。上位からのアンプ切替え信号は、設定された閾値と上位指令との比較により、出力される。設定された閾値は、少なくとも、システムの一定速時推力より若干高いくらいの値である。
システムが停止状態の場合、アンプ切替え信号は高キャリアPWMアンプを選択しており、上位指令に基づいた駆動電流をパワー素子122を介して、3相独立巻線の小推力用巻線22に供給し、高停止時精度/低振動な制御特性を実現できる。
システムが加減速時の場合、上位指令が設定された閾値を超えたところで、アンプ切替え信号はPWMアンプを選択し、上位指令に基づいた駆動電流をパワー素子121を介して、3相Y結線の大推力用巻線21に供給し、高効率・高加減速な制御特性を実現できる。
システムが一定速時の場合、上位指令が設定された閾値を下回ったところで、アンプ切替え信号は、再度、高キャリアPWMアンプを選択し、上位指令に基づいた駆動電流をパワー素子122を介して、ヘリカル巻線方式の小推力用巻線22に供給し、高精度/低速度リップル/低推力リップルな制御特性を実現できる。ヘリカル巻線は巻線精度を高めた螺旋状の整列巻線である。
それぞれの場合、アンプ切替え信号で選択されなかったアンプの入力信号は、ゼロ指令となり、決してリニアモータ出力側に影響するものではない。
11 DB(ダイオードブリッジ)
121、122 パワー素子
131、132 電流アンプ
141、142 シャント抵抗
151、152 ヒューズ
16 安定化電源
17 アナログスイッチ
2 リニアモータ
21 大推力用巻線
22 小推力用巻線
Claims (1)
- リニアモータと、前記リニアモータに駆動電流を供給するドライバとを備えたリニアモータ駆動装置において、
前記ドライバが、前記駆動電流をPWM制御するPWMアンプと、前記PWMアンプよりキャリア周波数が一段と高く前記駆動電流をPWM制御する高キャリアPWMアンプとを有し、
前記リニアモータが、モータ3相分をY結線した大推力用巻線と、モータ3相分を独立に配備した小推力用巻線とを互いに並列に有すると共に、各巻線への各接続端子とを有し、
前記PWMアンプの出力を前記大推力用巻線への接続端子に、および、前記高キャリアPWMアンプの出力を前記小推力用巻線への接続端子に接続し、
上位装置からのアンプ切替え信号に基づいて、前記リニアモータの駆動状態が、加減速状態の場合は前記PWMアンプから前記駆動電流を供給し、停止状態あるいは一定速状態の場合は前記高キャリアPWMアンプから前記駆動電流を供給するように、
前記ドライバの出力と前記リニアモータの巻線との組合せを、前記駆動状態に応じて選択的に切替えることを特徴とするリニアモータ駆動装置。
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