JP3912063B2 - 画像濃淡ムラの検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、本来検査領域内全域において一定濃度であるべき検査対象物の部分的な濃淡を撮影画像から解析して検出する画像濃淡ムラの検出方法に関するものであり、特にカラーフィルターなどのムラ検査に用いられる画像濃淡ムラの検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばカラー液晶表示装置の色表示用のカラーフィルターやカラービデオカメラの色分解用のカラーフィルターの製品検査として、画像解析装置によるムラの検査方法が用いられている。この画像解析装置は通常、画像入力装置、コンピュータ、照明および付属装置類からなり、カラーフィルターを透過光撮影することによって画像データを得た後、コンピュータによって画像処理を行い、ムラ領域を特定している。これに用いられる画像処理方法としては、例えば画像データの1画素毎にデジタルフィルタ、2次微分処理等を施した後、別途設定した閾値と比較して閾値を越えた部分をムラ領域として特定するという方法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、製造プロセス上の避けられない要因としてカラーフィルターには液跳ねや粉塵に起因する小さな点状のムラをはじめレジストコーティング装置に起因するスジ状、同心円状の大きなムラまで様々な大きさのムラが発生するのが現実である。
【0004】
そこで上記従来の画像解析装置によるムラの検査方法では、検出しようとするムラのサイズ、形状毎にデジタルフィルタを複数用意し、それらを繰り返し適用することによってあらゆる種類のムラを検出しようとするものであった。この場合特に大きいサイズのムラを検出するデジタルフィルタはマトリックスのサイズも大きくなるため計算量が膨大となり、時間上の制約からある程度以上のサイズのデジタルフィルタを適用することは現実的ではなかった。また、サイズの大きなムラは人間の視覚特性上、輝度差が小さくても目立ち易くなるものであるが、この画像解析装置によるムラの検査方法では、検出すべき輝度差が小さいため画像に重畳されたノイズ等の影響を受け、誤検出が発生する危惧のあるものであった。
【0005】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、例えばカラーフィルターのムラの検出方法において、あらゆる種類やサイズのムラに対応可能で、かつ画像解析に長時間を要するなど時間上の制約がなく、誤検出の危惧のない画像濃淡ムラの検出方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、本発明では、検査対象物を撮影して得られた単色2次元濃淡画像を解析し、部分的に濃度が高いあるいは低い領域を画像濃淡ムラとして特定する画像濃淡ムラの検出方法であって、前記単色2次元濃淡画像を原画像として、該原画像およびこれと縮尺の異なる1つ以上の縮小画像を得、原画像および各縮小画像のそれぞれに対応するアンシャープ画像を作成し、前記原画像および各縮小画像とそれぞれの画像に対応するアンシャープ画像との差分をとったそれぞれの差分画像を作成し、該各差分画像を、各差分画像毎に設定した輝度閾値との比較でその閾値を越えた輝度をもつドットと、それ以外のドットとで2値化し、該閾値を越えた輝度をもつドットがいくつか連続している領域をムラとし、それほど連続していない領域を除外して、原画像の2値画像と各縮小画像の2値画像とを作成し、該各縮小画像の2値画像を原画像の2値画像に理論和としてマッピングして画像濃淡ムラを検出することを特徴とする画像濃淡ムラの検出方法としたものである。
【0007】
上記本発明によれば、縮小画像を用いることにより画像に重畳した短波長成分をカットした画像を得ることが可能となる効果が得られる。同様にアンシャープ画像との差分によって得られる差分画像と差分縮小画像においてはアンシャープ画像作成時の平均値マスクサイズに応じて長波長成分のカット効果が得られる。これらの効果の組み合わせによって各差分画像および差分縮小画像は特定の波長成分の輝度変動の情報を持つようになり、これによって求めたいムラのみを画像ノイズや基板のもつモヤと分離、抽出することが可能となる。
【0008】
続いて原画像および各縮小画像についてそれぞれ2値化を行ない、しかる後に閾値を越えた輝度をもつ部分がそれほど連続していない領域、即ち面積閾値以下の領域を除外することによって、誤検出を減少させることが可能となる。最後に原画像の2値化画像および各縮小2値化画像の論理和をとることによって様々なサイズのムラを感度良く検出することが可能となる。また、縮小画像を用い、その縮小画像に対して処理を行なうことにより計算の負荷が少なくなり、高速な処理が可能となる。よって本発明の画像濃淡ムラの検出方法では、様々なサイズのムラを感度良く検出すること、特にサイズが大きく、輝度差の小さいムラをムラでないとする見逃しの危惧を抑制しつつ、感度良く高速に検出することを可能にする画像濃淡ムラの検出方法とすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を説明する。
本発明の画像濃淡ムラの検出方法は、まず、例えばカラーフィルター等検査対象物を撮影して単色の濃淡画像(以下原画像という)および、1つ以上の縮尺の異なる画像(以下縮小画像という)を得る。この縮小画像を得る方法としては原画像を画像処理で縮小する方法でも撮像レンズの焦点距離や被写体との間隔を変えて複数回撮像する方法でもよい。
【0010】
必要に応じてこれらの画像(原画像および各縮小画像)にノイズ除去、強調処理等の画像処理を施し、目的とするムラのコントラストを高めておくことも可能である。
【0011】
次に、前記の原画像および縮小画像のそれぞれに例えば2×2ドット〜10×10ドット程度のサイズの平均値マスクをかけることによってアンシャープ画像を作成する。この平均値マスクのサイズは原画像および各縮小画像のそれぞれについて異なったサイズのものであってもかまわない。
【0012】
次に、上記の原画像および縮小画像のそれぞれに対し、対応するアンシャープ画像との差分を取り、原画像の差分画像(以下差分原画像という)および縮小画像の差分画像(以下差分縮小画像という)を作成する。その後別途設定した輝度閾値との比較結果に基づいて2値化する。すなわち各ドットの輝度値が輝度閾値を越えているか否かによって1または0をそのドットの値とする。
【0013】
続いてその1を割り振られたドットが互いに隣接している部分を領域とし、その面積を演算する。すなわち、1つの原画像または縮小画像に対し1つ以上、通常は複数の領域が求められることになる。画像内の全ドットが閾値以下の輝度である場合には領域が1つも存在しないことになるが、これは良品の画像であることが明らかなので以下の処理は行なう必要が無い。さらに前記各領域の内、別途設定した面積閾値以下の面積のものは除外し、この領域内のドットの値を0とする。
【0014】
最後に各縮小画像の2値画像(縮小2値画像)を原画像の2値画像(原2値画像)に論理和としてマッピングする。具体的には各縮小画像を原2値画像と同サイズとなるよう拡大して、対応する位置のドット同士の値の論理和を求めて原2値画像の該当するドットの値とする。
【0015】
上記処理を行なって得られる各2値画像において、その値が1となっている領域が求めるムラの領域である。
【0016】
【実施例】
次に実施例により、本発明を具体的に説明する。
〈実施例1〉
図1に示すように、カラーフィルターを検査対象物として撮影し、800×600ドット、256階調の単色濃淡画像を得、サイズが大きく輝度差が少ないムラ(5a)や白点ムラ(5b)、黒点ムラ(5c)等を有する原画像(1)とした。
【0017】
上記で得られた原画像(1)を画像処理によって、図2(a)に示すように、原画像に対して1/2に縮小し400×300ドットの1/2縮小画像(2)と、図2(b)に示すように、原画像に対して1/4に縮小し200×150ドットの1/4縮小画像(3)とを作成した。
【0018】
上記で得られた原画像(1)および1/2縮小画像(2)、1/4縮小画像(3)に対し、3×3ドットの平均化マスクをかけ、図3(a)に示すように、シャープ性のない原画像のアンシャープ画像(1A)と、図3(b)に示すように、シャープ性のない1/2縮小画像のアンシャープ画像(2A)と、図3(c)に示すように、シャープ性のない1/4縮小画像のアンシャープ画像(3A)とを得た。
【0019】
続いて、図4(a)に示すように、上記で得られた図1に示す原画像(1)から図3(a)に示す原画像のアンシャープ画像(1A)を差し引いて、差分原画像(1B)を作成し、図4(b)に示すように、上記で得られた図2(a)に示す1/2縮小画像(2)から図3(b)に示す1/2縮小画像のアンシャープ画像(2A)を差し引いて、差分1/2縮小画像(2B)を作成し、さらに、図4(c)に示すように、上記で得られた図2(b)に示す1/4縮小画像(3)から図3(c)に示す1/4縮小画像のアンシャープ画像(3A)を差し引いて、差分1/4縮小画像(3B)を作成した。
【0020】
上記で作成した差分原画像(1B)の輝度閾値を下限50、上限205に設定して2値化し原2値画像を得、差分1/2縮小画像(2B)の輝度閾値を下限65、上限190に設定して2値化し1/2縮小2値画像を得、差分1/4縮小画像(3B)の輝度閾値を下限80、上限175に設定して2値化し1/4縮小2値画像を得た。
【0021】
上記で得られた原2値画像に対し面積閾値3ドット、1/2縮小2値画像に対し面積閾値10ドット、1/4縮小2値画像に対し面積閾値20ドットを設定し、これら閾値以下の面積を持つ領域を除外して、図5(a)に示すような原2値画像(1C)を、図5(b)に示すような1/2縮小2値画像(2C)を、さらに図5(c)に示すような1/4縮小2値画像(3C)を得た。
【0022】
最後に上記で得られた図5(b)および図5(c)に示す1/2縮小2値画像(2C)および1/4縮小2値画像(3C)を図5(a)に示す原2値画像(1C)に論理和をとってマッピングして、図6に示すように、黒く表示された部分を有する画像濃淡ムラの検出画像(1D)を得た。
【0023】
上記画像濃淡ムラの検出画像(1D)より、黒く表示された部分がムラ(5)であると判定され、特に図1で現れたサイズが大きく輝度差の小さいムラ(5a)でも、見逃しのないようなコントラストのあるムラ(5)として表された画像濃淡ムラの検出画像(1D)であった。
【0024】
〈実施例2〉
図1に示す実施例1の原画像(1)および図2(a)、図(b)に示す1/2縮小画像(2)、1/4縮小画像(3)のそれぞれに斜め方向強調のデジタルフィルタをかけて、図7に示すように、斜め方向が強調されてコントラストのある斜め方向強調の原画像(1E)、斜め方向強調の1/2縮小画像(2E)、斜め方向強調の1/4縮小画像(3E)を得た以外は、実施例1と同様にして図8に示すように、実施例1での最終画像より大きく黒く表示された部分を有する画像濃淡ムラの検出画像(1D)を得た。
【0025】
上記画像濃淡ムラの検出画像(1D)より、より大きく黒く表示された部分がムラ(5)であると判定され、特に図7で現れたサイズが大きく輝度差の小さいムラ(5a)でも、より見逃しのないような大きくコントラストのあるムラ(5)として表された画像濃淡ムラの検出画像(1D)であった。
【0026】
【発明の効果】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
即ち、検査対象物を撮影して得られた単色2次元濃淡画像を解析し、部分的に濃度が高いあるいは低い領域を画像濃淡ムラとして特定する画像濃淡ムラの検出方法において、縮小画像を用いることによって、画像に重畳した短波長成分をカットした画像を得ることが可能な効果が得られ、同様にアンシャープ画像との差分によって得られる差分画像と差分縮小画像においてはアンシャープ画像作成時の平均値マスクサイズに応じて長波長成分をカットする効果が得られ、これらの効果の組み合わせることによって各差分画像および差分縮小画像は特定の波長成分の輝度変動の情報を持つようになり、これによって求めたいムラのみを画像ノイズや基板のもつモヤと分離し、抽出することが可能となる。
【0027】
また、原画像および各縮小画像についてそれぞれ2値化を行ない、しかる後に閾値を越えた輝度をもつ部分がそれほど連続していない領域、即ち面積閾値以下の領域を除外することによって、見逃しを減少させることが可能となり、最後に原画像の2値化画像および各縮小2値化画像の論理和をとることによって様々なサイズのムラを感度良く検出することが可能となる。さらにまた、縮小画像を用い、その縮小画像に対して処理を行なうことにより、計算の負荷が少なくなり、高速な処理が可能となる。よって本発明の画像濃淡ムラの検出方法では、様々なサイズのムラを感度良く検出すること、特にサイズが大きく、輝度差の小さいムラをムラでないと判定する見逃しの危惧を抑制しつつ、感度良く高速に検出することを可能にする画像濃淡ムラの検出方法とすることができる。
【0028】
従って本発明は、カラーフィルターなどの濃淡ムラの検査に用いられる画像濃淡ムラの検出方法として、優れた実用上の効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像濃淡ムラの検出方法の一実施の形態を説明するもので、検査対象物を撮影で得た原画像の正面図である。
【図2】本発明の画像濃淡ムラの検出方法の一実施の形態を説明するもので、検査対象物を撮影で得た縮小画像で、
(a)は、1/2縮小画像の正面図であり、
(b)は、1/4縮小画像の正面図である。
【図3】本発明の画像濃淡ムラの検出方法の一実施の形態を説明するもので、
(a)は、原画像のアンシャープ画像の正面図であり、
(b)は、1/2縮小画像のアンシャープ画像の正面図であり、
(c)は、1/4縮小画像のアンシャープ画像の正面図である。
【図4】本発明の画像濃淡ムラの検出方法の一実施の形態を説明するもので、
(a)は、差分原画像の正面図であり、
(b)は、差分1/2縮小画像の正面図であり、
(c)は、差分1/4縮小画像の正面図である。
【図5】本発明の画像濃淡ムラの検出方法の一実施の形態を説明するもので、
(a)は、原2値画像の正面図であり、
(b)は、1/2縮小2値画像の正面図であり、
(c)は、1/4縮小2値画像の正面図である。
【図6】本発明の画像濃淡ムラの検出方法の一実施の形態を説明するもので、各縮小2値画像を原2値画像に論理和をとってマッピングして得られる画像濃淡ムラの検出画像の正面図である。
【図7】本発明の画像濃淡ムラの検出方法の一実施の形態を説明するもので、検査対象物を斜め方向強調のディジタルフィルタをかけて撮影した原画像、1/2縮小画像、1/4縮小画像の正面図である。
【図8】本発明の画像濃淡ムラの検出方法の一実施の形態を説明するもので、斜め方向強調の各縮小2値画像を原2値画像に論理和をとってマッピングして得られる画像濃淡ムラの検出画像の正面図である。
【符号の説明】
1‥‥原画像
2‥‥1/2縮小画像
3‥‥1/4縮小画像
1A‥‥原画像のアンシャープ画像
2A‥‥1/2縮小画像のアンシャープ画像
3A‥‥1/4縮小画像のアンシャープ画像
1B‥‥差分原画像
2B‥‥差分1/2縮小画像
3B‥‥差分1/4縮小画像
1C‥‥原2値画像
2C‥‥1/2縮小2値画像
3C‥‥1/4縮小2値画像
1D‥‥画像濃淡ムラの検出画像
1E‥‥斜め方向強調原画像
2E‥‥斜め方向強調1/2縮小画像
3E‥‥斜め方向強調1/4縮小画像
5‥‥ムラ
5a‥‥サイズが大きく輝度差の小さいムラ
5b‥‥白点ムラ
5c‥‥黒点ムラ
Claims (1)
- 検査対象物を撮影して得られた単色2次元濃淡画像を解析し、部分的に濃度が高いあるいは低い領域を画像濃淡ムラとして特定する画像濃淡ムラの検出方法であって、前記単色2次元濃淡画像を原画像として、該原画像およびこれと縮尺の異なる1つ以上の縮小画像を得、原画像および各縮小画像のそれぞれに対応するアンシャープ画像を作成し、前記原画像および各縮小画像とそれぞれの画像に対応するアンシャープ画像との差分をとったそれぞれの差分画像を作成し、該各差分画像を、各差分画像毎に設定した輝度閾値との比較でその閾値を越えた輝度をもつドットと、それ以外のドットとで2値化し、該閾値を越えた輝度をもつドットがいくつか連続している領域をムラとし、それほど連続していない領域を除外して、原画像の2値画像と各縮小画像の2値画像とを作成し、該各縮小画像の2値画像を原画像の2値画像に理論和としてマッピングして画像濃淡ムラを検出することを特徴とする画像濃淡ムラの検出方法。
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