本発明は、例えばウェアラブルコンピュータ間のデータ通信のために使用されるトランシーバに関し、更に詳しくは、送信状態か受信状態かを判定して、送受信動作の択一的切り替えが可能なトランシーバに関する。
近年、衣服のように人体に着けて、操作及び使用することができるという新しい概念のコンピュータが注目されている。このコンピュータは、ウェアラブルコンピュータ(Wearable Computer)と呼ばれ、携帯端末の小型化および高性能化により実現が可能となった。
また、複数のウェアラブルコンピュータ間のデータ通信を人間の腕、肩、胴体等の人体(生体)を介して行う技術の研究も進んでおり、この技術は既に特許文献等で提案されている(例えば、特許文献1参照)。図4は、このような人体を介して複数のウェアラブルコンピュータ間通信を行う場合のイメージ図を示している。図4に示すように、ウェアラブルコンピュータ1は、これに当接されたトランシーバ3’’とにより一組(セット)を構成しており、他のウェアラブルコンピュータ1とトランシーバ3’’の組に対して、人体を介することによりデータ通信を行うことができる。また、ウェアラブルコンピュータ1は、人体に装着しているウェアラブルコンピュータ1以外のPC(パーソナルコンピュータ)5と壁等に設置されているトランシーバ3’’aの組や、このPC5と床等に設置されているトランシーバ3’’bの組とのデータ通信もそれぞれ可能である。但し、この場合のPC5は、ウェアラブルコンピュータ1とトランシーバ3’’のように互いに当接されておらず、ケーブル4を介してトランシーバ3’’a,3’’bと接続されている。
また、人体を介して行うデータ通信に関しては、レーザ光と電気光学結晶を用いた電気光学的手法による信号検出技術を利用し、送信すべき情報(データ)に基づく電界を人体(電界伝達媒体)に誘起させると共に、この人体に誘起された電界に基づく情報を受信することによって、情報の送受信を行っている。この人体を介したデータ通信の技術については、図5を用いて更に詳しく説明する。
図5は、人体(生体100)を介した情報(データ)通信を行うために用いるトランシーバ3’’の全体構成図である。図5に示すように、トランシーバ3’’は、送受信電極105および絶縁膜107を介して生体100に接触した状態で使用される。そして、トランシーバ3’’は、ウェアラブルコンピュータ1から供給されたデータをI/O(入出力)回路101を介して受信し、送信部103に送信する。送信部103では、送受信電極105から絶縁膜107を介して電界伝達媒体である生体100に電界を誘起させ、この電界を生体100を介して生体100の他の部位に装着されている別のトランシーバ3’’に伝達させる。
また、トランシーバ3’’は、生体100の他の部位に装着された別のトランシーバ3’’から生体100に誘起して伝達されてくる電界を絶縁膜107を介して送受信電極105で受信し、受信部119に伝達させる。この受信部119は、電界検出光学部110、信号処理回路115、波形整形回路117によって構成されている。
このうち、電界検出光学部110では、上記送受信電極105で受信した電界を電界検出光学部110における不図示の電気光学結晶に結合(印加)して電気信号に変換してから信号処理回路115に送信する。信号処理回路115では、送信されてきた電気信号の増幅及び雑音除去等の信号処理を行った後、波形整形回路117に送信する。波形整形回路117では、送信されてきた電気信号の波形整形(信号処理)を施し、入出力回路101を介してウェアラブルコンピュータ1に供給する。
例えば、図4に示すように、右腕に装着したウェアラブルコンピュータ1は、トランシーバ3’’により送信情報(データ)に係る電気信号を電界として電界伝達媒体である生体100に誘起させ、波線で示すように電界として生体100の他の部位に伝達する。一方、左腕に装着したウェアラブルコンピュータ1では、生体100から伝達されてくる電界をトランシーバ3’’により電気信号に戻してから、受信情報(データ)として受信することができる。
ところで、送受信電極105が生体100の他の部位からの送信情報に基づく電界を受信しつつある場合に、送受信電極105には送信部103が常に接続されているため、送信部103から送受信電極105に、例えばトランシーバ3’’を駆動させるための不図示の電源から雑音が供給され、この雑音による電界が送受信電極105から生体100に誘起されて、同じトランシーバ3’’は勿論のこと、他のトランシーバ3’’の送受信電極105にも伝達され、誤動作の原因になるという問題がある。
そこで、本出願人は、図6に示すようなトランシーバ3’を案出した。このトランシーバ3’では、送受信電極105と送信部103との間に第1のスイッチ204が設けられ、受信部319’とI/O回路101との間に第2のスイッチ213が設けられている。
また、トランシーバ3’には、送信部103への信号と受信部319’からの信号を入力して、送信動作状態か受信動作状態かを判定し、その判定結果を送信部103、第1のスイッチ204、受信部319’、及び第2のスイッチ213にそれぞれ出力するための送受信判定部211が設けられている。
そして、送受信判定部211は、送信部103に供給される送信情報または受信部319’からの出力信号に基づき送信動作状態または受信動作状態かを判定し、この判定の結果、送信動作状態であると判定した場合には、送信部103の送信動作を開始させるとともに受信部319’の動作を停止させるように制御する。また、送受信判定部211が、送信動作状態でないと判定した場合には、送信部103の動作を停止させるとともに受信部319’が受信動作を行い得るように制御する。また、送受信判定部211が送信動作状態でないと判定した状態において受信動作状態でもないと判定した状態が所定時間以上継続した場合には、受信部319’を待ち受け状態に設定するように制御する。
また、第1のスイッチ204は、アナログスイッチで構成されてもよいものであり、送受信判定部211が送信動作状態であると判定した場合には、送信部103を送受信電極105に接続し、送信動作状態でないと判定した場合には、送信部103を送受信電極105から切り離すように動作する。また、第2のスイッチ213は、アナログスイッチで構成されてもよいものであり、送受信判定部211が送信動作状態であると判定した場合には、受信部319’を入出力回路101から切り離し、送信動作状態でないと判定した場合、受信部319’を入出力回路101に接続するように動作する。
また、図6に示す受信部319’は、図5に示す受信部119の構成と異なるため、この受信部319’の内部構成を詳細に説明する。尚、電界検出光学部110の構成は、図5に示すトランシーバ3’’のものと同じであるため、その説明を省略する。
受信部319’は、電界検出光学部110、この電界検出光学部110の出力を増幅する増幅手段であるアンプ311、このアンプ311から出力される信号の雑音を除去するフィルタ313、このフィルタ313から出力される信号を時間的に遅延させる遅延手段であるディレイ325、上記フィルタ313から出力される信号の波形のピークを保持するような出力信号(すなわち信号波形のエンベロープをなぞったような出力信号)を生成するピークホールド321、このピークホールド321から出力される信号を所定の固定比較電圧と比較する第2のコンパレータ323、上記ディレイ325からの出力信号と第2のコンパレータ323からの出力信号とを比較する第1のコンパレータ327、およびこの第1のコンパレータ327から出力される信号のデューティを補正するデューティ補正部329によって構成されている。尚、ピークホールド321と第2のコンパレータ323によって、パケット抽出部320を構成している。
このように構成される受信部319’は、受信信号のパケットのない時のアナログGNDレベル付近に存在するノイズを適確に除去し、デジタルGNDレベルに対して高レベルと低レベルを明確にするとともに、デューティを適正に補正した受信信号を出力するものであり、更にノイズ除去機能を適確にすることができる。但し、第1のコンパレータ327からは既にデューティが適正な値になった受信信号が出力されるようになっているため、場合によってはデューティ補正部329はなくてもよい。
次に、図7に示すタイミング図を参照して、図6に示すトランシーバの受信部319’の動作について説明する。
受信部319’において、電界検出光学部110からの出力信号はアンプ311で増幅してから、フィルタ313で雑音を除去され、例えば図7(a)に示すようなアナログ信号としてフィルタ313から出力され、ここから分岐してディレイ325およびピークホールド321に供給される。
ピークホールド321は、フィルタ313からの出力信号波形のピークを保持するような信号、すなわちフィルタの出力信号波形のエンベロープをなぞるような信号を生成して、例えば図7(b)に示すような信号を出力する。このピークホールド321の出力信号は、第2のコンパレータ323に供給され、所定の固定比較電圧と比較される。この固定比較電圧は、図7(b)に示すようにアナログGNDレベルよりも高く、ピークホールド321の出力信号の中程のレベルに設定されている。
従って、第2のコンパレータ323において、ピークホールド321の出力信号と固定比較電圧とを比較した結果、第2のコンパレータ323からは図7(c)に示すような矩形電圧が出力され、この矩形電圧は第1のコンパレータ327の矩形型比較電圧として供給される。この第2のコンパレータ323から出力される比較電圧は、高レベルがアナログGNDレベルになるように設定されている。
なお、ピークホールド321において、フィルタ313の出力信号の波形のエンベロープをなぞるような信号を生成することにより、フィルタ313のアナログGNDレベル付近に存在するノイズはほぼ完全に除去される。また第2のコンパレータ323における比較において使用される比較電圧はアナログGNDレベルよりも高い電圧に設定されているため、これによってもアナログGNDレベル付近に存在するノイズを除去し得るような矩形型比較電圧を生成することができる。
第1のコンパレータ327は、フィルタ313からディレイ325を通って、ピークホールド321と第2のコンパレータ323との遅延分に相当する遅延を受けた信号(受信信号)と、第2のコンパレータ323からの図7(c)に示す矩形型比較電圧とを図7(d)に示すように比較する。なお、この比較では、矩形型比較電圧の高レベルは上述したようにアナログGNDレベルに設定され、このアナログGNDレベルで受信信号と比較し、第1のコンパレータ327からは、図7(e)に示すようなデジタル出力信号が生成される。
この第1のコンパレータ327からの出力信号は、デューティ補正部329においてデューティを所望の例えば1:1の等間隔の適正なデューティに補正されて出力され、第2のスイッチ213、入出力回路101を介して信頼性の高いデータとしてウェアラブルコンピュータ1などに供給される。
このように、受信部319’では、受信情報を2つに分岐し、一方からパケット抽出部320によるパケット抽出系でパケットを抽出することで、受信動作状態であるか否かの判断に利用し、他方から第1のコンパレータ327による情報(データ)抽出系で通常の受信情報(データ)内容を抽出することで、情報(データ)通信に利用している。
なお、第1のコンパレータ327での受信信号と矩形型比較電圧との比較では、矩形型比較電圧の高レベルがアナログGNDレベルになるように設定されているため、第1のコンパレータ327から出力される信号のデューティはそのままでもほぼ所望のデューティとなっている。従って、上述の如く、次段のデューティ補正部329は、場合によっては不要である。
特開2001−352298号公報(第4−5頁、第1−5図)
しかしながら、例えば、ウェアラブルコンピュータ間や握手した場合の通信と、AC電源につながった機器にトランシーバの送受信電極を直接触れた場合の通信とでは電界強度が極端に異なる。即ち、人間がウェアラブルコンピュータ1及びトランシーバ3’’の組みを手に持っている場合は弱い電界しか誘起されないが、AC電源につながっている場合は、強い電界が誘起される。そのため、図6に示すアンプ311のゲインの設定によってはアンプ311後の信号振幅が、不図示のトランシーバ3’駆動用の電源電圧に近づく場合がある。電源電圧に近づくと、図8(a)に示すように、フィルタ313の出力波形が歪み、信号の周期に対して実際に信号を出力する時間の比率(デューティ)が、例えば、c:d=1:4に変動が生じる。この場合、パケット抽出部320によるパケット抽出動作においては、受信情報に係るパケットの存在が分かればよいために影響ないが、第1のコンパレータ327による情報(データ)抽出動作においては、図8(b)に示すようにデジタル出力波形が歪み、デューティ変動によって通信不能となる。
逆に、図8(a)に示すような波形の歪みを生じさせないために、アンプ311のゲインを下げると、パケット抽出部320が正常に動作しないため、受信情報に係るパケットの存在を判別できず、送受信判定部211による送受信の切り替えが困難になるという問題が生じる。
本発明は上述した事情を鑑みてなされたものであり、送信動作状態か受信動作状態かを判定して、送受信動作の択一的切り替えが可能なトランシーバであって、受信動作への切り替え判断のために受信情報のパケットを利用する場合において、このパケットの抽出が可能であると共に、前記受信情報(データ)の内容を正確に受信することが可能であるトランシーバを公開することを目的としたものである
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、送信すべき情報に基づいた電界を電界伝達媒体に誘起させる一方で、前記電界伝達媒体に誘起されている電界に基づいた情報を受信することにより、電界伝達媒体を介した情報の送受信が可能なトランシーバであって、前記送信すべき情報に基づいた電界を前記電界伝達媒体に誘起させる送信電極と、前記送信電極に前記送信すべき情報を供給する送信部と、前記電界伝達媒体に誘起されている電界を受信する受信電極と、前記受信電極で受信した電界を検出し、当該電界を受信情報として電気信号に変換する電界検出手段、前記電界検出手段から出力される電気信号を時間的に遅延させる遅延手段、前記電界検出手段により得た電気信号の波形のピークを保持し、所定の固定比較電圧と比較することにより、受信情報に係るパケットを抽出するパケット抽出部、及び、前記遅延手段からの出力信号と前記パケット抽出部からの出力信号とを比較する第1のコンパレータを有する受信部と、前記送信部に供給される送信情報または前記受信部からの出力信号に基づき送信動作または受信動作を判定し、この判定の結果、送信動作であると判定した場合には、前記送信部の送信動作を開始させるとともに前記受信部の動作を停止させるように制御し、送信動作でないと判定した場合には、前記送信部の動作を停止させるとともに前記受信部が受信動作を行い得るように制御する送受信判定部と、前記送信部と前記送信電極との間に接続され、前記送受信判定部が送信動作であると判定した場合には、前記送信部を前記送信電極に接続し、送信動作でないと判定した場合には、前記送信部を前記送信電極から切り離す第1のスイッチと、前記受信部の出力とその後段の入出力回路との間に接続され、前記送受信判定部が送信動作であると判定した場合には、前記受信部の出力を前記入出力回路から切り離し、送信動作でないと判定した場合には、前記受信部の出力を入出力回路に接続する第2のスイッチと、を有すると共に、前記受信部は、前記電界検出手段から出力される電気信号を、当該電気信号が歪んでデューティが変動しない範囲で増幅する第1の増幅手段と、前記第1の増幅手段によって増幅した電気信号のうち、前記遅延手段に供給されずに前記パケット抽出部に供給される電気信号を、更に増幅する第2の増幅手段と、を有することを特徴とするトランシーバである。
請求項2に係る発明は、前記第2の増幅手段は、前記第1の増幅手段によって増幅した電気信号のうち、前記遅延手段に供給されずに前記パケット抽出部に供給される電気信号を、当該電気信号が歪んでデューティが変動する状態まで増幅することが可能であることを特徴とする請求項1に記載のトランシーバである。
請求項3に係る発明は、前記受信部において、前記電界検出手段により得た電気信号の波形のピークを保持し、所定の固定比較電圧と比較することにより、受信情報に係るパケットを抽出するパケット抽出部に代えて、前記電界検出手段により得た電気信号を所定の固定比較手段と比較し、この比較して得た信号波形の開始時点から所定時間、所定レベルの信号を出力することにより、受信情報に係るパケットを抽出するパケット抽出部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のトランシーバである。
以上説明したように本発明によれば、電界検出手段により検出された電気信号を、第1のコンパレータによる情報(データ)抽出系で正常に動作するまで増幅する第1のアンプと、更に、パケット抽出部によるパケット抽出系ではデューティ変動が起きても、できるだけ振幅が大きくなるようにゲインを大きくするための第2のアンプを設けている。これにより、パケット抽出系が正常に動作すると同時に、データ系ではデューティ変動を抑えることができるため、電界強度が大きく変動しても他のトランシーバとの間で情報(データ)通信を正常に行うことができるという効果を奏する。
以下、図面を用いて、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」という)を説明する。尚、本発明の実施形態に係るトランシーバ3は、送信すべき情報に基づいた電界を電界伝達媒体(生体100等)に誘起させる一方で、電界伝達媒体に誘起されている電界に基づいた情報を受信することにより、電界伝達媒体を介した情報の送受信が可能なトランシーバである。
図1は、本実施形態に係るトランシーバ3の構成を示した構成図である。図2は、図1に示すトランシーバ3の受信部319のタイミング動作を示したタイミング図である。尚、図6に示す従来のトランシーバ3’と同一の構成については同一の符号を付するが、ここで改めて説明する。
本実施形態のトランシーバ3は、従来のトランシーバ3’と同様に、I/O(入出力)回路101、送信部103、送受信電極105、絶縁膜107、及び、受信部319を有する。但し、本実施形態の受信部319の構成は、従来の受信部319’の構成と異なっている。
このうち、I/O回路101は、トランシーバ3がウェアラブルコンピュータ1等の外部装置との情報(データ)の入出力を行う入出力回路である。送信部103は、I/O回路101から出力される情報(データ)に基づき、この情報に係る電界を生体100に誘起させる送信回路によって構成されている。送受信電極105は、送信部103により生体100に対して電界を誘起するために使用する電極であり、送信用アンテナとして使用される。絶縁膜107は、送受信電極105と生体100との間に配置する絶縁体の膜であり、送受信電極105が直接生体100に接触することを防ぐ役割を果たす。
また、送受信電極105は、生体100の他の部分に装着されているウェアラブルコンピュータ1及びトランシーバ3やPC5及びトランシーバ3’’a,3’’bから生体100に誘起されて伝達されてくる電界を受信するために使用する電極でもあり、受信用アンテナとしても使用される。尚、送受信電極105は、送信電極と受信電極に分けて使用してもよい。この場合、絶縁膜107も、送信用の絶縁膜と、受信用の絶縁膜に分けて使用してもよい。
更に、トランシーバ3においては、送受信電極105と送信部103との間に第1のスイッチ204が設けられ、受信部319とI/O回路101との間に第2のスイッチ213が設けられている。
また、トランシーバ3には、送信部103への電気信号と受信部319からの電気信号を入力して、送信動作状態か受信動作状態かを判定し、その判定結果を送信部103、第1のスイッチ204、受信部319、及び第2のスイッチ213にそれぞれ出力するための送受信判定部211が設けられている。
そして、この送受信判定部211は、送信部103に供給される送信情報または受信部319からの出力信号に基づいて、送信動作状態または受信動作状態かを判定し、この判定により、送信動作状態であると判定した場合には、送信部103の送信動作を開始させるとともに受信部319の動作を停止させるように制御する。また、送受信判定部211が、送信動作状態でないと判定した場合には、送信部103の動作を停止させるとともに受信部319が受信動作を行い得るように制御する。また、送受信判定部211が送信動作状態でないと判定した状態において受信動作状態でもないと判定した状態が所定時間以上継続した場合には、受信部319を待ち受け状態に設定するように制御する。
また、第1のスイッチ204は、アナログスイッチで構成されてもよいものであり、送受信判定部211が送信動作状態であると判定した場合には、送信部103を送受信電極105に接続し、送信動作状態でないと判定した場合には、送信部103を送受信電極105から切り離すように動作する。また、第2のスイッチ213は、アナログスイッチで構成されてもよいものであり、送受信判定部211が送信動作状態であると判定した場合には、受信部319を入出力回路101から切り離し、送信動作状態でないと判定した場合には、受信部319を入出力回路101に接続するように動作する。
次に、図1に示す受信部319について説明する。
受信部319は、送受信電極105で受信した電界を不図示の電気光学結晶に結合(印加)して電気信号に変換する電界検出光学部110、この電界検出光学部110の電気信号出力を増幅する増幅手段である第1のアンプ11、この第1のアンプ11から出力される信号の雑音を除去するフィルタ313、このフィルタ313から出力される信号を時間的に遅延させる遅延手段であるディレイ325、上記フィルタ313から出力される信号の波形のピークを保持するような出力信号(すなわち信号波形のエンベロープをなぞったような出力信号)を生成するピークホールド321、上記フィルタ313からピークホールド321に入力される電気信号を増幅する増幅手段である第2のアンプ12、ピークホールド321から出力される信号を所定の固定比較電圧と比較する第2のコンパレータ323、上記ディレイ325からの出力信号と第2のコンパレータ323からの出力信号とを比較する第1のコンパレータ327、およびこの第1のコンパレータ327から出力される信号のデューティを補正するデューティ補正部329によって構成されている。
尚、ピークホールド321と第2のコンパレータ323によって、パケット抽出部320を構成している。また、第1のアンプ11は、電界検出光学部110から出力される電気信号を、この電気信号が歪んでデューティが変動しない範囲で増幅する。
更に、第2のアンプ12は、第1のアンプ11によって増幅した電気信号のうち、上記ディレイ325に供給されずにパケット抽出部320に供給される電気信号を、更に増幅する。この場合、電気信号が歪んでデューティが変動する状態まで増幅してもよい。
このように構成される受信部319は、受信信号のパケットのない時のアナログGNDレベル付近に存在するノイズを適確に除去し、デジタルGNDレベルに対して高レベルと低レベルを明確にするとともに、またデューティを適正に補正した受信信号を出力するものであり、更にノイズ除去機能を適確にすることができる。但し、第1のコンパレータ327からは既にデューティが適正な値になった受信信号が出力されるようになっているため、場合によってはデューティ補正部329はなくてもよい。
次に、図2に示すタイミング図を参照して、図1に示すトランシーバ3の受信部319の動作について説明する。
受信部319において、電界検出光学部110からの出力信号は第1のアンプ11で増幅してから、フィルタ313で雑音を除去され、例えば図2(a)に示すようなアナログ信号としてフィルタ313から出力され、ここから分岐してディレイ325および第2のアンプ12に供給される。第1のアンプ11で増幅されてからフィルタ313を通過した電気信号は、図2(a)に示すように、デューティが、a:b=1:1の関係となっている。
次に、第2のアンプ12では、更に電気信号を増幅して、例えば図2(b)に示すようなアナログ信号として、ピークホールド321に供給する。第2のアンプ12から出力された電気信号の振幅Bは、フィルタ313から出力された電気信号の振幅Aよりも大きい。しかも、第2のアンプ12から出力された電気信号の波形が歪み、デューティが、c:d=1:4の関係となっている。
次に、ピークホールド321は、第2のアンプ12からの出力信号波形のピークを保持するような信号(すなわち第2のアンプ12の出力信号波形のエンベロープをなぞるような信号)を生成して、例えば図2(c)に示すような信号を出力する。このピークホールド321の出力信号は、第2のコンパレータ323に供給され、所定の固定比較電圧と比較される。この固定比較電圧は、図2(c)に示すようにアナログGNDレベルよりも高く、ピークホールド321の出力信号の中程のレベルに設定されている。
従って、第2のコンパレータ323において、ピークホールド321の出力信号と固定比較電圧とを比較した結果、第2のコンパレータ323からは図2(d)に示すような矩形電圧が出力され、この矩形電圧は第1のコンパレータ327の矩形型比較電圧として供給される。この第2のコンパレータ323から出力される比較電圧は、高レベルがアナログGNDレベルになるように設定されている。
なお、ピークホールド321において、第2のアンプ12の出力信号の波形のエンベロープをなぞるような信号を生成することにより、アナログGNDレベル付近に存在するノイズはほぼ完全に除去される。また第2のコンパレータ323における比較において使用される比較電圧はアナログGNDレベルよりも高い電圧に設定されているため、これによってもアナログGNDレベル付近に存在するノイズを除去し得るような矩形型比較電圧を生成することができる。
第1のコンパレータ327は、フィルタ313からディレイ325を通って、ピークホールド321と第2のアンプ12及び第2のコンパレータ323との遅延分に相当する遅延を受けた信号(受信信号)と、第2のコンパレータ323からの図2(d)に示す矩形型比較電圧とを図2(e)に示すように比較する。なお、この比較では、矩形型比較電圧の高レベルは上述したようにアナログGNDレベルに設定され、このアナログGNDレベルで受信信号と比較し、第1のコンパレータ327からは、図2(f)に示すようなデジタル出力信号が生成される。
この第1のコンパレータ327からの出力信号は、デューティ補正部329においてデューティを所望の例えば1:1の等間隔の適正なデューティに補正されて出力され、第2のスイッチ213、入出力回路101を介して信頼性の高いデータとしてウェアラブルコンピュータ1などに供給される。
なお、第1のコンパレータ327での受信信号と矩形型比較電圧との比較では、矩形型比較電圧の高レベルがアナログGNDレベルになるように設定されているため、第1のコンパレータ327から出力される信号のデューティはそのままでもほぼ所望のデューティとなっている。従って、上述の如く、次段のデューティ補正部329は場合によっては不要である。
以上説明したように本実施形態によれば、電界検出光学部110により検出された電気信号を、第1のコンパレータ327による情報(データ)抽出系で正常に動作するまで増幅する第1のアンプ11と、更に、パケット抽出部320によるパケット抽出系ではデューティ変動が起きても、できるだけ振幅が大きくなるようにゲインを大きくするための第2のアンプ12を設けている。これにより、パケット抽出系が正常に動作すると同時に、データ系ではデューティ変動を抑えることができるため、電界強度が大きく変動しても他のトランシーバとの間で情報(データ)通信を正常に行うことができる。
尚、上記実施形態では、パケット抽出部320として、ピークホールド321及び第2のコンパレータ323を用いたが、これに限るものではなく、図3に示すパケット抽出部330のように、第2のアンプ12の出力を第2のコンパレータ331に供給させ、この第2のコンパレータ331の出力をワンショットマルチ333に供給させるようにしてもよい。この場合の第2のコンパレータ331は、上記第2のコンパレータ323と同様に、所定の出力信号を所定の固定比較電圧と比較するものであるが、この場合の所定の出力信号は、第2のアンプ12の出力信号である。
本発明の一実施形態に係るトランシーバ3の全体構成図。
図1に示す実施形態にトランシーバ3の作用を示すタイミング図。
本実施形態の変形例を示した図。
人体(生体100)を介して複数のウェアラブルコンピュータ間通信を行う場合のイメージ図。
従来のトランシーバ3’’の全体構成図。
従来のトランシーバ3’の全体構成図。
従来のトランシーバ3’の作用を示すタイミング図。
従来のトランシーバ3’の作用を示すタイミング図。
符号の説明
1 ウェアラブルコンピュータ
3 トランシーバ
3’ 従来のトランシーバ
3’’ 従来のトランシーバ
11 第1のアンプ
12 第2のアンプ
100 生体
101 I/O回路
103 送信部
105 送受信電極
107 絶縁膜
110 電界検出光学部
204 第1のスイッチ
211 送受信判定部
213 第2のスイッチ
313 フィルタ
320 パケット抽出部
321 ピークホールド
323 第2のコンパレータ
325 ディレイ
327 第1のコンパレータ
329 デューティ補正部
330 パケット抽出部
331 第2のコンパレータ
333 ワンショットマルチ