JP3909697B2 - 図面認識方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、文字と記号が混在した図面の新規な図面認識方法とその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特許第3064334号公報
【特許文献2】
特公平3-63106号公報
【特許文献3】
特公平6-24017号公報
【非特許文献1】
永野他:視覚系の情報処理、啓学出版、pp247-262
【非特許文献2】
中川聖一:情報科学コアカリキュラム、パターン情報処理、丸善、平成11年3月、pp239-251
【非特許文献3】
岩波ソフトウエア講座16、認識と学習、1989年2月、p344
【非特許文献4】
M. Seul、et.al:Practical Algorithms for Image Abalysis、Cambridge Press、2000年、pp106
【非特許文献5】
新コンピュータサイエンス講座、パターン情報処理、第3章、オーム社、平成10年4月、pp41-70
【非特許文献6】
早乙女:Yacc/Lex、プログラムジェネレータとしてのUnix、啓学出版、1992年7月、pp53-70
【非特許文献7】
パターン情報処理、丸善、平成11年3月、pp181-187
【非特許文献8】
荒木他:ISO 10303-227を用いたプラント3次元CADシステムのデータ交換実証実験、CALS/EC Japan 1999論文集、1999年11月
【0003】
従来、文字と記号が混在する図面の認識方法としては、特許文献1に見られるように、人手により図面中の各部分に対して人手を介しながら、図面の線分や円などの部分ごとにグループ化処理と、その部分が全体として、文字なのか記号なのか、などの指定を行いながら、認識を行うものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に見られるように、人手によるグループ化処理は、大きな図面に対しては、大変手間がかかり、また、見落としの原因ともなる。
本発明の目的は、文字領域の見落としを減らし、記号及び文字の誤認識を減らすことができ、人手によるグループ化処理を最低限にとどめて図面を認識する図面認識方法及びその装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、図面全体を文字、記号及び配管線による画像として入力するステップと、文字認識部及び記号・配管線認識部で個別に前記文字及び記号を認識するステップと、該認識された前記文字と記号、記号と記号との相対的位置関係から前記文字及び記号の有無を認識文字情報記憶部及び図面データ記憶部に記憶された情報をもとに判定するステップと、文字−記号・配管線配置知識記憶部の配置知識をもとに前記文字及び記号を文字局所認識部及び記号配管線局所認識部において局所的に再認識するステップと、
該再認識結果から文字−記号・配管線マッピング情報記憶部及び記号配管線接続情報記憶部において前記文字が記号の装置番号の属性を説明している場合の対応関係や前記文字が配管線の系統番号、材質、使用圧力及び温度の少なくとも1つの属性を説明している場合の対応関係を前記文字−記号・配管線配置知識記憶部の配置知識をもとに前記文字がどの前記記号及び配管に対応しているかを判定し記憶するステップと、又は、
該再認識結果から前記文字−記号・配管線配置知識記憶部の配置知識をもとにそれぞれの前記記号及び配管線がどの前記記号及び配管線と接続しているかを判定し記憶するステップと、
該判定の結果をCAD変換・格納処理部において特定のCADのデータ形式に変換し変換CADデータ格納部に格納するステップとを有することを特徴とする図面認識方法にある。
【0006】
又、本発明は、図面全体を文字、記号及び配管線による画像として入力する図面データ記憶部と、
文字−記号・配管線配置知識を記憶する文字−記号・配管線配置知識記憶部と、文字認識部及び記号・配管線認識部で個別に認識された前記文字と記号、記号と記号との相対的位置関係をもとに前記文字及び記号の有無を判定する認識文字情報記憶部及び図面データ記憶部と、前記文字−記号・配管線配置知識記憶部の配置知識をもとに前記文字及び記号を局所的に再認識し直す文字−記号・配管線配置知識記憶部及び記号配管線局所認識部と、該再認識結果を前記文字が記号の装置番号の属性を説明している場合の対応関係と前記文字が配管線の系統番号、材質、使用圧力及び温度の少なくとも1つの属性を説明している場合の対応関係とを前記文字−記号・配管線配置知識記憶部の配置知識をもとに前記文字がどの前記記号及び配管に対応しているかを判定し記憶する文字−記号・配管線マッピング情報記憶部及び記号配管線接続情報記憶部と、又は、
文字認識部及び記号・配管線認識部で個別に認識された前記文字と記号、記号と記号との相対的位置関係をもとに前記文字及び記号の有無を判定する認識文字情報記憶部及び図面データ記憶部と、文字−記号・配管線配置知識記憶部の配置知識をもとに記号と配管線を局所的に再認識する記号配管線局所認識部と、該再認識結果から前記文字−記号・配管線配置知識記憶部の配置知識をもとに、それぞれの前記記号及び配管線がどの前記記号と配管線とに接続しているかを判定する記号配管線接続判定処理部と、その結果を記憶する記号配管線接続情報記憶部と、
該判定結果をCADデータ形式に変換するCAD変換・格納処理部と、該変換されたCADデータを格納する変換CADデータ格納部とを有することを特徴とする図面認識装置にある。
【0007】
具体的には、本発明は、文字−記号・配管線配置知識記憶部において文字−記号・配管線配置知識を用意することにより、文字認識、記号・配管線認識部において、個別に認識された文字と記号、記号と記号との相対的位置関係に矛盾がないか、見落とした文字や記号はないかを、認識文字情報記憶部及び図面データ記憶部に記憶された1次認識結果をもとに判定する。文字−記号・配管線配置知識記憶部の配置知識をもとに、再度相対的位置から、存在すべき位置にある文字、記号を局所的に再度認識し直す処理を文字−記号・配管線配置知識記憶部、記号配管線局所認識部において行う。あらたな記号や文字が見つかれば、その位置情報をもとに、新たな記号がある位置にないかを文字−記号・配管線配置知識記憶部、記号配管線局所認識部において再度局所処理する。
【0008】
文字認識でも、記号認識でも、このような限られた領域、及び記号や文字の種類が限られた範囲で、認識処理実施することにより、認識精度を大幅に向上させることができる。又、この認識結果をもとに、文字−記号・配管線マッピング情報記憶部、記号配管線接続情報記憶部において、文字-記号及び配管線の対応関係(文字が記号の装置番号などの属性を説明している場合)や、記号と配管線の対応関係(文字が配管線の系統番号、材質、使用圧力・温度などの属性を説明している場合)を前記文字−記号・配管線配置知識記憶部の配置知識をもとに、文字がどの記号や配管に対応しているかを、文字−記号・配管線配置知識記憶部の配置知識をもとに判定し記憶する。これにより、文字と記号との対応関係、文字、記号の接続関係を含めた認識処理を高い精度で自動的に行うことができ、この結果を特定のCADのデータ形式にCAD変換・格納処理部において変換し、変換CADデータ格納部にこの結果を格納する。
【0009】
又、本発明は、図面全体を文字、記号及び配管線による画像として入力し、文字認識部及び記号・配管線認識部で個別に前記文字及び記号を認識すると共に、該認識された前記文字と記号、記号と記号との相対的位置関係から前記文字及び記号の有無を認識文字情報記憶部及び図面データ記憶部に記憶された情報をもとに判定し、次いで文字−記号・配管線配置知識記憶部の配置知識をもとに前記記号配管線局所認識部において局所的に再認識し、該再認識結果から前記記号と記号、配管と記号及び配管と配管との対応関係(配管と記号との接続関係)を前記文字−記号・配管線配置知識記憶部の配置知識をもとにそれぞれの前記記号及び配管線がどの前記記号及び配管線と接続しているかを判定し記憶する。更に判定の結果を前述のように格納する。
【0010】
尚、本発明は、再認識処理を自動的に行うものであり、文字局所認識処理部及び記号配管線局所認識処理部には自動的な処理手段設けられている。
【0011】
本発明により、文字と記号とが混在した設計図面を、文字と記号との対応関係、記号と記号との接続関係を含めて精度よく認識することができ、又文字領域の見落としを減らし、記号及び文字の誤認識を減らすことができ、人手によるグループ化処理を最低限にとどめて図面を認識することができる。更に、相対的位置関係から、ありえる文字の種類を限定できるので、文字及び記号の誤認識を減らすことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の配管計装線図の例を示すシステム構成図である。図面入力部1から、図面データを取り込む。取り込まれたデータは、図面データ記憶部2において記憶され、文字認識部3において図面中の文字が認識される。一方、記号・配管線認識部11において、図面中の記号や配管線、引き出し線が認識される。認識文字情報記憶部4は、文字認識部3において認識された文字の種類、位置、大きさの情報を格納する。認識記号配管線情報記憶部12は、記号・配管線認識部11において認識された記号及び配管線の種類、位置の情報を格納する。文字−記号・配管線配置知識記憶部8には、文字と記号との間の相互の位置関係の知識が予め格納されている。
【0013】
文字局所記憶部5には、文字−記号・配管線配置知識記憶部8において記憶されている文字と記号との相互の位置関係と、記号・配管線認識部11に格納されているこれまでに認識された記号の種類と位置との関係を用いて、すでに認識された記号相互との位置関係から認識されるべき位置にすでに文字が認識されているかどうかを判定し、もし、まだ文字が認識されていなければ、文字局所認識部5の知識に基づいて、文字があるべき領域を局所的に切り取って自動的に認識処理が実行され、その結果を認識文字情報記憶部4に追加・格納する。
【0014】
同様にして、記号配管線局所認識処理部13には、すでに認識し認識文字情報記憶部4に格納された文字の種類と位置をもとに、文字−記号・配管線配置知識記憶部8に格納された知識を用い、もし、認識記号配管線情報記憶部12に格納されていないが、文字−記号・配管線配置知識記憶部8に格納された知識では、記号があると推定される記号があれば、その記号を局所的に自動的に認識処理され、結果を認識記号配管線情報記憶部12に格納する。
【0015】
次に、認識文字情報記憶部4と認識記号配管線情報記憶部12に格納された全体の文字と記号の認識結果をもとに文字−記号・配管線配置知識記憶部8に格納された文字−記号・配管線配置知識を利用して、文字と記号との関連づけを実行し、文字―記号・配管線マッピング情報格納部7に処理結果を格納する。
【0016】
記号配管線接続判定処理部14では、認識記号配管線情報記憶部12に格納された・記号配管線の種類と位置関係をもとに接続関係を類推し、記号配管線接続情報格納部15に格納する。
【0017】
最後にCAD変換格納部9において、認識文字情報記憶部4、文字―記号・配管線マッピング情報格納部7、認識記号配管線情報記憶部12、記号配管線接続情報格納部15に格納された認識結果を所定のCADの形式に変換し、変換CADデータ格納部10に格納する。
【0018】
図2は図1のシステムの認識処理手順を示すフロー図、及び図3は認識対象となる配管計装線図の例である。図3の処理を例にとり図2の処理手順に従って詳細に発明の内容を説明する。図3の点線の矩形で囲った部分は個別の記号領域を示したもので、例えば、符号34はゲート弁である。また、太い実線は主プロセス配管を示す配管線39を示し、31と33の領域を結ぶ点線は電気信号線40を示している。この図3のイメージデータを図1の図面入力部1によって実施される図2の図面データ読み込み処理21により図1の図面データ記憶部2に格納する。
【0019】
この処理は紙をスキャナから読み込みビットマップやtiff形式などの画像フォーマットの形式に格納する処理であるが、予めイメージデータが計算機の記憶媒体上に保存されている場合は、以後の処理が前提としている画像フォーマットへの変換処理も含むものとする。仮に以後の説明では、ビットマップ形式の画像フォーマットで格納された図面データに変換したものが、図1の図面データ記憶部2に格納されるとする。
【0020】
次に、図1の文字認識部3において、図2の文字認識処理3が実行される。この処理においては、図面データ格納部において記憶された図面データ全体に対して処理がなされる。その方法は、ニューラルネットを用いた非特許文献1、幾何学的特徴抽出を用いた非特許文献2などで知られており、これらの1つを用いるものとする。文字認識の結果は、図1の認識文字情報記憶部4に格納される。
【0021】
図6は、認識文字記憶部に格納される情報のフォーマットの例を示したもので、認識処理順についた文字領域Idと、向き、開始文字位置、認識された文字のフォントサイズ、認識された文字列からなる。ここでは、「向き」は、水平方向とそれを反時計周りに90度回転させた垂直方向のみを扱うものとする。
【0022】
図8は、開始位置の定義を示したもので、文字認識領域は、図に示すような矩形領域として認識され、開始位置は、矩形領域の左上隅となる。文字認識領域は、この開始位置と、フォントサイズ、及び認識された文字列の文字数から図6の情報を用いて計算できる。ところが、図6の表をみると、図3の領域35に記述されているPVと001の文字が認識されていない事がわかる。これは、これらの文字を囲っている円との干渉で、文字として認識されなかったためである。また、領域38にあるGの文字が線との干渉のためQと誤認識されていることがわかる。文字種を増やすなどの文字認識処理のチューニングを行うと文字領域としては認識される場合があるが、今度は、文字でないところを文字と認識したり、間違った文字として認識してしまう場合があり、そのチューニングは、従来きわめて困難であった。
【0023】
次に図1の記号・配管線認識処理部11において、図2の記号配管線認識処理23が実施される。記号の2次元パターン認識の方法としては、ニューラルネットを用いた方法の非特許文献3、テンプレート照合法の非特許文献4、幾何学的特徴抽出法の非特許文献5などがあるが、ここでは、テンプレートパターンを照合する方法をもとに説明する。
【0024】
図7は、記号配管線認識処理部11を詳細にしたもので、個別パターン類似度評価部111、記号配管線パターン記憶部112、パターン認識決定部113からなる。
【0025】
図5は、記号配管線パターン記憶部112に記憶されている記号配管線パターンの例を示したもので、図面中に現れる記号をビットマップのパターンとして記憶しておき、個別パターン類似度評価部111において、図面全体に対して、それぞれのパターンに対して、図5で定義された記号領域パラメータの領域範囲の座標を順次スキャンニングしていき、パターンを照合する。ただし、主プロセス配管、電気信号線、計装用空気配管線については、例えば、水平方向と垂直方向のように方向が限定されている場合は、その方向ごとの一定の長さのパターンを用意しておきその方向に順次スキャンニングすることで、一本の線とみなし、端点を見出す事ができる。
【0026】
この例では、垂直と水平方向に限定されている。また、方向が一定でない場合は、ハフ変換の手法で見つけることができる。もし、照合度がある閾値より高い場合があれば、照合位置を記号領域パラメータの座標として記憶しておく。パターン認識決定部113の処理は、認識された記号が領域的に重なる場合に、優先度に従って、どちらの記号として認識されるかを決定する処理である。この結果は、図1の記号・配管線情報記憶部12に記憶される。
【0027】
図9は、図1の認識記号・配管線情報記憶部12に記憶される記号・配管線情報のデータの例を示す図である。図9に示すように、処理結果は、記号IDと図5に登録された記号種別、及び図5に記号種別ごとに定義された領域パラメータを認識位置に対して格納する。この図9のように、信号端は最初の認識では認識されていない。これは、記号が小さく、文字Cとの干渉の影響のためである。
【0028】
次に、これまで、文字と記号との相互の干渉のために読み落とされていたものを認識するために、文字と記号それぞれについて局所的な認識処理を実行する。
【0029】
局所的な認識処理とは、これまでの認識処理結果として図1の認識文字情報記憶部4と認識記号配管線情報記憶部12に記憶されている文字と記号の位置をもとに、図1の文字−記号・配管線配置知識記憶部8に記憶された文字-記号・配管線配置知識を用いて、認識された文字または、記号との位置関係で定まった特定の領域の文字や記号を認識処理するプロセスである。
【0030】
図4は、文字-記号・配管線配置知識の例を示す図である。記号種別に、記号に対して付随している関連文字領域の数と、その領域の相対的な位置が記述されている。相対的位置の定義は、この例では、図5、記号配管線パターン記憶部112に記憶されている記号・配管線パターンの情報の中の、記号領域定義パラメータの第一要素の座標に対する相対位置で記述されている。例えば、図9に示したように現場設置計装器が(28,13),3((28,13)の位置に半径3で認識された)とすると、図4から2つの文字領域((27,20)及び、(27,16))を開始点とする文字領域を局所認識する。これが、図2の文字局所認識処理24である。この際の文字領域となる矩形領域の大きさは、最初、図4に示すように領域ごとに予め定義された標準的なフォントの大きさ(標準フォント)と標準文字数により決定する。もし、もともと、この定義された関連文字認識領域に文字が認識され、図1の認識文字情報記憶部4に格納されていても再度、その関連文字領域の処理を実行する。また、この場合のように、図9の記号領域Id5、現場設置計装器に対する関連文字領域1、2に該当する文字列については、局所認識処理の結果、円や線などの記号による干渉がないため、高精度に認識が可能となる。その結果、関連領域1には、001が、関連領域2には、PVが認識され、図1の認識文字情報記憶部4に、追加、格納される。
【0031】
図10は、文字局所認識処理後の認識文字格納部に格納されたデータで、局所認識処理の結果は、初めの処理結果に追加されるため、多くは、同じ位置で同じ文字の認識結果となるが、Id17、18は、局所認識の結果、追加されたものである。又、図10の文字領域Id12は、Id4と同じ個所を局所的に再認識した結果、正しく300A−GS−11と認識されている。次に図2の記号・配管線局所認識処理25が、図1の記号・配管線局所認識処理部13において実行される。図1の文字-記号・配管線認識知識8に記憶された例の図4の中で、各領域にパターンの欄がある。これを用いて、認識された文字から逆に記号を認識する。図4を見ると記号種別、信号端に対して文字領域1にパターンとして"C"が記述されている。これは、必ず、この文字領域にはCという文字が入ることを示している。パターンとしては、このうような具体的なもののほかに、英文字が4文字で次にハイフンで次に数字が3文字、のようなパターンがある。これは、非特許文献6にあるLexの文字パターンで定義することができる。[a-A][a-A][a-A][a-A]"-"[0-9][0-9][0-9]のように「英文字が4文字で次にハイフンで次に数字が3文字」のパターンは記述することができる。
【0032】
この実施例の場合は、図10のId8及び16に、信号端の文字領域パターンであるCが認識されている。ただし、この2つは、まったく同じ位置、同じ文字列なので、同一のものと判断され、処理は1度だけ行う。図4には、信号端に対する文字領域1の開始位置は、(−1,-1)となっている。すると、逆に、文字の認識位置の座標から(-1,-1)した位置に記号端子があると推定される。従って、図10のId16の認識位置(3,15)から、(2,14)の近辺に信号端記号があると推定される。認識文字を消去した上で、この位置から、予め設定した誤差、例えば、+−1の範囲を、信号端記号のパターンと照合する。その際、照合の閾値は、当初、全体をスキャンした際よりも低くする。これは、特定の記号があると限定されているためである。(3,14)を左上の端点とする矩形領域に信号端記号が認識される。このように、初め、認識されなかった記号が認識されるのは、文字との干渉を省き、認識の際の照合度の閾値を低くし、さらに、ほかの記号との競合がないためである。その結果は、図1の認識記号・配管線情報記憶部12に追加・記憶され、その結果は、図11の記号配管線局所認識処理部において認識された結果を追加した後の認識記号・配管線情報に示すようになる。
【0033】
次に、図1の文字-記号/配管線マッピング処理部7において、図2の文字-記号/配管線マッピング処理28を実行する。図10及び図11の格納された文字と記号との認識結果をもとに、図4に記述された文字と記号との配置の座標の対応関係を利用して、局所認識の結果を優先して、設定する。
【0034】
図12は文字−記号・配管線マッピング情報記憶部に記憶される情報の例を示す図である。図12には、各記号領域Idの対して関連している文字領域のIdが表形式で登録されており、例えば、現場設置計器として認識された記号領域5の関連領域1には、文字領域18の文字列PVが、関連領域2には、文字列001が認識されている。
【0035】
次に、図1の記号配管線接続判定処理部14において、記号配管線の接続関係が判定される。これは、図11のように認識され格納された記号の配置情報をもとに、基本的には領域の重なっている部分や、配管線の端点が一致しているか、近傍にあるものを接続していると推定する処理で、たとえば、特許文献2及び特許文献3に記述されているように、仮に線を延長して接続した場合とそうでない場合のもっともらしさをある指標で判定する方法で処理することができる。また、この例の場合のような配管属性を配管と引き出し線で結んでいるような場合には、例えば非特許文献7にあるハフ変換を用いて、斜線となっている引き出し線の端点を抽出し、これが、どの配管線の線上に近いかを見て、配管属性がどの配管線と結合しているかを判定することができる。その際、記号・配管線接続判定処理部で用いる記号・配置線の接続知識を示す図13に示したような、記号の種類ごとの接続しうる記号の種類と接続の際の位置関係の知識を図1の文字−記号・配管線配置知識記憶部8に格納することにより精度を上げることができる。
【0036】
図13の例では、グローブ弁は、境界辺中心で、位置指示付きダイヤグラム操作と接続し、接続の種類は、操作計測であることを示している。境界辺中心とは、図5に例示された記号パターンそれぞれに定義された記号領域の境界のどれかの線分の中心点で接続するという意味である。また、接続位置が境界線というのは、図5の記号パターンで定義された記号領域の境界線上での接続という意味である。また、接続種名が、操作計測であるとは、操作・計測のための電気信号で接続していることを示している。他の接続種名としては、プロセス(プロセス配管)での接続と、引出し線がある。最終的な記号・配管線接続判定結果は、図14に示すようなデータとして図1の記号配管線接続情報登録部15に登録される。
【0037】
最後に、図1の認識文字情報記憶部4、認識記号配管線情報記憶部12、文字−記号・配管線マッピング情報記憶部7、記号配管線接続情報格納部15に格納された、文字、記号、配管線の認識位置情報と、相互の接続情報をもとに、図1のCAD変換・格納処理部9において、規定のCADデータのフォーマットに変換し、図1のCADデータ変換部10にその結果が格納される。この処理は、たとえば、非特許文献8にあるような、既存のDB相互の変換処理を行うものである。
【0038】
以上、本実施例によれば、初期に認識された文字や記号の配置情報をもとに、配置知識を用いて、局所的な文字認識・記号認識を行うので、文字の見落としや、記号の見落としを減らすことができる。更に、相対的位置関係から、ありえる文字の種類を限定できるので、文字及び記号の誤認識を減らすことができる。
【0039】
又、本実施例により、局所的に文字の種類と記号の種類が限定された条件で、記号と記号との配置関係を知識として利用し、局所的に文字及び記号の種類が限定された条件で再認識処理することにより、文字や記号の見落とし、認識もれや、誤認識率を顕著に減らすことができる。
【0040】
更に、本実施例によれば、文字と記号が混在した図面を、個別の文字や記号の認識だけでなく、文字と記号の説明関係、記号と記号との間の接続関係など、図中の各認識要素間の関係をも自動認識することができる。
【0041】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、初期に認識された文字や記号の配置情報をもとに、配置知識を用いて、局所的な文字認識・記号認識を行うので、文字の見落としや、記号の見落としを減らすことができる。更に、相対的位置関係から、ありえる文字の種類を限定できるので、文字及び記号の誤認識を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 配管計装の例を示す本発明のシステム構成図。
【図2】 図1のシステムを実行する処理フロー図。
【図3】 本発明が処理の対象とする図面の例を示す構成図。
【図4】 文字−記号・配管線配置知識の例を示す図。
【図5】 記号−配管線パターンの例を示す図。
【図6】 認識文字情報記憶部におけるデータの例を示す図。
【図7】 記号・配管線認識部の詳細な処理フロー図。
【図8】 文字領域の説明図。
【図9】 認識記号−配管線認識結果の例を示す図。
【図10】 文字局所認識の結果を追加した後の認識文字情報記憶部に記憶されたデータの例を示す図。
【図11】 記号配管線局所認識処理部において認識された結果を追加した後の認識記号・配管線情報の例を示す図。
【図12】 文字−記号・配管線マッピング情報記憶部に記憶される情報の例を示す図。
【図13】 記号・配管線接続判定処理部で用いる記号・配置線の接続知識の例を示す図。
【図14】 記号・配管線接続認識結果の例を示す図。
【符号の説明】
1…図面入力部、2…図面データ記憶部、3…文字認識部、4…認識文字情報記憶部、5…文字局所記憶部、6…文字−記号・配管線マッピング判定処理部、7…文字−記号・配管線マッピング情報記憶部、8…文字−記号・配管線配置知識記憶部、9…CAD変換格納部、10…変換CADデータ格納部、11…記号・配管線認識部、12…認識記号配管線情報記憶部、13…記号配管線局所認識処理部、14…記号配管線接続判定処理部、15…記号配管線接続情報格納部、39…配管線、40…電気信号線、111…個別パターン類似度評価部、112…記号配管線パターン記憶部、113…パターン認識決定部。
Claims (4)
- 図面全体を文字、記号及び配管線による画像として入力するステップと、文字認識部及び記号・配管線認識部で個別に前記文字及び記号を認識するステップと、該認識された前記文字と記号、記号と記号との相対的位置関係から前記文字及び記号の有無を認識文字情報記憶部及び図面データ記憶部に記憶された情報をもとに判定するステップと、文字−記号・配管線配置知識記憶部の配置知識をもとに前記文字及び記号を文字局所認識部及び記号配管線局所認識部において局所的に再認識するステップと、該再認識結果から文字−記号・配管線マッピング情報記憶部及び記号配管線接続情報記憶部において前記文字が記号の装置番号の属性を説明している場合の対応関係や前記文字が配管線の系統番号、材質、使用圧力及び温度の少なくとも1つの属性を説明している場合の対応関係を前記文字−記号・配管線配置知識記憶部の配置知識をもとに前記文字がどの前記記号及び配管に対応しているかを判定し記憶するステップと、該判定の結果をCAD変換・格納処理部において特定のCADのデータ形式に変換し変換CADデータ格納部に格納するステップとを有することを特徴とする図面認識方法。
- 図面全体を文字、記号及び配管線による画像として入力するステップと、文字認識部及び記号・配管線認識部で個別に前記文字及び記号を認識するステップと、該認識された前記文字と記号、記号と記号との相対的位置関係から前記文字及び記号の有無を認識文字情報記憶部及び図面データ記憶部に記憶された情報をもとに判定するステップと、文字−記号・配管線配置知識記憶部の配置知識をもとに前記文字及び記号を文字局所認識部及び記号配管線局所認識部において局所的に再認識するステップと、該再認識結果から前記文字−記号・配管線配置知識記憶部の配置知識をもとにそれぞれの前記記号及び配管線がどの前記記号及び配管線と接続しているかを判定し記憶するステップと、該判定の結果をCAD変換・格納処理部において特定のCADのデータ形式に変換し変換CADデータ格納部に格納するステップとを有することを特徴とする図面認識方法。
- 図面全体を文字、記号及び配管線による画像として入力する図面データ記憶部と、文字−記号・配管線配置知識を記憶する文字−記号・配管線配置知識記憶部と、文字認識部及び記号・配管線認識部で個別に認識された前記文字と記号、記号と記号との相対的位置関係をもとに前記文字及び記号の有無を判定する認識文字情報記憶部及び図面データ記憶部と、前記文字−記号・配管線配置知識記憶部の配置知識をもとに前記文字及び記号を局所的に再認識し直す文字−記号・配管線配置知識記憶部及び記号配管線局所認識部と、該再認識結果を前記文字が記号の装置番号の属性を説明している場合の対応関係と前記文字が配管線の系統番号、材質、使用圧力及び温度の少なくとも1つの属性を説明している場合の対応関係とを前記文字−記号・配管線配置知識記憶部の配置知識をもとに前記文字がどの前記記号及び配管に対応しているかを判定し記憶する文字−記号・配管線マッピング情報記憶部及び記号配管線接続情報記憶部と、該判定結果をCADデータ形式に変換するCAD変換・格納処理部と、該変換されたCADデータを格納する変換CADデータ格納部とを有することを特徴とする図面認識装置。
- 図面全体を文字、記号及び配管線による画像として入力する図面データ記憶部と、文字認識部及び記号・配管線認識部で個別に認識された前記文字と記号、記号と記号との相対的位置関係をもとに前記文字及び記号の有無を判定する認識文字情報記憶部及び図面データ記憶部と、文字−記号・配管線配置知識記憶部の配置知識をもとに記号と配管線を局所的に再認識する記号配管線局所認識部と、該再認識結果から前記文字−記号・配管線配置知識記憶部の配置知識をもとに、それぞれの前記記号及び配管線がどの前記記号と配管線とに接続しているかを判定する記号配管線接続判定処理部と、その結果を記憶する記号配管線接続情報記憶部と、前記判定結果をCADのデータ形式に変換するCAD変換・格納処理部と、該変換されたCADデータを格納する変換CADデータ格納部とを有することを特徴とする図面認識装置。
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