JP3909611B2 - 油浸ソリッド電力ケーブル - Google Patents
油浸ソリッド電力ケーブル Download PDFInfo
- Publication number
- JP3909611B2 JP3909611B2 JP02320897A JP2320897A JP3909611B2 JP 3909611 B2 JP3909611 B2 JP 3909611B2 JP 02320897 A JP02320897 A JP 02320897A JP 2320897 A JP2320897 A JP 2320897A JP 3909611 B2 JP3909611 B2 JP 3909611B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- oil
- parts
- weight
- insulating
- paper
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Organic Insulating Materials (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は絶縁紙に高粘度油を含浸してなる積層絶縁層を具えたSLケーブル,MIケーブル,NDケーブル等の油浸ソリッド電力ケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
絶縁紙に高粘度絶縁油を含浸してなる絶縁層を具えた油圧の維持が不要なSL,MI,NDケーブル等の油浸ソリッド電力ケーブルの絶縁油としては、常用使用温度範囲では高粘度、油含浸時の高温では絶縁テープ層への絶縁油の含浸を容易、かつ十分にするために低粘度になる粘度−温度特性の傾きの大きいものが用いられており一般にはポリブテン系油やこれに増粘材としてワックスを混合した絶縁油が用いられている。又上記ポリブテン系油に多環芳香族炭化水素系油を混合する技術も開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記ポリブテン系油単独あるいはポリブテン系油にワックスないしは多環芳香族炭化水素系油を混合した絶縁油は、粘度−温度特性が直線的である。従って、油含浸温度(一般に100〜130℃)で低粘度(100cst以下)にしようとすると、最高使用温度(クラフト紙絶縁層で50〜55℃、クラフト紙とプラスチックとの複合紙(以下半合成紙という)系絶縁層で80〜85℃)で油垂れ現象(絶縁油に流動性がある場合、ケーブル布設ルートに高低差があると、絶縁油が少しづつ低い方へ垂れて行き、高所部の絶縁油が枯れてくる現象をいう)を起こすという問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の問題点を解消し、粘度−温度特性に変曲点を有する絶縁油を含浸することにより、油含浸時に低粘度(100cst)を有し、かつ使用温度範囲で油垂れ現象を起こさない油浸ソリッド電力ケーブルを提供するものである。
【0005】
その特徴は、[1]主鎖が炭化水素だけからなり、かつ40℃での動粘度が10〜1,000,000cstである液状ポリマーを10〜90重量部、[2]側鎖数10〜40のアルキルベンゼン10〜70重量部、[3]結晶化による融解吸熱ピークを有するワックスあるいは低分子量ポリオレフィン0.1〜20重量部を合計が100重量部となるようにブレンドした絶縁油を絶縁紙に含浸してなる絶縁層を具えることにある。この絶縁油は、粘度−温度特性に変曲点を有する。
【0006】
ここで、液状ポリマーとしては、ポリブテン油,液状ポリブタジエン,ポリイソブチレンなどが挙げられる。ポリブテン油または液状ポリブタジエンの場合、配合量の範囲は30〜90重量部とすることが好適であり、ポリイソブチレンの場合は、配合量の範囲を10〜80重量部とすることが好適である。
【0007】
また、絶縁紙には、クラフト紙あるいは半合成紙の少なくとも一方を用いることができる。
絶縁紙をクラフト紙とした場合、ワックスあるいは低分子量ポリオレフィンの融解吸熱ピークを50〜120℃とすることが望ましい。また、絶縁紙を半合成紙とした場合、同融解吸熱ピークを70〜120℃とすることが好ましい。
さらに、ワックスあるいは低分子量ポリオレフィンの量を特に1〜20重量部とすることでいわゆる走水の防止に効果的である。
【0008】
本発明において、液状ポリマーにブレンドする側鎖数10〜40のアルキルベンゼンを10〜70重量部とするのは、アルキルベンゼンが10重量部未満では絶縁油の電気性能が十分でなく、70重量部を超えると常温時の絶縁油に割れが生じ易い。又結晶化による融解吸熱ピークを有するワックス又は低分子量ポリオレフィンをブレンドすることにより粘度−温度特性に変曲点を有する絶縁油が得られるが、0.1重量部未満では希望とするような粘度−温度特性の変曲点が生じず、直線的となる。又20重量部を超えると得られた絶縁油が硬すぎて割れが生じ易い。
【0009】
ワックスないし低分子量ポリオレフィンの融解吸熱ピークが50〜120℃の範囲にある絶縁油をクラフト紙系絶縁層に用いることにより、クラフト紙ソリッド電力ケーブルの通常の最高使用温度(例えば50〜55℃)にも油垂れが生ずることなく、良好な電気性能が得られる。
【0010】
又ワックスないし低分子量ポリオレフィンの融解吸熱ピークを70℃〜120℃にもっていくことにより、半合成紙ソリッド電力ケーブルの最高使用温度(例えば80〜85℃)にも油垂れが生ずることなく、良好な電気性能が得られる。ここでいう半合成紙とは、プラスチックフィルムとクラフト絶縁紙とを密着一体化した複合絶縁紙をいい、中でもポリプロピレンとクラフト紙からなるPPLP(登録商標)がその代表として広く知られている。
【0011】
ワックスないし低分子量ポリオレフィンの量を特に1〜20重量部とすると電力ケーブルが万一水中で事故を起こしても、水温付近では絶縁油が固化するので、絶縁油の漏出が起こらず水質汚染が食い止められ、又ケーブルに侵入した水がケーブルの長手方向に移動しない。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
ポリブデン(日本石油化学株式会社製:HV-300)60重量部,アルキルベンゼン(三菱化学株式会社製:重質アルキレート)30重量部,ワックス(モービル石油株式会社製:クリスタルワックス220 )10重量部を混合した絶縁油を作製した。また、導体上にクラフト紙を巻回して絶縁層を形成し、通常の方法でSLケーブルを作製して、上記絶縁油をこの絶縁層に含浸した。そして、この絶縁油の各温度における動粘度を測定した。
【0013】
その結果、60℃では500,000cst,80℃では300,000cst,120℃では64cstであった。すなわち、このような絶縁油は図1に示すように変曲点を有する粘度−温度特性を示す。常温からケーブルの最高使用温度Tmax (約80℃)程度までは温度上昇に伴う粘度の低下が小さく、それ以上の温度範囲では急激に粘度が低下する。そして、油含浸温度(100〜130℃)では動粘度が100cst以下となる。従って、ケーブル使用時に絶縁油の粘度が低下して油垂れ現象が生じることを抑制でき、かつ絶縁油の含浸時は十分低粘度となって含浸作業を容易に行うことができる。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の油浸ソリッド電力ケーブルによれば、粘度−温度特性に変曲点を有する絶縁油を含浸することにより、油含浸時に低粘度を有し、かつ使用温度範囲で油垂れ現象を起こさない電気性能の良好な油浸ソリッド電力ケーブルが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明ケーブルに用いる絶縁油の粘度−温度特性を示すグラフ。
Claims (6)
- [1]主鎖が炭化水素だけからなり、かつ40℃での動粘度が10〜1,000,000cstであるポリブテン油を30〜90重量部、
[2]側鎖数10〜40のアルキルベンゼン10〜70重量部、
[3]結晶化による融解吸熱ピークを有するワックスあるいは低分子量ポリオレフィン0.1〜20重量部
を合計が100重量部となるようにブレンドした絶縁油を絶縁紙に含浸してなる絶縁層を具え、
前記絶縁油の粘度−温度特性に変曲点を有することを特徴とする油浸ソリッド電力ケーブル。 - [1] 主鎖が炭化水素だけからなり、かつ40℃での動粘度が10〜1,000,000cstである液状ポリブタジエンを30〜90重量部、
[2] 側鎖数10〜40のアルキルベンゼン10〜70重量部、
[3] 結晶化による融解吸熱ピークを有するワックスあるいは低分子量ポリオレフィン0.1〜20重量部
を合計が100重量部となるようにブレンドした絶縁油を絶縁紙に含浸してなる絶縁層を具え、
前記絶縁油の粘度−温度特性に変曲点を有することを特徴とする油浸ソリッド電力ケーブル。 - [1] 主鎖が炭化水素だけからなり、かつ40℃での動粘度が10〜1,000,000cstであるポリイソブチレンを10〜80重量部、
[2] 側鎖数10〜40のアルキルベンゼン10〜70重量部、
[3] 結晶化による融解吸熱ピークを有するワックスあるいは低分子量ポリオレフィン0.1〜20重量部
を合計が100重量部となるようにブレンドした絶縁油を絶縁紙に含浸してなる絶縁層を具え、
前記絶縁油の粘度−温度特性に変曲点を有することを特徴とする油浸ソリッド電力ケーブル。 - 絶縁紙がクラフト紙で、
ワックスあるいは低分子量ポリオレフィンの融解吸熱ピークを50〜120℃としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の油浸ソリッド電力ケーブル。 - 絶縁紙がクラフト紙とプラスチックとからなる複合紙で、
ワックスあるいは低分子量ポリオレフィンの融解吸熱ピークを70〜120℃としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の油浸ソリッド電力ケーブル。 - 請求項4又は5において、ワックスあるいは低分子量ポリオレフィンの量を特に1〜20重量部とすることを特徴とする油浸ソリッド電力ケーブル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02320897A JP3909611B2 (ja) | 1996-12-13 | 1997-01-21 | 油浸ソリッド電力ケーブル |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35269596 | 1996-12-13 | ||
JP8-352695 | 1996-12-13 | ||
JP02320897A JP3909611B2 (ja) | 1996-12-13 | 1997-01-21 | 油浸ソリッド電力ケーブル |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10228820A JPH10228820A (ja) | 1998-08-25 |
JP3909611B2 true JP3909611B2 (ja) | 2007-04-25 |
Family
ID=26360531
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP02320897A Expired - Lifetime JP3909611B2 (ja) | 1996-12-13 | 1997-01-21 | 油浸ソリッド電力ケーブル |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3909611B2 (ja) |
-
1997
- 1997-01-21 JP JP02320897A patent/JP3909611B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10228820A (ja) | 1998-08-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP1042760B1 (en) | The use of a dielectric gelling composition, an insulated electric dc-cable comprising such gelling composition and method for manufacturing an insulated electric dc-cable comprising such gelling composition | |
EP0933786B1 (en) | Solid cable, manufacturing method thereof, and transmission line therewith | |
CA2783738C (en) | High voltage direct current cable having an impregnated stratified insulation | |
NZ199292A (en) | High voltage d.c.electric cable | |
US11488741B2 (en) | Gel impregnated bushing | |
CN103959400A (zh) | 包括厚度受控的层压绝缘层的直流(dc)传输系统以及制造方法 | |
JP3909611B2 (ja) | 油浸ソリッド電力ケーブル | |
JP4192323B2 (ja) | 油浸ソリッド電力ケーブル | |
EP0987718A1 (en) | Impregnation compound for electrical cables | |
CN1285074A (zh) | 电绝缘直流电缆 | |
WO1997004466A1 (en) | Power cable, manufacturing method and impregnating compound | |
JP3614484B2 (ja) | 高粘度油浸絶縁ケーブル | |
WO1997004465A1 (en) | Electrical insulating oil based compound and its use | |
NO882503L (no) | Isolerende vaesker og elektriske kabler. | |
JP3429234B2 (ja) | 直流送電線路 | |
KR20010033393A (ko) | 유전체 겔화 혼합물, 그러한 유전체 겔화 혼합물을제조하는 방법 및 그러한 유전체 겔화 혼합물로 함침된절연 시스템을 구비하는 전기 직류 케이블 | |
JP2004139848A (ja) | 海底ソリッドケーブル | |
JPH0528833A (ja) | 油含浸ケーブルおよび含浸油 | |
JP3050316B1 (ja) | 海底ソリッドケ―ブル | |
JP3819098B2 (ja) | 油浸電力ケーブルおよびその布設方法 | |
JP3973722B2 (ja) | 直流油浸電力ケーブル | |
JPH10248154A (ja) | 油浸電力ケーブルの接続部 | |
JP3429233B2 (ja) | 直流海底ソリッドケーブル | |
JPH11329102A (ja) | 油浸ソリッド電力ケーブル | |
JP2000268652A (ja) | ソリッド電力ケーブルの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20051026 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060119 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20061003 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20061201 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070105 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070118 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110202 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110202 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120202 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120202 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130202 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140202 Year of fee payment: 7 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |