JP3908813B2 - X線検知器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、X線を検知するX線検知器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
炎センサとして用いられているUVチューブは、X線領域に感度を有することが従来より知られている。UVチューブを炎センサとして用いたものとして、実開平5−71734号公報に開示された技術が存在する。
【0003】
UVチューブは、放電ガスを封入したガラスバルブ内に、金属製の陽極と陰極とを近接して配置させ、ガラスバルブ内に紫外線が入射した場合に生じる陽極と陰極との間の放電により、陽極と陰極との間に流れる電流を観測し紫外線の検出を行うものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このUVチューブをX線検知器として用いる場合には、他の照明光源、例えば、キセノン(Xe)ランプ、ハロゲンランプ等が存在する環境雰囲気においては、これらの光源から放射される光により誤動作を生じるという問題があった。従って、紫外線遮光塗料を環境雰囲気内に存在する光源に塗布することことが従来より行われている。
【0005】
しかしながら、環境雰囲気内に存在する光源の全てに紫外線遮光塗料を塗布することは容易でなく、また、環境雰囲気内に存在する光源の全てに紫外線遮光塗料を塗布した場合であっても光源の熱により紫外線遮光塗料が損傷を受け剥がれ落ち紫外線の遮光が不十分になる場合があった。
【0006】
この発明の課題は、取り扱いが簡単でありかつ安全であるX線検知器を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のX線検知器は、放電ガスを封入した密封容器内に金属製の陽極と陰極とを近接して配置させ、密封容器内に入射した紫外線及びX線に感度を有する光検出管と、この光検出管の外表面に密着して設けられた熱収縮チューブとを備え、前記熱収縮チューブにより前記光検出管に入射する紫外線を遮光し、前記熱収縮チューブの表面に前記光検出管の有効表面を示す識別標識を付したことを特徴とする。
【0008】
この請求項1記載のX線検知器によれば、X線と共に紫外線が照射された場合であっても、熱収縮チューブにより紫外線が遮断されるため、光検出管にはX線のみが入射する。従って、紫外線による誤作動を生じることなくX線の検出を行うことができる。また、光検出管の外表面に密着して熱収縮チューブが設けられているため、この熱収縮チューブによりある程度の衝撃は吸収することができ耐衝撃性が高まる。また、衝撃により光検出管が破損した場合であってもガラスの飛散を防止できる。
【0009】
また、上記のX線検知器は、前記熱収縮チューブの表面に前記光検出管の有効表面を示す識別標識を付している。
【0010】
X線検知器を構成する光検出管には、X線を検出するための有効表面が存在する。しかしながら、不透明な熱収縮チューブが設けられている場合には有効表面の判断が困難になる。そこで、この請求項1記載のX線検知器によれば、識別標識により容易にX線検知器の有効表面を知ることができる。
【0011】
また、請求項2記載のX線検知器は、放電ガスを封入した密封容器内に金属製の陽極と陰極とを近接して配置させ、密封容器内に入射した紫外線及び X 線に感度を有する光検出管と、この光検出管の外表面に密着して設けられた熱収縮チューブとを備え、前記熱収縮チューブにより前記光検出管に入射する紫外線を遮光し、前記光検出管の前記陽極と前記陰極から延びる電極ピンの長さを異ならせることにより前記光検出管の有効表面を識別可能としたことを特徴とする。
【0012】
この請求項2記載のX線検知器によれば、電極ピンの長さにより容易にX線検知器の有効表面を知ることができる。
【0013】
また、請求項3記載のX線検知器は、請求項1又は請求項2記載のX線検知器の前記熱収縮チューブに固定手段を設けたことを特徴とする。
【0014】
この請求項3記載のX線検知器によれば、固定手段により熱収縮チューブを装置等の所定の位置に固定することにより容易にX線検知器の固定を行うことができ、X線検知器を固定する場合の保持安定性を向上させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図4を参照して、この発明の第1の実施の形態にかかるX線検知器2の説明を行う。
【0018】
まず、X線検知器2の正面図である図1(a)及び側面図である図1(b)を参照して、X線検知器2の構造を説明する。X線検知器2は、光検出管10及びこの光検出管10の外表面に密着することにより光検出管10の外表面の全体を覆う熱収縮チューブ12より構成されている。
【0019】
光検出管10は、放電ガスが封入され密封された紫外線透過ガラス製のガラスバルブ10aを有し、このガラスバルブ10aの内部に陽極10b及び陰極10cが対向して設けられている。陽極10bは陽極リードピン10dに接続されると共に陰極10cは陰極リードピン10eに接続され、陽極リードピン10d及び陰極リードピン10eがガラスバルブ10aを貫通してガラスバルブ10a外部に導出されている。なお、陽極リードピン10dは、陰極リードピン10eに比較して長く形成されている。これによりX線検知器2の有効表面を容易に知ることができる。
【0020】
また、熱収縮チューブ(熱収縮皮脂チューブともいう。)12は、ポリ塩化ビニル製の不透明なチューブであり、
光検出管10の外表面に密着し、光検出管10の上部においては熱収縮チューブ12同士が密着され、光検出管10の下部においては熱収縮チューブ12同士が陽極リードピン10d及び陰極リードピン10eを挟んだ状態で密着されている。この熱収縮チューブ12により紫外光を遮断しX線のみを透過させ、光検出管10にX線のみを入射させることができる。
【0021】
また、光検出管10の上部の熱収縮チューブ12同士が密着している部分には、このX線検知器2を装置の所定の位置にネジにより固定するための固定穴12aが設けられている。更に、熱収縮チューブ12の光検出管10の有効表面、即ち、陽極10b側の表面に光検出管10の有効表面を示す識別マーク12b(図2(c)参照)が表示されている。
【0022】
次に、図2を参照してX線検知器2の製造工程を説明する。
【0023】
まず、光検出管10のガラスバルブ10aの外径よりも少し大きい内径を有する熱収縮チューブをガラスバルブ10aの長手方向の長さよりもやや長めに切断し、ガラスバルブ10aに被せる(図2(a),(b)参照)。
【0024】
次に、熱収縮チューブ12をガラスバルブ10aの外表面に密着させるためにドライヤーで加熱し、熱収縮チューブ12を収縮させガラスバルブ10a全体を完全に覆う。
【0025】
次に、光検出管10の上部の熱収縮チューブ12同士が密着している部分に固定穴12aを開けると共に、熱収縮チューブ12の陽極10b側の表面に光検出管10の有効表面を示す識別マーク12bを表示する(図2(c)参照)。なお、光検出管10の有効表面は、陽極リードピン10d及び陰極リードピン10eの長さの差によっても識別することができる。
【0026】
このようにして製造されたX線検知器2は次のように動作する。即ち、X線検知器2の陽極リードピン10d及び陰極リードピン10e駆動回路に接続し、陽極10bと陰極10cとの間に350V程度の電圧を印加する。この状態でX線及び紫外線が照射されると、紫外線は熱収縮チューブ12により遮断され、X線のみがガラスバルブ10aを透過して光検出管10内に入射する。
【0027】
ガラスバルブ10a内にX線が入射した場合には、光電子放出効果によって陰極10cの表面から光電子が放出される。この光電子は、陽極10bと陰極10cとの間電界により陽極10b方向に加速され、放電ガスの分子と衝突することにより放電ガスの分子を電離させ電子雪崩を引き起こす。この電子雪崩は、陽極10bと陰極10cとの間に多数の陽イオンを生成し、陽イオンは電界によって陰極に向けて加速され、陰極の表面に衝突して多くの二次電子を放出させる。二次電子もまた光電子と同様に電子雪崩を生じさせ、やがて陽極10bと陰極10cとの間に放電が生じる。従って、この放電を観測することによりX線の検出を行うことができる。
【0028】
図3は、X線検知器2をX線照射警報装置14に用いた状態を示す平面図(図3(a))及び断面図(図3(b))である。このX線照射警報装置14は、中空の円盤形状を有するケース16を有し、このケース16内にX線検知器2が固定されている。即ち、X線検知器2の熱収縮チューブ12に設けられているに固定穴12aを介して熱収縮チューブ12がケース16にネジ止めされている。一方、陽極リードピン10d及び陰極リードピン10eは、ピン基板16dに固定されている。
【0029】
なお、ケース16の上面には、X線を入射させるX線入射窓16aが設けられるとともに、X線の検知を報知するためのLED16bが設けられている。
【0030】
このX線照射警報装置14のX線入射窓16aからX線及び紫外線が入射した場合には、紫外線は熱収縮チューブ12により遮断され、X線みが熱収縮チューブ12を透過してガラスバルブ10a内に入射する。従って、X線検知器2により紫外線の影響を受けることなくX線のみを検出することができる。
【0031】
また、図4は、X線検知器2をX線漏洩場所検知器18として用いた状態を示す図である。このX線漏洩場所検知器18は、X線検知器2の陽極リードピン10d及び陰極リードピン10eを駆動装置20から延びるリード線22の先端に設けられたソケット24に接続したものである。従って、棒の先端にX線検知器2を固定する等により装置の奥まった場所にX線検知器2を差し込むことが出来、装置の奥まった場所等に存在するX線漏洩部位の確認を行うことができる。
【0032】
この第1の実施の形態にかかるX線検知器2によれば、簡易に紫外線を遮光することができ、安価にX線検知器を製造することができる。
【0033】
また、衝撃によりガラスバルブが破損した場合であっても、ガラスバルブの外側が熱収縮性チューブにより覆われているためガラスの破片の飛散を防止することができ、取り扱い時の安全性を向上させることができる。
【0034】
次に、図5を参照して、この発明の第2の実施の形態にかかるX線検知器4を説明する。なお、第1の実施の形態にかかるX線検知器2の構成と同一の構成には、第1の実施の形態にかかるX線検知器2の説明で用いたのと同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0035】
このX線検知器4は、光入射窓20aを有する光検出管20及びこの光検出管20の光入射窓20aの表面に密着した状態で固定された熱収縮チューブ26により構成されている。
【0036】
光検出管20は、円筒形状のメタルケース内に放電ガスが封入され、このメタルケースの上面にガラス製の光入射窓20aを有する。また、このメタルケースの内部に図示しない陽極及び陰極が対向して設けられている。陽極は陽極リードピン10dに接続されると共に陰極は陰極リードピン10eに接続され、陽極リードピン10d及び陰極リードピン10eがメタルケース外に導出されている。
【0037】
また、熱収縮チューブ26は、ポリ塩化ビニル製の不透明なチューブであり、一端が閉じた円筒形状を有するものである。このX線検知器4は、熱収縮チューブ26内に光検出管20の上部を挿入した後に、熱収縮チューブ26を加熱し収縮させ、熱収縮チューブ26を光検出管20の光入射窓20aを覆う状態で密着固定させることにより製造される。
【0038】
この第2の実施の形態にかかるX線検知器4においてもX線及び紫外線が照射されると、紫外線は熱収縮チューブ26により遮断され、X線のみが光検出管20内に入射する。従って、紫外線の影響を受けることなくX線のみの検出を行うことができる。
【0039】
次に、図6を参照して、この発明の第3の実施の形態にかかるX線検知器6を説明する。なお、第1、第2の実施の形態にかかるX線検知器2,4の構成と同一の構成には、第1、第2の実施の形態にかかるX線検知器2,4の説明で用いたのと同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0040】
このX線検知器6は、光入射窓20aを有する光検出管20及びこの光検出管20の光入射窓20aの表面に接着剤により貼り付けられた紫外線遮光シート28により構成されている。
【0041】
光検出管20は、円筒形状のメタルケース内に放電ガスが封入され、このメタルケースの上面にガラス製の光入射窓20aを有する。また、このメタルケースの内部設けられた陽極及び陰極に、陽極リードピン10d及び陰極リードピン10eが接続され、陽極リードピン10d及び陰極リードピン10eがメタルケース外に導出されている。
【0042】
また、紫外線遮光シート28は、ポリ塩化ビニル製の不透明なシートであり、光検出管20の光入射窓20aの表面の全体を覆うことができるように円盤形状を有するものである。このX線検知器6は、紫外線遮光シート28を光検出管20の光入射窓20aに接着剤により貼り付け、光検出管20の光入射窓20aに密着固定させることにより製造される。
【0043】
この第3の実施の形態にかかるX線検知器6においてもX線及び紫外線が照射されると、紫外線は紫外線遮光シート28により遮断され、X線のみが光検出管20内に入射する。従って、紫外線の影響を受けることなくX線のみの検出を行うことができる。
【0044】
また、図7は、第1の実施の形態にかかるX線検知器2の光検出管10をピン電極を有する光検出管30に変更したX線検知器6を示すものである。このタイプの光検出管30に熱収縮チューブを被せることにより、第1の実施の形態にかかるX線検知器2と同様に紫外線の影響を受けることなくX線のみの検出を行うことができる。
【0045】
【発明の効果】
この発明によれば、X線と共に紫外線が照射された場合であっても熱収縮チューブにより紫外線が遮断されるため、光検出管にはX線のみが入射し、紫外線による誤作動を生じることがなくX線の検出を行うことができる。また、光検出管の外表面に密着して熱収縮チューブが設けられているため、衝撃により光検出管が破損した場合であってもガラスの飛散を防止できる。
【0046】
また、熱収縮チューブの表面に識別標識を設けた場合には、この識別標識により容易に光検出管の有効表面を知ることができる。更に、陽極と陰極から延びる電極ピンの長さを異ならせるた場合には、電極ピンの長さにより容易に光検出管の有効表面を識別することができる。
【0047】
また、熱収縮チューブに固定手段を設けた場合には、固定手段により熱収縮チューブを装置等に固定することにより容易にX線検知器の固定を行うことができ、X線検知器を固定する場合の保持安定性を向上させることができる。
【0048】
また、X線検知器の光入射窓に紫外線遮光シートを密着して設けた場合には、紫外線遮光シートにより紫外線が遮断され、光検出管にはX線のみが入射する。従って、紫外線による誤作動を生じることなくX線の検出を行うことができる。また、この紫外線遮光シートにより光入射窓に対するある程度の衝撃は吸収することができ耐衝撃性が高まる。また、衝撃により光入射窓が破損した場合であってもガラスの飛散を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態にかかるX線検知器の正面図及び側面図である。
【図2】この発明の第1の実施の形態にかかるX線検知器の製造工程を説明するための図である。
【図3】この発明の第1の実施の形態にかかるX線検知器をX線照射警報装置に用いた状態を示す図である。
【図4】この発明の第1の実施の形態にかかるX線検知器をX線漏洩場所検知器として用いた状態を示す図である。
【図5】この発明の第2の実施の形態にかかるX線検知器の製造工程を説明するための図である。
【図6】この発明の第3の実施の形態にかかるX線検知器の製造工程を説明するための図である。
【図7】この発明の第1の実施の形態にかかるX線検知器の変形例を示す図である。
【符号の説明】
2,4,6,8…X線検知器、10,20…光検出管、10a…ガラスバルブ、10b…陽極、10c…陰極、10d…陽極リードピン、10e…陰極リードピン、12,26…熱収縮チューブ、12a…固定穴、12b…識別マーク、14…X線照射警報装置、18…X線漏洩場所検知器、28…紫外線遮光シート。
Claims (3)
- 放電ガスを封入した密封容器内に金属製の陽極と陰極とを近接して配置させ、密封容器内に入射した紫外線及び X 線に感度を有する光検出管と、
この光検出管の外表面に密着して設けられた熱収縮チューブとを備え、
前記熱収縮チューブにより前記光検出管に入射する紫外線を遮光し、
前記熱収縮チューブの表面に前記光検出管の有効表面を示す識別標識を付したことを特徴とするX線検知器。 - 放電ガスを封入した密封容器内に金属製の陽極と陰極とを近接して配置させ、密封容器内に入射した紫外線及び X 線に感度を有する光検出管と、
この光検出管の外表面に密着して設けられた熱収縮チューブとを備え、
前記熱収縮チューブにより前記光検出管に入射する紫外線を遮光し、
前記光検出管の前記陽極と前記陰極から延びる電極ピンの長さを異ならせることにより前記光検出管の有効表面を識別可能としたことを特徴とするX線検知器。 - 前記熱収縮チューブに固定手段を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のX線検知器。
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