JP3906078B2 - Bh4融合ポリペプチド - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、アポトーシスを抑制しうるBH4融合ポリペプチドおよびその使用、アポトーシス抑制剤ならびに虚血性疾患の治療方法に関する。詳しくは、細胞への取り込み作用を有し、かつアポトーシスを抑制しうるBH4融合ポリペプチドおよびその使用、該融合ポリペプチドを含有したアポトーシス抑制剤ならびに虚血性疾患の治療方法に関する。BH4融合ポリペプチドは、AIDS、神経変性疾患、骨髄異形成疾患、虚血性疾患、感染性多臓器不全、劇症肝炎、虚血性再灌流障害、糖尿病などの治療剤として有用である。
背景技術
細胞死は、生体内の臓器、組織などの細胞動態に重要な役割を果たしている。かかる細胞死の多くは、アポトーシスにより進行し、該アポトーシスの機構は、通常厳密に制御されている。前記アポトーシスは、病理的要因によっても引き起こされる。
近年、アポトーシスに関わる多くの分子が同定され、アポトーシスのシグナル伝達機構が調べられている。例えば、Bcl−2タンパク質やBcl−xタンパク質は、アポトーシス誘導に必須なプロテアーゼであるカスペースの上流でアポトーシスシグナル伝達を抑制的に調節し、カスペースファミリーは、該シグナルのメディエーターとして作用することが示唆されている。
前記Bcl−2タンパク質は、ミトコンドリア膜電位(ΔΨ)の低下、シトクロムcの漏出およびアポトーシス誘導因子(以下、AIFという)の漏出を抑制することにより、アポトーシスを抑制しうると考えられている。前記Bcl−2タンパク質は、癌遺伝子の1つとして辻本らにより発見されたbcl−2遺伝子〔Tsujimoto,Y.et al.,Science,228:1440−1443(1985)〕の発現産物である。
最近、▲1▼Bcl−2ファミリータンパク質は、電位依存陰イオンチャネル(VDAC)がシトクロムcのアポトーシス性の漏出を調節することを直接標的とすること、▲2▼アンチアポトーシス性因子が該チャネルを抑制するが、Bax、Bakなどのプロアポトーシス性因子がVDAC活性を刺激してシトクロムcの通過を可能にすること、および▲3▼VDACは、アポトーシス性のΔΨのロスを生じさせることに必要とされることが示唆されている。前記VDACは、ミトコンドリア外層膜に豊富であり、ミトコンドリア膜透過性を調節する機能を有し、アデニンヌクレオチドトランスロケーター(ANT)と他の分子とを伴い透過性遷移ポアを構成する。
前記したように、Bcl−2ファミリータンパク質は、シトクロムcの漏出の抑制、ΔΨのロスの抑制など様々な関与が示唆されるが、その詳細な作用機構などは不明な点が多いのが現状である。
また、Bcl−2ファミリータンパク質をそのままの状態で用いる場合、タンパク質が大きくなり分解されやすいという欠点を有し、また、生産効率が低下する場合もある。
発明の開示
本発明は、アポトーシスを効率よく抑制しうるBH4融合ポリペプチドおよびその使用、アポトーシス抑制剤、虚血性疾患の治療方法を提供することを目的とする。
本発明は、
〔1〕 細胞への取り込み作用を発揮しうるポリペプチドのアミノ酸配列またはその誘導体配列と、
(A)少なくともアンチアポトーシス性Bcl−2ファミリータンパク質のBH4ドメインの配列(配列番号:1)を含有するアミノ酸配列、
(B)配列番号:1に示されるアミノ酸配列において、少なくとも1残基のアミノ酸の置換、欠失もしくは挿入を有するアミノ酸配列、および
(C)配列番号:1に示されるアミノ酸配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列
からなる群より選択されたアミノ酸配列とを含有してなり、かつアポトーシスを抑制しうるBH4融合ポリペプチド、
〔2〕 前記〔1〕記載のBH4融合ポリペプチドをコードしてなるDNA、
〔3〕 前記〔1〕記載のBH4融合ポリペプチドを含有してなるアポトーシス抑制剤、
〔4〕 前記〔3〕記載のアポトーシス抑制剤を虚血性疾患患者に投与してアポトーシスを抑制し、それにより虚血性疾患を治療することを特徴とする、虚血性疾患の治療方法、ならびに
〔5〕 虚血性疾患の予防または治療剤を製造するための、前記〔1〕記載のBH4融合ポリペプチドの使用、
に関する。
発明を実施するための最良の形態
本発明のBH4融合ポリペプチドは、細胞への取り込み作用を発揮しうるポリペプチドのアミノ酸配列またはその誘導体配列と、
(A)少なくともアンチアポトーシス性Bcl−2ファミリータンパク質のBH4ドメインの配列(配列番号:1)を含有するアミノ酸配列、
(B)配列番号:1に示されるアミノ酸配列において、少なくとも1残基のアミノ酸の置換、欠失もしくは挿入を有するアミノ酸配列、および
(C)配列番号:1に示されるアミノ酸配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列
からなる群より選択されたアミノ酸配列とを含有してなり、かつアポトーシスを抑制しうることを1つの大きな特徴とする。
本発明のBH4融合ポリペプチドは、アポトーシスを抑制するための最小単位、すなわち、(A)少なくともアンチアポトーシス性Bcl−2ファミリータンパク質のBH4ドメインの配列(配列番号:1)を含有するアミノ酸配列、
(B)配列番号:1に示されるアミノ酸配列において、少なくとも1残基のアミノ酸の置換、欠失もしくは挿入を有するアミノ酸配列、および
(C)配列番号:1に示されるアミノ酸配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列
からなる群より選択されたアミノ酸配列
を含有するため、効率よくアポトーシスを抑制することができるという優れた性質を発現する。本発明のBH4融合ポリペプチドは、BH4ドメインを含有するので、ミトコンドリアΔΨロスおよびシトクロムc漏出のそれぞれを抑制することができるため、アポトーシスを抑制することができると考えられる。
さらに、本発明のBH4融合ポリペプチドは、細胞への取り込み作用を発揮しうるポリペプチドのアミノ酸配列またはその誘導体配列を含有するため、より細胞へ取り込まれ、効率よくアポトーシスを抑制することができるという優れた効果を発揮しうる。
本明細書において、「アポトーシス」とは、細胞の核の凝縮および断片化、該細胞自体の凝縮および断片化、該細胞の染色体DNAのヌクレオソーム単位(約180bp)の断片化などに代表される変化を特徴とする細胞の死に方であり、疾患などの病理的要因および生理的要因(例えば、免疫、ホルモン作用、発生などの生理的現象の発現など)により生じる現象を含む。
アンチアポトーシス性Bcl−2ファミリータンパク質とは、Bcl−2タンパク質と、該Bcl−2タンパク質に類似したタンパク質のうちアポトーシスを抑制する作用を有するタンパク質を意味する。なお、アポトーシスを抑制する活性を「アンチアポトーシス活性」といい、アポトーシスを促進する活性を「プロアポトーシス活性」という。
アポトーシスの抑制、および促進は、例えば、下記の方法により調べることができるが、かかる方法に限定されるものではない:VP16で24時間処理した後、1μM Hoechst 33342による染色後、全細胞に対する核断片化を呈した細胞の割合としてアポトーシスの程度を算出する。
また、アンチアポトーシス活性は、ミトコンドリアにおけるΔΨの低下と、シトクロムcの漏出の抑制とにより評価することができる。
ΔΨは、例えば、清水らの既報〔Oncogene,13,21−29(1996)〕のようにローダミン123(Rh123)の取り込みを測定することにより評価できる。
シトクロムc漏出は、ミトコンドリアを調製し、遠心分離し、ミトコンドリアペレットと上清とを得、ついで得られたペレットをRIPA緩衝液に再懸濁したミトコンドリア懸濁液と上清とを抗シトクロムc抗体を用いて、ウエスタンブロット解析に供することにより調べることができる。
前記アンチアポトーシス性Bcl−2ファミリータンパク質は、Bcl−2ホモロジー(BH)1、BH2、BH3およびBH4ドメインの配列ホモロジーを含有する。前記BH1ドメインおよびBH2ドメインと、おそらくBH3ドメインは、変異構造解析により、プロアポトーシス性因子ファミリーのタンパク質との二量体化に非常に重要であり、それによりプロアポトーシス活性を阻害すると考えられる。
配列番号:1に示されるアミノ酸配列は、アンチアポトーシス性Bcl−2ファミリータンパク質にのみ共通して保存されているBH4ドメインの配列である。かかるBH4ドメインにおいて、α−ヘリックスは、BH4ドメインを含有したポリペプチドによるアポトーシス抑制作用に重要であり、特によく保存されているアミノ酸残基(配列番号:1中のアミノ酸番号:8、9)が、該α−ヘリックスの形成に重要な役割を果たしていると考えられる。また、配列番号:1中のアミノ酸番号:5、6、9、10および14のアミノ酸残基は、前記BH4ドメインのα−ヘリックスの他のタンパク質との結合面に整列していることが推定される。
したがって、前記アンチアポトーシス性Bcl−2ファミリータンパク質のBH4ドメインは、前記配列番号:1中のアミノ酸番号:5、6、8、9、10および14のアミノ酸残基が保存している配列であれば、配列番号:1に示されるアミノ酸配列において、少なくとも1残基のアミノ酸の置換、欠失もしくは挿入の変異を有するアミノ酸配列を有していてもよい。かかる変異を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、アンチアポトーシス活性を呈しうるポリペプチドであり、前記アンチアポトーシス活性は、前述の方法のように、ミトコンドリアにおけるΔΨの低下と、シトクロムcの漏出の抑制とを評価することにより調べることができる。
ここで、「少なくとも1残基のアミノ酸の置換、欠失もしくは挿入を有するアミノ酸配列」は、公知の方法によりペプチドを合成する際、所望の配列に応じて任意に作製することができる。
さらに、前記アンチアポトーシス性Bcl−2ファミリータンパク質のBH4ドメインは、前記配列番号:1中のアミノ酸番号:5、6、8、9、10および14のアミノ酸残基が保存している配列であれば、配列番号:1に示されるアミノ酸配列と少なくとも50%、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有していてもよい。
かかる配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、アンチアポトーシス活性を呈しうるポリペプチドであり、前記アンチアポトーシス活性は、前述の方法のように、ミトコンドリアにおけるΔΨの低下と、シトクロムcの漏出の抑制とを評価することにより調べることができる。
なお、本明細書において、「配列同一性」とは、2つのアミノ酸配列間、すなわち配列番号:1のアミノ酸配列と比較対象となるアミノ酸配列との間のアミノ酸残基の同一性をいう。前記「配列同一性」は、比較対象のアミノ酸配列の領域にわたって、最適な状態にアラインメントされた2つのアミノ酸配列を比較することにより決定されうる。ここで、比較対象のアミノ酸配列は、本明細書における配列番号:1に示されるアミノ酸配列と比べて、付加または欠失(例えば、ギャップ、オーバーハングなど)を有していてもよい。
配列同一性の数値(パーセンテージ)は、両方の配列に存在する同一のアミノ酸残基を決定して、適合部位の数を決定し、ついで、比較対象の配列領域内のアミノ酸残基の総数で、前記適合部位の数を割、得られた数値に100をかけることにより、算出されうる。最適なアラインメントおよびホモロジーを得るためのアルゴリズムとしては、例えば、BLASTなどが挙げられる。具体的には、遺伝子解析ソフトGENETYX−SV/RG Ver.4.01(ソフトウェア開発社製)、遺伝子解析プログラムBLAST〔インターネットアドレスhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST;参考文献:Altschul,S.F.et al.,J.Mol.Biol.,215,403−410,(1990)、Altschul,S.F.et al.,Nucl.Acid Res.,25,3389−3402,(1997)〕などを用いて、最適なアラインメントおよびホモロジーを得ることができる。
また、本発明においては、前記アンチアポトーシス性Bcl−2ファミリータンパク質のBH4ドメインは、かかるドメインを有するポリペプチドが、前述の方法によりアンチアポトーシス活性、すなわち、ミトコンドリアにおけるΔΨの低下と、シトクロムcの漏出の抑制とを呈するものであれば、配列番号:1に示されるアミノ酸配列と少なくとも50%、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上の配列ホモロジーを有するアミノ酸配列を有していてもよい。ここで、前記アンチアポトーシス性Bcl−2ファミリータンパク質のBH4ドメインは、保存的置換を有するアミノ酸配列を有していてもよい。前記「保存的置換」は、類似した性質(すなわち疎水性、電荷、pK、立体構造上における特徴)を有するアミノ酸との置換;本来のポリペプチドの生理活性を維持する程度にのみしか該ポリペプチドの立体構造、折り畳み構造を変化させ得ないアミノ酸との置換を包含する。保存的置換としては、例えば、下記:▲1▼グリシン、アラニン;▲2▼バリン、イソロイシン、ロイシン;▲3▼アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン;▲4▼セリン、スレオニン;▲5▼リジン、アルギニン;▲6▼フェニルアラニン、チロシンのグループ内での置換が挙げられる。
BH4ドメインの具体例としては、(a)Bcl−2のBH4ドメイン(配列番号:2)、(b)Bcl−xのBH4ドメイン(配列番号:3)、(c)Bcl−wのBH4ドメイン(配列番号:4)、(d)C.elegans(エレガンス) Ced−9のBH4ドメイン(配列番号:9のアミノ酸番号:79〜98)などが挙げられる。本発明においては、Bcl−2のBH4ドメイン(配列番号:2)およびBcl−xのBH4ドメイン(配列番号:3)が好ましい。また、かかるBH4ドメインは、前記方法により、前述の方法のように、ミトコンドリアにおけるΔΨの低下と、シトクロムcの漏出の抑制が検出できるものであれば、前記(a)〜(d)いずれかに記載のアミノ酸配列において、少なくとも1残基のアミノ酸の置換、欠失もしくは挿入を有するアミノ酸配列、および前記(a)〜(d)いずれかに記載のアミノ酸配列と少なくとも50%、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。
本発明のBH4融合ポリペプチドに用いられる細胞への取り込み作用を発揮しうるポリペプチドとしては、例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のTAT、HTLV−I由来のp27、HIV由来のart/trs、HSV−1由来のVP22、Drosophila由来のAntpなどが挙げられる。
細胞への取り込み作用を発揮しうるポリペプチドのアミノ酸配列としては、例えば、(i)配列番号:5に示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号:49〜57を少なくとも含有する配列;
(ii)配列番号:24に示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号:1〜13を少なくとも含有する配列;
(iii)配列番号:25に示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号:1〜16を少なくとも含有する配列;
(iv)配列番号:26に示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号:1〜301を少なくとも含有する配列;および
(v)配列番号:27に示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号:1〜16を少なくとも含有する配列
などが挙げられる。なかでも、ヒト免疫不全ウイルスのTAT配列(配列番号:5)の少なくともアミノ酸番号:49〜57の領域のアミノ酸配列(配列番号:6)が好ましい。
前記「細胞への取り込み作用を発揮しうるポリペプチドのアミノ酸配列の誘導体配列」としては、(I)細胞への取り込み作用を発揮しうるポリペプチドのアミノ酸配列において、少なくとも1残基の化学修飾基を有するアミノ酸配列、または
(II)細胞への取り込み作用を発揮しうるポリペプチドのアミノ酸配列において、少なくとも1残基のアミノ酸の置換もしくは挿入を有するアミノ酸配列であって、得られたポリペプチドが細胞への取り込み作用を発揮しうるものが挙げられる。
細胞への取り込み作用は、ペプチドに対する抗体による免疫染色、またはペプチドに蛍光ラベルを導入することにより、顕微鏡下に調べることができる。
化学修飾基としては、蛍光性を呈する官能基、ポリペプチドの立体構造の形成には関与しない官能基などが挙げられ、該化学修飾アミノ酸残基を有するアミノ酸配列を含有したポリペプチドが、細胞への取り込み作用を発揮するものであればよい。なお、本明細書においては、化学修飾基とは、天然由来の「細胞への取り込み作用を発揮しうるポリペプチド」を構成するアミノ酸残基以外のアミノ酸残基(例えば、β−アラニンなど)であってもよい。
蛍光性を呈する官能基としては、エオシンやフルオレセインイソチオシアネート(FITC)などが挙げられる。
ポリペプチドの立体構造の形成には関与しない官能基としては、β−アラニン残基などに代表されるスペーサー基などが挙げられる。かかる官能基は、「細胞への取り込み作用を発揮しうるポリペプチド」と「アンチアポトーシス性Bcl−2ファミリータンパク質のBH4ドメイン」とを融合させる末端に存在することが好ましい。かかる官能基を導入することにより、「細胞への取り込み作用を発揮しうるポリペプチド」および「アンチアポトーシス性Bcl−2ファミリータンパク質のBH4ドメイン」のそれぞれが本来の立体構造を維持することができるため、それぞれの機能を十分に発揮させることができる。
本発明のBH4融合ポリペプチドとしては、ヒト免疫不全ウイルスのTAT配列(配列番号:5)の少なくともアミノ酸番号:49〜57の領域のアミノ酸配列(配列番号:6)と、(a)Bcl−2タンパク質のBH4ドメイン(配列番号:2)配列、(b)Bcl−xタンパク質のBH4ドメイン(配列番号:3)のアミノ酸配列、(c)Bcl−wのBH4ドメイン(配列番号:4)のアミノ酸配列または(d)C.elegans(エレガンス) Ced−9のBH4ドメイン(配列番号:9のアミノ酸番号:79〜98)とを含有するポリペプチドが好ましい。
本発明のBH4融合ポリペプチドは、具体的には、配列番号:7、8、28、29、30、31、32および33からなる群より選ばれた1種のアミノ酸配列を有するポリペプチドが好ましい。
本発明のBH4融合ペプチドであるCys(TAT)−β−Ala−BH4ペプチドは、Fmocのリンクアミドレジンを用いて、Fmoc法によりABI433A自動合成機で合成することができる。得られた保護ペプチド樹脂をトリフルオロ酢酸を含有した試薬で処理し、遊離ペプチドを逆相HPLCで精製する。つぎに、DMFに溶解したエオシン−5−ヨードアセトアミドと、50mMのリン酸緩衝液(pH7.7)に溶解させた上記の精製されたペプチドを混合し、室温で1時間反応させる。反応後、再度、逆相HPLCで精製し、シングルピークとして分取する。精製試料はMALDI−TOF MSで分子量を確認する。
本発明のBH4融合ポリペプチドによれば、例えば、HeLa細胞におけるアポトーシス抑制能として、該BH4融合ポリペプチド非存在下に比べ、少なくとも50%、好ましくは70%以上、より好ましくは、90%以上の抑制率が期待できる。
本発明のBH4融合ポリペプチドは、アンチアポトーシス活性を発現するため、アポトーシス抑制剤の有効成分として使用することができる。かかるアポトーシス抑制剤も本発明に含まれる。
本発明のアポトーシス抑制剤は、前記BH4融合ポリペプチドを含有することを1つの特徴とする。
本発明のアポトーシス抑制剤は、アンチアポトーシス活性を発現するBH4融合ポリペプチドを含有するため、AIDS、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、小脳変性など)、骨髄異形成疾患(再生不良性貧血など)、虚血性疾患(心筋梗塞、脳梗塞、脳卒中、虚血性再灌流障害など)、劇症肝炎、アルコールなどの中毒による肝疾患、感染性多臓器不全、糖尿病などの治療効果が期待される。本発明には、前記アポトーシス抑制剤を前記疾患患者に投与し、アポトーシスを抑制し、それにより疾患を治療することを特徴とする、前記疾患の治療方法も包含される。かかる治療方法は、なかでも、虚血性疾患、特に、心筋梗塞、脳梗塞、とりわけ、心筋梗塞の治療に好適である。また、臓器移植の際に用いられる臓器の保存液に添加することにより、移植時までの臓器をより適した状態で保存できることが期待される。
本発明のアポトーシス抑制剤は、前記BH4融合ポリペプチドを特定の細胞への取込みが容易になるように各種修飾を施した形態で含有してもよい。また、本発明のアポトーシス抑制剤は、アンチアポトーシス活性を発揮しうる範囲で、通常用いられる各種助剤を含有してもよい。
かかるアポトーシス抑制剤を投与する際、その投与形態、投与方法、投与量は、対象となる個体の年齢、体重、疾患の状態などにより適宜設定されうる。
さらに、本発明により、前記疾患、なかでも、虚血性疾患、特に、心筋梗塞、脳梗塞、とりわけ、心筋梗塞の予防または治療剤の製造のためのBH4融合ポリペプチドの使用が提供される。
以下、実施例などにより本発明を具体的に説明するが、本発明は、かかる実施例に限定されるものではない。
試薬
ヒトシトクロムcとラットシトクロムcと交差反応する抗ハトシトクロムcモノクローナル抗体(7H8.2C12)として、E.マーゴリアッシュ(Margoliash)博士(イリノイ大学、イリノイ州)の厚意により提供されたものを用いた。ラットVDACに交差反応する抗ヒトVDAC(ポーリン)モノクローナル抗体(31HL)として、カルバイオケム(Calbiochem)社より入手したものを用いた。抗ヒトBcl−xポリクローナル抗体〔ヒトBcl−xのアミノ酸配列(配列番号:10)のアミノ酸番号:193〜212の領域に特異的なL19および該アミノ酸配列のアミノ酸番号:2〜19の領域に特異的なS18〕は、サンタクルーズバイオテクノロジー(Santa Cruz Biotechnology)社から入手したものを用いた。ハイドロキシアパタイトおよびセライトとして、それぞれバイオラッド(Bio−Rad)社およびロス(Roth)社から入手したものを用いた。ジイソプロピルカルボジイミド/1−ヒドロキシベンゾトリアゾール活性化Fmoc保護アミノ酸は、ジェンザイム−シエナ(Genzyme−Syena)社から入手したものを用いた。他の試薬などは、特に記載しない限り、和光純薬社製の試薬などを用いた。参考例1 DNAトランスフェクションおよびアポトーシスアッセイ
ヒトB細胞由来cDNAライブラリー(クローンテック社製)を鋳型とし、配列番号:11および配列番号:12のそれぞれで示される配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとして、プルーフ−リーディングPfu DNAポリメラーゼ(ストラタジーン社製)を用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、ヒトbcl−x変異体DNAを作製した。前記ヒトbcl−x変異体DNAの配列を配列表の配列番号:13に示す。得られた増幅断片をpUC−GAGGS発現ベクター〔清水ら,Oncogene,13,21−29(1996)〕にそれぞれサブクローニングした。
リポフェクタミンを用い、DNAトランスフェクションをモニターするためのグリーンフルオレッセンスプロテイン(以下、GFPという)の発現構築物pEGFP−N1(クローンテック社製)(0.1μg)と共にヒトBcl−xまたはその変異体の発現プラスミド(0.1μg)により、ヒト頸部癌細胞株であるHeLa細胞を24時間トランスフェクトした。
得られたトランスフェクト細胞をVP16で24時間処理した。ついで、1μM Hoechst 33342による染色後、全陽性細胞に対する核断片化を呈したGFP陽性細胞の割合として、アポトーシスの程度を算出した。
また、崩壊促進因子(DAF)を発現させる場合、0.1μgのDAF発現構築物(pUC−CAGGS−DAF)と共にヒトBcl−xまたはその変異誘導体の発現プラスミド(各0.1μg)により、HeLa細胞を24時間トランスフェクトした。24時間後、得られた細胞を抗ヒトDAF抗体とFITC結合抗マウスIgGとで1時間染色した。ついで、セルソーター〔商品名:FACS−Vantage,ベクトン−ディッキンソン(Becton−Dickinson)社製〕を用いてDAF陽性細胞を採取し、DAFおよびBcl−xの発現をフローサイトメーターにより評価した。前記のようにして集められたDAF陽性細胞を200μMのVP16で24時間処理した。その後、細胞を10μMジギトニンで37℃で10分間処理し、遠心分離により上清とペレットとを分離した。シトクロムc量を抗ハトシトクロムc抗体を用いたウエスタンブロット解析により推定した。
参考例2 ミトコンドリアの生化学的パラメータ(ΔΨおよびシトクロムc漏出)の測定
清水らの既報〔Oncogene,13,21−29(1996)〕に従って単離したラット肝臓ミトコンドリア(1mgタンパク質/ml)を0.3M マンニトール、10 mM HEPES/K(pH7.4)、0.1%脂肪酸フリーのBSA、1mM リン酸カリウム、40μM CaClおよび活性化のための4.2mM コハク酸塩を含む培地で組換えタンパク質の存在下または非存在下に25℃でインキュベートした。
ΔΨについて、清水らの既報〔Oncogene,13,21−29(1996)〕のようにローダミン123(Rh123)の取り込みを測定することにより評価した。
シトクロムc漏出について、前記ミトコンドリアを遠心分離し、得られたペレットをRIPA緩衝液に再懸濁してミトコンドリア懸濁液を得、該ミトコンドリア懸濁液と上清とを抗シトクロムc抗体を用いて、ウエスタンブロット解析に供することにより調べた。
参考例3 免疫沈降およびウエスタンブロット解析
精製VDAC(20μg/ml)を組換えBcl−x(rBcl−x)と組換えΔ21(rΔ21)とインキュベートし、得られた混合物を抗Bcl−x(L19)抗体と正常ラビットIgGとにより免疫沈降させた。ポリペプチドとVDACとの間の相互作用を検出するために、単離ミトコンドリア(1mg)を20μgのBcl−x N末端ポリペプチドまたはBcl−x C末端ポリペプチドと5分間インキュベートした。ついで、得られたミトコンドリアをペレット化し、洗浄し、プロテイナーゼインヒビター(0.1mM p−APMSF,10μg/mlアプロチニン,1μg/mlキモスタチン,1μg/mlロイペプチン,1μg/mlアンチパイン,1μg/mlペプスタチン)の存在下、溶解用緩衝液(10mM HEPES,pH7.4,142.5mM KCl,5mM MgCl,1mM EGTAおよび0.5% NP40)に懸濁した後、超音波破砕を行なった。免疫沈降は、用いたポリペプチドに対応する抗Bcl−xポリクローナル抗体で行なった。抗VDAC抗体を用いたウエスタンブロッティングによりVDACの共免疫沈降を検出した。
参考例4 リポソームでのVDACの再構成
精製VDACを、清水らの既報〔Nature,399,483−487(1999)〕に記載の超音波凍結融解手法により、小さな単膜リポソームに再構成した。スクロース取り込み実験は、リポソームの膨潤を評価することにより行なった。
pH5.2で生産されたリポソームを、rBcl−x、rΔ21、rBaxまたはポリペプチドと共に1mlのリポソームバッファー中25℃で3分間インキュベートした。なお、酸性pHは、rBcl−xとrBaxのリポソームへの効率のよい取り込みに要求される条件である。ついで、スクロースを50mMまで添加し、リポソームの膨潤を分光光度計(F−4500、日立製作所社製)を用いて、520nmの波長で光分散の減少により評価した。スクロース取り込みは、清水らの既報〔Nature,399,483−487(1999)〕に記載の14C−スクロース取り込みからも推定された。
実施例1 ヒトBcl−xおよびヒトBcl−x Δ21の精製
ヒトBcl−xおよびBcl−x Δ21(Bcl−xのN末端21アミノ酸残基を欠失)を大腸菌株DH5α中グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)融合タンパク質として発現させ、得られた融合タンパク質をグルタチオン−セファロースカラムに供して精製した。ついで、トロンビンによる切断により、ヒトBcl−xまたはBcl−x Δ21とGSTとを分離した。また、ヒトBaxは、成田らの文献〔Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,95,14681−14686(1998)〕に従って得られた。得られた精製タンパク質を緩衝液〔組成:20mM Tris−HCl(pH7.4)、2mM MgCl、1mM ジチオスレイトール〕に溶解した。挿入断片を持たないベクター由来のGSTタンパク質を調製し、模擬の対照タンパク質として用いた。ラット肝臓VDACを清水らの既報〔Nature,399,483−487(1999)〕に従って精製した。得られたVDACは、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で単一のバンドを示した。
実施例2 ポリペプチドの合成
ジイソプロピルカルボジイミド/1−ヒドロキシベンゾトリアゾール活性化Fmoc保護アミノ酸を用いて、モデル396マルチプルポリペプチドシンセサイザー〔アドバンスド・ケムテック(Advanced Chemtech)社製〕でポリペプチドを合成した。
合成したポリペプチドを以下に示す:
合成ポリペプチド:
ヒトBcl−x BH4(ヒトBcl−xのアミノ酸番号:4−23):SNRELVVDFLSYKLSQKGYS(配列番号:3)、
第14図に記載された該ヒトBcl−x BH4(ヒトBcl−x BH4のアミノ酸番号:4−23)の変異体(配列番号:14〜21)、
ヒトBcl−2 BH4(ヒトBcl−2 BH4のアミノ酸番号:7−30):TGYDNREIVMKYIHYKLSQRGYEW(配列番号:2)、
ヒトBak BH4(ヒトBak BH4のアミノ酸番号:27−50):VAQDTEEVFRSYVFYRHQQEQEAE(配列番号:22)。
前記ポリペプチドについて、それぞれ、マトリックス介助レーザーデソープションイオン化−飛行時間型質量分析法(MALDI−TOF MS)により、純度が95%を超えることが確認された。
Bcl−xのN末端(アミノ酸番号:2−19)ポリペプチドおよびBcl−xのC末端(アミノ酸番号:193−212)ポリペプチドは、サンタクルーズバイオテクノロジー社から購入した。
HIV TAT(配列番号:5)のタンパク質トランスダクションドメイン〔PTD(アミノ酸番号:49−57)〕に対応する、ポリペプチドTAT−PTDのN末端にエオシン結合システイン残基を導入したポリペプチド〔エオシン−C−RKKRRQRRR(配列番号:23)〕を合成した。ついで、β−アラニン残基を介してエオシン標識TAT−PTDポリペプチドとヒトBcl−x BH4ポリペプチドとを結合させることにより、TAT−PTD−BH4ポリペプチド(TAT−BH4ポリペプチド)を作製した。
得られたTAT−BH4ポリペプチドは、逆相HPLCを用い、タンパク質由来の蛍光(280nmにおける吸収)をモニターすることにより、純度が、90%以上であることが確認された。
実施例3 アポトーシスミトコンドリア変化のBcl−xによる抑制におけるBH4ドメインの重要性
Bcl−2/Bcl−xがアポトーシスミトコンドリア変化をブロックすることによりアポトーシスが抑制されるので、BH4ドメインがBcl−2/Bcl−xによるアポトーシスミトコンドリア変化の抑制に必要とされるかどうかを調べた。
参考例1に従い、Bcl−xまたはそのBH4欠失変異体(Δ21:Bcl−xのアミノ酸残基2−21位を欠く)のDNAでHeLa細胞をトランスフェクトし、アポトーシスアッセイを行なった。DAFの発現構築物と共にBcl−x、Δ21またはベクター単独の発現構築物でHeLa細胞を一過的にトランスフェクトした。DAFの細胞表面発現を用いて、前記DNAでトランスフェクトした細胞を同定し、これらの細胞をフローサイトメーターを用いて回収した。
その結果、第1図に示すように、BH4ドメインを有するBcl−xを発現するトランスフェクト細胞は、100μMまたは200μMのVP16でのアポトーシス誘導に抵抗性を示すが、BH4ドメインを欠くΔ21を発現するトランスフェクト細胞およびベクター単独のトランスフェクト細胞は、100μMのVP16でのアポトーシス誘導に抵抗性を示さない。
また、第2図に示すように、93%を超える純度のDAF陽性細胞を得られた。また、得られた、ほぼ全てのDAF陽性細胞は、Bcl−xまたはΔ21を同等のレベルで発現した。
ついで、回収細胞をVP16で処理してアポトーシスを誘導した後、シトクロムc漏出を試験した。その結果、第3図に示されるように、Bcl−xの過剰発現は、VP16処理後のミトコンドリアからのシトクロムc漏出を妨げたが、Δ21の過剰発現は、シトクロムc漏出を妨げなかったので、BH4ドメインがアポトーシスシトクロムc漏出を抑制するのに必要とされることが示される。また、この結果と一致して、第4図に示すように、単離ミトコンドリアを用いた場合、組換えBcl−x(rBcl−x)は、Ca2+誘導されたミトコンドリアΔΨロスとシトクロムc漏出との両方を抑制したが、組換えΔ21(rΔ21)は、実際にミトコンドリアΔΨロスとおよびシトクロムc漏出それぞれの抑制活性を示さなかった。また、ミトコンドリアが、例えば、アトラクチロシド、過酸化水素などの他のアポトーシス刺激に曝された場合も、同様の結果が得られた。
実施例4 VDAC調節におけるBH4ドメインの役割
Bcl−xが直接VDACに結合し、このチャネルの活性を抑制して、アポトーシスシトクロムc漏出の抑制およびΔΨロスの抑制を導くことが知られている。また、清水らの既報〔Nature,399,483−487(1999)〕に記載のようにBcl−xとVDACとの間の相互作用も細胞で検出されている。そこで、VDAC調節におけるBH4ドメインの機能的役割を調べた。
まず、参考例3に従って共免疫沈降解析を行ない、Bcl−xとVDACとの間の相互作用におけるBH4ドメインの欠損の影響を調べた。その結果、第5図に示すように、共免疫沈降解析により、Bcl−xおよびVDACは、同程度にVDACと相互作用するため、BH4ドメインは、Bcl−xとVDACとの間の結合に重要ではないことが示唆される。
次に、VDAC活性の調節におけるBH4ドメインの機能的役割を調べた。2つの手法:清水らの既報〔Nature,399,483−487(1999)〕に記載の放射標識スクロースを用いる方法と、光散乱の減少をモニターすることにより、リポソームのスクロース依存性膨潤を測定する方法とを用いて、VDAC含有リポソームへのスクロース取り込みを評価して、VDAC活性を測定した。その結果を第6図に示す。顕微鏡観察またはフローサイトメトリー解析により、スクロース取り込み依存性リポソーム膨潤が確認されたので、該リポソーム膨潤は、水の浸透圧依存的な流出を圧倒する、大きなVDACポアを介したスクロースと水の速い流入にもとづくと思われる。VDACリポソームは、第6図に示すように、スクロースの存在下に膨潤したが、VDACを含有しないリポソームと変性VDACリポソームとは、膨潤を示さなかったため、スクロース取込みがVDACにより介されることが示される。
第7図に示すように、rBcl−xのVDACリポソームへの添加は、VDAC媒介スクロース取り込みを抑制し、rΔ21のVDACリポソームへの添加は、VDAC媒介スクロース取り込みに影響しなかったため、BH4がBcl−xによるVDACの抑制に必須であることが示される。また、第8図に示すように、放射標識スクロースの流入を評価することによりVDAC活性を直接測定した場合にも同様の結果が得られた。
これらの結果により、BH4ドメインは、VDACへの結合に顕著に影響を与えないが、該ドメインは、Bcl−xがVDAC活性を抑制することに要求されることが示唆される。
実施例5 Bcl−xのBH4ドメインのVDAC活性抑制への関与
VDAC活性の抑制におけるBH4ドメインの役割を明らかにするために、Bcl−xのドメインに対応するポリペプチドをVDACリポソームに添加し、VDAC活性を評価した。その結果、第9図に示されるように、BH4ポリペプチドは、濃度依存的様式でVDAC活性を抑制した。
20μg/ml BH4ポリペプチドの存在下における光散乱の増加(第9図に示す)は、該BH4ポリペプチドによるVDACの完全な閉鎖後のVDACリポソームの浸透圧依存性収縮によるものであった。また、第10図に示すように、Bcl−2由来のBH4ポリペプチドは、VDAC活性を抑制したが、Bak由来の対応するポリペプチドは不活性であった。Bcl−2およびBcl−x由来のBH4ポリペプチドは、VDACを含有しないリポソームにおいて、いかなる有意な影響をも示さなかった。清水らの既報〔Nature,399,483−487(1999)〕によれば、BaxおよびBakがVDACの活性を促進し、この影響がBcl−xにより拮抗されることが示されている。第11図に示すように、BH4ポリペプチドは、投与量依存的様式で、VDAC活性のrBax誘導促進を抑制したが、Bcl−xのBH4ポリペプチドは、Baxに結合しなかった。
これらの結果により、rBcl−xおよびBaxのVDACに対する拮抗的な影響がヘテロダイマーの形成によるものでなく、独立した作用によるものであることが示唆される。また、一般的にrBcl−xの膜への挿入を容易にする酸性pH〔清水ら、Nature,399,483−487(1999)〕でVDACリポソーム実験を行なわれていたが、中性pHでポリペプチドを用いた場合にも、実際に同じ結果が得られた。
第12図に示すように、rBcl−xと比較してより少ない程度であるが、Bcl−xのBH4ポリペプチドによるVDACの抑制に一致して、Bcl−xのN末端断片(アミノ酸番号:2−9)とVDACとの間の相互作用が検出された。Bcl−xは、BH4以外の幾つかの領域でVDACに主に結合するので、他の領域は、恐らくVDACへの親和性および/または接近能を増加させることにより、BH4の活性を促進すのであろう。これらの結果により、アンチアポトーシス性Bcl−2ファミリータンパク質のBH4ドメインがVDACを抑制するに十分であることが示唆される。
Bcl−xのL、F12などのBH4ドメインの保存残基のいくつかが、Bcl−2/Bcl−xのアンチアポトーシス活性に重要であることが報告されている。BH4ドメインによるVDACの抑制における前記保存残基の役割を評価するために、第13図に示す数種類のBH4変異体ポリペプチドを作製し、VDACにおける抑制効果を調べた。その結果を第14図に示す。
第14図に示されるように、Lの変異体ポリペプチド(LV89VF、LV89GGおよびΔLV)とF1213の変異体ポリペプチド(FL1213GGおよびΔFL)は、VDACを抑制しなかった。さらに、D11での1アミノ酸置換(D11G)およびL17での1アミノ酸置換(L17W)のそれぞれを有するポリペプチドは、正常BH4ポリペプチドのVDAC抑制活性の約70%および約半分であり、フアングらの既報〔Huang,D.C.,et al.,EMBO J.,117,1029−1039(1998)〕に記載のように、アンチアポトーシス活性の減少に一致した。これらの結果は、Bcl−xのアンチアポトーシス機能がVDAC活性の抑制により媒介されることを示唆する。
実施例6 Bcl−xのBH4ドメインによるCa2+誘導された単離ミトコンドリアのΔΨの漏出の抑制
前記第13図に示す数種類のBH4変異体ポリペプチドを用い、ΔΨの漏出における影響を調べた。単離ミトコンドリア(1mg/ml)を40μM Ca2+の存在下に20μg/mlのBcl−x BH4ポリペプチドとインキュベートし、ローダミン123強度を連続的にモニターした結果を第14図の左パネルに示す。また、単離ミトコンドリア(1mg/ml)を40μM Ca2+の存在下に20μg/mlのBcl−x BH4ポリペプチドおよび種々の変異体ポリペプチドを15分間インキュベートして、ローダミン123強度を用いてΔΨを測定した結果を第14図の右パネルに示す。
第14図および15に示されるように、Bcl−xのBH4ポリペプチドは、Ca2+誘導ΔΨロスおよびVDAC活性を有意に抑制するが、組換えBcl−xのモル濃度の約25倍を超えるモル濃度でのみ有効で、BH4以外の他の領域がVDACへの接近能を増加させるであろうことに一致する。実際にアンチアポトーシス活性に影響する、Bcl−2/Bcl−xのBH1変異体およびBH2変異体は、Bcl−2/Bcl−xがVDACへの結合能に実際に影響する。さらに、全BH4変異体ポリペプチドは、それぞれ、ミトコンドリアΔΨを抑制する能力(第14図)に比例してVDAC活性を抑制する能力(第15図)を示した。
これらの結果により、アンチアポトーシス性Bcl−xのBH4ドメインが、VDAC活性の抑制能に並行して、アポトーシスミトコンドリア変化の抑制能を有することが示唆される。
実施例7 BH4ドメインによるアポトーシス(細胞死)の抑制
前記実施例6の結果より、BH4ポリペプチド単独でもアポトーシス性のミトコンドリア変化を抑制する能力を有することが導き出されたので、さらに、BH4ポリペプチドがアポトーシスを抑制する能力を有する可能性を調べた。
そこで、細胞へのBH4ポリペプチドの移送を容易にするため、N末端エオシン標識システインとBcl−x BH4ポリペプチドと融合させたHIV TATタンパク質のPTDとを含む30アミノ酸残基の前記TAT−BH4ポリペプチドを合成し、TAT−BH4ポリペプチドの存在下に200μM VP16でHeLa細胞を処理し、光位相差顕微鏡および蛍光顕微鏡それぞれにより観察した。なお、TAT−PTDは、迅速な、濃度依存的様式でのタンパク質の細胞への輸送を容易にすることが知られている。その結果を第16図に示す。上段パネルは、細胞形態、下段パネルは、ポリペプチドの細胞内蓄積を調べた結果を示す。
第16図は、培養培地に添加されたTAT−BH4ポリペプチドが約90%のトランスフェクション効率で細胞に入ったことを示す。マイトトラッカーによるトランスフェクト細胞の共染色により、TAT−BH4ポリペプチドが、主にミトコンドリアに局在することが示された。第16図、第17図、第18図に示されるように、TAT−BH4ポリペプチドは、濃度依存的様式でVP16誘導アポトーシスを有意に抑制したが、TATのみのポリペプチドは、いかなる濃度においてもVP16誘導アポトーシスを有意に抑制しなかった。また、ポリペプチドの細胞への非効率的な運搬の結果、BH4のみのポリペプチドは、VP16誘導アポトーシスへの影響を示さなかった。これらの知見により、TAT−BH4ポリペプチドは、細胞におけるアポトーシス性の細胞死を抑制するに十分であることが示される。
実施例8 各種BH4融合ポリペプチドのアンチアポトーシス活性の評価
実施例2と同様にして、下記アミノ酸配列(配列番号:28〜33)を有するTAT−BH4ポリペプチド(BH4融合ポリペプチド)を合成した。
Figure 0003906078
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得られた各種BH4融合ポリペプチドをHOに溶解して、0.1μg/mlまたは1μg/mlのBH4融合ポリペプチド溶液を得た(アポトーシス抑制剤)とHeLa細胞とを3時間接触させることにより、HeLa細胞を前処理した。ついで、200μM VP16でHeLa細胞を処理し、アポトーシスを誘導した。各細胞を1μM Hoechst 33342により染色し、全細胞に対する核断片化を呈した細胞の割合としてアポトーシスの程度(生存率)を算出した。その結果を表1に示す。
Figure 0003906078
表1の結果より、細胞への取込み作用を発揮しうるポリペプチド(TAT)とアンチアポトーシス性Bcl−2ファミリータンパク質のBH4ドメインとの間のスペーサー基は、β−アラニンのみでなく、アラニンまたはプロリンに置換することができることがわかる。また、アンチアポトーシス性Bcl−2ファミリータンパク質のBH4ドメイン部分において4番目のグルタミン酸をアスパラギン酸に置換した場合でも実用可能なレベルのアンチアポトーシス活性を有することがわかる。
配列表フリーテキスト
配列番号:1は、アンチアポトーシス性Bclファミリータンパク質に保存されたBH4ドメインのコンセンサス配列を示す。
配列番号:7の配列中、1位のXaaは、エオシン結合システイン残基を示し、11位のXaaはβ−アラニン残基を示す。
配列番号:8の配列中、1位のXaaは、エオシン結合システイン残基を示し、11位のXaaはβ−アラニン残基を示す。
配列番号:11の配列は、ヒトbcl−xのDNAに基づいてデザインされた、変異体bcl−xの作製のためのプライマーの配列である。
配列番号:12の配列は、ヒトbcl−xのDNAに基づいてデザインされた、変異体bcl−xの作製のためのプライマーの配列である。
配列番号:13の配列は、合成されたbcl−x変異体DNAの配列である。
配列番号:14の配列は、合成されたBcl−xBH4変異体ポリペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号:15の配列は、合成されたBcl−xBH4変異体ポリペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号:16の配列は、合成されたBcl−xBH4変異体ポリペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号:17の配列は、合成されたBcl−xBH4変異体ポリペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号:18の配列は、合成されたBcl−xBH4変異体ポリペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号:19の配列は、合成されたBcl−xBH4変異体ポリペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号:20の配列は、合成されたBcl−xBH4変異体ポリペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号:21の配列は、合成されたBcl−xBH4変異体ポリペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号:23の配列は、ポリペプチドTAT−PTDのN末端にエオシン結合システイン残基を導入したポリペプチドの配列である。前記配列中、1位のXaaは、エオシン結合システイン残基を示す。
配列番号:28の配列は、合成されたBH4融合ポリペプチドのアミノ酸配列である。前記配列中、Xaaは、β−アラニン残基を示す。
配列番号:29の配列は、合成されたBH4融合ポリペプチドのアミノ酸配列である。前記配列中、Xaaは、β−アラニン残基を示す。
配列番号:30の配列は、合成されたBH4融合ポリペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号:31の配列は、合成されたBH4融合ポリペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号:32の配列は、合成されたBH4融合ポリペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号:33の配列は、合成されたBH4融合ポリペプチドのアミノ酸配列である。
産業上の利用可能性
本発明のBH4融合ポリペプチドは、ミトコンドリアΔΨロスおよびシトクロムc漏出のそれぞれを抑制することができ、より効率よく細胞へ取り込まれるため、効率よくアポトーシスを抑制することができるという優れた効果を奏する。また、本発明のアポトーシス抑制剤は、アポトーシスを抑制することができるため、AIDS、神経変性疾患、骨髄異形成疾患、虚血性疾患、感染性多臓器不全、劇症肝炎、糖尿病などの治療剤として有用である。
【配列表】
Figure 0003906078
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【図面の簡単な説明】
第1図は、Bcl−xおよびΔ21の一過的な発現のVP16により誘導されたアポトーシスへの影響を調べた結果を示す図である。HeLa細胞は、(DNAトランスフェクト細胞の検出のための)0.1μgのGFP発現構築物と共に、Bcl−x(○)、Δ21(■)またはベクターのみ(□)のそれぞれの発現構築物で24時間トランスフェクトした。示された濃度で24時間VP16によりトランスフェクト細胞を処理し、ついで処理後の細胞をHoechst 33342で染色した。全GFP陽性細胞中の核断片化を伴うGFP陽性細胞の割合として、アポトーシス性の細胞死を決定した。データは、3回の独立した実験の結果の1つを示す。
第2図は、フローサイトメトリーによる、Bcl−x発現HeLa細胞およびΔ21発現HeLa細胞の分類を調べた結果を示す図である。HeLa細胞はDAF発現プラスミドと共にBcl−x、Δ21またはベクター単独の発現産物で24時間トランスフェクトした。ついで細胞を抗ヒトDAF抗体で染色し、DAF陽性細胞をフローサイトメトリーで分取した。分取された細胞によるDAF(上段パネル)の発現またはBcl−xタンパク質およびΔ21タンパク質(下段パネル)をフローサイトメトリーを用いて解析した。点線はBcl−x発現細胞を示し、実線はΔ21発現細胞を示す。DNAでトランスフェクトされていない細胞を黒塗りの領域で示す。データは、3回の独立した実験の代表的な結果を示す。
第3図は、Bcl−xまたはΔ21によるアポトーシスシトクロムc漏出への影響を調べた結果を示す図である。示された時間、200μM VP16により第2図と同様に分取されたDAF陽性細胞を処理し、ついで生化学的細胞分画の後、ウエスタンブロット解析によりシトクロムc漏出を決定した。データは、3回の独立した実験の結果の1つを示す。
第4図は、Ca2+誘導のΔΨロスおよび単離ミトコンドリアからのシトクロムc漏出の抑制に対するBcl−xのBH4ドメインの役割を調べた結果を示す図である。パネル(A)は、ラット肝臓ミトコンドリア(1mg/ml)を40μM Ca2+と共に、20μg/mlのrBcl−x、rΔ21または模擬タンパク質で処理し、Rh123を用いてΔΨを調べた結果を示し、パネル(B)は、インキュベーション15分後の上清画分(sup)およびミトコンドリア画分(pt)におけるシトクロムcレベルを調べた結果を示す。データは、3回の独立した実験の結果の1つを示す。「トータル」は、1% Triton−X100によるシトクロムc漏出の総量を示す。
第5図は、Bcl−xおよびΔ21のVDACとの直接相互作用を調べた結果を示す図である。精製ラット肝臓VDAC(20μg/ml)をrBcl−xタンパク質(20μg/ml)およびrΔ21タンパク質(20μg/ml)とインキュベートした。試料を抗Bcl−x抗体、L19(α−Bcl−x)および正常ウサギIgG(IgG)と免疫沈降させた。ついで、免疫沈降物を抗VDAC抗体を用いたウエスタンブロッティングにより解析した。「トータル」は、用いられたVDACの総量を示す。
第6図は、VDACリポソームによるスクロース取り込みを調べた結果を示す図である。清水らの既報〔Nature,399,483−487(1999)〕の記載に従い、VDACを含有しないリポソーム、VDACリポソームおよび熱変性VDACリポソーム(加熱VDACリポソーム)を50mMスクロースとインキュベートした。リポソーム膨潤を520nmの波長で分光光度計を用いて光散乱の減少により連続的にモニターした。
第7図は、Δ21のVDAC活性抑制に対する影響を調べた結果を示す図である。左パネルは、VDACリポソームを20μg/mlのrBcl−x、rΔ21および模擬タンパク質と共に50mMスクロースとインキュベートした。光散乱は、第6図と同様にモニターした。右パネルは、Δ21のVDAC活性抑制に対するタンパク質濃度の影響を調べた結果を示す図である。VDACリポソームを示された濃度でrBcl−x(黒カラム)、rΔ21(白カラム)と共に50mMスクロースとインキュベートした。開始時の値(時間0)から10分経過時の光散乱の差異(Δ光散乱)を示す。
第8図は、VDACリポソームへの14C−スクーロースの取り込みへのBcl−xの影響を調べた結果を示す図である。清水らの既報〔Nature,399,483−487(1999)〕の記載に従い、20μg/mlのrBcl−x若しくはrΔ21の存在または非存在下にVDACを含有しないリポソーム、熱変性VDACリポソーム(加熱)およびVDACリポソームを14C−スクーロース(2μCi)と10分間インキュベートした。遠心濾過後、リポソームを回収し、2%SDSに溶解した。ついで、リポソームにおける14C−スクロース放射活性をカウントした。
第9図は、BH4ポリペプチドによるVDAC活性の抑制を調べた結果を示す図である。VDACリポソームを示された濃度のBcl−x BH4ポリペプチドと共に50mM スクロースとインキュベートし、光散乱を測定した。
第10図は、種々のBH4ポリペプチドによるVDAC活性の抑制を調べた結果を示す図である。VDACリポソームを20μg/mlのBcl−2 BH4ポリペプチド、Bcl−x BH4ポリペプチドまたはBak推定BH4ポリペプチドと共にスクロースとインキュベートし、光散乱を測定した。
第11図は、Bcl−x BH4ポリペプチドによるVDAC活性のBax誘導促進の抑制を調べた結果を示す図である。VDACリポソームを5μg/mlのrBaxおよび示された濃度のBcl−x BH4ポリペプチドの存在下または非存在下に50mMスクロースとインキュベートし、光散乱を測定した。開始時の値(時間0)から10分経過時の光散乱の差異(Δ光散乱)を示す。
第12図は、Bcl−x N末端断片またはC末端断片とVDAC 間の相互作用を示す図である。ミトコンドリア(1mg/ml)をBcl−x N末端(アミノ酸番号:2−19)ポリペプチド(20μg/ml)およびBcl−x C末端(アミノ酸番号:193−212)ポリペプチド(20μg/ml)と5分間インキュベートした。ミトコンドリアライゼートを抗Bcl−x抗体(S18)(α−NBcl−x、アミノ酸番号:2−19に対応する抗体)およびL19抗体(α−CBcl−x、アミノ酸番号:193−212に対応する抗体)による免疫沈降に供した。正常ウサギIgG(IgG)を対照として用いた。抗VDAC抗体を用いたウエスタンブロッティングにより免疫沈降物を解析した。
第13図は、変異体Bcl−x BH4ポリペプチドのアミノ酸配列を示す図である。図中、置換残基を黒塗りで示す。
第14図は、変異体BH4ポリペプチドのVDAC活性抑制能を調べた結果を示す図である。VDACリポソームを50mM スクロースと共に20μg/mlのBcl−x BH4ポリペプチドまたは示された変異体ポリペプチドとインキュベートし、ついで光散乱を測定した。左パネルは、光散乱を連続的に測定した結果を示す。右パネルは、開始時の値(時間0)から10分経過時の光散乱の差異(Δ光散乱)を示す。
第15図は、Ca2+誘導されたミトコンドリアのΔΨロスのBH4ポリペプチドによる抑制を調べた結果を示す図である。左パネルは、単離ミトコンドリア(1mg/ml)を40μM Ca2+の存在下に20μg/mlのBcl−x BH4ポリペプチドとインキュベートし、ローダミン123強度を連続的にモニターした結果を示す。右パネルは、単離ミトコンドリア(1mg/ml)を40μM Ca2+の存在下に20μg/mlのBcl−x BH4ポリペプチドおよび種々の変異体ポリペプチドを15分間インキュベートして、ローダミン123強度を用いてΔΨを測定した結果を示す。
第16図は、TAT−BH4ポリペプチドの存在または非存在下にVP16で処理したHeLa細胞の代表例を示す図である。示された濃度のTAT−BH4ポリペプチドの存在下にHeLa細胞を200μM VP16で示された時間処理した。ついで、光位相差顕微鏡および蛍光顕微鏡それぞれにより、細胞形態(上段パネル)およびポリペプチドの細胞内蓄積(下段パネル)を調べた。
第17図は、TAT−BH4ポリペプチドのVP16誘導アポトーシスへの影響を調べた結果を示す図である。100μg/mlのTAT−BH4ポリペプチド(□)、TATポリペプチド(○)の存在下またはポリペプチドの非存在下(●)に示された濃度のVP16で24時間処理し、ついでHoechst 33342で染色した。蛍光顕微鏡を用いて核形態によりアポトーシス細胞死を決定した。データは、3回の独立した実験の結果の1つを示す。
第18図は、VP16誘導アポトーシスのTAT−BH4ポリペプチドによる投与量依存的抑制を調べた結果を示す図である。示された濃度のTAT−BH4ポリペプチド(□)またはTATポリペプチド(○)の存在下に200μM VP16で24時間HeLa細胞を処理した。アポトーシス細胞死を第17図と同様にして決定した。

Claims (9)

  1. 細胞への取り込み作用を発揮しうるポリペプチドのアミノ酸配列またはその誘導体配列と、
    (A)配列番号:1,2,3,4,9,14,15,16,17,18,19,20,21または29のSer11〜Ser30に記載のアミノ酸配列、および
    (B)配列番号:1,2,3,4,9,14,15,16,17,18,19,20,21または29のSer11〜Ser30に記載のアミノ酸配列において、1残基のアミノ酸の置換、欠失もしくは挿入を有するアミノ酸配列
    からなる群より選択されたアミノ酸配列からなり、かつアポトーシスを抑制しうるBH4融合ポリペプチド。
  2. 誘導体配列が、(I)細胞への取り込み作用を発揮しうるポリペプチドのアミノ酸配列において、少なくとも1残基の化学修飾基を有するアミノ酸配列、または
    (II)細胞への取り込み作用を発揮しうるポリペプチドのアミノ酸配列において、少なくとも1残基のアミノ酸の置換もしくは挿入を有するアミノ酸配列であり、かつ細胞への取り込み作用を発揮しうるポリペプチドのアミノ酸配列、
    である、請求項1記載のBH4融合ポリペプチド。
  3. 細胞への取り込み作用を発揮しうるポリペプチドが、ヒト免疫不全ウイルスのTAT、HTLV−I由来のp27、HIV由来のart/trs、HSV−1 由来のVP22およびDrosophila由来のAntpからなる群より選ばれた少なくとも1種である、請求項1または2記載のBH4融合ポリペプチド。
  4. 細胞への取り込み作用を発揮しうるポリペプチドのアミノ酸配列が、
    (i)配列番号:5に示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号:49〜57を少なくとも含有する配列;
    (ii)配列番号:24に示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号:1〜13を少なくとも含有する配列;
    (iii) 配列番号:25に示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号:1〜16を少なくとも含有する配列;
    (iv)配列番号:26に示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号:1〜301を少なくとも含有する配列;および
    (v)配列番号:27に示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号:1〜16を少なくとも含有する配列
    からなる群より選ばれた少なくとも1種である、請求項記載のBH4融合ポリペプチド。
  5. 配列番号:6に記載のアミノ酸配列と、
    (a)配列番号:1,2,3,4,9,14,15,16,17,18,19,20,21または29のSer11〜Ser30に記載のアミノ酸配列、および
    (b)配列番号:1,2,3,4,9,14,15,16,17,18,19,20,21または29のSer11〜Ser30に記載のアミノ酸配列において、1残基のアミノ酸の置換、欠失もしくは挿入を有するアミノ酸配列
    からなる群より選択されたアミノ酸配列からなり、かつアポトーシスを抑制しうるBH4融合ポリペプチド。
  6. 配列番号:7、8、28、29、30、31、32および33からなる群より選ばれた1種のアミノ酸配列を有する、請求項記載のBH4融合ポリペプチド。
  7. 細胞への取り込み作用を発揮しうるポリペプチドのアミノ酸配列のアミノ末端にシステイン残基を有し、カルボシキル末端側にβ−アラニン残基を有する、請求項1〜いずれか記載のBH4融合ポリペプチド。
  8. 請求項1、3〜6いずれか記載のBH4融合ポリペプチドをコードしてなるDNA。
  9. 請求項1〜いずれか記載のBH4融合ポリペプチドを含有してなるアポトーシス抑制剤。
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