JP3904288B2 - 電気油圧サーボ弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、入力電気指令に比例して油圧回路を流れる油の流量を調整したり、油路を切り換えたりすることによって油圧回路を変更する電気油圧サーボ弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の電気油圧サーボ弁としては、スプールの位置を種々の駆動方式により移動させることにより、油圧回路を流れる油の流量を調整したり、油路を切り換えたりするようにしたものがあるが、そのうち図6にパイロットスプールを使用してメインスプールを移動させるようにしたパイロットスプール追従形サーボ弁の一例を示す。
【0003】
この電気油圧サーボ弁は、弁ボディ1内に収納された円筒状のスリーブ2に形成した摺動孔2e内にメインスプール3を摺動可能に嵌入させている。スリーブ2には、メインスプール3に形成された複数のランド部3a〜3cとの相対位置により流れる油の流量を調整する各コーナーを直角にそれぞれ鋭く形成したエッジ2a〜2d等と、油路4,5,6,7及び8をそれぞれ形成している。
その油路4は第2のタンクポートT2 に、油路5はシリンダ等の外部のアクチュエータに接続される第1のポートA1 に、油路7も同様に外部のアクチュエータに接続される第2のポートA2 に、油路6は油圧供給ポートPに、油路8は第1のタンクポートT1 にそれぞれ連通している。
【0004】
そして、スリーブ2のエッジ2aとメインスプール3のランド部3bの図6で左方のエッジとで、またエッジ2cとランド部3cの左方のエッジとで、さらにエッジ2bとランド部3bの右方のエッジとで、さらにまたエッジ2dとランド部3cの右方のエッジとでそれぞれ形成される各開口部の面積により、そこを流れる油の流量を制御するようにしている。
【0005】
メインスプール3には、その径方向の中心に長手方向に沿って摺動穴11と12が左右両端側にそれぞれ所定の深さで形成されていて、その一方の摺動穴11が油路44を介して油圧供給ポートPに通じる油路6に連通しており、その摺動穴11内にはベビーピストン13が摺動自在に嵌入している。
また、他方の摺動穴12は、傾斜したスプール内油路14により、油圧供給ポートPに油路15を介して連通しており、同様に傾斜したスプール内油路16により、スリーブ2に形成されている油路8に連通している。そして、その摺動穴12内に、パイロットスプール17が摺動自在に嵌入している。
【0006】
そのパイロットスプール17は、図7に明示するように固定金具18を介してリンクワイヤ19の一端部に固定されており、そのリンクワイヤ19の他端部は図6に示すようにトルクモータ20の揺動アーム21の下端に取り付けられている。
したがって、トルクモータ20を駆動すると、その際の入力電流に比例して揺動アーム21が矢示A方向に揺動し、その揺動量に応じた分だけリンクワイヤ19が図6で左右方向に移動して、パイロットスプール17が同方向に移動する。
【0007】
このサーボ弁は、メインスプール3を図6で左方に移動させるときには、トルクモータ20を揺動アーム21が同図で時計回り方向に揺動するように駆動する。すると、その際の入力電流に比例して揺動アーム21が時計回り方向に揺動するため、その揺動量に応じた分だけリンクワイヤ19が図6で左方に移動する。
したがって、そのリンクワイヤ19の移動によりパイロットスプール17が、図7に拡大して示す中立位置から図8に示すように同図で左方に移動する。
【0008】
すると、パイロットスプール17のランド部17aの図8で右方のエッジと、メインスプール3の径方向に摺動穴12を貫通するように形成された制御孔25のエッジ3dとの間に形成される開口部がメインスプール3の移動量に対して比例した開度で広くなるため、油圧供給ポートPからスプール内油路14を通って上記開口部を通り、制御孔25を介してメインスプール3に形成されている環状の受圧面eに作用する圧力が高まる。
【0009】
したがって、その高まった圧力によりメインスプール3が図8で左方に移動し、そのメインスプール3がランド部17aの中心が図9に示すように制御孔25の中心に一致する位置まで移動すると、メインスプール3はバランスして、その中立位置で停止する。このようにして、メインスプール3はパイロットスプール17の移動量に対応した分だけ移動して停止する。
また、逆にメインスプール3を図6で右方に移動させるときには、トルクモータ20を上述した場合と逆の方向に駆動して、リンクワイヤ19を介してパイロットスプール17を同図で右方に移動させる。
【0010】
この場合には、今度はパイロットスプール17の図9に示すランド部17aの同図で左方のエッジと、メインスプール3の制御孔25のエッジ3eとの間に開口部がメインスプール3の移動量に対して比例した開度で広くなるため、環状の受圧面eが面する油室28内の油が制御孔25から上記開口部を通ってスプール内油路16から第1のタンクポートT1 に一気に流出する。
したがって、今度はメインスプール3が図9で右方に移動し、それがランド部17aの中心が制御孔25の中心に一致する位置まで移動したときに、メインスプール3がバランスして停止する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の電気油圧サーボ弁にあっては、そこに接続するアクチュエータに片ロッドシリンダを使用した場合には、片ロッドシリンダはヘッド側受圧面積とロッド側受圧面積とに差があるため、その面積差が大きい場合にはシリンダロッドを収縮方向に移動させたときの移動速度が、シリンダロッドを伸長方向に移動させたときに比べて極端に遅くなってしまうという問題点があった。
【0012】
すなわち、図10に図6で説明した電気油圧サーボ弁を主要な部分のみ簡略化して示すように、この電気油圧サーボ弁に例えば片ロッドシリンダ30を、図示のようにヘッド側のシリンダ室31を第1のポートA1 に、ロッド側のシリンダ室32を第2のポートA2 にそれぞれ接続したときには、片ロッドシリンダ30のシリンダロッド33を伸長させるときには、メインスプール3を図示のように左方に移動させる。
【0013】
すると、スリーブ2のエッジ2bとランド部3bの右方のエッジとで形成される開口部aと、エッジ2dとランド部3cの右方のエッジとで形成される開口部bがそれぞれ開くので、油圧供給ポートPの圧力が開口部aを通って油路5から第1のポートA1 を介して片ロッドシリンダ30のヘッド側のシリンダ室31に作用する。
【0014】
また、第2のポートA2 が油路7から開口部bを介して第1のタンクポートT1 に連通するので、片ロッドシリンダ30のロッド側のシリンダ室32内の油が、第2のポートA2 から油路7を通って開口部bから第1のタンクポートT1 に油路8を介して流出する。したがって、片ロッドシリンダ30のシリンダロッド33がスムーズに伸長する。
【0015】
ところが、逆にシリンダロッド33を収縮させるためにメインスプール3を図11に示すように右方に移動させると、今度は図示のようにスリーブ2のエッジ2aとランド部3bの左方のエッジとで形成される開口部cと、エッジ2cとランド部3cの左方のエッジとで形成される開口部dがそれぞれ開くので、油圧供給ポートPの圧力が油路6から開口部dを通って油路7から第2のポートA2 を介して片ロッドシリンダ30のロッド側のシリンダ室32に作用する。
【0016】
また、第1のポートA1 が開口部cを介して第2のタンクポートT2 に連通するので、片ロッドシリンダ30のヘッド側のシリンダ室31内の油が、第1のポートA1 から油路5を通って開口部cから油路4を介して第2のタンクポートT2 に流出する。
しかしながら、この際に片ロッドシリンダ30のヘッド側のシリンダ室31とロッド側のシリンダ室32とは、前述したように受圧面積に差があるので、片ロッドシリンダ30のシリンダロッド33は伸長時の移動速度より遅れて収縮するようになるため、片ロッドシリンダ30は駆動方向によって移動速度に差ができてしまう。
【0017】
このように、片ロッドシリンダの場合に、シリンダロッドの伸長時と収縮時とで移動速度に差が生じてしまう理由について、以下詳しく説明する。
図6乃至図11で説明した従来の電気油圧サーボ弁の場合には、それによってヘッド側受圧面積とロッド側受圧面積とで大きな差のある片ロッドシリンダを駆動するようにしたときには、サーボ弁の差圧・流量特性、シリンダロッド移動速度と流量の関係、及び力の釣合いから、シリンダロッドの収縮時の最大移動速度はシリンダロッドの伸長時の最大移動速度に比べて遅くなる。
【0018】
Ps:サーボ弁への供給圧力
Pt:タンクへの戻り圧力
Qr:サーボ弁内での圧力損失がPvのときの流量(定格流量)
Ah:シリンダヘッド側の受圧面積、Ar:シリンダロッド側の受圧面積
V′:シリンダ伸長時の移動速度
Ph′:シリンダ伸長時のヘッド側圧力
Pr′:シリンダ伸長時のロッド側圧力
V″:シリンダ収縮時の移動速度
Ph″:シリンダ収縮時のヘッド側圧力
Pr″シリンダ収縮時のロッド側圧力
k:シリンダ収縮時の供給側サーボ弁開口面積に対しての戻り側開口面積の倍率
とすると、次の数1乃至数4の関係が成り立つ。
【0019】
【数1】
【0020】
【数2】
Ph′・Ah−Pr′・Ar=F′
【0021】
【数3】
【0022】
【数4】
Ph″・Ah−Pr″・Ar=F″
【0023】
数1〜4を、F′=F″=0、Pt=0、k=1の条件で解くと、片ロッドシリンダの伸長時と収縮時の移動速度比は数5のようになる。
【0024】
【数5】
【0025】
ここで、仮りに片ロッドシリンダのヘッド側受圧面積が3cm2 であり、ロッド側受圧面積が1cm2 であったとすると、シリンダロッドの伸長時の移動速度に対するシリンダロッドの収縮時の移動速度は58%程度と、かなり遅くなってしまう。
【0026】
そこで、シリンダロッドの伸長時の移動速度はある要求値を満足しているのだが、シリンダロッドの収縮時の移動速度を満たすためには、よりスプールの径を大きくしてメインスプールとスリーブとの間に形成される開口部の面積を大きくしなければならない。このようにすれば、非常に大型で重量の重いサーボ弁になってしまう。
また、そのようにスプールの径を大きくして大型のサーボ弁にしたとしても、閉ループ制御を行なったときにはシリンダロッドの伸長時と収縮時とで大幅なゲインの違いによって生じる系の不安定が生じてしまうという問題点があった。
【0027】
この発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、駆動するアクチュエータにヘッド側受圧面積とロッド側受圧面積とで大きな差のある片ロッドシリンダを使用したときでも、シリンダロッドの伸長方向と収縮方向とで略同じ移動速度で駆動することができる電気油圧サーボ弁を、大型化させずに実現できるようにすることを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記の目的を達成するため、弁ボディ内に収納されたスリーブに形成した摺動孔内にメインスプールを摺動可能に嵌入させ、
上記スリーブに、圧力源に連通させる油圧供給ポートと、
外部アクチュエータにそれぞれ連通させる各ポートであり、メインスプールがスリーブに対して中立位置から第1の方向に移動したときに油圧供給ポートに連通される第1のポートと、そのメインスプールが上記第1の方向と逆の第2の方向に移動して上記中立位置を越えてから油圧供給ポートに連通される第2のポートと、
メインスプールが上記第1の方向に移動して中立位置を越えてから第2のポートに連通される第1のタンクポートと、
メインスプールが上記第2の方向に移動して上記中立位置を越えてから第1のポートに連通される第2のタンクポートと、
常時第1のポートに連通しメインスプールが上記第2の方向に移動して上記中立位置を越えてから第2のタンクポートに連通する流出ポートとを設けて電気油圧サーボ弁を構成したものである。
【0029】
このようにすれば、ヘッド側受圧面積とロッド側受圧面積とで大きな差のある片ロッドシリンダ(アクチュエータ)を、この電気油圧サーボ弁で駆動する場合には、第1のポートを片ロッドシリンダのヘッド側のシリンダ室に、第2のポートをロッド側のシリンダ室にそれぞれ連通させるように接続すればよい。
【0030】
そうすれば、メインスプールを第1の方向に移動させると、油圧供給ポートが第1のポートに連通されると共に、第2のポートが第1のタンクポートに連通される。そして、その第1のポートはアクチュエータである片ロッドシリンダのヘッド側のシリンダ室に連通し、第2のポートはその片ロッドシリンダのロッド側のシリンダ室に連通しているので、油圧供給ポートから圧油がヘッド側のシリンダ室に流入すると共に、ロッド側のシリンダ室内の油が第2のポートを通して第1のタンクポートに流出し、片ロッドシリンダのロッドが伸長する。
【0031】
逆に、メインスプールを第2の方向に移動させたときには、油圧供給ポートが第2のポートに連通すると共に、第1のポートが第2のタンクポートに連通する。また、その第1のポートと常時連通している流出ポートも第2のタンクポートに連通する。
したがって、ロッド側のシリンダ室の受圧面積よりも大きな受圧面積のヘッド側のシリンダ室から流出する油は、第1のポートを介して第2のタンクポートに流れる経路と、流出ポートを介して第2のタンクポートに流れる経路との2つの経路を通して速やかに流出するため、片ロッドシリンダのシリンダロッドが伸長する際の移動速度と略同じ移動速度で収縮方向に移動する。
【0032】
また、この電気油圧サーボ弁は、メインスプールとスリーブとの間に形成されて開閉が行なわれ、開時には第1のポートと第2のタンクポートにそれぞれ連通する2つの開口部の各重合量を、そのいずれか一方の開口部の重合量を他方の開口部の重合量に対して2倍以上にするとよい。
そうすれば、メインスプールを第2の方向に移動させたときには、第1のポートが第2のタンクポートに連通するタイミングと、その第1のポートと常時連通している流出ポートが第2のタンクポートに連通するタイミングとが同時に行なわれずに、上記重合量の差に応じた分だけ一方が遅れるようになるので、フローフォース(流体力)の影響を少なくすることができる。
【0033】
また、スリーブとメインスプールとの径方向には摺動可能とするための隙間があるため、その隙間から期待されない少量の洩れ(リーク)が「油圧供給ポート→第1のポート」,「油圧供給ポート→第2のポート」,「第1のポート→第2のタンクポート」,「第2のポート→第1のタンクポート」へ生じやすいが、流出ポートを設けたことにより「第1のポート→第2のタンクポート」への洩れに加えて、「第1のポート→流出ポート→第2のタンクポート」への洩れも生じるので、上記2つの開口部の各重合量を等しくしていると洩れ量も2倍となり、エネルギの損失を増加させてしまう。
こうしたことを防ぐために、いずれか一方の開口部の重合量を他方の開口部の重合量に対して2倍以上にすることにより、洩れの増加を防ぎ、エネルギの損失を少なくすることができる。
さらに、上記いずれかの電気油圧サーボ弁において、メインスプールが、トルクモータの揺動部に取り付けられたリンクワイヤを介してパイロットスプールがメインスプールの摺動方向に移動する油圧的フィードバック機構により上記摺動方向に追従して移動するようにするとよい。
このようにすれば、電気油圧サーボ弁を比較的小型にすることができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1はこの発明による電気油圧サーボ弁を示す全体構成図であり、図6と対応する部分については同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
この電気油圧サーボ弁は、図6で説明した電気油圧サーボ弁に対して、流出ポート41を設けた点が大きく異なる。
【0035】
その流出ポート41は、常時第1のポートA1 に油路43により連通し、メインスプール3が図1に矢印Bで示す第2の方向に移動して図示の中立位置を越えてから第2のタンクポートT2 に連通するようになっている。
また、この電気油圧サーボ弁においても、外部アクチュエータにそれぞれ連通させる各ポートであって、メインスプール3がスリーブ2に対して中立位置から矢示Bと反対の第1の方向に移動したときに油圧供給ポートPに連通される第1のポートA1 と、メインスプール3が矢示Bの第2の方向に移動して中立位置を越えてから油圧供給ポートPに連通される第2のポートA2 とを設けている点については、図6で説明した電気油圧サーボ弁と同様である。
【0036】
この電気油圧サーボ弁は、メインスプール3が矢示Bと反対方向に移動して中立位置を越えてから第2のポートA2 に連通される第1のタンクポートT1 と、メインスプール3が矢示B方向に移動して中立位置を越えてから第1のポートA1 に連通される第2のタンクポートT2 とを設けている点も、図6の電気油圧サーボ弁と同様である。
この電気油圧サーボ弁は、図2に油圧回路図を示すような左右の受圧面積に大きな差のある片ロッドシリンダ30を接続するときには、図示のようにヘッド側のシリンダ室31を第1のポートA1 に、ロッド側のシリンダ室32を第2のポートA2 にそれぞれ接続する。
【0037】
そして、図1に示すようにメインスプール3が図示の中立位置にある状態のときには、メインスプール3の摺動穴11内でベビーピストン13の右端側に形成される油室に油圧供給ポートPの圧力が油路6及び44を介して導かれている。その圧力により、ベビーピストン13は中立位置調整ネジ26の右端面に押し当てられているため、その油圧供給ポートPからの圧力がメインスプール3を図1で右方へ押す力として静的に働いている。
【0038】
また、メインスプール3の図1で右方側に、そのメインスプール3とスリーブ2と摺動孔2eに嵌入されたカラー27とによって形成され、常にメインスプール3の環状の受圧面e(図3を参照)が臨む油室28には、パイロットスプール17とメインスプール3とからなる三方弁により、油圧供給ポートPの1/2の圧力が導かれている。
【0039】
そして、メインスプール3の摺動穴11の右端面11aの受圧面積Aaに対して、メインスプール3の環状の受圧面e(図3)の受圧面積Abを、Ab=2Aaとしている。したがって、油圧供給ポートPの圧力をPpとすると、
Pp・Aa=(1/2)Pp・2Aaとなり、
この状態でメインスプール3は釣合いが保たれて、図示の中立位置に保持されている。
【0040】
ところで、図3に示すようにメインスプール3に形成している制御孔25の孔幅Dwは、パイロットスプール17のランド部17aのランド幅Wよりも若干大きくしたアンダーラップになるようにしてある。
このようにすることによって、制御孔25の中心とランド幅Wの中心とが一致しているときには、油圧供給ポートPから油室28に至る開口22の開口面積と、その油室28からスプール内油路16を通して第1のタンクポートT1 に至る開口23の開口面積とが等しくなるので、油室28の容積に変化がなくて漏れもなければ、油室28の圧力は油圧供給ポートPの圧力Ppの1/2になる。
【0041】
そして、メインスプール3に対してパイロットスプール17が図4に示すように左方に移動している状態では、油圧供給ポートPから油室28に連通する側の開口22が大きくなっており、逆に油室28から第1のタンクポートT1 に至る側の開口23は閉じられるので、油室28の圧力は油圧供給ポートPの圧力Ppの1/2よりも高い圧力になる。
【0042】
したがって、メインスプール3を図4で左方に移動させる力が働き、それによってメインスプール3が左方に移動し、制御孔25の中心とランド幅Wの中心とが一致すると再びバランスしてメインスプール3が停止する。
この電気油圧サーボ弁は、上述したように図1のトルクモータ20を駆動させることによりパイロットスプール17を移動させ、それによってメインスプール3を入力電流に比例して移動させるが、この点に関しては図6で説明しているとおりである。
【0043】
この電気油圧サーボ弁は、図2に示したような左右の受圧面積に大きな差のある片ロッドシリンダ30を接続するときには、図示のようにヘッド側のシリンダ室31を第1のポートA1 に、ロッド側のシリンダ室32を第2のポートA2 にそれぞれ接続する。
そして、その片ロッドシリンダ30のシリンダロッド33を収縮させる側に移動させるときには、図1のトルクモータ20を駆動させてパイロットスプール17を同図で右方に移動させ、それによってメインスプール3を図5に示すように右方に移動させる。
【0044】
すると、スリーブ2のエッジ2cとランド部3cの左方のエッジとで形成される開口部が開くので、油圧供給ポートPの圧力が油路6から上記開口部を通って油路7から第2のポートA2 を介して片ロッドシリンダ30のロッド側のシリンダ室32に作用する。
また、スリーブ2のエッジ2aとランド部3bの左方のエッジとで形成される開口部と、エッジ2fとランド部3aの左方のエッジとで形成される開口部も開く。
【0045】
したがって、片ロッドシリンダ30のヘッド側のシリンダ室31内の油が、第1のポートA1 から油路5を通ってエッジ2aとランド部3bとの間の開口部から第2のタンクポートT2 に流出する。また、そのヘッド側のシリンダ室31内の油が、第1のポートA1 から油路5及び43を通ってエッジ2fとランド部3aとの間の開口部から第2のタンクポートT2 に流出する。
【0046】
そのため、そのエッジ2aとランド部3bとによって形成される開口部の開口面積と、エッジ2fとランド部3aとによって形成される開口部の開口面積とが同じ大きさであったとすると、ヘッド側のシリンダ室31から第2のタンクポートT2 に至る戻りラインの開口面積が2倍(図6乃至図11で説明したものに対して)になる。
【0047】
したがって、戻りラインがエッジ2aとランド部3bとによって形成される開口部側だけであったときに比べて、同一差圧において2倍の流量が流せるようになるので、片ロッドシリンダ30のシリンダロッド33を収縮させる側に移動させたときの移動速度を速めることができる。
そして、上記エッジ2aとランド部3bとによって形成される開口部と、エッジ2fとランド部3aとによって形成される開口部の2つの開口部の各重合量を、そのいずれか一方の開口部の重合量を他方の開口部の重合量に対して2倍以上にするとよい。
【0048】
そうすれば、メインスプール3を図5で矢示B方向(第2の方向)に移動させたときには、第1のポートA1 が第2のタンクポートT2 に連通するタイミングと、その第1のポートA1 と常時連通している流出ポート41が第2のタンクポートT2 に連通するタイミングとが同時に行なわれずに、上記重合量の差に対応した分だけ一方が遅れるようになるので、フローフォースの影響を少なくしてエネルギの損失を少なくすることができる。
【0049】
なお、図5において片ロッドシリンダ30のシリンダロッド33を伸長させる場合には、図1のトルクモータ20によりパイロットスプール17を同図で左方に移動させることによりメインスプール3を同方向に移動させるが、その場合の動作は図6乃至図9で説明した場合と同様であるため、その説明を省略する。
このように、この電気油圧サーボ弁は、サーボ弁としての定格流量(Qr)は大きくすることなしに、サーボ弁内に片ロッドシリンダ30のヘッド側のシリンダ室31に接続する流出ポート41を、第1のポートA1 の他にもう一つ設けることにより、図6乃至図11で説明した従来の電気油圧サーボ弁が持つ問題点を解決している。
【0050】
また、単に1ポートを追加しただけではサーボ弁として重要な圧力ゲイン特性を劣化させてしまうので、従来のサーボ弁の圧力ゲイン特性と等しくするために、上述したようにスリーブ2のエッジ2aとメインスプール3のランド部3bとによって形成される開口部と、エッジ2fとランド部3aとによって形成される開口部の2つの開口部の各重合量に差をつけている。
【0051】
なお、流出ポート41を追加したときの片ロッドシリンダの伸長時と収縮時の移動速度比は、数5から次の数6となり、先に示した片ロッドシリンダのようにヘッド側受圧面積が3cm2 であり、ロッド側受圧面積が1cm2 であったとすると、シリンダロッドの伸長時の移動速度に対するシリンダロッドの収縮時の移動速度は110%程度となり、伸長時と収縮時で略等しくなる。
【0052】
【数6】
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、駆動するアクチュエータにヘッド側受圧面積とロッド側受圧面積とで大きな差のある片ロッドシリンダを使用したときでも、シリンダロッドの伸長方向と収縮方向とで略同じ移動速度で駆動することができる電気油圧サーボ弁を、大型化させずに実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による電気油圧サーボ弁を示す全体構成図である。
【図2】同じくその電気油圧サーボ弁に片ロッドシリンダを接続した状態を示す油圧回路図である。
【図3】同じくその電気油圧サーボ弁のメインスプールに形成している制御孔とパイロットスプールのランド部とがアンダーラップしている様子を示す概略図である。
【図4】同じくそのパイロットスプールをメインスプールの制御孔に対してずらした状態を示す図3と同様な概略図である。
【図5】図1の電気油圧サーボ弁のパイロットスプールをシリンダロッドが収縮する側に移動させた状態を主要な部分のみ簡略化して示す概略図である。
【図6】従来のパイロットスプール追従型の電気油圧サーボ弁の一例を示す構成図である。
【図7】図6の電気油圧サーボ弁のパイロットスプールが中立位置にある状態を部分的に示す概略図である。
【図8】図7の位置からパイロットスプールを一方に移動させた状態を部分的に示す概略図である。
【図9】図8の位置からメインスプールがパイロットスプールに追従して再び中立位置に戻った状態を部分的に示す概略図である。
【図10】図6の電気油圧サーボ弁で片ロッドシリンダのシリンダロッドを伸長させた状態を簡略化して示す概略図である。
【図11】同じくその電気油圧サーボ弁で片ロッドシリンダのシリンダロッドを収縮させた状態を簡略化して示す概略図である。
【符号の説明】
1:弁ボディ 2:スリーブ
2e:摺動孔 3:メインスプール
17:パイロットスプール 19:リンクワイヤ
20:トルクモータ 21:揺動アーム(揺動部)
30:片ロッドシリンダ(アクチュエータ)
41:流出ポート
A1 :第1のポート A2 :第2のポート
T1 :第1のタンクポート T2 :第2のタンクポート
P:油圧供給ポート
Claims (3)
- 弁ボディ内に収納されたスリーブに形成した摺動孔内にメインスプールを摺動可能に嵌入させ、
前記スリーブに、圧力源に連通させる油圧供給ポートと、
外部アクチュエータにそれぞれ連通させる各ポートであって、前記メインスプールが前記スリーブに対して中立位置から第1の方向に移動したときに前記油圧供給ポートに連通される第1のポートと、前記メインスプールが前記第1の方向と逆の第2の方向に移動して前記中立位置を越えてから前記油圧供給ポートに連通される第2のポートと、
前記メインスプールが前記第1の方向に移動して前記中立位置を越えてから前記第2のポートに連通される第1のタンクポートと、
前記メインスプールが前記第2の方向に移動して前記中立位置を越えてから前記第1のポートに連通される第2のタンクポートと、
常時前記第1のポートに連通し前記メインスプールが前記第2の方向に移動して前記中立位置を越えてから前記第2のタンクポートに連通する流出ポートとを設けたことを特徴とする電気油圧サーボ弁。 - 前記メインスプールと前記スリーブとの間に形成されて開閉が行なわれ、開時には前記第1のポートと第2のタンクポートにそれぞれ連通する2つの開口部の各重合量を、そのいずれか一方の開口部の重合量を他方の開口部の重合量に対して2倍以上にしたことを特徴とする請求項1記載の電気油圧サーボ弁。
- 請求項1又は2記載の電気油圧サーボ弁において、前記メインスプールが、トルクモータの揺動部に取り付けられたリンクワイヤを介してパイロットスプールが前記メインスプールの摺動方向に移動する油圧的フィードバック機構により前記摺動方向に追従して移動することを特徴とする電気油圧サーボ弁。
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