JP3904267B2 - 低温流体を搬送するための接続装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は低温流体の搬送に関するものであり、特にこのような搬送のための接続装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
液体窒素、酸素、水素、またはヘリウムのような低温流体を搬送する一対の管、またはこれに類似するものの端部を急速に外したり急速に再接続したりする必要がしばしばある。たとえば、或る熱量計は液体窒素を使用しており、導管を容易に且つ頻繁に外したり再接続したりする必要がある。接続は極めて高くなることがある運転圧力に耐えることができなければならない。
【０００３】
管で流体を搬送するための着脱可能接続を設けるのに各種システムが使用されている。たとえば、ゴム管を剛い管の端部に押しつけ、ホースクランプを用いることができる。他の例では、接続しようとする管の各端部を鏡板で止め、Ｏリングを間に置いて鏡板を共にボルトで止めるかまたはクランプすることができる。他の、水ホースに使用され、「クイック接続」として知られているものは、取付け金具の端部の近くにＯリングまたは同様のガスケットを備え、ばね負荷部材をＯリングに押しつけており、この部材を逆にスライドさせて取付け金具を解放することができる。剛い管を接続するにはフェルール付き鉛管取付け金具が使用されている。
【０００４】
液体窒素または類似品に用いる従来のコネクタでは、部品を共に保持する物理的手段を使用する必要があり、即ち一般に接続および再接続に工具も必要である。液体窒素の場合のような低温用途に関する基本的問題は、低温がＯリングまたは通常のガスケット材料を脆くするということである。したがって低温導管システムは低温に曝されるＯリングまたは同様の軟らかいガスケット材料を利用することができない。軟金属のような他のガスケット材料も低温では硬くなり、または圧縮下では弾性的でないので反復使用して信頼性を維持することはできない。フェルール接続またはホースクランプを使用するもののような他のシステムではねじ込みまたはねじ戻しにその都度工具を使用する必要があり、これは比較的遅く且つ不便である。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の課題は低温流体搬送用の新規な接続装置を提供することである。他の課題は反復取外しおよび再接続に使用するのに迅速で容易な装置を提供することである。更に他の課題は取外しおよび再接続に工具を使用する必要のない装置を提供することである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
前述のおよび他の課題は、少なくとも一部が、一対の接続部材を備えた低温流体搬送用接続装置により達成される。第１の部材は、第１のフランジを備えて構成された熱絶縁材料から形成されている。第１の管状突起が第１のフランジから軸方向に突出している。第１のリムが第１のフランジから第１の管状突起の上方で突出して、これらの間に第１の円環状空隙を形成するようになっている。第１の管状突起を有した第１のフランジには、第１の貫通中心穴が設けられている。
【０００７】
第２の接続部材は第２のフランジを備えて構成された熱絶縁材料から形成されている。第２の管状突起が第２のフランジから軸方向に突出している。第２のリムが第２のフランジから第２の管状突起の上方で突出して、これらの間に第２の円環状空隙を形成するようになっている。第２のフランジおよび第２の管状突起には、第２の貫通中心穴が設けられている。
【０００８】
第１の接続部材および第２の接続部材は協同してそれらの着脱可能なユニオンを成すように構成され、ユニオンが構成されると、第１の円環状空隙および第２の円環状空隙が閉鎖空隙を形成し、第１の中心穴および第２の中心穴が、これらを通して低温流体を搬送するための組合せ穴として働くようになっている。第１の管状突起および第２の管状突起は低温流体を組合せ穴に実質的に保持する協同接合手段を備えている。
【０００９】
着脱可能な保持手段は第１の部材および第２の部材を一体に保持している。ユニオンを構成したとき第１のリムと第２のリムとの間にリングシールが設けられている。閉鎖空隙はそれにより、組合せ穴の中にある低温流体に対してリングシールと接合手段との間の熱絶縁を行なう。
【００１０】
【発明の実施の形態】
本発明は低温流体の搬送を目的としている。ここでおよび特許請求の範囲で使用するかぎり、「低温流体」とは、液体窒素、酸素、水素、ヘリウム、またはアルゴンのような、他の場合、大気温度および大気圧ではガス状である物質の低温液化相から得られる低温ガスまたは低温液体を意味している。
【００１１】
本発明による接続装置１０は、第１の接続部材１２および第２の接続部材１４を備えている。各接続部材１２，１４の形状は軸線１５を取り囲む円環状である。これらの接続部材１２，１４は金属性でよいが、好適にはセラミック、または有利にはわずかに弾力性のある、ゼネラル・エレクトリック・アルトレム^ＴＭ(Ｇｅｎｅｒａｌ Ｅｌｅｃｔｒｉｃ Ｕｌｔｒｅｍ^ＴＭ）のような、炭化水素系ポリマのような熱絶縁材料から形成される。二つの接続部材１２，１４は協働して着脱可能ユニオン（図１）に形成され、取り外すことができる（図２）。第１の部材および第２の部材にはそれぞれ貫通する第１の中心穴１６および第２の中心穴１８があり、部材を一体に保持したときそれらを通って低温流体１９が、搬送される組合せ中心穴１６、１８として働くようになっている。
【００１２】
部材の保持は、真空システムで使用される「マルモン・クランプ（Ｍａｒｍｏｎ ｃｌａｍｐ）」として知られている急速接続クランプ２０のような、どんな便利な手段によってでも行なうことができる（この種のクランプは通常のものであるから詳細は説明しない）。このクランプ２０は、各々に半円環スロット２１が形成された半径方向内側の面を有した一対の半円筒形部材または一対のシェル半部から構成されている。スロット２１は接続部材のユニオンが作用されると第１の部材および第２の部材の上に堅く嵌まるように寸法設定されている。ばねクリップを各スロット２１に嵌めて堅く保持することができる。シェル半部は一方の側では蝶番により、他方の側では調整されたスロットにねじ込まれる通常の滑入つまみねじにより共に保持される。これによりシェルは容易に所定位置に設置されるかまたは接続部材の保持から解放される。接続部材およびクランプに相補テーパを設けることにより更に使用しやすくなる。
【００１３】
低温流体用の外部配管（図示せず）または他の搬送装置への、接続部材１２，１４の取付けは、通常のまたはその他のいかなる所要手段によっても行なうことができる。たとえば、第１の接続部材に、管取付け用具のねじ山に螺合させるための雄ねじ山２２を設けることができる。他方の接続部材は、ホースクランプにより保持されるホースのための真直ぐな端部２４を備えていてよい。他の例はフェルール接続である。外部接続の一方を通常、液体窒素のような低温流体の加圧容器のような源に接続し、他方の外部接続を熱量計器のような使用点に接続することができる。どちらの接続がどちらであるかは問題ではない。
【００１４】
第１の接続部材１２は、第１の中心穴１６から半径方向外側に突出する第１のフランジ２６から形成されている。第１の管状の突起２８は、第１の中心穴１６がそれを貫いているが、第１のフランジから同軸的に突出している。リム３０が突起２８の上方でフランジの周囲から同軸的に突出し、突起２８とリム３０との間に第１の円環状空隙３２を形成するようになっており、空隙の側面の境界はフランジ２６である。
【００１５】
同様に第２の部材１４は、第２の中心穴１８から半径方向外側に突出する第２のフランジ３４と、この第２のフランジから突出する、第２の中心穴１８を有した第２の管状突起３６と、第２の管状突起３６の上方で第２のフランジ３４から突出する第２のリム３８とから形成されている。これにより、これらの間に第２の円環状空隙４０が形成されている。リングシールが、有利にはリムの一方の面４４に設けられた円環状溝に設置されたＯリング４２が、それぞれのリム３０、３８の間に配置されている。
【００１６】
内向きに、第１の部材および第２の部材が一体を成す状態で、第１の管状突起２８および第２の管状突起３６は協同接合手段を備え、低温流体を実質的に保持している。このような手段は平らな表面または押されて接触するように協同的に構成された突起端を備えることができる。有利には、図示のように、一方の管状突起２８はその内径が他方の管状突起３６の相補リップ４８の外径にほぼ等しいリップ４６を備えているので、第１の管状突起２８および第２の管状突起３６のリップは良好に着脱可能なぴったり合った同心嵌合が得られる。これにより中心穴１６、１８からの液体の外向き流れが著しく防止されるはずであるが、以下に説明するように、完全なシールにする必要はない。
【００１７】
二つの接続部材１２、１４を一体に設置すると、第１の円環状空隙３２および第２の円環状空隙４０は組合わされた閉鎖空隙３２、４０を形成する。この組合せ空隙には最初空気が入っているが、特に圧力下にある場合、穴１６、１８から漏れる幾らかの気化低温流体が空隙に入る。空隙内のガスはリングシールと共通穴内部の低温流体１９との間の熱絶縁を行なう。この絶縁はＯリング材料を、低温及び、発生する恐れのある損傷脆化から隔絶するのに特に重要である。
【００１８】
ここに説明した接続装置は容易に取り外しおよび再接続を行なうことができる。特に、この装置は極めて高圧、たとえば、最大７０ｋｇ／ｃｍ２（１０００ｐｓｉ）の下にある低温システムに使用することができる。半径方向の厚さが約４ｍｍ、軸方向の幅約８ｍｍの組合せ空隙を用いれば、通常の室内条件で組立品の外側に霜を結ばずに液体窒素の搬送を達成することができる。
【００１９】
上に特定の実施例を参照して本発明を詳細に説明してきたが、本発明の精神および付記した特許請求の範囲に入る各種変更案および修正案が当業者には明らかになるであろう。したがって、本発明は付記した特許請求の範囲およびその同等事項によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の装置を長手方向で断面した半部である。
【図２】図１の装置の分解した構成要素の斜視図である。
【符号の説明】
１２，１４ 接続部材、 １５ 軸線、 １６，１８ 中心穴、 １９ 低温流体、 ２０ クランプ、 ２１ スロット、 ２２ 雄ねじ山、 ２４ 端部、 ２６ フランジ、 ２８ 突起、 ３０ リム、 ３２ 空隙、 ３４ フランジ、 ３６ 突起、 ３８ リム、 ４０ 空隙、 ４２ Ｏリング、 ４６，４８ リップ

Claims (6)

1. 低温流体を搬送するための接続装置において、
   第１の接続部材が設けられており、該第１の接続部材が熱絶縁材料から形成されていて、第１のフランジと、該第１のフランジから軸方向に突出する第１の管状突起と、該第１の管状突起の上方で前記第１のフランジから突出し、これらの間に第１の円環状空隙を形成するようになっている第１のリムとにより構成されており、第１のフランジおよび第１の管状突起には、第１の貫通中心穴が設けられていて、
   第２の接続部材が設けられており、該第２の接続部材が熱絶縁材料から形成されていて、第２のフランジと、該第２のフランジから軸方向に突出する第２の管状突起と、該第２の管状突起の上方で前記第２のフランジから突出し、これらの間に第２の円環状空隙を形成するようになっている第２のリムとにより構成されており、第２のフランジおよび第２の管状突起には、第２の貫通中心穴が設けられていて、第１の接続部材および第２の接続部材は協同してそれらの着脱可能なユニオンを成すように構成され、ユニオンが構成されると、第１の円環状空隙および第２の円環状空隙が閉鎖空隙を形成し、第１の中心穴および第２の中心穴がそれらを通して低温流体を搬送するための組合せ穴として働き、第１の管状突起および第２の管状突起は組合せ穴の中に低温流体を実質的に保持する協動接合手段を備えるように構成されていて、
   第１の部材および第２の部材を一体に保持する着脱可能な保持手段が設けられており、
   リングシールが設けられており、該リングシールはユニオンを構成したとき、第１のリムと第２のリムとの間に設けられて、それにより閉鎖空隙がリングシールと組合せ穴の中の低温流体との間の熱絶縁を行なうことを特徴とする、低温流体を搬送するための接続装置。
2. 熱絶縁材料がポリマから成る、請求項１に記載の装置。
3. 接合手段が、ぴったり同心嵌合している第１の管状突起および第２の管状突起から構成されている、請求項２に記載の装置。
4. リングシールがＯリング・シールである、請求項３に記載の装置。
5. リングシールがＯリング・シールである、請求項１に記載の装置。
6. 保持手段がそれぞれ半円筒スロットが設けられた半径方向内側の面を有した一対の半円筒部材から成り、各スロットはユニオンを構成したとき第１の部材および第２の部材の上にぴったり嵌合する、請求項１に記載の装置。

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