JP3903508B2 - ホログラム反射板とそれを用いた反射型液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バックライトを要さず、外光(照明など)の反射により表示パターンを視覚するタイプの反射型液晶表示装置に関し、特に、従来より明るい表示が可能であると共に、カラー表示に好適な反射型液晶表示装置とそれに用いられるホログラム反射板に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶パネルの背面に反射層を有する構成の反射型液晶表示装置が公知である。図1は前記表示装置の概略を示す断面図であり、液晶パネルの背面側(以下、液晶パネルの観察者に面しない側を「背面」と称する)に配置した金属反射層により外光を反射して、観察者に液晶パネルでの表示パターンを視覚させる構成である。
金属反射層は入射光を正反射するため、表面を処理して、ある程度、拡散反射するようにしても、同図の観察者に至る反射光量を大きくすることは難しい。
正反射の方向から観察すると、表示装置(同図では、液晶パネル)の表面での照り返しによるギラツキを視覚してしまう。
【0003】
近年では、前記表示装置に於いて、既存の金属反射層の代わりに反射型ホログラムを反射層として使用することが試みられている。
反射型ホログラムを使用することにより、視域や反射方向を特定することができ、金属反射層に比べて、特定方向への明るい表示を図ることが可能となる。
【0004】
しかし、使用する反射型ホログラムが表面レリーフ型ホログラムである場合には、回折効率を高くすることが難しく、体積位相反射型ホログラムである場合には、その波長選択性により反射回折する波長幅が狭いことから、反射光が特定の色に着色してしまい、可視波長域に渡っての明るい表示を実現することが難しいという問題がある。
さらには、ホログラム自体の特性に起因して、色分散により、観察する方向に応じて表示される色が変化して視覚されるという問題もある。
【0005】
また、液晶表示装置でのカラー表示を図る際には、従来より良く知られている顔料分散型などのカラーフィルターを液晶パネルと併用することが採用されているが、反射型の液晶表示装置では、カラーフィルターでの吸収などにより表示の明るさが低下したり、カラーフィルターの採用に伴うコストアップの問題も発生することになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、金属反射層に代えてホログラムを反射層として使用する反射型液晶表示装置にあって、カラーフィルターを用いずにフルカラー画像の明るい表示を実現できるようなホログラム反射板とそれを用いた反射型液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ホログラム反射板を構成するホログラムとして、体積位相透過型ホログラムを採用すると共に、所望の色の液晶セルに反射光が入射するように設計された反射層を前記ホログラムの背面に配置した構成とする。
【0008】
請求項1の発明は、
外光の反射により表示パターンを視覚するタイプの反射型液晶表示装置に用いられるホログラム反射板であって、
体積位相透過型ホログラムの背面に、片面に単位レンズ群を有するレンズシートが配置され、前記レンズシートに反射層が形成された構成であり、
前記ホログラムで分光したR・G・Bの各透過回折光が、対応する色の液晶セルに入射するように反射され、ホログラム反射板への入射光の正反射方向とは異なる方向に反射光を出射することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、
片面にシリンドリカルレンズ群を有するレンチキュラーシートのシリンドリカル面に反射層が形成された構成であることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、
シリンドリカルレンズの1ピッチが、液晶表示装置のR・G・Bからなる液晶セル1組に対応する構成であることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、
上記の何れかに記載のホログラム反射板を、前記ホログラムが液晶パネルの背面側に面するように配置してなる構成の反射型液晶表示装置である。
【0012】
<作用>
体積位相透過型ホログラムを採用することにより、回折効率が高く、回折する波長幅が広いものとなり、可視波長域に渡っての明るい表示が可能であるため、フルカラー画像の表示に好適である。
【0013】
また、入射光(または反射層からの反射光)は、ホログラムによって透過回折を受けることで、結果として入射光の正反射方向とは異なる方向に反射光を出射することになり、ホログラム表面での照り返しによる入射光の光源の像を意識せずに済み、視域や反射方向を特定することができる。
【0014】
体積位相透過型ホログラムの背面に配置する反射層が、レンチキュラーシートのシリンドリカル面に形成されており、シリンドリカルレンズの1ピッチが、R・G・Bからなる液晶セル1組に対応する構成であることにより、前記ホログラムで分光したR・G・Bの各透過回折光が、対応する色の液晶セルに正確に入射するように反射される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
【0016】
<実施形態1>
図2は、本発明のホログラム反射板を用いた反射型液晶表示装置の一実施形態の概略を示す断面図である。
同図では、レンズシートとして、片面に凸シリンドリカルレンズ群を有する透明なレンチキュラーシートを用いており、シリンドリカル面に金属反射層を形成している。
ホログラム反射板10は、液晶パネル20の背面に配置されており、体積位相透過型ホログラム11と金属反射層13を有するレンチキュラーシート12とから構成される。
【0017】
図3は、上記表示装置における光路を、1つのシリンドリカルレンズについて示す説明図であり、同図により以下に説明する。
なお、シリンドリカルレンズの1ピッチは、液晶パネル20の液晶画素セル3 つ分(R・G・B)である。
【0018】
外光が液晶表示装置に入射すると、まず液晶パネル20で表示パターンに応じて変調された後、ホログラム反射板10に達する。
【0019】
ホログラム反射板10の液晶パネル側は、体積位相透過型ホログラム11であり、角度αで入射する入射光はホログラム11で分光回折され、分光回折されたR・G・Bそれぞれのバンド幅の回折光は、レンチキュラーシート12の平坦面から入射する。(図3(a) )
【0020】
R・G・Bそれぞれのバンド幅の回折光は、シリンドリカル面の金属反射層13で正反射されて、レンズでの屈折および反射面の形状に応じて、液晶パネル20のR・G・Bの液晶セル(画素)に向かって集光する。(図3(b) )
【0021】
液晶パネル20を通過した回折反射光は、観察者にパターン表示光として到達する。
【0022】
<実施形態2>
図4は、反射型液晶表示装置の他の実施形態の概略を示す断面図である。
同図では、レンズシートとして、片面に凸シリンドリカルレンズ群を有する透明なレンチキュラーシート12を用いており、シリンドリカル面が液晶パネル20側に面しており、平坦面側に体積位相透過型ホログラム11と金属反射層13を有する構成となっている。(図4(a) )
【0023】
図4(b) 〜(c) は、上記表示装置における光路を、1つのシリンドリカルレンズについて示す説明図である。
【0024】
液晶パネル20で表示パターンに応じて変調された外光(図示せず)が、角度αでホログラム反射板10に入射する。
【0025】
入射光は、シリンドリカルレンズ特性に応じてホログラム11に集光して入射する。そして、ホログラム11を透過する際に分光回折され、分光回折されたR・G・Bそれぞれのバンド幅の回折光は、密接する金属反射層13に入射する。(図4(b) )
【0026】
R・G・Bそれぞれのバンド幅の回折光は、金属反射層13で正反射されて、レンズでの屈折および反射面の形状に応じて、液晶パネル20のR・G・Bの液晶セル(画素)に向かって集光することになる。(図4(c) )
【0027】
上記の場合、ホログラム11によるR・G・Bの回折光の出射方向と鏡面対称な方向に各色の反射光が出射し、レンズでの屈折に応じて、液晶パネル20のR・G・Bの液晶セル(画素)に向かって集光するため、図4(c) に示す光路をとることになる。
【0028】
なお、上記の何れの実施形態においても、入射する外光がホログラム11を透過して金属反射層13に至る前に透過回折されており、金属反射層13での反射光がホログラム11を透過する際には透過回折されていない。
これは、体積位相透過型ホログラムの角度選択性(特定角度での入射光のみを透過回折する特性)によるものであり、ホログラムの撮影条件によって前記特性は決定される。
【0029】
上記の実施形態に限らず、入射する外光が最初にホログラム11を透過する際には透過回折されずに、金属反射層13からの反射光がホログラム11を透過する際に透過回折されるような実施形態であっても、本発明の主旨を逸脱する内容ではない。(この場合は、ホログラム11の表裏を反転すれば良い)
【0030】
<実施形態3>
図5(b) は、反射型液晶表示装置の他の実施形態の概略を示す断面図である。同図では、レンズシートとして、片面に凸レンズ群がアレイ状に配置された透明なハエノ目レンズシート12を用いており、レンズシート12の平坦面が体積位相透過型ホログラム11に面しており、レンズ面に金属反射層13を有する構成となっている。
【0031】
ホログラム反射板10から液晶パネル(図示せず)に入射するR・G・Bの回折光は、レンズアレイ(および液晶セル)の配置に応じて、図示のようにマトリクス状に集光することになり、図5(a) に示す(実施形態1,2に相当する)ように線状に集光する場合よりも、外光の利用効率が一層向上する。
【0032】
<他の実施形態>
上記の何れの実施形態でも、凸レンズ群を有する透明なレンズシートを用いたが、本発明はそれに限定されるものではなく、以下に例示する実施形態であっても良い。
【0033】
(1)片面に凹シリンドリカルレンズ群を有するレンチキュラーシートのシリンドリカル面に反射層が形成され、前記反射層が前記ホログラムに面した構成。
【0034】
(2)アレイ状に配置された凹レンズ群を有するレンズシートのレンズ面に反射層が形成され、前記反射層が前記ホログラムに面した構成。
【0035】
(3)レンズシートが、凸レンズ群ではなく、プリズムレンズ群(リニア,またはアレイ状に配列)からなる構成。
【0036】
何れの場合のレンズシートにおいても、レンズアレイは、液晶表示装置の液晶セルのピッチに対応する程度に、ピッチが微細でなければならない。
レンチキュラーシートは、透明な熱可塑性樹脂(アクリルなど)シートに対してプレス成型を行なったり、溶融押し出しと同時に両面成型を行なうことにより得られているのが現状であるが、熱可塑性樹脂に対する各種の成型法では、上記のファインピッチ化が非常に困難である。その理由は、熱成型後の冷却時に温度の不均一が生じ、成型物に反りが発生したり、熱収縮の不均一が発生するというプラスチック特有の熱戻り現象に起因するためである。
【0037】
ファインピッチなレンズシートを成型するのに好適な製造方法として、紫外線硬化性樹脂または電子線硬化性樹脂(これらを、感光性樹脂と総称する)を用いた公知の成型方法が好適である。
【0038】
レンズシートの構成としては、透明支持体上に、感光性樹脂の硬化物からなるレンズ部が成型されたものが好適である。
透明支持体としては、紫外線(または電子線)透過性を有する透明な樹脂フィルムが好ましく、レンズ部の形成される側に感光性樹脂に対する易接着処理が施されてあることが一層好ましい。材質としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)などが使用される。
【0039】
紫外線硬化性樹脂の塗布装置は、特に限定されるものではないが、ドクターブレード,ダイコートなどの塗布装置が望ましい。
透明支持体の片面への紫外線硬化性樹脂の塗布厚は、形成するレンチキュラーレンズの形状によって異なるが、0.1mm〜0.2mmが適当である。
【0040】
感光性樹脂としては様々なものがあるが、一般的には分子中にアクリロイル基を有するものであり、エポキシアクリレート系,ウレタンアクリレート系,ポリエステルアクリレート系,ポリオールアクリレート系などのオリゴマー、ポリマーと単官能基・2官能基・多官能基を有する(メタ)アクリル系モノマー;例えばテトラヒドロフルフリルアクリレート,ポリエチレングリコールジアクリレート,トリメチロールプロパントリアクリレートなどのポリマー・オリゴマーの混合物が用いられる。
【0041】
図6は、既存の金属反射層を用いた反射型液晶表示装置の反射光量分布を示すグラフ32と本発明のホログラム反射板を用いた場合の反射光量分布を比較して示すグラフ33である。
図示のように、金属反射層(グラフ32)では、正反射方向への反射光の強度が最も強く、周辺に行くに従って正規分布状に弱まっていく。一方、本発明のホログラム反射板(グラフ33)では、その作製方法で視域を制御できるため、図示のような光量分布となり、所定の視域範囲内で均一の明るさを保つことができ、しかも正反射方向とはずれた位置で観察できるため、光源からの正反射光を意識せずに見易く明るい表示が可能となる。
【0042】
図7は、体積位相反射型ホログラムの分光回折効率(グラフ34)と体積位相透過型ホログラムの分光回折効率(グラフ35)を比較して示す説明図である。
体積位相型ホログラムの回折効率とその回折波長幅は、主にそのホログラムが記録されている感光材料の膜厚と記録されている干渉縞の空間周波数および屈折率変調度に依存する。
上記の感光材料のパラメーターが同条件の時、図示のように、回折波長幅は透過型ホログラム35の方が反射型ホログラム34より明らかに広く、従って体積位相透過型ホログラムを用いることで体積位相反射型ホログラムの数倍明るい反射板となる。
【0043】
ところで、体積位相反射型ホログラムで体積位相透過型ホログラムと同様の広い回折波長幅を得るためには、屈折率変調度が透過型で要求されるものより数倍必要であり、感光材料に要求される性能が厳しくなり、現実的ではない。
体積位相透過型ホログラムの回折波長幅が、体積位相反射型ホログラムのそれに比べて広いことは、当該技術分野における公知事項であり、本明細書においては詳細な説明は省略するが、例えば、”THE BELL SYSTEM TECHNICAL JOURNAL ,November 1969 ,Volume48,Number9”の論文に掲載されている「結合波理論」により説明される。
【0044】
本発明において採用される体積位相透過型ホログラムは、通常の2光束ホログラム撮影光学系により、体積位相型ホログラム用感光材料を用いて記録することができる。前記感光材料としては、重クロム酸ゼラチンや銀塩感光材料、フォトポリマーなどが使用できる。
なお、本発明の目的を実現する上で、感光材料の厚さは1〜100μm程度が好適である。
【0045】
【発明の効果】
金属反射層に代えてホログラムを反射層として使用する反射型液晶表示装置において、カラーフィルターを用いずにフルカラー画像の明るい表示を実現できるようなホログラム反射板とそれを用いた反射型液晶表示装置が提供される。
本発明の構成では、入射する光を減衰する要素が存在しないため、外光の利用効率が向上して、明るい表示が可能である。
【0046】
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶パネルの背面に金属反射層を有する従来構成の反射型液晶表示装置の概略を示す断面図。
【図2】本発明のホログラム反射板を用いた反射型液晶表示装置の一実施形態の概略を示す断面図。
【図3】上記表示装置における光路を、1つのシリンドリカルレンズについて、(a)は入射光路、(b)は反射光路を示す説明図。
【図4】(a)は、本発明のホログラム反射板を用いた反射型液晶表示装置の他の実施形態の概略を示す断面図であり、(b)(c)は、1つのレンズアレイについて、入射光路・反射光路を示す説明図。
【図5】(a)はレンチキュラーシートについて、(b)はハエノ目レンズシートについて、それぞれのレンズジートをホログラム反射板に用いた場合について、分光回折する光の集光特性の違いを示す説明図。
【図6】既存の金属反射層を用いた反射型液晶表示装置の反射光量分布(グラフ32)と、本発明のホログラム反射板を用いた場合の反射光量分布(グラフ33)を比較して示すグラフ。
【図7】体積位相反射型ホログラムの分光回折効率(グラフ34)と体積位相透過型ホログラムの分光回折効率(グラフ35)を比較して示す説明図。
【符号の説明】
10…ホログラム反射板
11…体積位相透過型ホログラム
12…レンズシート
13…金属反射層
20…液晶パネル
32…金属反射層を用いた液晶表示装置の反射光量分布を示すグラフ
33…ホログラム反射板を用いた液晶表示装置の反射光量分布を示すグラフ
34…体積位相反射型ホログラムの分光回折効率
35…体積位相透過型ホログラムの分光回折効率
Claims (4)
- 外光の反射により表示パターンを視覚するタイプの反射型液晶表示装置に用いられるホログラム反射板であって、
体積位相透過型ホログラムの背面に、片面に単位レンズ群を有するレンズシートが配置され、前記レンズシートに反射層が形成された構成であり、
前記ホログラムで分光したR・G・Bの各透過回折光が、対応する色の液晶セルに入射するように反射され、ホログラム反射板への入射光の正反射方向とは異なる方向に反射光を出射することを特徴とするホログラム反射板。 - 片面にシリンドリカルレンズ群を有するレンチキュラーシートのシリンドリカル面に反射層が形成された構成であることを特徴とする請求項1記載のホログラム反射板。
- シリンドリカルレンズの1ピッチが、液晶表示装置のR・G・Bからなる液晶セル1組に対応する構成であることを特徴とする請求項2に記載のホログラム反射板。
- 請求項1〜請求項3の何れかに記載のホログラム反射板を、前記ホログラムが液晶パネルの背面側に面するように配置してなる構成の反射型液晶表示装置。
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JPH10206639A JPH10206639A (ja) | 1998-08-07 |
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