JP3902948B2 - 動画像符号化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は動画像符号化装置に関し、特に、ビット配分を最適化して、低ビットレート下での符号化の高効率化を図るのに好適な動画像符号化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
動画像符号化装置におけるビット配分の方法として、従来から、ピクチャレイヤのビット配分方法と、マクロブロックレイヤのビット配分方法とが知られている。
【0003】
前者のピクチャレイヤのビット配分方法は、ピクチャタイプ(すなわち、I、P、Bピクチャ)毎に符号化難易度を定義し、該符号化難易度の比率で、予め所定のピクチャ(画面)数(例えば、1GOP)に割り当てられたビット数を各ピクチャ毎に比例配分するものである。
【0004】
一方、後者のマクロブロックレイヤのビット配分方法は、マクロブロック単位に発生ビット数を入力とし、目標ビット数としてT/MB(Tは前記ピクチャレイヤのビット配分で求められた当該ピクチャの目標ビット数、MBはピクチャ内マクロブロック数)に相当するビット数を出力とする仮想バッファを定義したとき、マクロブロックの符号化が完了する都度、該仮想バッファの占有量dの更新を行い、該占有量dが大きい程、粗い量子化パラメータを割り当てるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記のピクチャレイヤのビット配分方法は、符号化難易度の定義が厳密ではなく、最適なビット配分方法とは言えない。また、前記のマクロブロックレイヤのビット配分方法は、マクロブロック毎の発生ビット数を平滑化する作用が働くので、マクロブロック毎の符号化特性に応じた最適なビット配分ができないという問題、および前記占有量dの変動により、意図に反して画面内の再生画質に不均一性が生じ、主観画質に低下を招く恐れがあるという問題があった。
【0006】
本発明は前記した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、動画像符号化におけるピクチャ単位およびマクロブロック単位のビット配分を、レート−歪み特性および視覚優先度(注視度)の規範でより厳密に行うことにより、従来方式より大幅に高効率な符号化を行うことのできる動画像符号化装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記した目的を達成するために、本発明は、画面単位で処理を行う動画像符号化装置において、レート−歪みの関係を用いて、画面毎に目標量子化誤差電力を設定する第1の手段と、前記画面の矩形小領域毎にDCT係数当たりの目標量子化誤差電力を設定し、該目標量子化誤差電力を達成する量子化ステップサイズを決定する第2の手段とを具備し、局所的な符号量制御を実現するようにした点に特徴がある。
【0008】
この特徴によれば、動画像符号化におけるピクチャ単位のビット配分をレート−歪み特性の規範で、またマクロブロック単位のビット配分を視覚優先度(注視度)の規範でより厳密に行うことができるので、従来方式より大幅に高効率な符号化を行うことが可能になる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態の動画像符号化装置の構成を示すブロック図である。
【0010】
画像入力Piは、まず入力解析部11と動き推定・動き補償部19に入力する。入力解析部11では、画像入力の例えば輝度分散等から視覚優先度vが求められる。予測信号減算器12では、画像入力Piから動き補償予測信号が減算され、予測誤差信号が出力される。該予測誤差信号は、高い符号化効率を得るために、DCT(離散コサイン変換)部13で直交変換され、量子化器14で量子化される。
【0011】
なお、該DCT部13から得られるDCT係数に基づいて、その分散σ が求められ、後述のレート−歪み特性解析部31に送られる。また、有意のDCT係数、例えばある値以上のDCT係数の数NACが1ピクチャ分カウントされ、後述のビット配分制御部32に送られる。また、前記量子化器14は、該ビット配分制御部32から量子化パラメータUを得て、量子化を行う。量子化後の量子化誤差電力D’は、前記レート−歪み特性解析部31に送られる。なお、該量子化誤差電力D’は、例えば量子化器14の入力信号と逆量子化器15の出力信号の差等から求められることができる。
【0012】
量子化器14の出力は、その後、可変長符号化(VLC)部20でハフマン符号化等の可変長符号に変換され、一旦バッファメモリ21に格納された後、回線出力(ビットストリーム)Poとして出力される。なお、バッファメモリ21の占有量等を基に、次のピクチャの割当てビット数(または、発生ビット数)R’が求められ、前記レート−歪み特性解析部31に送られる。
【0013】
また、復号側と同一の予測信号を用いるために、量子化器14で得られた量子化係数を逆量子化器15で逆量子化し、逆DCT部16で予測誤差信号が局所的に復号される。この予測誤差信号は、局所復号加算器17で、動き推定・動き補償部19で生成された動き補償予測信号と加算され、フレームメモリ18に記憶される。該動き推定・動き補償部19では、動き補償予測信号の生成、動きベクトルMVの決定、および符号化モードの選択がなされる。
【0014】
動画像符号化における最適ビット配分は、最適ビット配分部30によりなされる。該最適ビット配分部30は、レート−歪み特性解析部31とビット配分制御部32から構成される。レート−歪み特性解析部31は、ピクチャ単位のビット配分を、またビット配分制御部32は、マクロブロック単位のビット配分を行う。
【0015】
以下に、本実施形態の前記最適ビット配分について、詳細に説明する。まず、該最適ビット配分の原理を説明する。最初に、ピクチャ(画面)毎に割り当てる符号化ビット数の算出を、R−D特性(レート−歪みの関係)を考慮に入れ、ピクチャ毎に目標とする量子化誤差を設定した上で厳密に行う。すなわち、ピクチャ毎に割り当てる符号化ビット数の配分を、次のR−D特性の式((1−1)式〜(1-3)式)、GOP内残ビット数RGOPを表す式((2)式)、およびI,P,Bピクチャにおける歪みDの許容の度合いを表す式((3)式)を用いて行う。
=f(R,σxI ) ・・・(1−1)
=f(R,σxP ) ・・・(1−2)
=f(R,σxB ) ・・・(1−3)
GOP =N×R+N×R+N×R ・・・(2)
=D=D /1.4 ・・・(3)
ここに、D、D、Dは、量子化誤差電力、R、R、R は、割当てビット数、σxi 、σxP 、σxB は、DCT係数の分散、f、f、fは、R−D特性を表現する関数、N、N、Nは、GOP内残ピクチャ枚数、および RGOPは、GOP内残ビット数である。
【0016】
なお、前記R−D特性を表現する関数f、f、fとして、例えば、次の関数((4-1)式〜(4-3)式)を上げることができる。以下では、これらの式を用いて説明する。
=σxi ×2−2aIRI ・・・(4-1)
=σxP ×2−2aPRP ・・・(4-2)
=σxB ×2−2aBRB ・・・(4-3)
ここに、a、a、a は、レート−歪みパラメータである。
【0017】
また、前記(3)式は、I、Pピクチャは予測参照されるピクチャであり、Bピクチャは予測参照されないピクチャであるので、Bピクチャの量子化誤差の許容度合いを他のピクチャより上げる配慮をしたものである。この配慮により、全体の符号化効率を高めることができる。
【0018】
上記のようにして、ピクチャ毎に割り当てる符号化ビット数が算出されると、次に、矩形小領域(例えば、16画素×16ラインのマクロブロック)毎に目標とするDCT係数量子化誤差を設定した上で、該目標を達成する量子化パラメータを、該マクロブロック毎に割り当てる処理を行う。
以上が、本実施形態の原理である。
【0019】
次に、前記レート−歪み特性解析部31とビット配分制御部32の動作を、図2、図3のフローチャートを参照して詳細に説明する。まずレート−歪み特性解析部31の動作を、図2を参照して説明する。
【0020】
ステップS1では、前記画像入力Piのピクチャ数を表す変数iを0に置く。ステップS2では、前記(4-1)式、(4-2)式および(4-3)式のレート−歪みパラメータa、a、aを初期化する。初期値としては、例えば過去に得られた該レート−歪みパラメータの平均値を用いることができる。ステップS3では、画像Piを入力し、ステップS4では、該画像PiをDCT変換することにより得られるDCT係数の分散σ を取得する。ステップS5では、該画像Piの符号化ピクチャタイプが、I、P、およびBピクチャのいずれであるかの判定がなされる。
【0021】
Iピクチャの場合には、ステップS6に進み、前記レート−歪みの関係式である(4-1)〜(4-3)式、(2)式および(3)式から、量子化誤差電力と割当てビット数(D,R)を算出する。
【0022】
次に、ステップS7〜S11に進み、該量子化誤差電力Dが、予め定められた最大値DMAX以上であるか、最小値DMIN以下であるか、あるいは該最大値DMAXと最小値DMINの間であるかの判断がなされる。量子化誤差電力Dが該最大値DMAX以上の場合には、量子化誤差電力が大きくなりすぎるのでステップS8で目標量子化誤差D=DMAXとして、前記ビット配分制御部32に出力する。この操作により、配分するビット数を多めに保つことができるようになり、主観画質の破綻を防ぐことができるようになる。
【0023】
一方、量子化誤差電力Dが前記最小値DMIN以下の場合には、量子化誤差電力が小さくすぎるのでステップS10でD=DMINとして、前記ビット配分制御部32に出力する。この操作により、配分するビット数を少なめに保つことができるようになり、過剰なビット配分を防ぐことができるようになる。また、DMIN≦D≦DMAXの場合には、D=Dとして出力する。
【0024】
レート−歪み特性解析部31から該目標量子化誤差Dが出力されると、後述の説明から明らかになるように、量子化器14は該画像Piを量子化し、可変長符号化部20は可変長符号化してバッファメモリ21に送出する。ステップS12では、この符号化により得られた量子化誤差電力と割当(又は、発生)ビット数(D’,R’)を、それぞれ量子化器14,バッファメモリ21(図1参照)から取得する。なお、これに限定されず、該量子化誤差電力と割当ビット数(D’,R’)は、さらに以前の符号化済みピクチャの結果から取得するようにしてもよい。すなわち、符号化済み近傍ピクチャの結果から取得するのが好適である。
【0025】
次に、ステップS13では、該(D’,R’)を、例えば前記(4-1)式に適用して、前記レート−歪みパラメータaを更新する。ステップS14では、i=N(Nは、シーケンス内ピクチャ数、例えば同一シーン内ピクチャ数)が成立するか否かの判断がなされ、この判断が否定の場合にはステップS15に進む。ステップS15では、iに1が加算され、ステップS3では次の画像Piが動画像符号化装置に取り込まれる。
【0026】
以下、ステップS5で判定される画像Piのピクチャタイプ毎に、各ピクチャタイプにおける目標量子化誤差Dを求める動作が繰り返されるが、PおよびBピクチャの処理は前記Iピクチャにおける処理と同様であるので、説明を省略する。前記処理の結果、ステップS14の判断が肯定になると、画像Pi毎に目標とする量子化誤差Dを設定する処理を終了する。
【0027】
次に、ビット配分制御部32の動作を、図3を参照して説明する。この制御は、前記目標量子化誤差Dのピクチャのマクロブロックに関し、マクロブロック毎に目標とするDCT係数量子化誤差を設定した上で、該目標を達成する量子化パラメータを、該マクロブロック毎に割り当てる処理である。
【0028】
ステップS51では、前記レート−歪み特性解析部31から、前記目標量子化誤差Dを取得する。ステップS52では、DCT部13で変換された1ピクチャ分のDCT係数から有意のDCT係数の個数NACを求める。ステップS53では、1係数当たりの目標量子化誤差電力DACを、N×D/NACにより求める。ここに、Nはピクチャ内画素数である。
【0029】
ステップS54では、マクロブロック数を表す変数jを、j=0と置く。ステップS55では、前記入力解析部11(図1参照)で得られた当該マクロブロックの視覚優先度vを取得する。ステップS56では、1係数当たりのマクロブロックjの目標量子化誤差電力dAC(j)を求める。該目標量子化誤差電力dAC(j)は、(v/avg(v))×DACから求められる。ここに、avg(v)は、vのピクチャ内平均を求める関数である。
【0030】
ステップS57では、U=QMAX(QMAXは、予め定められた量子化パラメータの最大値)と置かれる。ステップS58では、該量子化パラメータUを用いて量子化した結果、前記1係数当たりのマクロブロックの目標量子化誤差電力dAC(j)が達成されるか否かの判断がなされる。達成されない場合には、ステップS59に進んでU=1が成立するか否かの判断が行われ、この判断が否定の時には、ステップS60に進んで、該Uから1が減じられる。そして、再度ステップS58に進んで、該1減じられたUでの量子化により前記目標量子化誤差電力dAC(j)が達成されるか否かの判断がなされる。達成された場合には、ステップS61に進んで量子化パラメータとして、該Uが量子化器14に出力される。一方、ステップS59の判断が肯定になった時には、U=1が量子化器14に出力される。
【0031】
このステップS57〜S61により、マクロブロック内の1係数当たりの目標量子化誤差電力dAC(j)を達成する量子化パラメータUが厳密に求められることは明らかである。
【0032】
ステップS62では、j=M−1(Mはピクチャ内マクロブロック数)が成立するか否かの判断がなされ、この判断が否定の時にはjに1が加算されて、再度ステップS55に戻り、次のマクロブロックの視覚優先度vが取得される。
【0033】
以下、前記した動作が繰り返されて、ステップS62の判断が肯定になると、当該ピクチャのマクロブロックのビット配分動作が終了する。
【0034】
上記の図3の動作によれば、マクロブロック内の1係数当たりの目標量子化誤差電力dAC(j)を達成する量子化パラメータUを視覚優先度(注視度)の規範で厳密に求め、これを量子化器14に提供することができるようになる。
【0035】
以上のように、本実施形態によれば、動画像符号化におけるピクチャ単位のビット配分をレート−歪み特性の規範で、またマクロブロック単位のビット配分を視覚優先度(注視度)の規範で、より厳密に行うことができるようになる。
【0036】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1、2の発明によれば、従来のビット配分方式のような仮想バッファの概念を持たず、各矩形小領域の発生ビット数を平均的な値に押さえ込む要素が一切ないため、マクロブロック毎のビット配分をより柔軟に実現することができる。
【0037】
また、動画像符号化におけるピクチャ単位のビット配分をレート−歪み特性の規範で、またマクロブロック単位のビット配分を視覚優先度(注視度)の規範でより厳密に行うことができるので、従来方式より大幅に高効率な符号化を行うことが可能になる。また、本発明は、狭帯域下でのHDTV放送等における画質劣化の解消に効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態の概略の構成を示すブロック図である。
【図2】 図1のレート−歪み特性解析部の動作を示すフローチャートである。
【図3】 図1のビット配分制御部の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
11・・・入力解析部、13・・・DCT部、14・・・量子化部、20・・・可変長符号化部、21・・・バッファメモリ、30・・・最適ビット配分部、31・・・レート−歪み特性解析部、32・・・ビット配分制御部。

Claims (1)

  1. 画面単位で処理を行う動画像符号化装置において、
    レート歪みの関係を用いて、画面毎に目標量子化誤差電力を設定する第1の手段と、
    前記画面の矩形小領域jの輝度分散等から求められる視覚優先度v を用いて、該画面の矩形小領域毎にDCT係数当たりの目標量子化誤差電力 AC (j)を下記の (1) 式から設定し、該目標量子化誤差電力を達成する量子化ステップサイズを決定する第2の手段とを具備し、
    局所的な符号量制御を実現するようにしたことを特徴とする動画像符号化装置。
    AC (j)=v avg (v × D AC ・・・ (1)
    ここに、 D AC =N P× D/N AC
    ただし、 avg (v )はv の画面内平均値、 D AC は1DCT係数当たりの目標量子化誤差電力、N は画面内画素数、N AC は1画面当たりの有意のDCT係数の個数
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