JP3902552B2 - ピペリジン誘導体化合物およびその化合物を有効成分として含有する薬剤 - Google Patents

ピペリジン誘導体化合物およびその化合物を有効成分として含有する薬剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はピペリジン誘導体化合物に関する。
さらに詳しく言えば、本発明は
(1)一般式(I)
【化3】
Figure 0003902552
で示されるピペリジン誘導体化合物、
(2)その製造方法、
(3)それを有効成分として含有する薬剤、
(4)一般式(I)で示される化合物の製造中間体として有用な式(III)
Figure 0003902552
で示される化合物、および
(5)その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
細胞内情報伝達物質(セカンドメッセンジャー)であるサイクリックアデノシン−3’,5’−モノリン酸(c−AMP)やサイクリックグアノシン−3’,5’−モノリン酸(c−GMP)は、ホスホジエステラーゼ(PDE)と呼ばれる加水分解酵素群によって不活性な5’−AMPや5’−GMPにそれぞれ分解される。
これらを不活化するPDEアイソザイムは、生体に一律に存在するのではなく、細胞分布や組織分布などに差を示し、臓器特有の局在性を持って生体内に存在している。
【0003】
現在までにPDE1〜PDE11まで11種類のファミリーの存在が確認されている(Current opinion in Cell Biology., 12, 174-179 (2000);非特許文献1)。
これらのPDEのうち、PDE4は気道平滑筋、上皮細胞、炎症細胞(マクロファージ、好中球、好酸球)、T−リンパ球等をはじめとする種々の細胞に存在しており、これらの細胞の細胞内c−AMPレベルを調節し、細胞機能の制御を行なっている。一方、PDE5等の他のPDEは、血小板、心筋および血管平滑筋等に存在し、細胞内c−GMPまたはc−AMPレベルを調節し、循環器系の制御に関与している。
【0004】
そのため、PDE4阻害剤は、PDE4によるc−AMPの分解を抑制することによって細胞内c−AMPの蓄積を引き起こすことから、気管支拡張作用、抗炎症作用、メディエータ遊離抑制作用および免疫抑制作用等を有することが知られている。
【0005】
従って、PDE4を特異的に阻害する薬剤は、PDE5等の他のPDE阻害による循環器への作用を示さず、種々の疾患、すなわち、炎症性疾患(喘息、慢性閉塞性肺疾患、敗血症、サルコイドーシス、腎炎、肝炎、腸炎等)、糖尿病性疾患、アレルギー性疾患(アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎等)、自己免疫疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病、リュウマチ、乾癬、多発性硬化症、膠原病等)、眼疾患(アレルギー性結膜炎、季節性結膜炎等)、骨粗しょう症、骨折、変形性関節症、肥満症、過食症、抗うつ、パーキンソン病、痴呆症、虚血再かん流障害、白血病、AIDS(Exp. Opin. Invest. Drugs., 8, 1301-1325 (1999);非特許文献2)、ショック、全身性炎症反応症候群(SIRS)等の予防および/または治療に有用であると考えられる。
【0006】
PDE4阻害剤として、例えば、WO94/25437号明細書(特許文献1)には、一般式(A)
【化4】
Figure 0003902552
(式中、R1AはH、C1〜6アルキルを表わし、R2AはC3〜7アルキル、C3〜7シクロアルキル等を表わし、R3AはCOR4A、COCOR4A等を表わし、R4AはH、OR5A、NHOH等を表わし、R5AはH、C1〜6アルキル等を表わし、XAはO等を表わし、YAはO等を表わす。)で示される化合物またはその医薬上許容される塩が、PDE4阻害活性を有していることが記載されている(基の説明は必要な部分を抜粋した。)。
【0007】
また、WO93/19747号明細書(特許文献2)には、一般式(B)
【化5】
Figure 0003902552
(式中、R1Bは−(CR4B5BrB6B等を表わし、rBは1〜6を表わし、R4BおよびR5Bはそれぞれ独立して、水素原子またはC1〜2アルキル基を表わし、R6Bは水素原子、C3〜6シクロアルキル基等を表わし、XBはYB2B等を表わし、YBはO等を表わし、R2Bはメチル、エチル等を表わし、X2BはO等を表わし、X3Bは水素原子等を表わし、sBは0〜4を表わし、R3Bは水素原子、CN等を表わし、X5Bは水素原子等を表わし、ZBはCR8B8BC(O)OR14B、CR8B8BC(Y’B)NR10B14B等を表わし、R8Bは水素原子等を表わし、R10Bは水素原子、OR8B等を表わし、R14Bは水素原子等を表わす。)で示される化合物またはその医薬上許容される塩が、PDE4阻害活性を有していることが記載されている(基の説明は必要な部分を抜粋した。)。
【0008】
また、WO93/19749号明細書(特許文献3)には、一般式(C)
【化6】
Figure 0003902552
(式中、R1Cは−(CR4C5CrC6C等を表わし、rCは1〜6を表わし、R4CおよびR5Cはそれぞれ独立して、水素原子またはC1〜2アルキル基を表わし、R6Cは水素原子、C3〜6シクロアルキル基等を表わし、XCはYC2C等を表わし、YCはO等を表わし、R2Cはメチル、エチル等を表わし、X2CはO等を表わし、X3Cは水素原子等を表わし、X4C
【化7】
Figure 0003902552
等を表わし、R3Cは水素原子、CN等を表わし、X5Cは水素原子等を表わし、sCは0〜4を表わし、ZCはC(O)OR14C、C(Y’C)NR10C14C等を表わし、R10Cは水素原子、OR8C等を表わし、R8Cは水素原子等を表わし、R14Cは水素原子等を表わす。)で示される化合物またはその医薬上許容される塩が、PDE4阻害活性を有していることが記載されている(基の説明は必要な部分を抜粋した。)。
【0009】
本出願人はすでにPDE4阻害剤として、一般式(D)
【化8】
Figure 0003902552
(式中、すべての記号はWO02/14280号明細書(特許文献4)の記載と同じ意味を表わす。)
で示されるピペリジン誘導体化合物およびそれらの非毒性塩およびそれらを有効成分として含有するPDE4阻害剤に関する特許出願(特許文献4)を行なっている。特に、該国際出願の実施例2(9)では、式(E)
【化9】
Figure 0003902552
で示される2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジン−1−イル)酢酸が記載されている。
【0010】
【非特許文献1】
Current opinion in Cell Biology., 12巻, 2000年, 174-179頁
【非特許文献2】
Exp. Opin. Invest. Drugs., 8巻, 1999年, 1301-1325頁
【特許文献1】
国際公開第94/25437号パンフレット
【特許文献2】
国際公開第93/19747号パンフレット
【特許文献3】
国際公開第93/19749号パンフレット
【特許文献4】
国際公開第02/14280号パンフレット
【0011】
【発明の開示】
本発明者らは、PDE4阻害活性を有する化合物を見出すべく鋭意研究を行なった結果、一般式(I)で示されるピペリジン誘導体化合物が目的を達成することを見出した。一般式(I)で示される化合物、特に2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジン−1−イル)酢酸・一水和物(以下、化合物1と略記する。)は、先述した国際出願には具体的には記載されておらず、全く新規な化合物である。
さらに、医薬品として有用な一般式(I)で示されるピペリジン誘導体の製造中間体として非常に有用な式(III)で示される化合物も見出し、本発明を完成した。
【0012】
すなわち、本発明は、
(1)一般式(I)
【化10】
Figure 0003902552
(式中、Rは水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、または有機アミンを表わし、nは1から5の整数、または5までの真分数あるいは仮分数を表わす。)で示されるピペリジン誘導体化合物、
(2)Rが水素原子を表わす前項1記載のピペリジン誘導体化合物、
(3)nが1を表わす前項1記載のピペリジン誘導体化合物、
(4)2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジン−1−イル)酢酸・一水和物である前項1乃至3のいずれかに記載の化合物、
(5)式(III)
【化11】
Figure 0003902552
で示される4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジンまたはその酸付加物塩、
(6)水および/または1種以上の有機溶媒を含有していてもよいアルコール系溶媒中で、再結晶操作に付すことを特徴とする2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジン−1−イル)酢酸・nH2O(nは請求の範囲1と同じ意味を表わす。)の製造方法、
(7)前項1乃至4のいずれかに記載の化合物を有効成分として含有するPDE4阻害剤、
(8)前項1乃至4のいずれかに記載の化合物を有効成分として含有する炎症性疾患、糖尿病性疾患、アレルギー性疾患、自己免疫疾患、眼疾患、骨粗しょう症、骨折、変形性関節症、肥満症、過食症、抗うつ、パーキンソン病、痴呆症、虚血再かん流障害、白血病、AIDS、ショック、全身性炎症反応症候群(SIRS)の予防および/または治療剤、
(9)炎症性疾患が、喘息、慢性閉塞性肺疾患、敗血症、サルコイドーシス、腎炎、肝炎、または腸炎である前項8記載の予防および/または治療剤、
(10)アレルギー性疾患が、アレルギー性鼻炎、またはアトピー性皮膚炎である前項8記載の予防および/または治療剤、
(11)自己免疫疾患が、潰瘍性大腸炎、クローン病、リュウマチ、乾癬、多発性硬化症、または膠原病である前項8記載の予防および/または治療剤、
(12)眼疾患が、アレルギー性結膜炎、または季節性結膜炎である前項8記載の予防および/または治療剤、および
(13)前項5記載の式(III)で示される化合物の製造方法に関する。
【0013】
【詳細な説明】
本明細書中、nによって表わされる1から5の整数とは、1、2、3、4および5を意味する。
本明細書中、nによって表わされる5までの真分数とは、例えば、1/2、1/3、1/4等を意味し、仮分数とは、例えば、3/2、10/2等を意味する。
本明細書中、Rによって表わされる金属には塩を形成し、薬理学的に許容されるものは全て含まれる。具体的にはアルカリ金属、アルカリ土類金属等が挙げられる。アルカリ金属とは、カリウム、ナトリウム、リチウム等を表わし、アルカリ土類金属とは、カルシウム、マグネシウム等を表わす。
【0014】
本明細書中、Rによって表わされる有機アミンには塩を形成し、薬理学的に許容されるものは全て含まれる。具体的にはトリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、リジン、アルギニン、N−メチル−D−グルカミン等が挙げられる。
【0015】
一般式(I)中のnH2Oは、結晶水および付着水を意味する。nH2Oとしては結晶水が好ましい。
一般式(I)で示される化合物のうち、医薬品として供するにはRが水素原子で、nが1である化合物が好ましい。
【0016】
[本発明化合物の製造方法]
一般式(I)および式(III)で示される本発明化合物は、以下の方法または実施例に記載した方法により製造することができる。
一般式(I)で示される本発明化合物は、式(II)
【化12】
Figure 0003902552
(式中、R1はカルボキシル基の保護基を表わす。)で示される化合物をカルボキシル基の保護基の脱保護反応に付すことによって製造することができる。
カルボキシル基の保護基としては、例えばメチル基、エチル基、t−ブチル基、ベンジル基等が挙げられる。
【0017】
カルボキシル基の保護基としては、上記した以外にも容易にかつ選択的に脱離できる基であれば特に限定されない。例えば、T. W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis 3rd edition, Wiley, New York, 1999に記載されたものが用いられる。
カルボキシル基の保護基の脱保護反応はよく知られており、例えば、
(1)アルカリ条件下における脱保護反応、
(2)酸性条件下における脱保護反応、
(3)加水素分解による脱保護反応等が挙げられる。
【0018】
これらの方法を具体的に説明すると、
(1)アルカリ条件下における脱保護反応は、例えば、有機溶媒(メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド等)中、アルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)、アルカリ土類金属の水酸化物(水酸化バリウム、水酸化カルシウム等)または炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、有機アミン(トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピペラジン等)または四級アンモニウム塩(テトラブチルアンモニウムフルオライド等)あるいはその水溶液もしくはこれらの混合物を用いて、0〜40℃の温度で行なわれる。
【0019】
(2)酸条件下での脱保護反応は、例えば、有機溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、ジオキサン、酢酸エチル、アニソール等)中、有機酸(酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸等)、または無機酸(塩酸、硫酸等)もしくはこれらの混合物(臭化水素/酢酸等)中、0〜100℃の温度で行なわれる。
【0020】
(3)加水素分解による脱保護反応は、例えば、溶媒(エーテル系(テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル等)、アルコール系(メタノール、エタノール等)、ベンゼン系(ベンゼン、トルエン等)、ケトン系(アセトン、メチルエチルケトン等)、ニトリル系(アセトニトリル等)、アミド系(ジメチルホルムアミド等)、水、酢酸エチル、酢酸またはそれらの2以上の混合溶媒等)中、触媒(パラジウム−炭素、パラジウム黒、水酸化パラジウム、酸化白金、ラネーニッケル等)の存在下、常圧または加圧下の水素雰囲気下またはギ酸アンモニウム存在下、0〜200℃の温度で行なわれる。
【0021】
当業者には容易に理解できることではあるが、これらの脱保護反応を使い分けることにより、目的とする本発明化合物を容易に製造することができる。
また、脱保護反応の後、必要に応じて、塩変換反応、再結晶操作および/または乾燥操作を行なうことにより、一般式(I)で示される化合物を製造することができる。
【0022】
塩変換反応、再結晶操作および乾燥操作は公知であり、例えば、第4版実験化学講座1、基本操作I(日本化学会編)の方法に従って行なうことができる。
再結晶操作で用いる溶媒系としては、例えば、水および/または1種以上の有機溶媒を含有していてもよいアルコール系溶媒が挙げられる。
【0023】
アルコール系溶媒とは、その構造中に水酸基を有するアルカンである溶媒を意味する。具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等が挙げられる。
有機溶媒とは、再結晶操作に用いることができるものすべてを意味し、具体例としては、鎖状エーテル系溶媒、環状エーテル系溶媒、含アミド系溶媒、リン酸アミド系溶媒、含硫黄系溶媒、ニトリル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、炭酸エステル系溶媒、カルボン酸系溶媒、直鎖アルカン系溶媒、環状アルカン系溶媒、芳香族炭素環系溶媒、環状含窒素系溶媒等が挙げられる。
【0024】
鎖状エーテル系溶媒とは、その構造中にエーテル結合を有し、かつ鎖状構造をとる溶媒を意味する。エーテル結合を構成する炭素置換基は、鎖状でも環状でもかまわない。具体例としては、1,2−ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、およびメチル−t−ブチルエーテル等が挙げられる。
【0025】
環状エーテル系溶媒とは、その構造中にエーテル結合を有し、かつ環状構造をとる溶媒を意味する。具体例としては、テトラヒドロフラン、および1,4−ジオキサン等が挙げられる。
含アミド系溶媒とは、その構造中にアミド結合を有する溶媒を意味する。具体例としては、N,N−ジメチルアセタミド、およびN,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
【0026】
リン酸アミド系溶媒とは、その構造中にリン酸アミド結合を有する溶媒を意味する。具体例としては、ヘキサメチルリン酸トリアミド等が挙げられる。
含硫黄系溶媒とは、その構造中に硫黄原子を含有する溶媒を意味する。具体例としては、ジメチルスルホキシド、およびテトラメチレンスルホキシド等が挙げられる。
【0027】
ニトリル系溶媒とは、その構造中にニトリル基を有する溶媒を意味する。具体例としては、アセトニトリル等が挙げられる。
エステル系溶媒とは、その構造中にエステル結合を有する溶媒を意味する。具体例としては、酢酸エチル等が挙げられる。
ケトン系溶媒とは、その構造中にケトン基を有する溶媒を意味する。具体例としては、アセトン、およびメチルエチルケトン等が挙げられる。
【0028】
炭酸エステル系溶媒とは、その構造中に−O−CO−O−基を有する溶媒を意味する。具体例としては、炭酸ジエチル、および炭酸ジメチル等が挙げられる。カルボン酸系溶媒とは、その構造中にカルボキシル基を有する溶媒を意味する。具体例としては、酢酸等が挙げられる。
直鎖アルカン系溶媒とは、その構造が直鎖のアルカンである溶媒を意味する。具体例としては、ペンタン、n−ヘキサン、およびヘプタン等が挙げられる。
【0029】
環状アルカン系溶媒とは、その構造が環状のアルカンである溶媒を意味する。具体例としては、シクロヘキサン等が挙げられる。
芳香族炭素環系溶媒とは、芳香族炭素環の溶媒を意味する。具体例としては、ベンゼン、トルエン、およびキシレン等が挙げられる。
環状含窒素系溶媒とは、その構造中に窒素原子を含有し、かつ環状構造をとる溶媒を意味する。具体例としては、ピリジン、ピペリジン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、および1−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
乾燥操作としては、例えば、自然乾燥、風乾、強制乾燥(乾燥剤、減圧乾燥等)等が挙げられる。
【0030】
式(II)で示される化合物は、後述する反応工程式1乃至2で示される方法または実施例に示される方法により製造することができる。
【0031】
式(III)で示される本発明化合物は新規な化合物であり、式(IV)
【化13】
Figure 0003902552
(式中、R2はアミノ基の保護基を表わす。)
で示される化合物をアミノ基の保護基の脱保護反応に付すことによって製造することができる。
【0032】
アミノ基の保護基としては、例えばベンジル基、4−メトキシベンジル基、ベンジルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、トリフルオロアセチル基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基等が挙げられる。
アミノ基の保護基としては、上記した以外にも容易にかつ選択的に脱離できる基であれば特に限定されない。例えば、T. W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis 3rd edition, Wiley, New York, 1999に記載されたものが用いられる。
【0033】
アミノ基の保護基の脱保護反応はよく知られており、例えば、
(1)アルカリ条件下における脱保護反応、
(2)酸性条件下における脱保護反応、
(3)加水素分解による脱保護反応等が挙げられる。
【0034】
これらの方法を具体的に説明すると、
(1)アルカリ条件下における脱保護反応は、例えば、有機溶媒(メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド等)中、アルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)、アルカリ土類金属の水酸化物(水酸化バリウム、水酸化カルシウム等)または炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、有機アミン(トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン等)または四級アンモニウム塩(テトラブチルアンモニウムフルオライド等)あるいはその水溶液もしくはこれらの混合物を用いて、0〜40℃の温度で行なわれる。
【0035】
(2)酸条件下での脱保護反応は、例えば、有機溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、ジオキサン、酢酸エチル、アニソール等)中、有機酸(酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸等)、または無機酸(塩酸、硫酸等)もしくはこれらの混合物(臭化水素/酢酸等)中、0〜100℃の温度で行なわれる。
【0036】
(3)加水素分解による脱保護反応は、例えば、溶媒(エーテル系(テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル等)、アルコール系(メタノール、エタノール等)、ベンゼン系(ベンゼン、トルエン等)、ケトン系(アセトン、メチルエチルケトン等)、ニトリル系(アセトニトリル等)、アミド系(ジメチルホルムアミド等)、水、酢酸エチル、酢酸またはそれらの2以上の混合溶媒等)中、触媒(パラジウム−炭素、パラジウム黒、水酸化パラジウム、酸化白金、ラネーニッケル等)の存在下、常圧または加圧下の水素雰囲気下またはギ酸アンモニウム存在下、0〜200℃の温度で行なわれる。
【0037】
当業者には容易に理解できることではあるが、これらの脱保護反応を使い分けることにより、目的とする本発明化合物を容易に製造することができる。
【0038】
式(IV)で示される化合物は、後述する反応工程式3で示される方法または実施例に示される方法により製造することができる。
反応工程式中、R3はフェノールの保護基を表わし、Xは脱離基(塩素、臭素、ヨウ素、トシル基、メシル基等)を表わし、その他の記号は前記と同じ意味を表わす。
【0039】
【化14】
Figure 0003902552
【0040】
【化15】
Figure 0003902552
【0041】
【化16】
Figure 0003902552
【0042】
本明細書中の各反応において、反応生成物は通常の精製手段、例えば、常圧下または減圧下における蒸留、シリカゲルまたはケイ酸マグネシウムを用いた高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、あるいはカラムクロマトグラフィーまたは洗浄、再結晶等の方法により精製することができる。精製は各反応ごとに行なってもよいし、いくつかの反応終了後に行なってもよい。
【0043】
[塩]
式(III)で示される本発明化合物は、公知の方法で酸付加物塩に変換される。
式(III)で示される本発明化合物の酸付加物塩としては、例えば、無機酸塩(塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩等)、有機酸塩(酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、グルクロン酸塩、グルコン酸塩等)等が挙げられる。
【0044】
一般式(I)で示される本発明化合物、特に1水和物(後記化合物1)は、製剤、特に固形製剤(例えば、錠剤、カプセル剤等)を製造する際に、安定な固形製剤を容易に製造することができる。すなわち、無水物(後記比較化合物)は、固形製剤の製剤時または保管時に空気中等の水分を吸収し、無水物と水和物の混合物となることがあるのに対して、本発明化合物はそのような形態変化を起こさないため、医薬品として供するには極めて有用である。
【0045】
[比較試験]
一般式(I)で示される本発明化合物のうち、2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジン−1−イル)酢酸・一水和物(化合物1;該化合物は、後述する実施例2の方法で製造した。)と先の国際出願に記載されている2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジン−1−イル)酢酸(以下、比較化合物と略記する。該化合物は、後述する比較例1の方法で製造した。この製造方法は、国際出願番号PCT/JP00/06861の実施例2(9)に記載の方法に従った。)は全く異なる化合物であることが、以下の比較試験の結果(粉末X線回折データ、IR(赤外)データ、DSC(示差走査熱量測定)データ、TG(熱重量測定)データ、元素分析データ、単結晶X線構造解析データ)から確認できた。
【0046】
1)粉末X線回折データ
化合物1と比較化合物のCu Kα特性X線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルチャートを図1および図2に示す。また、各化合物の粉末X線回折スペクトルにおいて、格子間隔と相対強度を表1に示す。
【0047】
[測定条件]
装置:理学電機製 RINT-1400型粉末X線回折装置、
ターゲット:Cu、
フィルター:使用しない、
電圧:40kV、
電流:20mA、
スキャンスピード:2.0°/min。
【0048】
【表1】
Figure 0003902552
【0049】
図1、図2(表1)から、両者は明らかに異なる結晶構造を有する化合物であることがわかる。
【0050】
2)IRデータ
化合物1と比較化合物のIRスペクトルデータをそれぞれ、図3および図4に示す。
【0051】
[測定条件]
装置:日本分光製 FT/IR-660Plus型赤外分光光度計、
分解能:4cm-1
スキャン回数:64回。
【0052】
図3と図4を比較すると、特に1450-1200cm-1付近および900-600cm-1付近の吸収ピークが異なっており、両者は明らかに異なる化合物であることがわかる。
【0053】
3)DSCデータおよびTGデータ
化合物1と比較化合物のDSCおよびTGの測定チャートをそれぞれ、図5、図6、図7および図8に示す。
【0054】
[測定条件]
DSC
装置:セイコーインスツルメンツ社製 DSC6200型示差走査熱量分析装置、
試料量:約4.8mg、
試料セル:アルミニウムオープンセル、
アルゴンガス流量:20mL/min、
昇温速度:10℃/min。
TG
装置:島津製作所製 TGA-50型熱重量測定装置、
試料量:約4.8mg、
試料セル:アルミニウムオープンセル、
窒素ガス流量:20mL/min、
昇温速度:10℃/min。
DSCデータおよびTGデータにおいて、両者は明らかに異なることがわかる。
【0055】
化合物1において、DSCデータ(図5)では75℃から120℃までのブロードな吸熱および174℃での吸熱ピークを示した。また、TGデータ(図6)では前者の温度範囲に4.2%の重量減少(水1分子に相当する)が認められ、後者の吸熱が終了した温度まで重量減少は認められなかった。
これに対して、比較化合物において、DSCデータ(図7)では174℃での単一の吸熱ピークが認められ、この吸熱終了温度までのTGデータ(図8)での重量減少は認められなかった。
【0056】
両化合物の粉末X線回折データ(図1および図2)が異なることより、化合物1のDSCデータ(図5)における75℃から120℃までのピークは水の蒸発と結晶転移による吸熱であり、両化合物の174℃の吸熱ピークは融解によるものと考えられる。
【0057】
4)元素分析データ
化合物1と比較化合物の元素分析データを、以下に示す。
【0058】
[測定条件]
装置:パーキンエルマー社製 PE2400シリーズII CHNS/O型元素分析装置、
試料量:1.661mg(式(I)で示される本発明化合物)、
1.606mg(比較化合物)、
燃焼温度:975℃、
還元温度:500℃、
検出器オーブン温度:82.5℃、
キャリアーガス:高純度ヘリウムガス、高純度酸素ガス(99.999%)、
スタンダード:アセトアニリド。
【0059】
化合物1(C2024224・1H2O)
計算値;C,58.24%;H,6.35%;N,6.79%。
実測値;C,58.09%;H,6.20%;N,6.73%。
比較化合物(C2024224
計算値;C,60.91%;H,6.13%;N,7.10%。
実測値;C,60.90%;H,5.90%;N,7.09%。
これらのデータから、化合物1は一水和物であり、比較化合物は無水物であることがわかる。
【0060】
5)単結晶X線構造解析データ
化合物1の単結晶X線構造解析データを、図9および図10に示す。
【0061】
[測定条件]
装置:ブルカー社製 SMART6000 CCD式単結晶X線構造解析装置、
測定温度:100K、
ターゲット:Mo(λ=0.71073Å)、
R=0.1390。
【0062】
結晶学的データは次の通りである。
Figure 0003902552
図9および図10から、化合物1は一水和物であることが明らかである。
【0063】
[薬理活性]
一般式(I)で示される本発明化合物がPDE4阻害活性を有することは、以下の実験によって証明された。
【0064】
インビトロ( in vitro )酵素アッセイ
実験方法:
U937細胞(ヒト単球由来)を10%ウシ胎児血清を含むPRMI1640培地中で培養した。U937細胞を回収し、バッファー[1mmol/Lジチオトレイトール(DTT)、2mmol/Lエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(EDTA−2Na)を含む50mmol/Lトリス塩酸バッファー(pH7.5)]中でホモジナイズした。遠心分離(50,000rpm、4℃、1時間)後、上清を回収し、0.22μmのフィルターでろ過したものを可溶性画分として、MonoQ(ファルマシア社製、強陰イオン交換カラム)カラムクロマトグラフィーによる分画を行った。NaClの0〜0.8Mの濃度勾配で溶出したフラクションのPDE活性を、1μmol/LのサイクリックAMP(cAMP)を基質として測定し、10μMロリプラム(rolipram:PDE4選択的阻害剤)によりPDE活性の消失した画分を回収した。酵素のキャラクタリゼーションを各PDEアイソザイムに対する阻害剤を用いた阻害スペクトルとcAMPに対するKm値測定により行った後、これをPDE4阻害活性を測定するための酵素液として使用した。
【0065】
酵素活性測定は、以下の方法で行なった。70μLの希釈酵素液、10μLの化合物1液(10%DMSO)、10μLの反応バッファー溶液[50mmol/LMgCl2、1mg/mLウシ血清アルブミン、40mmol/L2−メルカプトエタノールを含む200mmol/Lトリス塩酸バッファー(pH8.0)]および10μLの基質溶液[(cAMP終濃度1μmol/L):10μmol/L3H−cAMP(約10,000cpm/10μL)を含む200mmol/Lトリス塩酸バッファー(pH8.0)]を96穴プレート中で混合し、室温で30分間インキュベートした。2.5分間電子レンジ処理し反応を停止させた。遠心(2,000rpmで1分間)後、10μLのヘビ毒(snake venom)(1mg/mL、シグマ社製、カタログ番号V7000)を加え、室温で30分間インキュベートした。上清50μLをアルミナカラム(100μL)に載せ、80μLの0.005N塩酸で溶出し、溶出液の放射活性を測定した。
【0066】
化合物1のPDE4阻害活性率を以下の式より算出した。
【0067】
【数1】
Figure 0003902552
【0068】
IC50値はPDE4活性を50%阻害する化合物1濃度として算出した。
その結果、化合物1のIC50値は、42nmol/Lであった。
【0069】
TNFα産生抑制作用
健常人より採取したヘパリン加血液を96穴プレートの1ウェルあたりに180μLずつ分注した。化合物1溶液(DMSOの終濃度、0.1%以下)を10μL添加し、30分間、37℃で5% CO2インキュベータ内に静置した。これに10μLのLPS溶液を添加して反応を開始した。CO2インキュベータ(5% CO2、加湿)にて6時間インキュベート後、プレートを振とうさせ、300×g、5分間遠心し、上清(血漿)を50μL回収した。ヒトTNFαELISAキット(ダイアクローン社製、カタログ番号850090096)を用い、添付の方法に従って上清中のTNFα量を測定した。その結果、化合物1は用量依存的なTNFα産生抑制作用を示した。
【0070】
[毒性]
一般式(I)で示される本発明化合物の毒性は非常に低いものであり、医薬として使用するために十分安全であると考えられる。
【0071】
[医薬品への適用]
一般式(I)で示される本発明化合物は、PDE4阻害活性を有することで、炎症性疾患(喘息、慢性閉塞性肺疾患、敗血症、サルコイドーシス、腎炎、肝炎、腸炎等)、糖尿病性疾患、アレルギー性疾患(アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎等)、自己免疫疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病、リュウマチ、乾癬、多発性硬化症、膠原病等)、眼疾患(アレルギー性結膜炎、季節性結膜炎等)、骨粗しょう症、骨折、変形性関節症、肥満症、過食症、抗うつ、パーキンソン病、痴呆症、虚血再かん流障害、白血病、AIDS、ショック、全身性炎症反応症候群(SIRS)等の予防および/または治療に有用であると考えられる。
【0072】
一般式(I)で示される本発明化合物は、
1)その化合物の予防および/または治療効果の補完および/または増強、
2)その化合物の動態・吸収改善、投与量の低減、
および/または
3)その化合物の副作用の軽減
のために他の薬剤と組み合わせて、併用剤として投与してもよい。
【0073】
一般式(I)で示される本発明化合物と他の薬剤の併用剤は、1つの製剤中に両成分を配合した配合剤の形態で投与してもよく、また別々の製剤にして投与する形態をとってもよい。この別々の製剤にして投与する場合には、同時投与および時間差による投与が含まれる。また、時間差による投与は、一般式(I)で示される本発明化合物を先に投与し、他の薬剤を後に投与してもよいし、他の薬剤を先に投与し、一般式(I)で示される本発明化合物を後に投与してもかまわず、それぞれの投与方法は同じでも異なっていてもよい。
【0074】
上記併用剤により、予防および/または治療効果を奏する疾患は特に限定されず、一般式(I)で示される本発明化合物の予防および/または治療効果を補完および/または増強する疾患であればよい。
【0075】
例えば、一般式(I)で示される本発明化合物の喘息および/または慢性閉塞性肺疾患に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬剤としては、例えば、
ステロイド剤、β2アドレナリン受容体刺激薬、ロイコトリエン受容体拮抗剤、トロンボキサン合成酵素阻害剤、トロンボキサンA2受容体拮抗剤、メディエーター遊離抑制薬、抗ヒスタミン剤、キサンチン誘導体、抗コリン薬、サイトカイン阻害薬、プロスタグランジン類、フォルスコリン製剤、エラスターゼ阻害剤、メタロプロテアーゼ阻害剤、去痰薬、抗生物質等が挙げられる。
例えば、一般式(I)で示される本発明化合物のアレルギー性鼻炎に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬剤としては、例えば、抗ヒスタミン剤、メディエーター遊離抑制薬、トロンボキサン合成酵素阻害剤、トロンボキサンA2受容体拮抗剤、ロイコトリエン受容体拮抗剤、ステロイド剤、β2アドレナリン受容体刺激薬、キサンチン誘導体、抗コリン薬等が挙げられる。
【0076】
例えば、一般式(I)で示される本発明化合物の骨粗しょう症および/または骨折に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬剤としては、例えば、ビスホスホネート製剤、ビタミンD製剤、カルシウム補助剤、エストロゲン製剤、カルシトニン製剤、イソフラボン系製剤、タンパク同化ステロイド剤、ビタミンK製剤、プロスタグランジン類、カテプシンK阻害剤等が挙げられる。
【0077】
例えば、一般式(I)で示される本発明化合物の潰瘍性大腸炎および/またはクローン病に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬剤としては、例えば、プロスタグランジン合成酵素阻害剤、ステロイド剤、免疫抑制剤、ロイコトリエン受容体拮抗剤、TNFα拮抗薬、接着分子阻害剤、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、エラスターゼ阻害剤、メタロプロテアーゼ阻害剤等が挙げられる。
【0078】
例えば、一般式(I)で示される本発明化合物のリュウマチに対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬剤としては、例えば、非ステロイド系抗炎症薬、疾患修飾性抗リウマチ剤(遅効性抗リウマチ剤)、ステロイド剤、免疫抑制剤、消炎酵素剤、軟骨保護剤、T細胞阻害剤、TNFα阻害剤、プロスタグランジン合成酵素阻害剤、IL−6阻害剤、インターフェロンγ作動薬、IL−1阻害剤、プロスタグランジン類等が挙げられる。
【0079】
ステロイド剤としては、例えば、外用薬としては、プロピオン酸クロベタゾール、酢酸ジフロラゾン、フルオシノニド、フランカルボン酸モメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、酪酸プロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、ジフルプレドナート、プデソニド、吉草酸ジフルコルトロン、アムシノニド、ハルシノニド、デキサメタゾン、プロピオン酸デキサメタゾン、吉草酸デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン、プロピオン酸デプロドン、吉草酸酢酸プレドニゾロン、フルオシノロンアセトニド、プロピオン酸ベクロメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、ピバル酸フルメタゾン、プロピオン酸アルクロメタゾン、酪酸クロベタゾン、プレドニゾロン、プロピオン酸ペクロメタゾン、フルドロキシコルチド等が挙げられ、
【0080】
内服薬、注射剤としては、酢酸コルチゾン、ヒドロコルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、酢酸フルドロコルチゾン、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、コハク酸プレドニゾロンナトリウム、ブチル酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、酢酸ハロプレドン、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、トリアムシノロン、酢酸トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、デキサメサゾン、酢酸デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、パルミチン酸デキサメタゾン、酢酸パラメサゾン、ベタメタゾン等が挙げられ、
【0081】
吸入剤としては、プロピオン酸ベクロメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、ブデソニド、フルニソリド、トリアムシノロン、ST−126P、シクレソニド、デキサメタゾンパロミチオネート、モメタゾンフランカルボネート、プラステロンスルホネート、デフラザコート、メチルプレドニゾロンスレプタネート、メチルプレドニゾロンナトリウムスクシネート等が挙げられる。
【0082】
非ステロイド系抗炎症薬としては、例えば、サザピリン、サリチル酸ナトリウム、アスピリン、アスピリン・ダイアルミネート配合、ジフルニサル、インドメタシン、スプロフェン、ウフェナマート、ジメチルイソプロピルアズレン、ブフェキサマク、フェルビナク、ジクロフェナク、トルメチンナトリウム、クリノリル、フェンブフェン、ナプメトン、プログルメタシン、インドメタシンファルネシル、アセメタシン、マレイン酸プログルメタシン、アンフェナクナトリウム、モフェゾラク、エトドラク、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フルルビプロフェンアキセチル、ケトプロフェン、フェノプロフェンカルシウム、チアプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム、アルミノプロフェン、ザルトプロフェン、メフェナム酸、メフェナム酸アルミニウム、トルフェナム酸、フロクタフェニン、ケトフェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、ピロキシカム、テノキシカム、アンピロキシカム、ナパゲルン軟膏、エピリゾール、塩酸チアラミド、塩酸チノリジン、エモルファゾン、スルピリン、ミグレニン、サリドン、セデスG、アミピロ−N、ソルボン、ピリン系感冒薬、アセトアミノフェン、フェナセチン、メシル酸ジメトチアジン、シメトリド配合剤、非ピリン系感冒薬等が挙げられる。
【0083】
免疫抑制剤としては、例えば、プロトピック(FK−506)、メトトレキサート、シクロスポリン、アスコマイシン、レフルノミド、ブシラミン、サラゾスルファピリジン等が挙げられる。
プロスタグランジン類(以下、PGと略記する。)としては、PG受容体アゴニスト、PG受容体アンタゴニスト等が挙げられる。
【0084】
PG受容体としては、PGE受容体(EP1、EP2、EP3、EP4)、PGD受容体(DP)、PGF受容体(FP)、PGI受容体(IP)等が挙げられる。
【0085】
メディエーター遊離抑制薬としては、例えば、トラニラスト、クロモグリク酸ナトリウム、アンレキサノクス、レピリナスト、イブジラスト、ダザノラスト、ペミロラストカリウム等が挙げられる。
【0086】
抗ヒスタミン剤としては、例えば、フマル酸ケトチフェン、メキタジン、塩酸アゼラスチン、オキサトミド、テルフェナジン、フマル酸エメダスチン、塩酸エピナスチン、アステミゾール、エバスチン、塩酸セチリジン、ベポタスチン、フェキソフェナジン、ロラタジン、デスロラタジン、塩酸オロパタジン、TAK−427、ZCR−2060、NIP−530、モメタゾンフロエート、ミゾラスチン、BP−294、アンドラスト、オーラノフィン、アクリバスチン等が挙げられる。
【0087】
β2アドレナリン受容体刺激薬としては、例えば、臭化水素酸フェノテロール、硫酸サルブタモール、硫酸テルブタリン、フマル酸フォルモテロール、キシナホ酸サルメテロール、硫酸イソプロテレノール、硫酸オルシプレナリン、硫酸クロルプレナリン、エピネフリン、塩酸トリメトキノール、硫酸ヘキソプレナリンメシル、塩酸プロカテロール、塩酸ツロブテロール、ツロブテロール、塩酸ピルブテロール、塩酸クレンブテロール、塩酸マブテロール、塩酸リトドリン、バンブテロール、塩酸ドペキサミン、酒石酸メルアドリン、AR−C68397、レボサルブタモール、R、R−フォルモテロール、KUR−1246、KUL−7211、AR−C89855、S−1319等が挙げられる。
【0088】
ロイコトリエン受容体拮抗剤としては、例えば、プランルカスト水和物、モンテルカスト、ザフィルルカスト、セラトロダスト、MCC−847、KCA−757、CS−615、YM−158、L−740515、CP−195494、LM−1484、RS−635、A−93178、S−36496、BIIL−284、ONO−4057等が挙げられる。
【0089】
トロンボキサン合成酵素阻害剤としては、例えば、塩酸オザグレル、イミトロダストナトリウム等が挙げられる。
トロンボキサンA2受容体拮抗剤としては、例えば、セラトロダスト、ラマトロバン、ドミトロバンカルシウム水和物、KT−2−962等が挙げられる。
キサンチン誘導体としては、例えば、アミノフィリン、テオフィリン、ドキソフィリン、シパムフィリン、ジプロフィリン等が挙げられる。
【0090】
抗コリン剤としては、例えば、臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウム、臭化フルトロピウム、臭化シメトロピウム、テミベリン、臭化チオトロピウム、レバトロペート(UK−112166)等が挙げられる。
サイトカイン阻害薬としては、例えばトシル酸スプラタスト(商品名アイピーディ)等が挙げられる。
【0091】
他のホスホジエステラーゼ阻害剤としては、例えば、PDE4阻害剤であるロリプラム、シロミラスト(商品名アリフロ)、Bay19−8004、NIK−616、ロフルミラスト(BY−217)、シパムフィリン(BRL−61063)、アチゾラム(CP−80633)、SCH−351591、YM−976、V−11294A、PD−168787、D−4396、IC−485等が挙げられる。
【0092】
プロスタグランジン合成酵素阻害剤としては、例えば、サラゾスルファピリジン、メサラジン、オサラジン、4−アミノサリチル酸、JTE−522、オーラノフィン、カルプロフェン、ジフェンピラミド、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、メロキシカム、オキサプロジン、パーサルミド、ピプロキセン、ピロキシカム、ピロキシカムベータデックス、ピロキシカムシンナメート、トロピンインドメタシネート、ザルトプロフェン、プラノプロフェン等が挙げられる。
【0093】
去痰薬としては、例えば、アンモニアウイキョウ精、炭酸水素ナトリウム、塩酸ブロムヘキシン、カルボシステイン、塩酸アンブロキソール、塩酸アンブロキゾール徐放剤、メチルシステイン塩酸塩、アセチルシステイン、塩酸L−エチルシステイン、チロキサポール等が挙げられる。
【0094】
ビスホスホネート製剤としては、例えば、アレンドロネートナトリウム、クロドロネート二ナトリウム、パミドロネート二ナトリウム、エチドロネート二ナトリウム、イバンドロネート、インカドロネート二ナトリウム、ミノドロネート、オルパドロネート、リセドロネートナトリウム、チルドロネート、ゾレドロネート等が挙げられる。
【0095】
カルシトニン製剤としては、例えば、カルシトニン、エルカトニン等が挙げられる。
消炎酵素剤としては、例えば、塩化リゾチーム、ブロメライン、プロナーゼ、セラペプターゼ、ストレプトキナーゼ・ストレプトドルナーゼ配合剤等が挙げられる。
【0096】
疾患修飾性抗リウマチ剤(遅効性抗リウマチ剤)としては、例えば、金チオグルコース、金チオリンゴ酸ナトリウム、オーラノフィン、アクタリット、D−ペニシラミン製剤、ロベンザリット二ナトリウム、ブシラミン、ヒドロキシクロロキン、サラゾスルファピリジン等が挙げられる。
【0097】
軟骨保護剤としては、例えば、ヒアルロン酸ナトリウム等が挙げられる。
一般式(I)で示される本発明化合物と他の薬剤の重量比は特に限定されない。
他の薬剤は、任意の2種以上を組み合わせて投与してもよい。
【0098】
また、一般式(I)で示される本発明化合物の予防および/または治療効果を補完および/または増強する他の薬剤には、上記したメカニズムに基づいて、現在までに見出されているものだけでなく今後見出されるものも含まれる。
【0099】
本発明で用いる一般式(I)で示される本発明化合物、または一般式(I)で示される本発明化合物と他の薬剤の併用剤を上記の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。
【0100】
投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人一人あたり、1回につき、1mgから1000mgの範囲で、1日1回から数回経口投与されるか、または成人一人あたり、1回につき、1mgから100mgの範囲で、1日1回から数回非経口投与(好ましくは、静脈内投与)されるか、または1日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。
もちろん前記したように、投与量は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて必要な場合もある。
【0101】
一般式(I)で示される本発明化合物、または一般式(I)で示される本発明化合物と他の薬剤の併用剤を投与する際には、経口投与のための固体組成物、液体組成物およびその他の組成物および非経口投与のための注射剤、外用剤、坐剤、点眼剤、吸入剤等として用いられる。
【0102】
経口投与のための固体組成物には、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等が含まれる。
カプセル剤には、ハードカプセルおよびソフトカプセルが含まれる。
【0103】
このような固体組成物においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質が、少なくともひとつの不活性な希釈剤、例えばラクトース、マンニトール、グルコース、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムと混合される。組成物は、常法に従って、不活性な希釈剤以外の添加剤、例えばステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、繊維素グリコール酸カルシウムのような崩壊剤、ラクトースのような安定化剤、グルタミン酸またはアスパラギン酸のような溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤または丸剤は必要により白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなどの胃溶性あるいは腸溶性物質のフィルムで被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。さらにゼラチンのような吸収されうる物質のカプセルも包含される。
【0104】
経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶液剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含む。このような液体組成物においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質が、一般的に用いられる不活性な希釈剤(例えば、精製水、エタノール)に含有される。この組成物は、不活性な希釈剤以外に湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
【0105】
経口投与のためのその他の組成物としては、ひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、それ自体公知の方法により処方されるスプレー剤が含まれる。この組成物は不活性な希釈剤以外に亜硫酸水素ナトリウムのような安定剤と等張性を与えるような緩衝剤、例えば塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムあるいはクエン酸のような等張剤を含有していてもよい。スプレー剤の製造方法は、例えば米国特許第2,868,691号および同第3,095,355号に詳しく記載されている。
【0106】
本発明による非経口投与のための注射剤としては、無菌の水性および/または非水性の溶液剤、懸濁剤、乳濁剤を包含する。水性の溶液剤、懸濁剤としては、例えば注射用蒸留水および生理食塩水が含まれる。非水溶性の溶液剤、懸濁剤としては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、エタノールのようなアルコール類、ポリソルベート80(登録商標)等がある。また、無菌の水性と非水性の溶液剤、懸濁剤および乳濁剤を混合して使用してもよい。このような組成物は、さらに防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤(例えば、ラクトース)、溶解補助剤(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸)のような補助剤を含んでいてもよい。これらはバクテリア保留フィルターを通すろ過、殺菌剤の配合または照射によって無菌化される。これらはまた無菌の固体組成物を製造し、例えば凍結乾燥品の使用前に、無菌化または無菌の注射用蒸留水または他の溶媒に溶解して使用することもできる。
【0107】
非経口投与のための点眼剤の剤形としては、点眼液、懸濁型点眼液、乳濁型点眼液、用時溶解型点眼液および眼軟膏が含まれる。
これらの点眼剤は公知の方法に準じて製造される。例えば、点眼液の場合には、等張化剤(塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、緩衝化剤(リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、界面活性剤(ポリソルベート80(商品名)、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等)、安定化剤(クエン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム等)、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)などを必要に応じて適宜選択して調製される。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって調製される。
【0108】
非経口投与のための吸入剤としては、エアロゾル剤、吸入用粉末剤又は吸入用液剤が含まれ、当該吸入用液剤は用時に水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁させて使用する形態であってもよい。
これらの吸入剤は公知の方法に準じて製造される。
【0109】
例えば、吸入用液剤の場合には、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、着色剤、緩衝化剤(リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、等張化剤(塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、増粘剤(カリボキシビニルポリマー等)、吸収促進剤などを必要に応じて適宜選択して調製される。
【0110】
吸入用粉末剤の場合には、滑沢剤(ステアリン酸およびその塩等)、結合剤(デンプン、デキストリン等)、賦形剤(乳糖、セルロース等)、着色剤、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、吸収促進剤などを必要に応じて適宜選択して調製される。
【0111】
吸入用液剤を投与する際には通常噴霧器(アトマイザー、ネブライザー)が使用され、吸入用粉末剤を投与する際には通常粉末薬剤用吸入投与器が使用される。
非経口投与のためのその他の組成物としては、ひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、常法により処方される外溶液剤、軟膏、塗布剤、直腸内投与のための坐剤および膣内投与のためのペッサリー等が含まれる。
【0112】
【実施例】
以下、参考例および実施例によって本発明を詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
クロマトグラフィーによる分離の箇所、TLCに示されているカッコ内の溶媒は、使用した溶出溶媒または展開溶媒を示し、割合は体積比を表わす。NMRの箇所に示されているカッコ内の溶媒は、測定に使用した溶媒を示している。
【0113】
参考例1
3−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド
【化17】
Figure 0003902552
アルゴン雰囲気下、水素化ナトリウム(63%、57.1g)の無水N,N−ジメチルホルムアミド懸濁液(540mL)に、氷冷下3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド(103.5g)の無水N,N−ジメチルホルムアミド溶液(500mL)をゆっくり滴下した。反応混合物を室温にて30分間撹拌した後、氷冷下ベンジルクロリド(104mL)を滴下し、室温にて15時間撹拌した。氷冷下反応液に水を加え、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣を水で希釈し、塩化メチレンにて洗浄した。塩化メチレン層を1N水酸化ナトリウム水溶液にて抽出した。水層を合わせ、2N塩酸にて水層を酸性とした後、酢酸エチルにて抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をクロロホルムから再結晶して、以下の物性値を有する標題化合物(99.4g)を得た。
TLC: 0.79 (クロロホルム:メタノール=10:1);
NMR(CDCl3):δ 9.82 (s, 1H), 7.52 (d, J =1.8 Hz, 1H), 7.49-7.35 (m, 6H), 7.07 (d, J =8.1 Hz, 1H), 6.28 (s, 1H), 5.18 (s, 2H)。
【0114】
参考例2
3−ベンジルオキシ−4−ジフルオロメトキシベンズアルデヒド
【化18】
Figure 0003902552
参考例1で製造した化合物(99.2g)をテトラヒドロフラン(300mL)に溶解し、11N水酸化ナトリウム水溶液(200mL)を室温にて加え、室温にて5分間撹拌した。反応液にクロロジフルオロメタンを60℃(油浴温度)にて通気した。薄層シリカゲルクロマトグラフィーにて原料の消失を確認し、反応液を室温まで冷却した。反応混合物に水を加え、ジエチルエーテルにて抽出した。有機層を2N水酸化ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水にて順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=6:1)にて精製して、以下の物性値を有する標題化合物(97.8g)を得た。
TLC: 0.83 (酢酸エチル:ヘキサン=1:2);
NMR(CDCl3):δ 9.92 (s, 1H), 7.57 (d, J =2.1 Hz, 1H), 7.51-7.31 (m, 7H), 6.69 (t, J = 74.4 Hz,1H), 5.21 (s, 2H)。
【0115】
参考例3
3−ベンジルオキシ−4−ジフルオロメトキシベンジルアルコール
【化19】
Figure 0003902552
参考例2で製造した化合物(97.8g)のメタノール溶液(700mL)に、氷冷下水素化ホウ素ナトリウム(9.8g)を加え、0℃にて15分間撹拌した。反応混合物にアセトンと水を加え、溶媒を減圧下留去した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を2N塩酸、水、飽和食塩水にて順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を留去して、以下の物性値を有する標題化合物(105.48g)を得た。得られた化合物は精製せずに次の反応に用いた。TLC: 0.40 (酢酸エチル:ヘキサン=1:2);
NMR(CDCl3):δ 7.46-7.30 (m, 5H), 7.16 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.08 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 6.92 (m, 1H), 6.57 (t, J = 75.3 Hz, 1H), 5.15 (s, 2H), 4.65 (s, 2H), 1.61 (br, 1H)。
【0116】
参考例4
3−ベンジルオキシ−4−ジフルオロメトキシベンジルクロリド
【化20】
Figure 0003902552
アルゴン雰囲気下、参考例3で製造した化合物(98.5g)の塩化メチレン溶液(1760mL)に、氷冷下塩化チオニル(50.9mL)を滴下し、室温にて3時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、得られた残渣に水と塩化メチレンを加えた後、塩化メチレンにて抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水にて順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を留去して、以下の物性値を有する標題化合物(135.45g)を得た。得られた化合物は精製せずに次の反応に用いた。
TLC: 0.87 (酢酸エチル:ヘキサン=1:2);
NMR(CDCl3):δ 7.46-7.31 (m, 5H), 7.15 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.07 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 6.96 (dd, J = 8.4, 2.1 Hz, 1H), 6.57 (t, J = 75.0 Hz,1H), 5.15 (s, 2H), 4.53 (s, 2H)。
【0117】
参考例5
3−ベンジルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニルアセトニトリル
【化21】
Figure 0003902552
参考例4で製造した化合物(135.4g)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(350mL)にシアン化ナトリウム(52.6g)を加え、室温にて3日間撹拌した。反応混合物に水(1L)を加え、酢酸エチル(1L+500mL)にて抽出した。有機層を飽和食塩水(500mL)にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:7→1:1)にて精製して、以下の物性値を有する標題化合物(92.69g)を得た。
TLC: 0.29 (酢酸エチル:ヘキサン=1:4);
NMR(CDCl3):δ 7.46-7.31 (m, 5H), 7.19 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.00 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 6.90 (dd, J = 8.1, 2.1 Hz, 1H), 6.57 (t, J = 75 Hz, 1H), 5.15 (s, 2H), 3.71 (s, 2H)。
【0118】
参考例6
1−(3−ベンジルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)シクロペンタ−3−エン−1−カルボニトリル
【化22】
Figure 0003902552
アルゴン雰囲気下、参考例6で製造した化合物(83g)のテトラヒドロフラン溶液(717mL)に、−78℃にてリチウム ビス(トリメチルシリル)アミド(1.0Mテトラヒドロフラン溶液、717mL)を加え、1時間撹拌した。反応混合物にシス−1,4−ジクロロ−2−ブテン(30mL)を加え、−78℃のまま1時間撹拌した後,室温まで昇温しながら1.5時間撹拌した。
反応混合物に氷水(1L)を加え、酢酸エチル(1L+500mL)にて抽出した。有機層を1N塩酸(250mL×2)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(250mL×2)、飽和食塩水(250mL)にて順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒を留去して、以下の物性値を有する標題化合物(99.8g)を得た。
TLC: 0.55 (酢酸エチル:ヘキサン=1:2);
NMR(CDCl3):δ 7.46-7.30 (m, 5H), 7.16 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.12 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.02 (dd, J = 8.4, 2.1 Hz, 1H), 6.57 (t, J = 75 Hz, 1H), 5.84-5.76 (m, 2H), 5.15 (s, 2H), 3.34-3.22 (m, 2H), 2.92-2.82 (m, 2H)。
【0119】
参考例7
2−(4−(3−ベンジルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジン−1−イル)酢酸・メチルエステル
【化23】
Figure 0003902552
参考例6で製造した化合物(99.8g)をメタノール(250mL)と塩化メチレン(400mL)に溶解し、−78℃にてオゾンガスを通気した。反応混合物を−78℃にて20時間撹拌した後、ジメチルスルフィド(21mL)を加え、室温まで昇温した。溶媒を留去して得られた残渣をN,N−ジメチルホルムアミド(800mL)に溶解し、グリシンメチルエステル塩酸塩(72.0g)、酢酸(172mL)、水素化トリアセトキシホウ酸ナトリウム(182.4g)を加え、室温にて一晩撹拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1L)を加え、トルエン(500mL×2)にて抽出した。水層を水酸化ナトリウム水溶液にてpH8とし、トルエン(500mL×2)にて抽出した。有機層を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水にて順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン:トルエン=4:6:1)にて精製して、以下の物性値を有する標題化合物(71.47g)を得た。
TLC: 0.39 (酢酸エチル:ヘキサン=1:1);
NMR(CDCl3):δ 7.36-7.12 (m, 7H), 7.07 (dd, J = 8.4, 2.4 Hz, 1H), 6.58 (t, J = 75 Hz, 1H), 5.14 (s, 2H), 3.76 (s, 3H), 3.32 (s, 2H), 3.12-3.04 (m, 2H), 2.72-2.61 (m, 2H), 2.25-2.13 (m, 2H), 2.10-2.01 (m, 2H)。
【0120】
参考例8
2−(4−(3−ヒドロキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジン−1−イル)酢酸・メチルエステル
【化24】
Figure 0003902552
アルゴン雰囲気下、参考例7で製造した化合物(71.47g)と10%パラジウム炭素(50%含水、15g)に酢酸エチル(100mL)を加え、水素雰囲気下室温にて3時間撹拌した。触媒をセライト(登録商標)を通して濾別し、濾液を減圧下濃縮して、以下の物性値を有する標題化合物(44.06g)を得た。
TLC: 0.30 (酢酸エチル:ヘキサン=1:1);
NMR(CDCl3):δ7.16 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.13 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.02 (dd, J = 8.4 Hz, 2.4 Hz, 1H), 6.54 (t, J = 74.4 Hz, 1H), 3.76 (s, 3H), 3.32 (s, 2H), 3.11-3.03 (m, 2H), 2.71-2.60 (m, 2H), 2.25-2.14 (m, 2H), 2.11-2.03 (m, 3H)。
【0121】
参考例9
2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジン−1−イル)酢酸・メチルエステル
【化25】
Figure 0003902552
参考例8で製造した化合物(15g)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(75mL)に炭酸カリウム(15.2g)およびシクロペンチルブロミド(7.1mL)を室温にて加え、80℃にて2時間撹拌した。反応混合物を氷水(200mL)にあけ、酢酸エチルにて抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:2→1:1)にて精製して、以下の物性値を有する標題化合物(17.7g)を得た。
TLC: 0.34 (酢酸エチル:ヘキサン=2:3);
NMR(CDCl3):δ 7.16 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.10 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.03 (dd, J = 8.7, 2.1 Hz, 1H), 6.54 (t, J = 75.3 Hz, 1H), 4.86-4.79 (m, 1H), 3.76 (s, 3H), 3.33 (s, 2H), 3.13-3.05 (m, 2H), 2.72-2.62 (m, 2H), 2.27-2.17 (m, 2H), 2.12-2.04 (m, 2H) 2.00-1.60 (m, 8H)。
【0122】
参考例10
4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−4−シアノ−1−ベンジルピペリジン・塩酸塩
【化26】
Figure 0003902552
塩化チオニル(16.8mL)をトルエン(32.5mL)に溶解し、N,N−ビスヒドロキシエチルベンジルアミン(22.9g)のトルエン溶液(32.5mL)を加え、60℃にて1時間撹拌した。反応混合物に水(50mL)と1N塩酸(50mL)を加え、水層を分離した。水層に3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニルアセトニトリル(WO93/19750号明細書に記載)(26.1g)を加え、氷冷下4N水酸化ナトリウム水溶液(40mL)、水酸化ナトリウム(ペレット、120g)、テトラブチルアンモニウムブロミド(1.57g)を加え、90℃にて1.5時間撹拌した。反応混合物にtert−ブチルメチルエーテル(250mL)と水(125mL)を加え、分液した。有機層を水(250mL)と1N塩酸(40mL)の混合液にて洗浄した後濃縮した。得られた残渣をメタノール(250mL)に溶解し、0.5N塩酸(250mL)に50℃にて滴下した。反応混合物を放冷し、析出した固体を濾取し、メタノールと水の混合液(1:2)(50mL×2)にて洗浄した。得られた固体を減圧下乾燥して、以下の物性値を有する標題化合物(36.5g)を得た。
TLC: 0.49 (トルエン:酢酸エチル=10:1);
NMR(CD3OD):δ 7.66-7.58 (m, 2H), 7.56-7.47 (m, 3H), 7.24-7.19 (m, 2H), 7.13-7.08 (m, 1H), 6.70 (t, J = 75.0 Hz, 1H), 5.00-4.88 (m, 1H), 4.48 (s, 2H), 3.78-3.63 (m, 2H), 3.50-3.33 (m, 2H), 2.63-2.40 (m, 4H), 2.05-1.55 (m, 8H)。
【0123】
実施例1
4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジン・塩酸塩
【化27】
Figure 0003902552
アルゴン雰囲気下、参考例10で製造した化合物(36.5g)のメタノール溶液(530mL)に10%パラジウム炭素(50%含水、7.2g)を加え、水素雰囲気下室温にて4時間撹拌した。触媒をセライト(登録商標)を通して濾別し、濾液を減圧下濃縮した。得られた残渣を酢酸エチル−ヘプタン(1:2)から再結晶して、以下の物性値を有する本発明化合物(19.3g)を得た。
TLC: 0.25 (クロロホルム:メタノール=10:1);
NMR(CD3OD):δ 7.24-7.20 (m, 2H), 7.14-7.08 (m, 1H), 6.71 (t, J = 74.8 Hz, 1H), 5.00-4.90 (m, 1H), 3.70-3.57 (m, 2H), 3.45-3.34 (m, 2H), 2.50-2.30 (m, 4H), 2.10-1.60 (m, 8H)。
【0124】
参考例11
2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジン−1−イル)酢酸・エチルエステル
【化28】
Figure 0003902552
実施例1で製造した化合物(19.8g)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(53mL)に炭酸カリウム(18.4g)とブロモ酢酸エチル(5.89mL)を加え、50℃にて1.5時間撹拌した。反応混合物に水(160mL)を加え、tert−ブチルメチルエーテル(160mL)にて抽出した。有機層を水(80mL×2)にて洗浄後、溶媒を留去して、以下の物性値を有する標題化合物(23.4g)を得た。
TLC: 0.47 (ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
NMR(CDCl3):δ 7.18-7.00 (m, 3H), 6.54 (t, J = 75.0 Hz, 1H), 4.85-4.78 (m, 1H), 4.22 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 3.31 (s, 2H), 3.10 (brd, J = 11.8 Hz, 2H), 2.68 (td, J = 11.8, 3.2 Hz, 2H), 2.30-2.20 (m, 4H), 2.20-1.60 (m, 8H), 1.30 (t, J = 7.0 Hz, 3H)。
【0125】
実施例2
2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジン−1−イル)酢酸・一水和物
【化29】
Figure 0003902552
参考例9で製造した化合物(17.7g)のメタノール溶液(200mL)に、氷冷下1N水酸化ナトリウム水溶液(86.6mL)を加え、室温にて2時間撹拌した。氷冷下、反応混合物に2N塩酸(43mL)を加えた。析出した固体を濾取し、メタノール−水(1:2)(150mL)、ジエチルエーテルにて洗浄して固体(13.36g)を得た。先で得られた固体(12.44g)をエタノール(144mL)−水(96mL)から再結晶し、25℃にて減圧下(3mmHg)12時間乾燥して、以下の物性値を有する本発明化合物(1水和物)(11.49g)を得た。TLC: 0.48 (クロロホルム:メタノール=8:2);
NMR(DMSO-d6):δ 7.22-7.19 (m, 2H), 7.09 (dd, J = 8.7, 2.1 Hz, 1H), 7.00 (t, J = 74.4 Hz, 1H), 5.01-4.92 (m, 1H), 4.00- 2.60 (br, 1H), 3.24 (s, 2H), 3.04-2.95 (m, 2H), 2.70-2.50 (m, 2H), 2.16-1.80 (m, 6H), 1.80-1.50 (m, 6H)。
【0126】
実施例2(1)
2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジン−1−イル)酢酸・一水和物
【化30】
Figure 0003902552
参考例9で製造した化合物の代わりに参考例11で製造した化合物を用いて、実施例2と同様の操作に付すことにより、以下の物性値を有する本発明化合物(1水和物)を得た。
TLC: 0.48 (クロロホルム:メタノール=8:2);
NMR(DMSO-d6):δ 7.25-7.16 (m, 2H), 7.09 (dd, J = 8.4, 2.2 Hz, 1H), 7.00 (t, J = 74.4 Hz, 1H), 5.08-4.92 (m, 1H), 3.24 (s, 2H), 3.12-2.94 (m, 2H), 2.70-2.46 (m, 2H), 2.20-1.43 (m, 12H)。
【0127】
実施例3
2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジン−1−イル)酢酸・5水和物
【化31】
Figure 0003902552
参考例11で製造した化合物(30.7g)をエタノール(146mL)に溶解し、室温で2N水酸化ナトリウム水溶液(43.8mL)を加え、室温で2時間撹拌した。反応混合物に2N塩酸(43.8mL)を加えて中和後、濃縮し、固体(34.82g)得た。先で得られた固体のうち、一部(5.0g)をエタノール−水(2:1)(90mL)から再結晶し、以下の物性値を有する本発明化合物(5水和物)(4.41g)を得た。
TLC: 0.48 (クロロホルム:メタノール=8:2)。
【0128】
実施例4
2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジン−1−イル)酢酸・一水和物
【化32】
Figure 0003902552
実施例3で製造した化合物(4.41g)を40℃にて減圧下(3mmHg)乾燥して、以下の物性値を有する本発明化合物(1水和物)(3.73g)を得た。
TLC: 0.48 (クロロホルム:メタノール=8:2);
NMR(DMSO-d6):δ 7.22-7.19 (m, 2H), 7.09 (dd, J = 8.7, 2.1 Hz, 1H), 7.00 (t, J = 74.4 Hz, 1H), 5.01-4.92 (m, 1H), 4.00- 2.60 (br, 1H), 3.24 (s, 2H), 3.04-2.95 (m, 2H), 2.70-2.50 (m, 2H), 2.16-1.80 (m, 6H), 1.80-1.50 (m, 6H)。
【0129】
比較例1
2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジン−1−イル)酢酸
【化33】
Figure 0003902552
参考例11で製造した化合物(185mg)、エタノール(3mL)および2N水酸化ナトリウム水溶液(0.44mL)の混合物を室温で1.5時間撹拌した。反応混合物を2N塩酸(0.44mL)で中和後、トルエンで共沸した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール:水=10:2:0.1)で精製し、下記物性値を有する本発明化合物(176mg)を得た。
TLC:Rf 0.35 (クロロホルム:メタノール:酢酸=10:1:0.2);
NMR(CDCl3):δ 7.25-7.15 (m, 2H), 7.09 (dd, J = 8.1, 2.1 Hz, 1H), 7.01 (t, J = 75.0 Hz, 1H), 4.98 (m, 1H), 3.60-3.00 (br, 1H), 3.26 (s, 2H), 3.10-2.95 (m, 2H), 2.70-2.50 (m, 2H), 2.20-2.00 (m, 4H), 2.00-1.80 (m, 2H), 1.80-1.60 (m, 4H), 1.65-1.50 (m, 2H)。
【0130】
製剤例1
以下の各成分を常法により混合した後打錠して、一錠中に50mgの活性成分を含有する錠剤100錠を得た。
・2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)
−4−シアノピペリジン−1−イル)酢酸・一水和物 ・・・・・5.0g
・カルボキシメチルセルロースカルシウム(崩壊剤) ・・・・・0.2g
・ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) ・・・・・0.1g
・微結晶セルロース ・・・・・4.7g
【0131】
製剤例2
以下の各成分を常法により混合した後、溶液を常法により滅菌し、5mLずつアンプルに充填し、常法により凍結乾燥し、1アンプル中20mgの活性成分を含有するアンプル100本を得た。
・2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)
−4−シアノピペリジン−1−イル)酢酸・一水和物 ・・・・・2.0g
・マンニトール ・・・・・20g
・蒸留水 ・・・・1000mL
【図面の簡単な説明】
【図1】 2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジン−1−イル)酢酸・一水和物(化合物1)の粉末X線回折スペクトルチャートを示す。
【図2】 2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジン−1−イル)酢酸(比較化合物)の粉末X線回折スペクトルチャートを示す。
【図3】 化合物1のIRスペクトルデータを示す。
【図4】 比較化合物のIRスペクトルデータを示す。
【図5】 化合物1のDSC測定チャートを示す。
【図6】 化合物1のTG測定チャートを示す。
【図7】 比較化合物のDSC測定チャートを示す。
【図8】 比較化合物のTG測定チャートを示す。
【図9】 化合物1の単結晶X線構造解析データを示す。
【図10】 化合物1の単結晶X線構造解析データを示す。

Claims (12)

  1. 一般式(I)
    Figure 0003902552
    (式中、Rは水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、または有機アミンを表わし、nは1から5の整数、または5までの真分数あるいは仮分数を表わす。)で示されるピペリジン誘導体化合物。
  2. Rが水素原子を表わす請求項1記載のピペリジン誘導体化合物。
  3. nが1を表わす請求項1記載のピペリジン誘導体化合物。
  4. 2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジン−1−イル)酢酸・一水和物である請求項1乃至3のいずれかに記載の化合物。
  5. 式(III)
    Figure 0003902552
    で示される4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジンまたはその酸付加物塩。
  6. 水および/または1種以上の有機溶媒を含有していてもよいアルコール系溶媒中で、再結晶操作に付すことを特徴とする2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジン−1−イル)酢酸・nH2O(nは請求項1と同じ意味を表わす。)の製造方法。
  7. 請求項1乃至4のいずれかに記載の化合物を有効成分として含有するPDE4阻害剤。
  8. 請求項1乃至4のいずれかに記載の化合物を有効成分として含有する炎症性疾患、糖尿病性疾患、アレルギー性疾患、自己免疫疾患、眼疾患、骨粗しょう症、骨折、変形性関節症、肥満症、過食症、抗うつ、パーキンソン病、痴呆症、虚血再かん流障害、白血病、AIDS、ショック、全身性炎症反応症候群(SIRS)の予防および/または治療剤。
  9. 炎症性疾患が、喘息、慢性閉塞性肺疾患、敗血症、サルコイドーシス、腎炎、肝炎、または腸炎である請求項8記載の予防および/または治療剤。
  10. アレルギー性疾患が、アレルギー性鼻炎、またはアトピー性皮膚炎である請求項8記載の予防および/または治療剤。
  11. 自己免疫疾患が、潰瘍性大腸炎、クローン病、リュウマチ、乾癬、多発性硬化症、または膠原病である請求項8記載の予防および/または治療剤。
  12. 眼疾患が、アレルギー性結膜炎、または季節性結膜炎である請求項8記載の予防および/または治療剤。
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