JP2003300960A - ピペリジン誘導体化合物およびその化合物を有効成分として含有する薬剤 - Google Patents

ピペリジン誘導体化合物およびその化合物を有効成分として含有する薬剤

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JP2003300960A JP2003030787A JP2003030787A JP2003300960A JP 2003300960 A JP2003300960 A JP 2003300960A JP 2003030787 A JP2003030787 A JP 2003030787A JP 2003030787 A JP2003030787 A JP 2003030787A JP 2003300960 A JP2003300960 A JP 2003300960A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 一般式(I) 【化1】 (式中の記号は明細書に記載の通り)で示されるピペリ
ジン誘導体およびその製造中間体。 【効果】 式(I)で示される化合物はホスホジエステ
ラーゼ4阻害活性を有するので、炎症性疾患、糖尿病性
疾患、アレルギー性疾患、自己免疫疾患、眼疾患、骨粗
しょう症、骨折、変形性関節症、肥満症、過食症、抗う
つ、パーキンソン病、痴呆症、虚血再かん流障害、白血
病、後天性免疫不全症候群(AIDS)、ショック、全
身性炎症反応症候群(SIRS)等の予防および/また
は治療に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はピペリジン誘導体化
合物に関する。さらに詳しく言えば、本発明は(1)一
般式(I)
【化3】 で示されるピペリジン誘導体化合物、(2)その製造方
法、(3)それを有効成分として含有する薬剤、(4)
一般式(I)で示される化合物の製造中間体として有用
な式(III) で示される化合物、および(5)その製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】細胞内情報伝達物質(セカンドメッセン
ジャー)であるサイクリックアデノシン−3’,5’−
モノリン酸(c−AMP)やサイクリックグアノシン−
3’,5’−モノリン酸(c−GMP)は、ホスホジエ
ステラーゼ(PDE)と呼ばれる加水分解酵素群によっ
て不活性な5’−AMPや5’−GMPにそれぞれ分解
される。これらを不活化するPDEアイソザイムは、生
体に一律に存在するのではなく、細胞分布や組織分布な
どに差を示し、臓器特有の局在性を持って生体内に存在
している。
【0003】現在までにPDE1〜PDE11まで11
種類のファミリーの存在が確認されている(Current op
inion in Cell Biology., 12, 174-179 (2000);非特許
文献1)。これらのPDEのうち、PDE4は気道平滑
筋、上皮細胞、炎症細胞(マクロファージ、好中球、好
酸球)、T−リンパ球等をはじめとする種々の細胞に存
在しており、これらの細胞の細胞内c−AMPレベルを
調節し、細胞機能の制御を行なっている。一方、PDE
5等の他のPDEは、血小板、心筋および血管平滑筋等
に存在し、細胞内c−GMPまたはc−AMPレベルを
調節し、循環器系の制御に関与している。
【0004】そのため、PDE4阻害剤は、PDE4に
よるc−AMPの分解を抑制することによって細胞内c
−AMPの蓄積を引き起こすことから、気管支拡張作
用、抗炎症作用、メディエータ遊離抑制作用および免疫
抑制作用等を有することが知られている。
【0005】従って、PDE4を特異的に阻害する薬剤
は、PDE5等の他のPDE阻害による循環器への作用
を示さず、種々の疾患、すなわち、炎症性疾患(喘息、
慢性閉塞性肺疾患、敗血症、サルコイドーシス、腎炎、
肝炎、腸炎等)、糖尿病性疾患、アレルギー性疾患(ア
レルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎等)、自己免疫疾患
(潰瘍性大腸炎、クローン病、リュウマチ、乾癬、多発
性硬化症、膠原病等)、眼疾患(アレルギー性結膜炎、
季節性結膜炎等)、骨粗しょう症、骨折、変形性関節
症、肥満症、過食症、抗うつ、パーキンソン病、痴呆
症、虚血再かん流障害、白血病、AIDS(Exp. Opin.
Invest. Drugs., 8, 1301-1325 (1999);非特許文献
2)、ショック、全身性炎症反応症候群(SIRS)等
の予防および/または治療に有用であると考えられる。
【0006】PDE4阻害剤として、例えば、WO94/254
37号明細書(特許文献1)には、一般式(A)
【化4】 (式中、R1AはH、C1〜6アルキルを表わし、R2A
C3〜7アルキル、C3〜7シクロアルキル等を表わ
し、R3AはCOR4A、COCOR4A等を表わし、R 4A
H、OR5A、NHOH等を表わし、R5AはH、C1〜6
アルキル等を表わし、XAはO等を表わし、YAはO等を
表わす。)で示される化合物またはその医薬上許容され
る塩が、PDE4阻害活性を有していることが記載され
ている(基の説明は必要な部分を抜粋した。)。
【0007】また、WO93/19747号明細書(特許文献2)
には、一般式(B)
【化5】 (式中、R1Bは−(CR4B5BrB6B等を表わし、r
Bは1〜6を表わし、R 4BおよびR5Bはそれぞれ独立し
て、水素原子またはC1〜2アルキル基を表わし、R6B
は水素原子、C3〜6シクロアルキル基等を表わし、X
BはYB2B等を表わし、YBはO等を表わし、R2Bはメ
チル、エチル等を表わし、X2BはO等を表わし、X3B
水素原子等を表わし、sBは0〜4を表わし、R3Bは水
素原子、CN等を表わし、X5Bは水素原子等を表わし、
BはCR8B8BC(O)OR14B、CR8B8BC(Y’
B)NR10B14B等を表わし、R8Bは水素原子等を表わ
し、R10Bは水素原子、OR8B等を表わし、R14Bは水素
原子等を表わす。)で示される化合物またはその医薬上
許容される塩が、PDE4阻害活性を有していることが
記載されている(基の説明は必要な部分を抜粋し
た。)。
【0008】また、WO93/19749号明細書(特許文献3)
には、一般式(C)
【化6】 (式中、R1Cは−(CR4C5CrC6C等を表わし、r
Cは1〜6を表わし、R 4CおよびR5Cはそれぞれ独立し
て、水素原子またはC1〜2アルキル基を表わし、R6C
は水素原子、C3〜6シクロアルキル基等を表わし、X
CはYC2C等を表わし、YCはO等を表わし、R2Cはメ
チル、エチル等を表わし、X2CはO等を表わし、X3C
水素原子等を表わし、X4C
【化7】 等を表わし、R3Cは水素原子、CN等を表わし、X5C
水素原子等を表わし、sCは0〜4を表わし、ZCはC
(O)OR14C、C(Y’C)NR10C14C等を表わし、
10Cは水素原子、OR8C等を表わし、R8Cは水素原子
等を表わし、R14Cは水素原子等を表わす。)で示され
る化合物またはその医薬上許容される塩が、PDE4阻
害活性を有していることが記載されている(基の説明は
必要な部分を抜粋した。)。
【0009】本出願人はすでにPDE4阻害剤として、
一般式(D)
【化8】 (式中、すべての記号はWO02/14280号明細書(特許文献
4)の記載と同じ意味を表わす。)で示されるピペリジ
ン誘導体化合物およびそれらの非毒性塩およびそれらを
有効成分として含有するPDE4阻害剤に関する特許出
願(特許文献4)を行なっている。特に、該国際出願の
実施例2(9)では、式(E)
【化9】 で示される2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4
−ジフルオロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジ
ン−1−イル)酢酸が記載されている。
【0010】
【非特許文献1】Current opinion in Cell Biology.,
12巻, 2000年, 174-179頁
【非特許文献2】Exp. Opin. Invest. Drugs., 8巻, 19
99年, 1301-1325頁
【特許文献1】国際公開第94/25437号パンフレット
【特許文献2】国際公開第93/19747号パンフレット
【特許文献3】国際公開第93/19749号パンフレット
【特許文献4】国際公開第02/14280号パンフレット
【0011】
【発明の開示】本発明者らは、PDE4阻害活性を有す
る化合物を見出すべく鋭意研究を行なった結果、一般式
(I)で示されるピペリジン誘導体化合物が目的を達成
することを見出した。一般式(I)で示される化合物、
特に2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフ
ルオロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジン−1
−イル)酢酸・一水和物(以下、化合物1と略記す
る。)は、先述した国際出願には具体的には記載されて
おらず、全く新規な化合物である。さらに、医薬品とし
て有用な一般式(I)で示されるピペリジン誘導体の製
造中間体として非常に有用な式(III)で示される化合
物も見出し、本発明を完成した。
【0012】すなわち、本発明は、(1)一般式(I)
【化10】 (式中、Rは水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土
類金属原子、または有機アミンを表わし、nは1から5
の整数、または5までの真分数あるいは仮分数を表わ
す。)で示されるピペリジン誘導体化合物、(2)Rが
水素原子を表わす前項1記載のピペリジン誘導体化合
物、(3)nが1を表わす前項1記載のピペリジン誘導
体化合物、(4)2−(4−(3−シクロペンチルオキ
シ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−4−シアノピ
ペリジン−1−イル)酢酸・一水和物である前項1乃至
3のいずれかに記載の化合物、(5)式(III)
【化11】 で示される4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフ
ルオロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジンまた
はその酸付加物塩、(6)水および/または1種以上の
有機溶媒を含有していてもよいアルコール系溶媒中で、
再結晶操作に付すことを特徴とする2−(4−(3−シ
クロペンチルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニ
ル)−4−シアノピペリジン−1−イル)酢酸・nH2
O(nは請求の範囲1と同じ意味を表わす。)の製造方
法、(7)前項1乃至4のいずれかに記載の化合物を有
効成分として含有するPDE4阻害剤、(8)前項1乃
至4のいずれかに記載の化合物を有効成分として含有す
る炎症性疾患、糖尿病性疾患、アレルギー性疾患、自己
免疫疾患、眼疾患、骨粗しょう症、骨折、変形性関節
症、肥満症、過食症、抗うつ、パーキンソン病、痴呆
症、虚血再かん流障害、白血病、AIDS、ショック、
全身性炎症反応症候群(SIRS)の予防および/また
は治療剤、(9)炎症性疾患が、喘息、慢性閉塞性肺疾
患、敗血症、サルコイドーシス、腎炎、肝炎、または腸
炎である前項8記載の予防および/または治療剤、(1
0)アレルギー性疾患が、アレルギー性鼻炎、またはア
トピー性皮膚炎である前項8記載の予防および/または
治療剤、(11)自己免疫疾患が、潰瘍性大腸炎、クロ
ーン病、リュウマチ、乾癬、多発性硬化症、または膠原
病である前項8記載の予防および/または治療剤、(1
2)眼疾患が、アレルギー性結膜炎、または季節性結膜
炎である前項8記載の予防および/または治療剤、およ
び(13)前項5記載の式(III)で示される化合物の
製造方法に関する。
【0013】
【詳細な説明】本明細書中、nによって表わされる1か
ら5の整数とは、1、2、3、4および5を意味する。
本明細書中、nによって表わされる5までの真分数と
は、例えば、1/2、1/3、1/4等を意味し、仮分
数とは、例えば、3/2、10/2等を意味する。本明
細書中、Rによって表わされる金属には塩を形成し、薬
理学的に許容されるものは全て含まれる。具体的にはア
ルカリ金属、アルカリ土類金属等が挙げられる。アルカ
リ金属とは、カリウム、ナトリウム、リチウム等を表わ
し、アルカリ土類金属とは、カルシウム、マグネシウム
等を表わす。
【0014】本明細書中、Rによって表わされる有機ア
ミンには塩を形成し、薬理学的に許容されるものは全て
含まれる。具体的にはトリエチルアミン、メチルアミ
ン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジル
アミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメ
チル)メチルアミン、リジン、アルギニン、N−メチル
−D−グルカミン等が挙げられる。
【0015】一般式(I)中のnH2Oは、結晶水およ
び付着水を意味する。nH2Oとしては結晶水が好まし
い。一般式(I)で示される化合物のうち、医薬品とし
て供するにはRが水素原子で、nが1である化合物が好
ましい。
【0016】[本発明化合物の製造方法]一般式(I)
および式(III)で示される本発明化合物は、以下の方
法または実施例に記載した方法により製造することがで
きる。一般式(I)で示される本発明化合物は、式(I
I)
【化12】 (式中、R1はカルボキシル基の保護基を表わす。)で
示される化合物をカルボキシル基の保護基の脱保護反応
に付すことによって製造することができる。カルボキシ
ル基の保護基としては、例えばメチル基、エチル基、t
−ブチル基、ベンジル基等が挙げられる。
【0017】カルボキシル基の保護基としては、上記し
た以外にも容易にかつ選択的に脱離できる基であれば特
に限定されない。例えば、T. W. Greene, Protective G
roups in Organic Synthesis 3rd edition, Wiley, New
York, 1999に記載されたものが用いられる。カルボキ
シル基の保護基の脱保護反応はよく知られており、例え
ば、(1)アルカリ条件下における脱保護反応、(2)
酸性条件下における脱保護反応、(3)加水素分解によ
る脱保護反応等が挙げられる。
【0018】これらの方法を具体的に説明すると、 (1)アルカリ条件下における脱保護反応は、例えば、
有機溶媒(メタノール、エタノール、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド等)中、アルカ
リ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化リチウム等)、アルカリ土類金属の水酸化物
(水酸化バリウム、水酸化カルシウム等)または炭酸塩
(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、有機アミン(ト
リエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピペラ
ジン等)または四級アンモニウム塩(テトラブチルアン
モニウムフルオライド等)あるいはその水溶液もしくは
これらの混合物を用いて、0〜40℃の温度で行なわれ
る。
【0019】(2)酸条件下での脱保護反応は、例え
ば、有機溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、ジオキサ
ン、酢酸エチル、アニソール等)中、有機酸(酢酸、ト
リフルオロ酢酸、メタンスルホン酸等)、または無機酸
(塩酸、硫酸等)もしくはこれらの混合物(臭化水素/
酢酸等)中、0〜100℃の温度で行なわれる。
【0020】(3)加水素分解による脱保護反応は、例
えば、溶媒(エーテル系(テトラヒドロフラン、ジオキ
サン、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル等)、アル
コール系(メタノール、エタノール等)、ベンゼン系
(ベンゼン、トルエン等)、ケトン系(アセトン、メチ
ルエチルケトン等)、ニトリル系(アセトニトリル
等)、アミド系(ジメチルホルムアミド等)、水、酢酸
エチル、酢酸またはそれらの2以上の混合溶媒等)中、
触媒(パラジウム−炭素、パラジウム黒、水酸化パラジ
ウム、酸化白金、ラネーニッケル等)の存在下、常圧ま
たは加圧下の水素雰囲気下またはギ酸アンモニウム存在
下、0〜200℃の温度で行なわれる。
【0021】当業者には容易に理解できることではある
が、これらの脱保護反応を使い分けることにより、目的
とする本発明化合物を容易に製造することができる。ま
た、脱保護反応の後、必要に応じて、塩変換反応、再結
晶操作および/または乾燥操作を行なうことにより、一
般式(I)で示される化合物を製造することができる。
【0022】塩変換反応、再結晶操作および乾燥操作は
公知であり、例えば、第4版実験化学講座1、基本操作
I(日本化学会編)の方法に従って行なうことができ
る。再結晶操作で用いる溶媒系としては、例えば、水お
よび/または1種以上の有機溶媒を含有していてもよい
アルコール系溶媒が挙げられる。
【0023】アルコール系溶媒とは、その構造中に水酸
基を有するアルカンである溶媒を意味する。具体例とし
ては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプ
ロパノール、ブタノール等が挙げられる。有機溶媒と
は、再結晶操作に用いることができるものすべてを意味
し、具体例としては、鎖状エーテル系溶媒、環状エーテ
ル系溶媒、含アミド系溶媒、リン酸アミド系溶媒、含硫
黄系溶媒、ニトリル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系
溶媒、炭酸エステル系溶媒、カルボン酸系溶媒、直鎖ア
ルカン系溶媒、環状アルカン系溶媒、芳香族炭素環系溶
媒、環状含窒素系溶媒等が挙げられる。
【0024】鎖状エーテル系溶媒とは、その構造中にエ
ーテル結合を有し、かつ鎖状構造をとる溶媒を意味す
る。エーテル結合を構成する炭素置換基は、鎖状でも環
状でもかまわない。具体例としては、1,2−ジメトキ
シエタン、シクロペンチルメチルエーテル、ジエチルエ
ーテル、イソプロピルエーテル、およびメチル−t−ブ
チルエーテル等が挙げられる。
【0025】環状エーテル系溶媒とは、その構造中にエ
ーテル結合を有し、かつ環状構造をとる溶媒を意味す
る。具体例としては、テトラヒドロフラン、および1,
4−ジオキサン等が挙げられる。含アミド系溶媒とは、
その構造中にアミド結合を有する溶媒を意味する。具体
例としては、N,N−ジメチルアセタミド、およびN,
N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
【0026】リン酸アミド系溶媒とは、その構造中にリ
ン酸アミド結合を有する溶媒を意味する。具体例として
は、ヘキサメチルリン酸トリアミド等が挙げられる。含
硫黄系溶媒とは、その構造中に硫黄原子を含有する溶媒
を意味する。具体例としては、ジメチルスルホキシド、
およびテトラメチレンスルホキシド等が挙げられる。
【0027】ニトリル系溶媒とは、その構造中にニトリ
ル基を有する溶媒を意味する。具体例としては、アセト
ニトリル等が挙げられる。エステル系溶媒とは、その構
造中にエステル結合を有する溶媒を意味する。具体例と
しては、酢酸エチル等が挙げられる。ケトン系溶媒と
は、その構造中にケトン基を有する溶媒を意味する。具
体例としては、アセトン、およびメチルエチルケトン等
が挙げられる。
【0028】炭酸エステル系溶媒とは、その構造中に−
O−CO−O−基を有する溶媒を意味する。具体例とし
ては、炭酸ジエチル、および炭酸ジメチル等が挙げられ
る。カルボン酸系溶媒とは、その構造中にカルボキシル
基を有する溶媒を意味する。具体例としては、酢酸等が
挙げられる。直鎖アルカン系溶媒とは、その構造が直鎖
のアルカンである溶媒を意味する。具体例としては、ペ
ンタン、n−ヘキサン、およびヘプタン等が挙げられ
る。
【0029】環状アルカン系溶媒とは、その構造が環状
のアルカンである溶媒を意味する。具体例としては、シ
クロヘキサン等が挙げられる。芳香族炭素環系溶媒と
は、芳香族炭素環の溶媒を意味する。具体例としては、
ベンゼン、トルエン、およびキシレン等が挙げられる。
環状含窒素系溶媒とは、その構造中に窒素原子を含有
し、かつ環状構造をとる溶媒を意味する。具体例として
は、ピリジン、ピペリジン、1,3−ジメチル−2−イ
ミダゾリジノン、および1−メチル−2−ピロリドン等
が挙げられる。乾燥操作としては、例えば、自然乾燥、
風乾、強制乾燥(乾燥剤、減圧乾燥等)等が挙げられ
る。
【0030】式(II)で示される化合物は、後述する反
応工程式1乃至2で示される方法または実施例に示され
る方法により製造することができる。
【0031】式(III)で示される本発明化合物は新規
な化合物であり、式(IV)
【化13】 (式中、R2はアミノ基の保護基を表わす。)で示され
る化合物をアミノ基の保護基の脱保護反応に付すことに
よって製造することができる。
【0032】アミノ基の保護基としては、例えばベンジ
ル基、4−メトキシベンジル基、ベンジルオキシカルボ
ニル基、t−ブトキシカルボニル基、トリフルオロアセ
チル基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基等が挙
げられる。アミノ基の保護基としては、上記した以外に
も容易にかつ選択的に脱離できる基であれば特に限定さ
れない。例えば、T. W. Greene, Protective Groups in
Organic Synthesis 3rd edition, Wiley, New York, 1
999に記載されたものが用いられる。
【0033】アミノ基の保護基の脱保護反応はよく知ら
れており、例えば、(1)アルカリ条件下における脱保
護反応、(2)酸性条件下における脱保護反応、(3)
加水素分解による脱保護反応等が挙げられる。
【0034】これらの方法を具体的に説明すると、 (1)アルカリ条件下における脱保護反応は、例えば、
有機溶媒(メタノール、エタノール、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド等)中、アルカ
リ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化リチウム等)、アルカリ土類金属の水酸化物
(水酸化バリウム、水酸化カルシウム等)または炭酸塩
(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、有機アミン(ト
リエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピペラ
ジン、ピペリジン、モルホリン等)または四級アンモニ
ウム塩(テトラブチルアンモニウムフルオライド等)あ
るいはその水溶液もしくはこれらの混合物を用いて、0
〜40℃の温度で行なわれる。
【0035】(2)酸条件下での脱保護反応は、例え
ば、有機溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、ジオキサ
ン、酢酸エチル、アニソール等)中、有機酸(酢酸、ト
リフルオロ酢酸、メタンスルホン酸等)、または無機酸
(塩酸、硫酸等)もしくはこれらの混合物(臭化水素/
酢酸等)中、0〜100℃の温度で行なわれる。
【0036】(3)加水素分解による脱保護反応は、例
えば、溶媒(エーテル系(テトラヒドロフラン、ジオキ
サン、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル等)、アル
コール系(メタノール、エタノール等)、ベンゼン系
(ベンゼン、トルエン等)、ケトン系(アセトン、メチ
ルエチルケトン等)、ニトリル系(アセトニトリル
等)、アミド系(ジメチルホルムアミド等)、水、酢酸
エチル、酢酸またはそれらの2以上の混合溶媒等)中、
触媒(パラジウム−炭素、パラジウム黒、水酸化パラジ
ウム、酸化白金、ラネーニッケル等)の存在下、常圧ま
たは加圧下の水素雰囲気下またはギ酸アンモニウム存在
下、0〜200℃の温度で行なわれる。
【0037】当業者には容易に理解できることではある
が、これらの脱保護反応を使い分けることにより、目的
とする本発明化合物を容易に製造することができる。
【0038】式(IV)で示される化合物は、後述する反
応工程式3で示される方法または実施例に示される方法
により製造することができる。反応工程式中、R3はフ
ェノールの保護基を表わし、Xは脱離基(塩素、臭素、
ヨウ素、トシル基、メシル基等)を表わし、その他の記
号は前記と同じ意味を表わす。
【0039】
【化14】
【0040】
【化15】
【0041】
【化16】
【0042】本明細書中の各反応において、反応生成物
は通常の精製手段、例えば、常圧下または減圧下におけ
る蒸留、シリカゲルまたはケイ酸マグネシウムを用いた
高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィ
ー、あるいはカラムクロマトグラフィーまたは洗浄、再
結晶等の方法により精製することができる。精製は各反
応ごとに行なってもよいし、いくつかの反応終了後に行
なってもよい。
【0043】[塩]式(III)で示される本発明化合物
は、公知の方法で酸付加物塩に変換される。式(III)
で示される本発明化合物の酸付加物塩としては、例え
ば、無機酸塩(塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸
塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩等)、有機酸塩(酢酸
塩、トリフルオロ酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、シュウ酸
塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、クエン酸
塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼ
ンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、イセチオン酸
塩、グルクロン酸塩、グルコン酸塩等)等が挙げられ
る。
【0044】一般式(I)で示される本発明化合物、特
に1水和物(後記化合物1)は、製剤、特に固形製剤
(例えば、錠剤、カプセル剤等)を製造する際に、安定
な固形製剤を容易に製造することができる。すなわち、
無水物(後記比較化合物)は、固形製剤の製剤時または
保管時に空気中等の水分を吸収し、無水物と水和物の混
合物となることがあるのに対して、本発明化合物はその
ような形態変化を起こさないため、医薬品として供する
には極めて有用である。
【0045】[比較試験]一般式(I)で示される本発
明化合物のうち、2−(4−(3−シクロペンチルオキ
シ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−4−シアノピ
ペリジン−1−イル)酢酸・一水和物(化合物1;該化
合物は、後述する実施例2の方法で製造した。)と先の
国際出願に記載されている2−(4−(3−シクロペン
チルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−4−
シアノピペリジン−1−イル)酢酸(以下、比較化合物
と略記する。該化合物は、後述する比較例1の方法で製
造した。この製造方法は、国際出願番号PCT/JP00/06861
の実施例2(9)に記載の方法に従った。)は全く異な
る化合物であることが、以下の比較試験の結果(粉末X
線回折データ、IR(赤外)データ、DSC(示差走査
熱量測定)データ、TG(熱重量測定)データ、元素分
析データ、単結晶X線構造解析データ)から確認でき
た。
【0046】1)粉末X線回折データ 化合物1と比較化合物のCu Kα特性X線を使用して
得られる粉末X線回折スペクトルチャートを図1および
図2に示す。また、各化合物の粉末X線回折スペクトル
において、格子間隔と相対強度を表1に示す。
【0047】[測定条件] 装置:理学電機製 RINT-1400型粉末X線回折装置、 ターゲット:Cu、 フィルター:使用しない、 電圧:40kV、 電流:20mA、 スキャンスピード:2.0°/min。
【0048】
【表1】
【0049】図1、図2(表1)から、両者は明らかに
異なる結晶構造を有する化合物であることがわかる。
【0050】2)IRデータ 化合物1と比較化合物のIRスペクトルデータをそれぞ
れ、図3および図4に示す。
【0051】[測定条件] 装置:日本分光製 FT/IR-660Plus型赤外分光光度計、 分解能:4cm-1、 スキャン回数:64回。
【0052】図3と図4を比較すると、特に1450-1200
cm-1付近および900-600cm-1付近の吸収ピークが異
なっており、両者は明らかに異なる化合物であることが
わかる。
【0053】3)DSCデータおよびTGデータ 化合物1と比較化合物のDSCおよびTGの測定チャー
トをそれぞれ、図5、図6、図7および図8に示す。
【0054】[測定条件]DSC 装置:セイコーインスツルメンツ社製 DSC6200型示差
走査熱量分析装置、 試料量:約4.8mg、 試料セル:アルミニウムオープンセル、 アルゴンガス流量:20mL/min、 昇温速度:10℃/min。TG 装置:島津製作所製 TGA-50型熱重量測定装置、 試料量:約4.8mg、 試料セル:アルミニウムオープンセル、 窒素ガス流量:20mL/min、 昇温速度:10℃/min。 DSCデータおよびTGデータにおいて、両者は明らか
に異なることがわかる。
【0055】化合物1において、DSCデータ(図5)
では75℃から120℃までのブロードな吸熱および1
74℃での吸熱ピークを示した。また、TGデータ(図
6)では前者の温度範囲に4.2%の重量減少(水1分子
に相当する)が認められ、後者の吸熱が終了した温度ま
で重量減少は認められなかった。これに対して、比較化
合物において、DSCデータ(図7)では174℃での
単一の吸熱ピークが認められ、この吸熱終了温度までの
TGデータ(図8)での重量減少は認められなかった。
【0056】両化合物の粉末X線回折データ(図1およ
び図2)が異なることより、化合物1のDSCデータ
(図5)における75℃から120℃までのピークは水
の蒸発と結晶転移による吸熱であり、両化合物の174
℃の吸熱ピークは融解によるものと考えられる。
【0057】4)元素分析データ 化合物1と比較化合物の元素分析データを、以下に示
す。
【0058】[測定条件] 装置:パーキンエルマー社製 PE2400シリーズII CHNS
/O型元素分析装置、 試料量:1.661mg(式(I)で示される本発明化合
物)、1.606mg(比較化合物)、 燃焼温度:975℃、 還元温度:500℃、 検出器オーブン温度:82.5℃、 キャリアーガス:高純度ヘリウムガス、高純度酸素ガス
(99.999%)、 スタンダード:アセトアニリド。
【0059】化合物1(C2024224・1H2O) 計算値;C,58.24%;H,6.35%;N,6.
79%。 実測値;C,58.09%;H,6.20%;N,6.
73%。 比較化合物(C2024224) 計算値;C,60.91%;H,6.13%;N,7.
10%。 実測値;C,60.90%;H,5.90%;N,7.
09%。 これらのデータから、化合物1は一水和物であり、比較
化合物は無水物であることがわかる。
【0060】5)単結晶X線構造解析データ 化合物1の単結晶X線構造解析データを、図9および図
10に示す。
【0061】[測定条件] 装置:ブルカー社製 SMART6000 CCD式単結晶X線構造
解析装置、 測定温度:100K、 ターゲット:Mo(λ=0.71073Å)、 R=0.1390。
【0062】結晶学的データは次の通りである。 格子乗数:a=11.9387(13)Å,b=35.127(4)Å,c=
14.8284(16)Å,β=141.418(3)°,V=3878.1(7)
3、 空間群 :P21/n、Z=8。 図9および図10から、化合物1は一水和物であること
が明らかである。
【0063】[薬理活性]一般式(I)で示される本発
明化合物がPDE4阻害活性を有することは、以下の実
験によって証明された。
【0064】インビトロ(in vitro)酵素アッセイ 実験方法:U937細胞(ヒト単球由来)を10%ウシ
胎児血清を含むPRMI1640培地中で培養した。U
937細胞を回収し、バッファー[1mmol/Lジチ
オトレイトール(DTT)、2mmol/Lエチレンジ
アミン四酢酸二ナトリウム塩(EDTA−2Na)を含
む50mmol/Lトリス塩酸バッファー(pH7.
5)]中でホモジナイズした。遠心分離(50,000rp
m、4℃、1時間)後、上清を回収し、0.22μmのフィ
ルターでろ過したものを可溶性画分として、MonoQ
(ファルマシア社製、強陰イオン交換カラム)カラムク
ロマトグラフィーによる分画を行った。NaClの0〜
0.8Mの濃度勾配で溶出したフラクションのPDE活性
を、1μmol/LのサイクリックAMP(cAMP)
を基質として測定し、10μMロリプラム(rolipram:
PDE4選択的阻害剤)によりPDE活性の消失した画
分を回収した。酵素のキャラクタリゼーションを各PD
Eアイソザイムに対する阻害剤を用いた阻害スペクトル
とcAMPに対するKm値測定により行った後、これを
PDE4阻害活性を測定するための酵素液として使用し
た。
【0065】酵素活性測定は、以下の方法で行なった。
70μLの希釈酵素液、10μLの化合物1液(10%
DMSO)、10μLの反応バッファー溶液[50mm
ol/LMgCl2、1mg/mLウシ血清アルブミ
ン、40mmol/L2−メルカプトエタノールを含む
200mmol/Lトリス塩酸バッファー(pH8.
0)]および10μLの基質溶液[(cAMP終濃度1
μmol/L):10μmol/L3H−cAMP(約1
0,000cpm/10μL)を含む200mmol/Lト
リス塩酸バッファー(pH8.0)]を96穴プレート中
で混合し、室温で30分間インキュベートした。2.5分
間電子レンジ処理し反応を停止させた。遠心(2,000r
pmで1分間)後、10μLのヘビ毒(snake venom)
(1mg/mL、シグマ社製、カタログ番号V7000)を
加え、室温で30分間インキュベートした。上清50μ
Lをアルミナカラム(100μL)に載せ、80μLの
0.005N塩酸で溶出し、溶出液の放射活性を測定した。
【0066】化合物1のPDE4阻害活性率を以下の式
より算出した。
【0067】
【数1】
【0068】IC50値はPDE4活性を50%阻害する
化合物1濃度として算出した。その結果、化合物1のI
50値は、42nmol/Lであった。
【0069】TNFα産生抑制作用 健常人より採取したヘパリン加血液を96穴プレートの
1ウェルあたりに180μLずつ分注した。化合物1溶
液(DMSOの終濃度、0.1%以下)を10μL添加
し、30分間、37℃で5% CO2インキュベータ内に
静置した。これに10μLのLPS溶液を添加して反応
を開始した。CO2インキュベータ(5%CO2、加湿)
にて6時間インキュベート後、プレートを振とうさせ、
300×g、5分間遠心し、上清(血漿)を50μL回
収した。ヒトTNFαELISAキット(ダイアクロー
ン社製、カタログ番号850090096)を用い、添付の方法
に従って上清中のTNFα量を測定した。その結果、化
合物1は用量依存的なTNFα産生抑制作用を示した。
【0070】[毒性]一般式(I)で示される本発明化
合物の毒性は非常に低いものであり、医薬として使用す
るために十分安全であると考えられる。
【0071】[医薬品への適用]一般式(I)で示され
る本発明化合物は、PDE4阻害活性を有することで、
炎症性疾患(喘息、慢性閉塞性肺疾患、敗血症、サルコ
イドーシス、腎炎、肝炎、腸炎等)、糖尿病性疾患、ア
レルギー性疾患(アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎
等)、自己免疫疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病、リュ
ウマチ、乾癬、多発性硬化症、膠原病等)、眼疾患(ア
レルギー性結膜炎、季節性結膜炎等)、骨粗しょう症、
骨折、変形性関節症、肥満症、過食症、抗うつ、パーキ
ンソン病、痴呆症、虚血再かん流障害、白血病、AID
S、ショック、全身性炎症反応症候群(SIRS)等の
予防および/または治療に有用であると考えられる。
【0072】一般式(I)で示される本発明化合物は、 1)その化合物の予防および/または治療効果の補完お
よび/または増強、 2)その化合物の動態・吸収改善、投与量の低減、およ
び/または 3)その化合物の副作用の軽減のために他の薬剤と組み
合わせて、併用剤として投与してもよい。
【0073】一般式(I)で示される本発明化合物と他
の薬剤の併用剤は、1つの製剤中に両成分を配合した配
合剤の形態で投与してもよく、また別々の製剤にして投
与する形態をとってもよい。この別々の製剤にして投与
する場合には、同時投与および時間差による投与が含ま
れる。また、時間差による投与は、一般式(I)で示さ
れる本発明化合物を先に投与し、他の薬剤を後に投与し
てもよいし、他の薬剤を先に投与し、一般式(I)で示
される本発明化合物を後に投与してもかまわず、それぞ
れの投与方法は同じでも異なっていてもよい。
【0074】上記併用剤により、予防および/または治
療効果を奏する疾患は特に限定されず、一般式(I)で
示される本発明化合物の予防および/または治療効果を
補完および/または増強する疾患であればよい。
【0075】例えば、一般式(I)で示される本発明化
合物の喘息および/または慢性閉塞性肺疾患に対する予
防および/または治療効果の補完および/または増強の
ための他の薬剤としては、例えば、ステロイド剤、β2
アドレナリン受容体刺激薬、ロイコトリエン受容体拮抗
剤、トロンボキサン合成酵素阻害剤、トロンボキサンA
2受容体拮抗剤、メディエーター遊離抑制薬、抗ヒスタ
ミン剤、キサンチン誘導体、抗コリン薬、サイトカイン
阻害薬、プロスタグランジン類、フォルスコリン製剤、
エラスターゼ阻害剤、メタロプロテアーゼ阻害剤、去痰
薬、抗生物質等が挙げられる。例えば、一般式(I)で
示される本発明化合物のアレルギー性鼻炎に対する予防
および/または治療効果の補完および/または増強のた
めの他の薬剤としては、例えば、抗ヒスタミン剤、メデ
ィエーター遊離抑制薬、トロンボキサン合成酵素阻害
剤、トロンボキサンA2受容体拮抗剤、ロイコトリエン
受容体拮抗剤、ステロイド剤、β2アドレナリン受容体
刺激薬、キサンチン誘導体、抗コリン薬等が挙げられ
る。
【0076】例えば、一般式(I)で示される本発明化
合物の骨粗しょう症および/または骨折に対する予防お
よび/または治療効果の補完および/または増強のため
の他の薬剤としては、例えば、ビスホスホネート製剤、
ビタミンD製剤、カルシウム補助剤、エストロゲン製
剤、カルシトニン製剤、イソフラボン系製剤、タンパク
同化ステロイド剤、ビタミンK製剤、プロスタグランジ
ン類、カテプシンK阻害剤等が挙げられる。
【0077】例えば、一般式(I)で示される本発明化
合物の潰瘍性大腸炎および/またはクローン病に対する
予防および/または治療効果の補完および/または増強
のための他の薬剤としては、例えば、プロスタグランジ
ン合成酵素阻害剤、ステロイド剤、免疫抑制剤、ロイコ
トリエン受容体拮抗剤、TNFα拮抗薬、接着分子阻害
剤、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、エラスターゼ阻害
剤、メタロプロテアーゼ阻害剤等が挙げられる。
【0078】例えば、一般式(I)で示される本発明化
合物のリュウマチに対する予防および/または治療効果
の補完および/または増強のための他の薬剤としては、
例えば、非ステロイド系抗炎症薬、疾患修飾性抗リウマ
チ剤(遅効性抗リウマチ剤)、ステロイド剤、免疫抑制
剤、消炎酵素剤、軟骨保護剤、T細胞阻害剤、TNFα
阻害剤、プロスタグランジン合成酵素阻害剤、IL−6
阻害剤、インターフェロンγ作動薬、IL−1阻害剤、
プロスタグランジン類等が挙げられる。
【0079】ステロイド剤としては、例えば、外用薬と
しては、プロピオン酸クロベタゾール、酢酸ジフロラゾ
ン、フルオシノニド、フランカルボン酸モメタゾン、ジ
プロピオン酸ベタメタゾン、酪酸プロピオン酸ベタメタ
ゾン、吉草酸ベタメタゾン、ジフルプレドナート、プデ
ソニド、吉草酸ジフルコルトロン、アムシノニド、ハル
シノニド、デキサメタゾン、プロピオン酸デキサメタゾ
ン、吉草酸デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、酢酸
ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、酪酸プロピ
オン酸ヒドロコルチゾン、プロピオン酸デプロドン、吉
草酸酢酸プレドニゾロン、フルオシノロンアセトニド、
プロピオン酸ベクロメタゾン、トリアムシノロンアセト
ニド、ピバル酸フルメタゾン、プロピオン酸アルクロメ
タゾン、酪酸クロベタゾン、プレドニゾロン、プロピオ
ン酸ペクロメタゾン、フルドロキシコルチド等が挙げら
れ、
【0080】内服薬、注射剤としては、酢酸コルチゾ
ン、ヒドロコルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾンナトリ
ウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、酢酸フル
ドロコルチゾン、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロ
ン、コハク酸プレドニゾロンナトリウム、ブチル酢酸プ
レドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、酢酸
ハロプレドン、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレ
ドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウ
ム、トリアムシノロン、酢酸トリアムシノロン、トリア
ムシノロンアセトニド、デキサメサゾン、酢酸デキサメ
タゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、パルミチン
酸デキサメタゾン、酢酸パラメサゾン、ベタメタゾン等
が挙げられ、
【0081】吸入剤としては、プロピオン酸ベクロメタ
ゾン、プロピオン酸フルチカゾン、ブデソニド、フルニ
ソリド、トリアムシノロン、ST−126P、シクレソ
ニド、デキサメタゾンパロミチオネート、モメタゾンフ
ランカルボネート、プラステロンスルホネート、デフラ
ザコート、メチルプレドニゾロンスレプタネート、メチ
ルプレドニゾロンナトリウムスクシネート等が挙げられ
る。
【0082】非ステロイド系抗炎症薬としては、例え
ば、サザピリン、サリチル酸ナトリウム、アスピリン、
アスピリン・ダイアルミネート配合、ジフルニサル、イ
ンドメタシン、スプロフェン、ウフェナマート、ジメチ
ルイソプロピルアズレン、ブフェキサマク、フェルビナ
ク、ジクロフェナク、トルメチンナトリウム、クリノリ
ル、フェンブフェン、ナプメトン、プログルメタシン、
インドメタシンファルネシル、アセメタシン、マレイン
酸プログルメタシン、アンフェナクナトリウム、モフェ
ゾラク、エトドラク、イブプロフェン、イブプロフェン
ピコノール、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フル
ルビプロフェンアキセチル、ケトプロフェン、フェノプ
ロフェンカルシウム、チアプロフェン、オキサプロジ
ン、プラノプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム、
アルミノプロフェン、ザルトプロフェン、メフェナム
酸、メフェナム酸アルミニウム、トルフェナム酸、フロ
クタフェニン、ケトフェニルブタゾン、オキシフェンブ
タゾン、ピロキシカム、テノキシカム、アンピロキシカ
ム、ナパゲルン軟膏、エピリゾール、塩酸チアラミド、
塩酸チノリジン、エモルファゾン、スルピリン、ミグレ
ニン、サリドン、セデスG、アミピロ−N、ソルボン、
ピリン系感冒薬、アセトアミノフェン、フェナセチン、
メシル酸ジメトチアジン、シメトリド配合剤、非ピリン
系感冒薬等が挙げられる。
【0083】免疫抑制剤としては、例えば、プロトピッ
ク(FK−506)、メトトレキサート、シクロスポリ
ン、アスコマイシン、レフルノミド、ブシラミン、サラ
ゾスルファピリジン等が挙げられる。プロスタグランジ
ン類(以下、PGと略記する。)としては、PG受容体
アゴニスト、PG受容体アンタゴニスト等が挙げられ
る。
【0084】PG受容体としては、PGE受容体(EP
1、EP2、EP3、EP4)、PGD受容体(D
P)、PGF受容体(FP)、PGI受容体(IP)等
が挙げられる。
【0085】メディエーター遊離抑制薬としては、例え
ば、トラニラスト、クロモグリク酸ナトリウム、アンレ
キサノクス、レピリナスト、イブジラスト、ダザノラス
ト、ペミロラストカリウム等が挙げられる。
【0086】抗ヒスタミン剤としては、例えば、フマル
酸ケトチフェン、メキタジン、塩酸アゼラスチン、オキ
サトミド、テルフェナジン、フマル酸エメダスチン、塩
酸エピナスチン、アステミゾール、エバスチン、塩酸セ
チリジン、ベポタスチン、フェキソフェナジン、ロラタ
ジン、デスロラタジン、塩酸オロパタジン、TAK−4
27、ZCR−2060、NIP−530、モメタゾン
フロエート、ミゾラスチン、BP−294、アンドラス
ト、オーラノフィン、アクリバスチン等が挙げられる。
【0087】β2アドレナリン受容体刺激薬としては、
例えば、臭化水素酸フェノテロール、硫酸サルブタモー
ル、硫酸テルブタリン、フマル酸フォルモテロール、キ
シナホ酸サルメテロール、硫酸イソプロテレノール、硫
酸オルシプレナリン、硫酸クロルプレナリン、エピネフ
リン、塩酸トリメトキノール、硫酸ヘキソプレナリンメ
シル、塩酸プロカテロール、塩酸ツロブテロール、ツロ
ブテロール、塩酸ピルブテロール、塩酸クレンブテロー
ル、塩酸マブテロール、塩酸リトドリン、バンブテロー
ル、塩酸ドペキサミン、酒石酸メルアドリン、AR−C
68397、レボサルブタモール、R、R−フォルモテ
ロール、KUR−1246、KUL−7211、AR−
C89855、S−1319等が挙げられる。
【0088】ロイコトリエン受容体拮抗剤としては、例
えば、プランルカスト水和物、モンテルカスト、ザフィ
ルルカスト、セラトロダスト、MCC−847、KCA
−757、CS−615、YM−158、L−7405
15、CP−195494、LM−1484、RS−6
35、A−93178、S−36496、BIIL−2
84、ONO−4057等が挙げられる。
【0089】トロンボキサン合成酵素阻害剤としては、
例えば、塩酸オザグレル、イミトロダストナトリウム等
が挙げられる。トロンボキサンA2受容体拮抗剤として
は、例えば、セラトロダスト、ラマトロバン、ドミトロ
バンカルシウム水和物、KT−2−962等が挙げられ
る。キサンチン誘導体としては、例えば、アミノフィリ
ン、テオフィリン、ドキソフィリン、シパムフィリン、
ジプロフィリン等が挙げられる。
【0090】抗コリン剤としては、例えば、臭化イプラ
トロピウム、臭化オキシトロピウム、臭化フルトロピウ
ム、臭化シメトロピウム、テミベリン、臭化チオトロピ
ウム、レバトロペート(UK−112166)等が挙げ
られる。サイトカイン阻害薬としては、例えばトシル酸
スプラタスト(商品名アイピーディ)等が挙げられる。
【0091】他のホスホジエステラーゼ阻害剤として
は、例えば、PDE4阻害剤であるロリプラム、シロミ
ラスト(商品名アリフロ)、Bay19−8004、N
IK−616、ロフルミラスト(BY−217)、シパ
ムフィリン(BRL−61063)、アチゾラム(CP
−80633)、SCH−351591、YM−97
6、V−11294A、PD−168787、D−43
96、IC−485等が挙げられる。
【0092】プロスタグランジン合成酵素阻害剤として
は、例えば、サラゾスルファピリジン、メサラジン、オ
サラジン、4−アミノサリチル酸、JTE−522、オ
ーラノフィン、カルプロフェン、ジフェンピラミド、フ
ルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタ
シン、ケトプロフェン、ロルノキシカム、ロキソプロフ
ェン、メロキシカム、オキサプロジン、パーサルミド、
ピプロキセン、ピロキシカム、ピロキシカムベータデッ
クス、ピロキシカムシンナメート、トロピンインドメタ
シネート、ザルトプロフェン、プラノプロフェン等が挙
げられる。
【0093】去痰薬としては、例えば、アンモニアウイ
キョウ精、炭酸水素ナトリウム、塩酸ブロムヘキシン、
カルボシステイン、塩酸アンブロキソール、塩酸アンブ
ロキゾール徐放剤、メチルシステイン塩酸塩、アセチル
システイン、塩酸L−エチルシステイン、チロキサポー
ル等が挙げられる。
【0094】ビスホスホネート製剤としては、例えば、
アレンドロネートナトリウム、クロドロネート二ナトリ
ウム、パミドロネート二ナトリウム、エチドロネート二
ナトリウム、イバンドロネート、インカドロネート二ナ
トリウム、ミノドロネート、オルパドロネート、リセド
ロネートナトリウム、チルドロネート、ゾレドロネート
等が挙げられる。
【0095】カルシトニン製剤としては、例えば、カル
シトニン、エルカトニン等が挙げられる。消炎酵素剤と
しては、例えば、塩化リゾチーム、ブロメライン、プロ
ナーゼ、セラペプターゼ、ストレプトキナーゼ・ストレ
プトドルナーゼ配合剤等が挙げられる。
【0096】疾患修飾性抗リウマチ剤(遅効性抗リウマ
チ剤)としては、例えば、金チオグルコース、金チオリ
ンゴ酸ナトリウム、オーラノフィン、アクタリット、D
−ペニシラミン製剤、ロベンザリット二ナトリウム、ブ
シラミン、ヒドロキシクロロキン、サラゾスルファピリ
ジン等が挙げられる。
【0097】軟骨保護剤としては、例えば、ヒアルロン
酸ナトリウム等が挙げられる。一般式(I)で示される
本発明化合物と他の薬剤の重量比は特に限定されない。
他の薬剤は、任意の2種以上を組み合わせて投与しても
よい。
【0098】また、一般式(I)で示される本発明化合
物の予防および/または治療効果を補完および/または
増強する他の薬剤には、上記したメカニズムに基づい
て、現在までに見出されているものだけでなく今後見出
されるものも含まれる。
【0099】本発明で用いる一般式(I)で示される本
発明化合物、または一般式(I)で示される本発明化合
物と他の薬剤の併用剤を上記の目的で用いるには、通
常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投
与される。
【0100】投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、
投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人一人
あたり、1回につき、1mgから1000mgの範囲で、1
日1回から数回経口投与されるか、または成人一人あた
り、1回につき、1mgから100mgの範囲で、1日
1回から数回非経口投与(好ましくは、静脈内投与)さ
れるか、または1日1時間から24時間の範囲で静脈内
に持続投与される。もちろん前記したように、投与量
は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より
少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて必要
な場合もある。
【0101】一般式(I)で示される本発明化合物、ま
たは一般式(I)で示される本発明化合物と他の薬剤の
併用剤を投与する際には、経口投与のための固体組成
物、液体組成物およびその他の組成物および非経口投与
のための注射剤、外用剤、坐剤、点眼剤、吸入剤等とし
て用いられる。
【0102】経口投与のための固体組成物には、錠剤、
丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等が含まれる。カプセ
ル剤には、ハードカプセルおよびソフトカプセルが含ま
れる。
【0103】このような固体組成物においては、ひとつ
またはそれ以上の活性物質が、少なくともひとつの不活
性な希釈剤、例えばラクトース、マンニトール、グルコ
ース、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロー
ス、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アル
ミン酸マグネシウムと混合される。組成物は、常法に従
って、不活性な希釈剤以外の添加剤、例えばステアリン
酸マグネシウムのような潤滑剤、繊維素グリコール酸カ
ルシウムのような崩壊剤、ラクトースのような安定化
剤、グルタミン酸またはアスパラギン酸のような溶解補
助剤を含有していてもよい。錠剤または丸剤は必要によ
り白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなどの胃
溶性あるいは腸溶性物質のフィルムで被覆していてもよ
いし、また2以上の層で被覆していてもよい。さらにゼ
ラチンのような吸収されうる物質のカプセルも包含され
る。
【0104】経口投与のための液体組成物は、薬剤的に
許容される乳濁剤、溶液剤、シロップ剤、エリキシル剤
等を含む。このような液体組成物においては、ひとつま
たはそれ以上の活性物質が、一般的に用いられる不活性
な希釈剤(例えば、精製水、エタノール)に含有され
る。この組成物は、不活性な希釈剤以外に湿潤剤、懸濁
剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を
含有していてもよい。
【0105】経口投与のためのその他の組成物として
は、ひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、それ自体
公知の方法により処方されるスプレー剤が含まれる。こ
の組成物は不活性な希釈剤以外に亜硫酸水素ナトリウム
のような安定剤と等張性を与えるような緩衝剤、例えば
塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムあるいはクエン酸
のような等張剤を含有していてもよい。スプレー剤の製
造方法は、例えば米国特許第2,868,691号および同第3,0
95,355号に詳しく記載されている。
【0106】本発明による非経口投与のための注射剤と
しては、無菌の水性および/または非水性の溶液剤、懸
濁剤、乳濁剤を包含する。水性の溶液剤、懸濁剤として
は、例えば注射用蒸留水および生理食塩水が含まれる。
非水溶性の溶液剤、懸濁剤としては、例えばプロピレン
グリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のよ
うな植物油、エタノールのようなアルコール類、ポリソ
ルベート80(登録商標)等がある。また、無菌の水性
と非水性の溶液剤、懸濁剤および乳濁剤を混合して使用
してもよい。このような組成物は、さらに防腐剤、湿潤
剤、乳化剤、分散剤、安定化剤(例えば、ラクトー
ス)、溶解補助剤(例えば、グルタミン酸、アスパラギ
ン酸)のような補助剤を含んでいてもよい。これらはバ
クテリア保留フィルターを通すろ過、殺菌剤の配合また
は照射によって無菌化される。これらはまた無菌の固体
組成物を製造し、例えば凍結乾燥品の使用前に、無菌化
または無菌の注射用蒸留水または他の溶媒に溶解して使
用することもできる。
【0107】非経口投与のための点眼剤の剤形として
は、点眼液、懸濁型点眼液、乳濁型点眼液、用時溶解型
点眼液および眼軟膏が含まれる。これらの点眼剤は公知
の方法に準じて製造される。例えば、点眼液の場合に
は、等張化剤(塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、緩
衝化剤(リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、界面
活性剤(ポリソルベート80(商品名)、ステアリン酸
ポリオキシル40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
等)、安定化剤(クエン酸ナトリウム、エデト酸ナトリ
ウム等)、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン
等)などを必要に応じて適宜選択して調製される。これ
らは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって調
製される。
【0108】非経口投与のための吸入剤としては、エア
ロゾル剤、吸入用粉末剤又は吸入用液剤が含まれ、当該
吸入用液剤は用時に水又は他の適当な媒体に溶解又は懸
濁させて使用する形態であってもよい。これらの吸入剤
は公知の方法に準じて製造される。
【0109】例えば、吸入用液剤の場合には、防腐剤
(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、着色剤、緩衝
化剤(リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、等張化
剤(塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、増粘剤(カリ
ボキシビニルポリマー等)、吸収促進剤などを必要に応
じて適宜選択して調製される。
【0110】吸入用粉末剤の場合には、滑沢剤(ステア
リン酸およびその塩等)、結合剤(デンプン、デキスト
リン等)、賦形剤(乳糖、セルロース等)、着色剤、防
腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、吸収促進
剤などを必要に応じて適宜選択して調製される。
【0111】吸入用液剤を投与する際には通常噴霧器
(アトマイザー、ネブライザー)が使用され、吸入用粉
末剤を投与する際には通常粉末薬剤用吸入投与器が使用
される。非経口投与のためのその他の組成物としては、
ひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、常法により処
方される外溶液剤、軟膏、塗布剤、直腸内投与のための
坐剤および膣内投与のためのペッサリー等が含まれる。
【0112】
【実施例】以下、参考例および実施例によって本発明を
詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。クロマトグラフィーによる分離の箇所、TLCに示
されているカッコ内の溶媒は、使用した溶出溶媒または
展開溶媒を示し、割合は体積比を表わす。NMRの箇所
に示されているカッコ内の溶媒は、測定に使用した溶媒
を示している。
【0113】参考例1 3−ベンジルオキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド
【化17】 アルゴン雰囲気下、水素化ナトリウム(63%、57.1
g)の無水N,N−ジメチルホルムアミド懸濁液(54
0mL)に、氷冷下3,4−ジヒドロキシベンズアルデ
ヒド(103.5g)の無水N,N−ジメチルホルムアミド
溶液(500mL)をゆっくり滴下した。反応混合物を
室温にて30分間撹拌した後、氷冷下ベンジルクロリド
(104mL)を滴下し、室温にて15時間撹拌した。
氷冷下反応液に水を加え、溶媒を減圧下留去した。得ら
れた残渣を水で希釈し、塩化メチレンにて洗浄した。塩
化メチレン層を1N水酸化ナトリウム水溶液にて抽出し
た。水層を合わせ、2N塩酸にて水層を酸性とした後、
酢酸エチルにて抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄
し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を留去し、
得られた残渣をクロロホルムから再結晶して、以下の物
性値を有する標題化合物(99.4g)を得た。 TLC: 0.79 (クロロホルム:メタノール=10:
1); NMR(CDCl3):δ 9.82 (s, 1H), 7.52 (d, J =1.8 H
z, 1H), 7.49-7.35 (m, 6H), 7.07 (d, J =8.1 Hz, 1
H), 6.28 (s, 1H), 5.18 (s, 2H)。
【0114】参考例2 3−ベンジルオキシ−4−ジフルオロメトキシベンズア
ルデヒド
【化18】 参考例1で製造した化合物(99.2g)をテトラヒドロフ
ラン(300mL)に溶解し、11N水酸化ナトリウム
水溶液(200mL)を室温にて加え、室温にて5分間
撹拌した。反応液にクロロジフルオロメタンを60℃
(油浴温度)にて通気した。薄層シリカゲルクロマトグ
ラフィーにて原料の消失を確認し、反応液を室温まで冷
却した。反応混合物に水を加え、ジエチルエーテルにて
抽出した。有機層を2N水酸化ナトリウム水溶液、水、
飽和食塩水にて順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾
燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=6:
1)にて精製して、以下の物性値を有する標題化合物
(97.8g)を得た。 TLC: 0.83 (酢酸エチル:ヘキサン=1:2); NMR(CDCl3):δ 9.92 (s, 1H), 7.57 (d, J =2.1 H
z, 1H), 7.51-7.31 (m, 7H), 6.69 (t, J = 74.4 Hz,1
H), 5.21 (s, 2H)。
【0115】参考例3 3−ベンジルオキシ−4−ジフルオロメトキシベンジル
アルコール
【化19】 参考例2で製造した化合物(97.8g)のメタノール溶液
(700mL)に、氷冷下水素化ホウ素ナトリウム(9.
8g)を加え、0℃にて15分間撹拌した。反応混合物
にアセトンと水を加え、溶媒を減圧下留去した。反応混
合物に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を2
N塩酸、水、飽和食塩水にて順次洗浄し、無水硫酸ナト
リウムにて乾燥した。溶媒を留去して、以下の物性値を
有する標題化合物(105.48g)を得た。得られた化合物
は精製せずに次の反応に用いた。 TLC: 0.40 (酢酸エチル:ヘキサン=1:2); NMR(CDCl3):δ 7.46-7.30 (m, 5H), 7.16 (d, J =
8.1 Hz, 1H), 7.08 (d,J = 2.1 Hz, 1H), 6.92 (m, 1
H), 6.57 (t, J = 75.3 Hz, 1H), 5.15 (s, 2H),4.65
(s, 2H), 1.61 (br, 1H)。
【0116】参考例4 3−ベンジルオキシ−4−ジフルオロメトキシベンジル
クロリド
【化20】 アルゴン雰囲気下、参考例3で製造した化合物(98.5
g)の塩化メチレン溶液(1760mL)に、氷冷下塩化チ
オニル(50.9mL)を滴下し、室温にて3時間撹拌し
た。反応混合物を濃縮し、得られた残渣に水と塩化メチ
レンを加えた後、塩化メチレンにて抽出した。有機層を
飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水にて順次洗
浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を留去し
て、以下の物性値を有する標題化合物(135.45g)を得
た。得られた化合物は精製せずに次の反応に用いた。 TLC: 0.87 (酢酸エチル:ヘキサン=1:2); NMR(CDCl3):δ 7.46-7.31 (m, 5H), 7.15 (d, J =
8.4 Hz, 1H), 7.07 (d,J = 2.1 Hz, 1H), 6.96 (dd, J
= 8.4, 2.1 Hz, 1H), 6.57 (t, J = 75.0 Hz,1H), 5.15
(s, 2H), 4.53 (s, 2H)。
【0117】参考例5 3−ベンジルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル
アセトニトリル
【化21】 参考例4で製造した化合物(135.4g)のN,N−ジメ
チルホルムアミド溶液(350mL)にシアン化ナトリ
ウム(52.6g)を加え、室温にて3日間撹拌した。反応
混合物に水(1L)を加え、酢酸エチル(1L+500
mL)にて抽出した。有機層を飽和食塩水(500m
L)にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。
溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:7→1:
1)にて精製して、以下の物性値を有する標題化合物
(92.69g)を得た。 TLC: 0.29 (酢酸エチル:ヘキサン=1:4); NMR(CDCl3):δ 7.46-7.31 (m, 5H), 7.19 (d, J =
8.1 Hz, 1H), 7.00 (d,J = 2.1 Hz, 1H), 6.90 (dd, J
= 8.1, 2.1 Hz, 1H), 6.57 (t, J = 75 Hz, 1H), 5.15
(s, 2H), 3.71 (s, 2H)。
【0118】参考例6 1−(3−ベンジルオキシ−4−ジフルオロメトキシフ
ェニル)シクロペンタ−3−エン−1−カルボニトリル
【化22】 アルゴン雰囲気下、参考例6で製造した化合物(83
g)のテトラヒドロフラン溶液(717mL)に、−7
8℃にてリチウム ビス(トリメチルシリル)アミド
(1.0Mテトラヒドロフラン溶液、717mL)を加
え、1時間撹拌した。反応混合物にシス−1,4−ジク
ロロ−2−ブテン(30mL)を加え、−78℃のまま
1時間撹拌した後,室温まで昇温しながら1.5時間撹拌
した。反応混合物に氷水(1L)を加え、酢酸エチル
(1L+500mL)にて抽出した。有機層を1N塩酸
(250mL×2)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液
(250mL×2)、飽和食塩水(250mL)にて順
次洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒を
留去して、以下の物性値を有する標題化合物(99.8g)
を得た。 TLC: 0.55 (酢酸エチル:ヘキサン=1:2); NMR(CDCl3):δ 7.46-7.30 (m, 5H), 7.16 (d, J =
8.4 Hz, 1H), 7.12 (d,J = 2.1 Hz, 1H), 7.02 (dd, J
= 8.4, 2.1 Hz, 1H), 6.57 (t, J = 75 Hz, 1H), 5.84-
5.76 (m, 2H), 5.15 (s, 2H), 3.34-3.22 (m, 2H), 2.9
2-2.82 (m, 2H)。
【0119】参考例7 2−(4−(3−ベンジルオキシ−4−ジフルオロメト
キシフェニル)−4−シアノピペリジン−1−イル)酢
酸・メチルエステル
【化23】 参考例6で製造した化合物(99.8g)をメタノール(2
50mL)と塩化メチレン(400mL)に溶解し、−
78℃にてオゾンガスを通気した。反応混合物を−78
℃にて20時間撹拌した後、ジメチルスルフィド(21
mL)を加え、室温まで昇温した。溶媒を留去して得ら
れた残渣をN,N−ジメチルホルムアミド(800m
L)に溶解し、グリシンメチルエステル塩酸塩(72.0
g)、酢酸(172mL)、水素化トリアセトキシホウ
酸ナトリウム(182.4g)を加え、室温にて一晩撹拌し
た。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1
L)を加え、トルエン(500mL×2)にて抽出し
た。水層を水酸化ナトリウム水溶液にてpH8とし、ト
ルエン(500mL×2)にて抽出した。有機層を合わ
せ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水に
て順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶
媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(酢酸エチル:ヘキサン:トルエン=4:
6:1)にて精製して、以下の物性値を有する標題化合
物(71.47g)を得た。 TLC: 0.39 (酢酸エチル:ヘキサン=1:1); NMR(CDCl3):δ 7.36-7.12 (m, 7H), 7.07 (dd, J =
8.4, 2.4 Hz, 1H), 6.58 (t, J = 75 Hz, 1H), 5.14
(s, 2H), 3.76 (s, 3H), 3.32 (s, 2H), 3.12-3.04 (m,
2H), 2.72-2.61 (m, 2H), 2.25-2.13 (m, 2H), 2.10-
2.01 (m, 2H)。
【0120】参考例8 2−(4−(3−ヒドロキシ−4−ジフルオロメトキシ
フェニル)−4−シアノピペリジン−1−イル)酢酸・
メチルエステル
【化24】 アルゴン雰囲気下、参考例7で製造した化合物(71.47
g)と10%パラジウム炭素(50%含水、15g)に
酢酸エチル(100mL)を加え、水素雰囲気下室温に
て3時間撹拌した。触媒をセライト(登録商標)を通し
て濾別し、濾液を減圧下濃縮して、以下の物性値を有す
る標題化合物(44.06g)を得た。 TLC: 0.30 (酢酸エチル:ヘキサン=1:1); NMR(CDCl3):δ7.16 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.13
(d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.02 (dd, J = 8.4 Hz, 2.4 Hz,
1H), 6.54 (t, J = 74.4 Hz, 1H), 3.76 (s, 3H),3.32
(s, 2H), 3.11-3.03 (m, 2H), 2.71-2.60 (m, 2H), 2.
25-2.14 (m, 2H),2.11-2.03 (m, 3H)。
【0121】参考例9 2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオ
ロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジン−1−イ
ル)酢酸・メチルエステル
【化25】 参考例8で製造した化合物(15g)のN,N−ジメチ
ルホルムアミド溶液(75mL)に炭酸カリウム(15.2
g)およびシクロペンチルブロミド(7.1mL)を室温
にて加え、80℃にて2時間撹拌した。反応混合物を氷
水(200mL)にあけ、酢酸エチルにて抽出した。有
機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムに
て乾燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=
1:2→1:1)にて精製して、以下の物性値を有する
標題化合物(17.7g)を得た。 TLC: 0.34 (酢酸エチル:ヘキサン=2:3); NMR(CDCl3):δ 7.16 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.10
(d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.03 (dd, J = 8.7, 2.1 Hz, 1
H), 6.54 (t, J = 75.3 Hz, 1H), 4.86-4.79 (m, 1H),
3.76 (s, 3H), 3.33 (s, 2H), 3.13-3.05 (m, 2H), 2.7
2-2.62 (m, 2H), 2.27-2.17 (m, 2H), 2.12-2.04 (m, 2
H) 2.00-1.60 (m, 8H)。
【0122】参考例10 4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオロメト
キシフェニル)−4−シアノ−1−ベンジルピペリジン
・塩酸塩
【化26】 塩化チオニル(16.8mL)をトルエン(32.5mL)に溶
解し、N,N−ビスヒドロキシエチルベンジルアミン
(22.9g)のトルエン溶液(32.5mL)を加え、60℃
にて1時間撹拌した。反応混合物に水(50mL)と1
N塩酸(50mL)を加え、水層を分離した。水層に3
−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェ
ニルアセトニトリル(WO93/19750号明細書に記載)(2
6.1g)を加え、氷冷下4N水酸化ナトリウム水溶液
(40mL)、水酸化ナトリウム(ペレット、120
g)、テトラブチルアンモニウムブロミド(1.57g)を
加え、90℃にて1.5時間撹拌した。反応混合物にte
rt−ブチルメチルエーテル(250mL)と水(12
5mL)を加え、分液した。有機層を水(250mL)
と1N塩酸(40mL)の混合液にて洗浄した後濃縮し
た。得られた残渣をメタノール(250mL)に溶解
し、0.5N塩酸(250mL)に50℃にて滴下した。
反応混合物を放冷し、析出した固体を濾取し、メタノー
ルと水の混合液(1:2)(50mL×2)にて洗浄し
た。得られた固体を減圧下乾燥して、以下の物性値を有
する標題化合物(36.5g)を得た。 TLC: 0.49 (トルエン:酢酸エチル=10:1); NMR(CD3OD):δ 7.66-7.58 (m, 2H), 7.56-7.47 (m,
3H), 7.24-7.19 (m, 2H), 7.13-7.08 (m, 1H), 6.70
(t, J = 75.0 Hz, 1H), 5.00-4.88 (m, 1H), 4.48(s, 2
H), 3.78-3.63 (m, 2H), 3.50-3.33 (m, 2H), 2.63-2.4
0 (m, 4H), 2.05-1.55 (m, 8H)。
【0123】実施例1 4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオロメト
キシフェニル)−4−シアノピペリジン・塩酸塩
【化27】 アルゴン雰囲気下、参考例10で製造した化合物(36.5
g)のメタノール溶液(530mL)に10%パラジウ
ム炭素(50%含水、7.2g)を加え、水素雰囲気下室
温にて4時間撹拌した。触媒をセライト(登録商標)を
通して濾別し、濾液を減圧下濃縮した。得られた残渣を
酢酸エチル−ヘプタン(1:2)から再結晶して、以下
の物性値を有する本発明化合物(19.3g)を得た。 TLC: 0.25 (クロロホルム:メタノール=10:
1); NMR(CD3OD):δ 7.24-7.20 (m, 2H), 7.14-7.08 (m,
1H), 6.71 (t, J = 74.8 Hz, 1H), 5.00-4.90 (m, 1
H), 3.70-3.57 (m, 2H), 3.45-3.34 (m, 2H), 2.50-2.3
0 (m, 4H), 2.10-1.60 (m, 8H)。
【0124】参考例11 2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオ
ロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジン−1−イ
ル)酢酸・エチルエステル
【化28】 実施例1で製造した化合物(19.8g)のN,N−ジメチ
ルホルムアミド溶液(53mL)に炭酸カリウム(18.4
g)とブロモ酢酸エチル(5.89mL)を加え、50℃に
て1.5時間撹拌した。反応混合物に水(160mL)を
加え、tert−ブチルメチルエーテル(160mL)
にて抽出した。有機層を水(80mL×2)にて洗浄
後、溶媒を留去して、以下の物性値を有する標題化合物
(23.4g)を得た。 TLC: 0.47 (ヘキサン:酢酸エチル=1:1); NMR(CDCl3):δ 7.18-7.00 (m, 3H), 6.54 (t, J =
75.0 Hz, 1H), 4.85-4.78 (m, 1H), 4.22 (q, J = 7.0
Hz, 2H), 3.31 (s, 2H), 3.10 (brd, J = 11.8 Hz, 2
H), 2.68 (td, J = 11.8, 3.2 Hz, 2H), 2.30-2.20 (m,
4H), 2.20-1.60 (m, 8H), 1.30 (t, J = 7.0 Hz, 3
H)。
【0125】実施例2 2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオ
ロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジン−1−イ
ル)酢酸・一水和物
【化29】 参考例9で製造した化合物(17.7g)のメタノール溶液
(200mL)に、氷冷下1N水酸化ナトリウム水溶液
(86.6mL)を加え、室温にて2時間撹拌した。氷冷
下、反応混合物に2N塩酸(43mL)を加えた。析出
した固体を濾取し、メタノール−水(1:2)(150
mL)、ジエチルエーテルにて洗浄して固体(13.36
g)を得た。先で得られた固体(12.44g)をエタノー
ル(144mL)−水(96mL)から再結晶し、25
℃にて減圧下(3mmHg)12時間乾燥して、以下の
物性値を有する本発明化合物(1水和物)(11.49g)
を得た。 TLC: 0.48 (クロロホルム:メタノール=8:
2); NMR(DMSO-d6):δ 7.22-7.19 (m, 2H), 7.09 (dd, J
= 8.7, 2.1 Hz, 1H), 7.00 (t, J = 74.4 Hz, 1H), 5.
01-4.92 (m, 1H), 4.00- 2.60 (br, 1H), 3.24 (s, 2
H), 3.04-2.95 (m, 2H), 2.70-2.50 (m, 2H), 2.16-1.8
0 (m, 6H), 1.80-1.50 (m, 6H)。
【0126】実施例2(1) 2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオ
ロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジン−1−イ
ル)酢酸・一水和物
【化30】 参考例9で製造した化合物の代わりに参考例11で製造
した化合物を用いて、実施例2と同様の操作に付すこと
により、以下の物性値を有する本発明化合物(1水和
物)を得た。 TLC: 0.48 (クロロホルム:メタノール=8:
2); NMR(DMSO-d6):δ 7.25-7.16 (m, 2H), 7.09 (dd, J
= 8.4, 2.2 Hz, 1H), 7.00 (t, J = 74.4 Hz, 1H), 5.
08-4.92 (m, 1H), 3.24 (s, 2H), 3.12-2.94 (m,2H),
2.70-2.46 (m, 2H), 2.20-1.43 (m, 12H)。
【0127】実施例3 2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオ
ロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジン−1−イ
ル)酢酸・5水和物
【化31】 参考例11で製造した化合物(30.7g)をエタノール
(146mL)に溶解し、室温で2N水酸化ナトリウム
水溶液(43.8mL)を加え、室温で2時間撹拌した。反
応混合物に2N塩酸(43.8mL)を加えて中和後、濃縮
し、固体(34.82g)得た。先で得られた固体のうち、
一部(5.0g)をエタノール−水(2:1)(90m
L)から再結晶し、以下の物性値を有する本発明化合物
(5水和物)(4.41g)を得た。 TLC: 0.48 (クロロホルム:メタノール=8:
2)。
【0128】実施例4 2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオ
ロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジン−1−イ
ル)酢酸・一水和物
【化32】 実施例3で製造した化合物(4.41g)を40℃にて減圧
下(3mmHg)乾燥して、以下の物性値を有する本発
明化合物(1水和物)(3.73g)を得た。 TLC: 0.48 (クロロホルム:メタノール=8:
2); NMR(DMSO-d6):δ 7.22-7.19 (m, 2H), 7.09 (dd, J
= 8.7, 2.1 Hz, 1H), 7.00 (t, J = 74.4 Hz, 1H), 5.
01-4.92 (m, 1H), 4.00- 2.60 (br, 1H), 3.24 (s, 2
H), 3.04-2.95 (m, 2H), 2.70-2.50 (m, 2H), 2.16-1.8
0 (m, 6H), 1.80-1.50 (m, 6H)。
【0129】比較例1 2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオ
ロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジン−1−イ
ル)酢酸
【化33】 参考例11で製造した化合物(185mg)、エタノー
ル(3mL)および2N水酸化ナトリウム水溶液(0.44
mL)の混合物を室温で1.5時間撹拌した。反応混合物
を2N塩酸(0.44mL)で中和後、トルエンで共沸し
た。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロ
ロホルム:メタノール:水=10:2:0.1)で精製
し、下記物性値を有する本発明化合物(176mg)を
得た。 TLC:Rf 0.35 (クロロホルム:メタノール:酢酸
=10:1:0.2); NMR(CDCl3):δ 7.25-7.15 (m, 2H), 7.09 (dd, J =
8.1, 2.1 Hz, 1H), 7.01 (t, J = 75.0 Hz, 1H), 4.98
(m, 1H), 3.60-3.00 (br, 1H), 3.26 (s, 2H),3.10-2.
95 (m, 2H), 2.70-2.50 (m, 2H), 2.20-2.00 (m, 4H),
2.00-1.80 (m, 2H), 1.80-1.60 (m, 4H), 1.65-1.50
(m, 2H)。
【0130】製剤例1 以下の各成分を常法により混合した後打錠して、一錠中
に50mgの活性成分を含有する錠剤100錠を得た。 ・2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル) −4−シアノピペリジン−1−イル)酢酸・一水和物 ・・・・・5.0g ・カルボキシメチルセルロースカルシウム(崩壊剤) ・・・・・0.2g ・ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) ・・・・・0.1g ・微結晶セルロース ・・・・・4.7g
【0131】製剤例2 以下の各成分を常法により混合した後、溶液を常法によ
り滅菌し、5mLずつアンプルに充填し、常法により凍
結乾燥し、1アンプル中20mgの活性成分を含有する
アンプル100本を得た。 ・2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル) −4−シアノピペリジン−1−イル)酢酸・一水和物 ・・・・・2.0g ・マンニトール ・・・・・20g ・蒸留水 ・・・・1000mL
【図面の簡単な説明】
【図1】 2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4
−ジフルオロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジ
ン−1−イル)酢酸・一水和物(化合物1)の粉末X線
回折スペクトルチャートを示す。
【図2】 2−(4−(3−シクロペンチルオキシ−4
−ジフルオロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジ
ン−1−イル)酢酸(比較化合物)の粉末X線回折スペ
クトルチャートを示す。
【図3】 化合物1のIRスペクトルデータを示す。
【図4】 比較化合物のIRスペクトルデータを示す。
【図5】 化合物1のDSC測定チャートを示す。
【図6】 化合物1のTG測定チャートを示す。
【図7】 比較化合物のDSC測定チャートを示す。
【図8】 比較化合物のTG測定チャートを示す。
【図9】 化合物1の単結晶X線構造解析データを示
す。
【図10】 化合物1の単結晶X線構造解析データを示
す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 3/10 A61P 3/10 9/10 9/10 13/12 13/12 17/06 17/06 19/00 19/00 19/02 19/02 19/04 19/04 19/10 19/10 25/00 25/00 25/16 25/16 25/24 25/24 25/28 25/28 27/02 27/02 29/00 29/00 101 101 31/04 31/04 31/18 31/18 35/02 35/02 37/06 37/06 37/08 37/08 43/00 111 43/00 111 (72)発明者 大谷 多鶴美 大阪府三島郡島本町桜井3丁目1番1号 小野薬品工業株式会社水無瀬総合研究所内 (72)発明者 濱野 征哉 福井県坂井郡三国町山岸テクノポート1丁 目5番2号 小野薬品工業株式会社福井総 合研究所内 Fターム(参考) 4C054 AA02 CC01 CC03 DD01 EE01 FF05 FF31 4C086 AA01 AA03 BC21 MA01 MA04 NA14 ZA01 ZA12 ZA15 ZA33 ZA36 ZA68 ZA70 ZA89 ZA96 ZA97 ZB08 ZB11 ZB13 ZB15 ZB27 ZB33 ZC35 ZC55

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、Rは水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土
    類金属原子、または有機アミンを表わし、nは1から5
    の整数、または5までの真分数あるいは仮分数を表わ
    す。)で示されるピペリジン誘導体化合物。
  2. 【請求項2】 Rが水素原子を表わす請求項1記載のピ
    ペリジン誘導体化合物。
  3. 【請求項3】 nが1を表わす請求項1記載のピペリジ
    ン誘導体化合物。
  4. 【請求項4】 2−(4−(3−シクロペンチルオキシ
    −4−ジフルオロメトキシフェニル)−4−シアノピペ
    リジン−1−イル)酢酸・一水和物である請求項1乃至
    3のいずれかに記載の化合物。
  5. 【請求項5】 式(III) 【化2】 で示される4−(3−シクロペンチルオキシ−4−ジフ
    ルオロメトキシフェニル)−4−シアノピペリジンまた
    はその酸付加物塩。
  6. 【請求項6】 水および/または1種以上の有機溶媒を
    含有していてもよいアルコール系溶媒中で、再結晶操作
    に付すことを特徴とする2−(4−(3−シクロペンチ
    ルオキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)−4−シ
    アノピペリジン−1−イル)酢酸・nH2O(nは請求
    項1と同じ意味を表わす。)の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至4のいずれかに記載の化合
    物を有効成分として含有するPDE4阻害剤。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至4のいずれかに記載の化合
    物を有効成分として含有する炎症性疾患、糖尿病性疾
    患、アレルギー性疾患、自己免疫疾患、眼疾患、骨粗し
    ょう症、骨折、変形性関節症、肥満症、過食症、抗う
    つ、パーキンソン病、痴呆症、虚血再かん流障害、白血
    病、AIDS、ショック、全身性炎症反応症候群(SI
    RS)の予防および/または治療剤。
  9. 【請求項9】 炎症性疾患が、喘息、慢性閉塞性肺疾
    患、敗血症、サルコイドーシス、腎炎、肝炎、または腸
    炎である請求項8記載の予防および/または治療剤。
  10. 【請求項10】 アレルギー性疾患が、アレルギー性鼻
    炎、またはアトピー性皮膚炎である請求項8記載の予防
    および/または治療剤。
  11. 【請求項11】 自己免疫疾患が、潰瘍性大腸炎、クロ
    ーン病、リュウマチ、乾癬、多発性硬化症、または膠原
    病である請求項8記載の予防および/または治療剤。
  12. 【請求項12】 眼疾患が、アレルギー性結膜炎、また
    は季節性結膜炎である請求項8記載の予防および/また
    は治療剤。
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