JP3902537B2 - 可変長符号化データ復号化方法及び可変長符号化データ復号化装置 - Google Patents

可変長符号化データ復号化方法及び可変長符号化データ復号化装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディジタル画像信号又はディジタル音響信号の圧縮符号化、及び圧縮符号化された信号の復号化に係り、特に、復号化装置によってデジタルデータを劣化なく復号化する、又はディジタルデータを復号化段階で少し劣化させるようにし、ユーザ毎に品質の異なる復号化データを供給するための可変長符号化データ復号化方法及び可変長符号化データ復号化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
アナログの映像信号を伝送する、ないしは記録して再生するときは、その伝送路あるいは記録媒体の品質に応じて再生される映像信号が劣化し、オリジナルの映像信号と、使用者側で再生される映像信号の間には多少の画質の差が生じる。
【0003】
同様にアナログの音響信号を伝送する、ないしは記録して再生するときにも、その伝送路あるいは記録媒体の品質に応じて再生される音響信号が劣化し、オリジナルの音響信号と使用者側で再生される音響信号の間には多少の音質の差が生じる。
【0004】
そのようにして、映像信号及び/又は音響信号(以降、これらの信号のことをコンテンツ信号と呼ぶことがある)を所有する著作権者と、そのコンテンツ信号を再生する使用者との間で生じる品質の差により、著作権者の所有するコンテンツ信号に係る権利保護がなされるようにして、コンテンツビジネスの正常な運営がなされている。
【0005】
そして、近年になり、デジタル信号処理技術が発展し、それを用いるコンテンツ信号の放送、通信、あるいは記録媒体による利用者への供給は、コンテンツ信号の品質劣化を少なくして行なえるようになってきたため、著作権者が有するコンテンツの品質と使用者側で再生されるコンテンツの品質の間に差が少なくなり、著作権者の所有するコンテンツを用いて行うビジネスの正常な運営が困難になりつつある。
【0006】
そこで、特定の契約のなされている使用者にのみコンテンツを供給するようにする暗号化技術、及びコンディショナルアクセス技術などが開発され、それらを用いたコンテンツの供給がなされているが、その場合の暗号化、及びコンディショナルアクセスにより処理された信号は、正常な再生がなされる場合と、全く再生のなされない場合とのいずれかの場合が選択されることにより、契約関係にある使用者など、特定のユーザにのみコンテンツが供給されるような使われ方がなされている。
【0007】
また、著作権を有する者のコンテンツが伝送、あるいは記録媒体により使用者に供給され、使用者がそのコンテンツを2次使用したときに、そのコンテンツの権利者を特定するための情報を電子透かしなどによりコンテンツ情報の中に埋め込む方法も開発されている。そして、その場合のコンテンツが2次使用されたときのコンテンツの品質の劣化は少なく、電子透かしによるコンテンツの保護は、コンテンツ所有者の特定を行うためのみにしか用いられていないのが実状である。
【0008】
そのようにして、デジタル技術により、品質劣化が殆ど生じないコンテンツの伝送、及び記録再生技術の開発がなされた。そして、そのデジタル技術にアナログ信号が有するような好ましい著作権の保護に係る技術を盛り込んだ、好ましいコンテンツビジネスを行うための著作権者保護のための信号技術の開発が求められている。
【0009】
ここでは、最初にコンテンツ信号の圧縮符号化、及び復号化技術について、MPEG(moving picture experts group)ビデオ及びMPEGオーディオの技術を説明し、次にそれらの符号化された圧縮符号化信号に、コンテンツビジネスを行うための好適な符号化を実現するための、コンテンツの開示方法に係る符号化技術について述べる。
【0010】
最初に、MPEGビデオの技術について説明する。
その、テレビジョン信号などの動画像信号を高能率符号化する、いわゆるMPEGビデオを用いる方式は、ディジタル衛星放送、DVD(Digital versatile Disc)、ディジタルテープレコーダ、及び通信ネットワークで伝送される信号として広く用いられ、2003年からはデジタル地上放送にも採用されるように計画されている。
【0011】
即ち、そのMPEGビデオ標準は、1988年ISO/IEC(International Organization for Standardization / International Electrotechnical Commission)のJTC1/SC2(Joint Technical Committee 1 / Sub committee 2;国際標準化機構/国際電気標準化会合同技術委員会1/専門部会2)に設立された、動画像符号化標準を検討する組織により審議が開始されて作成された国際標準規格である。
【0012】
その審議団体であるSC2は、現在SC29として動画、及び音響信号等の符号化に係る規格制定活動を継続しており、またMPEGの人達により制定された国際標準は通俗的にMPEG規格とも呼ばれている。
【0013】
そして、MPEGにより最初に制定されたMPEG1(MPEGフェーズ1)規格は1.5Mbps程度の伝送レートで記録される蓄積メディアを対象とした、音響信号の付随される動画信号の符号化標準で、静止画の符号化を目的とするJPEG(Joint Photographic Coding Experts Group)と、ISDN(Integrated services digital network)のテレビ会議やテレビ電話の低転送レート用の動画像圧縮を目的としたH.261(CCITT SGXV、現在のITU-T SG15で標準化)の基本的な技術を用いた符号化標準である。
【0014】
そのようにしてMPEG1は1993年8月に、ISO/IEC11172として制定され、そのMPEG1規格により符号化されて記録されたディスクは多く製品化されている。
【0015】
また、その後制定されたMPEG2(MPEGフェーズ2)は、通信及び放送などの多様なアプリケーションに対応できるように汎用標準を目的として、1994年11月にISO/IEC13818、及び「H.262」として制定された。
【0016】
そして、これらのMPEG1及びMPEG2による符号化方式は複数の符号化技術より構成されており、それらの技術は動画像を構成する「フレーム」画像を「マクロブロック」と呼ばれる16×16画素のブロック毎に分割して符号化処理を行う。
【0017】
その符号化処理は、各マクロブロック単位ごとに、時間的に未来または過去に所定の数フレーム離れた参照画像と被符号化画像との間で「動きベクトル」と呼ばれる動き量を求め、その動き量を基に参照画像から被符号化画像を符号化する「動き補償予測」技術と、その動き補償予測の誤差信号または被符号化画像そのものに対して、直交変換技術の一つであるDCT(Discrete Cosine Transform :離散コサイン変換)を用いて画像情報を周波数情報量に変換し、その変換された周波数領域の情報より視覚的に有意な情報のみを得るようにして圧縮符号化を行う「変換符号化」技術と、の2つの画像符号化の要素技術を基にして構成されている。
【0018】
そして、動き補償予測における予測の方向は、過去、未来、及び過去未来の両方から予測する場合の3モードが存在し、それらの3モードは16画素×16画素のデータよりなるマクロブロックごとに切り替えて使用できるようになされている。
【0019】
また、入力画像のフレームに与えられるピクチャタイプとしては、I(Intra-coded)、P(Predictive-coded)、及びB(Bidirectionally predictive-coded)の3種類のピクチャタイプが定められている。
【0020】
そのIピクチャは動き予測を行わずに符号化するピクチャであるが、Pピクチャには過去からの予測、及び予測を行わずに符号化する2モードが存在しており、またBピクチャには未来からの予測、過去からの予測、過去及び未来の両方向からの予測、並びに予測を行わずにフレーム内符号化を行う4つのMC(Motion Compensation)モードがある。
【0021】
それらの未来、ないしは過去の画像を用いて行う動き補償は、動き領域をマクロブロックごとにパターンマッチングを行ってハーフペル(画素間距離の1/2)精度で動きベクトルを求め、その求められた動きベクトル量に対応させて未来、ないしは過去の参照画像位置をそのベクトル方向に移動させて形成した参照画像を参照して、入力された画像信号の符号化を行う。
【0022】
そのようにして求められる動きベクトルの方向には水平方向と垂直方向とがあり、それらのベクトル情報はMCモードと共にマクロブロックの付加情報として伝送されるようになされている。
【0023】
また、そのようにしてなされるピクチャデータのうち、I、P、及びBの3種類のピクチャはIピクチャを先頭として所定の順に並べられて伝送され、そのIピクチャより次のIピクチャの手前にあるピクチャまでの、ピクチャ(フレーム画像)の集合をGOP(Group Of Picture)と呼ぶ。通常の蓄積メディアなどでなされる符号化においては、15枚程度のピクチャによりGOPが構成されるようになされている。
【0024】
そして、Iピクチャ、及び動き補償画像として符号化されるP、及びBピクチャはDCT、即ち余弦関数を積分核とする積分変換が有限空間へ離散変換する直交変換としてなされる。
【0025】
その直交変換はマクロブロックを8画素×8画素のDCTブロックに分割して2次元DCTを行うが、一般に画像データの周波数成分は低域に多く高域は少ないため、画像データはDCTを行い低域周波数にエネルギを集中された変換係数により圧縮して表現することができる。
【0026】
そして、そのDCTされた画像データ(DCT係数)は量子化器で量子化が行われる。即ちその量子化器により、DCT係数は所定の量子化値により除算されて求められるが、その量子化値は8画素×8画素の2次元周波数を視覚特性で重み付けされた量子化値として得られ、その量子化値は所定の量子化スケールによりスカラー倍されたものが用いられる。
【0027】
また、その量子化値は符号化された画像データの復号時に得られる逆量子化値を乗算することにより、デコード時にはエンコード時に与えられた量子化値による特性が打ち消されるようになされている。
【0028】
次に、その様な手法により符号化及び復号化を行うMPEG符号化器の構成について述べる。
図47に、MPEG符号化器の構成を示し、その動作の概略を述べる。
【0029】
そのMPEG符号化器50は入力端子51、加算器52、DCT器53、量子化器54、VLC(variable length coding)器55、バッファ56、符号量制御器57、逆量子化器61、逆DCT器62、加算器63、画像メモリ64、及び動き補償予測器65より構成される。
【0030】
まず、入力端子51に供給された動画信号は動き補償予測器65及び加算器52に供給され、その加算器52では動き補償予測器65より供給される信号は極性反転されて加算され、加算されて得られる信号はDCT器53に供給される。
【0031】
そのDCT器53では、供給される画像信号は前記の離散余弦変換が行われ、変換して得られるDCT変換係数は量子化器54に供給され、前記所定の量子化値を基に量子化がなされ、量子化のなされた量子化データは逆量子化器61、及びVLC器55に供給される。
【0032】
そのVLC器55では、供給された量子化データは可変長符号化されるが、量子化された値のうちDCT変換がなされて得られる直流(DC)成分はDPCM(differential pulse code modulation)変調がなされる。
【0033】
また、交流(AC)成分は低域周波数成分のデータより高域周波数成分のデータの順にジグザグスキャン(zigzag scan)がされながら得られ、その得られたデータはゼロのラン長および有効係数値を1つの事象とし、出現確率の高いものから順に符号長の短い符号が割り当てられるようにして、ハフマン符号化がなされる。
【0034】
その可変長符号化である、ハフマン符号化のされたデータはバッファ56に一時記憶され、一時記憶されたデータは所定の転送レートにより符号化データ出力として出力される。
【0035】
そして、その出力されるデータのマクロブロック毎の発生符号量は、符号量制御器57に供給されて、予め設定されている目標符号量と比較され、比較して得られる発生符号量との差の符号量は量子化器54に供給される。そして、量子化器54ではその差の符号量を基に量子化スケールの値を変更するなどにより所定の転送レートの符号化データが得られるようにして符号量の制御がなされる。
【0036】
一方、量子化器54で量子化された画像データは逆量子化器61に供給されて逆量子化がなされる。その逆量子化のなされたデータは逆DCT器62に供給されて、そこで逆DCTがなされ、その逆DCTされたデータは加算器63に供給される。
【0037】
その加算器63では動き補償予測器65より供給される参照画像と加算され、その加算して得られる信号は画像メモリ64に供給されて、そこに一時記憶される。その一時記憶された画像データは、動き補償予測器65において差分画像を演算するためのリファレンス復号化画像として用いられることにより、MPEG符号器50より動き補償のされた符号化データとして出力されるようになされている。
【0038】
そのようにして出力された符号化データはMPEG復号化器に供給されて復号化される。
図48に、MPEG復号化器の構成を示し、その動作の概略について述べる。
【0039】
同図に示すMPEG復号化器70は、符号化データ入力端子71、バッファ72、VLD器73、逆量子化器74、逆DCT器75、加算器76、画像メモリ77、及び動き補償予測器78より構成される。
【0040】
まず、入力端子71に供給された符号化データはバッファ72に一時記憶され、そこに一時記憶された符号化データは必要に応じてVLD(variable length decoding)器73に供給される。
【0041】
そのVLD器73では、VLC器55により符号化されたデータの可変長復号が行われ、前述の直流(DC)成分および交流(AC)成分に係るデータが得られる。
【0042】
それらの得られたデータのうち交流成分のデータはMPEG符号化器50でなされたと同じ低域から高域周波数成分へのジグザグスキャンの順で8×8のマトリックスに配置される量子化データとして得られ、その得られた量子化データは逆量子化器74に供給される。
【0043】
その逆量子化器74では、前述の量子化マトリックス配置を基に逆量子化がなされ、その逆量子化されて得られるデータは逆DCT器75に供給される。そこでは逆DCT演算がなされて画像データが復号化データとして得られる。
【0044】
そして、その得られた画像データは画像メモリ77に一時記憶され、一時記憶された画像データは動き補償予測器78に供給される。そして、その画像データは動き補償予測における差分画像を演算するためのリファレンス復号化画像として用いられる。
【0045】
そのようにして、動画を構成する画像データはMPEG符号化器50により符号化されて伝送、ないしは記録され、その受信、ないしは再生された符号化データはMPEG復号器70により復号されて動画情報として得られるようになされている。そのような手法はMPEG1、及びMPEG2の両者において用いられているが、いずれの場合においても伝送路における雑音、及び非直線性の影響を受けることの少ない映像信号の伝送を可能にしている。
【0046】
そして、このようにして符号化された画像信号の著作権保護に係り、複数種類の符号化モードを用いて符号化した画像データを、入力されるセキュリティデータに基づいて符号化データの再生許可又は不許可を判定し、その判定結果に応じて符号化された画像信号の復号化を行う方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0047】
以上、画像信号の符号化、及び復号化について述べた。
次に、音響信号の圧縮符号化についてMPEG−2 AAC(Advanced Audio Coding)を例として説明する。
図49に、ディジタルオーディオ信号の圧縮符号化を行うMPEG−2 AAC方式による符号化装置の構成を示し、その動作について説明する。
【0048】
同図に示すオーディオ信号符号化装置400は、聴覚心理分析器401、MDCT(Modified Discrete Cosine Transform)器402、スケールファクタ算出器403、量子化器404、コードブック選択器405、可変長符号化器406、最小符号量検出器407、符号量判定器408、及びビットストリーム生成器409よりなっている。
【0049】
まず、MPEG−2 AACオーディオ符号化装置は、入力されるディジタルオーディオ信号を聴覚心理分析器401によりFFT(Fast Fourier Transform)処理を行うことによリ周波数スペクトルを求め、それを基に聴覚に対してなされるマスキング量を計算し、予め設定された周波数帯域毎の許容量子化雑音電力を算出する。
【0050】
一方、MDCT器402は、供給されるオーディオ信号をMDCTすることによりスペクトルデータを得る。そのデータはMDCT係数と呼ばれる。そして、聴覚心理分析器401で決定された窓選択情報に基づいて、ロング又はショートの変換ブロック長が選択される。また、MDCT演算は演算ブロック長を50%ずつオーバーラップしながら実行する。
【0051】
そして、窓選択がロング窓として選択された場合は2048サンプルのオーディオ信号を1024本のMDCT係数に変換し、またショート窓の場合は256サンプルを128本のMDCT係数に変換する。
【0052】
次に、スケールファクタ算出器403では、人間の聴覚特性を基にした周波数帯域毎に1024本のMDCT係数を単位にして、オーディオ信号は複数のスケールファクタバンドに分けられる。そして、それぞれのスケールファクタバンドで計算された量子化雑音が聴覚心理分析器401で算出された許容量子化雑音電力よりも大きくならないように、各スケールファクタバンドの量子化ステップ数(スケールファクタ)が算出される。
【0053】
図中の点描内では、スケールファクタバンド単位に処理が行われる箇所であること示している。即ち、量子化器404では、スケールファクタバンド単位に量子化が行われる。そして、スケールファクタ算出器403では、そこで算出されたスケールファクタと全体の量子化ステップ数から、スケールファクタバンド内の信号に対するMDCT係数が求められ、求められた係数値を基にした量子化を行う。また、量子化に必要なビット数が使用可能なビット数以内に収まるようにされて全体の量子化ステップ数が制御されるようにして、MDCT係数の量子化が実行される。
【0054】
次のコードブック選択器405では、量子化値の最大絶対値から使用可能なハフマンコードブックが選択される。
図50に、MPEG−2 AACで用いられるハフマンコードブックの表を示す。
【0055】
そして、可変長符号化器406では量子化値の最大絶対値に基づいたハフマンコードブックが選択されて用いられ、そこで可変長符号化がなされる。例えば、量子化値の最大絶対値が5であるときは、ハマンコードブックは7以上が使用可能とされる。そして、選択されたハフマンコードブックは可変長符号化器406に供給される。
【0056】
その可変長符号化器406では、量子化器404から出力されるMDCT係数の量子化値が、コードブック選択器405により選択されたハフマンコードブックを使用して可変長符号化が行われる。そして、複数のハフマンコードブックが選択された場合には、それぞれのハフマンコードブックが用いられて符号化が行われ、その符号化された結果は最小符号量検出器407に供給される。更に可変長符号化器406では、供給されるスケールファクタも可変長符号化され、冗長度を削減した符号化結果が符号量判定器408に供給される。
【0057】
最小符号量検出器407では、各ハフマンコードブックが用いられて符号化されたそれぞれの符号化結果を基に、発生される符号量が最小となるハフマンコードブックが選択され、その選択されたハフマンコードブックと符号化結果とが符号量判定器408に供給される。
【0058】
その符号量判定器408では、符号化されて生じた符号量が使用可能な符号量以内に収まっているかが判定され、使用可能な符号量を越えている場合は再度量子化が行われ、生成される符号量が使用可能な符号量以下となるまで繰り返し行われる。
【0059】
そして、使用可能ビット数を満足して出力された符号化データは、ビットストリーム生成器409に供給される。そこでは、サンプリング周波数、符号化レート等の符号化パラメータと共に多重化され、AACビットストリームとして生成され、オーディオ信号符号化装置から出力される。
【0060】
次に、そのようにして符号化されたAACビットストリームの復号化を行うオーディオ信号復号化装置について述べる。
図51に、MPEG−2 AACエンコーダに対応した復号化を行うMPEG−2 AACデコーダの従来例を示し、以下同図を参照して説明する。
【0061】
同図に示すオーディオ信号復号化装置420は、ビットストリーム解析器421、可変長復号化器422、逆量子化器423、及びIMDCT(Inverse Modified Discrete Cosine transform)器424より構成される。
【0062】
まず、MPEG−2 AACデコーダでは、複数の信号が多重化されて入力されたAACビットストリームはビットストリーム解析器421において、サンプリング周波数、符号化レート等の符号化パラメータ、及び符号化データのそれぞれの信号に分離される。
【0063】
そして、可変長復号化器422には符号化データ及び符号化パラメータであるスケールファクタと量子化値が入力され、そこではそれらのデータを基に可変長復号化が行われる。即ち、スケールファクタは、スケールファクタ用のハフマンコードブックが使用され、量子化値はスケールファクタバンド単位にビットストリーム解析器421から得られたハフマンコードブックの番号を基に、量子化値用のハフマンコードブックが選択されて復号化がなされる。
【0064】
次に、復号化された量子化値及びスケールファクタは逆量子化器423に供給される。そこでは、ビットストリーム解析器421から出力される符号化パラメータの一つである全体の量子化ステップ数、及びスケールファクタを用いて、スケールファクタバンド単位毎に量子化値が逆量子化され、MDCT係数が算出される。
【0065】
MDCT係数はIMDCT器424に入力され、そこで逆MDCT変換されてオーディオ信号に変換され、そこから出力される。
以上、ディジタルオーディオ信号がオーディオ信号符号化装置により圧縮符号化され、また符号化された信号はオーディオ信号復号化装置により復号化されてディジタルオーディオ信号が得られる動作について述べた。
【0066】
そして、そのオーディオ信号復号化装置に符号化されたディジタルオーディオ信号に電子透かし情報などのセキュリティ情報を含ませて、光ディスクにSCMS(Serial Copy Management System)方式を用いて記録すると共に、セキュリティシステムによる許可が得られないときには符号化されたディジタルオーディオ信号の一部の信号のみを記録媒体に記録するようになした光ディスク装置もある(例えば、特許文献2参照。)。
【0067】
【特許文献1】
特開2000−175162号公報
【特許文献2】
特開2001−312853号公報
【0068】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、MPEG1、及びMPEG2などの動画信号、及び音響信号の高品質な圧縮符号化信号を用いて行うコンテンツ信号の伝送は使用者にとって好ましい。しかし、著作権者がコンテンツビジネスを推進するためには好ましいとは限らない。
【0069】
そこで、上記の符号化品質の高いMPEGの画像や音声による圧縮符号化方式に比し、例えば通常の復号化装置により復号化したときには、アナログシステムのように少し劣化した半開示状態のディジタルコンテンツデータが得られるようにする。そして、所定の復号化装置で復号化したときには劣化のないディジタルコンテンツデータが得られるようにし、コンテンツビジネスを保護するための圧縮符号化方式が求められている。
【0070】
そのコンテンツビジネスの保護を行う符号化方式として、不正なコンテンツのコピー、及び不正な再生器を使用して行う不正再生などを防止するための機能を持たせる。また、不正再生を防止するコンテンツのセキュリティ保護のための信号処理を行なったコンテンツが市場に供給されるようにする。
【0071】
一方、セキュリティ保護の対象となるコンテンツを、例えばMPEG方式により圧縮符号化して得られた符号化データであるビットストリームに対して直接的に暗号化処理を施すことによりセキュリティ保護を行う方法もある。
【0072】
しかしながら、その方法では暗号化された符号化データは特定の許可されたユーザのみにより暗号の解読が行なわれて劣化のないコンテンツデータが得られるものの、暗号化の解読処理がなされない使用者側ではそのコンテンツに係る画像ないしは音響信号情報は一切得ることができないという問題がある。
【0073】
そこで本発明は、例えばMPEGなどにより行われるコンテンツデータの直交変換、及び直交変換されて得られる係数値データを可変長符号化して得られる符号化コンテンツ信号を可変長符号化するに際し、所謂ハフマン符号などを用いたVLC(variable length coding)テーブルを変更して用いるようにして一般の復号器と、正規の復号器とにおける再生画像、音響信号の品質を異ならせるようにするものである。
【0074】
そして、発生確率が大きく異なる事象の場合には、一般にコード毎のレングスが異なっており、そのようなテーブルの読み替えを行うと符号量が増大し、符号化効率が悪くなることがある。しかし本発明の場合には、特にVLCコードの読み替えは、VLCコード内の同じ長さの事象であるコード同士を読み替えるようにし、符号化効率の劣化を防ぐと共に、不条理な誤り信号が生じるのを防ぐようにもする。
【0075】
また、上記の切り替えて用いられるVLCテーブルのVLCコードは、例えば国際標準として市場で一般的に用いられるMPEGビデオ及びMPEGAAC オーディオ規格などで規定されるVLCコード体系にあるコードを用いて構成するようにし、コンテンツの圧縮符号化方式として多く市場で使用される方式との整合性が良い方法により実現するようにする。
【0076】
さらにまた、一般的に使用されるMPEGのシンタックスを用いたVLCコードが意味する事象を切り替える符号化選択信号は、例えばMPEGで規定されたユーザーデータ記録領域に記述されたデータ、画像や音声に混入された電子透かしデータ、及び画像や音声のデータとは別に伝送される付加データなど、複数の方法により伝送を可能とするようにする。そして、所望の符号化対象のコンテンツに対して所定のセキュリティレベルを確保しながら行う可変長符号化データ復号化方法及び可変長符号化データ復号化装置を提供しようとするものである。
【0077】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために以下の1)〜4)の手段より成るものである。
すなわち、
【0078】
1) 画像信号及び音響信号のうち、少なくとも一方の信号を含んで構成されるコンテンツ信号に対して、所定の方法によるデータ変換、量子化、及び配列を行って得られる時系列データを可変長符号化して生成される圧縮符号化信号を、可変長復号化して前記時系列データを得、その得られた時系列データを復号化して前記コンテンツ信号を得る可変長符号化データ復号化方法であり、
前記圧縮符号化信号は、前記時系列データの複数個数のデータ値に対して所定のコードワードを割り付けるようにして記述する可変長符号化テーブルと、その可変長符号化テーブルに記述されるコードワードのうち、前記時系列データの個数が同一であり、且つお互いに異なるコードワード同士を交換して記述する交換可変長符号化テーブルとの2つの符号化テーブルのうちの、どちらの符号化テーブルを用いて前記可変長符号化を行うかを指定する符号化選択信号により指定される方の符号化テーブルを用いて、前記時系列データの可変長符号化を行って生成される圧縮符号化信号であり、その圧縮符号化信号及び前記符号化選択信号を用いて前記復号化を行う可変長符号化データ復号化方法であって、
前記符号化選択信号を検出する第1のステップ(26)と、
検出された前記符号化選択信号を基に前記指定された方の符号化テーブルを用いて前記圧縮符号化信号を可変長復号化して前記時系列データを得る第2のステップ(23、221)と、
その第2のステップで得られた時系列データを復号化して前記コンテンツ信号を得る第3のステップ(22)と、
を有することを特徴とする可変長符号化データ復号化方法。
2) 画像信号及び音響信号のうち、少なくとも一方の信号を含んで構成されるコンテンツ信号に対して、所定の方法によるデータ変換、量子化、及び配列を行って得られる時系列データを可変長符号化して生成される圧縮符号化信号を、可変長復号化して前記時系列データを得、その得られた時系列データを復号化して前記コンテンツ信号を得る可変長符号化データ復号化方法であり、
前記圧縮符号化信号は、前記時系列データの複数個数のデータ値に対して所定のコードワードを割り付けるようにして記述する可変長符号化テーブルと、その可変長符号化テーブルに記述されるコードワードのうち、前記時系列データの個数が同一であり、且つお互いに異なるコードワード同士を交換して記述する交換可変長符号化テーブルとの2つの符号化テーブルのうちの、どちらの符号化テーブルを用いて前記可変長符号化を行うかを指定する符号化選択信号により指定される方の符号化テーブルを用いて、前記時系列データの可変長符号化を行って生成される圧縮符号化信号であり、その圧縮符号化信号及び前記符号化選択信号を用いて前記復号化を行う可変長符号化データ復号化方法であって、
前記符号化選択信号を検出する第1のステップ(26)と、
検出された前記符号化選択信号を基に前記指定された方の符号化テーブルを用いて前記圧縮符号化信号の可変長復号化を行うか、又は検出された前記符号化選択信号により前記交換可変長符号化テーブルの使用が指定された場合にそのテーブルの使用を無視し、前記可変長符号化テーブルを用いて前記圧縮符号化信号の可変長復号化を行うかを選択する第2のステップ(23)と、
第2のステップでの選択結果に応じた符号化テーブルを用いて前記圧縮符号化信号の可変長復号化を行い時系列データを得る第3のステップ(221)と、
その第3のステップで得られた時系列データを復号化してコンテンツ信号を得る第4のステップ(22)と、
を有することを特徴とする可変長符号化データ復号化方法。
3) 画像信号及び音響信号のうち、少なくとも一方の信号を含んで構成されるコンテンツ信号に対して、所定の方法によるデータ変換、量子化、及び配列を行って得られる時系列データを可変長符号化して生成される圧縮符号化信号を、可変長復号化して前記時系列データを得、その得られた時系列データを復号化して前記コンテンツ信号を得る可変長符号化データ復号化装置であり、
前記圧縮符号化信号は、前記時系列データの複数個数のデータ値に対して所定のコードワードを割り付けるようにして記述する可変長符号化テーブルと、その可変長符号化テーブルに記述されるコードワードのうち、前記時系列データの個数が同一であり、且つお互いに異なるコードワード同士を交換して記述する交換可変長符号化テーブルとの2つの符号化テーブルのうちの、どちらの符号化テーブルを用いて前記可変長符号化を行うかを指定する符号化選択信号により指定される方の符号化テーブルを用いて、前記時系列データの可変長符号化を行って生成される圧縮符号化信号であり、その圧縮符号化信号及び前記符号化選択信号を用いて前記復号化を行う可変長符号化データ復号化装置であって、
前記符号化選択信号を検出する符号化選択信号検出手段(26)と、
検出された前記符号化選択信号を基に前記指定された方の符号化テーブルを用いて前記圧縮符号化信号を可変長復号化して前記時系列データを得る可変長復号化手段(23、221)と、
その可変長復号化手段により得られた時系列データを復号化して前記コンテンツ信号を得るコンテンツ信号復号化手段(22)と、
を具備して構成することを特徴とする可変長符号化データ復号化装置。
4) 画像信号及び音響信号のうち、少なくとも一方の信号を含んで構成されるコンテンツ信号に対して、所定の方法によるデータ変換、量子化、及び配列を行って得られる時系列データを可変長符号化して生成される圧縮符号化信号を、可変長復号化して前記時系列データを得、その得られた時系列データを復号化して前記コンテンツ信号を得る可変長符号化データ復号化装置であり、
前記圧縮符号化信号は、前記時系列データの複数個数のデータ値に対して所定のコードワードを割り付けるようにして記述する可変長符号化テーブルと、その可変長符号化テーブルに記述されるコードワードのうち、前記時系列データの個数が同一であり、且つお互いに異なるコードワード同士を交換して記述する交換可変長符号化テーブルとの2つの符号化テーブルのうちの、どちらの符号化テーブルを用いて前記可変長符号化を行うかを指定する符号化選択信号により指定される方の符号化テーブルを用いて、前記時系列データの可変長符号化を行って生成される圧縮符号化信号であり、その圧縮符号化信号及び前記符号化選択信号を用いて前記復号化を行う可変長符号化データ復号化装置であって、
前記符号化選択信号を検出する符号化選択信号検出手段(26)と、
検出された前記符号化選択信号を基に前記指定された方の符号化テーブルを用いて前記圧縮符号化信号の可変長復号化を行うか、又は検出された前記符号化選択信号により前記交換可変長符号化テーブルの使用が指定された場合にそのテーブルの使用を無視し、前記可変長符号化テーブルを用いて前記圧縮符号化信号の可変長復号化を行うかを選択する可変長符号化テーブル選択手段(23)と、
可変長符号化テーブル選択手段での選択結果に応じた符号化テーブルを用いて前記圧縮符号化信号の可変長復号化を行い時系列データを得る可変長復号化手段(221)と、
その可変長復号化手段により得られた時系列データを復号化してコンテンツ信号を得るコンテンツ信号復号化手段(22と、
を具備して構成することを特徴とする可変長符号化データ復号化装置。
【0079】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の可変長符号化データ復号化方法及び可変長符号化データ復号化装置の実施形態につき、好ましい実施例により説明する。
【0080】
ここで符号化の対象となる信号は、画像信号、及び/又は音響信号のうちの少なくとも一方の信号を含んで構成されるコンテンツ信号である。最初に、コンテンツ信号が画像である場合の符号化方法につき、その基本的な実施例を基に説明する。
<第1実施例>
図1に、その画像信号の符号化方法を搭載した第1の実施例による画像信号符号化装置(以下、単に符号化装置と記すこともある。)の構成を示し、図を参照して説明する。
【0081】
同図に示す画像信号符号化装置10は、画像データ変換器11、MPEGエンコーダ12、VLCテーブル選択器13、標準VLCテーブル14、特別VLCテーブル15、及びCPU16より構成される。そして、MPEGエンコーダ12にはVLC器121が含まれている。
【0082】
次に、その画像信号符号化装置10の動作について述べる。
まず、MPEGエンコーダ12による符号化対象の入力画像信号は画像データ変換器11に供給されるが、そこではCPU16から供給される後述のVLCテーブル切り換え用信号である符号化選択信号が電子透かし情報として供給され、画像信号に埋め込まれる。
【0083】
その画像信号に埋め込まれる符号化選択信号はCPU16より出力されるが、そのCPU16より出力される符号化選択信号はVLCテーブル13にも供給されている。そして、そのVLCテーブル選択器13では標準VLCテーブル14、及び特別VLCテーブル15から供給されるVLCテーブルのうち、符号化選択信号により選択される方のVLCテーブルがVLC器121に供給され、MPEGエンコーダ12ではVLC器121に一時記憶されたVLCテーブルを基にした圧縮符号化が行われる。
【0084】
即ち、そのMPEGエンコーダ12には、符号化選択信号が電子透かしにより埋め込まれた画像信号が供給される。そして、その画像信号は埋め込まれた符号化選択信号により指定される方のVLCテーブルが用いられて圧縮符号化が行われる。
【0085】
そのようにして、CPU16から供給される符号化選択信号が、例えば「0」のときには標準VLCテーブルが選択されて符号化され、又「1」のときには特別VLCテーブルが選択されて符号化されるようになされる。そして、その符号化選択信号は画像データ変換器11において変換のなされる、例えば所定の間隔毎の最初の位置にある画像信号に電子透かし手法を用いて埋め込まれるようにして、MPEGにより圧縮符号化された符号化データが生成されるようになされている。
【0086】
次に、生成された符号化データの復号化について述べる。
図2は、その符号化データの復号化方法を搭載した第1の実施例による画像信号復号化装置(以下、単に復号化装置と記すこともある。)の構成であり、以下図と共に説明する。
【0087】
同図に示す画像信号復号化装置20は、MPEGデコーダ22、VLCテーブル選択器23、標準VLCテーブル24、特別VLCテーブル25、及び画像電子透かし検出器26より構成される。そして、MPEGデコーダ22にはVLC復号器221が含まれている。
【0088】
次に、画像信号復号化装置20の動作について述べる。
まず、画像信号符号化装置10で圧縮符号化された符号化データはMPEGデコーダ22に供給される。ここで圧縮符号化された信号は、VLC復号器221に一時記憶されるVLCテーブルの値が用いられて復号化される。その復号化して得られる画像信号は画像電子透かし検出器26に入力される。
【0089】
その画像電子透かし検出器26では、後述の画像データ変換器により電子透かし情報として埋め込まれた符号化選択信号が検出され、その検出されて得られる符号化選択信号はVLCテーブル選択器23に供給される。
【0090】
VLCテーブル選択器23では、供給された符号化選択信号、即ちCPU16より供給された符号化選択信号に基づき、標準VLCテーブル24、又は特別VLCテーブル25に格納される方のVLCテーブルが選択されてVLC復号器221に供給される。そのVLCテーブルの値はVLC復号器221に一時記憶される。
【0091】
次に、VLCテーブル221に一時記憶されたVLCテーブルが用いられて、MPEGデコーダ22では供給される符号化データの復号化が行なわれる。そして、その復号化はMPEGエンコーダ12のVLC器121に一時記憶されるVLCテーブルと同一のVLCテーブルが用いられて復号化される。そのため、品質の高い画像信号が復号化されて得られる。
【0092】
以上述べた様にして、第1の実施例における画像信号符号化装置10と画像信号復号化装置20とでは、画像電子透かしの手法により埋め込まれた符号化選択信号により選定される方のVLCテーブルが用いられて圧縮符号化、及び圧縮符号化データの復号化がなされるため、品質の高い画像信号が再生される。
【0093】
一方、画像信号復号化装置に画像電子透かし情報を検出する機能がない場合、または画像信号復号化装置が特別VLCテーブルの情報を有していない場合は、通常のMPEGデコーダに搭載される標準VLCテーブルが用いられて復号化が行なわれるため、復号化されて得られる画像信号にはそれぞれのVLCテーブルの差に基づく歪成分が含まれた画像信号として再生されることになる。
【0094】
上記の手法を用いて、コンテンツの著作権を有する著作権者が、保有するコンテンツを契約関係にある特別のデコーダと、契約関係にない一般のデコーダとに対して異なる品質の画像信号を供給することができる。即ち、特別のデコーダには画像電子透かし検出器、及び特別VLCテーブルを搭載させることによリ、一般者と特別者とに対して異なる品質の画像信号が供給されるようにするものである。
【0095】
そして、一般者が仮に特別VLCテーブルを搭載する画像信号復号化装置を有する場合であっても、符号化データに埋め込まれる電子透かし情報は、電子透かし情報の埋め込み方法に係る情報の与えられた特別者のみが復号可能なようにして、特別関係にある契約者のみが品質劣化のない画像信号を得られるようにする。
【0096】
その所定の情報が埋め込まれる電子透かし信号は、例えば画像に何らかの情報を埋め込み、隠し持たせる手法である。また、その情報を埋め込む方法には複数の方法があるが、画像信号符号化装置側と画像信号復号化装置側とでは予め定められた所定の電子透かしの手法をお互いに用いるようにして、符号化選択信号の伝送を行うようにする。
【0097】
その電子透かし手法として提案のなされている例として、例えばNTTはSCIS’97(The 1997 Symposium on Cryptography and Information Security;1997年、暗号と情報セキュリティシンポジウム)−31Gにおいて「DCTを用いたディジタル動画像における著作権情報埋め込み方法」を発表している。その方法は、埋め込むべき情報をMPEG(moving picture experts group)符号化において、特にDCT(discrete cosine transform)係数、動きベクトル、及び量子化特性の変更に基づく情報埋め込み手法として提案しているものである。
【0098】
また、防衛大学ではSCIS’97−26Bにおいて「PN系列による画像への透かし署名法」を発表しており、その方法は直接拡散方式に従い、PN(pseudo noise)系列で画像信号を拡散し、画像に署名情報を合成する方法として提案されている。
【0099】
それらの提案されている、いずれの電子透かしの手法を用いることによっても符号化選択信号の伝送が可能であり、また暗号化処理により符号化選択信号を埋め込んで伝送する他の電子透かし手法によっても実現が可能である。
【0100】
以上、電子透かし法などにより伝送される符号化選択信号を基にして画像信号符号化装置で生成した符号化信号を画像信号復号化装置に伝送することにより、ユーザ毎に異なった品質の画像の得られる画像信号符号化装置、及び復号化装置の構成とその動作について述べた。
【0101】
そして、その符号化選択信号を埋め込んで伝送する画像は、例えば動画における例えばGOP(Group of Picture)の最初の画像、ないしは所定の間隔毎の1枚目の画像は、標準VLCテーブルを用いて符号化するようにし、2枚目以降の画像はその伝送された電子透かし方式で記述されたVLCテーブルを用いて符号化を行うようにする。さらに、電子透かしにより記述されるVLCテーブル情報を、例えば番組ソフトの開始される場所に、予め定められた時間の間は標準VLCテーブルを用いて符号化するようにして記録する方法もある。
【0102】
その他の方法として、画像信号をDCT変換して得られる画像ブロックのDC成分を伝送する個所により、VLCテーブルに係る電子透かし情報を伝送する方法がある。通常の符号化においては、DC成分は量子化値に係りなく固定的なビット長(例えば8ビット)で量子化されるケースが多いため、その部分の冗長度は大きい。従って、例えば1画面全体のDC成分の値が「偶数」を0、「奇数」を1と定めることにより電子透かしデータを伝送することができる。
【0103】
以上のような方法が用いられて符号化選択信号の伝送がなされる。そして、符号化時と同一の復号化VLCテーブルが用いられるときには劣化のない画像が、また異なるVLCテーブルが用いられるときには少し劣化した画像が再生される。しかし、異なるVLCテーブルが用いられる場合であっても、それにより生じる再生画像が破綻するような画像は再生されない。
以上、電子透かし法により符号化選択信号を伝送する第1の実施例による画像信号符号化装置及び画像信号復号化装置の構成と、それらの装置の動作について述べた。
次に、符号化選択信号をユーザが定義して伝送可能なユーザーデータ記述領域に記述して伝送する方法について述べる。
【0104】
<第2実施例>
図3は、その画像信号の符号化方法を搭載した第2の実施例による画像信号符号化装置の構成であり、以下図と共に説明する。
同図に示す画像信号符号化装置10aは、MPEGエンコーダ12a、VLCテーブル選択器13、標準VLCテーブル14、特別VLCテーブル15、及びCPU16aにより構成され、そしてMPEGエンコーダ12aにはVLC器121及びユーザデータ記述器122が含まれている。同図において、前述の第1の実施例と同じ機能のブロックには同一の符号を付してある。
【0105】
次に、その様に構成される画像信号符号化装置10aの動作について、第1の実施例と異なってなされる動作について述べる。
即ち、画像信号符号化装置10aはCPU16aから供給される符号化選択信号をMPEGエンコーダ12aのユーザデータ記述器122に供給することにより、そこのユーザデータ領域に符号化選択信号を記述する。
【0106】
そして、VLCテーブル選択器13からはCPU16aより供給される符号化選択信号に基づいたVLCテーブルがVLC器121に供給される。そして、入力画像データはCPU16aから供給される符号化選択信号に基づいて圧縮符号化がなされると共に、その圧縮符号化のなされた信号のユーザデータ領域には符号化選択信号が記述された符号化データとして画像信号符号化装置10aより出力される。
【0107】
次に、そのユーザデータ記述領域への符号化選択信号の記述について述べる。
図4に、符号化データにおけるシーケンスヘッダの記述フォーマット示し、説明する。
【0108】
同図において、シーケンスヘッダの記述シンタックスを示している。そのシーケンスヘッダには32ビットのシーケンスヘッダコードに続いて12ビットの水平方向の画像サイズ、及び12ビットの垂直方向画像サイズの順に記述される。
そして、網点を付したnextbits() == user_data_start_code以降のUser_dataの個所にユーザデータを記述することが出来る。
【0109】
そして、ユーザデータはGOPレイヤにも記述が可能である。
図5に、符号化データのGOPレイヤにおける記述フォーマットを示す。
同図におけるユーザデータの記述個所は、前述の図4と同様に網点を付して示してある。即ち、nextbits( ) == user_data_start_code以降のUser_dataの個所に上記と同様なユーザデータの記述を行なえる。
【0110】
そのようなユーザデータはピクチャレイヤにおいても同様な記述ができる。
図6に、符号化データにおけるピクチャレイヤの記述フォーマットを示す。同様に網点を付して示してある個所にユーザデータを記述できる。
【0111】
これらのようにして、MPEGにおけるユーザデータの記述はシーケンスヘッダ、GOPレイヤ、及びピクチャレイヤのそれぞれの領域に可能である。そして、user_data記述領域には他の異なる内容のuser_dataが記述されることもあるので、VLCテーブルの切り替え信号である符号化選択信号を記述するときには、例えば16進表示による「ffee2424」などの32ビットのヘッダ信号に続けて記述する。
【0112】
即ち、そのヘッダ信号に続いて2進数表示による「0」又は「1」などのVLCテーブルを選択するための1ビットの信号を記述する。又は、バイトアラインした8ビットの信号によりVLCテーブル選択情報を記述するようにする。
【0113】
そのようにして、ユーザデータ領域に符号化選択信号を記述する。そして、符号化装置はその符号化選択信号が選択する方のVLCテーブルを用いて圧縮符号化を行った符号化データを生成する。次に、そのようにして生成された符号化データの復号化について述べる。
【0114】
図7は、その符号化データの復号化方法を搭載した第2の実施例による画像信号復号化装置の構成であり、以下図と共に説明する。
同図に示す画像信号復号化装置20aは、MPEGデコーダ22a、VLCテーブル選択器23、標準VLCテーブル24、及び特別VLCテーブル25より構成される。そして、MPEGデコーダ22aにはVLC復号器221及びユーザデータ復号器222が含まれている。同図において、前述の第1の実施例と同じ機能を有するブロックには同一の符号を付してある。また本図以降に示す図においても、特に記述する以外は同一番号が付されるものは同一の機能を有するブロックを示す。
【0115】
次に、その様に構成される画像信号復号化装置20aの動作について述べる。
まず、画像信号符号化装置10aで圧縮符号化のなされた符号化データはMPEGデコーダ22aに供給される。ここでは、MPEG方式により圧縮符号化された信号は、VLC復号器221に一時記憶されるVLCテーブルの値が用いられて復号化される。
【0116】
そして、その復号化は前述の図3に示したユーザデータ記述器122により記述されたユーザデータがユーザデータ復号器222により復号されて符号化選択信号が得られ、その符号化選択信号が用いられて符号化データの復号化動作が行われる。
【0117】
即ち、ユーザデータ復号器222で得られた符号化選択信号はVLCテーブル選択器23に供給される。そのVLCテーブル選択器23では、CPU16aより供給された符号化選択信号に基づいて、標準VLCテーブル24、及び特別VLCテーブル25に格納されるいずれか一方のVLCテーブルの値が選択される。そして、選択されたVLCテーブルはVLC復号器221に供給され、そこに一時記憶される。
【0118】
そのVLCテーブル221に一時記憶されたVLCテーブルが用いられて、MPEGデコーダ22aでは供給される符号化データの復号化がなされる。そのようして、復号化して得られる画像信号は、前述のMPEGエンコーダ12aのVLC器121に一時記憶されるVLCテーブルと同一のVLCテーブルが用いられて復号化されるため、品質劣化の生じない復号化画像信号として得られるようになされている。
【0119】
以上述べた様にして、第2の実施例における画像信号符号化装置10aと画像信号復号化装置20aとは、例えばMPEG標準に規定されるユーザデータ記述領域に記述される符号化選択信号を基にして選定される方のVLCテーブルが用いられて圧縮符号化、及び圧縮符号化がなされるため、品質の高い画像信号の符号化及び復号化がなされる。
【0120】
以上、ユーザデータ記述領域に符号化選択信号を記述して伝送する第2の実施例による画像信号符号化装置及び画像信号復号化装置の構成と、それらの装置の動作について述べた。
次に、符号化選択信号を、例えばMPEG標準で規定される量子化値を用いて埋め込まれた電子透かしデータを用いて伝送する場合の第3の実施例について述べる。
【0121】
<第3実施例>
図8に、その画像信号の符号化方法を搭載した第3の実施例による画像信号符号化装置の構成を示し、図を参照して説明する。
同図に示す画像信号符号化装置10bは、MPEGエンコーダ12b、VLCテーブル選択器13、標準VLCテーブル14、特別VLCテーブル15、及びCPU16bより構成される。そして、MPEGエンコーダ12bにはVLC器121及び量子化値電子透かし情報記述器123が含まれている。
【0122】
次に、その画像信号符号化装置10bの動作について、第1の実施例と異なってなされる動作を主に述べる。
まず、CPU16bから供給される符号化選択信号はMPEGエンコーダ12bの量子化値電子透かし情報記述器123に供給される。そこでは、符号化選択信号に係る情報が電子透かし情報としてDCT変換されて得られる入力画像の量子化値として記述される。
【0123】
そして、VLCテーブル選択器13からはCPU16bより供給される符号化選択信号に基づいたVLCテーブルが選択され、選択されたVLCテーブルはVLC器121に供給される。そして、量子化値電子透かし情報記述器123により符号化選択信号が記述されて埋め込まれた入力画像データは、VLC器121に格納されるVLCテーブルが用いられて可変長符号化がなされる。そのようにして圧縮符号化のなされた符号化データは画像信号符号化装置10bより出力される。
【0124】
次に、その量子化値電子透かし情報記述器123により、埋め込まれるようにして記述される電子透かしの動作について述べる。
図9に、DCT変換により得られる量子化値に、電子透かし情報を記述する場合の例について示す。
【0125】
同図において、大きな四角形により画像全体が示されている。そして、その中に示される小さな四角は画像の縦横各々16画素ずつであるマクロブロックを示す。また、その中に示す数字はマクロブロックのデータを量子化するときに用いられる量子化値の例である。
【0126】
ここでは、MPEG標準により規定される、マクロブロック1つにつき1つ設定される量子化スケールの値が例えば奇数のときは「1」の情報を、偶数のときには「0」であるというようにして電子透かし情報を埋め込む。即ち、マクロブロックの量子化値の奇数、偶数により「0」、「1」のデータを、マクロブロックの個数分のデータとして埋め込むことができる。
【0127】
そのマクロブロックの量子化値は1〜31の値(5ビット)で表現されることがMPEG標準により規定されている。そして、意図的に奇数ないしは偶数である所定の量子化値にすることにより、最適符号化時の値に対して1異なる値を用いて圧縮符号化を行う場合であっても、その符号化データを復号化して得られる復号画像は視覚的に画質劣化の遜色ない画像が得られることが実験により確認されている。
【0128】
そのようにして、量子化値電子透かし情報記述器123により埋め込まれる情報を用いることによリ、1ビットで伝送可能な符号化選択信号は最初に伝送されるマクロブロック1つのみを用いて伝送するようにしても良い。更には、特定のアドレスのマクロブロックを1つ、もしくは繰り返して複数のマクロブロックを用いて同一のデータを伝送するようにしてもよい。
【0129】
以上のようにして、量子化値電子透かし情報記述器123により符号化選択信号を埋め込むようにして符号化する第3の実施例の画像信号符号化装置の構成と動作について述べた。
次に、そのようにして生成された符号化データの復号化について述べる。
【0130】
図10に、第3の実施例の画像信号符号化装置により符号化された符号化データの復号化を行う第3の実施例の画像信号復号化装置の構成例を示し、図を参照して説明する。
同図に示す画像信号復号化装置20bは、MPEGデコーダ22b、VLCテーブル選択器23、標準VLCテーブル24、及び特別VLCテーブル25より構成される。そして、MPEGデコーダ22bにはVLC復号器221及び量子化値電子透かし情報検出器223が含まれている。
【0131】
次に、その様に構成される画像信号復号化装置20bの動作について、第1の実施例の復号化装置20と異なってなされる動作を主に述べる。
まず、画像信号符号化装置10bで圧縮符号化のなされた符号化データはMPEGデコーダ22bに供給される。そこで、MPEG方式により圧縮符号化のなされた信号は、VLC復号器221に一時記憶されているVLCテーブルの値が用いられて復号化される。
【0132】
そして、そこで復号化されて得られる量子化値情報の一部は逆量子化され、及び逆DCT変換されて画像データが得られる。また、他の一部は量子化値電子透かし情報検出器223に供給される。そこでは、量子化値電子透かし情報記述器123で記述された情報が検出されることにより、符号化選択信号が得られる。
【0133】
その得られた符号化選択信号はVLCテーブル選択器23に供給される。そして、そのVLCテーブル選択器23では、供給された符号化選択信号、即ちCPU16bより出力された符号化選択信号に基づいて、標準VLCテーブル24、又は特別VLCテーブル25に格納される方のVLCテーブルの値が選択される。その選択されたVLCテーブル値はVLC復号器221に供給され、そのVLCテーブル値はVLC復号器221に一時記憶される。
【0134】
以上、マクロブロックごとの量子化値を奇数、及び偶数とすることにより符号化選択信号を記述して伝送する第3の実施例による画像信号符号化装置、及びその装置により伝送された符号化データを復号化する画像信号復号化装置の構成と、それらの装置の動作について述べた。
【0135】
<第4実施例>
次に、符号化選択信号をMPEG標準で規定される動きベクトルのベクトル値に符号化選択信号を電子透かしデータとして埋め込んで伝送する第4の実施例について述べる。
【0136】
図11は、その画像信号の符号化方法を搭載した第4の実施例による画像信号符号化装置の構成であり、以下図と共に説明する。
同図に示す画像信号符号化装置10cは、MPEGエンコーダ12c、VLCテーブル選択器13、標準VLCテーブル14、特別VLCテーブル15、及びCPU16cより構成される。そして、MPEGエンコーダ12cにはVLC器121及び動ベクトル電子透かし情報記述器124が含まれる。
【0137】
次に、その様に構成される画像信号符号化装置10cの動作について、第1の実施例による動作と異なる動作を主に述べる。
即ち、画像信号符号化装置10cではCPU16cから供給される符号化選択信号がMPEGエンコーダ12cの動ベクトル電子透かし情報記述器124に供給される。そして、そこで符号化選択信号に係る情報は、電子透かし情報として動き予測符号化における動ベクトル値として記述される。
【0138】
そして、VLCテーブル選択器13ではCPU16cより供給される符号化選択信号に基づいてVLCテーブルが選択され、そのVLCテーブルはVLC器121に供給される。また、動ベクトル電子透かし情報記述器124では符号化選択信号が記述されて埋め込まれた動きベクトル信号が生成される。そして、DCT変換された入力録画像データの量子化値はVLC器121に格納されるVLCテーブルにより可変長符号化がなされ、符号化データが生成される。そのようにして生成された動ベクトル信号と符号化データとは画像信号符号化装置10cより出力される。
【0139】
次に、その動ベクトル電子透かし情報記述器124により埋め込まれるようにして記述される電子透かしの動作について述べる。
図12に、動き予測検出により得られた動ベクトルに、電子透かし情報を記述する場合の例について示す。
【0140】
同図において、大きな四角形により画像全体が示されている。その中に示される小さな四角は画像の縦横各々16画素ずつであるマクロブロックであり、その中に示す数字はマクロブロックデータの水平方向の動き補償ベクトル量を画素単位の動ベクトル値である。
【0141】
ここでは、MPEG標準により規定される、マクロブロック1つにつき1つの設定される動きベクトル値が、例えば奇数のときは「1」の埋め込み情報を、偶数のときには「0」であるというようにして、0及び1の情報を埋め込む。即ち、マクロブロックの動ベクトル値の奇数、及び偶数により「0」、「1」のデータを、マクロブロックの個数分のデータとして埋め込むようにして電子透かし情報を記述する。
【0142】
このマクロブロックの動ベクトル値は0.5画素精度で基本的には±16の値(VLC)で表現されることが、例えばMPEG標準で規定されている。そのような、意図的に奇数又は偶数によりベクトル値を設定するような場合、即ち所定の動ベクトル値に対して1異なる値を用いて圧縮符号化を行う場合であっても、そのベクトル値を基に符号化データを復号化して得られる復号画像は視覚的に遜色のない画質で得られることが実験により確認されている。
【0143】
そのようにして、動ベクトル電子透かし情報記述器124により埋め込まれる情報を用いることによリ、1ビットで伝送可能な符号化選択信号は最初に伝送されるマクロブロック1つのみを用いて伝送するようにしても良い。更には、特定のアドレスのマクロブロックを1つ、もしくは繰り返して複数のマクロブロックを用いて同一のデータを伝送するようにしても良い。
【0144】
以上、動ベクトル電子透かし情報記述器により符号化選択信号を埋め込むようにして符号化する第4の実施例の画像信号符号化装置の構成と動作について述べた。
次に、そのようにして生成された符号化データの復号化について述べる。
【0145】
図13に、第4の実施例の画像信号符号化装置により符号化された符号化データの復号化を行う、第4の実施例の画像信号復号化装置の構成例を示し、以下図と共に説明する。
同図に示す画像信号復号化装置20cは、MPEGデコーダ22c、VLCテーブル選択器23、標準VLCテーブル24、及び特別VLCテーブル25より構成される。そして、MPEGデコーダ22cにはVLC復号器221及び動ベクトル電子透かし情報検出器224が含まれている。
【0146】
次に、その画像信号復号化装置の動作について述べる。
まず、画像信号符号化装置10cで圧縮符号化のなされた動ベクトル情報を含む符号化データはMPEGデコーダ22cに供給される。
【0147】
そして、動ベクトル情報は動ベクトル電子透かし情報検出器224に供給されて、動ベクトルに埋め込まれている符号化選択信号が検出される。その検出された符号化選択信号はVLCテーブル選択器23に供給されると共に、伝送された動ベクトル情報が用いられてMPEG方式により圧縮符号化された信号は復号化されて画像信号が得られ、その得られた出力画像は画像信号復号化装置20cより出力される。
【0148】
以上、第1〜第4の実施例を示して述べたように、符号化選択信号は画像信号のデータに電子透かし情報として埋め込む方法、所定のユーザデータ記述領域に記述する方法、量子化値電子透かし情報として埋め込む方法、ないしは動ベクトル電子透かし情報として埋め込む方法などにより、伝送が可能である。
【0149】
そして、その伝送方法は上記の4つの方法のうち、1つの方法により伝送する方法、複数の方法を用いて同時に伝送する方法などがある。さらには、例えばユーザデータにより符号化選択信号情報が伝送されている情報を記述して伝送するようにし、符号化選択信号の値は電子透かし情報により伝送するような方法によっても良い。
【0150】
そのようにして、符号化選択信号は画像信号符号化装置から画像信号復号化装置に伝送が可能である。
次に、その符号化選択信号により切り替えられるVLCテーブルについて述べる。
【0151】
図14に、MPEG標準規格で規定される標準VLCテーブルを示す。
同図において、VLCコードに対するラン長とレベルの関係が示されている。即ちこの表は、「−31」から「+31」の6ビットの数により示されるデータ列を符号化して伝送するための可変長符号化テーブルである。そして、特にそのデータ列に「0」の値が多く含まれるときに連続する「0」の個数をラン長とし、連続する「0」に続けて伝送される値をレベルとする。そして、その連続する「0」の個数とそれに続けて伝送されるレベルの値に応じてVLCコードが割り当てられている。
【0152】
そのようにしてVLCコードが割り当てられるテーブルは通常のMPEGデコーダに格納されており、そのテーブルは通常のMPEG方式により符号化されたビットストリームを復号するために用いられる。
【0153】
ところで、本実施例に示す画像信号符号化装置は、著作権者が通常の画像信号復号化装置に対しては多少劣化した再生画像として再生されるようにすると共に、契約関係にあるなど、特別な画像信号復号装置に対しては劣化のない高品質な画像が再生されるように特別VLCテーブルを用いて圧縮符号化を行うものである。
【0154】
次に、その特別VLCテーブルについて述べる。
図15、及び図16に、本実施例で使用する特別VLCテーブルの例を示す。
これらの図におけるVLCテーブルは、1つの特別VLCテーブルを2つに分割して示したものである。
【0155】
即ち、このテーブルは定義されるVLCコードに対して、データ「0」の連続する長さを示すラン長と、その連続する「0」の後に配置されるデータの値であるレベルを規定したものである。そして、右側の欄には入れ替えアドレスを示している。
【0156】
そして、入れ替えアドレスとしてはA1〜A38、B1〜B5、及びC1〜C2が記載されている。そして、そこに示したテーブルの値をそのまま使用する場合には標準VLCテーブルを使用する符号化がなされる。また、入れ替えアドレス値が同一である個所のアドレスを入れ替えることにより、特別VLCテーブルを作成することができる。
【0157】
次に、そのアドレスの入れ替え操作について述べる。
同テーブルの入れ替えアドレスの欄に示すA、B、及びCのグループは、それぞれVLCのカテゴリーを示している。そして、そのカテゴリーはラン長の値に基づいてグループ分けしたものである。
【0158】
即ち、Aはラン長が0、Bはラン長が1、Cはラン長が2である場合のカテゴリー分けを示している。ここでは、VLCテーブルの一部のみを表示しているが、表示されていないラン長のグループ分けも同様にして行う。
【0159】
そして、特別VLCテーブルにおけるVLCコードを指定するアドレス値の入れ替えは、カテゴリーが同一である、即ちラン長の値が同一であるVLCコードの間で読み替えを行うようにする。
【0160】
そのラン長が同一のVLCコード同士で読み替えを行うのは、MPEGのように直交変換して得られる係数値を例えばジグザグスキャンして得られる係数値データを、可変長符号化して行うような圧縮符号化方式において、データの個数、及び配置を一定に保ったまま行う変更として重要である。
【0161】
即ち、MPEGのDCTブロック内のDCT係数のランレングスの総計は、イントラピクチャーにおいては63、インターピクチャーにおいては64を超えてはならない。従ってVLCがハフマンコード体系に従っている場合であっても、読み替えにより63や64の数を超えてしまうと、その符号化信号の復号時に不条理なエラー生じ、復号化が出来ないとされ、復号化された画像が破綻してしまうからである。
【0162】
従って、読み替え対象となるVLC同士は、同じカテゴリー同士で読み替える必要があり、ここに示した例では「ラン長が同じである」という、それぞれが同じカテゴリーとして示されるA、B、及びCの中の同じ記号同士での読み替えがなされる。例えば、A2とA3とは読み替えが可能であるが、A2とB2との読み替えはできない。
【0163】
以上の様にして、入れ替えアドレスがA1〜A38、B1〜B5、C1〜C2のそれぞれのグループ内で読み替えを行うことにより、標準VLCテーブルを基にした特別VLCテーブルの作成が可能である。
【0164】
そして、通常の画像を符号化するときに多く生じるラン長とレベル値の組み合わせによるVLCコードのなかで、レベル値が大きく違うもの同士で入れ替える場合は、所定の度合いで劣化した半開示画像が復号化されて得られる。即ち、ここで呼ぶ半開示画像は、画像信号をアナログ記録したときに歪を伴って再生されるような劣化して表示される画像を指している。
【0165】
例えば、A1とA4、A2とA3のそれぞれを読み替える場合、適度に劣化した半開示画像が得られる。また、B1とB5、B2とB4、C1とC2の読み替えによっても同様である。さらに、それらのような入れ替えに係る組み合わせを32から64種類の読み替え規則として作成し、その識別信号を、読替え規則として使用することにより所望の半開示状態の画質で復号化されるようにすることも可能である。
【0166】
以上、入れ替えアドレスを基にVLCコードの入れ替えを行う方法について述べた。そして、上述のラン長が同じ値のもの同士であるVLCコードの事象はMPEGの規格に設定されたもの同士で定めている。従って、特別VLCコードを搭載する特別復号器は、従来の標準復号器との間で互換性が確保された動作が行われる。
【0167】
そして、VLCコードの入れ替えは同一ラン長に対してレベル値の異なるレベル値のコードに入れ替えを行うため、特別VLCテーブルを用いて符号化した符号化データを標準VLCテーブルのみしか搭載しない標準復号器により復号したときには、画像信号の高周波信号レベルの低下、もしくは向上、低周波信号レベルの低下、もしくは向上などによる解像度の変えられた画像が再生されることになる。
【0168】
次に、そのような画像解像度の変化について述べる。
図17に、符号化器で圧縮符号化した符号化データを復号化器で復号して得られる画像信号の質について、従来の標準VLCテーブルを用いた従来器と、特別VLCテーブル及び標準VLCテーブルの両者を搭載する特別器との間での符号化及び復号化の関係を示す。
【0169】
同図において、各々の4つの組合わせによる再生画像の品質を示しており、○印は高品質な画像が再生され、また△印は多少劣化した画像として再生されることを示している。
【0170】
即ち、特別器で符号化して、従来器で復号化したときにのみ画質が低下した画像信号が出力されており、特別器で符号化して特別器で復号化したときには、高品質な画像が再生され、またそれ以外の従来型の符号化器との互換性も確保されていることが示されている。
【0171】
そのようにして、互換性の確保される範囲内で再生される画質に差を与えることができるため、画像信号の著作権を保有する者の側の意志により、従来型の復号化器と特別型の復号器に対して異なる画質による画像データの提供が可能となる。そして、そのための画像信号符号化装置における符号化選択信号の発生、符号化制御信号の符号化データへの埋め込み、画像信号復号化装置における符号化選択信号の取得、及び符号化データの復号は、コンピュータによる信号の演算処理により、及びコンピュータによる回路部の制御によりそれらの動作がなされる。
【0172】
次に、それらの信号処理を、コンピュータをプログラムにより実行させて行う方法について述べる。
図18に、画像信号符号化に係り実行されるコンピュータプログラムの流れをフローチャートにより示す。
【0173】
同図において、S11のステップで従来型の復号化器と特別型の復号化器に対して異なる画質による画像データの再生がなされるような画像信号の特別処理を行うか否かがチェックされ、特別処理が行なわれる場合にはS12においてコンピュータより符号化制御信号が発生される。
【0174】
その発生された符号化制御信号はVLCテーブル選択器に供給され、S14においてVLCテーブル選択器は特別VLCテーブルを取得する。そして、S15で取得した特別VLCテーブルをMPEGエンコーダのVLC器にロードし、S16で符号化制御信号を画像信号復号化装置に伝送すための伝送用符号化制御信号が生成される。
【0175】
その伝送用符号化制御信号は、画像信号データに電子透かし情報として埋め込む方法、所定のユーザデータ記述領域に記述する方法、量子化値電子透かし情報として埋め込む方法、ないしは動ベクトル電子透かし情報として埋め込む方法により生成される。
【0176】
そして、その生成された伝送用符号化制御信号は符号化された画像データと共に伝送される。また、その画像データの符号化を行うためのVLCテーブルが特別VLCテーブルとされたMPEGエンコーダにより、S17において供給される画像信号がDCT変換されて量子化数データが得られる。次に、その得られた量子化数データは特別VLCテーブルが用いられて可変長符号化がなされて符号化データとして生成される。
【0177】
そのような伝送用符号化信号の生成と画像データの符号化とは、符号化に係る画像データの供給が終了されるまで、S16及びS17の動作が繰り返して実行される。
【0178】
そのようにして符号化されて得られた符号化データは画像信号復号化装置により復号化がなされる。次に、画像信号復号化装置を動作させるコンピュータプログラムについて述べる。
【0179】
図19に、画像信号復号化に係り実行されるコンピュータプログラムの流れをフローチャートにより示す。
同図において、S21で供給される符号化データに符号化制御信号の情報が伝送されているか否かがチェックされ、符号化制御信号が付されて伝送されているときにはS22により符号化データに埋め込まれて伝送される符号化制御信号は復号化されるようにして読み出される。
【0180】
その読み出された制御信号はVLCテーブル選択器に供給されて、S23において特別VLCテーブルが取得され、取得された特別VLCテーブルはS24でMPEGデコーダのVLC復号器にロードされる。
【0181】
そして、MPEGデコーダではロードされたVLCテーブルを基に可変長復号化などがなされ、供給される符号化データを復号した画像データが得られる。また、その得られた画像データは画像信号復号化装置より出力信号として供給されるが、そのS25とS26の動作は供給される符号化信号の供給が終了するまで実行される。
【0182】
以上詳述した様にして、画像信号の符号化側で、標準VLCテーブルを有する復号化装置と、特別VLCテーブルを有する復号化装置側とで異なる画質による再生映像を供給しようとするときは、その特別VLCテーブルの使用に係る情報を画像信号データに電子透かし情報として埋め込む、所定のユーザデータ記述領域に記述する、量子化値電子透かし情報として埋め込む、ないしは動ベクトル電子透かし情報として埋め込むなどの方法により行うことができる。
【0183】
以上、第1〜第4の実施例による画像信号符号化装置及び画像信号復号化装置の構成と、動作について述べた。
次に、それらの画像信号符号化装置及び画像信号復号化装置を伝送装置及び受信装置に応用する場合の例について述べる。
【0184】
<第5実施例>
図20は、第5の実施例による画像信号符号化伝送(送信)装置の構成であり、以下図と共に説明する。
【0185】
同図に示す画像信号符号化送信装置10dは、前述の図1に示した第1の実施例による画像信号符号化装置の構成に比し、伝送路パケット符号器17及び伝送路インタフェース18がMPEGエンコーダ12の出力の後に配置されている点で異なっている。そして、同一機能を有するブロックには同一の符号を付してある。
【0186】
次に、そのように構成される画像信号符号化送信装置10dの動作について、第1の実施例と異なる点について述べる。
即ち、VLCテーブル切り換え用信号である符号化選択信号が電子透かし情報として埋め込まれ、MPEGエンコーダ12により圧縮符号化されて得られる圧縮符号化信号は伝送路パケット符号化器17に供給される。
【0187】
そこでは、その圧縮符号化信号を、例えばMPEGシステムで規定されるようなビットストリームをオーディオ、ビデオなどの情報ごとにパケット化して伝送路に供給するための多重化処理がなされる。その多重化処理のなされた符号化パケットデータは伝送路インタフェース18を介して、画像信号符号化送信装置10dから通信ネットワークに出力される。そして、伝送された多重化信号は画像信号復号化受信装置により受信される。
【0188】
図21に、第5の実施例による画像信号復号化受信装置の構成を示し、以下図と共に説明する。
同図に示す画像信号復号化受信装置20dは、前述の図2に示した第1の実施例による画像信号復号化装置に比し、入力端子とMPEGデコーダ22の間に伝送路パケット復号化器27が配置されている点で異なっている。そして、同一機能を有するブロックには同一の符号を付してある。
【0189】
次に、そのように構成される画像信号復号化受信装置20dの動作について、第1の実施例と異なる点について述べる。
即ち、通信ネットワークより伝送路インタフェース28を介して受信されるパケット化された圧縮符号化信号(符号化パケットデータ)は伝送路パケット復号化器27に供給される。
【0190】
そこでは、上記の伝送路パケット符号化器17によりパケット化がなされて伝送されたパケット化と相補的な処理がなされ、圧縮符号化信号が得られる。その圧縮符号化信号はMPEGデコーダ22に供給され、前述と同様にして復号処理がなされる。そして、その復号化されて得られた画像信号は出力画像として出力される。
【0191】
以上、第5の実施例による画像信号符号化送信装置及び画像信号復号化受信装置の構成と、その動作について述べた。そして、それらの動作はコンピュータプログラムにより制御して実行するようにしても良い。
【0192】
図22に、第5の実施例による画像信号符号化送信に係り実行されるコンピュータプログラムの流れをフローチャートにより示す。
同図において、前述の図18に示したフローチャートと同一の動作を行う部分には同一の符号を付してある。次に、第4の実施例で述べたのと異なる動作部分について述べる。
【0193】
即ち、S17の画像データの符号化の次の動作が、S31による符号化データのパケット化に係る処理動作であり、その次にS32によりパケット化処理が終了したかをチェックする動作がなされる点で異なっている。
【0194】
そして、そのS31における符号化データのパケット化は、前述の図20における伝送路パケット符号化器17でなされる、例えばオーディオビデオ多重化ビットストリームの生成動作である。そして、生成されたビットストリームは通信ネットワークに供給されて伝送される。また、必要に応じて伝送路で伝送するための、その伝送路において規定される伝送条件に従う、伝送路特有のパケット化処理もなされる。
【0195】
そして、生成された伝送用符号化信号の生成と画像データの符号化は、S32において符号化された画像データのパケット化が終了するまでS16、S17、及びS31の動作が繰り返して実行される。
【0196】
そのようにして符号化及びパケット化がなされて得られた符号化パケットデータは、画像信号符号化送信装置10dより通信ネットワークに送出される。そして、そのデータは画像信号復号化受信装置20dにより受信されて復号化される。
次に、第5の実施例として示した画像信号の受信及び復号化の動作について述べる。
【0197】
図23に、第5の実施例による画像信号復号化受信に係り実行されるコンピュータプログラムの動作をフローチャートにより示す。
同図において、前述の図19に示したフローチャートと同一の動作を行う部分には同一の符号を付してある。次に、動作の異なる部分について述べる。
【0198】
即ち、S24のVLC器へのロードの次の動作は、S41による復号化データのパケット復号化の動作であり、その復号化されて得られるデータがS25の符号化データの復号化に渡される点で異なっている。
【0199】
即ち、そのS41における復号化データのパケット復号化は、前述の図21における伝送路パケット復号化器27でなされる動作であり、そこでは多重化されて伝送されたビットストリームには前述の図20における伝送路パケット符号化器17と相補的な信号処理動作がなされる。
【0200】
そのようにして、パケット復号化された信号はS25の符号化データの復号化に渡されて次の処理がなされる。そして、それらの信号処理はS27の画像復号化を終了したかで、Yesとして判定されるまでS41、S25、S26、及びS27の動作が繰り返して実行される。
以上、第5の実施例による画像信号符号化送信装置及び画像信号復号化受信装置のコンピュータプログラムにより制御されて、実行される動作について述べた。
【0201】
以上詳述した様に、符号化送信装置側で特別VLCテーブルを用いて符号化した画像信号の復号化を、標準VLCテーブルのみを有する復号化受信装置と、標準VLCテーブル及び特別VLCテーブルを有し、切り替えて用いる復号化受信装置とを、用いて構成することにより、異なる所望の画質により再生できる復号化受信装置として実現することができる。
【0202】
そして、その特別VLCテーブルの使用に係る情報を画像信号データに電子透かし情報として埋め込む、所定のユーザデータ記述領域に記述する、量子化値電子透かし情報として埋め込む、ないしは動ベクトル電子透かし情報として埋め込むなどの方法により伝送する。
【0203】
また、そのように伝送された圧縮符号化信号の復号化は、符号化信号を伝送するための規格であるMPEGにより規定されるシンタックスから、伝送されたVLCテーブル制御信号を検出し、その検出されたVLCテーブル制御信号を基に符号化に用いられたVLCテーブルを検出する。そして、その検出されたテーブルを用いて復号化することにより、所望の劣化度を有する画像信号が得られるようにする。
【0204】
また、その切り替えて用いられるVLCテーブルのVLCコードは、例えば国際標準であり一般的に用いられるMPEG規格で規定されるVLCコード体系に存在するコードを用いて構成するようにし、特別VLCテーブルを用いて符号化した信号と標準VLCテーブルを用いて符号化した信号との間での信号の交換性を所定の範囲内に保つようにする。それにより、広い市場で普及のなされるMPEG規格に準拠した装置との間での信号の交換性を確保して構成することを可能とするものである。
【0205】
さらにまた、特別VLCコードの使用に係る情報は、例えばMPEGで規定されたユーザーデータ、画像に混入された電子透かしデータ、量子化値を用いて混入された電子透かしデータ、及び動きベクトル値を用いるなどにより埋め込まれた電子透かしデータのうち、少なくともいずれか1つを、又必要に応じて複数を用いて伝送するようにしているため、所望の符号化対象のコンテンツに対して複数のセキュリティレベルを設定して行う画像信号の符号化方法を実現できている。
【0206】
以上、符号化方式として動画信号の符号化を、標準VLCテーブルの代りに特別VLCテーブルを用いて行うMPEG2ビデオの圧縮符号化方式を例として述べた。
次に、同様な標準VLCテーブル及び特別VLCテーブルを用いて行う音響信号の圧縮符号化、及び符号化されて供給される符号化データの復号化について述べる。
【0207】
最初に、代表的な音響信号の圧縮符号化方式であるMPEG−2 AAC(Advanced Audio Coding)方式におけるオーディオ信号の符号化、及び復号化について述べる。
【0208】
<第6実施例>
図24に、第6の実施例によるオーディオ信号符号化装置(以下、単に符号化装置と記すこともある。)の構成を示し、以下図と共に説明する。
【0209】
同図に示すオーディオ信号符号化装置430は、MPEG−2 AACエンコーダ431、ハフマンコードブック選択器432、スケールファクタ用標準ハフマンコードブック433、スケールファクタ用特別ハフマンコードブック434、及びCPU435より構成される。そして、MPEG−2 AACエンコーダ431にはハフマンコードブックを使って可変長符号化を行う可変長符号化器436が含まれている。
【0210】
そして、MPEG−2 AACエンコーダ431は従来と同様に構成されるが、可変長符号化器436には従来から用いられている標準VLCテーブルの外に、特別VLCテーブルを用いて可変長符号化を行うための制御信号が入力されている点で異なっている。
なお、ここで、ハフマンコード符号化はVLC符号化に含まれる符号化方式であり、ハフマンコードブックはそのために用いられる符号化テーブルである。従って、ハフマンコードブックの概念は広義のVLCテーブルに含まれることになる。
【0211】
次に、その様に構成されるオーディオ信号符号化装置430の動作について述べる。
まず、符号化対象のオーディオ信号がMPEG−2 AACエンコーダ431に入力されると共に、外部切換信号がCPU435に入力される。そのCPU435では、供給される外部切換信号を基にハフマンコードブックを切り換えるための符号化選択信号を発生する。
【0212】
その符号化選択信号は、CPU435において供給される外部切換信号を初期値として、例えば擬似乱数を用いるなどにより、外部切換信号を何らかの暗号処理を施された暗号として発生される。そして、その発生された外部切換信号を解読することによってハフマンコードブック切り換え用信号である符号化選択信号が出力される。
【0213】
そして、CPU435からハフマンコードブック切り換え用信号である符号化選択信号がハフマンコードブック選択器432に供給される。そのCPU435から供給された符号化選択信号は、例えば「0」の場合にはスケールファクタ用標準ハフマンコードブックを選択して符号化し、又「1」のときにはスケールファクタ用特別ハフマンコードブックを選択して符号化するように設定される。
【0214】
即ち、ハフマンコードブック選択器432ではスケールファクタ用標準ハフマンコードブック433、及びスケールファクタ用特別ハフマンコードブック434から供給されるハフマンコードブックのうち、符号化選択信号により選択される方のハフマンコードブックが可変長符号化器436に供給される。
【0215】
そして、MPEG−2 AACエンコーダ431では、供給されるオーディオ信号は可変長符号化器436に一時記憶されたハフマンコードブックを基にした可変長符号化が行われる。
次に、スケールファクタ用のハフマンコードブックについて説明する。
【0216】
図25に、スケールファクタバンド(Sfb)におけるスケールファクタを求める場合の例を示す。
同図において、上側に、0から(N−1)までのN個のスケールファクタバンドにおけるスケールファクタを示す。下側にはそれらのスケールファクタバンドに対するインデックス値を示している。
【0217】
即ち、供給されるオーディオ信号は、FFTにより聴覚心理分析した結果、及びMDCT(Modified Discrete Cosine Transform)変換して求められた係数値データを基にスケールファクタが算出される。そして、そのスケールファクタの差分値が求められる。即ち、k番目のSfbから(k−1)番目のSfbが減算され、差分値を求められる。次に、そのオフセット値に60を加算した値を用いて、スケールファクタ用のハフマンコードブックに対応する値(以後インデックスと呼ぶ)が読み出されるようにして可変長符号化がなされる。
【0218】
そして、スケールファクタ用のハフマンコードブックは、インデックスが60の場合スケールファクタの差分値が0であることを示し、差分値の絶対値が大きくなるにつれて発生頻度が低くなることを利用して作成されている。
【0219】
図26に、MPEG−2 AAC符号化方式で用いられるスケールファクタ用のハフマンコードブックの一部を表により示す。
そして、この表に示されるスケールファクタ用のハフマンコードブックをスケールファクタ用標準ハフマンコードブック433として用いる。また、スケールファクタ用特別ハフマンコードブック434は、スケールファクタ用標準ハフマンコードブック433のインデックスを入れ替えて作成する。
【0220】
図27に、インデックスの入れ替え方法を例示する。
同図において、左側の表は標準ハフマンコードブックの一部と、その入れ替え方法を示す。そして、右側の表は入れ替えて作成した特別ハフマンコードブックの一部である。
【0221】
即ち、その入れ替えは、同表においてインデックス60より大きなインデックスと、それより小さなインデックスとにおいて、コードワードの長さが同じ箇所同士で行う。例えば、コードワードの長さが6であるインデックス56,55とインデックス64,65のそれぞれを入れ替えたものを特別ハフマンコードブックとする。
【0222】
図28に、上記のハフマンコードブックを用いたスケールファクタの可変長符号化の例を示す。
同図において、▲1▼sfb0からsfb4のスケールファクタをそれぞれ10,15,19,14,10とする。そして、▲2▼全体の量子化ステップを30とするとき、可変長符号化を行う際に隣接するsfbとの間の差分値−20、5、4、−5、−4を得る。
【0223】
次に、▲3▼オフセット値60を加算処理し、各sfbは40,65,64,55,56のインデックス値として計算される。なおここで、先頭のsfb0に対しては一つ前のsfbが存在しないため、全体の量子化ステップ値30に対する差分計算を行っている。
【0224】
そして、前述の図26に示す標準ハフマンコードブックを用いてコードワードを得るときにはff9、3b、39、3a、38が得られる。しかし、ここで用いるハフマンコードブックはコードワードの入れ替えられた特別ハフマンコードブックであるため、▲4▼に示すコードワードff9、3a、38、3b、39が得られる。そして、それらの得られたデータが用いられてビットストリームが生成される。
【0225】
次に、その生成されて伝送されたビットストリームを復号化する。そして、通常の復号化器ではMPEG−2 AAC符号化方式の標準ハフマンコードブックしか有していないときには、可変長復号化して、▲5▼各sfbのインデックスは40,55,56,65,64として得られる。
【0226】
次に、▲6▼それらのデータよりオフセット値60が減算され、▲7▼スケールファクタは10,5,1,6,10として求められる。この値は、元のスケールファクタと異なった値である。
【0227】
そのようにして、符号化と異なるスケールファクタを使用して符号化ビットストリームの復号を行う場合は異なったオーディオ信号が再生される。従って、この手法を用いて半開示のオーディオ信号を生成するためのスクランブル処理が可能となる。
【0228】
次に、そのようにして符号化されて生成されたビットストリームの復号化について述べる。
図29に、第6の実施例によるオーディオ信号復号化装置(以下、単に復号化装置と記すこともある。)の構成を示し、以下図と共に説明する。
【0229】
同図に示すオーディオ信号復号化装置440は、MPEG−2 AACデコーダ441、ハフマンコードブック選択器442、スケールファクタ用標準ハフマンコードブック443、スケールファクタ用特別ハフマンコードブック444、及びCPU445より構成される。そして、MPEG−2 AACデコーダ441にはハフマンコードブックを用いて可変長復号化を行う可変長復号化器446が含まれている。
【0230】
MPEG−2 AACデコーダ441は従来と同様に構成されるが、可変長復号化器446には従来の標準ハフマンコードブックの外に、特別ハフマンコードブックが用いられて可変長復号化がなされる点で異なっている。
【0231】
次に、その様に構成されるオーディオ信号復号化装置440の動作について述べる。
まず、オーディオ信号符号化装置430から出力される外部切換信号がCPU445に供給される。
【0232】
そこでは、オーディオ信号符号化装置430内のCPU435と同等の処理がなされる。即ち、ハフマンコードブック切り換え用信号である符号化選択信号が発生され、その信号はハフマンコードブック選択器442に供給される。
【0233】
次に、オーディオ信号符号化装置430で圧縮符号化のなされたビットストリームはMPEG−2 AACデコーダ441に供給される。ここでは、MPEG−2 AAC方式により圧縮符号化された信号は可変長復号化器446に一時記憶されるハフマンコードブックの値が用いられて復号化される。
【0234】
ハフマンコードブック選択器442では、供給された符号化選択信号、即ちCPU445より供給された符号化選択信号に基づいて、スケールファクタ用標準ハフマンコードブック443、又はスケールファクタ用特別ハフマンコードブック444に格納される方のハフマンコードブックの値が選択されて可変長復号化器446に供給される。そして、そのハフマンコードブックの値は可変長復号化器446に一時記憶される。
【0235】
MPEG−2 AACデコーダ441では、そのようにして一時記憶されたハフマンコードブックが用いられて、供給されるビットストリームの復号化がされる。そして、その復号化はMPEG−2 AACエンコーダ431の可変長符号化器436に一時記憶されるハフマンコードブックと同一のハフマンコードブックが用いられて復号化されるため、忠実度の高い復号化されたオーディオ信号が得られる。
【0236】
しかし、オーディオ信号復号化装置にスケールファクタ用特別ハフマンコードブックを有していない場合は、通常のMPEG−2 AACデコーダに搭載されるスケールファクタ用標準ハフマンコードブックが用いられてビットストリームの復号化が行われるため、復号化されたオーディオ信号にはそれぞれのハフマンコードブックの差に基づく歪成分が含まれたオーディオ信号として復号化されることになる。
【0237】
以上、標準ハフマンコードブック及び特別ハフマンコードブックを用いてスケールファクタの可変長符号化を行う第6の実施例によるオーディオ信号符号化装置、及びオーディオ信号復号化装置の構成とそれらの動作について述べた。
【0238】
<第7実施例>
次に、標準ハフマンコードブック及び特別ハフマンコードブックをスペクトル信号の可変長符号化に用いる第7の実施例によるオーディオ信号符号化装置及びオーディオ信号復号化装置の構成と動作について述べる。
図30に、第7の実施例によるオーディオ信号符号化装置の構成を示し、以下図と共に説明する。
【0239】
同図に示すオーディオ信号符号化装置450は、MPEG−2 AACエンコーダ451、ハフマンコードブック選択器452、スペクトル用標準ハフマンコードブック453、スペクトル用特別ハフマンコードブック454、及びCPU455より構成される。そして、MPEG−2 AACエンコーダ451にはハフマンコードブックを用いて可変長符号化を行う可変長符号化器456が含まれている。
【0240】
そして、そのように構成されるオーディオ信号符号化装置450は、前述の図24に示した第6の実施例によるオーディオ信号符号化装置に比し、スケールファクタ用ハフマンコードブックは標準のものが使用されているが、MDCTされて得られるオーディオ信号の可変長符号化にはスペクトル用標準ハフマンコードブック、及びスペクトル用特別ハフマンコードブックが用いられている点で異なっている。
【0241】
次に、その様に構成されるオーディオ信号符号化装置450の動作について述べる。
まず、MPEG−2 AACエンコーダ451に符号化対象のオーディオ信号が供給され、同時にCPU455に外部切換信号が入力される。その一方で、外部切換信号はオーディオ信号符号化装置450と相補的に復号化動作を行うオーディオ信号復号化装置460(後述)へ供給される。
【0242】
CPU455には外部切換信号が供給され、その信号を基にハフマンコードブック切り換え用信号である符号化選択信号が発生される。例えば、CPU455が外部切換信号を初期値として擬似乱数を発生する、又は外部切換信号が何らかの暗号処理を施された暗号として供給されるときには、その外部切換信号を解読することによってハフマンコードブック切り換え用信号である符号化選択信号が得られる。
【0243】
そのようにして、CPU455からは、ハフマンコードブック切り換え用信号である符号化選択信号が、ハフマンコードブック選択器452に供給される。そして、CPU455から供給される符号化選択信号は、例えば「0」のときにはスペクトル用標準ハフマンコードブックを選択して符号化し、又「1」のときにはスペクトル用特別ハフマンコードブックを選択して符号化するように設定される。
【0244】
次に、ハフマンコードブック選択器452ではスペクトル用標準ハフマンコードブック453、及びスペクトル用特別ハフマンコードブック454から供給されるハフマンコードブックのうち、符号化選択信号により選択される方のハフマンコードブックが可変長符号化器456に供給される。
【0245】
MPEG−2 AACエンコーダ451では、可変長符号化器456に一時記憶されたハフマンコードブックを基にし、MDCTされたオーディオ入力信号のスペクトル信号に対する可変長符号化が行われる。
ここで、そのスペクトル用のハフマンコードブックについて述べる。
【0246】
スペクトルの量子化値を可変長符号化する際には、sfb内の2本または4本ずつまとめて計算されたスペクトルの量子化値を基に、インデックスからスペクトル用のハフマンコードブックに対応するコードワードを読み出す。そして、スペクトル用のハフマンコードブックは11種類存在し、その中から符号化されて生成され符号全体での符号量が最小となる組み合わせが選択される。
【0247】
図31に、スペクトル用標準ハフマンコードブックの一部をテーブルにより示す。
同図に示すスペクトル用標準ハフマンコードブックは、MPEG−2 AAC符号化方式に用いられるコードブックの一部であり、ここではそのコードブックをスペクトル用標準ハフマンコードブック453として用いる。そして、特別ハフマンコードブック454はスペクトル用標準ハフマンコードブック453のインデックスを入れ替えたものを用いる。
【0248】
図32に、標準ハフマンコードブックのコードワードを入れ替えて特別ハフマンコードブックを作成する例を示す。
ここに示したスペクトル用のハフマンコードブックは、AAC規格に定められる第2番目のものの一部である。
【0249】
そのコードブックは、インデックス40を挟んでコードワードの長さが同じであるものが複数存在している。従って、例えばインデックス36から39と、インデックス44から41のそれぞれを入れ替えたものを新たなハフマンコードブックとして作成し、それを特別ハフマンコードブックとして用いる。
【0250】
図33に、上記のハフマンコードブックを使ったスペクトル用量子化値の可変長符号化の一例を示す。
図中の4本の量子化値のそれぞれは0,0,−1,1となっている。次に、その場合のインデックスへの変換について述べる。
【0251】
即ち、ハフマンコードブック2番を使う場合の、スペクトラム4本Q0〜Q3に対するインデックス(IDX)への変換式として次の(1)式が用いられる。
IDX=27×Q0+9×Q1+3×Q2+Q3+40 ・・・・ (1)
このQ0〜Q3のそれぞれに、上記の0,0,−1,1を代入する。
【0252】
図中に(a)として示すスペクトラムのインデックス値は、
IDX=27×0+9×0+3×(−1)+1+40=38
となり、その値を基に入れ替えを行ったハフマンコードブック2番に該当するコードワードを読み出すことになる。
【0253】
即ち、インデックス値が38である特別ハフマンコードブックでの値は1dであり、その値が読み出される。そして、読み出された値を基にしてオーディオ信号を符号化したビットストリームが生成され、オーディオ信号符号化装置450から出力される。
【0254】
次に、そのビットストリームはオーディオ信号復号化装置に入力されて復号化される。
図34に、第7の実施例によるオーディオ信号復号化装置の構成を示し、以下図と共に説明する。
【0255】
同図に示すオーディオ信号復号化装置460は、MPEG−2 AACデコーダ461、ハフマンコードブック選択器462、スペクトル用標準ハフマンコードブック463、スペクトル用特別ハフマンコードブック464、及びCPU465により構成される。そして、MPEG−2 AACデコーダ461にはハフマンコードブックを用いて可変長復号化を行うための可変長復号化器466が含まれている。
【0256】
そして、そのように構成されるオーディオ信号復号化装置460は、前述の図29に示した第6の実施例によるオーディオ信号復号化装置に比し、スケールファクタ用ハフマンコードブックは標準のものが使用されるものの、スペクトラム用の可変長復号化には標準ハフマンコードブック、及び特別ハフマンコードブックが用いられている点で異なっている。
【0257】
次に、その様に構成されるオーディオ信号復号化装置460の動作について述べる。
まず、オーディオ信号符号化装置450で圧縮符号化のなされたビットストリームはMPEG−2 AACデコーダ461に供給される。
【0258】
そして、オーディオ信号符号化装置450から伝送される外部切換信号はCPU465に供給される。そのCPU465では、オーディオ信号符号化装置450におけるCPU455と同様にして供給される信号の処理を行う。次に、ハフマンコードブック切り換え用信号である符号化選択信号が発生され、その信号はハフマンコードブック選択器462に供給される。
【0259】
そのハフマンコードブック選択器462では、供給された符号化選択信号、即ちCPU465より供給された符号化選択信号に基づいて、スペクトル用標準ハフマンコードブック463、及びスペクトル用特別ハフマンコードブック464のいずれか一方に格納される方のハフマンコードブックの値が選択されて可変長復号化器466に供給される。そのハフマンコードブックの値は可変長復号化器466に一時記憶される。
【0260】
そのようにして可変長復号化器466に一時記憶されたハフマンコードブックが用いられて、MPEG−2 AACデコーダ461では供給されるビットストリームの復号化がなされる。
【0261】
そのようになされる復号化は、MPEG−2 AACエンコーダ451の可変長符号化器456に一時記憶されるハフマンコードブックと同一のハフマンコードブックが用いられて復号化されるため、品質の高い復号化されたオーディオ信号が得られるようになされている。
【0262】
しかし、オーディオ信号復号化装置がスペクトル用特別ハフマンコードブック情報を有していない場合は、通常のMPEG−2 AACデコーダに搭載される標準ハフマンコードブックが用いられてビットストリームの復号化がなされるため、復号化されたオーディオ信号にはそれぞれのハフマンコードブックの差に応じた歪成分が含まれるオーディオ信号として復号されることになる。
【0263】
例えば、上記の4本の量子化値のそれぞれ0,0,−1,1、に対するインデックス値は38として計算された。それを特別ハフマンコードブックにより可変長符号化して標準ハフマンコードブックを用いて可変長復号化すると、インデックス値42が得られる。
【0264】
前述の図33における(b)にその復号化について示している。ここで、インデックス値42はQ0=0、Q1=0、Q2=1、及びQ3=−1として計算される。即ち、4本の量子化値はそれぞれ0,0,1,−1として求められるため、元のスペクトルの量子化と異なる値が得られる。
【0265】
そして、そのようにして得られた量子化値を逆量子化、及びIMDCT(Inverse Modified Discrete Cosine transform)してオーディオ信号を復号すると、元の信号を再生出来ない。即ち、そのようにして再生されたオーディオ信号は擬似的なオーディオスクランブルが施された信号として再生されることになる。
【0266】
以上、標準ハフマンコードブック及び特別ハフマンコードブックを用い、MDCTして得られるオーディオ信号のスペクトルの可変長符号化を行う第7の実施例によるオーディオ信号符号化装置及びオーディオ信号復号化装置の構成と動作について述べた。
【0267】
そして、この実施例ではスペクトル用のハフマンコードブック2番を用いる場合を例として説明した。さらに、スペクトル用のハフマンコードブックは11種類があるので、それぞれに特別ハフマンコードブックを作成して可変長符号化を行う場合、又はそれらの中の一部のハフマンコードブックに対してのみ特別ハフマンコードブックを用いて符号化するようにして行う場合があり、それらのいずれによっても良い。
【0268】
また、ハフマンコードブックの1から10番までは1と2、3と4、5と6、7と8、9と10とが互いに組になって作成されており、それらの組の間では同じコードワードの数を有している。従って、お互いに同じインデックスへの変換式を用いていることにより、ハフマンコードブック1番の特別ハフマンコードブックを2番とするように、組になる互いを標準、及び特別のハフマンコードブックとして用いるようにして符号化することができ、そのような方法によっても実現しても良い。
【0269】
以上、外部切り替え信号により標準及び特別のハフマンコードブックを切り替えて符号化する装置の構成と、その動作について述べた。そして、本実施例のオーディオ信号符号化装置からオーディオ信号復号化装置に伝送される外部切換信号に対し、上記のオーディオ信号に対するスクランブルをユーザが自由に操作できないようにして行うことも必要とされる。即ち、スクランブルを確実に実行するためには、オーディオ信号符号化装置により生成された外部切り替え信号に対して暗号化を施す必要がある。
【0270】
そして、オーディオ信号符号化装置により生成された暗号化信号は、オーディオ信号復号化装置内のCPUにより解読して、得るようにし、その得られた外部切り替え信号を用いて可変長復号化するようにする。
【0271】
また、オーディオ信号符号化装置内でMPEG−2 AACビットストリームの中に電子透かし情報として外部切換信号を埋め込み、オーディオ信号復号化装置に供給されるMPEG−2 AACビットストリームから電子透かし情報を抜き出し、その情報を基にして、ハフマンコードブック切り換え用信号を発生する方法もある。
【0272】
さらに、ビットストリームと別に外部切換信号を送信しない方法として、前述の画像信号符号化及び復号化装置に用いている電子透かしの手法を用い、例えばスケールファクタ又はスペクトルの値を偶数値に丸める、奇数値に丸めるなどにより透かしデータを埋め込んで伝送する方法によっても良い。
【0273】
その方法は、例えば、電子透かし手法を用いて、外部切換信号に順ずる信号として符号化選択信号を所定の間隔毎の最初の位置にある音声信号に埋め込むようにして、MPEG2 AACエンコーダにより圧縮符号化されたMPEG−2 AACビットストリームが生成する方法である。
【0274】
そして、その方法により符号化された信号の復号化は、電子透かし情報として埋め込まれた符号化選択信号を検出し、その検出された符号化選択信号から適切なハフマンコードブックに選択するハフマンコードブック切り換え用信号を得るようにすれば良い。
【0275】
以上、電子透かしの手法を用いることにより暗号化された符号化選択信号として伝送する方法を述べた。電子透かしによらない方法として、例えばMPEG−2 AAC符号化方式で規定されているdata_stream_elementの中に、外部切換信号に基づくデータを暗号化することにより記述して伝送する方法もある。
【0276】
そして、オーディオ信号復号化装置の側においてdata_stream_elementを復号化して、復号情報を得、その得られた情報を基にしてハフマンコードブック切り換え用信号を発生する方法である。
【0277】
また、その方法による場合では、data_stream_elementに記載する外部切換信号に係るデータは、符号化側と復号化側とで整合性が取れていればよく、符号化側と復号化側とで適当な暗号化方式を設定するようにして送信及び受信を行うようにすれば良い。
【0278】
以上、画像信号、及びオーディオ信号のそれぞれについて、直交変換を行なって得られる係数値信号を可変長符号化して伝送する際に、標準可変長テーブル、及び特別可変長テーブルを用いることにより、多少の歪を伴った画像信号、及びオーディオ信号としての再生が可能とされる、可変長データ符号化方法、及びその復号化方法について述べた。そして、その歪の付加は画像信号、又はオーディオ信号のいずれか一方に、又は両者に対し、標準又は特別可変長テーブルを用いることにより個別に設定することが出来る。
【0279】
つぎに、そのような可変長データ符号化方法、及びその復号化方法を用いて、放送、通信、乃至は情報記録媒体で使用可能なビジネスモデルの好適な実施例について、画像を符号化する場合を主として述べる。
【0280】
<第8実施例>
図35に、放送または通信に用いられる半開示のための可変長データ符号化方法を搭載した、第8の実施例による可変長符号化データ送信装置(以下、単に送信装置と記すこともある。)の構成を示し、図を参照して説明する。
【0281】
同図に示す可変長符号化データ送信装置510は、画像データ変換器511、暗号化器512、暗号化方法設定器513、暗号化鍵設定器514、CPU515、MPEGエンコーダ516、VLCテーブル選択器517、標準VLCテーブル518、特別VLCテーブル519、伝送路パケット符号化器521、及び暗号化情報送信器522より構成される。そして、MPEGエンコーダ516にはVLC器531が含まれている。
【0282】
次に、その様に構成される可変長符号化データ送信装置510の動作について述べる。
まず、入力画像信号は画像データ変換器511に供給され、そこで画像信号には前述の方法により識別信号が電子透かし情報として埋め込まれる。
【0283】
その電子透かし情報が埋め込まれた画像信号は、MPEGエンコーダ516に供給され、そこではVLC器531に一時記憶されたVLCテーブルが用いられて可変長符号化がなされるなどにより圧縮符号化信号が生成される。
【0284】
次に、その圧縮符号化信号は伝送路パケット符号化器521でMPEGシステム規格に従って、図示しないオーディオ信号、その他の補助信号などとの多重化がなされる。そのようにして、パケット化がなされた信号は伝送用信号として可変長符号化データ送信装置510から出力される。
【0285】
このときCPU515では、VLCテーブル選択器517に供給される符号化選択信号を基にして、VLCテーブル選択器517で標準VLCテーブルまたは特別VLCテーブルのどちらが選択されるかを識別するための識別信号と、その識別信号に係る暗号化方法、及びその暗号化を解読するための暗号化鍵に関する暗号化情報とが生成される。
【0286】
そしてVLCテーブル選択器517では、CPU515より供給される符号化選択信号に基づき、標準VLCテーブルまたは特別VLCテーブルのどちらか一方が選択され、その選択された方のVLCテーブルはMPEGエンコーダ516のVLC器531に供給される。
【0287】
また暗号化器512では、CPU515を介して供給される、VLCテーブル選択器517により選択された方のVLCテーブルに係る識別情報と、暗号化方法設定器513により設定された暗号化方法及び暗号化鍵設定器514により設定された暗号化鍵に係る情報とが、暗号化され、それらの暗号化情報は画像データ変換器511に供給される。
【0288】
さらに、CPU515では暗号化情報として暗号化を行ったことを示す情報と、暗号化方法設定器が設定した暗号化方法に関する情報と、暗号化鍵設定器が設定した暗号化鍵に関する情報とが暗号化情報送信器522に供給され、そこから暗号化情報信号として出力される。
【0289】
そのようにして、MPEGエンコーダ516には、暗号化された識別信号が電子透かしにより埋め込まれた画像信号として供給される。そして、その画像信号は、埋め込まれた識別信号に対応する符号化選択信号により指定された方のVLCテーブルが用いられて圧縮符号化がなされる。
【0290】
例えば、CPU515からVLCテーブル選択器517に供給される符号化選択信号が「0」のときには、VLCテーブル選択器517より標準VLCテーブルが選択して得られ、その標準VLCテーブルはMPEGエンコーダ516のVLC器531に供給され、そこに一時記憶される。
【0291】
このときCPU515からは、標準VLCテーブルを選択したこと示す64ビットのビット列「0101・・・0101」が識別情報として暗号化器512に供給される。そして暗号化器512では、暗号化方法設定器513で設定されたDES(Data Encryption Standard:国際デファクト標準データ暗号規格)暗号と、暗号化鍵設定器514で設定されたDES暗号の暗号化鍵64ビット(そのうち8ビットはパリティビット)が用いられて、識別情報が暗号化される。
【0292】
次に、暗号化された識別情報は入力画像信号に電子透かし情報として埋め込まれてMPEGエンコーダ516に供給される。そこでは、供給された信号はVLC器531に一時記憶された標準VLCテーブルが用いられて、圧縮符号化が行われる。
【0293】
また、符号化選択信号が「1」のときには、VLCテーブル選択器517より特別VLCテーブルが得られ、そのテーブルはMPEGエンコーダ516のVLC器531に供給され、そこに一時記憶される。このとき、CPU515では、特別VLCテーブルを選択したことを示す64ビットのビット列「1010・・・1010」が識別情報として暗号化器512に供給される。
【0294】
そして、暗号化器512では、暗号化方法設定器513で設定されたDES暗号と、暗号化鍵設定器514で設定された64ビットのDES暗号化鍵が用いられて、識別情報が暗号化される。また、暗号化して得られた識別情報は入力画像に電子透かし情報として埋め込まれ、VLC器531に一時記憶された特別VLCテーブルが用いられて符号化が行われる。
【0295】
このとき、暗号化情報は識別情報を暗号化しないときを「0」とし、暗号化したときを「1」とする。そして、暗号化方式を例えば4つの方式の中から選択できるときには、DES暗号は「00」とし、また他の3つの暗号をそれぞれ「01」、「10」、「11」とする。さらに、暗号化鍵についても予め設定された鍵であるKey A、Key B、Key C、及びKey Dなどの、それぞれが64ビットである暗号化鍵を定めて用いるようにする。
【0296】
そして、Key Aは「00」、Key Bは「01」、Key Cは「10」、またKey Dは「11」のように割り振るとする。それにより、識別情報をDES暗号で、Key Cを用いて暗号化した場合の暗号化情報は「1 00 10」という5ビットのビット列で表される。
【0297】
以上、第8の実施例による可変長符号化データ送信装置の構成とその動作について述べた。
なおここで、暗号化情報として、暗号化モードに関する情報、暗号化鍵の鍵長さに関する情報などを含んで暗号化し、伝送するようにしても良い。
【0298】
次に、このようにして生成され送信された符号化データを受信し復号化する、可変長符号化データ受信装置(以下、単に受信装置と記すこともある。)について述べる。
図36に、第8の実施例による可変長符号化データ受信装置の構成を示し、同図を参照して説明する。
【0299】
同図に示す可変長符号化データ受信装置550は、伝送路パケット復号化器551、暗号化情報受信器552、MPEGデコーダ561、VLCテーブル選択器562、標準VLCテーブル563、特別VLCテーブル564、CPU565、電子透かし検出器566、復号化器567、復号化方法選択器568、及び復号化鍵選択器569より構成される。そして、MPEGデコーダ561にはVLC復号器571が含まれている。
【0300】
次に、この様に構成される可変長符号化データ受信装置550の動作について述べる。
まず、多重化されて構成されるパケット符号化データは、伝送路パケット復号化器551により伝送路パケット化符号化器521と相補的な動作によりパケット復号化され、復号化されて得られる圧縮符号化された画像データはMPEGデコーダ561に供給される。
【0301】
そこでは、MPEG方式により圧縮符号化された信号はVLC復号器571に一時記憶されいるVLCテーブルの値が用いられ、MPEGエンコーダ516によりなされたと相補的な方法により復号化される。そして、復号化されて得られる画像信号は電子透かし検出器566に供給される。
【0302】
その電子透かし検出器566では、前述の図35の画像データ変換器511により電子透かし情報として埋め込まれ、暗号化された識別信号が電子透かし検出器566により検出され、復号化器567に供給される。
【0303】
そしてCPU565では、暗号化情報受信器552で受信した暗号化情報に基づき、検出された電子透かし情報が暗号化されていると判断した場合には、暗号化方法に関する情報は復号化方法選択器568に、暗号化鍵に関する情報は復号化鍵選択器569に、それぞれ供給される。
【0304】
復号化方法選択器568では、暗号化方法に関する情報を基にした復号化方法が選択され、また復号化鍵選択器569では、暗号化鍵に関する情報を基に暗号化鍵が選択される。それらの選択された復号化方法及び復号化鍵情報が用いられて、復号化器567では暗号化された識別情報が復号化され、復号化されて得られる信号はCPU565に供給される。CPU565では、復号化された識別情報に対応する符号化選択信号が生成され、その信号はVLCテーブル選択器562に供給される。
【0305】
そのVLCテーブル選択器562では、供給された符号化選択信号に基づいて、標準VLCテーブルまたは特別VLCテーブルのいずれか一方のVLCテーブルが選択されてVLC復号器571に供給され、そのVLCテーブルはVLC復号器571に一時記憶される。
【0306】
例えば、暗号化情報が「1 00 10」である5ビットのビット列として得られるときには、可変長符号化データ受信装置550では、まず電子透かし検出器566にて64ビットのビット列「b636261・・・b10」が検出され、その検出されたビット列の信号は復号化器567に供給される。
【0307】
次にCPU565では、暗号化情報受信器552で受信して得らえた5ビットの暗号化情報「1 00 10」の最上位ビット「1」により、識別情報が暗号化されていると判断する。そして、暗号化情報の下位4ビット「00 10」より、復号化方法選択器ではDES暗号を、また復号化鍵選択器569ではKey Cが、それぞれ選択され、復号化器567に供給される。
【0308】
また、復号化器567では、DES暗号で鍵Key Cが用いられて64ビットのビット列「b636261・・・b10」が復号化され、「0101・・・0101」または「1010・・・1010」のデータが得られる。
【0309】
CPU565では、復号結果「0101・・・0101」に対して「0」が、「1010・・・1010」に対して「1」が、それぞれ符号化選択信号として生成され、その生成された信号はVLCテーブル選択器562に供給される。そのVLCテーブル選択器からは、符号化選択信号が「0」のときは標準VLCテーブルが、「1」のときは特別VLCテーブルが、VLC復号器571に供給される。
【0310】
そのようにして、VLC復号器571に一時記憶されたVLCテーブルが用いられて、MPEGデコーダ561では供給される符号化データの復号化がなされる。そして、その復号化は前述の図35におけるMPEGエンコーダ516のVLC器531に一時記憶されたVLCテーブルと同一のVLCテーブルが用いられて復号化されるため、劣化のない画像信号が復号化される。
【0311】
以上、第8の実施例における可変長符号化データ送信装置510と、可変長符号化データ受信装置550とにより、暗号化した識別信号を画像データに電子透かしとして埋め込んで伝送し、その伝送された信号を受信する方法について述べた。
【0312】
以上、ここでは、画像信号に暗号化した識別信号を埋め込む方法について述べた。そして、識別信号の埋め込みは画像信号に限らなく、前述の方法を用いてオーディオ信号に電子透かしデータとして埋め込む方法によっても良い。更には、画像データと音声データのそれぞれに独立した識別データとして埋め込み、伝送する方法もある。
【0313】
次に、第8の実施例による可変長符号化データ送信装置510により伝送された信号を、課金処理して受信する場合の可変長符号化データ受信装置について述べる。
【0314】
<第9実施例>
図37に、第9の実施例による可変長符号化データ受信装置の構成を示し、同図を参照して説明する。
同図に示す可変長符号化データ受信装置550aは、前述の可変長符号化データ受信装置550に比し、ICカードリーダ/ライタ572が多く配置された構成とされる点で異なっている。
【0315】
そして、前述の図36と同じ機能を有する部分には同一の符号を付してある。また、そのICカードリーダ/ライタ572はCPU565に接続されており、さらにそこにはICカード601が挿入されている。
【0316】
次に、その様に構成される可変長符号化データ受信装置550aにつき、前述の可変長符号化データ受信装置550と異なってなされる動作について述べる。まず、可変長符号化データ送信装置510の画像データ変換器511により電子透かし情報として埋め込まれた、暗号化された識別信号は電子透かし検出器566により検出され、復号化器567に供給される。
【0317】
そして、CPU565により、暗号化情報受信器552で受信した暗号化情報に基づいて、検出された電子透かし情報が暗号化されていると判断されたときに、暗号化方法に関する情報は復号化方法選択器568に、暗号化鍵に関する情報は復号化鍵選択器569に、それぞれ供給される。
【0318】
このとき、CPU565では、ICカードリーダ/ライタ572を介してICカードに記録される金額情報、及び再生時の課金情報をもとに、復号化を行うか否かが定められる。そして、その結果を基に復号化器567より得られる識別情報に対応する符号化選択信号がVLCテーブル選択器562に供給される、又は識別情報に対応しない符号化選択信号がVLCテーブル選択器562に供給される。
【0319】
例えば、ICカードはプリペイド式で、予め6000円分の金額情報が記録されているとする。そして、伝送される情報の復号化時には例えば1分1円の割で課金されるとするとき、CPU565により復号化器567が暗号化情報の復号化処理を1分行う毎に、ICカード内の金額情報が1円づつ減額される。
【0320】
そして、ICカード601の金額情報が0円になった時点で、CPU565からは復号化器567により暗号の復号化をして得られる識別情報に対応する符号化選択信号が「0」のときには「1」が、「1」のときには「0」が、VLCテーブル選択器562に供給される。
【0321】
そのVLCテーブル選択器562では、その供給された符号化選択信号に基づき、標準VLCテーブルまたは特別VLCテーブルが選択され、その選択された方のテーブルがVLC復号器571に供給される。そのようにして、ICカード内の金額情報が0円になると、それ以降、VLC復号器571にはエンコード時と異なるVLCテーブルが供給され、高品質の画像が再生されなくなる。
【0322】
また、ICカード601に記録される情報としては、金額情報のほかに、ユーザを識別するための情報が記録され、CPU565により、ある特定のユーザに対してのみ、正しい符号化選択信号がVLCテーブル選択器に供給されるようになされる。
【0323】
さらに、ICカード601に使用者の好む様々な再生条件に関する情報が記録されることにより、CPU565からはICカード601からの再生条件を満たすときにのみ、正しい符号化選択信号がVLCテーブル選択器に供給されるようにしても良い。
【0324】
あるいは、ICカード601に暗号化した識別情報の復号化に必要な復号化鍵のもとになる情報(シード)や、暗号化アルゴリズムに関する情報を記録しておくことで、そのICカード601を利用したときにのみ、識別情報が正しく復号化され、CPU565から正しい符号化選択信号が供給されるようにしても良い。
【0325】
さらにまた、ICカード601の他に、モデムを利用してインターネット経由により、又は可変長符号化データ受信装置550aの操作用リモコンボタンを利用するユーザ自身の操作入力により、可変長符号化データ受信装置550aの外部から、金額情報、ユーザ情報、または再生条件情報を取得するようにし、それらの条件の基で正しい符号化選択信号がVLCテーブル選択器562に供給されるようにしても良い。
【0326】
以上、第9の実施例における可変長符号化データ受信装置550aによれば、所定の条件を満たすときのみ、MPEGデコーダ561内のVLC復号器571に、エンコード時と同じVLCテーブルを供給するようにし、符号化された画像データのデコードを行うようにするため、受信装置からは品質の高い画像信号が得られることを述べた。
【0327】
そして、受信装置に、画像電子透かし情報を検出する機能がない場合、透かし情報を復号化するための機能がない場合、または特別VLCテーブルを有していない場合には、標準VLCテーブルが用いられて符号化データの復号化が行われる。従って、そのときの復号化された画像信号にはそれぞれのVLCテーブルの差に基づく歪成分が含まれた画像信号として復号されることとなる。
【0328】
また、電子透かし情報を読み出し、適切な方法で復号化し、及び所定のVLCテーブルにより符号データを復号化するための機能を有している場合であっても、課金等の設定された条件を満たさない場合には、エンコード時と異なるVLCテーブルが供給されるなどにより、その復号化された画像信号は、VLCテーブルの差に基づく歪成分が含まれるようになされる。
【0329】
そのようにして、コンテンツの著作権を有する著作権者が、保有するコンテンツを契約関係にある特別の受信装置、特定の条件を満たす受信装置と契約関係にない一般の受信装置、または特定の条件を満たさない受信装置に対してそれぞれ異なる品質の画像信号を供給しようとするときに、特別の受信装置には画像電子透かし検出器、識別情報復号化器、及び特別VLCテーブルを搭載し、デコードに適したVLCテーブルをデコーダに供給できる制御機器を有することによリ、一般者と特別者に対して異なる品質の画像信号を供給することができるようになされるものである。
【0330】
以上、第9の実施例による可変長符号化データ受信装置の構成とその動作について述べた。
<第10実施例>
次に、第10の実施例による可変長符号化データ送信装置及び可変長符号化データ受信装置について述べる。
【0331】
図38に、第10の実施例による可変長符号化データ送信装置の構成を示し、同図を参照して説明する。
同図に示す可変長符号化データ送信装置510bは、前述の図35に示した第8の実施例による可変長符号化データ送信装置510に比し、VLCテーブル選択器517、標準VLCテーブル518、及び特別VLCテーブル519の代りにVLCテーブル生成器523が配されている点で異なっている。
【0332】
そして、同一の機能を有する構成には同一の符号を付してある。
次に、この様に構成される可変長符号化データ送信装置510bの動作について述べる。
【0333】
まず、入力画像信号は画像データ変換器511に供給され、暗号化された識別信号が電子透かし情報として埋め込まれてMPEGエンコーダ516に供給される。そして、VLC器531に一時記憶されたVLCテーブルを基にした圧縮符号化が行われ、伝送路パケット符号化器521で、伝送路特有のパケット化がなされて出力される。
【0334】
そして、VLCテーブル生成器523では、MPEGエンコーダ516のVLC器531に供給されるVLCテーブルが生成される。その生成されたVLCテーブルは、暗号化方法設定器514で設定された暗号化方法及び暗号化鍵設定器513で設定された暗号化鍵が使用されて、暗号化器512で暗号化される。暗号化されたコードテーブルは画像データ変換器511に供給される。
【0335】
また、CPU515からは、暗号化情報として暗号化を行ったことを示す情報と、暗号化方法設定器513が設定した暗号化方法に関する情報と、暗号化鍵設定器514が設定した暗号化鍵に関する情報とが、暗号化情報送信器522に供給される。そして、そこから暗号化情報信号として出力される。
【0336】
そのとき、例えば暗号化情報として、VLCテーブルを暗号化しないときを「0」とし、また暗号化したときを「1」とする。そして、暗号化方式を4つ選択できる場合は、DES暗号は「00」と、他の3つの暗号をそれぞれ「01」、「10」、「11」とし、それらの暗号に対する64ビットの暗号化鍵Key A、Key B、Key C、Key Dを予め設定する。
【0337】
そして、Key Aは「00」、Key Bは「01」、Key Cは「10」、及びKey Dは「11」とするとき、VLCテーブル情報をDES暗号で、Key Cを用いて暗号化する場合の暗号化情報は「1 00 10」の5ビットのビット列で表現される。
【0338】
そのようにして、MPEGエンコーダ516には、暗号化されたVLCテーブルに係る情報が電子透かし法により埋め込まれた画像信号として供給される。そして、その画像信号は埋め込まれたVLCテーブルが用いられて圧縮符号化が行われる。
【0339】
次に、そのようにして生成され、送信される符号化データを受信して復号化する、可変長符号化データ受信装置について述べる。
図39に第10の実施例における可変長符号化データ受信装置550bの構成を示し、図を参照して説明する。
【0340】
同図に示す可変長符号化データ受信装置550bは、前述の図36に示した第8の実施例による可変長符号化データ受信装置550に比し、VLCテーブル選択器562、標準VLCテーブル563、及び特別VLCテーブル564が配置されていない点で異なっている。
【0341】
また、VLC復号器571の代りにVLC生成復号器571aが配置されている。なお、同一の機能ブロックについては同一の符号を付してある。
次に、可変長符号化データ受信装置550bの動作について、第8の実施例と異なる動作を主に説明する。
【0342】
まず、電子透かし検出器566で検出された電子透かし情報は復号化器567に供給される。そして、CPU565からは、暗号化情報受信器552で受信した暗号化情報に基づき、検出された電子透かし情報が暗号化されているとして判断した場合は、暗号化方法に関する情報は復号化方法選択器568に、暗号化鍵に関する情報は復号化鍵選択器569に、それぞれ供給される。
【0343】
復号化方法選択器568では、暗号化方法に関する情報より所定の復号化方法が選択され、復号化鍵選択器569では、暗号化鍵に関する情報より所定の暗号化鍵が選択される。それらの選択された復号化方法と復号化鍵情報はCPU565を介してVLC生成復号器571aに供給される。
【0344】
そして、VLC生成復号器571aでは供給された情報を基に、VLCテーブル生成器523で生成されたと同一のVLCテーブルが生成される。そして、MPEGデコーダ561ではVLC生成復号器571aで生成されたVLCテーブルが用いられて符号化データの復号化が行われる。
【0345】
以上のようにして、第10の実施例による可変長符号化データ送信装置510bと可変長符号化データ受信装置550bとでは、暗号化されたVLCテーブルに係る情報が画像データに電子透かしとして埋め込まれることにより伝送、及び受信がなされる。
【0346】
次に、第10の実施例による可変長符号化データ送信装置510bにより伝送される信号を受信する、他の可変長符号化データ受信装置について述べる。
<第11実施例>
図40に、第11の実施例による可変長符号化データ受信装置の構成を示し、図を参照しその動作について述べる。
【0347】
同図に示す可変長符号化データ受信装置550cは、前述の図36に示した可変長符号化データ受信装置550に比し、VLCテーブル選択器562、及び特別VLCテーブル564が配置されていない。
【0348】
そして、VLC復号器571の代りにVLC生成復号器571aが配されている。また、ICカードリーダ/ライタ572が配置され、そこにはICカード601が挿入された構成とされる点で異なっている。そして、前述の図36と同じ機能を有する部分については同一の符号を付してある。
【0349】
次に、その様に構成される可変長符号化データ受信装置550cについて、前述の第8の実施例と異なる動作を主に述べる。
まず、電子透かし検出器566では、埋め込まれた電子透かし情報が検出され、復号化器567に供給される。CPU565では、検出された電子透かし情報が暗号化されているきには、暗号化方法に関する情報は復号化方法選択器568に、そして暗号化鍵に関する情報は復号化鍵選択器569にそれぞれが供給される。
【0350】
そのとき、CPU565ではICカードリーダ/ライタ572を介してICカードの金額情報及び再生条件に関する情報を得、その得られた情報をもとに復号化を行うか否かが定められ、復号を行うときには暗号を復号化して得られるVLCテーブルはVLC復号器571に供給される。
【0351】
そのときのICプリペイドカードを含む再生動作は、前記の第9の実施例と同様になされる。そして、CPU565には標準VLCテーブル563が接続されているため、通常の再生時には標準VLCテーブル563に記憶されるテーブルがVLC生成復号器571aに供給され、圧縮符号化のなされた画像データの復号が行われる。
【0352】
そして、特別VLCテーブルを用いて行う復号が許可されるときには、VLC生成復号器571aでは、入力されるVLCテーブル情報が基にされて特別VLCテーブルが作成され、それにより品質劣化のない画像の復号化がなされる。
【0353】
以上、第11の実施例における可変長符号化データ送信装置及び可変長符号化データ受信装置の構成と動作について述べた。
次に、可変長符号化データ記録装置で生成する信号を記録媒体に記録し、それを再生する可変長符号化データ再生装置の構成と動作について述べる。
【0354】
<第12実施例>
図41に、第12の実施例による可変長符号化データ記録装置の構成を示し、図面を参照して説明する。
【0355】
同図に示す可変長符号化データ記録装置510dは、前述の図35に示した第8の実施例による可変長符号化データ送信装置に比し、伝送路パケット符号化器521及び暗号化情報送信器522の代りに変調器581、及び記録器582が配置されて構成される点で異なっている。また、可変長符号化データ記録装置510dには記録媒体610が挿入されている。
【0356】
そして、同一の機能部分については同一の符号を付してある。
次に、その様に構成される可変長符号化データ記録装置(以下、単に記録装置と記すこともある。)の動作について、前述の第8の実施例と異なる部分を主に述べる。
【0357】
まず、入力画像信号は画像データ変換器511に入力され、暗号化された識別信号が電子透かし情報として埋め込まれる。次に、電子透かし情報が埋め込まれた画像信号はMPEGエンコーダ516に供給され、VLC器531に一時記憶されたVLCテーブルをもとにした圧縮符号化が行われる。符号化された画像データ及びCPU515から出力される暗号化情報は変調器581に入力される。
【0358】
そこでは、画像データ及び暗号化情報を記録媒体610に記録するためのディジタル変調が行われる。また、必要に応じて誤り信号訂正用のエラー訂正用信号が付加される。そして、ディジタル変調された信号は記録器582に供給され、そこでは例えばレーザ光線の光強度変調することにより記録媒体610に記録するための信号が発生され、その信号は例えばDVDなどの記録媒体610に照射され、記録される。
【0359】
そのようにして、記録媒体610には、VLCテーブル選択器517で標準VLCテーブル518または特別VLCテーブル519のいずれが選択されるかを識別するための識別信号が暗号化された暗号化方法と、暗号化鍵に関する暗号化情報と、圧縮符号化された画像データとが記録される。
【0360】
なお、このときの暗号化情報は、変調した画像信号の符号化データと併せて、時分割多重して記録しても良く、また記録媒体上の異なる領域にそれらの信号を記録しても良く、更にはそれぞれを異なる複数の記録媒体に記録するようにしても良い。
【0361】
次に、そのようにして記録された記録媒体の再生及び復号化を行う可変長符号化データ再生装置について述べる。
図42に、第12の実施例による可変長符号化データ再生装置の構成を示し、図面を参照して説明する。
【0362】
同図に示す可変長符号化データ再生装置550dは、前述の図36に示した第8の実施例による可変長符号化データ受信装置に比し、伝送路パケット復号化器551及び暗号化情報受信器552の代りに再生器591及び復調器592が配置された構成とされる点で異なっている。また、可変長符号化データ再生装置550dには記録媒体610が挿入されている。
【0363】
そして、同一の機能部分については同一の符号を付してある。
次に、その様に構成される可変長符号化データ再生装置(以下、単に再生装置と記すこともある)の動作について、第8の実施例と異なる部分を主に述べる。
【0364】
まず、記録装置510dにより記録された記録媒体610は再生装置560dの図示しない装填部に装填される。その記録媒体610は再生器591により、例えばレーザ光が照射されて上記の記録された信号が読み出される。
【0365】
その読み出して得られる信号は復調器592に供給され、そこでは上述の変調器581と相補的に信号処理がなされ、圧縮符号化された画像データ及び暗号化情報が復調されて得られる。
【0366】
次に、暗号化情報はCPU565に供給されると共に、圧縮符号化された画像データはMPEGデコーダ561に供給される。
以下、前述の図37に示した第9実施例による可変長符号化データ受信装置と同様な動作がなされる。
【0367】
以上、第12の実施例による記録装置及び再生装置の構成と、それらの動作について述べた。次に再生装置の他の実施例について述べる。
<第13実施例>
図43に、第12の実施例による記録装置と組み合わせて用いられる第13の実施例による再生装置の構成を示す。
【0368】
同図に示す可変長符号化データ受信装置550eは、前記の図42に示した第10の実施例による受信装置550bに比して、ICカードリーダ/ライタ572及びそれに挿入されるICカード601が配置されている点で異なっている。また、同一の機能ブロックには同一の符号を付してある。
【0369】
次に、その様に構成される再生装置550eの動作について、再生装置550dの動作と異なる部分を主に述べる。
即ち、再生装置550eは、前述の図40に示した第11の実施例で述べたICカードリーダ/ライタ572及びそれに挿入されるICカード601により実現される機能が付加されている。
【0370】
従って、ICカード601に所定の課金可能な金額が蓄積されており、且つ所定の再生条件が満たされるときに、MPEGデコーダ561内のVLC復号器571に、記録装置510dのMPEGエンコーダ516によるエンコード時と同一のVLCテーブルが供給される。それを用いて、入力される符号化された画像データの復号化が行われるため、そのときには品質の高い画像信号が得られるようになされる。
【0371】
そして、画像データなどのコンテンツの著作権を有する著作権者が、保有するコンテンツを契約関係にある特別の再生装置または特定の条件を満たす再生装置と、契約関係にない一般の再生装置、及び課金情報が不足するなど特定の条件を満たさない再生装置とに対して、異なる品質の画像信号を供給可能とするものである。
【0372】
また、特別の再生装置には画像電子透かし検出器、識別情報復号化器、及び特別VLCテーブルを搭載し、デコードに適したVLCテーブルをデコーダに供給できる制御機器を保有させるようにすることによリ、一般者と特別者に対して同一の記録媒体でありながら異なる品質の画像信号が再生される記録媒体を供給することができる。
【0373】
以上、第13の実施例による可変長符号化データ受信装置550eの構成と動作について述べた。
次に、VLCテーブル情報を用いてMPEGエンコーダ及びMPEGデコーダのVLCテーブルを切り替える記録装置及び再生装置について述べる。
【0374】
<第14実施例>
図44に、第14の実施例による可変長符号化データ記録装置の構成を示し、図と共に説明する。
同図に示す可変長符号化データ記録装置510fは、前述の図38に示した第10の実施例による送信装置510bに比し、伝送路パケット符号化器521及び暗号化情報送信器522の代りに変調器581及び記録器582が配置されて構成される点で異なっている。また、可変長符号化データ記録装置510fには記録媒体610が挿入されている。
【0375】
そして、同一の機能部分については同一の符号を付してある。
次に、その様に構成される可変長符号化データ記録装置510fの動作について、第10の実施例と異なる部分を主に述べる。
【0376】
まず、入力画像信号は画像データ変換器511に入力され、暗号化された識別信号が電子透かし情報として埋め込まれる。そして、電子透かし情報が埋め込まれた画像信号は、MPEGエンコーダ516に供給され、VLC器531に一時記憶されたVLCテーブルをもとに圧縮符号化が行われる。また、符号化された画像データ及びCPU515から出力される暗号化情報は変調器581に入力される。
【0377】
そして、変調器581に入力された画像データ及び暗号化情報は、前述の図41に示す第12の実施例と同様にして記録媒体610に記録されるなど、前述と同様な動作が行われる。
【0378】
次に、そのようにして記録された記録媒体の再生及び復号化を行う可変長符号化データ再生装置について述べる。
図45に、第14の実施例による可変長符号化データ再生装置の構成を示し、図面を参照して説明する。
【0379】
同図に示す可変長符号化データ再生装置550fは、前述の図39に示した第10の実施例による可変長符号化データ受信装置550bに比し、伝送路パケット復号化器551及び暗号化情報受信器552の代りに再生器591及び復調器592が配置された構成とされる点で異なっている。また、可変長符号化データ再生装置550fには記録媒体610が挿入されている。
【0380】
そして、同一の機能部分については同一の符号を付してある。
次に、その様に構成される可変長符号化データ再生装置の動作について、第10の実施例と異なる部分を主に述べる。
【0381】
まず、記録装置510fにより記録された記録媒体610は再生装置550fの図示しない装填部に装填される。その記録媒体610は再生器591及び復調器592により再生され、圧縮符号化された画像データ及び暗号化情報が得られる。
【0382】
次に、暗号化情報はCPU565に供給されると共に、圧縮符号化された画像データはMPEGデコーダ561に供給される。
以下、前述の図39に示した第10実施例による可変長符号化データ受信装置550bと同様な動作がなされる。
【0383】
以上、第14の実施例による記録装置及び再生装置の構成と、それらの動作について述べた。次に再生装置の他の実施例について述べる。
<第15実施例>
図46に、第14の実施例による記録装置と組み合わせて用いられる第15の実施例による再生装置の構成を示す。
【0384】
同図に示す可変長符号化データ再生装置550gは、前記の図45に示した第14の実施例による受信装置550fに比し、ICカードリーダ/ライタ572及びそれに挿入されるICカード601が配置され、またVLC復号器571に代えてVLC再生復号化器571aを配置している点で異なっている。また、同一の機能ブロックには同一の符号を付してある。
【0385】
次に、この様に構成される再生装置550gの動作について、再生装置550fの動作と異なる部分を主に述べる。
即ち、再生装置550gには、前述の図43に示した第13の実施例で述べたICカードリーダ/ライタ572及びそれに挿入されるICカード601により実現される機能が付加されている。
【0386】
従って、ICカード601に所定の課金可能な金額が記録されており、且つ所定の再生条件が満たされるときには、CPU565からVLCテーブル情報がVLC再生復号器571aに供給される。
【0387】
そして、特別VLCテーブルを用いて行う復号が許可されるときには、VLC生成復号器571aで、特別VLCテーブルが作成され、MPEGデコーダ561では品質劣化のない画像の復号化が行われる
【0388】
以上、第15の実施例における受信装置の構成とその動作について述べた。
そのようにして、コンテンツの著作権を有する著作権者により契約関係にある再生装置と契約関係にない再生装置に対し、異なる品質の画像信号を供給することができる。
【0389】
そして、著作権者は同一の記録媒体に記録したコンテンツを供給するだけで、そのコンテンツの再生は一般者と特別者に対して異なる品質の画像信号として再生させることのできる記録媒体として供給することが可能となる。
【0390】
以上、第1〜第15の実施例により、MPEGにより行われる、画像信号及び音響信号を直交変換して係数値信号を得、その得られた係数値信号をランレングス符号化して行う符号化方式において、コンテンツの情報を高品質に再生する復号装置と、歪を伴って再生される半開示のコンテンツを再生する復号装置の構成と動作について述べた。
【0391】
そして、そのような品質の異なるコンテンツ再生するためには、上記の直交変換して得られる係数値信号に対するランレングス符号化を行う同様の符号化方式に対して応用が可能である。
【0392】
即ち、コンテンツ信号を情報のエネルギーが所定の情報に集中するように変換し、変換して得られる数値情報のエネルギーが集中していない個所の情報をランレングス符号化するようにして圧縮符号化を行う方式である限り、「0」以外の数に係るラン長を符号化する方法によっても構わない。
【0393】
さらに、可変長符号のコードテーブルのうち、同じ符号カテゴリーのコード同士を入れ替える規則として、画像の場合にはAC成分のラン長やレベル、音声においてはスケールファクタやスペクトルを含む情報として説明したが、画像や音声の品質を変化させるパラメータやシンタックスであれば、コード情報の入れ替えにより生成するランレングステーブルが符号化時に扱う情報の種類は何であっても構わない。
【0394】
即ち、画像の場合にはAC成分のラン長やレベル、音声においてはスケールファクタやスペクトルを含む情報を固定長符号化する場合であっても、コンテンツの著作権を有する著作権者が、保有するコンテンツを契約関係にある特別の再生装置または特定の条件を満たす再生装置と、契約関係にない一般の再生装置または特定の条件を満たさない再生装置に対して、異なる品質の画像信号を供給することができる。
【0395】
さらに、コードテーブルを2つないしは複数を有し、それらのうちの1つを選択して可変長符号化を行う方法について述べた。そして、コードテーブルを選択して用いる外に、1つのコードテーブルのみを有し、そのテーブルの記述内容の一部を入れ替えるようにして上記の動作を行わせることができる。
【0396】
そして、そのコードテーブルの入れ替えを識別するための符号化選択信号は、その入れ替えルールを特定するための、例えばアルゴリズムナンバーのような番号情報を伝送するだけでも実施が可能である。従って、テーブルの切り替えにより実現する方法は、上記動作を実現するために複数ある実現手段のひとつである。
【0397】
さらに、前述のランレングス符号化は、例えばハフマン符号のように、数値情報の発生確立に応じ、発生確立の少ない事象を冗長度を削減した方法により記述するに際し、数値情報の個数を正確に計数し、その個数情報の後に記述される数値としては正しい値と近似した値とを選択出来るようにして符号化を行う限り、どのような符号化の方法であっても構わない。
【0398】
さらにまた、本実施例では可変長符号化に応用する例を中心に説明したが、可変長符号化の代りに固定長符号化を用いる符号化に対しても同様に応用できる。即ち、固定長符号化の場合には符号化効率の改善は少ないものの、異なる複数の品質のコンテンツを提供するための手法として前述の手法を応用することができる。
【0399】
そして、そのときには、著作権者により特別であるとして指定される再生装置には、画像電子透かし検出器、識別情報復号化器、及び特別なルールによって上記固定長符号化されたパラメータやシンタックスを変換させるアルゴリズムを持つ機能を搭載させることになる。
【0400】
そして、特別に符号化された信号をデコードするためのパラメータやシンタックスに係る情報をその特別デコーダに供給する制御機能を保有させることによリ、一般者と特別者に対して同一の符号化データでありながら異なる品質の画像信号、及びオーディオ信号が再生される、画像、オーディオ信号のサービスを行うことが可能となる。
【0401】
以上のようにして、固定長符号化に応用する場合、及び可変長符号化に応用する場合の両者に対してコンテンツの開示、及びコンテンツの半開示を行う。即ち、例えばMPEG標準規格に準拠する画像信号、オーディオ信号の復号器においても、VLCエラーなどによる不条理な誤りが生じて復号が破綻されることがなく、一般の再生器では画像信号及びオーディオ信号に半開示的な表示、発音効果を有する暗号化伝送を可能とする。
【0402】
そして、少なくとも画像又は音声を含むコンテンツの著作権を有する著作権者が保有するコンテンツを、契約関係にある特別の再生装置または特定の条件を満たす再生装置と、契約関係にない一般の再生装置または特定の条件を満たしていない再生装置に対して、異なる品質のコンテンツを供給できる。
【0403】
さらに、特別の再生装置には画像電子透かし検出器、識別情報復号化器、及び特別VLCテーブルを搭載し、デコードに適したVLCテーブルをデコーダに供給できる制御機器を保有させるようにすることによリ、一般者と特別者に対して同一の符号化データでありながら異なる品質のコンテンツを再生するコンテンツ提供サービスを実現することができる。
【0404】
即ち、それらの装置、方法、及びコンピュータ制御用プログラムを用いて、半開示状態でコンテンツを配信、伝送すると共に、ユーザーに購入意欲を向上させる宣伝効果を促し、購入した場合には、特別なVLCテーブルの識別可能な再生手法を提供し、そこでは高品質なコンテンツを再生することの出来るビジネスモデルを実現できる。
【0405】
そして、そのようなコンテンツの半開示再生が可能である記録媒体は、DVDの記録媒体を主に述べた。そして、その記録媒体はコンテンツ情報を記録可能な媒体である限りDVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、そしてDVD−Rに限ることなく、更には光磁気ディスク、磁気ディスク、及び磁気テープなどのディジタル記録媒体に応用が可能である。
【0406】
また、コンテンツ信号の符号化方式は、コンテンツ信号を直交変換して得られる変換データを量子化して係数値データを得、その得られた係数値データを所定の順に配列して時系列データを得る場合について述べた。そして、その符号化方式は例えばMPEG方式のようにコンテンツを直交変換して係数値データを得る他、フラクタル符号化方式のように直交変換以外の技術を含む変換方式の場合であっても実施例で述べたのと同様の機能を実現することができる。
【0407】
即ち、コンテンツ信号の符号化が、例えばウエーブレット変換のように1枚の画像を小ブロックに分割せずに符号化を行う場合では、ブロック分割してDCT変換を行う直交変換を用いる方法に比し、ブロック分割部分がブロック歪として生じないという利点がある。
【0408】
そして、そのウエーブレット変換は、画像信号を周波数的に分割し、分割されたそれぞれの周波数帯域部分を異なったサンプリング周波数により標本化して符号化するサブバンド符号化と、上記の直交変換とを組み合わせた符号化方式である。
【0409】
他の符号化方式として、画像を小さなブロックに分割し、それぞれの分割されたブロックを1本づつのベクトル値により符号化するベクトル量子化の方法もある。
【0410】
そして、画像データが上記のいずれの方法により変換されて時系列データが得られ、その時系列データは可変長符号化を行うことにより情報量を圧縮した圧縮符号化信号として生成できる場合では、どのような方法により画像データが時系列データに変換されても構わない。
【0411】
即ち、画像信号、及び音響信号などのコンテンツコンテンツ信号が有する情報を、所定の方法により変換し、変換されたコンテンツのエネルギー(エントロピー)が所定の領域に集中されるときには、エネルギーが集中して表現される時系列データを、そのデータの数値の個数と、その次に続く数値のレベルにより記述する可変長符号化が可能である。
【0412】
そして、いずれの符号化方式による場合であっても、前述の複数の可変長符号化テーブルを用いてコンテンツをアナログ民生機器で記録再生して得られるような、半開示のコンテンツ信号として表現する、又は高い忠実度で表現するようなコンテンツの符号化、及び復号化の手法を実現することができるものである。
【0413】
【発明の効果】
圧縮符号化時に用いた符号化テーブルが可変長符号化テーブルであるか又は交換可変長符号化テーブルであるかを指定する符号化選択信号を検出し、その符号化選択信号によって指定される符号化テーブルを用いて圧縮符号化信号の復号化を行うようにした本発明の可変長符号化データ復号化方法及び可変長符号化データ復号化装置によれば、セキュリティレベルを確保した圧縮符号化信号に対して高品質なコンテンツ信号の復号化を確実に行うことができる。
【0414】
圧縮符号化時に用いる符号化テーブルが可変長符号化テーブルであるか又は交換可変長符号化テーブルであるかを指定する符号化選択信号を検出し、その符号化選択信号が交換可変長符号化テーブルを指定する場合に、復号化に使用する符号化テーブルを可変長符号化テーブル又は交換可変長符号化テーブルのうちから選択するようにした本発明の可変長符号化データ復号化方法及び可変長符号化データ復号化装置は以下の効果を有する。
1) 符号化選択信号により指定された交換可変長符号化テーブルを用いて可変長復号化を行う場合は高品質なコンテンツの再生を行う効果を有する。
2) 符号化選択信号により指定された交換可変長符号化テーブルを用いずに可変長符号化テーブルを用いて可変長復号化を行う場合は、強制的に再生品質を低下させたコンテンツの再生を行わせる効果を有する(歪成分を含むコンテンツの再生を行わせる効果を有する)。
従って、この可変長符号化データ復号化方法及び可変長符号化データ復号化装置によれば、セキュリティレベルを確保したコンテンツの復号化が確実に行える。
【0415】
さらに、本発明の各可変長符号化データ復号化方法及び各可変長符号化データ復号化装置では、所望の符号化対象のコンテンツに対して所定のセキュリティレベルを確保したコンテンツの復号化を行わせるための上記の交換可変長符号化テーブルを用いる可変長符号化が、符号化効率の劣化を防いでなされると共に、復号化時の不条理な動作による誤り信号の発生を防いでなされる一方、可変長符号化テーブルは標準的に用いられる符号化テーブルであるため、市場での整合性が良い各可変長符号化データ復号化方法及び各可変長符号化データ復号化装置の構成を提供できる効果を併せて有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る、画像信号符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係る、画像信号復号化装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第2の実施例に係る、画像信号符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施例に係る、シーケンスヘッダのシンタックスを示したものである。
【図5】本発明の第2の実施例に係る、GOPレイヤのシンタックスを示したものである。
【図6】本発明の第2の実施例に係る、ピクチャレイヤのシンタックスを示したものである。
【図7】本発明の第2の実施例に係る、画像信号復号化装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第3の実施例に係る、画像信号符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第3の実施例に係る、マクロブロック量子化値への電子透かしについて示した図である。
【図10】本発明の第3の実施例に係る、画像信号復号化装置の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第4の実施例に係る、画像信号符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の第4の実施例に係る、マクロブロック動ベクトル値への電子透かしについて示した図である。
【図13】本発明の第4の実施例に係る、画像信号復号化装置の構成を示すブロック図である。
【図14】MPEG符号化方式で用いられている可変長符号化テーブルを示したものである。
【図15】本発明の第4の実施例に係る、符号化に用いる可変長符号化テーブルの前半部を示したものである。
【図16】本発明の第4の実施例に係る、符号化に用いる可変長符号化テーブルの後半部を示したものである。
【図17】本発明の第4の実施例に係る、従来と、本発明の符号化器及び復号化器の組合わせによる画質の関係を示した図である。
【図18】本発明の第4の実施例に係る、画像符号化の動作をフローチャートにより示したものである。
【図19】本発明の第4の実施例に係る、画像復号化の動作をフローチャートにより示したものである。
【図20】本発明の第5の実施例に係る、画像信号符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図21】本発明の第5の実施例に係る、画像信号復号化装置の構成を示すブロック図である。
【図22】本発明の第5の実施例に係る、画像符号化の動作をフローチャートにより示したものである。
【図23】本発明の第5の実施例に係る、画像復号化の動作をフローチャートにより示したものである。
【図24】本発明の第6の実施例に係る、オーディオ信号符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図25】本発明の第6の実施例に係る、スケールファクタバンドとスケールファクタの関係を示す図である。
【図26】MPEG AAC符号化方式で用いられるハフマンコードブックの一部を示したものである。
【図27】本発明の第6の実施例に係る、ハフマンコードブックのインデックスの入れ替え方法を示す図である。
【図28】本発明の第6の実施例に係る、スケールファクタの可変長符号化、復号化の例を示す図である。
【図29】本発明の第6の実施例に係る、オーディオ信号復号化装置の構成を示すブロック図である。
【図30】本発明の第7の実施例に係る、オーディオ信号符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図31】MPEG AAC符号化方式で用いられるスペクトル用ハフマンコードブックの一部を示したものである。
【図32】本発明の第7の実施例に係る、スペクトル用ハフマンコードブックのコードワードの入れ替えを示した図である。
【図33】本発明の第7の実施例に係る、コードワードの入れ替えを説明するための図である。
【図34】本発明の第7の実施例に係る、オーディオ信号復号化装置の構成を示すブロック図である。
【図35】本発明の第8の実施例に係る、画像信号符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図36】本発明の第8の実施例に係る、画像信号復号化装置の構成を示すブロック図である。
【図37】本発明の第9の実施例に係る、画像信号復号化装置の構成を示すブロック図である。
【図38】本発明の第10の実施例に係る、画像信号符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図39】本発明の第10の実施例に係る、画像信号復号化装置の構成を示すブロック図である。
【図40】本発明の第11の実施例に係る、画像信号復号化装置の構成を示すブロック図である。
【図41】本発明の第12の実施例に係る、画像信号記録装置の構成を示すブロック図である。
【図42】本発明の第12の実施例に係る、画像信号再生装置の構成を示すブロック図である。
【図43】本発明の第13の実施例に係る、画像信号再生装置の構成を示すブロック図である。
【図44】本発明の第14の実施例に係る、画像信号記録装置の構成を示すブロック図である。
【図45】本発明の第14の実施例に係る、画像信号再生装置の構成を示すブロック図である。
【図46】本発明の第15の実施例に係る、画像信号再生装置の構成を示すブロック図である。
【図47】従来のMPEG符号化器の構成を示したブロック図である。
【図48】従来のMPEG復号化器の構成を示したブロック図である。
【図49】従来のMPEG AAC方式符号化器の構成を示したブロック図である。
【図50】従来のMPEG AAC方式で用いられるハフマンコードブックの表を示したものである。
【図51】従来のMPEG AAC方式復号化器の構成を示したブロック図である。
【符号の説明】
10、10a、10b、10c 画像信号符号化装置
10d 画像信号符号化送信装置
11 画像データ変換器
12、12a、12b、12c MPEGエンコーダ
13 VLCテーブル選択器
14 標準VLCテーブル
15 特別VLCテーブル
16、16a、16b、16c CPU
17 伝送路パケット符号化器
18 伝送路インタフェース
20、20a、20b、20c 画像信号復号化装置
20d 画像信号復号化受信装置
22、22a、22b、22c MPEGデコーダ
23 VLCテーブル選択器
24 標準VLCテーブル
25 特別VLCテーブル
26 画像電子透かし検出器
27 伝送路パケット復号化器
28 伝送路インタフェース
50 MPEG符号化器
51 入力端子
52 加算器
53 DCT器
54 量子化器
55 VLC器
56 バッファ
57 変換符号量制御器
61 逆量子化器
62 逆DCT器
63 加算器
64 画像メモリ
65 動き補償予測器
70 MPEG復号化器
71 符号化データ入力端子
72 バッファ
73 VLD器
74 逆量子化器
75 逆DCT器
76 加算器
77 画像メモリ
78 動き補償予測器
121 VLC器
122 ユーザデータ記述器
123 量子化値電子透かし情報記述器
124 動ベクトル電子透かし情報記述器
221 VLC復号器
222 ユーザデータ復号器
223 量子化値電子透かし情報検出器
224 動ベクトル電子透かし情報検出器
400 オーディオ信号符号化装置
401 聴覚心理分析器
402 MDCT器
403 スケールファクタ算出器
404 量子化器
405 コードブック選択器
406 可変長符号化器
407 最小符号量検出器
408 符号量判定器
409 ビットストリーム生成器
420 オーディオ信号復号化装置
421 ビットストリーム解析器
422 可変長復号化器
423 逆量子化器
424 IMDCT器
430 オーディオ信号符号化装置
431 MPEG−2 AACエンコーダ
432 ハフマンコードブック選択器
433 標準ハフマンコードブック
434 特別ハフマンコードブック
435 CPU
436 可変長符号化器
440 オーディオ信号復号化装置
441 MPEG−2 AACデコーダ
442 ハフマンコードブック選択器
443 スケールファクタ用標準ハフマンコードブック
444 スケールファクタ用特別ハフマンコードブック
445 CPU
446 可変長復号化器
450、460 オーディオ信号復号化装置
451、461 MPEG−2 AACデコーダ
452、462 ハフマンコードブック選択器
453、463 スペクトル用標準ハフマンコードブック
454、464 スペクトル用特別ハフマンコードブック
455、465 CPU
456 可変長復号化器
510、510b 可変長符号化データ送信装置
510d、510f 可変長符号化データ記録装置
511 画像データ変換器
512 暗号化器
513 暗号化方法設定器
514 暗号化鍵設定器
515 CPU
516 MPEGエンコーダ
517 VLCテーブル選択器
518 標準VLCテーブル
519 特別VLCテーブル
521 伝送路パケット符号化器
522 暗号化情報送信器
523 VLCテーブル生成器
531 VLC器
550、550a、550b、550c 可変長符号化データ受信装置
550d、550e、550f、550g 可変長符号化データ再生装置
551 伝送路パケット復号化器
552 暗号化情報受信器
561 MPEGデコーダ
562 VLCテーブル選択器
563 標準VLCテーブル
564 特別VLCテーブル
565 CPU
566 電子透かし検出器
567 復号化器
568 復号化方法選択器
569 復号化鍵選択器
571 VLC復号器
571a VLC生成復号器
572 ICカードリーダ/ライタ
581 変調器
582 記録器
591 再生器
592 復調器
601 ICカード
610 記録媒体

Claims (4)

  1. 画像信号及び音響信号のうち、少なくとも一方の信号を含んで構成されるコンテンツ信号に対して、所定の方法によるデータ変換、量子化、及び配列を行って得られる時系列データを可変長符号化して生成される圧縮符号化信号を、可変長復号化して前記時系列データを得、その得られた時系列データを復号化して前記コンテンツ信号を得る可変長符号化データ復号化方法であり、
    前記圧縮符号化信号は、前記時系列データの複数個数のデータ値に対して所定のコードワードを割り付けるようにして記述する可変長符号化テーブルと、その可変長符号化テーブルに記述されるコードワードのうち、前記時系列データの個数が同一であり、且つお互いに異なるコードワード同士を交換して記述する交換可変長符号化テーブルとの2つの符号化テーブルのうちの、どちらの符号化テーブルを用いて前記可変長符号化を行うかを指定する符号化選択信号により指定される方の符号化テーブルを用いて、前記時系列データの可変長符号化を行って生成される圧縮符号化信号であり、その圧縮符号化信号及び前記符号化選択信号を用いて前記復号化を行う可変長符号化データ復号化方法であって、
    前記符号化選択信号を検出する第1のステップと、
    検出された前記符号化選択信号を基に前記指定された方の符号化テーブルを用いて前記圧縮符号化信号を可変長復号化して前記時系列データを得る第2のステップと、
    その第2のステップで得られた時系列データを復号化して前記コンテンツ信号を得る第3のステップと、
    を有することを特徴とする可変長符号化データ復号化方法。
  2. 画像信号及び音響信号のうち、少なくとも一方の信号を含んで構成されるコンテンツ信号に対して、所定の方法によるデータ変換、量子化、及び配列を行って得られる時系列データを可変長符号化して生成される圧縮符号化信号を、可変長復号化して前記時系列データを得、その得られた時系列データを復号化して前記コンテンツ信号を得る可変長符号化データ復号化方法であり、
    前記圧縮符号化信号は、前記時系列データの複数個数のデータ値に対して所定のコードワードを割り付けるようにして記述する可変長符号化テーブルと、その可変長符号化テーブルに記述されるコードワードのうち、前記時系列データの個数が同一であり、且つお互いに異なるコードワード同士を交換して記述する交換可変長符号化テーブルとの2つの符号化テーブルのうちの、どちらの符号化テーブルを用いて前記可変長符号化を行うかを指定する符号化選択信号により指定される方の符号化テーブルを用いて、前記時系列データの可変長符号化を行って生成される圧縮符号化信号であり、その圧縮符号化信号及び前記符号化選択信号を用いて前記復号化を行う可変長符号化データ復号化方法であって、
    前記符号化選択信号を検出する第1のステップと、
    検出された前記符号化選択信号を基に前記指定された方の符号化テーブルを用いて前記圧縮符号化信号の可変長復号化を行うか、又は検出された前記符号化選択信号により前記交換可変長符号化テーブルの使用が指定された場合にそのテーブルの使用を無視し、前記可変長符号化テーブルを用いて前記圧縮符号化信号の可変長復号化を行うかを選択する第2のステップと、
    第2のステップでの選択結果に応じた符号化テーブルを用いて前記圧縮符号化信号の可変長復号化を行い時系列データを得る第3のステップと、
    その第3のステップで得られた時系列データを復号化してコンテンツ信号を得る第4のステップと、
    を有することを特徴とする可変長符号化データ復号化方法。
  3. 画像信号及び音響信号のうち、少なくとも一方の信号を含んで構成されるコンテンツ信号に対して、所定の方法によるデータ変換、量子化、及び配列を行って得られる時系列データを可変長符号化して生成される圧縮符号化信号を、可変長復号化して前記時系列データを得、その得られた時系列データを復号化して前記コンテンツ信号を得る可変長符号化データ復号化装置であり、
    前記圧縮符号化信号は、前記時系列データの複数個数のデータ値に対して所定のコードワードを割り付けるようにして記述する可変長符号化テーブルと、その可変長符号化テーブルに記述されるコードワードのうち、前記時系列データの個数が同一であり、且つお互いに異なるコードワード同士を交換して記述する交換可変長符号化テーブルとの2つの符号化テーブルのうちの、どちらの符号化テーブルを用いて前記可変長符号化を行うかを指定する符号化選択信号により指定される方の符号化テーブルを用いて、前記時系列データの可変長符号化を行って生成される圧縮符号化信号であり、その圧縮符号化信号及び前記符号化選択信号を用いて前記復号化を行う可変長符号化データ復号化装置であって、
    前記符号化選択信号を検出する符号化選択信号検出手段と、
    検出された前記符号化選択信号を基に前記指定された方の符号化テーブルを用いて前記圧縮符号化信号を可変長復号化して前記時系列データを得る可変長復号化手段と、
    その可変長復号化手段により得られた時系列データを復号化して前記コンテンツ信号を得るコンテンツ信号復号化手段と、
    を具備して構成することを特徴とする可変長符号化データ復号化装置。
  4. 画像信号及び音響信号のうち、少なくとも一方の信号を含んで構成されるコンテンツ信号に対して、所定の方法によるデータ変換、量子化、及び配列を行って得られる時系列データを可変長符号化して生成される圧縮符号化信号を、可変長復号化して前記時系列データを得、その得られた時系列データを復号化して前記コンテンツ信号を得る可変長符号化データ復号化装置であり、
    前記圧縮符号化信号は、前記時系列データの複数個数のデータ値に対して所定のコードワードを割り付けるようにして記述する可変長符号化テーブルと、その可変長符号化テーブルに記述されるコードワードのうち、前記時系列データの個数が同一であり、且つお互いに異なるコードワード同士を交換して記述する交換可変長符号化テーブルとの2つの符号化テーブルのうちの、どちらの符号化テーブルを用いて前記可変長符号化を行うかを指定する符号化選択信号により指定される方の符号化テーブルを用いて、前記時系列データの可変長符号化を行って生成される圧縮符号化信号であり、その圧縮符号化信号及び前記符号化選択信号を用いて前記復号化を行う可変長符号化データ復号化装置であって、
    前記符号化選択信号を検出する符号化選択信号検出手段と、
    検出された前記符号化選択信号を基に前記指定された方の符号化テーブルを用いて前記圧縮符号化信号の可変長復号化を行うか、又は検出された前記符号化選択信号により前記交換可変長符号化テーブルの使用が指定された場合にそのテーブルの使用を無視し、前記可変長符号化テーブルを用いて前記圧縮符号化信号の可変長復号化を行うかを選択する可変長符号化テーブル選択手段と、
    可変長符号化テーブル選択手段での選択結果に応じた符号化テーブルを用いて前記圧縮符号化信号の可変長復号化を行い時系列データを得る可変長復号化手段と、
    その可変長復号化手段により得られた時系列データを復号化してコンテンツ信号を得るコンテンツ信号復号化手段と、
    を具備して構成することを特徴とする可変長符号化データ復号化装置。
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