JP3901036B2 - 光ディスク記録装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CD−R(Compact Disc-Recordable)やCD−RW(Compact Disc-Rewritable)などの光ディスクに情報を記録するための光ディスク記録装置に係り、特に、光ディスクの記録面に画像を形成する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータシステムなどでは、CD−RやCD−RWなどの記録可能な光ディスクに対して情報の読み出しや記録をする光ディスク記録装置を備えるのが一般的になりつつある。光ディスク記録装置が光ディスクに情報を記録する場合について、CD−Rを例にして簡単に説明すると、光ディスクの記録面には、レーザ光の照射によって変色する記録層(色素層)が設けられており、光ディスク記録装置は、記録すべき情報(ビット)に応じてレーザパワーを調整し、記録層の熱変色によって光反射率を変化させて情報を記録する。また、従来の光ディスク記録装置にあっては、情報記録の際に、記録層の材質などに応じてレーザパワーを調整(補正)するようになっており、これにより、光ディスクの材質などに見合ったレーザパワーにて情報記録が行われる。
【0003】
ところで、最近では、光ディスクの記録面に情報を記録するだけではなく、記録層がレーザ光照射により熱変色することを応用して、文字や画像などの画像(ユーザが視認できる画像)を記録面に形成するといったことも検討されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、画像を形成する場合に用いられるレーザパワーなどのパラメータ値としては、情報記録時に用いられるパラメータ値、すなわち、情報記録に最適なパラメータ値が用いられるものの、このパラメータ値を用いて形成された画像は、ユーザにとって見難いものとなる場合があった。
【0005】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、視認性の高い画像を光ディスクの記録面に形成することが可能な光ディスク記録装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、光ディスクの記録面にレーザ光を照射して、情報の記録、画像の形成、および、当該記録面に記録された情報の読み出しを行う光ピックアップを備えた光ディスク記録装置であって、情報記録に用いられる情報記録用パラメータと、画像形成に用いられる画像形成用パラメータとを、光ディスクを識別するための識別情報ごとに組みにして記憶する記憶手段と、光ディスクの記録面に予め記録された当該光ディスクの識別情報を読み取るように前記光ピックアップを制御した後に、情報を記録する場合には、読み取られた識別情報に対応する情報記録用パラメータを前記記憶手段から読み出し、当該情報記録用パラメータに応じて情報が記録面に記録されるように制御する一方、画像を形成する場合には、読み取られた識別情報に対応する画像形成用パラメータを前記記憶手段から読み出して、当該画像形成用パラメータに応じて画像が形成されるように制御する制御手段とを備える光ディスク記録装置を提供する。
【0007】
この構成によれば、記録面への情報記録または画像形成時には、光ディスクの識別情報に応じた情報記録用パラメータ、または、画像形成用パラメータが読み出され、この読み出されたパラメータに応じて情報記録または画像形成が行われる。従って、各光ディスクに応じた情報記録および画像形成が行われることとなる。特に、記録面の材質が識別情報として含まれている場合には、光ディスクの記録面の材質に応じた画像形成用パラメータにて画像が形成されるため、形成された画像が記録面の材質の違いに起因して視認され難くなるといったことが防止され、視認性の高い画像を形成することが可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態では、CD−Rに情報を記録する光ディスク記録装置について例示する。なお、情報記録および画像形成は、回転速度が角速度一定となるように光ディスクを回転駆動する方式、すなわち、CAV(Constant Angular Velocity)方式にて行われるものとする。
【0009】
図1は、本実施形態に係る光ディスク記録装置10の機能的構成を示すブロック図である。図1において、制御部112は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)112aおよびRAM(Random Access Memory)等から構成されている。ROM112aには、光ディスク20の記録面に対する記録処理、画像形成処理、および、情報読出処理のためのプログラムが記憶されており、制御部112は、このプログラムに従って光ディスク記録装置10の各部を制御する。また、ROM112aには、プログラムの他にも、本発明の特徴の1つである各種データが記憶されている。このROM112aに記憶されているデータについては、後に詳述する。
【0010】
スピンドルモータ100は、光ディスク20を回転駆動するものである。周波数発生器102は、スピンドルモータ100のモータドライバから得られる逆起電流を利用してスピンドル回転速度(単位時間当たりの回転数)に応じた周波数のFGパルス信号をサーボ回路108に出力する。サーボ回路108は、FGパルス信号により示されるスピンドル回転速度が制御部112からの指示信号によって示される角速度と略等しくなるようにスピンドルモータ100をフィードバック制御する。
【0011】
光ピックアップ104は、光ディスク20に対してレーザ光を照射するユニットであり、その概略構成を図2に示す。この図に示すように、光ピックアップ104は、大別すると、発光部1040と、受光部1042と、光学系1044と、光学系駆動部1046とを備えている。発光部1040は、LD(Laser Diode)を備え、光学系1044に向けてレーザ光を出射する。光学系1044は、発光部1040からのレーザ光を光ディスク20の面上に導くものであり、多数の光学素子を有している。すなわち、回折格子1044a、偏光ビームスプリッタ1044b、コリメータレンズ1044c、1/4波長板1044d、対物レンズ1044eである。発光部1040から出射したレーザ光は、各光学素子1044a〜1044eをこれらの順に経て、光ディスク20の記録面上に集光され、情報記録時には、この集光スポットにピットが形成される。
【0012】
光ディスク20の記録面におけるピット形成について、図3を参照して具体的に説明する。図3は、光ディスク20の断面構造を示す図である。この図に示すように、光ディスク20は、図面上方のレーベル面から図面下方の記録面にかけて、保護層202、反射層204、記録層206、保護層208がこれらの順で積層した構造となっている。保護層208は、ポリカーボネートなどの合成樹脂材料から形成され、この保護層208には、レーザ光の案内溝であるプリグルーブ202aが形成されている。記録層206は、例えば、シアニン系、フタロシアニン系またはアゾ系などの有機色素を含む層であり、単位面積あたりに所定強度以上のレーザ光が照射された場合に、レーザ光照射時の発熱により照射部分の有機色素が分解する。情報記録時には、単位面積あたりの強度が所定値に達するようなパワーのレーザ光が記録層206に照射され、有機色素の分解によってピットが形成される。また、レーザ光照射により色素分解した箇所は熱変色し、本実施形態では、これを応用して、光ディスク20の記録面に多数の熱変色箇所(ドット)を形成することで、記録面に図11に示すような可視画像(人が視認できる画像)を形成する。
【0013】
図3において、反射層204は、光ピックアップ104から照射されたレーザ光を反射するための層であり、例えばアルミニウムなどの金属膜から形成されている。保護層208は、反射層204に傷が付いたり、また、反射層204が外気に触れるなどして化学変化するのを防止するための層であり、レーザ光を透過する材料により形成されている。この構成において、光ピックアップ104から照射されたレーザ光は、ピットの有無に応じて反射層204により反射され、その反射光が上述の光学系1044に戻り光として入射する。
【0014】
図2に示すように、光学系1044は、偏光ビームスプリッタ1044eによる反射光を受光部1042の受光面上に集光するシリンドリカルレンズ1044fを更に備えており、光ディスク20の面上にて反射されたレーザ光(戻り光)は、対物レンズ1044e、1/4波長板1044d、コリメータレンズ1044c、偏光ビームスプリッタ1044b、シリンドリカルレンズ1044fをこの順に経て受光部1042に導かれる。受光部1042は、受光光量に応じた受光信号を図1に示すRF(Radio Frequency)アンプ106に出力する。
【0015】
RFアンプ106は、光ピックアップ104からの受光信号を増幅してサーボ回路108、デコーダ110、ATIP(Absolute Time In Pregroove)検出回路109およびβ値検出回路111の各々にRF信号として出力する。光ディスク20の再生時にあっては、RF信号は、EFM(Eight to Fourteen Modulation)変調された信号となっており、デコーダ110は、受け取ったRF信号をEFM復調して再生データを生成し、制御部112に出力する。これにより、光ディスク20に記録された情報が再生される。
【0016】
ATIP検出回路109は、RF信号からウォブル信号成分を抽出し、さらにこのウォブル信号成分に含まれているATIP情報を復調して、制御部112に出力する。詳述すると、図4に示すように、光ディスク20の記録面には、上述のプリグループ202aが螺旋状に形成されている。このプリグループ202aは、ATIP情報をFM変調して得られる信号に応じて蛇行(ウォブル:Wobble)しており、このウォブルの検出結果からATIP情報が得られるようになっている。ATIP情報には、光ディスク20上のプリグループ202aに沿った各点におけるアドレス情報(時間情報)などが含まれている。従って、制御部112は、ATIP検出回路109により復調されたATIP情報を受け取ることで、光ピックアップ104からのレーザ光が光ディスク20のどの箇所(アドレス)に照射されているにかを特定できる。また、ATIP情報には、光ディスク20を識別するための識別情報としてメディア情報(メディアID)が含まれている。このメディア情報には、光ディスク20を製造したメーカー名や、光ディスク20の記録層206に使用されている有機色素の種類といった光ディスク20ごとに固有な情報が含まれており、制御部112は、メディア情報からメーカー名や有機色素の種類などが特定できるようになっている。
【0017】
β値検出回路111は、光ディスク20の記録面に形成されたピットを再生したときのβ値を求め、制御部112に出力する。このβ値は、十分な品質の再生信号を得るに必要な形状のピットが形成されているかを示すものであり、ピットを再生して得られるEFM信号波形のピークレベル(符号は+)をa、ボトムレベル(符号は−)をbとすると(図6参照)、(a+b)/(a−b)によって求められる。
【0018】
また、サーボ回路108は、上述したスピンドルモータ100の制御の他、トラッキング制御およびフォーカス制御をすべく、RF信号に応じてフォーカス信号とトラッキング信号とを生成し、光ピックアップ104の光学系駆動部1046に出力する。光学系駆動部1046(図2参照)は、サーボ回路108からの信号に従って対物レンズ1044eを移動させるものであり、対物レンズ1044eを保持する2つのアクチュエータを備えている。すなわち、フォーカスアクチュエータ1046aとトラッキングアクチュエータ1046bである。フォーカスアクチュエータ1046aは、サーボ回路108からのフォーカス信号に従って対物レンズ1044eを光軸方向に移動させる一方、トラッキングアクチュエータ1046bは、トラッキング信号に従って対物レンズ1044eを光ディスク20の径方向に移動させる。
【0019】
ここで、フォーカス信号は、光ピックアップ104からのレーザ光が光ディスク20の記録面上に形成されたピットに集光するように、対物レンズ1044eの移動距離を指示する信号である。また、トラッキング信号は、光ディスク20の記録面に形成されたプリグループ202aに沿ってレーザ光が照射されるように、対物レンズ1044eの光ディスク20の径方向への移動距離を指示する信号である。サーボ回路108は、これらのフォーカス信号とトラッキング信号とをRF信号に応じて生成することにより、上述したフォーカス制御およびトラッキング制御をする。
【0020】
また、光ピックアップ104には、上述した構成要素の他にも、図示しないフロントモニタダイオードが設けられている。フロントモニタダイオードは、発光部1040がレーザ光を出射している間、出射光量に応じた大きさの電流を生成するものであり、この電流が光ピックアップ104から図1に示すレーザパワー制御回路(LPC)124に供給される。レーザパワー制御回路124は、フロントモニタダイオードからの電流値と、制御部112からの指示信号とから光ピックアップ104から出射されるレーザ光のパワーを規定するパワー指示信号を生成しレーザドライバ120に出力する。より具体的には、レーザパワー制御回路124は、フロントモニタダイオードからの電流値によって示されるレーザパワーが制御部112からの指示信号によって示されるレーザパワーと略一致するようにレーザドライバ120を制御するためのパワー指示信号を生成する。
【0021】
バッファメモリ114は、光ディスク記録装置10と信号ケーブルにて接続された外部装置であるパーソナルコンピュータ(以下、「ホストPC」と称する)30からの各種データを一時的に蓄積するメモリである。蓄積されるデータには、光ディスク20の記録面に形成すべき画像を示す画像データや、記録すべき情報を示す記録データなどがあり、バッファメモリ114は、画像データを制御部112に出力し、また、記録データをエンコーダ116に出力する。一方、ホストPC30には、光ディスク記録装置10に記録データや画像データを送信する一方で、この光ディスク記録装置10に対して光ディスク20への画像形成や情報記録などを指示するためのアプリケーションプログラムがインストールされている。ユーザは、アプリケーションプログラムをホストPC30に実行させることで、この光ディスク記録装置10に対して画像形成または情報記録の指示ができるようになっている。
【0022】
エンコーダ116は、記録データをEFM変調し、ストラテジ回路118に出力する。ストラテジ回路118は、EFM信号に対して時間軸補正処理をして、レーザドライバ120に出力する。レーザドライバ120は、ストラテジ回路118からの信号と、後述する駆動パルス生成部122およびレーザパワー制御回路(LPC)124からの信号とに応じたレーザ駆動信号を生成し、光ピックアップ104の発光部1040に出力する。この構成において、発光部1040がレーザ駆動信号により規定されるレーザ光を光ディスク20の記録面に照射することにより情報が記録される。
【0023】
ここで、ホストPC30において用いられる画像データは、一般的には、階調度(濃淡)が規定されたドット(ピクセル)の集合により画像を表すビットマップ形式である。そこで、制御部112は、バッファメモリ114からビットマップ形式の画像データを受け取ると、画像を構成する各ドットと光ディスク20上のアドレスとの対応付けを行うと共に、ドットに割り当てられている階調度とアドレスの対応付けをする。これにより、光ディスク20上のアドレスと、このアドレスに形成されるべきドットの階調度とが決定される。また、制御部112は、画像の各ドットを光ディスク20に実際に形成する際には、ATIP検出回路109から供給されるATIP情報に含まれるアドレス情報を受け取り、このアドレスに形成すべきドットの階調度を特定し、この階調度に従って駆動パルス生成部122およびレーザパワー制御回路124に指示信号を出力する。なお、本実施形態においては、説明を簡単にするために、形成すべき画像は、いわゆる白黒画像、すなわち、階調度が2階調の画像であるとし、画像形成時には、ドットを形成すべき箇所にのみ、レーザ光が照射される。
【0024】
駆動パルス生成部122は、制御部112からの指示信号に従ってレーザ光の照射タイミングや照射時間等を制御する駆動パルスを生成してレーザドライバ120に出力する。本実施形態では、光ディスク20は、CAV方式で回転されるから、回転線速度は、光ディスク20の外周側にかけて大きくなる。このため、レーザ光を一定時間だけ照射してピットを形成する場合、光ディスク20の内周側よりも外周側に形成されたピットのピット長が長くなる。このようなピットが形成された光ディスクをCLV方式などの他の駆動方式で回転させたときには、情報の再生ができないことになる。そこで、駆動パルス生成部122は、形成すべき長さのピットが形成されるように、レーザ照射時間を指示する駆動パルスを生成しレーザドライバ120に出力する。
【0025】
ステッピングモータ126は、光ピックアップ104を光ディスク20の径方向に移動させるためのモータである。モータドライバ128は、モータコントローラ130から供給されるパルス信号に応じた量だけステッピングモータ126を回転駆動し、光ディスク20の径方向に移動させる。モータコントローラ130は、制御部112から指示される光ピックアップ104の径方向への移動方向および移動量を含む移動開始指示に従って移動量や移動方向に応じたパルス信号を生成し、モータドライバ128に出力する。このように、ステッピングモータ126が光ピックアップ104を光ディスク20の径方向に移動させること(いわゆる、フィード送り)、および、光ディスク20をスピンドルモータ100が光ディスク20を回転させることにより、光ピックアップ104のレーザ光照射位置を光ディスク20の様々な位置に移動させることができる。
【0026】
また、制御部112が備えるROM112aには、図5に示すようなメディアデータベース1120が格納されている。この図に示すように、メディアデータベース1120には、光ディスク20の記録層206に用いられ得る有機色素の種別ごとに、情報記録時に使用される情報記録用パラメータであるレーザパワー補正値と、画像形成時に使用される画像形成用パラメータである最適レーザパワーとが組みにして記録されている。ここで、レーザパワー補正値とは、光ディスク20への情報記録に用いられるレーザパワーを有機色素の種類ごとに補正するための値である。この補正値について、より具体的に説明する。本実施形態の光ディスク記録装置10は、実際の情報記録に先立って、情報記録に最適なレーザパワーを決定するためのOPC(Optimum Power Control)を行う。光ディスク20の最内周エリアには、PCA領域(Power Calibration Area:パワー較正領域)が設けられており、OPCにあっては、このPCA領域にテスト記録が行われる。
【0027】
このテスト記録では、光ディスク記録装置10が光ディスク20の回転線速度を一定に維持した状態(例えば1倍速)で、レーザパワーを段階的に変更する毎にピットを形成し、これらのピットを再生したときのβ値を各ピットについて求める。β値と再生信号に含まれるジッタとの間には、図7に示すように、β値=βa付近でジッタが最適となる関係がある。従って、ピットが再生されたときに、求められたβ値がβ値≒βaであれば、十分な形状のピットが形成されていることになる。そこで、光ディスク記録装置10は、レーザパワーを段階的に変えて形成された各ピットのβ値から、値がβaとなるレーザパワーを求め、このレーザパワーを、テスト記録時の線速度における最適なレーザパワーと決定する。
【0028】
また、本実施形態では、CAV方式が用いられているから、光ディスク20の内周側と外周側とで線速度が異なる。そこで、光ディスク記録装置10は、他の倍速線速度における最適なレーザパワーを決定するために、光ディスク20の線速度を変えて(例えば2倍速など)上述のテスト記録を実行する。そして、光ディスク記録装置10は、各テスト記録の結果から、例えば補間するなどして図8に示すような各倍速の線速度と最適なレーザパワーの関係を求める。このように、OPCにあっては、例えば1倍速(図中V1)や2倍速(図中V2)などの比較的低速な線速度にてテスト記録が行われ、他の倍速については、図8に示すレーザパワー特性から最適なレーザパワーが決定されている。
【0029】
しかしながら、上述のOPCによって求められたレーザパワー特性と実際の理想的なレーザパワー特性とにズレが生じる場合がある。そこで、本実施形態では、OPCによって求めたレーザパワー特性を補正するための補正値、すなわち、レーザパワーの補正値を、光ディスク20の記録層206に使用され得る有機色素の種類ごとにメディタデータベース1120に記憶させている。この補正値としては、次のようなものがある。例えば、OPCによって求められたレーザパワー特性が次のように一次関数にて表記されたとする。
P=a×VL+b
但し、Pはレーザパワー、VLは光ディスク20の回転線速度、aは傾き、bは切片値を示す。
一般的に、傾きaは、有機色素の種類ごとに略固有の値となるものの、切片値bは、有機色素の種類が同じでも、記録対象となる光ディスク20ごとに異なる場合が多い。そこで、メディアデータベース1120には、有機色素の種類ごとに傾きaだけを記録しておき、OPCの結果に従って最小二乗法などにより切片値bを決定する。これにより、OPCの結果だけから求められるレーザパワー特性が補正され、より正確なレーザパワー特性が得られる。
なお、有機色素の種類によっては、レーザパワー特性が二次関数となる場合があり、この場合は、2次および1次の項の係数をメディアデータベース1120に記憶させておき、0次の項(すなわち、定数項)をOPCの結果から求めるようにしても良い。また、上述の補正値は、あくまでも例示であり、これに限定されるものではない。すなわち、補正値は、OPCによって求められた情報記録に最適なレーザパワーを、光ディスク20の記録層206に使用されている有機色素の種類に応じて適正なレーザパワーに補正し得る値であれば良く、例えばメーカーごとに固有に発生する光ディスクの反りなどに対処すべく、情報記録時のレーザパワーを補正するための値などであっても良い。
【0030】
次いで、メディタデータベース1120に記憶されている画像形成の最適レーザパワーについて説明する。一般に、レーザパワーが同一であれば、画像形成時の光ディスク20の回転速度を遅くする程、画像コントラストは高くなる。これは、レーザ光照射によって光ディスク20の単位面積あたりに発生する熱量が増大し、光ディスク20の記録層206の色素分解が十分に誘起される他、反射層204が熱変形などすることがあるからである。しかしながら、画像コントラストを高めるために、光ディスク20の回転速度を遅くしてしまうと、画像を構成する全てのドットを光ディスク20に形成するまでの時間が長くなってしまう。従って、画像形成時のレーザパワーは、光ディスク20の回転速度と画像コントラストとの両方を鑑みて決定される必要がある。そこで、従来から、画像形成時におけるレーザパワー制御に、β値を用いることが検討されている。上述したように、β値は、十分な形状のピットが形成されるために最適なレーザパワーを光ディスク20の回転速度ごとに決定するための指標である。このβ値を用いることにより、画像形成に最適なレーザパワーが光ディスク20の回転速度ごとに規定されることになる。
【0031】
しかしながら、ピット形成に最適なレーザパワー、すなわち、情報記録に最適なレーザパワーにて画像が形成されたときに、必ずしも画像コントラストが高くなる訳ではない。図9は、光ディスク20の回転速度(線速度)を一定とした場合のレーザパワーと、画像コントラストとの関係を、有機色素の種類別に示す図である。この図には、有機色素としてシアニン系、スーパーシアニン系、フタロシアニン系およびアゾ系の4種類の有機色素が例示されており、また、画像形成時に最適なレーザパワーを△印で示すと共に、情報記録時に最適なレーザパワーを●印で示している。同図に示すように、画像形成時と情報記録時とにおける最適なレーザパワーを有機色素毎に比較した場合、情報記録時よりも画像形成時の方が大きいレーザパワーを要する。従って、情報記録時に最適なレーザパワーにて画像(ドット)が形成されたとしても、画像コントラストが低くなり、視認性が悪くなってしまう。特に、フタロシアニン系の有機色素は、他の有機色素に比べてレーザ光照射による熱変色の度合いが一般的に小さいため発色が悪く、情報記録としては最適なレーザパワーであっても、このレーザパワーにて形成された画像は、ユーザが視認できない程、コントラストが低くなってしまう場合もある。
【0032】
そこで、本実施形態では、画像形成に最適なレーザパワーをβ値から決定するのではなく、次のように決定している。すなわち、レーザ照射によって記録層206の単位面積あたりに発生する熱量から最適なレーザパワーを決定するのである。詳述すると、記録層206の熱変色は、レーザ光照射による有機色素の分解に起因するものであり、さらに、この分解の度合い、すなわち、熱変色の度合いは、レーザ光照射によって発生する単位面積あたりの熱量に依存する。従って、熱変色による画像コントラストが高くなる熱量が発生するようなパワーのレーザ光が照射されれば良い。具体的には、図9に示すように、各有機色素に共通して、レーザパワーが大となるにつれて、画像コントラストが飽和する傾向にある(各有機色素の飽和点を■印で示す)。これは、ある一定パワー以上のレーザ光が照射された場合には、光ディスク20の反射層204に熱変形が生じるためと考えられ、このため、このパワー以上のレーザ光が照射されても、画像コントラストはあまり変化しない。従って、この飽和点手前のレーザパワーにて画像が形成されれば、画像コントラストを可能な限り高くすることができる。そこで、本実施形態では、飽和点手前のレーザパワーが最適レーザパワーとしている。なお、最適レーザパワーを飽和点手前とする理由は、LDの使用寿命が短命化するのを防止するためであり、最適レーザパワーとしては、この飽和点近傍の値であれば任意の値を用いることができる。
【0033】
また、図9に示すように、同一のレーザパワーにて比較した場合、アゾ系の有機色素にあっては、他の有機色素よりも画像コントラストが低くなる。従って、有機色素の種類と無関係に同一パワーのレーザ光を光ディスク20に照射して画像を形成した場合、フタロシアニン系の有機色素が使用された光ディスク20にあっては、画像のコントラストが低くなり、視認性が悪くなる。このように、レーザパワーと画像コントラストとの特性が有機色素の種類毎に異なるため、本実施形態にあっては、上述のような画像形成時の最適レーザパワーが記録層206に使用され得る有機色素毎にも予め実験などにより求められており、このようにして求められた最適レーザパワーが有機色素の種類ごとにメディアデータベース1120に記録されている。このような構成により、光ディスク20の記録面の材質、すなわち、記録層206の有機色素の種類に応じた最適レーザパワーにて画像形成が行え、画像コントラストを高くすることができる。
【0034】
次いで、本実施形態に係る光ディスク記録装置10の動作について説明する。図10は、光ディスク記録装置10の制御部112によって実行される制御動作を示すフローチャートである。上述したように、光ディスク記録装置10は、ホストPC30と信号ケーブルを介して接続されており、ホストPC30からの指示信号を受信し、この指示信号に応じた動作をする。具体的には、この指示信号は、光ディスク20に情報を記録すべき旨を指示する情報記録指示信号と、画像を形成すべき旨を指示する画像形成指示信号との2つに大別され、各々の指示信号には、光ディスク20の回転速度(本実施形態では角速度)を規定する速度情報が含まれている。
【0035】
制御部112は、図10に示すように、ホストPC30から指示信号を受信すると(ステップS1)、受信した指示信号が情報記録指示信号であるか、または、画像形成指示信号であるかを判別する(ステップS2)。そして、指示信号が情報記録指示信号であれば、制御部112は、各部を制御してOPCを実行させ(ステップS3)、図8に示すようなレーザパワー特性を求める(ステップS4)。次に、制御部112は、光ディスク20の記録面に記録されたATIP情報を取得して、記録層206に使用されている有機色素の種類を特定する(ステップS5)。次いで、制御部112は、ステップS5にて特定した有機色素の種類を検索キーとしてメディアデータベース1120を検索し、この有機色素の種類に対応する補正値を読み出す(ステップS6)。次に、制御部112は、読み出した補正値により、ステップS4において求められたレーザパワー特性を補正する(ステップS7)。そして、制御部112は、各部を制御して、速度情報により示される回転速度(角速度)にて光ディスク20を回転させ、ステップS7にて補正したレーザパワー特性に従って光ピックアップ104から照射されるレーザ光のパワーを調整しつつ、ホストPC30から順次供給される記録データに従って光ディスク20の記録面にピットを形成させる(ステップS8)。
【0036】
一方、ステップS2の判別の結果、指示信号が画像形成指示信号であれば、制御部112は、メディア情報を取得して、光ディスク20の記録面に使用されている有機色素の種類を特定する(ステップS9)。次いで、制御部112は、ステップS9において特定した有機色素の種類とを検索キーとして、メディアデータベース1120を検索し、該当する画像形成に最適なレーザパワーを読み出す(ステップS10)。そして、制御部112は、光ディスク記録装置10の各部を制御して、ステップS10において決定した最適なレーザパワーにて光ディスク20の各アドレスに階調度に応じたドットを形成し、記録面に画像を形成するための画像形成制御を行う(ステップS11)。詳細には、制御部112は、ATIP検出回路109からのATIP情報により示されるアドレスがドットを形成すべきアドレスであった場合には、ステップS10において決定したパワーのレーザ光が照射されるように、そのアドレスにおける線速度に応じてレーザパワー制御回路124にパワー指示信号を出力する。具体的には、CAV方式にあっては、光ディスク20の内周側よりも外周側での線速度が大きくなるため、一定のレーザパワーを照射する場合には、光ディスクの外周側にかけてレーザパワーを次第に大きくする必要がある。そこで、制御部112は、ステップS10において決定したレーザパワーのレーザ光が照射されるように、このレーザ光が照射されるアドレスの線速度に応じてレーザパワーを調整する。次いで、制御部は、画像を構成する全てのドットについて、ステップS12の動作を繰り返すことにより、例えば図11に示すような可視画像が記録面に形成される。なお、本動作例では、情報記録と画像形成とが指示信号により択一的に指示される場合について例示したが、情報記録が行われた後に、引き続き、画像形成が行われても良い。
【0037】
以上説明したように、本実施形態にあっては、情報記録時には、ピットを形成するに最適なレーザパワーが決定されるため、記録信号品位の良好な情報記録が行われる。これに加えて、本実施形態にあっては、画像コントラストが高くなるレーザパワーが光ディスク20の記録層206に使用され得る有機色素の種類毎に、メディアデータベース1120に予め記録されている。従って、画像形成時には、最適なレーザパワーが有機色素の種類に応じて決定され、このレーザパワーにて画像が形成されるため、画像コントラストを高くすることができ、視認性の高い画像が形成されることとなる。
【0038】
<画像形成時に用いられるパラメータの他の態様>
上述した実施形態において、画像形成時には、光ディスク20の記録層206に使用されている有機色素の種類に応じてレーザパワーが変更される構成とした。しかしながら、これに限らず、例えばレーザ光を照射する照射時間や、画像(ドット)形成時の線速度などが変更される構成としても良い。詳述すると、上述したように、レーザ光照射による記録層206の発色の度合いは、レーザ光照射によって発生する単位面積あたりの熱量に依存する。さらに、この熱量は、レーザパワー、レーザ照射時間、レーザ光の照射箇所におけるスポット径、および、レーザ光が照射される箇所における光ディスク20の線速度に依存する。従って、レーザパワーに代えて、有機色素の種類に応じて、レーザ照射時間、スポット径、線速度のいずれかを変更するようにしても良く、また、これらの幾つかを同時に変更しても良い。換言すれば、画像形成時に、図9に示す飽和点に相当する熱量が記録層206に与えられれば良いのである。
【0039】
より具体的には、飽和点に相当する熱量を有機色素ごとに予め求め、この熱量がドットを形成すべき箇所で発生するように、制御部112は、レーザパワー、レーザ照射時間、スポット径、および、線速度の各々を変更すれば良い。例えば、メディアデータ1120には、予め求められている熱量が記録層206に使用され得る有機色素毎に記録されており、制御部112は、ドットを形成すべき箇所において、有機色素の種類に応じた熱量がレーザ光照射によって生じるように、レーザパワー、レーザ照射時間、スポット径、および線速度のうち、いずれか1つまたは複数を変更する構成とする。
【0040】
このような構成において、例えば、レーザ照射時間が変更される場合には、制御部112は、レーザパルス時間幅を変更すべく駆動パルス生成部122を制御し、また、スポット径が変更される場合には、制御部112は、光ピックアップ104のフォーカスアクチュエータ1046を駆動してレーザ光の焦点位置を変えるべくサーボ回路108を制御する。さらにまた、線速度が変更される場合には、制御部112は、スピンドルモータ100の回転速度が変更されるべくサーボ回路108を制御する。本変形例によれば、レーザパワーのみの調整により飽和点に相当する熱量を与える際に、照射すべきレーザパワーがLDの定格を越えてしまった場合であっても、例えば線速度を変更するなどして、有機色素の種類に応じた熱量を記録層206に発生させることができ、高コントラストな画像を形成することができる。さらに、レーザ照射時間や線速度といったレーザパワー以外を変更可能とすることで、LDを定格範囲内で動作させることができ、これにより、LDの耐久寿命が短くなることが防止される。なお、メディアデータベース1120には、画像コントラストが略最大となる熱量をレーザパワー、レーザ照射時間、スポット径、または、線速度に換算した換算値が記録されても良い。
【0041】
また、上述のように、飽和点に相当する熱量を記録面に対して与える他にも、次のようにして画像コントラストを上げることができる。一般的に、画像コントラストは、単位面積において熱変色した領域の占める割合によって変化し、熱変色した領域が占める割合が大きいほど、画像コントラストが高いと視認される。そこで、メディアデータベース1120には、上述したレーザパワーなどに代えて、この単位面積あたりにドットを形成する回数を規定するパラメータが記録される構成でも良い。さらに詳述すると、この構成にあっては、上述の実施形態に説明したように、プリグループ202aに沿って画像のドットが形成される構成ではなく、図12に示すように、光ディスク20の中心と同心の多数の円上の各々にn個の座標(図中黒点で示す)を設定し、その座標ごとに色階調に応じたドットを形成する構成とする。ここで、各円を行と呼び、また、各行に設定されたn個の座標を列と呼ぶことにする。
【0042】
このような構成において、各円の径が近くなる値に設定されれば、すなわち、各行が近接するように設定されれば、図13に示すように、単位面積あたりに形成される線(ドットの集合)の本数が増えるため、画像コントラストが高いと視認される。従って、画像コントラストを高くするのであれば、光ピックアップ104の光ディスク20の径方向の移動量(フィード送り量)を小さくする一方、画像コントラストを低くするのであれば、フィード送り量を大きくすれば良い。そこで、所望の画像コントラストを得るに必要なフィード送り量を有機色素ごとに予め求め、このようにして求められたフィード送り量がパラメータとしてメディアデータベース1120に記録される構成であっても良い。
【0043】
また、各円ごとにドットが形成される構成にあっては、画像形成時には、最内周側から外周、または、最外周から内周にかけて、各円ごとにドットが形成されることになる。1つの円にドットが形成される際には、実際には、光ディスク20が複数回、回転(周回)されており、周回ごとに、同一周波数かつ同一振幅であって、位相だけが異なるトラッキング信号が与えられ、レーザ光の照射軌跡が周回ごとに異なるように設定されている。より具体的には、サーボ回路108は、周回数をNとすると、各円の座標開始点を規定するための径方向の基準線の通過タイミングを時間軸のゼロとしたとき、第1周回では位相をゼロとし、第2周回以降から位相を順番に(2π/N)ずつ遅延させた三角波信号をトラッキング信号として生成する。
【0044】
このトラッキング信号がトラッキングアクチュエータ1046bに供給されると、光ディスク20に対するレーザ光の照射軌跡は、図14に示されるように、第1周回における軌跡▲1▼から第N周回(図示例では、N=7)における軌跡▲7▼までにわたって互いに相違したものとなる。なお、レーザの照射軌跡は、光ディスク20が回転するため、実際には円弧であるが、この図においては、説明の便宜のために直線に展開している。
【0045】
上述したように、1つの円についてドットが形成される場合、レーザ光の照射軌跡が周回ごとに異なるため、ある周回では、レーザ光の照射によって記録層206が熱変色される一方、他の周回では、熱変色されないようにすれば、単位面積あたりの熱変色部分と未変色部分との面積比率が変化し、これによって画像コントラストが変化する。すなわち、画像コントラストを高くするのであれば、熱変色させる周回数を大きくする一方、画像コントラストを低くするのであれば、周回数を小さくすれば良い。そこで、所望の画像コントラストを得るに必要な周回数、すなわち、重ね書き回数を有機色素の種類ごとに予め求め、このようにして求められた重ね書き回数がパラメータとしてメディアデータベース1120に記録される構成であっても良い。
【0046】
<変形例>
上述した実施形態は、あくまでも例示であって、本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変更可能である。そこで、以下に、種々の変形例について説明する。
【0047】
(変形例1)
上述した実施形態においては、画像を構成する各ドット(ピクセル)ごとに、レーザ光をON/OFFして記録面にドットを形成し、画像を形成する構成について例示した。しかしながら、色階調が同一となるドットが複数個連続する場合、これらのドットが1回のレーザ光照射にて形成される構成としても良い。具体的には、連続して同一色階調となるドット数がNである場合には、制御部112は、レーザ照射時間が1つのドットを形成するときのレーザ照射時間のN倍となるように、駆動パルス生成部122を制御する。このように本変形例によれば、複数個のドットが1回のレーザ光照射にて形成されるため、画像形成に要する時間が短縮される。
【0048】
(変形例2)
上述した実施形態にあっては、光ディスク20の回転駆動方式をCAV方式としたが、回転速度が線速度一定となるように光ディスク20を回転駆動する方式、すなわち、CLV(Constant Linear Velocity)方式としても良い。回転駆動方式をCLV方式とした場合には、スピンドルモータ100の回転速度制御のために、制御部112は、線速度を示す指示信号をサーボ回路108に出力する。なお、情報記録時(ピット形成時)と画像形成時(ドット形成時)とで、光ディスク20の回転駆動方式を異ならせても良い。また、情報記録時および画像形成時において、CLV方式とCAV方式とを、例えばレーザ光を照射すべき光ディスク20の径方向の位置に応じて切り換えるようにしても良い。なお、光ディスク20の回転駆動方式をCLV方式とした場合には、画像形成時に最適なレーザパワーを設定され得る線速度に対応した分だけメディアデータベース1120に記録しておけば良い。
【0049】
(変形例3)
上述した実施形態にあっては、形成すべき画像の階調度を2階調としたが、これに限らず、3階調以上の多階調であっても良い。詳述すると、多階調画像の形成の場合、制御部112は、画像形成に最適なレーザパワーにて最大階調(濃度が最も濃い階調)のドットを形成する一方、その他のドットの階調については、階調によって示される色濃度が薄くなるに従って段階的にレーザパワーを小さくしてドットを形成する。このように本変形例によれば、記録面に形成された画像において、最も濃くなるべき箇所のコントラストが高くなると共に、さらに、階調度に応じた発色が得られるため、より表現力のある画像を形成することが可能となる。
【0050】
(変形例4)
上述した実施形態にあっては、CD−Rに対して情報記録および画像形成を行う光ディスク装置について例示したが、これに限らない。すなわち、レーザ光の照射によって光反射率が変化し、また、この光反射率が変化した箇所に変色が生じるよう光ディスクに対して情報記録を行うような光ディスク記録装置であれば良い。このような光ディスク記録装置には、DVD−R(Digital Versatile Disc-Recordable)ドライブやCD−RWドライブなどがある。CD−RWに用いられる光ディスク20’は、CD−Rに用いられる光ディスク20とは異なり、記録層206には有機色素が含まれていなく、相変化材料が使用されている。相変化材料は、レーザ光の照射により結晶質から多結晶質(非結晶質)に変化する材料であり、この相変化材料には、例えば、Ag-In-Sb-Te(銀-インジウム-アンチモン-テルル)合金材料がある。一般に、相変化材料にあっては、結晶構造が多結晶質の場合には、結晶質に比べ光反射率が低くなり、また、結晶質とは異なる発色を示す。従って、これを応用して記録面に画像を形成することが可能である。CD−RW用の光ディスク20’に高コントラストの画像を形成する場合には、次のようにすれば良い。すなわち、相変化材料にあっては、レーザ照射による発色(熱変色)の度合いは、レーザ光照射によって単位面積あたりに発生する熱量に依存する。従って、所望の画像コントラストを得るに要する熱量を予め求めておき、レーザ光照射によって、この熱量が記録層206に与えられるように、レーザパワー、レーザ照射時間、スポット径、および、線速度のうちの1つまたは複数が制御されれば良い。
【0051】
(変形例5)
上述した実施形態にあっては、メディアデータベース1120には、情報記録用パラメータと画像形成用パラメータとの組みが有機色素の種類ごとに記録される構成について例示したが、これに限らない。詳述すると、本発明にあっては、画像コントラストを高くすべく、光ディスク20ごとに最適なパラメータにて画像形成制御が行われれば良く、光ディスク20が一意に特定されれば良い。従って、例えば光ディスクを識別するための識別情報ごとに、情報記録用パラメータと画像形成用パラメータとの組みがメディアデータベース1120に記録される構成としても良い。この識別情報には、例えば、メディアIDや、製造メーカー名などが用いられ得る。
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、視認性の高い画像を光ディスクの記録面に形成することが可能な光ディスク記録装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る光ディスク記録装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】 同光ピックアップの概略構成を示す図である。
【図3】 同光ディスクの構成を示す断面図である。
【図4】 同光ディスクの記録面を示す概略図である。
【図5】 同メディアデータベースを示す概念図である。
【図6】 同β値を説明するための図である。
【図7】 同β値とジッタとの関係を示す図である。
【図8】 同OPCによって求められたレーザパワー特性を示す図である。
【図9】 同レーザパワーと画像コントラストとの関係を有機色素の種類ごとに示す図である。
【図10】 同制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】 同光ディスクの記録面に画像が形成された態様を示す図である。
【図12】 他の態様の画像形成方法を説明するための図である。
【図13】 画像コントラストを説明するための図である。
【図14】 レーザ光の照射軌跡を説明するための図である。
【符号の説明】
10・・・光ディスク記録装置、20、20’・・・光ディスク、100・・・スピンドルモータ、104・・・光ピックアップ、112・・・制御部、122・・・駆動パルス生成部、124・・・レーザパワー制御回路、126・・・ステッピングモータ、204・・・記録層、1120・・・メディアデータベース。

Claims (3)

  1. 光ディスクの記録面にレーザ光を照射して、情報の記録、画像の形成、および、当該記録面に記録された情報の読み出しを行う光ピックアップを備えた光ディスク記録装置であって、
    情報記録に用いられる情報記録用パラメータと、画像形成に用いられる画像形成用パラメータとを、光ディスクを識別するための識別情報ごとに組みにして記憶する記憶手段と、
    光ディスクの記録面に予め記録された当該光ディスクの識別情報を読み取るように前記光ピックアップを制御した後に、情報を記録する場合には、読み取られた識別情報に対応する情報記録用パラメータを前記記憶手段から読み出し、当該情報記録用パラメータに応じて情報が記録面に記録されるように制御する一方、画像を形成する場合には、読み取られた識別情報に対応する画像形成用パラメータを前記記憶手段から読み出して、当該画像形成用パラメータに応じて画像が形成されるように制御する制御手段と
    を具備することを特徴とする光ディスク記録装置。
  2. 前記識別情報は、光ディスクの記録面に使用されている有機色素の種類を示す情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク記録装置。
  3. 前記情報記録用パラメータおよび前記画像形成用パラメータは、前記レーザ光の強度、または前記レーザ光の照射時間、または前記レーザ光のスポット径、または前記光ディスクの回転速度の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の光ディスク記録装置。
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