JP3900061B2 - 熱延鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱延鋼板の製造方法に関し、例えば、自動車用等の高強度鋼板として好適な合金化溶融亜鉛めっき鋼板の素材として用いることができる、表面フェライト結晶粒が細粒化された熱延鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車用等の高強度鋼板として好適な合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、通常、熱延鋼板や冷延鋼板をめっき母材として溶融亜鉛めっきを施してから合金化処理を施すことによって、製造される。この合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき密着性を高めるためには、めっき母材の表面を細粒組織とすることが重要であることが知られている。すなわち、めっき母材である鋼板の表層はめっき合金化性に優れるように細粒化するとともに、鋼板の内部は所定の特性を得るための組織や粒径とする。
【0003】
一般的に微細組織を得る手段として、オーステナイト域での圧延により十分に歪みを蓄積させること、圧延直後にγ−α変態を促進する急冷を行うこと、その後のα粒成長を抑制する冷却温度制御を行うこと等が知られている。
【0004】
例えば、特許文献1における実施例には、表層部のフェライト粒径を細粒化させた鋼板を製造する方法として、圧延仕上温度を Ar3点〜(Ar3点+100)℃、圧下率を10〜60%、圧延後の冷却を0.6 〜1秒以内に開始し、冷却速度を50〜70℃/sとすることが開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−282240号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの従来技術によっても、所望の合金化処理性を有する程度に熱延鋼板の表面におけるフェライト結晶粒を充分に細粒化することは、技術的に不可能であった。
【0007】
従来、熱間仕上圧延機の設備配列としては、タンデム仕上圧延機群の後方5〜10m の領域に板厚制御や温度制御に不可欠なセンサーが設置され、さらにその後方に冷却バンクが設置されているのが、一般的であり、特許文献1において好ましいとされる圧延後の冷却は、従来の連続熱間仕上圧延設備に設置された冷却装置を想定したものであり、表層部の結晶粒径のみ微細化する目的に対して能力が不充分である。すなわち、圧延〜冷却開始までのギャップタイムが0.6 〜1.0 秒あり、さらにフェライト変態を促進させる温度域に冷却を完了させるまでの時間はさらに1秒以上の時間を要するため、鋼板の表面の結晶粒径を1.2 〜2.5 μm に微細粒化させるには不十分である。
【0008】
さらに、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の母材となる熱延鋼板には、単にめっき密着性だけでなく、高強度かつ良好な加工性も要求される。このため、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の母材となる熱延鋼板には、多くの場合に高強度化を図るためにSiやP等が多量に含有される。しかし、SiやP等が多量に含有された熱延鋼板をめっき母材として溶融亜鉛めっきおよび合金化処理を行うと、合金化処理時の合金化反応が著しく遅れ、所望の合金化処理性を確保することができなくなる。さらに、合金化速度を高めるために合金化処理速度を高めると、めっき剥離、すなわちパウダリングが発生し易くなる。
【0009】
このため、従来の技術によって達成される程度の表面結晶粒の細粒化では、所望の合金化処理性を有することができないことから、いきおい合金化処理時間を増加せざるを得ず、生産性の低下は避けられなかった。
【0010】
本発明の目的は、充分な合金化処理性を有することから、合金化処理温度を高めたり、あるいは合金化処理時間を増加しなくとも、充分なめっき密着性を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供するための、めっき母材である熱延鋼板の製造方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、熱間仕上圧延において、圧延後の冷却を2段階に分割し、第一段階冷却を圧延直後に急速冷却とすることにより、表層部の結晶粒径を微細化できることを知見し、本発明を完成させた。
【0012】
本発明は、C:0.04〜0.2%(以下、本明細書では特にこだわりがない限り「%」は質量%を意味するものとする)、Si:0.05〜2.0%、Mn:0.1〜3.0%、P:0.10%以下、S:0.02%以下およびsol.Al:0.005〜1.5%を含有し、さらに任意添加元素として、(a)Ti:0.3%以下および/もしくはNb:0.10%以下、ならびに/または(b)B:0.01%以下を含有し、残部がFeおよび不純物からなる鋼組成の鋼片に熱間圧延を行った後に冷却を行う際に、熱間仕上圧延における仕上圧延温度を、Ae3点〜(Ae3点+100)℃の温度範囲とするとともに、圧延終了後0.4秒以内に表面部が(Ae3点−200)〜(Ae3点−50)℃になるように第一段階の冷却を行い、その後1.0秒以内に70℃/s以上の冷却速度で600℃以下の温度まで第二段階の冷却を行うことを特徴とする、表面におけるフェライト結晶粒径が平均で2.5μm以下である熱延鋼板の製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる熱延鋼板の製造方法の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
まず、本発明の基となる基礎的知見について説明する。表1、表2に示す条件の3スタンド連続熱間圧延試験機による熱間圧延および冷却試験を行った結果、表面部のフェライトの微細化に関して以下に列記する基礎的知見(a) 〜(d) を得た。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
(a)第一段階の急速冷却で圧延後100 ℃温度降下するまでの時間とフェライト粒径の関係を図1にグラフで示す。圧延後の冷却を0.4 秒以内に行えば、表面部のフェライト粒径が著しく低下し、2μm 程度になる。急速冷却では、表面部は冷却による温度降下が直ちにもたらされるのに対し、板厚中央部は温度降下が表層よりも遅れて伝わるためと考えられる。
【0018】
(b)図2は、第一段階の温度降下量の影響を示すグラフ(0.4秒後に冷却開始) であり、第一段階の表面温度降下量を50〜200 ℃とすれば、表面部および板厚中央部それぞれのフェライト粒径差を大きくできる。
【0019】
(c)表面部を短時間でフェライト変態させるには50℃以上の冷却を行う必要がある。
(d)さらに冷却を強化しても最表層部のフェライト粒径はさほど減少しなくなるが、板厚中央部は確実に粒径が小さくなり、200 ℃を超えて冷却すると板内部まで十分に冷却されて細粒化し、内部と表面部の粒径差をつける効果が薄れる。さらに300 ℃程度冷却するとベイナイト変態が始まり、微細フェライトを十分に発生させられなくなるからである。
【0020】
本発明は、これらの基礎的知見(a) 〜(d) に基づいてなされたものであり、C:0.04%以上0.2 %以下、Si:0.05%以上2.0 %以下、Mn:0.1 %以上3.0 %以下、P:0.10%以下、S:0.02%以下、sol.Al:0.005 %以上1.5 %以下、必要に応じてTi:0.3 %以下および/またはNb:0.10%以下、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼組成を有する鋼片を、例えば連続して配置された複数の圧延スタンドを有する仕上圧延機の出側でAe3 点以上Ae3 +100 ℃以下の温度で仕上圧延を行い、圧延後の所定の時間内に所定の温度に表面を冷却することにより、表面におけるフェライト結晶粒径が平均で 2.5μm 以下となる熱延鋼板の製造方法である。
【0021】
(i)鋼片の組成の限定理由
まず、本実施の形態において用いる鋼片の組成を限定する理由を説明する。
本実施の形態で用いる鋼片は、C、Si、Mn、sol.Alを必須元素として含有するとともに、P 、S を不可避的不純物として含有する。そこで、これらの必須元素の含有量を限定する理由を説明する。
【0022】
C: 0.04 %以上 0.2 %以下
Cは、主に熱延鋼板の強度を確保するために含有されるが、C含有量が0.04%未満では結晶粒が粗大化して、目的とする結晶粒径を有する熱延鋼板が得られなくなる。一方、C含有量が0.2 %を越えると靱性が著しく低下するとともに特にプレス成形時の成形性が劣化する。そこで、本実施の形態では、C含有量は0.04%以上0.2 %以下と限定する。同様の観点から、C含有量の上限は0.12%であることが望ましい。
【0023】
Si : 0.05 %以上 2.0 %以下
Siには、0.05%以上含有することにより、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の加工性を高める作用がある。しかしながら、Si含有量が2.0 %を越えると、めっき時の濡れ性や合金化速度が低下する。そこで、本実施の形態では、Si含有量は0.05%以上2.0 %以下と限定する。同様の観点から、Si含有量の上限は1.5 %であることが望ましい。
【0024】
Mn : 0.1 %以上 3.0 %以下
Mnは、0.1 %以上含有することにより、Sによる熱間脆性を防ぎ、鋼板の強度を高めるとともにAe3 点を低下させる。しかしながら、3.0 %を越えて添加しても、かかる効果は飽和し、むしろ、熱延鋼板の加工性を劣化させるとともに、熱延鋼板の表面性状を悪化させて、めっき作業時に不めっきや合金化反応むらが生じ易くなるとともに、経済性も損なう。そこで、本美施の形態では、Mn含有量は0.1 %以上3.0 %以下と限定する。同様の観点から、Mn含有量の下限は0.5 %であることが望ましく、上限は2.0 %であることが望ましい。
【0025】
P: 0.10 %以下
Pは、鋼中に不可避的に含有される不純物であり、鋼板の強度を高める作用があるものの、0.10%を超えて含有すると鋼板の加工性を悪化させるとともに、熱延鋼板の表面性状を損ない、めっき作業時に不めっきや合金化反応むらが生じ易くなる。そこで、本実施の形態では、P含有量は0.10%以下と限定する。同様の観点から、P含有量の上限は0.05%であることが望ましい。
【0026】
S: 0.02 %以下
Sは、鋼中に不可避的に含有される不純物であり、熱延鋼板の加工性を悪化させる。そこで、本実施の形態では、S含有量は0.02%以下と限定する。同様の観点から、S含有量の上限は0.015 %であることが望ましい。
【0027】
sol.Al : 0.005 %以上 1.5 %以下
Alは、鋼の脱酸のために添加され、かかる効果を得るためにはAlは0.005 %以上含有される。しかしながら、Al含有量が1.5 %を越えるとかかる効果が飽和するとともに経済性も損なわれる。そこで、本実施の形態では、Al含有量は0.005 %以上1.5 %以下と限定する。
また、本乗施の形態で用いる鋼片は、Ti、Nb、Bを任意添加元素として含有する。そこで、これらの任意添加元素についても説明する。
【0028】
Ti : 0.3 %以下、および/または、 Nb : 0.10 %以下
Tiには、固溶CやNやSを固定して熱延鋼板の加工性を改善する作用がある。しかしながら、Ti含有量が0.3 %を越えると、熱延鋼板の成形性が低下する。そこで、Tiを添加する場合には、その含有量は0.3 %以下と限定することが望ましい。
【0029】
一方、Nbにも、Tiと同様に固溶CやNやSを固定する作用がある。しかしながら、Nb含有量が0.10%を越えると、熱延鋼板の成形性が低下する。そこで、Nbを添加する場合には、その含有量は0.10%以下と限定することが望ましい。
なお、TiおよびNbは、それぞれ単独で添加してもよく、あるいは複合して添加してもよい。
【0030】
B: 0.01 %以下
B は、固溶状態でオーステナイト粒界に偏析することにより、焼入れ性を高める。かかる効果を得るために、B含有量は0.0002%以上であることが望ましい。しかしながら、B含有量が0.01%を越えると、脆性が劣化する。そこで、Bを添加する場合には、その含有量は0.01%以下と限定することが望ましい。
【0031】
これ以外は、Feおよび不可避的不純物である。
本実施の形態では、かかる鋼組成を有する鋼片を、例えば連続して配置された複数の圧延スタンドを有する仕上圧延機の出側で、Ae3 点以上(Ae3点+100)℃以下の温度で仕上圧延を行う。
【0032】
(ii) 仕上圧延温度:Ae3 点以上(Ae3点+100)℃以下
圧延出側温度は通常圧延では任意に設定することができる。仕上圧延温度がAe3 点未満であると、得られる熱延鋼板の表面部が粗粒化してしまう。一方、仕上圧延温度が(Ae3点+100)℃を超えると、第一段階の冷却能力を高める必要が生じ、不経済である。そこで、本実施の形態では、仕上圧延温度:Ae3 点以上(Ae3点+100)℃以下と限定する。
【0033】
本実施の形態では、圧延終了後0.4 秒以内に表面部が(Ae3点−200)〜(Ae3点−50) ℃になるように第一段階の冷却を行い、その後1.0 秒以内に70℃/s以上の冷却速度で600 ℃以下の温度まで第二段階の冷却を行う。
【0034】
(iii)第一段階の冷却を行う理由
表面部の結晶粒径微細化のためには、圧延終了から冷却−フェライト変態する時間を短くして、圧延で蓄積した歪み、転位密度を回復させない時間内に冷却する必要があるためである。圧延直後急冷によって、最表層部の温度をAe3 変態点以下にするとγ→α変態が発生する。圧延直後時間に、転位が回復する時間以内に、冷却を行うことにより、変態の核生成サイトが減少しないため、変態が発生し易くなる。この変態を促進させる効果は、一旦冷却する温度が、(Ae3点−50) ℃以下とすれば、最表層結晶粒微細化の有意差が現れる。好ましくは(Ae3点−100)℃以下、さらに好ましくは(Ae3点−100)〜(Ae3点−200)℃以下とするのがよい。一方、(Ae3点−200)℃未満に冷却しても細粒化効果は増加せず、逆に板厚内部の自由な組織制御に支障を来すためである。
【0035】
第一段階の冷却を行うには、最終仕上圧延機の出側直近に、適当な鋼板急冷装置を設置すればよい。
【0036】
(iv) 第二段階の冷却を行う理由
第一段階冷却で生成した表面のフェライトを粒成長させないため、なるべく早く第二段階の冷却を開始する必要がある。同様の意味で冷却速度は速いほうがよく、70℃/s以上が必要となる。温度が600 ℃以下になればフェライトの粒成長を抑制することができるため、第二段階の冷却で温度を600 ℃以下とする。
【0037】
このため、第一段階の冷却終了と第二段階の冷却開始の時間を1.0 秒以下、第二段階の冷却速度を70℃/s以上とし、冷却停止温度を600 ℃以下とする。
このようにして、C:0.04〜0.2 %、Si:0.05〜2.0 %、Mn:0.1 〜3.0 %、P:0.10%以下、S:0.02%以下、sol.Al:0.005 〜1.5 %、必要に応じてTi:0.3 %以下および/またはNb:0.10%以下、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼組成を有するとともに、表面におけるフェライト結晶粒径が平均で 2.5μm 以下である熱延鋼板が製造される。
【0038】
すなわち、合金化処理速度を高めるためには、めっき母材である熱延鋼板の表層部ではなく表面のフェライト結晶粒を細粒化することが重要である。図3は、熱延鋼板をめっき母材として合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造した場合における、熱延鋼板の表面におけるフェライト結晶粒径(μm )と、合金化時間(秒)との関係の一例を示すグラフである。
【0039】
このように、この熱延鋼板は、表面におけるフェライト結晶粒径が平均で 2.5μm 以下と細粒化されているため、充分な合金化処理性を有する。これにより、合金化処理温度を高めたり、あるいは合金化処理時間を増加しなくとも、充分なめっき密着性を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板が提供される。
【0040】
【実施例】
7基の仕上圧延スタンド(上流から下流に向かって圧延スタンドFl〜圧延スタンドF7) を備えるとともに、圧延スタンドF7の出側に第一次冷却装置と第二次冷却装置とを備える、熱間仕上げ圧延機による仕上圧延を想定した圧延試験を、試験圧延機を用いて行った。
【0041】
すなわち、表3に示す化学組成を有するとともに厚さが270mm である鋼片を、 Ae3点よりも高い温度で、板厚30mmの鋼材に粗圧延し、一旦放冷した後、板幅150mm に切断し、スケール発生防止のためのカバー材を被せて1050℃または1070℃に加熱して30分間保持し、カバー材をはがした後に、試験圧延機を用いて7パス(30mm →20mm→12mm→7.6mm →5mm→3.3mm →2.3mm →1.6mm)により、板厚:1.6mm の熱延鋼板に熱間仕上圧延し、その後2段階の水冷で600 ℃まで冷却し、その後20℃/Hr の冷却速度で室温まで徐冷した。なお、最後の3パスの仕上げ圧延は、生産に現に供されている熱間仕上圧延機と同様の条件とするために、2秒間以内に連続的に行った。
【0042】
圧延後の水冷については、様々な条件で試験を行った。
すなわち、第一次の冷却装置は最終圧延機のハウジング内に設置し、15MPa の高圧水スプレーにより被圧延材の表面を1000℃/s程度に高速冷却した。スプレー位置や、圧延速度や通板速度の変更により、圧延終了〜冷却終了までの時間を変更した。第二段階の冷却は、第一段階の冷却が終了した後所定の時間の後に0.2MPaの冷却スプレーにより50〜100 ℃/sの冷却速度で材料を600 ℃にまで冷却した。装置の設置位置や材料の通板速度、冷却ヘッダー等の設定により冷却時間や冷却速度を調整した。
【0043】
【表3】
【0044】
表4には、鋼種、仕上圧延温度、最終パス圧延終了〜第一冷却終了までの時間、第一次冷却後表面温度、第一次冷却終了〜第二次冷却開始までの時間、第二次冷却前表面温度、第二次冷却速度の条件を示す。第一次冷却終了直後、及び、第二次冷却直前に、高応答性(サンプリングレート3ms)の二色放射温度計により表面温度を測定した。
【0045】
第一次冷却の冷却水は、温度制御性や温度計測のため、圧延機側に傾けて吹き付け、圧延材表面の水切りも同時に行った。
【0046】
【表4】
【0047】
また、表5には、表面の組織、酸洗後の鋼板表面のフェライト結晶粒の平均粒径(μm)ならびに溶融亜鉛めっき時の合金化処理性を示す。合金化処理性は、合金化処理時間が40秒未満である場合を良好(○印)とし、40秒間以上である場合を不良(×印)と判断した。
【0048】
さらに、耐パウダリング性は、めっき皮膜のパウダリング量で評価し、1個当たり25mg未満を良好(○印)とし、25mg以上を不良(×印)と判断した。パウダリング量は下記の方法により求めた。合金化鋼板から直径60mmの円板を打ち抜き、動粘度10.5mm2/s の防錆油(出光興産製SKW92)を2g/m2 塗油し、ポンチ直径:30mm、ダイス直径:35.4mm、ダイス型半径3R、しわ押え力:500kgfで円筒絞り試験を行った。
【0049】
得られた成型品に付着している剥離しためっき皮膜片をアセトンによる溶剤脱脂で除去した後、成型品重量を測定し、円筒絞り前の重量との差からめっき皮膜のパウダリング量を測定した。
【0050】
【表5】
【0051】
表5から、本発明にかかる方法により製造された熱延鋼板は、表面におけるフェライト結晶粒径が平均で 2.5μm 以下と細粒化されているため、充分な合金化処理性を有する。これにより、合金化処理時間を増加しなくとも、充分なめっき密着性を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供することができる。
【0052】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明により、充分な合金化処理性を有することから、合金化処理温度を高めたり、あるいは合金化処理時間を増加しなくとも、充分なめっき密着性を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供するための、めっき母材である熱延鋼板の製造方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一段階の急速冷却で圧延後100 ℃温度降下するまでの時間とフェライト粒径の関係を示すグラフである。
【図2】第一段階の温度降下量の影響を示すグラフである。
【図3】熱延鋼板をめっき母材として合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造した場合における、熱延鋼板の表面におけるフェライト結晶粒径(μm )と、合金化時間(秒)との関係の一例を示すグラフである。
Claims (3)
- 質量%で、C:0.04〜0.2%、Si:0.05〜2.0%、Mn:0.1〜3.0%、P:0.10%以下、S:0.02%以下およびsol.Al:0.005〜1.5%を含有し、残部がFeおよび不純物からなる鋼組成の鋼片に熱間圧延を行った後に冷却を行う際に、
熱間仕上圧延における仕上圧延温度を、Ae3点〜(Ae3点+100)℃の温度範囲とするとともに、
圧延終了後0.4秒以内に表面部が(Ae3点−200)〜(Ae3点−50)℃になるように第一段階の冷却を行い、その後1.0秒以内に70℃/s以上の冷却速度で600℃以下の温度まで第二段階の冷却を行うこと
を特徴とする、表面におけるフェライト結晶粒径が平均で2.5μm以下である熱延鋼板の製造方法。 - 前記鋼組成が、Feの一部に代えて、Ti:0.3質量%以下および/またはNb:0.10%質量以下を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼板の製造方法。
- 前記鋼組成が、Feの一部に代えて、B:0.01質量%以下を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱延鋼板の製造方法。
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