JP3898783B2 - 生体内分解性ヒアルロン酸架橋ゲル組成物及び生体内分解性ヒアルロン酸架橋ゲル製剤 - Google Patents

生体内分解性ヒアルロン酸架橋ゲル組成物及び生体内分解性ヒアルロン酸架橋ゲル製剤 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体内で分解され、薬物キャリアーとして有用なヒアルロン酸架橋ゲル組成物、並びにそれを用いた生体内分解性ヒアルロン酸架橋ゲル製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、生体内分解性高分子材料に薬物を担持させた薬剤であって、これを静注、経口、皮下埋植等の手段によって生体内に投与し、生体内で高分子材料を分解させ、この分解にともなって薬物を放出させて目的とする細胞、組織、臓器、器官に供給するための薬剤は所謂医薬徐放剤として広く知られている。
【0003】
また、近年では、生体の恒常性を考慮して、疾患時など生体が必要とするときのみに薬物を放出するインテリジェント製剤が、刺激応答性高分子を用いて製造可能になってきている。かかる刺激応答性高分子の一種として、炎症時に発生するヒドロキシルラジカルによって特異的に分解するヒアルロン酸架橋ゲルが知られており、この中に薬物保持ドメインとして脂質微粒子を分散せしめた不均質構造ゲルが本発明者らによって報告されている(N.Yui他3名、 J.Controlled Release、25巻、113頁(1993年))。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、脂質微粒子を分散せしめた上記従来の不均質構造ゲルは、下記の点で未だ充分ではないことを本発明者は見出した。すなわち、脂質微粒子を含有する上記従来の不均質構造ゲルを用いた製剤にあっては、生体内分解を誘発する刺激に対する応答性、生体適合性、適用可能部位の範囲といった点で未だ充分なものではなかった。
【0005】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、担持している薬物が拡散によって放出されることなくかつそれ自体の分解に対応して薬物を徐放することが可能な、すなわち分解律速な薬物放出挙動をもつ薬物キャリアーであって、生体内分解を誘発する刺激に対する応答性及び生体適合性にも優れており、かつ適用可能部位の範囲も充分に広い薬物キャリアーを提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、含有している薬物が拡散によって放出されることなくかつそれ自体の分解に対応して薬物を徐放することが可能な、すなわち分解律速な薬物放出挙動をもつ製剤であって、生体内分解を誘発する刺激に対する応答性及び生体適合性にも優れており、かつ適用可能部位の範囲も充分に広い製剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ヒアルロン酸架橋ゲル中に水溶性ポリアルキレングリコールを分散させることによって上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、グリシジルメタクリレートにより形成された架橋によりヒアルロン酸分子が互いに結合した3次元網目構造を有するヒアルロン酸架橋ゲルと、該ヒアルロン酸架橋ゲル中に分散された水溶性ポリアルキレングリコールとを含むことを特徴とする、生体内分解性ヒアルロン酸架橋ゲル組成物である。
【0009】
また、本発明は、グリシジルメタクリレートにより形成された架橋によりヒアルロン酸分子が互いに結合した3次元網目構造を有するヒアルロン酸架橋ゲルと、該ヒアルロン酸架橋ゲル中に分散された水溶性ポリアルキレングリコールとを含むヒアルロン酸架橋ゲル組成物、及び前記水溶性ポリアルキレングリコール中に選択的に担持された薬物、を含有することを特徴とする、生体内分解性ヒアルロン酸架橋ゲル製剤である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の生体内分解性ヒアルロン酸架橋ゲル組成物及びヒアルロン酸架橋ゲル製剤についてより詳細に説明する。
【0011】
本発明の生体内分解性ヒアルロン酸架橋ゲル組成物は、ヒアルロン酸架橋ゲルと、かかるヒアルロン酸架橋ゲル中に分散された水溶性ポリアルキレングリコールとを含むものである。
【0012】
本発明にかかるヒアルロン酸架橋ゲルは、ヒアルロン酸分子が互いに架橋により結合された3次元網状構造を有するものである。かかる架橋を形成するための好適な架橋剤としては、グリシジルメタクリレート、多官能性グリシジルエーテル、エピクロルヒドリン等が挙げられ、グリシジルメタクリレートが特に好ましい。また、本発明にかかるヒアルロン酸の分子量等は特に制限されず、通常の分子量(5×104〜8×106)を有するヒアルロン酸が使用される。なお、ここでいうヒアルロン酸には、その塩、水和物等も包含されるものである。
【0013】
そして、上記ヒアルロン酸架橋ゲル中に水溶性ポリアルキレングリコールが分散される。なお、本発明のヒアルロン酸架橋ゲル組成物においては、水溶性ポリアルキレングリコール分子がヒアルロン酸架橋ゲルの3次元網状構造中に単に分散されていても、あるいはヒアルロン酸分子に架橋等の共有結合により結合されていてもよい。
【0014】
本発明にかかる水溶性ポリアルキレングリコールとしては、炭素数2〜6のアルキレン基を有するものが好ましく、炭素数2〜3のアルキレン基を有するポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールが特に好ましい。また、上記水溶性ポリアルキレングリコールは複数種類のものの共重合体であってもよく、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのブロック共重合体も特に好ましい。
【0015】
また、本発明にかかるポリアルキレングリコールの数平均分子量は200〜50000が好ましく、1000〜10000が特に好ましい。上記数平均分子量が200未満では担持可能な薬物が低分子のものに限定され、薬物が漏出し易くなる傾向にあり、他方50000を超えるとアルキレングリコールがヒアルロン酸架橋ゲル中に分散しにくくなる傾向にあるからである。
【0016】
なお、上記ヒアルロン酸架橋ゲル中に分散される水溶性ポリアルキレングリコールの量は特に制限されないが、ヒアルロン酸100重量部に対してポリアルキレングリコールが10〜10000重量部であることが好ましい。ポリアルキレングリコールの含量が上記下限未満ではポリアルキレングリコール中に担持可能な薬物量が不充分となる傾向にあり、他方上記上限を超えるとポリアルキレングリコール中に担持された薬物が拡散によって放出され易くなる傾向にあるからである。
【0017】
本発明の生体内分解性ヒアルロン酸架橋ゲル製剤においては、上記のヒアルロン酸架橋ゲル組成物中に薬物が担持(保持)される。
【0018】
本発明にかかる薬物としては、いわゆる生理活性物質は何れでも特に限定されることなく使用することが可能であり、アミノ酸類、生理活性ペプチド類、ステロイド類、核酸、酵母、菌体など広範囲なものが対象となる。具体的に例示すると、インスリン、インターフェロン、抗炎症性ステロイド剤(例えばリン酸デキサメサゾン)、活性酸素消去剤であるスーパーオキシドジスムターゼ、黄体形成ホルモン放出ホルモンである酢酸リュープロライド、各種成長因子、モノクロナール抗体等が挙げられ、インスリン及びリン酸デキサメサゾンが特に好ましい。なお、本発明の製剤中の上記薬物の含量は特に制限されず、薬物の種類等に応じて適宜選択される。
【0019】
前述のようにヒアルロン酸架橋ゲルとその中に分散された水溶性ポリアルキレングリコールとで構成される本発明のヒアルロン酸架橋ゲル組成物中に添加された薬物は、水溶性ポリアルキレングリコール中に優先的に分配される。すなわち、本発明のヒアルロン酸架橋ゲル製剤においては、上記薬物が水溶性ポリアルキレングリコール中に選択的に担持される。そして、ヒアルロン酸架橋ゲルと水溶性ポリアルキレングリコールとの双方とも親水性であるにも拘らず、本発明の製剤にあっては水溶性ポリアルキレングリコールを包み込んでいるヒアルロン酸架橋ゲルが薬物の拡散放出に対するいわゆるバリヤーとして機能する。
【0020】
従って、含水率が高い通常の親水性高分子内部では薬物拡散が著しく、本来なら高分子の分解以前に拡散によって薬物が放出してしまうにも拘らず、本発明の製剤においては水溶性ポリアルキレングリコールに選択的に担持された薬物がヒアルロン酸架橋ゲルが分解されるまで安定に保持される。そして、炎症時に発生するヒドロキシルラジカル等に応じてヒアルロン酸架橋ゲルの分解が表面から進行し、それに伴って薬物がそれを含有する水溶性ポリアルキレングリコールと共に溶出される。このように、本発明の製剤においては、薬物の放出は薬物拡散によらず、ヒアルロン酸架橋ゲルの生体内分解によってのみ規定されている。すなわち、ヒアルロン酸架橋ゲル自身が極めて高い含水率を有し、ゲル中の薬物拡散性が高いにも拘らず、薬物の放出性はゲルの分解に律速されることとなる。従って、本発明の製剤から放出される薬物の量は、ヒアルロン酸架橋ゲルの分解を誘発する成分量に対応(比例)することとなる。
【0021】
また、本発明の製剤においてはヒアルロン酸架橋ゲルのみならず水溶性ポリアルキレングリコールも親水性であるため、ヒアルロン酸架橋ゲルに対する生体内分解誘発成分の作用を水溶性ポリアルキレングリコールが阻害することはない。更に、薬物と共に放出される水溶性ポリアルキレングリコールが親水性であることから、本発明の製剤は生体適合性に優れており、かつ適用可能部位の範囲も充分に広いものとなる。
【0022】
なお、本発明のヒアルロン酸架橋ゲル組成物及び架橋ゲル製剤の製造方法は特に制限されず、ポリアルキレングリコール及び必要に応じて薬物の存在下、ヒアルロン酸を架橋剤を用いて架橋反応せしめる方法等が適宜採用される。
【0023】
また、本発明の生体内分解性ヒアルロン酸架橋ゲル製剤の剤型は、静注や経口の他、皮下埋植や関節内注入等のインプラント剤として広く用いることが出来る。従って本発明によって、これまで因難であった静注、経ロ、皮下埋植などの投与経路での種々の生理活性物質含有製剤を得ることが可能となる。従って、本発明は、静注・経口・皮下あるいは組織内埋植等あらゆる経路から投与する生理活性物質含有製剤全般への適用が可能となる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0025】
実施例1
(PEGーHA2相系におけるFITC標識インスリンの分配性評価試験)
0.1Mのリン酸緩衝液(PBS、pH7.4)を用いて、数平均分子量Mnがそれぞれ1000、6000、50000のポリエチレングリコール(PEG)溶液(40wt.%)、ヒアルロン酸(HA)ナトリウム溶液(3.0wt.%)、FITC標識インスリン溶液(1mg/ml)をそれぞれ調製し、これらを容量比で0.75:0.75:0.5(重量比で4:4:1)で混合し、1分間撹拌後、30分間放置した。その後、上記混合溶液の上相と下相から溶液を分取し、蛍光分光光度計(励起波長490nm)によって520nmにおけるFITC標識インスリン蛍光強度を測定して上下各相のインスリン濃度を求めた。なお、ヒアルロン酸ナトリウムとしては、キューピー(株)製のヒアルロン酸ナトリウム(商品名:HA−Q)を使用した(以下同様)。
【0026】
得られた結果を図1に示す。
【0027】
図1から明らかなように、いずれの分子量のポリエチレングリコールについても、インスリンが上相すなわちポリエチレングリコール相に優先的に分配されることが確認された。
【0028】
実施例2
(メタクリル化ヒアルロン酸(MA-HA)の調製)
ヒアルロン酸(HA)ナトリウム(0.5g)を30mlの塩化ナトリウム−炭酸ナトリウム(NaCl‐Na2CO3)水溶液(0.15M、pH9.0)に溶かし、次いでメタクリル酸グリシジル(2.0ml、14.2mmol)を滴下した。得られた不均一系を減圧下で脱気した後、窒素雰囲気中において室温で5日間撹拌した。得られた反応溶液を400mlのエタノールに滴下し、溶液中に生じた沈殿を吸引濾過し、減圧下で乾燥させて白色繊維状物質としてメタクリル化ヒアルロン酸(MA-HA)を得た。
【0029】
(ポリエチレングリコール含有ヒアルロン酸架橋ゲル製剤の調製)
0.1Mのリン酸緩衝液(PBS、pH7.4)を用いて、メタクリル化ヒアルロン酸(MA-HA)溶液(7.4wt.%)、数平均分子量Mnがそれぞれ1000、6000、50000のポリエチレングリコール(PEG)溶液(40wt.%)、FITC標識インスリン溶液(1mg/ml)をそれぞれ調製し、これらを重量比で90:5:5で混合し、撹拌した。得られた溶液にレドックス反応開始剤として過硫酸アンモニウム(APS)(2mg)およびN,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(50μl)を添加した。約3分後には溶液中にゲルが生じた(ゲル化)。得られたポリエチレングリコール含有ヒアルロン酸架橋ゲルを0.1Mのリン酸緩衝液に24時間浸漬した後、以下の試験に用いた。
【0030】
(PEG含有HA架橋ゲルのヒアルロニダーゼ存在下での薬物放出特性試験)
上記で得られたポリエチレングリコール含有ヒアルロン酸架橋ゲル製剤を平板状ヒドロゲル(25×20×2mm)とし、それらをナイロンバッグに入れ、37℃に維持された循環式恒温槽内のヒアルロニダーゼ(HAase)-0.1MPBS(pH7.4)溶液(10unit/ml、50ml)中に浸漬した。
【0031】
浸漬後、上記ゲルの分解挙動および薬物放出量を以下のようにして経時的に測定した。すなわち、ゲル分解率は一定時間毎の重量変化を連続的に測定することによって、また放出インスリン量は蛍光分光光度計(励起波長490nm)によって520nmにおけるFITC標識インスリン蛍光強度をフローセルを用いて連続的に測定することによって、それぞれ求めた。
【0032】
得られた結果を図2(分解率)及び図3(インスリン放出量)に示す。
【0033】
比較例1
ポリエチレングリコールを添加しない以外は実施例2と同様にしてヒアルロン酸架橋ゲル製剤を調製し、実施例2と同様にして分解挙動および薬物放出量を経時的に測定した。得られた結果を図2(分解率)及び図3(インスリン放出量)に示す。
【0034】
図2から明らかなように、ヒアルロン酸架橋ゲルはポリエチレングリコールの有無にかかわらずいずれも時間に対してほぼ比例した直線的な分解挙動を示した。一方、図3から明らかなように、ヒアルロン酸架橋ゲルからの薬物放出特性はポリエチレングリコールの有無で異なる挙動を示した。すなわちポリエチレングリコールの存在するものでは時間に対してほぼ比例して薬物が放出されたのに対して、ポリエチレングリコールが存在しないものでは時間の平方根に対してほぼ比例して薬物が放出された。
【0035】
以上の結果から、本発明のポリエチレングリコール含有ヒアルロン酸架橋ゲル製剤の薬物放出特性はゲルの分解に対応(比例)していることが確認された。それに対して、ポリエチレングリコールを含有しないヒアルロン酸架橋ゲル単独の製剤の場合は、初期に比較的多くの薬物が放出されたことから、ゲルの分解のみならず拡散によっても薬物が放出されたことが確認された。
【0036】
実施例3
(生体内分解性ヒアルロン酸架橋ゲル製剤の調製)
実施例2において調製したポリエチレングリコール(数平均分子量Mn:6000)のリン酸緩衝水溶液(40wt.%PEG/PBS溶液)にリン酸デキサメサゾン(DmNaP)を2mg/mlの濃度となるように添加して溶解した。得られた溶液と、実施例2において調製したメタクリル化ヒアルロン酸リン酸緩衝水溶液(7.4wt.%MA-HA/PBS溶液)とを重量比で1:9で混合し撹拌した後、レドックス反応開始剤として過硫酸アンモニウム(APS)(10mg/g)およびN,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(50μl/g)を添加し、架橋反応せしめてゲルを得た。得られたポリエチレングリコール含有ヒアルロン酸架橋ゲルを分離し、洗浄した後に粉砕し、シリンジへ充填させて下記生体に投与した。
【0037】
(尿酸塩誘発急性関節炎モデルにおける薬効評価試験)
上記で得られたポリエチレングリコール含有ヒアルロン酸架橋ゲル製剤の急性関節炎に対する薬効(歩行障害に対する薬効)評価を、尿酸塩誘発急性関節炎モデルを用いて以下のようにして評価した。なお、尿酸塩誘発急性関節炎モデルとは、尿酸塩針状結晶を関節内に注入することで物理刺激を引き起こし、急性関節炎を惹起する関節炎モデルである。
【0038】
すなわち、上記の被験薬剤をウサギ(平均体重:2.5〜3.0kg)の右膝関節腔内に注射した。15分後、同部位に5%尿酸塩結晶懸濁液0.5mlを注入し、関節炎を惹起した。経時的に歩行状態を観察し、歩行障害の程度を下記表1に示す基準により5段階にスコア化し、薬効評価の指標とした。
【0039】
結果を図4に示す。なお、被験薬剤の注射に代えて、被験薬剤を含有しない生理食塩水を注射した以外は上記と同様にしたウサギについても同様に評価し、その結果も図4に示す(コントロール)。
【0040】
【表1】
Figure 0003898783
比較例2
ポリエチレングリコールを添加しない以外は実施例3と同様にしてヒアルロン酸架橋ゲル製剤を調製し、実施例3と同様にして薬効を評価した。得られた結果を図4に示す。
【0041】
図4から明らかなように、本発明のポリエチレングリコール含有ヒアルロン酸架橋ゲル製剤は急性関節炎に有効に作用し、歩行障害の軽快が認められた。また、本発明のポリエチレングリコール含有ヒアルロン酸架橋ゲル製剤の薬効は、ポリエチレングリコールを含有しないヒアルロン酸架橋ゲル製剤よりも非常に有意であった。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、担持している薬物が拡散によって放出されることなくかつそれ自体の分解に対応して薬物を徐放することが可能な、すなわち分解律速な薬物放出挙動をもち、生体内分解を誘発する刺激に対する応答性及び生体適合性にも優れており、かつ適用可能部位の範囲も充分に広い、薬物キャリアーとして非常に有用な生体内分解性ヒアルロン酸架橋ゲル組成物が得られる。
【0043】
従って、本発明によれば、炎症等に対するインテリジェント製剤として非常に優れた特性を有する生体内分解性ヒアルロン酸架橋ゲル製剤を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種分子量を有するポリエチレングリコール溶液−ヒアルロン酸溶液間におけるインスリン分配性を示すグラフである。
【図2】ヒアルロニダーゼ存在下でのヒアルロン酸架橋ゲルの分解挙動を示すグラフである。
【図3】ヒアルロニダーゼ存在下でのヒアルロン酸架橋ゲルの薬物放出特性を示すグラフである。
【図4】急性関節炎に対するリン酸デキサメサゾン含有ヒアルロン酸架橋ゲル製剤の薬効を示すグラフである。

Claims (4)

  1. グリシジルメタクリレートにより形成された架橋によりヒアルロン酸分子が互いに結合した3次元網目構造を有するヒアルロン酸架橋ゲルと、該ヒアルロン酸架橋ゲル中に分散された水溶性ポリアルキレングリコールとを含むことを特徴とする、生体内分解性ヒアルロン酸架橋ゲル組成物。
  2. 前記ポリアルキレングリコールが、数平均分子量が200〜50000であるポリエチレングリコール、数平均分子量が200〜50000であるポリプロピレングリコール、及びそれらのブロック共重合体からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1記載の生体内分解性ヒアルロン酸架橋ゲル組成物。
  3. グリシジルメタクリレートにより形成された架橋によりヒアルロン酸分子が互いに結合した3次元網目構造を有するヒアルロン酸架橋ゲルと、該ヒアルロン酸架橋ゲル中に分散された水溶性ポリアルキレングリコールとを含むヒアルロン酸架橋ゲル組成物、及び
    前記水溶性ポリアルキレングリコール中に選択的に担持された薬物、
    を含有することを特徴とする、生体内分解性ヒアルロン酸架橋ゲル製剤。
  4. 前記薬物が、インスリン及びリン酸デキサメサゾンからなる群から選択される一種である、請求項3記載の生体内分解性ヒアルロン酸架橋ゲル製剤
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