JP3897431B2 - 加振台の多モード振動制御法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、加振台の多モード振動制御法に関するものであり、更に詳細には、建造物の耐震構造の研究などに使用される加振台の大型化に伴い問題となる振動テーブルの固有振動モードを制御できる加振台の多モード振動制御法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
構造物の耐震構造の研究などの研究には、対象建造物の模型に振動を与え、振動特性を実験によって測定することが従来から行われており、その際に、加振台が使用されることは周知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで阪神淡路大地震発生の後、高層建築物など巨大建造物の耐震構造の研究の機運が高まると共に、1G規模の加振力が発生する大型の三次元加振台の要請が高まっている。このような大型の加振台に使用される振動テーブルの規模としては、例えば20m×15mといったものである。
【0004】
前記のように大型の加振台の振動テーブルは、テーブル自身の軽量化が必要となる。そのため、テーブルの垂直方向の弾性が無視できなくなり、垂直方向の振動モードが、低周波数域で多数現れる。したがって、目的とする垂直方向の加振振動に、目的としない前記低周波数域の振動モードが重畳され、測定結果に誤差が生じるという問題が生じる。
【0005】
したがって、振動テーブルに固有の振動モードの存在を無視して加振すると、振動テーブル表面では加振入力どおりの加振波が再現できても、表面から上方に離れるに連れて正しい加振を行うことができない事態が発生する。
特に、塔状構造物のような高さのある構造物では、転倒モーメントも加わるので、振動テーブルの振動モードと連成して構造物固有のモードとは異なるモードで加振されるおそれがある。甚だしい場合には、構造物下部は加振されていても、上部は静止していることさえ起こるので、かかる振動テーブルの弾性に起因して発生する振動を除去することが重要となる。
【0006】
規模の小さい従来の加振台では、以上のような問題は殆ど起こらなかったので、加振台の固有振動モードの制御に関する研究報告は見当たらない。したがって、加振台の規模が巨大化するに伴い、振動テーブルの運動制御のみに使用されていたアクチュエータによって、振動テーブルの弾性に基づく2次的振動を制御方法を開発することが求められるに至っている。
【0007】
本発明は、以上の問題に着目してなされたものであり、加振台自体の剛性が低下するような大型加振台であっても、剛体のごとく作用させ、目的とする加振入力を正しく被加振構造物に伝達することのできるようにし加振台の多モード振動制御法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するための本発明の加振台の多モード振動制御法は、複数の垂直加振アクチュエータによって振動テーブルを支持し、この振動テーブルの振動面に平行方向に加振する水平加振アクチュエータを所定位置に取り付けた加振台において、前記振動テーブルは、前記振動面に平行方向の剛性が高く形成されており、前記垂直加振アクチュエータによって、前記振動テーブルの厚み方向に発生する低次振動モードを制御する制御法であって、前記垂直加振アクチュエータの数を、制御対象の振動モードの最高次数と同じ、又はそれ以下の数とし、前記最高次数と同じ数の質点を、少なくとも前記支持位置を含む前記振動テーブルに配置され、且つ、所定のばね定数によって各質点間が連結された質点と、前記垂直加振アクチュエータとを含む系の集中定数型垂直方向振動モデルを作成し、前記質点の少なくとも所定か所に、質点の変位を検出するセンサを取り付け、このセンサの検出信号を制御手段に与え、この制御手段は、前記最高次数より高い次数の振動モードに対する感度を低減化するローパスフィルター演算手段、このローパスフィルター演算手段の演算結果と、前記各質点の前記垂直方向の変位及び速度信号とから制御対象振動の制御信号を演算する制振演算手段、及び、この制振演算手段の出力する制振信号に前記振動テーブルを加振する振動を重畳した垂直加振信号と、前記水平加振アクチュエータに水平方向に加振する水平加振信号とを出力する出力手段を備えたコンピュータからなり、得られた制御信号を前記垂直加振アクチュエータに与え、前記センサの検出信号をフィードバックすることにより、前記振動テーブルを加振・制御するようにしたものである。
【0009】
本発明を適用する加振台の規模には特に限定はないが、一般には振動テーブルを軽量化するためフレーム構造とする大型加振台に有利に適用することができる。
本発明の制御対象の振動は、例えば80Hz以下などの低次モードの振動であり、制御対象振動の次数には特に限定はなく、実際に則して適宜決定することができる。
【0010】
また、前記アクチュエータは、加振台に通常使用される、電磁力、油圧などのアクチュエータを使用することができるが、本発明はこれに限定されない。
本発明に使用しうるセンサには、特に限定はなく、速度、変位を検出するサーボ速度センサなどを使用することができるが、本発明はこれに限定されない。
対象構造物の振動モード解析は、一般の解析ソフトウエア(例えばANSYS)を用いて数値的に求めることができる。また実験的には、実験モード解析装置によって行うことができる。
【0011】
前記制御対象の振動モードの最高次数を越える次数の振動モード(以下無視した振動モードという)の感度を低減化するローパスフィルター演算手段は、電気回路などの物理的手段によりローパスフィルターを作成するのではなく、パーソナルコンピュータなどの演算装置をローパスフィルターとして機能させるものである。
【0012】
前記ローパスフィルターの状態方程式及び観測方程式と、前記集中定数型振動モデルの状態方程式及び観測方程式により拡張したシステムの状態方程式及び観測方程式が作られるローパスフィルターの出力変数ベクトルと入力変数ベクトルを用いた状態方程式によって表すことができる。
フィルタを取り付け位置は、一般に観測スピルオーバよりも制御スピルオーバの方が激しいことを考慮し、前記制振演算手段の演算結果をローパスフィルター演算手段の入力変数ベクトルUf とすることが有利である。
【0013】
そして、前記拡張系の状態ベクトル及び制御量のそれぞれに重みを付けた評価関数を最小にする制御系設計問題の従来の手法(LQ制御則)を適用して前記制御演算式を求めることができる。
しかしながら、LQ制御では、制御する振動モードの数(質点の数)だけセンサが必要である。準最適制御理論を用いれば、そのセンサの数を減らすことができる。例えば、制御対象が更に低い振動の制御で実用上十分な場合には、完全状態フィードバックの必要がなく、センサの数を減らし、準最適制御理論を適用して出力フィードバックをすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下添付の図面を参照した一実施の形態により本発明の大型加振台の振動制御装置を具体的に説明する。
図1に例示した大型加振台の振動テーブル1は、縦・横・厚みが20m×15m×1.5mの大きさのものであり、図1の部分拡大図Aに示すように、長手方向L=1m、幅方向W=1.15m、高さH=1.5mの大きさの単位フレームで振動テーブル1を20×13区画のフレーム構造としたものである。
【0015】
前記振動テーブル1には、図2に示すようにx軸(垂直軸)方向加振アクチュエータ2、y軸(水平軸)方向加振アクチュエータ3及びz軸(水平軸)方向加振アクチュエータ4を取り付け、三次元加振を行えるようにした。
図1に示すフレーム構造の振動テーブル1の振動特性は、アルミニウなどの弾性体からなる無垢板からなる等価振動テーブル5(図3)の振動、即ち均質な連続体からなる板の振動特性によって求めたものである。なお、前記弾性体は、アルミニウムに限定されず、任意の弾性体によって構成することができる。
【0016】
図4に、等価振動テーブル5の周波数応答の測定結果の1例を示す。即ち、0〜80Hzの周波数の間に、9個のピークが存在することが分かる。これらのピークのうち、1次から9次までの振動モードは図5〜13のようになる。なお各図に示す9個の点6は、x軸方向加振アクチュエータ2の取り付け位置を示す。
図4に示す10Hz以下にある密集した3個のピークは、等価振動テーブル5の剛体モードに相当するものであり、図5に示す上下動モード(振動数:6.06Hz)、図5に示すピッチングモード(振動数:7.03Hz)及び図6に示すローリングモード(振動数:7.66Hz)からなっている。
【0017】
等価振動テーブル5の弾性モードは、25Hz(4次振動モード)以上の振動として現れ、80Hzまでに6個の振動モードが存在し、それぞれ図8〜13に示す。以下80Hzまでの周波数範囲の振動を抑制する場合について説明する。
<加振台の多質点モデルの作成>
本実施の形態では、9個のアクチュエータの取付け点から決まる振動モードの振動を制御することを目的としたので、振動モデルの質点数を9質点とするモデルが必要となる。以下この9質点モデルとした場合について説明する。なお、質点の数は制御対象の低次振動モードの数と同数とするが、アクチナエータの数は、必要に応じ質点数以下であってもよい。
(1)正規化モード行列の初期値の作成
まず、振動テーブル1の振動特性と等価振動特性と等価の振動特性を有するモデリング点(質点位置)は、図1に示すアクチュエータ取付点6に定め、得られた前記図5〜13に示した振動モードから変位成分φijを読み取る。ここに添字iは質点番号を表し、jはモード次数を表す。
【0018】
図14に、1次振動モードについて、前記変位成分φijの添字i及びjと読み取り位置との関係を示す。次に、読み取られたモード成分に対して正規化を行う。9つの前記モデリング点の1点(例えばφ81)を選び、等価質量同定法を用い、その点の等価質量を求め、M1 とすると、〔数1〕式によって1次振動モードの正規化モード成分が定まる。
【0019】
【数1】
ここに添字i(=1,2…9)は等価質量を同定した点を表す。他の8つのモードについても同様な手続を取ると、〔数2〕式のような正規化モード行列が作成される。
【0020】
【数2】
この〔数2〕式は、集中定数モデルから作られた対角行列ではない。したがって修正が必要な仮のモード行列である。
<正規モード行列の修正>
〔数2〕式に示す正規化モード行列と物理座標系の質量行列M、及び剛性行列Kとの間には以下の関係がある。
【0021】
【数3】
【0022】
【数4】
【0023】
ここに、Ω2 は、各モードの固有振動数の二乗を要素とする対角行列である。質量行列Mは質量連成がない限り対角行列となる。
ところが、〔数3〕式のφは、前記したように仮の正規化モード行列であるから、右辺は対角行列にならない。つまり〔数2〕式を〔数3〕式に代入しただけでは〔数3〕式は成立しない。したがって、これを初期値として〔数3〕式を満足するような修正を行う。
【0024】
これは〔数3〕式の右辺の非対角項を誤差と見立てて誤差ベクトル{ε}を作り、モード成分φijの補正項δφ1,δφ2,…δφn から成る補正ベクトル{δφ}を定義し、次式によって誤差関数を零に近付ける反復計算を行えばよい。
【0025】
【数5】
式中の記号Tは転置記号である。この式に最小ノルム解を使った一般化逆行列を適用すると補正ベクトルは次のように求めることができる。
【0026】
【数6】
この式によって補正ベクトルを計算し、〔数7〕の補正を行い、これを反復計算すれば、誤差関数は零へと収斂する。
【0027】
【数7】
この収斂した補正ベクトル{φ}を〔数3〕式、〔数4〕式に代入すれば質量行列Mと剛性行列Kが求まる。
【0028】
【数8】
【0029】
【数9】
ここに、
A=k1 −k12−k13−k14−k15−k16−k17−k18−k19
B=k12−k2 −k23−k24−k25−k26−k27−k28−k29
C=k13−k22−k3 −k34−k35−k36−k37−k38−k39
D=k14−k24−k34−k4 −k45−k46−k47−k48−k49
E=k15−k25−k35−k45−k5 −k56−k57−k58−k59
F=k16−k26−k36−k46−k56−k6 −k67−k68−k69
G=k17−k27−k37−k47−k57−k67−k7 −k78−k79
H=k18−k28−k38−k48−k58−k68−k78−k8 −k89
I=k19−k29−k39−k49−k59−k69−k79−k89−k9
である。
【0030】
<9質点モデルと運動方程式>
以上のようにして、図15に示す9質点モデル7が作成できる。図15において、各質点Mi(i=1,2…9)について、質点Mi(i=a)と質点Mi(i=b,但しa≠b)との間を結ぶ線は、ばね定数kabを持つばねを表している。例えば、M1 とM2 との間はばね定数k12であり、M1 とM3 と間のばね定数k13である。
【0031】
このモデル7の運動方程式は次のようになる。即ち、
【0032】
【数10】
ここに、式中のX及びFはそれぞれ次の〔数11〕式、〔数12〕式によって表される。
【0033】
【数11】
【0034】
【数12】
<垂直軸方向の状態方程式表示>
次に、以上によって決定した垂直方向の集中定数モデルに基づき状態方程式を導く。このモデルを用いて状態変数ベクトルを次のように定義すると、
【0035】
【数13】
この状態方程式は次式で与えられる。
【0036】
【数14】
ここに添字xはx軸方向の振動であることを示し、Uは制御量を示す。
ここに、制御対象の係数行列Ax,制御量の係数行列Bx,加振量の係数行列Ex は、〔数8〕式、〔数9〕式を用いて次のように定まる。
【0037】
【数15】
【0038】
【数16】
【0039】
【数17】
但し、Kz はアクチュエータの力変換係数である。
また、垂直方向加振アクチュエータ2の出力方程式は次のようになる。
【0040】
【数18】
【0041】
式中Czは観測に係わる係数行列である。
図16は、9質点系モデル7の振動系と〔数14〕式と〔数18〕式との関係、即ち1次〜9次の制御対象振動モード系rについて表したものである。しかしながら、振動テーブル1の実際の振動は、更に10次以上の無限次数の振動モードを有している。そのために、これらのモードを無視した図16によって、制御系を設計した場合、無視したモードが不安定振動、いわゆるスピルオーバ不安定を起こす。
【0042】
この問題を解決するために、本実施の形態で採用した手段をブロック線図で表した図が、図17である。図17で表したブロック線図において、添字cで表したブロック線図が制御対象の1次〜9次振動モードの他に、制御対象外の無視した高次振動モードを添字nで表す。
前記の無視した高次の振動モードnは、制御に影響を及ぼすことになるので、それをローパスフィルターで遮断することにより、完全に無視した高次振動モードのスピルオーバ不安定を防止することができる。
<水平軸方向の状態方程式表示>
振動テーブルの面に水平な方向については、振動テーブルは剛体と考えることができ、水平y軸、z軸方向の状態方程式及び観測方程式は、式の誘導を省略するが、次の〔数19〕式〜〔数22〕によって表すことができる。なお、添字yはy軸方向の振動を表し、添字zはz軸方向の振動を表す。
【0043】
【数19】
【0044】
【数20】
【0045】
【数21】
【0046】
【数22】
<全系の状態方程式と制御系の設計>
全系の状態方程式は、次のように表せる。
【0047】
【数23】
【0048】
【数24】
ここに、X、U、W、A、B及びEはそれぞれ次式で定義される。
【0049】
【数25】
【0050】
【数26】
【0051】
【数27】
【0052】
【数28】
【0053】
【数29】
【0054】
【数30】
制御系の設計にはLQ制御理論を用いた場合、設計パラメータは、次に示す線形二次形式の評価関数Jに与える重み係数行列Q、Rである。
【0055】
【数31】
LQ制御理論に基づけば、この評価関数Jを最小にする制御量は次のように定まる。
【0056】
【数32】
ここに、Pはリカッチ方程式の解である。但し、
【0057】
【数33】
このK* は最適状態フィードバックゲインマトリクスである。この状態フィードバックを施せば、制御系の状態方程式は〔数34〕のように改善される。
【0058】
【数34】
式中Aは本来の特性、BK* は補償値であり、EWは加振力である。なお、(A−BK* )をAi と置くと、〔数34〕式は、
【0059】
【数35】
Ai X+EW
と表現することができる。
前記状態フィードバックを施すには、状態変数の数だけセンサが必要である。
しかし、準最適制御理論を用いれば、出力ベクトルをZと、状態ベクトルXとの間に次の変換行列Mを用いて、
【0060】
【数36】
Z=MX
と表し、また、準最適フィードバックゲインマトリクスKs は、
【0061】
【数37】
と定めることができる。これを用いて、準最適制御量Us は、
【0062】
【数38】
Us =−Ks Z
となる。ここにMは(p×q)のマトリクスであり、pはセンサの数、qは状態変数の数である。当然p<qの関係にあり、センサの減らすことができる。
【0063】
<ローパスフィルターの設計>
この設計には、無視した高次モードの影響が現れないように、カットオフ周波数を決定することによって行う。即ち、本実施の形態では、第10次振動モード以上の周波数の影響をなくすような周波数に決定すればよい。
【0064】
<本実施の形態の制御装置>
図2に示した振動テーブル1に以上説明した加振台の多モード振動制御法の概要を図18,19に示す。図において、既に説明した部材には同じ符号を付し説明を省略する。制御装置10はパソコンによって構成し、振動テーブル1に取り付けたアクチュエータ2,3,4のそれぞれの近傍に取り付けた各センサ11(図19)の出力信号をそれぞれのセンサ11ごとに設けたA/D変換器12よってディジタル信号に変換して制御装置10に与え、また制御装置10から出力する制御信号は、各アクチュエータ2,3,4ごとに設けたD/A変換器13によってアナログ信号に変換したのち、電力増幅器14を介してそれぞれのアクチュエータ2,3,4に与えるようにした。なお、図18に示す符号15は、振動テーブル1上に取り付けた被試験建造物の模型である。
【0065】
<図18,19に示す多モード振動制御法による制御結果>
図20〜23は、図4に示した周波数応答結果を示す等価振動テーブル5を、本実施の形態の制御装置によってx軸方向の固有振動モードの制御を行った場合の質点M1 (図15)の応答結果をシミュレーションにより示したものである。
【0066】
即ち、図20は重み係数Rを小さく設定した場合の共振ピークの抑制結果(太線で示す。以下同じ)を示し、図21は重み係数Rを前記より大きく設定した場合の共振ピークの抑制結果を示したものである。両図から、重み係数Rを適当な値に設定することにより、加振台の振動テーブルに垂直方向の低次固有振動モードの制御が効果的に行うことができることが分かる。
【0067】
また、図22前記質点M1 のインパルス応答結果を示すものである。即ち、制御を行わない場合には、質点M1 にインパルスを与えた場合、制御をしない場合には、4秒後にも振動が減衰することなく継続しているが、本実施の形態の制御を行った場合には速やかな振動減衰効果を得ているとが分かる。
図23は、測定点を等価振動テーブル5の中央の質点M5 (図15)で測定した結果を示したものである。テーブルの中央は多数の振動モードの節になっているので、4つの共振ピークしか現れていないが、これらの振動もよく制御されていることが分かる。
【0068】
【発明の効果】
以上説明した本発明の加振台の多モード振動制御法は、大型加振台としたために、振動テーブルの弾性によって発生する振動面に垂直方向の固有振動モードの振動制御を行う際に、無視した高次モードの振動によるスピルオーバ不安定要因を低減除去することができるので、軽量化するために弾性振動が発生する大型振動テーブルを剛体として作用させることができる。
【0069】
したがって本発明によって、巨大加振台を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】フレーム構造として軽量化を図った大型加振台の振動テーブルの一例を示した斜視図である。
【図2】三次元加振を行うためる加振アクチュエータを取り付けた場合の概要を例示した大型振動テーブルの一例を示す斜視図である。
【図3】フレーム構造の加振アクチュエータの振動特性と等価の特性を有する無垢板からなる振動テーブルの斜視図である。
【図4】図3に示す無垢板からなる振動テーブルの80Hz以下の周波数の振動特性を示すグラフ図である。
【図5】図3に示した無垢板からなる等価振動テーブルの1次振動モードの振動形を示した斜視図である。
【図6】図3に示した無垢板からなる等価振動テーブルの2次振動モードの振動形を示した斜視図である。
【図7】図3に示した無垢板からなる等価振動テーブルの3次振動モードの振動形を示した斜視図である。
【図8】図3に示した無垢板からなる等価振動テーブルの4次振動モードの振動形を示した斜視図である。
【図9】図3に示した無垢板からなる等価振動テーブルの5次振動モードの振動形を示した斜視図である。
【図10】図3に示した無垢板からなる等価振動テーブルの6次振動モードの振動形を示した斜視図である。
【図11】図3に示した無垢板からなる等価振動テーブルの7次振動モードの振動形を示した斜視図である。
【図12】図3に示した無垢板からなる等価振動テーブルの8次振動モードの振動形を示した斜視図である。
【図13】図3に示した無垢板からなる等価振動テーブルの9次振動モードの振動形を示した斜視図である。
【図14】図1に示した振動テーブルの9質点モデルの垂直方向の1次振動モードと、制御ベクトルとの関係を示した図である。
【図15】9質点モデルの斜視図である。
【図16】図15に示す9質点モデルの状態方程式及び観測方程式の関係を示したブロック図である。
【図17】部16に示す制御対象モードの状態方程式及び観測方程式を図により示したブロック線図と、無視した高次振動モードの想定状態方程式及び観測方程式のブロック線図とを、制御量及びセンサとの関係を示したブロック図である。
【図18】 前記実施の形態の振動制御装置の全体構成図である。
【図19】 図18におけるアクチュエータ及びセンサを振動テーブルに取り付けた部分の概要説明図である。
【図20】 前記実施の形態の制御装置を等価振動テーブル5の低次固有振動モードの制御に適用した際の共振ピークの制御結果を示すグラフ図であり、(a)は比較的重み係数を小さくして適用した場合のグラフ図であり、(b)は比較的重み係数を大きくして適用した場合のグラフ図である。
【図21】 前記実施の形態の制御装置を、比較的重み係数を大きくして適用した際の等価振動テーブル5の質点M1 における共振ピークの制御結果のグラフ図である。
【図22】 前記実施の形態の制御装置によって制御した際の等価振動テーブル5の質点M1 のインパルス応答結果を示すものである。
【図23】 等価振動テーブル5の測定点を質点M5 における共振ピークの制御結果のグラフ図である。
【符号の説明】
1 振動テーブル 2 x軸方向加振アクチュエータ
3 y軸方向加振アクチュエータ 4 z軸方向加振アクチュエータ
5 等価振動テーブル 6 アクチュエータ取付点
10 制御装置 11 センサ
φ 変位成分 M 質点
Claims (5)
- 複数の垂直加振アクチュエータによって振動テーブルを支持し、この振動テーブルの振動面に平行方向に加振する水平加振アクチュエータを所定位置に取り付けた加振台において、前記振動テーブルは、前記振動面に平行方向の剛性が高く形成されており、前記垂直加振アクチュエータによって、前記振動テーブルの厚み方向に発生する低次振動モードを制御する制御法であって、前記垂直加振アクチュエータの数を、制御対象の振動モードの最高次数と同じ、又はそれ以下の数とし、前記最高次数と同じ数の質点を、少なくとも前記支持位置を含む前記振動テーブルに配置され、且つ、所定のばね定数によって各質点間が連結された質点と、前記垂直加振アクチュエータとを含む系の集中定数型垂直方向振動モデルを作成し、前記質点の少なくとも所定か所に、質点の変位を検出するセンサを取り付け、このセンサの検出信号を制御手段に与え、この制御手段は、前記最高次数より高い次数の振動モードに対する感度を低減化するローパスフィルター演算手段、このローパスフィルター演算手段の演算結果と、前記各質点の前記垂直方向の変位及び速度信号とから制御対象振動の制御信号を演算する制振演算手段、及び、この制振演算手段の出力する制振信号に前記振動テーブルを加振する振動を重畳した垂直加振信号と、前記水平加振アクチュエータに水平方向に加振する水平加振信号とを出力する出力手段を、備えたコンピュータからなり、得られた制御信号を前記垂直加振アクチュエータに与え、前記センサの検出信号をフィードバックすることにより、前記振動テーブルを加振・制御するようにしたことを特徴とする加振台の多モード振動制御法。
- 所定の振動モードを制御するために、所定の集中定数系モデルを作成することを特徴とする請求項1記載の加振台の多モード振動制御法。
- 前記各質点間を結ぶバネのバネ定数は、所定の振動モードを形成するように定めることを特徴とする請求項1又は2記載の加振台の多モード振動制御法。
- 準最適制御理論を活用して前記質点の変位を検出するセンサの数は、前記質点の数より少なくすることを特徴とする請求項1、2又は3記載の加振台の多モード振動制御法。
- 複数の垂直加振アクチュエータによって振動テーブルを支持し、この振動テーブルの振動面に平行方向に加振する水平加振アクチュエータを所定位置に取り付けた加振台において、前記振動テーブルは、前記振動面に平行方向の剛性が高く形成されており、前記垂直加振アクチュエータによって、前記振動テーブルの厚み方向に発生する低次振動モードを制御する制御装置であって、前記垂直加振アクチュエータの数を、制御対象の振動モードの最高次数と同じ、又はそれ以下の数とし、前記最高次数と同じ数の質点を、少なくとも前記支持位置を含む前記振動テーブルに配置され、且つ、所定のばね定数によって各質点間が連結された質点と、前記垂直加振アクチュエータとを含む系の集中定数型垂直方向振動モデルを作成し、前記質点の少なくとも所定か所に、質点の変位を検出するセンサを取り付け、このセンサの検出信号を制御手段に与え、この制御手段は、前記最高次数より高い次数の振動モードに対する感度を低減化するローパスフィルター演算手段、このローパスフィルター演算手段の演算結果と、前記各質点の前記垂直方向の変位及び速度信号とから制御対象振動の制御信号を演算する制振演算手段、及び、この制振演算手段の出力する制振信号に前記振動テーブルを加振する振動を重畳した垂直加振信号と、前記水平加振アクチュエータに水平方向に加振する水平加振信号とを出力する出力手段を、備えたコンピュータからなり、得られた制御信号を前記垂直加振アクチュエータに与え、前記センサの検出信号をフィードバックすることにより、前記振動テーブルを加振・制御するようにしたことを特徴とする加振台の多モード振動制御装置。
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