JP3897283B2 - 信号筒の発火薬の形成方法及び該方法による信号筒 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、発炎または発煙剤を充填した一挙動式信号筒(以下、「信号筒」と略記する。)の点火装置を構成する発火薬の形成方法に関し、より詳しくは、信号筒本体頂部の開口部付近の周縁部に、均一な厚さの発火薬を形成させる方法と、該方法により作製した信号筒に関する。
【従来の技術】
【0002】
高速道路等における自動車の事故、故障及びこれらの処理、あるいは鉄道車両の事故の場合、現場での二次災害を防止するため、赤色炎を発する信号筒を点火、燃焼させることが広く行われている。
【0003】
信号筒本体頂部の開口部付近の周縁部に、信号筒本体の外側面よりわずかに突出するように、発火薬を固着し、内面下端に環状に摺付薬を塗布した摺付薬紙を筒状蓋体内面に接着し、筒状蓋体をわずかに回転しながら上方に引張って、摺付薬で発火薬を摩擦して点火する信号筒は、一挙動による点火、燃焼が可能である。
【0004】
これまで、上記信号筒の単純化、安全化、点火の確実性向上、あるいは量産性の向上を目指して、種々の改良がなされてきた。
【0005】
例えば、実公昭58−9113号公報や実開平7−41298号(実用新案登録第2602748号)公報では、特定の構造の発火薬保持部を採用することにより、信号筒本体頂部の所定の位置に、発火薬を効率よく固着させ、点火の確実性向上や量産性の向上を計っている。
【0006】
また、実開平6−65800号公報では、信号筒の点火装置の改良に関し、信号筒本体頂部の開口部付近の周縁部に、信号筒本体の外側面よりわずかに突出するように、発火薬を複数箇所に固着し、内面下端に環状に摺付薬を塗布した摺付薬紙を筒状蓋体内面に接着し、筒状蓋体をわずかに回転しながら上方に引張って点火する信号筒において、摺付薬紙の摺付薬塗布部の裏側と該筒状蓋体との間に摺付薬塗布幅より大きい軟質摺付薬圧着材を摺付薬紙の外面に接着させることにより、一挙動で、容易かつ確実で安全に点火させる信号筒が提案されている。
【0007】
さらに、実開平7−22297号(実用新案登録第2607236号)公報では、運搬、貯蔵する際の衝撃、落下等により、上記実開平6−65800号公報の信号筒の発火薬が、破損、脱落することを防止するため、実開平6−65800号公報の信号筒において、信号筒本体と摺付薬紙との間で、発火薬近くの信号筒本体に接着された軟質樹脂製シート状クッション材をもち、かつ該クッション材が摺付薬紙を筒状蓋体に圧着させることにより、発火薬の破損、脱落防止と発火薬と摺付薬との接触防止を計ることが提案されている。
【0008】
一般に、信号筒は、内部に発炎剤または発煙剤を充填した信号筒本体頂部に、発火薬ホルダー及び伝火薬を装着した信号筒本体を準備し、次に、別途用意した、内面下端に環状に摺付薬を塗布した摺付薬紙を筒状蓋体内面に接着した筒状蓋体を、上記信号筒本体の下部より、信号筒本体の外側面と筒状蓋体内面との間に、所定の空隙間隔が空くように、装入、配置する。ついで、信号筒本体頂部の上方より、所定量の流動性発火薬を垂下させて、信号筒本体頂部、並びに信号筒本体頂部の開口部付近の周縁部の複数箇所に、発火薬を付着させた後、乾燥して、固着する。さらに、筒状蓋体に、有底筒状蓋体を、嵌合、接着し、また、筒状蓋体下端と信号筒本体とをテープで固定して、製造されている。
【0009】
信号筒本体頂部の開口部付近の周縁部に、発火薬を均一な厚さで複数箇所に固着するためには、発火薬を垂下する時に、信号筒本体の外側面と、装入した筒状蓋体内面との間の空隙が、均一な間隔を保つように、信号筒本体に対して、筒状蓋体が平行に固定されていなくてはならないが、実開平7−22297号公報のように、軟質樹脂製シート状クッション材で保持した場合では、作業員が、目視で監視しながら、信号筒本体の外側面と筒状蓋体内面とが平行となるように調整しつつ、発火薬を垂下させているのが、実状であり、筒状蓋体の位置調整を、作業員の目視による監視や調整に頼っているため、作業時間を要し、作業効率が低く、また製品歩留まりにも影響していた。
【0010】
図1は、信号筒本体9に対して、筒状蓋体11が平行でなく、斜めに固定された状態で、発火薬1を垂下した時を示している。図1Aは、信号筒本体9頂部の開口部付近の周縁部の発火薬の厚さが不均一な状態を示す概略断面模式図であり、図1A’は、上方からの概略平面模式図である。信号筒本体9に筒状蓋体11を装入し、軟質樹脂製シート状クッション材5で保持した時、信号筒本体9頂部の開口部付近の周縁部の発火薬1の厚さは、不均一となっている。図1Bは、不均一な厚さで発火薬1が固着した時の信号筒本体の概略側面模式図であり、固着した発火薬1の大きさも不揃いである。
【0011】
上記のように、信号筒本体9頂部の開口部付近の周縁部に、不均一な厚さで発火薬1が固着した場合、信号筒の点火の際の筒状蓋体11の引抜き時に、発火薬1の厚さが厚い箇所では、摺付薬と強く摩擦され、異常燃焼による爆音が発生したり、また、薄い個所では、点火し難いという不都合が生ずる。このため、信号筒において、均一な厚さの発火薬1を固着させることは、安全、確実に、点火、燃焼させるための必須の要件である。
【0012】
一定の作業条件下であれば、作業員の目視による監視や調整に頼ることなく、信号筒本体頂部の開口部付近の周縁部に、均一な厚さの発火薬を自動的に形成させることが望まれていた。
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、信号筒本体頂部の開口部付近の周縁部に、均一な厚さの発火薬を自動的に形成させることにより、安全、確実に、点火、燃焼できる信号筒を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、実開平7−22297号(実用新案登録第2607236号)公報の信号筒において、信号筒本体の外側面と筒状蓋体内面との空隙間隔を自動的に均一とする空隙間隔調整部を、発火薬及び軟質樹脂製クッション材との間に、水平方向に離間して、複数個設けることにより、信号筒本体頂部の開口部付近の周縁部に、均一な厚さの発火薬を、自動的に形成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明の、請求項1に記載の信号筒の発火薬の形成方法は、内部に発炎剤または発煙剤を充填した信号筒本体頂部の開口部付近の周縁部に、信号筒本体の外側面よりわずかに突出させて、発火薬を複数箇所に固着し、内面下端に環状に摺付薬を塗布した摺付薬紙を筒状蓋体内面に接着し、かつ発火薬と摺付薬との間に、接触防止用の軟質樹脂製シート状クッション材を環状に信号筒本体に配設し、筒状蓋体をわずかに回転しながら上方に引張って点火する信号筒における発火薬の形成方法であって、
前記発火薬及び前記軟質樹脂製シート状クッション材との間に、信号筒本体の外側面と筒状蓋体内面との空隙間隔を調整するために、
筒状蓋体の外側面から突起状押し具を用いて加圧させることによって筒状蓋体内面に形成した凸状体からなる空隙間隔調整部を水平方向に離間して、3〜5個設けた後、
信号筒本体頂部上方より、流動性発火薬を自動垂下させて、信号筒本体頂部、並びに信号筒本体頂部の開口部付近の周縁部に該発火薬を付着させ、乾燥して固着することで信号筒本体頂部の開口部付近の周縁部の発火薬の厚さを、均一に形成させることを特徴とするものである。
【0016】
請求項2に記載の信号筒の発火薬の形成方法は、
内部に発炎剤または発煙剤を充填した信号筒本体頂部の開口部付近の周縁部に、信号筒本体の外側面よりわずかに突出させて、発火薬を複数箇所に固着し、内面下端に環状に摺付薬を塗布した摺付薬紙を筒状蓋体内面に接着し、かつ発火薬と摺付薬との間に、接触防止用の軟質樹脂製シート状クッション材を環状に信号筒本体に配設し、筒状蓋体をわずかに回転しながら上方に引張って点火する信号筒における発火薬の形成方法であって、
前記発火薬及び前記軟質樹脂製シート状クッション材との間に、信号筒本体の外側面と筒状蓋体内面との空隙間隔を調整するために、
信号筒本体の外側面に配設した凸状体からなる空隙間隔調整部を水平方向に離間して、3〜5個設けた後、
信号筒本体頂部上方より、流動性発火薬を自動垂下させて、信号筒本体頂部、並びに信号 筒本体頂部の開口部付近の周縁部に該発火薬を付着させ、乾燥して固着することで信号筒本体頂部の開口部付近の周縁部の発火薬の厚さを、均一に形成させることを特徴とするものである。
【0017】
請求項3に記載の信号筒は、請求項1または請求項2に記載された信号筒の発火薬の形成方法により作製されたものである。
【0018】
以下、本発明を、図面を参照して、説明する。なお、本発明は、図面により、なんら限定されない。
【0019】
図2は、本発明により作製した信号筒の一例を示す断面模式図である。
【0020】
図2の信号筒は、まず、信号筒本体9の内部に、発炎剤または発煙剤8を充填した後、信号筒本体9頂部に、複数の溝を有する発火薬ホルダー2及び伝火薬3を装着し、信号筒本体9の外側面の所定の位置に、発火薬と摺付薬との接触防止用の軟質樹脂製シート状クッション材5を環状に接着、配設した信号筒本体9を準備する。
【0021】
また、突起状押し具を用いて、筒状蓋体11の外側面から、所定の位置を加圧して、筒状蓋体11内面に、円錐状の凸状体の空隙間隔調整部14を、水平方向に離間して、複数個形成した後、信号筒本体9の発火薬1と接触する筒状蓋体11内面上端に、はく離紙12を環状に接着し、また摺付薬紙5内面下端に、環状に摺付薬7を塗布し、かつ摺付薬7塗布部の裏側に、摺付薬圧着材6を接着した摺付薬紙5の上端を、筒状蓋体11内面の所定の位置に接着した筒状蓋体11を、別途準備する。
【0022】
次に、上記筒状蓋体11を、前記信号筒本体9の下部より、装入、配置した後、信号筒本体9頂部の上方より、所定量の流動性発火薬1を、自動垂下させて、信号筒本体9頂部、並びに信号筒本体9頂部の開口部付近の周縁部の複数箇所に、発火薬1を付着させた後、乾燥して、固着させる。
【0023】
信号筒本体9頂部の上方より、自動垂下させた流動性発火薬1は、信号筒本体9頂部に装着した複数の溝を有する発火薬ホルダー2により、信号筒本体9頂部の開口部付近の周縁部の複数箇所に、また、信号筒本体9の外側面と筒状蓋体11内面との空隙間隔を自動的に均一とする空隙間隔調整部14により、信号筒本体9頂部の開口部付近の周縁部に、均一な厚さの発火薬が形成される。
【0024】
さらに、筒状蓋体11に、有底筒状蓋体4を嵌合、接着し、また、筒状蓋体11下端と信号筒本体9とをテープ10で固定して、本発明の信号筒を完成する。
【0025】
図3は、信号筒本体9に対して、筒状蓋体11が、空隙間隔調整部14により、平行に固定された状態で、発火薬1を垂下した時を示している。図3Aは、図2の信号筒において、突起状押し具を用いて、筒状蓋体11に形成された空隙間隔調整部14と、発火薬1との関係を示す概略断面模式図であり、図3A’は、上方からの概略平面模式図であり、発火薬1が均一な厚さで固着した状態を示している。また、図3Bは、信号筒本体9の外側面に配設した空隙間隔調整部14と発火薬1との関係を示す概略断面模式図であり、図3B’は、上方からの概略平面模式図であり、発火薬1が均一な厚さで固着した状態を示している。また、図3Cは、発火薬1が均一な厚さで固着した時の信号筒本体9の概略側面模式図であり、発火薬1は、ほぼ均一な大きさである。
【0026】
本発明において、信号筒本体9頂部の開口部付近の周縁部に、均一な厚さの発火薬を形成させる空隙間隔調整部14は、1)筒状蓋体11内面に向かって、信号筒本体9の外側面に、所定の形状の凸状体を配設するか、2)突起状押し具を用いて、筒状蓋体11の外側面から加圧させて、筒状蓋体11内面に、所定の形状の凸状体を形成させるかのいずれかにより、発火薬1と軟質樹脂製シート状クッション材5との間の所定の位置に、水平方向に離間して、3〜5個設ける。
【0027】
空隙間隔調整部14は、信号筒本体9の外側面と筒状蓋体11内面との間隔を均一に保持できる高さを有していればよく、その形状は特に限定されない。空隙間隔調整部14の形状は、例えば、円柱状、角柱状、台地形状、円錐状、角錐状、半球状等の凸状体である。特に、台地形状、円錐状、角錐状、半球状の凸状体の場合には、配設した凸状体と、対向する信号筒本体9の外側面または筒状蓋体11内面との接触面積を少なくでき、信号筒の点火時に、筒状蓋体11を引抜きやすく、また、発火薬1との接触面積を少なくでき、発火薬1の脱落、破損を低減できるので、好ましい。
【0028】
また、空隙間隔調整部14の凸状体としては、信号筒の点火の際の筒状蓋体11の引抜き時に、発火薬を破損し難い材料が、適宜選択され、例えば、紙、軟質ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ウレタン、ゴム、あるいは発泡ポリエチレン、発泡ポリ塩化ビニル、発泡ウレタン、発泡ゴムがあげられる。
【0029】
空隙間隔調整部14は、上記に示す材料を用いて、所定の形状の凸状体を作製し、1)筒状蓋体11内面に向かって、信号筒本体9の外側面の所定の位置に、該凸状体を、水平方向に離間して、複数個接着して、配設する。また、信号筒本体9や筒状蓋体11が合成樹脂の場合には、成形時に同時に形成させることも可能である。
【0030】
図3Bは、信号筒本体9の外側面に配設した空隙間隔調整部14と発火薬1との関係を示す概略断面模式図であり、図3B’は、上方からの概略平面模式図である。空隙間隔調整部14は、信号筒本体9の外側面の所定の位置に、水平方向に離間して、4個の半球状の凸状体を接着して配設されている。また、図3Cは、発火薬1がほぼ均一な大きさで固着した様子を示す概略側面模式図である。
【0031】
また、空隙間隔調整部14は、2)突起状押し具を用いて、筒状蓋体11の外側面から加圧させて、筒状蓋体11内面の所定の位置に、所定の形状の凸状体を、水平方向に離間させて、複数個形成させてもよい。該方法では、空隙間隔調整部14用の凸状体を、別途、準備する必要もなく、また接着工程も不要であり、筒状蓋体11と空隙間隔調整部14とを、一体で、容易に製造できる。
【0032】
図3Aは、突起状押し具を用いて、筒状蓋体11に形成された空隙間隔調整部14と、発火薬1との関係を示す概略断面模式図であり、図3A’は、上方からの概略平面模式図である。空隙間隔調整部14は、突起状押し具を用いて、筒状蓋体11の外側面から加圧して、筒状蓋体11内面の所定の位置に、水平方向に離間して、4個の円錐状の凸状体が形成されている。また、図3Cは、発火薬1が均一な大きさで固着した様子を示す概略側面模式図である。
【0033】
空隙間隔調整部14である凸状体の個数は、3〜5個である。凸状体の個数が3個未満の場合、信号筒本体9の外側面と筒状蓋体11内面との空隙間隔を均一とすることができず、また、5個超の場合、3〜5個の場合の効果と変らない。
【0034】
空隙間隔調整部14により調整される、信号筒本体9の外側面と筒状蓋体11内面との空隙間隔は、0.5〜2mmの範囲である。筒状蓋体11の内面上端に接着させるはく離紙12の厚さを調節することにより、信号筒本体9頂部の開口部付近の周縁部の発火薬1の厚さを、0.6〜1.7mmの範囲に調節する。発火薬1の厚さが0.6mm未満の場合、発火薬が剥離しやすく、また1.7mm超の場合、発火薬が破損しやすく、不都合である。
【0035】
信号筒本体9の外側面と筒状蓋体11内面との間に、空隙間隔を均一に保持するための空隙間隔調整部を設けた本発明によれば、一定の作業条件下であれば、信号筒への発火薬の垂下時に、従来のように作業員による目視による監視や調整を行わなくとも、均一な厚さの発火薬を、自動的に形成させることができ、作業性に優れ、製品歩留まりも向上する。
【0036】
本発明により作製した信号筒は、信号筒本体9頂部の開口部付近の周縁部に、均一な厚さの発火薬が形成されており、信号筒の点火の際の筒状蓋体の引抜き時の爆音や不着火の恐れもなく、安全、確実に点火することができる。
【発明の実施の形態】
【0037】
発明の実施の形態を、図面を参照して、実施例に基き、以下に説明する。なお、本発明は、実施例により、なんら限定されない。
【0038】
実施例1
図2に示すように、紙製信号筒本体9(外径32mmφ×長さ300mm×厚さ1mm)に、周知組成の発炎剤8を充填し、信号筒本体9の頂部に、セルロイド製ドーナツ状の発火薬ホルダー2(溝数4個×溝幅5mm)及び伝火薬3を装着した後、信号筒本体9の頂部から50mmの位置に、軟質樹脂製シート状クッション材5(幅10mm×厚さ1mm)を、信号筒本体9に環状に接着し、信号筒本体9を準備した。
【0039】
紙製筒状蓋体11(内径35mmφ×長さ80mm×厚さ0.5mm)の上端から30mmの位置に、直径4mmの突起状押し具を用いて、筒状蓋体11の外側面から加圧して、筒状蓋体11内面に、高さ1.3〜1.5mmの円錐状の凸状体の空隙間隔調整部14を、等間隔で、4個形成させた。次に、筒状蓋体11の内面上端に、ポリエチレン製テープ(幅15mm×厚さ0.3mm)のはく離紙12を、両面テープで環状に接着した。また、幅35mm×厚さ約0.2mmの摺付薬紙13の内面下端に、摺付薬7を幅15mmで塗布し、かつ摺付薬7塗布部の裏側に、幅15mm強のブタジエンゴムシートの摺付薬圧着材6を接着した摺付薬紙13の上端を、筒状蓋体11内面の所定の位置に接着した筒状蓋体11を、別途に準備した。
【0040】
次に、上記筒状蓋体11を、前記信号筒本体9の下部より、自動装入し、配置させた後、信号筒本体9を、約30回/分で回転させながら、信号筒本体9頂部の上方より、3.0gの流動性発火薬1を、自動垂下させて、信号筒9本体の頂部、並びに信号筒本体9頂部の開口部付近の周縁部に、発火薬1を付着させた後、乾燥して、固着させた。
【0041】
図3Aは、筒状蓋体11に形成された空隙間隔調整部14と、発火薬1との関係を示す概略断面模式図であり、図3A’は、上方からの概略平面模式図である。発火薬1と軟質樹脂製シート状クッション材5との間に、空隙間隔調整部14として、4個の円錐状の凸状体が形成されている。
【0042】
さらに、筒状蓋体11に、有底筒状蓋体4を嵌合、接着し、また、筒状蓋体11下端と信号筒本体9とをテープ10で固定して、本発明の信号筒を完成した。
【0043】
なお、信号筒9本体への筒状蓋体11の装入は、機械により自動装入しただけで、従来のような作業員の目視による監視や調整を一切行わなかった。
【0044】
完成した信号筒について、ノギスを用いて、信号筒本体9頂部の開口部付近の周縁部の発火薬の厚さを測定し、発火薬の厚さの最大値と最小値との比を求めたところ、50本の信号筒における平均値は、1.5であった。結果を表1に示す。
【0045】
完成した信号筒50本について、着火性試験を行ったところ、筒状蓋体の引抜き時には、全件爆音を発さず、全件正常に着火した。結果を表2に示す。
【0046】
比較例
実施例1において、筒状蓋体11に、空隙間隔調整部14である円錐状の凸状体を形成させない以外は、実施例1と同様にして、信号筒を完成した。
【0047】
なお、比較例1においても、信号筒9本体への筒状蓋体11の装入では、実施例1と同様、従来のような作業員の目視による監視や調整を一切行わなかった。
【0048】
完成した信号筒について、実施例1と同様にして求めた発火薬の厚さの最大値と最小値との比は、4.5であり、また、着火性試験では、筒状蓋体の引抜き時に、爆音を発したものが5件、不着火が3件であった。結果を表1及び表2に示す。
【0049】
図1Aは、信号筒本体9頂部の開口部付近の周縁部の発火薬1の厚さが不均一となっている不具合品の概略断面模式図であり、図1A’は、上方からの概略平面模式図である。
【0050】
実施例2
実施例1において、実施例1のように、突起状押し具を用いて空隙間隔調整部14を形成させずに、信号筒本体9の頂部から30mmの位置に、水平方向に、等間隔に、ポリエチレン製半球状の凸状体(直径3mm×厚さ1.3mm)を4個接着して、空隙間隔調整部14を配設した以外は、実施例1と同様にして、信号筒を完成した。
【0051】
実施例2においても、信号筒9本体への筒状蓋体11の装入では、実施例1と同様、従来のような作業員の目視による監視や調整を一切行わなかった。
【0052】
完成した信号筒について、実施例1と同様にして求めた発火薬の厚さの最大値と最小値との比は、1.9であり、また、着火性試験では、筒状蓋体の引抜き時には、全件爆音を発さず、全件正常に着火した。結果を表1及び表2に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
表1に示すように、信号筒本体と筒状蓋体との間に設けた4個の凸状体を空隙間隔調整部とした実施例1及び2では、信号筒本体頂部の開口部付近の周縁部の発火薬の厚さの最大値と最小値の比は、1.5〜1.9であり、空隙間隔調整部を設けない比較例での4.5と比べ、信号筒本体への発火薬の垂下に際し、従来のような作業員の目視による監視や調整を行わなくとも、発火薬の厚さを均一に形成できることがわかる。また、表2に示すように、本発明により作製された信号筒は、信号筒本体の頂部付近の周縁部の発火薬の厚さが均一であり、空隙間隔調整部を設けない比較例と比べ、不着火品や、引抜き時に爆音を発したり、不着火の不具合がなかった。
【発明の効果】
【0056】
信号筒本体の外側面と筒状蓋体内面との間に設けた、空隙間隔を均一に保持するための空隙間隔調整部を用いた本発明によれば、一定の作業条件下であれば、信号筒への発火薬の垂下に際し、従来のような作業員による目視での監視や調整を行わなくとも、信号筒本体の頂部付近の周縁部に、均一な厚さの発火薬を、自動的に形成させることができ、作業性に優れ、製品歩留まりも向上する。
【0057】
本発明により作製した信号筒は、信号筒本体の頂部付近の周縁部の発火薬が、均一な厚さであり、点火の際の筒状蓋体の引抜き時に爆音を発することや不着火の恐れもなく、安全、確実に、点火することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】信号筒本体に対して、筒状蓋体が、平行でなく、斜めに固定された状態で、発火薬を垂下した時を示す図である。
【図2】本発明により作製した信号筒の一例を示す断面模式図である。
【図3】信号筒本体に対して、筒状蓋体が、空隙間隔調整部により、平行に固定された状態で、発火薬を垂下した時を示す図である。
【符号の説明】
1 発火薬
2 発火薬ホルダー
3 伝火薬
4 有底筒状蓋体
5 軟質樹脂製シート状クッション材
6 摺付薬圧着材
7 摺付薬
8 発炎または発煙剤
9 信号筒本体
10 テープ
11 筒状蓋体
12 はく離紙
13 摺付薬紙
14 空隙間隔調整部
Claims (3)
- 内部に発炎剤または発煙剤を充填した信号筒本体頂部の開口部付近の周縁部に、信号筒本体の外側面よりわずかに突出させて、発火薬を複数箇所に固着し、内面下端に環状に摺付薬を塗布した摺付薬紙を筒状蓋体内面に接着し、かつ発火薬と摺付薬との間に、接触防止用の軟質樹脂製シート状クッション材を環状に信号筒本体に配設し、筒状蓋体をわずかに回転しながら上方に引張って点火する信号筒における発火薬の形成方法であって、
前記発火薬及び前記軟質樹脂製シート状クッション材との間に、信号筒本体の外側面と筒状蓋体内面との空隙間隔を調整するために、
筒状蓋体の外側面から突起状押し具を用いて加圧させることによって筒状蓋体内面に形成した凸状体からなる空隙間隔調整部を水平方向に離間して、3〜5個設けた後、
信号筒本体頂部上方より、流動性発火薬を自動垂下させて、信号筒本体頂部、並びに信号筒本体頂部の開口部付近の周縁部に該発火薬を付着させ、乾燥して固着することで信号筒本体頂部の開口部付近の周縁部の発火薬の厚さを、均一に形成させる信号筒の発火薬の形成方法。 - 内部に発炎剤または発煙剤を充填した信号筒本体頂部の開口部付近の周縁部に、信号筒本体の外側面よりわずかに突出させて、発火薬を複数箇所に固着し、内面下端に環状に摺付薬を塗布した摺付薬紙を筒状蓋体内面に接着し、かつ発火薬と摺付薬との間に、接触防止用の軟質樹脂製シート状クッション材を環状に信号筒本体に配設し、筒状蓋体をわずかに回転しながら上方に引張って点火する信号筒における発火薬の形成方法であって、
前記発火薬及び前記軟質樹脂製シート状クッション材との間に、信号筒本体の外側面と筒状蓋体内面との空隙間隔を調整するために、
信号筒本体の外側面に配設した台地形状、円錐状、角錐状、半球状の凸状体からなる空隙間隔調整部を水平方向に離間して、3〜5個設けた後、
信号筒本体頂部上方より、流動性発火薬を自動垂下させて、信号筒本体頂部、並びに信号筒本体頂部の開口部付近の周縁部に該発火薬を付着させ、乾燥して固着することで信号筒本体頂部の開口部付近の周縁部の発火薬の厚さを、均一に形成させる信号筒の発火薬の形成方法。 - 請求項1または請求項2に記載された信号筒の発火薬の形成方法により作製された信号筒。
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