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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンを始動する際に使用する始動装置に関するものである。さらに詳しくは、遊星歯車を用いた減速機を備える始動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関(以下単に「エンジン」という。)は、その始動に際して始動装置(以下、適宜「スタータ」という。)による回転駆動を必要とする。この始動装置には、ギヤ式スタータ等があるが、いずれも電気モータ(以下単に「モータ」という。)が駆動源である点で共通する。エンジンの始動には、その種類や排気量にも依るが、比較的大きなトルクが必要となる。このため、モータでエンジンを直接クランキングさせようとすると、モータの体格が自ずと大きくなってしまう。そこで、軽量コンパクト化が求められる最近の始動装置では、減速機をモータとエンジンとの間に介在させて、減速比を大きくすることにより始動に必要な高トルクを得ている。
【0003】
この減速機にも種々あるが、コンパクトで大きな減速比の得られる遊星歯車式減速機が多用されている。この減速機では、モータからサンギヤへ入力された駆動力がプラネタリギヤを支承するキャリアから高トルクで出力される。この前提として、その出力に応じて生じる大きな反力(トルク)がインターナルギヤで受承されなければならない。つまり、インターナルギヤは周方向への回動が拘束されている必要がある。
【0004】
ところで、エンジンは吸気、圧縮等の工程によって、回転に必要なトルクが急激に変動し、その回転数も脈動する。スタータのモータはこのような荷重変動等に巧く追従できないため、インターナルギヤに作用する上記反力も一定しない。その結果、インターナルギヤを単に拘束しただけでは、インターナルギヤの振動等によってエンジン始動時に不快音が発生し得る。
そこで、インターナルギヤ等へ作用する荷重変動等を緩和、吸収するために、インターナルギヤとその拘束部分との間にゴム等の弾性体からなる緩衝部材を配設することが行われている。このような開示は、例えば、下記の特許文献1にある。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−52166号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1では、インターナルギヤの側面から軸方向に延在する突起を緩衝部材(弾性体)で保持するようにしているから、外径方向へスタータが大型化することはない。しかし、この場合、インターナルギヤに係合した回動板に別途摩擦板を押圧させて、その間で発生する摩擦力によってインターナルギヤを拘束させている。このため、始動装置の構造が複雑となっている。また、特許文献4で使用されている緩衝部材は略直方体状のゴムであり、その収納部の内壁との接触面積が大きい。このため、緩衝部材の圧縮作動性が良くなく摩耗等も生じ易く、信頼性の向上を図り難い。また、その緩衝部材はインターナルギヤの周方向の反力を受承するに過ぎず、その軸方向の支持については具体的に開示されていない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、始動時の不快音等の解消と共に緩衝部材の耐久性や全体的な信頼性の向上を図れる始動装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
そこで、本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、緩衝部材をインターナルギヤの外周側ではなくその軸方向側方に配設すると共にその緩衝部材の軸方向側に弾性突部を設けることを思いつき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の始動装置は、駆動モータと、該駆動モータから入力を受けて回転するサンギヤと該サンギヤの外周側に該サンギヤと同心的に配設されるインターナルギヤと該サンギヤおよび該インターナルギヤに噛合するプラネタリギヤと該プラネタリギヤを回転自在に支承すると共に該サンギヤの入力を減速して出力するキャリアと周方向へ可動な状態で配設された該インターナルギヤの回転を拘束する回転拘束手段を有する減速機とを備え、該駆動モータが該減速機を介してエンジンを始動回転させる始動装置において、
前記回転拘束手段は、前記インターナルギヤに設けられ、該インターナルギヤと一体的に回動する可動係止部と、該可動係止部に対向し、かつ、該可動係止部と周方向に対峙して周方向に不動な状態で配設された不動係止部と、少なくとも該可動係止部と不動係止部との間に弾性保持されて前記駆動モータが前記減速機を介してエンジンを始動回転させる際に前記インターナルギヤに作用する反動を弾性的に受承する弾性塊部と該弾性塊部の軸方向側の少なくとも一方から突出して前記インターナルギヤを軸方向に弾性保持する弾性突部とを有する緩衝部材と、からなることを特徴とする(請求項1)。
【0009】
本発明の始動装置の場合、減速機のインターナルギヤは、可動係止部、不動係止部および緩衝部材とからなる回転拘束手段によって、少なくとも一方への回転が規制される。
次に、始動装置によるエンジンの始動開始時、インターナルギヤはキャリアからの出力と反対方向に反力(反対方向のトルク)を受ける。この反力はインターナルギヤと一体的に回動する可動係止部から緩衝部材の弾性塊部を介して不動係止部によって受承されて、インターナルギヤは反力方向の回転が拘束される。ここで、インターナルギヤに作用する反力は、弾性塊部の存在によって、弾性的に穏やかに不動係止部によって受承される。従って、各部に衝撃的な荷重が加わることもなく、係止部材同士の直接接触による不快音等が生じることもない。また、この緩衝部材はいわゆる防振材の役割をも果すため、減速機やその周囲で生じる振動や音をも吸収し得る。こうして、本発明の減速機は、比較的簡易な構造でありながら、始動装置の作動時に発生する振動や不快音等を十分に低減できる。
【0010】
ところで、本発明の緩衝部材は、上記弾性塊部に加えて、その軸方向側の少なくとも一方から突出した弾性突部を有する。この弾性突部は、前記インターナルギヤを軸方向に弾性保持する。つまり、先ず、弾性突部はインターナルギヤのスラスト軸受のような機能を果す。そして、インターナルギヤの振動やブレ等が抑制されるので、インターナルギヤの摩耗等を招くことなく、安定した減速出力が得られる。
またこの弾性突部は、弾性塊部の軸方向側の端面等よりも突出しているため、緩衝部材の軸方向側にある摺動壁面との接触面積が非常に小さくなる。このため、弾性塊部の軸方向側の側面が全面的に、弾性塊部を収納するケースの壁面等と摺接する場合に比べて、弾性塊部の圧縮作動時の動きが非常にスムーズとなる。加えて、その弾性突部が摺動壁面等と主に摺接することから、弾性塊部自体の摩耗や劣化等を生じることがほとんどなく、緩衝部材の信頼性を向上させることができる。
【0011】
さらに前記弾性突部を前記弾性塊部の前記不動係止部側に設けると好適である(請求項2)。
これにより、弾性突部自体も実質的にほとんど摺動しなくなり、弾性塊部のみならず弾性突部の摩耗も抑制されて、緩衝部材の信頼性ひいては始動装置の信頼性が一層向上する。また、弾性突部を設けることで、その付近の弾性塊部の剛性が向上して、始動装置の作動時等に圧縮された弾性塊部の不用意な変形も抑制できるので、より緩衝部材の信頼性が向上し得る。
【0012】
前記回転拘束手段は、さらに、前記可動係止部から所定間隔おいて配設され該可動係止部と一体的に回動する可動当接部と、該可動当接部に対向して軸方向へ延びると共に該可動当接部と周方向に対峙して周方向に不動な状態で配設された不動当接部とを有し、該可動係止部および該不動係止部による前記弾性塊部の圧縮量を該可動当接部と該不動当接部との当接によって制限可能とすると好適である(請求項3)。
【0013】
この場合、インターナルギヤに大きな反力が作用したときでも、その回転は可動当接部と不動当接部とが当接するまでの範囲に制限されている。従って、上記可動係止部および不動係止部による弾性塊部の圧縮量も所定範囲内に制限される。これにより、圧縮量の過多による緩衝部材の破損、損傷、早期疲労等を未然に防止できる。そして、緩衝部材の信頼性ひいては始動装置の信頼性が向上する。さらに、インターナルギヤに大きな反力が作用する場合でも、可動当接部と不動当接部とがいわゆる回り止として作用して、その回転が規制されるため、駆動モータからの入力が効率良く減速されてキャリアから出力される。
【0014】
なお、本発明の始動装置では、可動係止部と不動係止部とが弾性塊部により弾性保持されているので、可動係止部へ加わる荷重は始動装置の作動当初から弾性的であり緩やかである。また、エンジン始動後等に弾性塊部が復帰する場合も、可動係止部へ加わる力は緩やかである。ここで、弾性塊部が可動係止部と不動係止部との間に弾性保持されている状態は、例えば、略弾性塊状の緩衝部材を少し圧縮させつつ、可動係止部と不動係止部との間へ組込むことで得られる。
こうして、不快音等の抑制された、信頼性や効率の高い始動装置が得られる。また、可動当接部と不動当接部との間隔を調整することで上記弾性塊部に許容される圧縮量(最大圧縮量)を容易に設定変更できるので、その減速機の設計自由度も大きい。
【0015】
ところで、緩衝部材としてはバネ、合成樹脂、合成ゴム等種々考え得るが、本発明のように緩衝部材が合成ゴムからなると、形状自由度が大きく、性能、信頼性、コスト、組付け等の点で好ましい。特に、弾性塊部が合成ゴムからなる場合、弾性塊部の最大圧縮率が10〜30%に収るように前記可動当接部および前記不動当接部を配置すると好適である(請求項4)。
【0016】
合成ゴムの一般的な許容最大圧縮率は、耐久性を考えて通常20%前後と言われているが、本発明の弾性塊部のように始動時の僅かな時間しか使用されないものは、その圧縮率が20%を超えても、その信頼性が長期間損われることはない。但し、圧縮率が30%を超えると、弾性塊部等の破損や損傷等を招き得るため好ましくない。そこで本発明の場合、その圧縮率を30%内に納めた。なお、可動当接部および不動当接部を設けているのでその圧縮率の上限を制限することは容易である。圧縮率の下限を10%としたのは、弾性塊部の弾性を有効利用するためである。
【0017】
これまで、可動係止部によって弾性塊部が圧縮される場合について主に説明してきた。しかし、可動係止部に作用する力の方向は、エンジン始動前後で変化する。このため、可動係止部ひいてはインターナルギヤは、その反力方向と逆方向へも回転し得る。このときも僅かかもしれないが、減速機で振動や不快音を発生し得る。このような振動や不快音等も低減されるのが好ましい。
【0018】
そこで、前記緩衝部材は、前記弾性塊部を形成する主弾性塊部と、前記可動係止部と前記不動当接部との間に弾性保持される副弾性塊部と、該可動係止部を跨いで該主弾性塊部と該副弾性塊部とを架橋する架橋部とを有し、該主弾性塊部の該副弾性塊部に対する周方向長比は4〜6であると好適である(請求項5)。
これにより、可動係止部は副弾性塊部によって主弾性塊部の裏側でも弾性保持される。その結果、可動係止部ひいてはインターナルギヤはいずれの回転方向にも弾性保持された状態となる。よって、可動係止部は一層安定して保持された状態となり、減速機で生じる不快音等は著しく低減され得る。また、主弾性塊部と副弾性塊部とは架橋部で連結されているので、組付けや部品管理が非常に容易となる。
【0019】
ここで、主弾性塊部の副弾性塊部に対する周方向長比を4〜6としたのは、主弾性塊部の圧縮方向により大きな力(つまり、始動時の反力)が作用する一方、副弾性塊部の圧縮方向(反力の反対方向)に作用する力はあまり大きくはないからである。周方向長比が4未満では主弾性塊部の耐久性の確保が難しくなり、逆に周方向長比が6を超えるとコンパクト化を図りづらくなるからである。なお、周方向長比は、主弾性塊部と副弾性塊部の中心円弧長で比較すれば良い。
上記弾性塊部(または主弾性塊部)は、周方向の略中央部が端部よりも細く括れ周方向に収縮自在であると好適である(請求項6)。
【0020】
本発明の場合、緩衝部材がインターナルギヤに作用する反力を穏やかに吸収するには、その弾性塊部が変形し易いことが必要である。そこで、上記のように弾性塊部の中央部が括れていると、少なくともその中央部で変形抵抗が小さくなる。また、弾性塊部を圧縮したとき、その括れた部分が周囲へ膨張し、その部分で圧縮に伴う形状変化を起すため、弾性塊部の弾性が有効に利用される。こうして、略中央に括れ部分を設けることで、衝撃吸収能の大きな緩衝部材が得られる。なお、上記弾性塊部は、逆に端部では括れていないため、その両端部では可動係止部および不動係止部に安定して保持される。
【0021】
本発明の場合、配設する緩衝部材の形態や数量等は特に限定されないが、始動装置のコンパクト化やインターナルギヤの安定した作動を確保するために、周方向の3カ所以上に緩衝部材をそれぞれ均等に配設すると好ましい。そこで、前記可動係止部および前記可動当接部と前記不動係止部および前記不動当接部は、それぞれ、3対以上周方向に均等に配設されていると好適である(請求項7)。同様に、前記可動当接部および前記不動当接部は、それぞれ、3対以上周方向に均等に配設されていると好適である(請求項8)。
【0022】
これにより、始動開始時のインターナルギヤの傾きや偏りを抑制でき、始動装置の滑らかな作用が確保される。また、始動開始時の反力等も複数の弾性塊部で受けられるため、緩衝部材を小型化し安定した衝撃吸収能が得られる。
なお、複数箇所に緩衝部材を設ける場合、それが環状に一体化されていると部品管理や組付等の点で好ましい。もっとも、例えば、上記主弾性塊部、副弾性塊部および架橋部等を1個として、これを複数用いて組付ける方が一層好ましい。主弾性塊部の圧縮等に伴う緩衝部材相互間の引きずり等を防止して緩衝部材の信頼性の向上を図れるからである。
【0023】
ところで、上記可動係止部と可動当接部とはインターナルギヤと一体的に回転するとしても、両者が一体である必要は必ずしもない。例えば、インターナルギヤと可動係止部および可動当接部とが別部材で構成されて、両者が一体的に回転するようような係止関係にあっても良い。
もっとも、それらを一体とすることで、部品管理や組付けが容易となり好ましい。また、複雑な形状のものでも樹脂一体成形によれば比較的容易に低コストで得ることができる。
【0024】
そこで、前記インターナルギヤと前記可動係止部と前記可動当接部とは、樹脂一体成形された略有底円筒状の樹脂部材とし、インターナルギヤは、樹脂部材の円筒内周面に形成された内歯とし、可動係止部および可動当接部は、それぞれ、樹脂部材の外側底面から軸方向に突出した可動係止突起および可動当接突起とすると好適である(請求項9)。
なお、本発明の場合、インターナルギヤや可動係止部に作用する反力等は緩衝部材によって十分に衝撃吸収されるから、それらが樹脂一体成形されたものであっても、破損、損傷等は生じず、耐摩耗性等にも優れ、信頼性も高い。
【0025】
もっとも、回転が拘束された不動係止部や不動当接部は、上記樹脂部材等とは独立して、下記ケース等として別途設ける必要がある。
すなわち、前記不動係止部および不動当接部は、それぞれ、前記樹脂部材の底面外側に対向して回転が規制された略有底円筒状のケースの底面から軸方向に突出した不動係止突起および不動当接突起であり、前記緩衝部材は、該ケースの円筒内部に設けられた凹部に収納されると好適である(請求項10)。
【0026】
なお、上記不動係止部や不動当接部についていう「不動」とは、実質的に回動しないという意味であって、多少のがたつき等を問題とするものではない。また、本発明の始動装置は、ギア式スタータに限らず、他のタイプのスタータでも良い。さらに、本明細書でいう「周方向」または「軸方向」とは、減速機の回転中心軸に対するものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。
(第1実施形態)
本発明の始動装置の一実施形態であるギヤ式スタータ(以下単に「スタータ」という。)Sを図1に示す。このスタータSは、主に、減速機10と、モータ80とマグネットスイッチ90とからなる。モータ80の出力は減速機10を介して、後述のキャリア13から外周面にヘリカルスプラインの形成された出力軸へ伝達される。そのヘリカルスプライン上には、オーバランニングクラッチ(ワンウェイクラッチ)82とピニオンギヤ83とが配設されている。そのオーバランニングクラッチ82およびピニオンギヤ83は、始動時、マグネットスイッチ90によるレバー操作によって軸方向へ(図1の左側へ)押し出される。そして、ピニオンギヤ83は、エンジンのクランクシャフトに取付けられたリングギヤに一時的に噛合し、エンジンをクランキングする。エンジンが始動すると、オーバランニングクラッチ82によってスタータSのピニオンギヤ83は空転し、モータ80の過回転が防止されるようになっている。
【0028】
ところで、減速機10は、モータ80から延在するモータ主軸81に形成したサンギヤ11と、その周囲に配設されサンギヤ11に噛合する3つのプラネタリギヤ12と、このプラネタリギヤ12を自転および公転可能に支持するキャリア13と、プラネタリギヤ12の外周側に配設されてプラネタリギヤ12に噛合するインターナルギヤ149を円筒内面に備えた円筒樹脂部材14と、この円筒樹脂部材14の軸方向前方側(図1の左側)に設けられた収納ケース18(ケース)と、円筒樹脂部材14と収納ケース18との間に介在する緩衝部材15とからなる。円筒樹脂部材14の軸方向後端面には覆板19が設けられており、モータ80のモータハウジングの前方部を閉口すると共に円筒樹脂部材14の軸後方への移動が規制されている。
【0029】
次に、本実施形態の特徴部分である円筒樹脂部材14と緩衝部材15と収納ケース18とからなる回転拘束手段について説明する。
円筒樹脂部材14は、図2に示すように略有底円筒状をしており、熱可塑性樹脂によって一体成形されたものである。上記インターナルギヤ149も、後方(図右側)に位置する円筒内面に一体成形されている。円筒樹脂部材14の前方にある環状の底面には、軸方向前方に突出した3対の可動係止突起141および可動当接突起142が、放射状かつ均等に設けられている。可動当接突起142の肉厚は可動係止突起141の肉厚よりも厚く、大きな反力を安定して受承できるようにしてある。
【0030】
また、円筒樹脂部材14は、底面の内周側および外周側から前方に少し突出した内環状突起145および外環状突起146を備える。そして、それらと上記可動係止突起141および可動当接突起142とによって、少し窪んだ主可動凹部143および副可動凹部144が交互に形成されている。なお、これらの主可動凹部143および副可動凹部144の周方向長比は、上記可動係止突起141を隣接する可動当接突起142間のいずれに配置するかにより容易に調整できる。
【0031】
緩衝部材15は、図3に示すように主弾性塊部151と副弾性塊部152とその両者を架橋して連結する架橋部153とかなり、耐油性の合成ゴム(NBR等)により一体成形されたものである。ここで、耐油性の合成ゴムを使用したのは、摺動抵抗低減等のために使用するグリスが付着しても劣化等せず、緩衝部材15の機能が長期間維持されるようにするためである。
【0032】
主弾性塊部151は扇型ブロック状であり略中央部の周囲が括れた状態となっている。また、上記収納ケース18に接する主弾性塊部151の外周端側には半球状の弾性突起154(弾性突部)が両面側に設けられている。副弾性塊部152も扇型ブロック状であるが、主弾性塊部151よりは周方向長がかなり短い。本実施形態では、主弾性塊部151と副弾性塊部152との周方向長比を約5:1とした。架橋部153は、主弾性塊部151と副弾性塊部152との内側端部を帯状に連結するものである。
【0033】
収納ケース18は、図4に示すように略円盤状をしており、アルミニウム合金製鋳物に適宜切削加工を施したものである。収納ケース18の前方(図左側)はほぼ平面板状に形成されているが、その裏側(図右側)には軸方向後方に突出した3対の不動係止突起181および不動当接突起182が放射状かつ均等に設けられている。不動当接突起182の肉厚は不動係止突起181の肉厚よりも厚く、大きな反力を安定して受承できるようにしてある。
【0034】
また、収納ケース18は、裏面側の内周側および外周側からは後方に突出した内環状突起185および外環状突起186を備える。そして、それらと上記不動係止突起181および不動当接突起182とによって、窪んだ主不動凹部183および副不動凹部184が交互に形成されている。なお、これらの主不動凹部183および副不動凹部184の周方向長比は、上記不動係止突起181を隣接する不動当接突起182間のいずれに配置するかにより容易に調整できる。
収納ケース18は外周部に係止片189を有する。この係止片189はスタータSのハウジングに係合して(図示せず)、収納ケース18が周方向に回転しないように拘束してある。
【0035】
次に、上記円筒樹脂部材14、緩衝部材15および収納ケース18の組付けについて図5および図6を用いて説明する。図5に三者の分解配置図を示したものであり、図6は緩衝部材15を円筒樹脂部材14に組付けた状態を示すものである。なお、図6は、便宜上、緩衝部材15が円筒樹脂部材14に組み付けた状態を示すが、実際には、緩衝部材15が収納ケース18に組付けられた後に、円筒樹脂部材14が組付けられる。これを踏まえて以下説明する。
【0036】
先ず、緩衝部材15を収納ケース18に組付ける。この際、収納ケース18の不動係止突起181と不動当接突起182との間に緩衝部材15を嵌め込むようにして組付ける。そして、円筒樹脂部材14に形成された可動係止突起141を、緩衝部材15の主弾性塊部151および副弾性塊部152の間に押込むようにして組付ける。これにより、主弾性塊部151および副弾性塊部152は、可動係止突起141を弾性的に挟持した状態となる。このような緩衝部材15と円筒樹脂部材14との組付けを周方向の3カ所で行う。これにより、不動係止突起181は円筒樹脂部材14の可動当接突起142と緩衝部材15の主弾性塊部151との間にほぼ挟持された状態となる。一方、不動当接突起182は、円筒樹脂部材14の可動係止突起141との間で緩衝部材15の副弾性塊部152を弾性的に挟持した状態となる。
【0037】
なお、円筒樹脂部材14の内環状突起145および外環状突起146と、収納ケース18の内環状突起185および外環状突起186とは、それぞれ、対応するように形成されており、円筒樹脂部材14と収納ケース18とによってほぼ機密された内部空間が形成される。そして、この内部空間内に緩衝部材15の全部が収納されることとなる。このとき、緩衝部材15の主弾性塊部151の端部両面側に設けられた弾性突起154によって、円筒樹脂部材14は収納ケース18に対して軸方向(スラスト方向)に弾性的に支承された状態となる。この弾性突起154は半球状をしていて、壁面と略点接触状態となるため、円筒樹脂部材14の収納ケース18に対する回動はほとんど妨げられず、弾性突起154の摩耗や劣化等も少ない。また、円筒樹脂部材14は周方向の均等な3カ所で弾性突起154により支承されるため、非常に安定した姿勢を保つ。従って、インターナルギヤ149の傾き等による駆動力の伝達ロスやその摩耗等を十分に抑制、低減できる。
【0038】
次に、スタータSによるエンジン始動開始前後における円筒樹脂部材14、緩衝部材15および収納ケース18の作動について図7を用いて説明する。図7(a)、(b)はそれぞれスタータSの作動前後の様子を平面的に展開した断面図である。
図7(a)からも明らかなように、スタータSの作動前には、収納ケース18の不動係止突起181および不動当接突起182と円筒樹脂部材14の可動係止突起141とによって形成された空間(主不動凹部183)に緩衝部材15が弾性圧縮された状態で嵌入されている。また、その緩衝部材15の前後周方向では、その不動係止突起181とそれに隣接した別の不動当接突起182との間の空間(副不動凹部184)に円筒樹脂部材14の可動当接突起142が遊嵌されている。そして、スタータSの作動前、緩衝部材15は取付時の予圧縮量を除いて実質的に圧縮されておらず、可動当接突起142も不動当接突起182から離れた位置つまり不動係止突起181側にある。
【0039】
一方、スタータSが作動を開始すると、円筒樹脂部材14はインターナルギヤ149から図の矢印方向(図上方)へ反力を受ける。この反力によって、その可動係止突起141は緩衝部材15の主弾性塊部151をその反力方向へ圧縮する。本実施形態では、スタータSの作動前から可動係止突起141と主弾性塊部151とが弾性密着した状態となっているため、円筒樹脂部材14に作用する反力は可動係止突起141を介して主弾性塊部151で当初から穏やかに吸収され、急激な衝撃荷重等が作用することもない。なお、この圧縮動作の際、緩衝部材15および可動係止突起141は、主不動凹部183が案内溝の機能を果し、それによってガイドされる。また、可動当接突起142は、副不動凹部184が案内溝の機能を果し、それによってガイドされる。
【0040】
上記反力がさらに大きくなり、可動係止突起141による主弾性塊部151の圧縮量が限界付近(例えば、圧縮量30%)に達すると、その可動係止突起141と一体的に回転する可動当接突起142が固定された収納ケース18の不動当接突起182に当接する(図7(b)の状態)。すると、これ以降、円筒樹脂部材14は反力方向に回転できず、可動係止突起141によって主弾性塊部151の圧縮量が上記限界圧縮量(最大圧縮量)を超えないようになっている。
【0041】
なお、エンジン始動後等に円筒樹脂部材14に作用していた反力が解放されると、緩衝部材15および円筒樹脂部材14は図7(b)の状態から図7(a)の状態へ戻る。このとき、可動係止突起141は別の不動当接突起182(図7の下側にある不動当接突起182)に向って逆回転(復帰)するが、そもそも作用している力が弱く、さらには両者間に副弾性塊部152も存在するため、その際に各部に衝撃荷重等が加わったりその周囲で不快音等が発生することはほとんどない。
【0042】
このように、本実施形態のスタータSは、その作動時の反力を緩衝部材15によって緩和しつつ受止めると共に緩衝部材15の損傷等をも防止し、静粛であると共に信頼性の高いものとなっている。そして、樹脂製のインターナルギヤ149を使用した場合でも、十分な信頼性が確保されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態であるスタータの全体を示す要部断面図である。
【図2】その始動装置に用いた円筒樹脂部材を示す斜視図である。
【図3】その始動装置に用いた緩衝部材を示す斜視図である。
【図4】その始動装置に用いた収納ケースを示す斜視図である。
【図5】その円筒樹脂部材、緩衝部材および収納ケースの配置を示す分解斜視図である。
【図6】円筒樹脂部材に緩衝部材を組込んだ様子を示す斜視図である。
【図7】円筒樹脂部材、緩衝部材および収納ケースの作動を示す平面展開図であり、同図(a)はスタータの作動前を示し同図(b)スタータの作動中を示す。
【符号の説明】
S 始動装置
10 減速機
11 サンギヤ
12 プラネタリギヤ
13 キャリア
14 円筒樹脂部材
141 可動係止突起
142 可動当接突起
149 インターナルギヤ
15 緩衝部材
151 主弾性塊部
152 副弾性塊部
153 架橋部
154 弾性突起
18 収納ケース
181 不動係止突起
182 不動当接突起[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a starting device used when starting an engine. More specifically, the present invention relates to a starting device including a reduction gear using a planetary gear.
[0002]
[Prior art]
An internal combustion engine (hereinafter simply referred to as “engine”) requires rotational driving by a starter (hereinafter referred to as “starter” as appropriate) upon starting. The starter includes a gear type starter and the like, all of which are common in that an electric motor (hereinafter simply referred to as “motor”) is a drive source. A relatively large torque is required to start the engine, although it depends on the type and displacement. For this reason, if the engine is directly cranked by the motor, the physique of the motor naturally increases. Therefore, in a recent starter that is required to be lightweight and compact, a high speed required for starting is obtained by interposing a reduction gear between the motor and the engine and increasing the reduction ratio.
[0003]
Although there are various types of reduction gears, planetary gear type reduction gears that are compact and provide a large reduction ratio are frequently used. In this reduction device, the driving force input from the motor to the sun gear is output with high torque from the carrier that supports the planetary gear. As a premise, a large reaction force (torque) generated according to the output must be received by the internal gear. That is, the internal gear needs to be restricted from rotating in the circumferential direction.
[0004]
By the way, the torque required for rotation of the engine suddenly fluctuates by processes such as intake and compression, and the rotation speed also pulsates. Since the starter motor cannot skillfully follow such load fluctuations, the reaction force acting on the internal gear is not constant. As a result, if the internal gear is simply restrained, an unpleasant noise may be generated when starting the engine due to vibration of the internal gear or the like.
Therefore, in order to alleviate and absorb load fluctuations acting on the internal gear and the like, a buffer member made of an elastic body such as rubber is disposed between the internal gear and its restraining portion. . Such a disclosure is disclosed in Patent Document 1 below, for example.
[0005]
[Patent Document 1]
JP-A-5-52166
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
In Patent Document 1, since the protrusion extending in the axial direction from the side surface of the internal gear is held by the buffer member (elastic body), the starter is not enlarged in the outer diameter direction. However, in this case, the friction plate is separately pressed by the rotating plate engaged with the internal gear, and the internal gear is restrained by the frictional force generated therebetween. For this reason, the structure of the starting device is complicated. Moreover, the buffer member used in Patent Document 4 is a substantially rectangular parallelepiped rubber and has a large contact area with the inner wall of the storage portion. For this reason, the compression operability of the buffer member is not good, wear and the like are likely to occur, and it is difficult to improve reliability. Moreover, the buffer member only receives the reaction force in the circumferential direction of the internal gear, and the support in the axial direction is not specifically disclosed.
[0007]
The present invention has been made in view of such circumstances, and an object of the present invention is to provide a starter capable of eliminating the unpleasant noise at the start and improving the durability and overall reliability of the buffer member. And
[0008]
[Means for Solving the Problems and Effects of the Invention]
Therefore, the present inventor has intensively studied to solve this problem, and as a result of repeated trial and error, the buffer member is disposed not in the outer peripheral side of the internal gear but in the axial direction thereof, and in the axial direction of the buffer member. The inventors came up with the idea of providing an elastic protrusion on the side and completed the present invention.
That is, the starting device of the present invention includes a drive motor, a sun gear that rotates by receiving an input from the drive motor, an internal gear that is disposed concentrically with the sun gear on the outer peripheral side of the sun gear, the sun gear, and the interface. A planetary gear meshing with a null gear, a planetary gear that rotatably supports the planetary gear, and a carrier that decelerates and outputs the input of the sun gear and a rotation constraint that restrains rotation of the internal gear that is arranged in a circumferentially movable state A starting device for starting and rotating the engine via the speed reducer,
The rotation restraining means is provided on the internal gear, and is configured to move integrally with the internal gear. The rotational locking means is opposed to the movable locking portion, and is circumferential with the movable locking portion. And a stationary locking portion disposed in a stationary state in the circumferential direction, and elastically held between at least the movable locking portion and the stationary locking portion, and the drive motor is interposed via the speed reducer. An elastic lump that elastically receives a reaction acting on the internal gear when the engine is started and rotated, and protrudes from at least one of the elastic lump on the axial direction side to elastically hold the internal gear in the axial direction. And a shock-absorbing member having an elastic protrusion.
[0009]
In the case of the starter of the present invention, the rotation of the internal gear of the speed reducer to at least one is restricted by the rotation restricting means including the movable locking portion, the non-moving locking portion, and the buffer member.
Next, when starting the engine by the starter, the internal gear receives a reaction force (torque in the opposite direction) in the direction opposite to the output from the carrier. This reaction force is received from the movable locking portion that rotates integrally with the internal gear by the stationary locking portion via the elastic mass portion of the buffer member, and the internal gear is restrained from rotating in the reaction force direction. The Here, the reaction force acting on the internal gear is elastically and gently received by the stationary locking portion due to the presence of the elastic mass portion. Therefore, a shocking load is not applied to each part, and unpleasant noise due to direct contact between the locking members does not occur. Moreover, since this buffer member also plays the role of what is called a vibration isolator, it can also absorb the vibration and sound which generate | occur | produce around a reduction gear and its periphery. Thus, the speed reducer of the present invention has a relatively simple structure, but can sufficiently reduce vibrations, unpleasant sounds, and the like that are generated when the starter is operated.
[0010]
By the way, the buffer member of this invention has the elastic protrusion which protruded from at least one of the axial direction side in addition to the said elastic mass part. The elastic protrusion elastically holds the internal gear in the axial direction. That is, first, the elastic protrusion functions as a thrust bearing of an internal gear. Further, since vibration and vibration of the internal gear are suppressed, stable deceleration output can be obtained without causing wear of the internal gear.
Moreover, since this elastic protrusion protrudes from the end surface etc. of the axial direction side of an elastic lump part, the contact area with the sliding wall surface in the axial direction side of a buffer member becomes very small. For this reason, compared with the case where the side surface on the axial direction side of the elastic mass portion is entirely in sliding contact with the wall surface of the case housing the elastic mass portion, the movement of the elastic mass portion during the compression operation becomes very smooth. . In addition, since the elastic projection mainly comes into sliding contact with the sliding wall surface or the like, the elastic mass portion itself hardly undergoes wear or deterioration, and the reliability of the buffer member can be improved.
[0011]
Further, it is preferable that the elastic protrusion is provided on the side of the stationary locking portion of the elastic mass portion (Claim 2).
As a result, the elastic protrusion itself hardly slides and wear of the elastic protrusion as well as the elastic mass part is suppressed, and the reliability of the buffer member and the reliability of the starting device is further improved. In addition, by providing the elastic protrusion, the rigidity of the elastic mass portion in the vicinity thereof is improved, and it is possible to suppress inadvertent deformation of the elastic mass portion compressed during the operation of the starter, etc. Reliability can be improved.
[0012]
The rotation restraining means further includes a movable contact portion that is disposed at a predetermined interval from the movable locking portion and rotates integrally with the movable locking portion, and an axial direction facing the movable contact portion. And the movable abutting portion and a stationary abutting portion that is disposed in a circumferentially stationary state in opposition to the movable abutting portion, and the elastic mass formed by the movable locking portion and the immovable locking portion. It is preferable that the amount of compression of the portion can be limited by the contact between the movable contact portion and the non-moving contact portion.
[0013]
In this case, even when a large reaction force acts on the internal gear, the rotation is limited to a range until the movable contact portion and the non-moving contact portion contact each other. Therefore, the compression amount of the elastic mass portion by the movable locking portion and the non-moving locking portion is also limited within a predetermined range. Thereby, breakage, damage, early fatigue, etc. of the buffer member due to excessive compression can be prevented in advance. And the reliability of a buffer member and by extension, the reliability of a starting device improves. Further, even when a large reaction force acts on the internal gear, the movable contact portion and the non-moving contact portion act as a so-called detent and the rotation is restricted, so that the input from the drive motor is efficient. Decelerated and output from carrier.
[0014]
In the starting device of the present invention, since the movable locking portion and the non-moving locking portion are elastically held by the elastic mass portion, the load applied to the movable locking portion is elastic from the beginning of operation of the starting device and is moderate. It is. In addition, even when the elastic mass portion returns after the engine is started, the force applied to the movable locking portion is moderate. Here, the state in which the elastic mass portion is elastically held between the movable locking portion and the non-moving locking portion is, for example, a little compression of the substantially elastic lump-shaped buffer member, It is obtained by incorporating it between the parts.
In this way, a reliable and highly efficient starting device in which unpleasant noise is suppressed can be obtained. Moreover, since the compression amount (maximum compression amount) allowed for the elastic mass portion can be easily changed by adjusting the distance between the movable contact portion and the non-moving contact portion, the degree of freedom in designing the speed reducer is also improved. large.
[0015]
By the way, as the buffer member, various types such as a spring, a synthetic resin, and a synthetic rubber can be considered. However, when the buffer member is made of synthetic rubber as in the present invention, the degree of freedom in shape is large, and performance, reliability, cost, assembly, etc. Is preferable. In particular, when the elastic mass portion is made of synthetic rubber, it is preferable to dispose the movable contact portion and the non-moving contact portion so that the maximum compression rate of the elastic mass portion is 10 to 30%. ).
[0016]
The general allowable maximum compression rate of synthetic rubber is usually said to be around 20% in consideration of durability, but those that are used only for a short time at the start, such as the elastic mass part of the present invention, Even if the compression rate exceeds 20%, its reliability is not impaired for a long time. However, if the compression ratio exceeds 30%, it is not preferable because breakage or damage of the elastic mass portion or the like may be caused. Therefore, in the case of the present invention, the compression ratio is kept within 30%. In addition, since the movable contact part and the non-moving contact part are provided, it is easy to limit the upper limit of the compression rate. The reason why the lower limit of the compression ratio is set to 10% is to effectively use the elasticity of the elastic mass.
[0017]
So far, the case where the elastic mass portion is compressed by the movable locking portion has been mainly described. However, the direction of the force acting on the movable locking portion changes before and after the engine is started. For this reason, a movable latching | locking part and by extension, an internal gear can rotate to the reverse direction to the reaction force direction. Although it may be slight also at this time, a vibration and an unpleasant noise may be generated with a reduction gear. It is preferable to reduce such vibrations and unpleasant sounds.
[0018]
Therefore, the buffer member includes a main elastic mass portion that forms the elastic mass portion, a secondary elastic mass portion that is elastically held between the movable locking portion and the non-moving contact portion, and the movable locking portion. It is preferable that the circumferential length ratio of the main elastic mass portion to the secondary elastic mass portion is 4 to 6 with a bridging portion that bridges the main elastic mass portion and the secondary elastic mass portion. (Claim 5).
Thereby, the movable locking portion is elastically held also on the back side of the main elastic lump portion by the sub elastic lump portion. As a result, the movable locking portion and thus the internal gear are elastically held in any rotational direction. Therefore, the movable locking portion is more stably held, and unpleasant noise generated by the speed reducer can be significantly reduced. Moreover, since the main elastic lump part and the subelastic lump part are connected by the bridge | crosslinking part, an assembly | attachment and component management become very easy.
[0019]
Here, the reason why the circumferential length ratio of the main elastic mass portion to the sub-elastic mass portion is 4 to 6 is that a larger force (that is, a reaction force at the start) acts in the compression direction of the main elastic mass portion, This is because the force acting in the compression direction (opposite to the reaction force) of the sub-elastic mass is not so large. This is because if the circumferential length ratio is less than 4, it is difficult to ensure the durability of the main elastic mass portion. Conversely, if the circumferential length ratio exceeds 6, it is difficult to achieve compactness. In addition, what is necessary is just to compare the circumferential direction length ratio by the center circular arc length of a main elastic lump part and a subelastic lump part.
The elastic mass portion (or main elastic mass portion) is preferably such that the substantially central portion in the circumferential direction is narrower than the end portion and can be contracted in the circumferential direction (Claim 6).
[0020]
In the case of the present invention, in order for the buffer member to gently absorb the reaction force acting on the internal gear, the elastic mass portion needs to be easily deformed. Therefore, when the central portion of the elastic mass portion is constricted as described above, the deformation resistance is reduced at least in the central portion. Further, when the elastic mass portion is compressed, the constricted portion expands to the surroundings and causes a shape change accompanying the compression at the portion, so that the elasticity of the elastic mass portion is effectively used. Thus, by providing the constricted portion at substantially the center, a shock absorbing member having a large impact absorbing ability can be obtained. In addition, since the said elastic mass part is not constricted in an edge part conversely, in the both ends, it is stably hold | maintained at a movable latching | locking part and a fixed latching | locking part.
[0021]
In the case of the present invention, the form and quantity of the buffer member to be arranged are not particularly limited, but in order to ensure a compact starter and a stable operation of the internal gear, buffer members are provided at three or more locations in the circumferential direction. It is preferable to arrange them equally. Therefore, it is preferable that the movable locking portion, the movable contact portion, the immovable locking portion, and the non-moving contact portion are each equally disposed in three or more pairs in the circumferential direction. ). Similarly, it is preferable that the movable contact portion and the non-moving contact portion are equally disposed in the circumferential direction in three pairs or more (Claim 8).
[0022]
Thereby, the inclination and bias of the internal gear at the start of starting can be suppressed, and the smooth operation of the starting device is ensured. Further, since the reaction force and the like at the start of starting can be received by the plurality of elastic mass portions, the shock absorbing member can be downsized and a stable shock absorbing ability can be obtained.
In addition, when providing a buffer member in multiple places, it is preferable at points, such as component management and an assembly, if it is integrated in cyclic | annular form. However, for example, it is more preferable to assemble the main elastic mass portion, the sub elastic mass portion, the cross-linking portion, and the like by using a plurality of them. This is because it is possible to improve the reliability of the buffer member by preventing dragging between the buffer members accompanying the compression of the main elastic mass portion.
[0023]
By the way, even if the said movable latching | locking part and a movable contact part rotate integrally with an internal gear, both do not necessarily need to be integral. For example, the internal gear, the movable locking portion, and the movable contact portion may be configured as separate members, and may be in a locking relationship such that both rotate integrally.
However, it is preferable to integrate them so that parts management and assembly become easy. Even complicated shapes can be obtained relatively easily and at low cost by resin integral molding.
[0024]
Therefore, the internal gear, the movable locking portion, and the movable contact portion are formed of a resin-molded substantially bottomed cylindrical resin member, and the internal gear is formed on the cylindrical inner peripheral surface of the resin member. Preferably, the movable locking portion and the movable contact portion are a movable locking projection and a movable contact projection that protrude in the axial direction from the outer bottom surface of the resin member, respectively (claim 9).
In the case of the present invention, the reaction force acting on the internal gear and the movable locking part is sufficiently shock-absorbed by the buffer member, so that even if they are integrally molded with resin, breakage, damage, etc. No wear, excellent wear resistance, etc., and high reliability.
[0025]
However, the stationary locking portion and the stationary contact portion whose rotation is constrained need to be provided separately as the following case or the like independently of the resin member or the like.
That is, the stationary locking portion and the stationary contact portion are each a stationary locking projection that protrudes in the axial direction from the bottom surface of the substantially bottomed cylindrical case that faces the outside of the bottom surface of the resin member and whose rotation is restricted. It is preferable that the buffer member is housed in a recess provided inside the cylinder of the case.
[0026]
Note that the term “immobility” as used with respect to the immovable locking portion and the immovable contact portion means that the immovable locking portion and the immovable contact portion do not substantially rotate, and there is no problem with some backlash or the like. The starting device of the present invention is not limited to a gear type starter, and may be another type of starter. Furthermore, the “circumferential direction” or “axial direction” in the present specification refers to the rotation center axis of the speed reducer.
[0027]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Next, the present invention will be described in more detail with reference to embodiments.
(First embodiment)
FIG. 1 shows a gear type starter (hereinafter simply referred to as “starter”) S which is an embodiment of the starting device of the present invention. The starter S mainly includes a
[0028]
By the way, the
[0029]
Next, the rotation restraining means comprising the
The
[0030]
The
[0031]
As shown in FIG. 3, the
[0032]
The main
[0033]
The
[0034]
Further, the
The
[0035]
Next, assembly of the
[0036]
First, the
[0037]
The inner
[0038]
Next, operations of the
As apparent from FIG. 7A, before the starter S is actuated, it is formed by the
[0039]
On the other hand, when the starter S starts operating, the
[0040]
When the reaction force is further increased and the amount of compression of the main
[0041]
When the reaction force acting on the
[0042]
As described above, the starter S of the present embodiment receives the reaction force during operation by the
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view of an essential part showing an entire starter according to an embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a perspective view showing a cylindrical resin member used in the starting device.
FIG. 3 is a perspective view showing a buffer member used in the starting device.
FIG. 4 is a perspective view showing a storage case used in the starting device.
FIG. 5 is an exploded perspective view showing the arrangement of the cylindrical resin member, the buffer member, and the storage case.
FIG. 6 is a perspective view showing a state in which a buffer member is incorporated in a cylindrical resin member.
FIG. 7 is a developed plan view showing the operation of the cylindrical resin member, the buffer member and the storage case. FIG. 7 (a) shows the starter before operation, and FIG. 7 (b) shows the starter in operation.
[Explanation of symbols]
S starter
10 Reducer
11 Sungear
12 Planetary gear
13 Career
14 Cylindrical resin material
141 Movable locking projection
142 Movable contact protrusion
149 Internal gear
15 cushioning member
151 Main elastic mass
152 Secondary elastic mass
153 Crosslinked part
154 Elastic protrusion
18 Storage case
181 Fixed locking projection
182 Immovable contact protrusion
Claims (10)
該駆動モータから入力を受けて回転するサンギヤと該サンギヤの外周側に該サンギヤと同心的に配設されるインターナルギヤと該サンギヤおよび該インターナルギヤに噛合するプラネタリギヤと該プラネタリギヤを回転自在に支承すると共に該サンギヤの入力を減速して出力するキャリアと周方向へ可動な状態で配設された該インターナルギヤの回転を拘束する回転拘束手段を有する減速機とを備え、該駆動モータが該減速機を介してエンジンを始動回転させる始動装置において、
前記回転拘束手段は、
前記インターナルギヤに設けられ、該インターナルギヤと一体的に回動する可動係止部と、
該可動係止部に対向し、かつ、該可動係止部と周方向に対峙して周方向に不動な状態で配設された不動係止部と、
少なくとも該可動係止部と不動係止部との間に弾性保持されて前記駆動モータが前記減速機を介してエンジンを始動回転させる際に前記インターナルギヤに作用する反動を弾性的に受承する弾性塊部と該弾性塊部の軸方向側の少なくとも一方から突出して前記インターナルギヤを軸方向に弾性保持する弾性突部とを有する緩衝部材と、からなることを特徴とする始動装置。A drive motor;
A sun gear that rotates in response to an input from the drive motor, an internal gear that is disposed concentrically with the sun gear on the outer peripheral side of the sun gear, a planetary gear that meshes with the sun gear and the internal gear, and the planetary gear that is rotatable. A drive motor comprising: a carrier that supports and decelerates and outputs an input of the sun gear; and a speed reducer having a rotation restraining means that restrains rotation of the internal gear arranged in a movable state in the circumferential direction. In the starting device for starting and rotating the engine via the speed reducer,
The rotation restraining means is
A movable locking portion provided on the internal gear and rotating integrally with the internal gear;
An immovable locking portion that faces the movable locking portion and is arranged in a circumferentially opposed state to the movable locking portion;
Elastically received at least between the movable locking portion and the non-moving locking portion and elastically receiving a reaction that acts on the internal gear when the drive motor starts and rotates the engine via the speed reducer. And a shock-absorbing member that protrudes from at least one of the elastic mass portions in the axial direction and elastically holds the internal gear in the axial direction.
該可動当接部に対向して軸方向へ延びると共に該可動当接部と周方向に対峙して周方向に不動な状態で配設された不動当接部とを有し、
該可動係止部および該不動係止部による前記弾性塊部の圧縮量を該可動当接部と該不動当接部との当接によって制限可能とした請求項1に記載の始動装置。The rotation restraining means is further provided with a movable contact portion that is disposed at a predetermined interval from the movable locking portion and rotates integrally with the movable locking portion;
The movable abutting portion extends in the axial direction facing the movable abutting portion, and has a stationary abutting portion disposed in a circumferentially opposed state against the movable abutting portion,
The starting device according to claim 1, wherein the amount of compression of the elastic mass portion by the movable locking portion and the non-moving locking portion can be limited by contact between the movable contact portion and the non-moving contact portion.
前記可動当接部および前記不動当接部は、該弾性塊部の最大圧縮率が10〜30%となる位置に配設された請求項3に記載の始動装置。The elastic mass portion is made of synthetic rubber,
The starter according to claim 3, wherein the movable contact portion and the non-moving contact portion are disposed at a position where the maximum compression rate of the elastic mass portion is 10 to 30%.
該主弾性塊部の該副弾性塊部に対する周方向長比は4〜6である請求項3に記載の始動装置。The buffer member includes a main elastic mass portion that forms the elastic mass portion, a secondary elastic mass portion that is elastically held between the movable locking portion and the non-moving contact portion, and straddles the movable locking portion. And having a bridging portion for bridging the main elastic mass portion and the secondary elastic mass portion,
The starting device according to claim 3, wherein a circumferential length ratio of the main elastic mass portion to the sub elastic mass portion is 4 to 6.
該インターナルギヤは、該樹脂部材の円筒内周面に形成された内歯からなり、
該可動係止部および該可動当接部は、それぞれ、該樹脂部材の外側底面から軸方向に突出した可動係止突起および可動当接突起からなる請求項3に記載の始動装置。The internal gear, the movable locking portion, and the movable contact portion are made of a substantially bottomed cylindrical resin member integrally molded with resin,
The internal gear is composed of internal teeth formed on the cylindrical inner peripheral surface of the resin member,
The starter according to claim 3, wherein the movable locking portion and the movable contact portion include a movable locking protrusion and a movable contact protrusion that protrude in the axial direction from the outer bottom surface of the resin member, respectively.
前記緩衝部材は、該ケースの円筒内部に設けられた凹部に収納される請求項9に記載の始動装置。The immovable locking portion and the immovable contact portion are respectively an immovable locking projection and an immobile protruding in the axial direction from the bottom surface of the substantially bottomed cylindrical case whose rotation is restricted facing the outer bottom surface of the resin member. A contact protrusion,
The starting device according to claim 9, wherein the buffer member is housed in a recess provided inside the cylinder of the case.
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