JP3896327B2 - アンモニアガス吸着用フィルター及びフィルター構造体 - Google Patents

アンモニアガス吸着用フィルター及びフィルター構造体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体製造工場等のクリーンルーム内の空気を清浄化するフィルターに関し、特にアンモニアガスを吸着するフィルターである。
【0002】
【従来の技術】
通常、半導体製造工程において、シリコンウエハー表面の洗浄には、アンモニア水、過酸化水素水、オゾン水、界面活性剤等の各種の薬液が使用される。これらの薬液は、シリコンウエハーの洗浄を重ねるにうちに一部が蒸発し、シリコンウエハーに再付着することによって該ウエハー表面を汚染し、ウエハー表面の腐食等の回路パターンを焼き付ける際に不具合を発生させ、歩留まり低下の要因となっていた。他にクリーンルーム内の空気を換気する際に混入する微小浮遊粒子等も歩留まり低下の要因となっていた。
【0003】
そこで、半導体製造工場等のクリーンルームの通気口及び同クリーンルーム内で使用されるステッパー等の装置(デバイス)には、各種フィルターが装着され、ガス状不純物成分、微小浮遊粒子等の汚染原因物質の除去がおこなわれてきた。前記ガス状不純物成分は、酸性ガスとしては、硫化水素、酢酸等があり、塩基性ガスとしては、アンモニア等があり、これらのガスを吸着するために、活性炭に酸性薬品あるいは塩基性薬品を添着したフィルター及びイオン交換樹脂を使用したフィルター等(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)が使用されている。
【0004】
ところで、半導体製造用ウエハーの洗浄剤としては、一般にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、文中においてPGMEAと表記する)が使用されている。PGMEAは、図6に示すように酸性あるいは塩基性条件下においては、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、文中においてPGMEと表記する)と酢酸に著しく加水分解されることが知られている。ウエハー洗浄用の薬液から蒸発したアンモニアガスが、クリーンルーム内に気散するPGMEAに作用することにより、加水分解が促進され酢酸を発生し、ウエハーをはじめ、装置(デバイス)を腐食させたりする等の影響が問題となっていた。
【0005】
従来の活性炭に酸性薬品あるいは塩基性薬品を添着したフィルター及びイオン交換樹脂を使用したフィルターにあっては、アンモニアガスの吸着能(イオン交換能)を示すものの、PGMEAの分解を抑制できなかった。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−239122号公報 (第2−6頁)
【特許文献2】
特開2001−219022号公報 (第1−2頁)
【特許文献3】
特開平11−226338号公報 (第2−9頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、前記の点に鑑みなされたもので、アンモニアガスの吸着に良好な性質を発揮すると共に、PGMEAが存在する雰囲気下において、PGMEAの分解による酢酸の発生を防止することができるアンモニアガス吸着用フィルター及びフィルター構造体を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、請求項1の発明は、アンモニアガスを吸着する吸着用フィルターであって、前記吸着用フィルターは、フィブリル化した繊維1重量部に対し、α型リン酸ジルコニウムを0.5ないし4重量部担持し、かつプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)分解率が4%未満であることを特徴とするアンモニアガス吸着用フィルターに係る。
【0009】
また、請求項2の発明は、前記フィブリル化した繊維は、アラミド繊維又はアクリル繊維であることを特徴とする請求項1に記載のアンモニアガス吸着用フィルターに係る。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のアンモニアガス吸着用フィルターを平板状に成形した平板状物と、前記アンモニアガス吸着用フィルターを波板状に成形した波板状物とを積層接着し、コルゲートハニカム構造を形成することを特徴とするアンモニアガス吸着用フィルター構造体に係る。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下添付の図面に従ってこの発明を説明する。
図1はこの発明のアンモニアガス吸着用フィルター構造体を示す断面図、図2はα型リン酸ジルコニウムの結晶構造を示す概略図、図3は図1のフィルター構造体をガラス管内に収容した状態を表す斜視図である。
【0012】
図1は、本発明のアンモニアガス吸着用フィルター10を積層化したフィルター構造体20を示す。前記フィルター構造体20は、半導体製造工場等のクリーンルーム通気口及びクリーンルーム内で使用される装置の吸気口等に装着され、アンモニアガスの吸着除去に利用される。符号11は本発明のアンモニアガス吸着用フィルター10を平板状に成形した平板状物、12は本発明のアンモニアガス吸着用フィルター10を波板状に成形した波板状物、12tは波板状物12の山部である。
【0013】
実施例においては、前記吸着用フィルター10は、フィブリル化した繊維とアンモニア吸着剤であるα型リン酸ジルコニウムを水中に懸濁し、必要に応じてアニオン系凝集剤を添加した後、これらの混合物を含むスラリーを湿式抄紙により板状化した抄紙構造体である。なお、湿式抄紙は、通常、スラリーを角網で吸引濾過して付着させる公知の湿式抄紙方法によるものである。
【0014】
前記フィブリル化した繊維は、そのフィブリル化の工程において繊維の表面に微細な枝状構造を形成するため、互いの枝状構造同士が絡まり合いやすく、抄紙構造を確実に維持できる。しかも通気抵抗を抑制しつつ、吸着剤(α型リン酸ジルコニウム)の保持性に好適なものとなる。前出の抄紙構造とは、繊維が複雑に絡み合って所要厚みの板状(紙状)に形状固定されている構造をいう。
【0015】
前記フィブリル化した繊維は、特にアラミド繊維又はアクリル繊維とすることが望ましい。アラミド繊維は、叩解度が高く、吸着剤の吸着能力を阻害せず、しかも耐酸性及び耐アルカリ性に優れているため、添着する薬品が酸性薬品、アルカリ性薬品のどちらであっても良好な耐性を示す。また、アラミド繊維は一般的にメタ型、パラ型が知られているが、特に限定されるものではなく、どちらのものも使用可能である。一方、アクリル繊維は、強靱で弾力性があり、有機溶剤に強く優れた耐久性を発揮する。なお、アクリル繊維及びアラミド繊維以外にも、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等の合成繊維、ガラス繊維、金属繊維等の無機繊維などを、一種類あるいは複数種類混合したものを使用してもよい。
【0016】
リン酸ジルコニウムには、α型,γ型の形態が存在することが知られている。発明者らの検証によると、両型のうち、アンモニア吸着能はα型の方が優れていることを明らかにした。α型リン酸ジルコニウムは、おおよそZr(HPO42・nH2Oと表され、下記の「化1」に示す反応を伴い、アンモニアを吸着することが推定される無機金属リン酸塩である。前記α型リン酸ジルコニウムの結晶は、図2に示すとおり、リン酸基同士が対向する層状構造を形成しており、この層間のリン酸基の水素イオンにアンモニアガス(アンモニウムイオン)が配位されることによってアンモニアガスが吸着されると考えられている。実施例のα型リン酸ジルコニウムは、粒径約1μmの粉末状の結晶であり、水に不溶であるため、水中で懸濁すると数μmの凝集体となりフィブリル化した繊維に捕捉される。
【0017】
【化1】
Figure 0003896327
【0018】
前記フィブリル化した繊維とα型リン酸ジルコニウムの配合比は、請求項1に記載するようにフィブリル化した繊維1重量部に対し、α型リン酸ジルコニウムを0.5ないし4重量部担持することが好ましく、特に好ましくは1.5ないし2.3重量部である。フィブリル化した繊維1重量部に対し、α型リン酸ジルコニウムを0.5重量部未満担持させた場合は、α型リン酸ジルコニウムの担持量が少なすぎてアンモニアガスを十分に吸着除去できないおそれがある。一方、α型リン酸ジルコニウムの担持量が4重量部より多い場合は、湿式抄紙方法により得られた抄紙構造体の強度が十分維持できなくなるため、後述の巻き取り時及びコルゲート加工時に抄紙構造が切れることが多く、本発明のフィルター及びフィルター構造体が得られ難い。
【0019】
この結果、本発明のフィルター及びフィルター構造体は、後述の実施例から明らかなように、PGMEAの分解率が4%未満となり、従来の活性炭に酸性薬品を添着したフィルター及びイオン交換樹脂を使用したフィルター等に比して、PGMEAがほぼ分解されず、これに伴う酢酸の発生が抑制されていることは明らかである。分解率とは、後述の実施例におけるカラム入り口側のPGMEA濃度及びカラム出口側のPGMEA濃度から以下の数1の式により求められる値である。
【0020】
【数1】
Figure 0003896327
【0021】
ここで、図1に示すアンモニアガス吸着用フィルター構造体20の製造工程について説明する。前記フィルター構造体20は、前述の湿式抄紙方法により得られた抄紙構造体であるアンモニアガス吸着用フィルター10をそのまま平板状に裁断した平板状物11と前記フィルター10を公知のコルゲート成形機により波状に成形した波板状物12とをポリエチレン等の適宜の接着剤を使用して積層接着し、所望の大きさに切り出したものである。前記平板状物11と波板状物12の積層にあたり、波板状物12の山部12tに前記接着剤が塗布され、当該接着剤の溶着によって平板状物11と波板状物12は接着固定される。なお、波板状物12の一面側の山部12t同士の間隔は4〜5mm、平板状物11から山部12tまでの高さは2〜3mmが好適なものとして例示される。
【0022】
【実施例】
実施例1
アラミド繊維(東レ・デュポン(株)製アラミド繊維「ケブラー」)のフィブリル化物1.0重量部に対し、平均粒径0.9μmのα型リン酸ジルコニウム(東亞合成(株)製「ケスモンNS―10」)を2.34重量部配合し、水中に懸濁混合した。ここに、凝集剤としてアニオン系凝集剤(荒川化学工業(株)製「ポリストロン117」)を原料の合計重量に対して1.0重量部添加し混合した。前記の三種の原料を含む混合物の濃度が0.8重量%である水性スラリーを調整し、このスラリーを湿式抄紙加工装置にかけて厚み約0.5mm、坪量約150g/m2の平板状の吸着用フィルターを得た。
【0023】
上記製法によって得られた平板状の吸着用フィルターをコルゲーター(コルゲート成形機)でコルゲート加工(波板状加工)して、波板状物を得た。波板状物の山部にポリエチレン(水性ディスパージョンにしたケミパール(三井化学(株)製)を塗布し、平板状の吸着用フィルターを重ね合わせた。これを繰り返し50段積層した後、130℃で加熱してポリエチレンを溶解させ、両フィルターを溶着し、コルゲートハニカム構造のフィルター構造体を得た。なお、コルゲートの波形については、通気抵抗、吸着効率を考慮して、波板状物12の一面側の山部12t同士の間隔は4.3mm、平板状物11から山部12tまでの高さを2.6mmとした。
【0024】
このようにして得た実施例1のフィルター構造体から、図3に示すように所要寸法のテストカラム30を作成した。符号25は円筒形に裁断したフィルター構造体(テストピース)、31はガラス管である。前記テストカラム30に一定濃度のアンモニアガスを通過させ、下記のアンモニアガスの吸着試験に供した。
【0025】
さらに、比較例1として、α型リン酸ジルコニウムの代わりに椰子殻活性炭を担持させたフィルター構造体を作成した。
比較例1
アラミド繊維(東レ・デュポン(株)製アラミド繊維「ケブラー」)のフィブリル化物1.0重量部に対し、椰子殻活性炭(二村化学工業(株)製「太閤CBR」)を1.5重量部配合し、水中に懸濁混合した。ここに、凝集剤としてアニオン系凝集剤(荒川化学工業(株)製「ポリストロン117」)を原料の合計重量に対して1.0重量部添加し混合した。前記の三種の原料を含む混合物の濃度が0.8重量%である水性スラリーを調整し、このスラリーを湿式抄紙加工装置にかけて厚み約0.5mm、坪量約150g/m2の平板状の吸着用フィルターを得た。次に、リン酸(日本化学工業(株)製)を前出の平板状の吸着用フィルター100重量部に対して20重量部添着加工し、乾燥処理して水分を取り除いた。
【0026】
椰子殻活性炭を担持した吸着用フィルターも前述の実施例1と同様にコルゲート成形し平板状物と波板状物とを接着してコルゲートハニカム構造のフィルター構造体を得た。
【0027】
「アンモニアガス吸着試験」
(テスト条件)
テストピース ・・・・ 25mmφ×150mmh
対象ガス ・・・・・・ アンモニア 200ppm
ガス通気量 ・・・・・ 14.7L/min
入り口ガス温度 ・・・ 21〜23℃
入り口ガス湿度 ・・・ 50RH%
カラム ・・・・・・・ 25mmφ×150mmh
充填長さ ・・・・・・ 150mm
ガス測定方法 ・・・・ 検知管法
ガステック検知管 3M,3L
北川式検知管 SD
【0028】
結果は、図4より理解されるとおり、実施例1のフィルター構造体と比較例1のフィルター構造体との比較より、α型リン酸ジルコニウムを担持させることによって、比較例1と同様にアンモニア吸着能が認められた。
【0029】
次に、空気中のPGMEAが本発明のフィルター構造体により分解され、酢酸を発生させるか否かについて検証した。すなわち、前出の実施例1において使用したテストカラムに一定濃度のPGMEAを通過させ、カラムの入り口側及び出口側のPGMEA及び酢酸濃度の経時的変化を調べた。併せて、前出の比較例1についても、PGMEA及び酢酸濃度の経時的変化を調べた。なお、PGMEA濃度(μg/m3)及び酢酸濃度(μg/m3)は、GC/MS(ガスクロマトグラフ/質量分析)によって求めた。さらに、これらのカラムの入り口側及び出口側のPGMEA濃度から、分解率(%)を求めた。
【0030】
「PGMEA分解反応試験」
<テスト条件>
テストピース ・・・・ 25mmφ×150mmh
対象ガス ・・・・・・ PGMEA 326μg/m3
ガス通気量 ・・・・・ 14.7L/min
入り口ガス温度 ・・・ 18〜23℃
入り口ガス湿度 ・・・ 45RH%
カラム ・・・・・・・ 25mmφ×150mmh
充填長さ ・・・・・・ 150mm
測定方法 ・・・・・・ ・PGMEA
固体捕集法 GC/MS
資料濃縮導入装置
CHROMPACK社製 TCT CP4020
ガスクロマトグラフ
HEWLETT PACKARD社製
HP6890A
質量分析計
HEWLETT PACKARD社製
HP5973A
・酢酸
液体捕集法 IC
イオンクロマトグラフ
DIONEX社製2000i/sp型
【0031】
【表1】
Figure 0003896327
【0032】
上記表1に示すように、比較例1のフィルター構造体がいずれの時においても分解率が4%未満でないのに対し、実施例1のフィルター構造体はいずれの時も分解率が4%未満であるため、実施例1のフィルター構造体は比較例1のフィルター構造体と比して、PGMEAの分解をほぼ完全に抑制し、PGMEAの分解に伴う酢酸の発生を防止していることが分かる。
【0033】
さらに、実施例1において使用した本発明のテストカラムに一定濃度のPGMEAを通過させたときのカラムの入り口側と出口側の酢酸濃度の変化を経時的に調べ、結果を表2に示した。テスト条件は以下のとおりである。
【0034】
「酢酸濃度比較試験」
<テスト条件>
テストピース ・・・・ 25mmφ×150mmh
対象ガス ・・・・・・ PGMEA 326μg/m3
ガス通気量 ・・・・・ 14.7L/min
入り口ガス温度 ・・・ 21〜23℃
入り口ガス湿度 ・・・ 50RH%
カラム ・・・・・・・ 25mmφ×150mmh
充填長さ ・・・・・・ 150mm
測定方法 ・・・・・・ 液体捕集法 IC
イオンクロマトグラフ
DIONEX社製2000i/sp型
【0035】
【表2】
Figure 0003896327
【0036】
上記表2に示すように、いずれの測定時においても、カラムの出口側の酢酸濃度は入り口側の酢酸濃度よりも低いことが分かった。すなわち、実施例1のα型リン酸ジルコニウムを担持したフィルター構造体は、PGMEAにほとんど影響を及ぼしていないことが明らかといえる。
【0037】
α型リン酸ジルコニウムの担持量について、アンモニア吸着の有効な範囲を調べるべく、実施例1で使用したフィルター構造体に対し、α型リン酸ジルコニウムの担持量を変えたフィルター構造体を試作した。
【0038】
実施例2
実施例1と同様のアラミド繊維(東レ・デュポン(株)製アラミド繊維「ケブラー」)のフィブリル化物1.0重量部に対し、同様のα型リン酸ジルコニウム(東亞合成(株)製「ケスモンNS―10」)を0.43重量部配合し、水中に懸濁混合した。ここに、アニオン系凝集剤(荒川化学工業(株)製「ポリストロン117」)を原料の合計重量に対して1.0重量部添加し混合した。前記の三種の原料を含む混合物の濃度が0.8重量%である水性スラリーを調整し、このスラリーを湿式抄紙加工装置にかけて厚み約0.5mm、坪量約150g/m2の平板状の吸着用フィルターを得た。
【0039】
実施例3
実施例1と同様のアラミド繊維(東レ・デュポン(株)製アラミド繊維「ケブラー」)のフィブリル化物1.0重量部に対し、同様のα型リン酸ジルコニウム(東亞合成(株)製「ケスモンNS―10」)を4重量部配合し、水中に懸濁混合した。ここに、アニオン系凝集剤(荒川化学工業(株)製「ポリストロン117」)を原料の合計重量に対して1.0重量部添加し混合した。前記の三種の原料を含む混合物の濃度が0.8重量%である水性スラリーを調整し、このスラリーを湿式抄紙加工装置にかけて厚み約0.5mm、坪量約150g/m2の平板状の吸着用フィルターを得た。
【0040】
実施例2の吸着用フィルターに対しても実施例1と同様のコルゲート成形を施した後積層し、フィルター構造体とした。さらに実施例1と同様にフィルター構造体を図3に示すテストカラムとして調整した。なお、実施例3にあっては、コルゲート成形時に亀裂が入り、フィルター構造体とするには難があることが判明した。
【0041】
上記実施例1及び2のフィルター構造体について、以下のアンモニアガス吸着試験を行った。なお、テスト条件は前出のアンモニアガス吸着試験と同様である。
【0042】
「アンモニアガス吸着試験」
<テスト条件>
テストピース ・・・・ 25mmφ×150mmh
対象ガス ・・・・・・ アンモニア 200ppm
ガス通気量 ・・・・・ 14.7L/min
入り口ガス温度 ・・・ 21〜23℃
入り口ガス湿度 ・・・ 50RH%
カラム ・・・・・・・ 25mmφ×150mmh
充填長さ ・・・・・・ 150mm
ガス測定方法 ・・・・ 検知管法
ガステック検知管 3M,3L
北川式検知管 SD
【0043】
図5における実施例1及び2の比較より、フィブリル化した繊維1重量部当たりのα型リン酸ジルコニウムの担持量が0.43重量部では、アンモニア吸着能が十分とは言えないため、少なくともα型リン酸ジルコニウムの担持量は0.43重量部より多いこと(すなわち0.5重量部以上であることが望ましい)がフィルター構造体としてのアンモニアガス吸着能を保持する上で好ましい。また、実施例3のようにα型リン酸ジルコニウムの担持量を4重量部以上とすると、加工強度の低下が生じるため、4重量部が限界といえる。
【0044】
なお、本発明の実施例にあたっては、湿式抄紙により、アンモニアガス吸着用フィルターを作成したが、予め、不織布表面に、リン酸ジルコニウムに適宜バインダーを添加し混合した混合物を塗布し、又は2枚の不織布の間に前記混合物を挟み込むことにより所定量担持させることも可能である。
【0045】
【発明の効果】
以上図示し説明したように、請求項1の発明に係るアンモニアガス吸着用フィルターによると、フィブリル化した繊維1重量部に対し、α型リン酸ジルコニウムを0.5ないし4重量部担持し、かつプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)分解率が4%未満であるため、α型リン酸ジルコニウムは微細な枝状構造を有するフィブリル化した繊維間に担持される。このようにして得られたアンモニアガス吸着用フィルターは、従来の活性炭に酸性薬品を添着したフィルター及びイオン交換樹脂を使用したフィルターに比して、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)の分解及びこれに伴う酢酸の発生を有意に抑制しつつ、アンモニアガス吸着に良好な性能を発揮する。
【0046】
また、請求項2の発明に係るアンモニアガス吸着用フィルターによると、フィブリル化した繊維にアラミド繊維又はアクリル繊維を使用することにより、α型リン酸ジルコニウムの保持量を多くすることができるのみならず、酸性やアルカリ性のガスに対して強度低下を生じず、良好な耐久性を発揮することができる。さらには、ガス状不純物成分として混在する有機溶剤に対して優れた耐久性を発揮することができる。
【0047】
請求項の発明に係るアンモニアガス吸着用フィルター構造体によると、前記フィルターをコルゲートハニカム構造に成形するため、送通する気体とフィルターとの接触面積を拡大させ、アンモニアガスの吸着効率を向上させることができる。加えて、コルゲートハニカム構造とするため、強度維持上好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明のアンモニアガス吸着用フィルター構造体を示す断面図である。
【図2】 α型リン酸ジルコニウムの結晶構造を示す概略図である。
【図3】 図1のフィルター構造体をガラス管内に収容した状態を表す斜視図である。
【図4】 実施例1と比較例1のアンモニアガス吸着試験の結果を示すグラフである。
【図5】 実施例1及び2のアンモニアガス吸着試験の結果を示すグラフである。
【図6】 PGMEAの分解反応を示す化学反応式である。
【符号の説明】
10 フィルター
11 平板状物
12 波板状物
20 フィルター構造体
30 テストカラム
31 ガラス管

Claims (3)

  1. アンモニアガスを吸着する吸着用フィルターであって、
    前記吸着用フィルターは、フィブリル化した繊維1重量部に対し、α型リン酸ジルコニウムを0.5ないし4重量部担持し、かつプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)分解率が4%未満であることを特徴とするアンモニアガス吸着用フィルター。
  2. 前記フィブリル化した繊維は、アラミド繊維又はアクリル繊維であることを特徴とする請求項1に記載のアンモニアガス吸着用フィルター。
  3. 請求項1又は2に記載のアンモニアガス吸着用フィルターを平板状に成形した平板状物と、前記アンモニアガス吸着用フィルターを波板状に成形した波板状物とを積層接着し、コルゲートハニカム構造を形成することを特徴とするアンモニアガス吸着用フィルター構造体。
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