JP3895818B2 - 回転円板式廃水処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転円板式廃水処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【0003】
従来、工業用水や家庭用水の廃水の富栄養化の生じる原因物質である窒素と燐を除去することは廃水処理上重要な課題となっている。
特に生物膜内では好気性領域と嫌気性領域が共存し、有機物酸化、硝化、及び脱窒反応が同時に進行し易いため、一つの生物膜反応槽においても有機物と窒素の同時除去が有効に行われることが知られている。
【0004】
しかるに、廃水の酸化、硝化、は酸素の存在下で行われる好気性処理で効果的に進行し、脱窒は酸素の供給が遮断された嫌気性処理で効果的に進行する。従って、好気性処理と嫌気性処理の両方を同時に行うことによって、効果的な廃水処理を効率的に行うことができる。
【0005】
このように、好気性処理と嫌気性処理の両方を行うことのできる廃水処理の工業化された例としては、廃水を回転円板法により生物学的に酸化、硝化、脱窒、再ばっ気、並びに脱燐を行って浄化排水する、所謂回転円板式廃水処理装置が知られている。
【0006】
この回転円板法を利用した回転円板式廃水処理装置は、その処理効果を上げるため複数の回転円板が隙間をあけて並設された回転円板ブロックを複数形成し、これらの回転円板ブロックを軸体に串刺し状に軸着して、処理槽内の区画内にそれぞれに配設した上、処理槽内の廃水に半没状態または全没状態に浸漬し、回転駆動させることにより廃水を連続的に浄化排水するものであって、具体的な例としては、第15回下水道研究発表会(昭和53年開催)における発表文献(6−43)「回転円板を用いた単一槽内における下水の2次処理及び脱窒」に記載されたものが挙げられる。
【0007】
上記文献記載の回転円板式廃水処理装置は、処理槽が左右に第1ステージ用と第2ステージ用の2槽からなり、各槽(即ち各ステージ)には上部に廃水に半没状態に浸漬した好気性回転円板、下部に廃水に全没状態に浸漬した嫌気性回転円板が配設され、好気性回転円板と嫌気性回転円板の中間にスリットを設けた隔離板、第1ステージ用処理槽の下部に廃水の流入口、第2ステージ用処理槽の上部に廃水の流出口が配設されているものである。
【0008】
廃水は第1ステージ用処理槽の下部より流入して、第2ステージ用処理槽の上部より流出するが、この間に各ステージでは上部の好気性回転円板によってばっ気が行われ、酸化によるBOD除去、硝化、再ばっ気が行われ、下部の嫌気性回転円板では脱窒が行われる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、上記文献記載の回転円板式廃水処理装置は、好気性回転円板と嫌気性回転円板が処理槽の上下に別々の駆動軸に軸着されて配設されているために駆動装置が複雑となり、また、設備全体が大がかりとなる上、設備費や運転費も割高になるなどの問題がある。
【0010】
本発明は上記のような問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところはこれらの問題点を解消し、好気性処理と嫌気性処理を同時に行うことにより、廃水処理を効果的・効率的に行うことができ、しかも一槽一軸式のコンパクトで簡単な構造を有し、設備コストやランニングコストが低廉な回転円板式廃水処理装置を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の回転円板式廃水処理装置においては、ドーナッツ状の回転円板が隙間をあけて複数並設された大径回転円板体が筒状体に挿通され、更に上記筒状体の内部に回転円板が隙間をあけて複数並設された小径回転円板体が挿通されて構成された2重構造の回転円板体が、処理槽本体の両端の側壁に回転可能にほぼ水平に軸着され、上記大径回転円板体が処理槽本体に供給された廃水に半没状態に、小径回転円板体が廃水に全没状態におかれて回転駆動され、廃水が処理槽本体内を流動されることにより浄化処理が連続的に行われる回転円板式廃水処理装置であって、上記回転円板体の回転軸の一方が、上記筒状体の内部と連通した中空軸で構成されると共に上記処理槽本体の側壁を貫通して筒状体の内部と処理槽本体の外部とが連通し、上記中空軸を介して廃水が排水されることを特徴とする。
【0012】
本発明の回転円板式廃水処理装置は、同一軸芯上の内外に廃水処理用の回転円板体を合理的に配設し、外側の大径回転円板体の上方側を空気に曝し、好気性の酸化、硝化、及び再ばっ気の反応を効果的に行い、同時に筒状体の内部に配設した小径回転円板体を廃水内に完全に没した状態で、空気を介在させずに嫌気性の脱窒処理を効果的に行おうとするものである。
【0013】
このために、槽本体内に供給された廃水を先ず、大径回転円板体の外側で流動させ、この酸化、硝化、及び再ばっ気処理された廃水を、続いて筒状体の内部を流動させて脱窒処理を行い、完全に浄化された浄水を回転円板体の中空の回転軸を介して排水口より排出しようとするものである。
【0014】
【作用】
本発明の回転円板式廃水処理装置においては、ドーナッツ状の回転円板が隙間をあけて複数並設された大径回転円板体が筒状体に挿通され、更に上記筒状体の内部に回転円板が隙間をあけて複数並設された小径回転円板体が挿通されて構成された2重構造の回転円板体が、処理槽本体の両端の側壁にほぼ水平に軸着されて回転駆動されるようになされているので、上記大径回転円板体を槽本体に供給された廃水に半没状態にし、又、筒状体内の小径回転円板体を廃水に全没状態にして、槽本体内に供給された廃水を先ず、大径回転円板体の外側で流動させることにより酸化、硝化、及び再ばっ気処理を効果的に行わせ、続いてこの廃水を筒状体内部の小径回転円板体内を流動させることにより脱窒処理を効果的に行わせて、浄化を効率的に完了させることが可能である。
【0015】
又、本発明の回転円板式廃水処理装置は一槽一軸式のコンパクトな回転円板式であるため構造が簡単であり、設備コストやランニングコストを低廉に抑えることができる。
さらに、廃水は筒状体の内部と連通した中空軸を介して処理槽本体外へ排水されるので、処理槽本体内に供給された廃水を確実に筒状体内に流動させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の回転円板式廃水処理装置の一例を示す断面図であり、図2は図1のA部の詳細図、図3、及び図4は図1の両側面図、更に、図5は図1のH−H断面図である。
図1〜図5において、本実施例の廃水処理装置10は、処理槽1に下記詳述の回転円板体が装備されてなるものであり、上記処理槽1は槽本体11と、この槽本体11の上面に覆設された蓋体12とにより構成されている。
【0017】
この処理槽1の槽本体11内には、下記詳述の内外2重構造の回転円板体2が装備されている。
上記回転円板体2は下記のように構成されている。
即ち、回転円板体2は、図2に示すように、筒状体22の外周側に設けられた大径回転円板体21と、筒状体22の内部に設けられた小径回転円板体23とにより主要部が構成されている。
【0018】
上記大径回転円板体21は、ドーナッツ状の回転円板21aが隙間をあけて複数並設され、その内周寄りをボルト・ナット21bにより貫通締結され、一体構造に形成されている。
この大径回転円板体21は、筒状体22に挿通された上、筒状体22の外周面に固着されている。
【0019】
更に、上記筒状体22の内部には、筒状体22の内部に挿通可能な外径を有する回転円板23aが隙間をあけて複数並設され、上記大径回転円板体21の場合と同様に、ボルト・ナット(図示しない)により貫通締結され、一体構造に形成されている。
この小径回転円板体23は、筒状体22の内部に挿通された上、筒状体22に固着されている。
【0020】
一方、上記筒状体22の端面には、蓋24がボルト24aにより締結されて設けられ、この蓋24の中心(筒状体22の軸芯)に中空のシャフト25が、そのフランジ部25aをボルト・ナット25bにより固着されている。
更に、上記シャフト25は、図1に示すように、軸受け26により支持された上、槽本体11の側壁11aに回転可能にシール材を介在させて貫通され、回転円板体2がほぼ水平状態で回転されるようになされている。
【0021】
上記中空のシャフト25は、その内部が筒状体22内と連通され、更に蓋24の中心部に、フランジ部11cをボルト・ナット11dにより締結されて設けられたL型の排水管3の内部と連通され、筒状体22の小径回転円板体23を通過して脱窒され、排水されてゆくようになっている。
【0022】
尚、上記回転円板体2の他端側も同様に、図1に示すように、中空のシャフト27が軸受け28に支持され、その端部を槽本体11内に開口して設けられた構造となっている。
又、このシャフト27内には、配管11eが接続され、必要に応じて配管11eを通じて水素供与体等の供給が行われる。
【0023】
上記シャフト27側には、駆動装置4が設けられ、チェン、或いはベルトドライブにより回転動力をシャフト27に伝達し、回転円板体2を所定の回転数で回転させるようになっている。
【0024】
以上のような構造により構成された廃水処理装置10には、蓋体12の一端側に設けられた供給口5より廃水が供給され、回転円板式体2が回転駆動される。この廃水は上記大径回転円板体21が半没状態(ほぼ2/3程度の深さ)に、なるように常に水位Lを保持するように供給される。
【0025】
この廃水は槽本体11内を流動しながら、上記大径回転円板体21により好気性のBOD、酸化、硝化処理が行われる。
この処理が終了された廃水は、他端側のシャフト27より筒状体22に流動され、水没状態にある小径回転円板体23により脱窒されながら、シャフト25内を通過して排水管3を経て、排水口6より浄水として排水される。
【0026】
上記説明のように、本発明の回転円板式廃水処理装置10においては、好気性のBOD、酸化、硝化処理が上方を空気に曝された大径回転円板体21により効果的に行われ、嫌気性である脱窒処理は、空気が介在しない筒状体22の小径回転円板体23により行われので、より確実で効果的な脱窒処理が可能である。
【0027】
【発明の効果】
本発明の回転円板式廃水処理装置においては、ドーナッツ状の回転円板が隙間をあけて複数並設された大径回転円板体が筒状体に挿通され、更に上記筒状体の内部に回転円板が隙間をあけて複数並設された小径回転円板体が挿通されて構成された2重構造の回転円板体が、処理槽本体の両端の側壁にほぼ水平に軸着されて回転駆動されるようになされているので、上記大径回転円板体を槽本体に供給された廃水に半没状態にし、又、筒状体内の小径回転円板体を廃水に全没状態にして、槽本体内に供給された廃水を、先ず大径回転円板体の外側で流動させることにより酸化及び硝化処理を効果的に行わせ、続いてこの廃水を筒状体内部の小径回転円板体内を流動させることにより脱窒処理を効果的に行わせて、浄化を効率的に完了させることができる。
【0028】
又、本発明の回転円板式廃水処理装置は、一槽一軸式のコンパクトで簡単な構造を有し、設備コストやランニングコストが低廉で、回転円板式廃水処理装置として好適に用いられる。
さらに、廃水は筒状体の内部と連通した中空軸を介して処理槽本体外へ排水されるので、処理槽本体内に供給された廃水を確実に筒状体内に流動させることができる回転円板式廃水処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の回転円板式廃水処理装置の一例を示す断面図。
【図2】図1のA部の詳細断面図。
【図3】図1の側面図。
【図4】図1のG−G矢視断面図。
【図5】図1のH−H矢視断面図。
【符号の説明】
1 処理槽
2 回転円板体
3 排水管
4 駆動装置
5 供給口
6 排水口
10 廃水処理装置
11 槽本体
11a 側壁
11c、25a フランジ部
11d、21b、25b ボルト・ナット
11e 配管
12 蓋体
21 大径回転円板体
21a、23a 回転円板
22 筒状体
23 小径回転円板体
24 蓋
24a ボルト
25、27 シャフト
26、28 軸受け
Claims (1)
- ドーナッツ状の回転円板が隙間をあけて複数並設された大径回転円板体が筒状体に挿通され、更に上記筒状体の内部に回転円板が隙間をあけて複数並設された小径回転円板体が挿通されて構成された2重構造の回転円板体が、処理槽本体の両端の側壁に回転可能にほぼ水平に軸着され、上記大径回転円板体が処理槽本体に供給された廃水に半没状態に、小径回転円板体が廃水に全没状態におかれて回転駆動され、廃水が処理槽本体内を流動されることにより浄化処理が連続的に行われる回転円板式廃水処理装置であって、上記回転円板体の回転軸の一方が、上記筒状体の内部と連通した中空軸で構成されると共に上記処理槽本体の側壁を貫通して筒状体の内部と処理槽本体の外部とが連通し、上記中空軸を介して廃水が排水されることを特徴とする回転円板式廃水処理装置。
Priority Applications (1)
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JP1868497A JP3895818B2 (ja) | 1997-01-31 | 1997-01-31 | 回転円板式廃水処理装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP1868497A JP3895818B2 (ja) | 1997-01-31 | 1997-01-31 | 回転円板式廃水処理装置 |
Publications (2)
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JPH10216760A JPH10216760A (ja) | 1998-08-18 |
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ID=11978448
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JP1868497A Expired - Fee Related JP3895818B2 (ja) | 1997-01-31 | 1997-01-31 | 回転円板式廃水処理装置 |
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