JP3895616B2 - 波長多重光増幅中継伝送システム - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1本の光ファイバに波長の異なる複数の光信号を多重化して伝送を行う波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)光伝送システムにおいて、各波長を一括して増幅する光増幅器を中継器として多段接続して長距離伝送を行う光海底ケーブルシステムなどに用いられる波長多重光増幅中継伝送システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、1本の光ファイバでの伝送容量を飛躍的に増大させることができるWDM光伝送システムは、大陸間を結ぶ光海底ケーブルに盛んに導入されている。
【0003】
WDM光伝送システムでは、個別の光源からくる波長の異なる複数の光キャリアを個々に変調し、変調した光信号の全てを光合波器によって合波する。合波されたWDM光信号は、光増幅器で一括増幅され光伝送路に送出される。光伝送路に送出されたWDM光信号は、光伝送路の損失を補償するために所定の中継間隔毎に配置された光増幅器によって再び一括増幅され次の光伝送路に送出される。このようにWDM光信号は、所定の中継間隔で一括増幅されながら受信端に到達する。受信端では受信したWDM光信号を光分波器で個々の光信号に分離し、分離された光信号は、光受信機でデータに再生される。
【0004】
WDM光伝送システムの場合、WDM光信号は、光増幅器で一括増幅されるため、光増幅器が有する利得の波長依存性(利得プロファイル)によって生じる光信号の信号レベル偏差は、光増幅器による中継回数が増加する度に拡大してしまう。光信号レベルが大きくなりすぎると光伝送路である光ファイバの非線形効果により波形劣化を生じ、光信号レベルが小さくなりすぎると信号が雑音に埋もれ、所望の伝送距離を伝送することができなくなってしまう。このような現象を避けるためには、光増幅器を用いて多段中継を行う場合、光信号の波長帯域内における利得偏差をできるだけ小さくする必要がある。そのために光増幅器の利得プロファイルを相殺するような透過率の波長依存性(等化プロファイル)を有する利得等化器が広く用いられている。
【0005】
一方、光増幅器として広く用いられているエルビウムをコアに添加した光ファイバを増幅媒体としたエルビウム添加光ファイバ増幅器(EDFA:Er Doped Fiber Amplifier)は、入力光強度と励起光強度によって決まる反転分布状態によって利得プロファイルが変化することがよく知られている。特に励起光強度一定制御を行っている光海底中継器では、入力光強度が変化すると利得プロファイルが変化するため、光ファイバのスパン損失と光増幅中継器の利得とを同一にするように入力光強度の動作点が決められ、その状態に合わせて利得等化器の設計が成されている。
【0006】
しかし、これらの利得等化器は受動的なデバイスであり、漁船や地震等の外的要因による光ケーブルの断線後の修理(割入れファイバ挿入)による損失増加や光ファイバケーブルや光海底中継器の構成光部品等の経年劣化による損失増加によって利得プロファイルが変化し、利得偏差を劣化させることになる。
【0007】
このような問題を改善するためには、光増幅器への入力光強度が変化することによる利得の波長傾斜特性を保障するデバイス(可変利得等化器)を適用することが有効である。磁気光学効果を利用して直線的な損失波長傾斜を変化させるデバイス、光導波路によってマッハ・ツェンダー干渉計を構成して直線的な損失波長傾斜を変化させるデバイス、あるいは、可変光減衰器と光増幅器とを組み合わせて光増幅器への入力光強度を制御し利得または損失の波長傾斜を変化させる方式が提案されている。このような従来技術の1つとして可変利得等化器を用いてシステム状態の変化に伴う等化誤差の変動を抑圧する方法が特開平11−224967号公報に開示されている。
【0008】
図6を参照して、特開平11−224967号公報に示された光通信システムの利得等化方法を説明する。図6は、光送信装置と光受信装置が光ファイバの光伝送路で接続されている光通信システムの光伝送路の一部の区間を示している。図6で示す光伝送路の区間28は、光ファイバの光伝送路30の途中に複数の光中継器32と固定利得等化器34と可変利得等化ユニット36とを備えている。光中継器32は、インライン型の光増幅器38を備えている。可変利得等化ユニット36は、利得または損失の波長特性が可変である可変利得等化器40を備えている。
【0009】
この光通信システムでは、波長が帯域1540nm〜1560nmに予め定められており、光伝送路30の損失変動に対して光中継器32の利得プロファイルは、長波長側の利得が最大となり短波長側の利得が最小となる波長特性を表すg(λ)[dB]と、短波長側の利得が最大となり長波長側の利得が最小となる波長特性を表すf(λ)[dB]との間で変化すると仮定し、かつ固定利得等化器34の損失波長特性L(λ)が、(g(λ)+f(λ))/2+aλ+bという式で示された特性(ただしa、bは定数)を満足するように設計されている場合、光伝送路30の損失変動に伴う利得プロファイルは、波長λに対して直線的な等化誤差Δg(λ)あるいはΔf(λ)を有している。但し、Δg(λ)=L(λ)−g(λ),Δf(λ)=L(λ)−f(λ)である。したがって、この従来システムの可変利得等化ユニット36では、波長に対して実質的に線形に損失傾斜が変化する可変利得等化器40を構成要素として用いて等化誤差を補償することで、光伝送路全体の利得傾斜が常にフラットになるように図6に示した区間毎に閉じた系で可変利得等化を行っている。
【0010】
図6に示した個々の区間28毎に閉じた系で可変利得等化を行うためには、異常箇所を特定する必要がある。ここで、上記従来システムの光中継器32に図7に示すようなEDFAによる一般的な光増幅中継器4を用いた場合の異常箇所特定処理について説明する。
【0011】
図7は、EDFAによる光増幅中継器4の構成を示すブロック図である。光増幅中継器4は、光増幅中継器4に入力される信号光の入力光強度をモニタするための入力光モニタ101と、増幅媒体としてのエルビウム添加光ファイバ102(EDF:Er Doped Fiber)と、エルビウム添加光ファイバ102に励起光を供給し、信号光を取り出すためのWDMカプラ103と、エルビウム添加光ファイバ102によって増幅された光の逆流を防ぐための光アイソレータ104と、エルビウム添加光ファイバ102への励起光源105と、光増幅中継器4から出力される信号光の出力光強度をモニタするための出力光モニタ106と、入力光モニタ101の出力と出力光モニタ106の出力から利得を算出する利得モニタ107と、励起モニタ108を備えている。
【0012】
図8に示すように、光伝送路3と光増幅中継器4の間に損失の変化が生じた光伝送路3aがある場合、光伝送路3aの直後にある光増幅中継器4の入力信号が変化する。これにより、光伝送路3aの直後にある光増幅中継器4の入力光モニタ101が異常を検知し、光伝送路3の異常箇所が光伝送路3aであることが特定される。
【0013】
つぎに、光増幅中継器4の内部で異常が発生した場合の検知について説明する。図9は、励起光源105が故障した場合を示している。励起光源105が故障すると、増幅率が変化し出力光強度をモニタしている出力光モニタ106の出力が変化する。つまり、利得が変化するので利得モニタ107で異常を検出することができる。また、励起光源105の動作電流および背面光モニタ電流をモニタする励起モニタ108でも異常が検出される。これにより、異常箇所が励起光源105であることが特定できる。
【0014】
図10は、エルビウム添加光ファイバ102よりも光増幅中継器4の出力側で異常が生じた場合を示している。この場合は、出力信号が変化するので出力光モニタ106と、利得モニタ107で異常が検出され、WDMカプラ103または光アイソレータ104のどちらかが故障し、光増幅中継器4の出力側で損失変動が生じたことが特定できる。
【0015】
図11は、光増幅中継器4の入力側に異常が生じた場合を示している。この場合は、利得モニタ107だけが異常を検知する。入力光モニタ101は異常を検知していないことから、異常箇所は、入力光モニタ101よりも後段の部分からエルビウム添加光ファイバ102よりも入力側であることが特定できる。
【0016】
このように、光増幅中継器4内の入力光モニタ101、出力光モニタ106、利得モニタ107、励起モニタ108の4つのモニタ機能から、損失変化を検出し異常箇所を特定することができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のシステムでは、図6に示した光伝送路の個々の区間毎の閉じた系で可変利得等化を行う必要があるため、各区間の各光中継器32(光増幅中継器4)に搭載されている前述した多くのモニタ機能の情報を総合して判断し、変更する区間の可変利得等化器の制御を行わなくてはならず、複雑な手順を踏んだアルゴリズムが必要となり、またそのための処理時間が長くなる問題がある。
【0018】
また、正確なシステム状態を把握するためには、モニタ機能の測定確度を高める必要があり、そのためには、例えば、複数回の測定結果を平均化するなど工夫しなければならず、異常が発生してから可変利得等化が完了するまでの時間が長くなってしまうという問題もある。
【0019】
つまり、図12に示すタイムチャートのように、時刻t1で光伝送路3または光増幅中継器4に異常が発生した場合、伝送品質は徐々に低下し、伝送品質が予め定められた閾値以下まで低下した時刻t2になると前述したモニタ機能が光伝送路3または光増幅中継器4の異常を検出する。この時刻t2からそれぞれの光増幅中継器4の情報を収集し、変更する区間の可変利得等化器を決定しその制御を行う。可変利得等化が完了し、低下した伝送品質が復帰する最適設定時刻をt3とすると、従来技術においては異常検出時刻t2から最適設定時刻t3の間も伝送品質は低下し続けることになる。
【0020】
この発明は上記に鑑みてなされたもので、超広帯域WDM光伝送システムにおいて、損失変動によって光海底中継器への入力光強度の動作点がかわることによる伝送品質の変化量を可変減衰器によって保証して、光信号電力を常に所望の範囲内に維持することができる波長多重光増幅中継伝送システムを得ることを目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明にかかる波長多重光増幅中継伝送システムは、波長の異なる複数の光信号による波長多重光を一括増幅する光増幅器を中継器として用いるWDM光伝送システムに適用され、波長の異なる複数の光信号を波長多重して送出する光送信装置と、前記光送信装置から送出された波長多重光信号を伝送する光ファイバの光伝送路と、前記光伝送路によって伝送された波長多重光信号を波長毎に分離して受信する光受信装置と、前記光伝送路の損失を補償するための複数の光増幅中継器と、前記光増幅中継器および前記光伝送路で生じた損失変化を補償するための2つ以上の可変光減衰器とを備える波長多重光増幅中継伝送システムにおいて、前記光受信装置は、受信した光信号の伝送品質を波長毎に検出する検出手段と、前記検出手段によって伝送品質の異常が検出されると、波長毎に検出された伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを用いて前記全ての可変光減衰器の減衰量を一斉に調整し、その後個々の可変光減衰器の減衰量を調整して最適化する調整手段とを備えることを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、光受信装置は、検出手段を用いて受信した波長多重光信号を波長毎に分離し、その波長毎に伝送品質の検出を行い、伝送品質の異常が検出されると、調整手段が波長毎に検出された伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを用いて全ての可変光減衰器の減衰量を一斉に調整し、その後個々の可変光減衰器の減衰量を調整して最適化するようにしている。
【0023】
つぎの発明にかかる波長多重光増幅中継伝送システムは、上記の発明において、前記調整手段は、波長毎に検出された伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを用いて前記全ての可変光減衰器の減衰量を均等に一斉に調整し、その後前記伝送品質の劣化の原因を解析することによって可変光減衰器の個々の減衰量を調整し再度設定を行い最適化することを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、調整手段は、波長毎に検出された伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを用いて全ての可変光減衰器の減衰量を均等に一斉に調整し、その後伝送品質の劣化の原因を解析することによって可変光減衰器の個々の減衰量を調整し再度設定を行い最適化するようにしている。
【0025】
つぎの発明にかかる波長多重光増幅中継伝送システムは、上記の発明において、前記検出手段および前記調整手段は、伝送品質として光電力を用いることを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、波長毎に信号光電力を測定し、測定した信号光電力に基づき可変光減衰器の設定を行うための波長毎に検出された伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを求めるようにしている。
【0027】
つぎの発明にかかる波長多重光増幅中継伝送システムは、上記の発明において、前記検出手段および前記調整手段は、伝送品質として光SNRを用いることを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、波長毎に光SNRを測定し、測定した光SNRに基づき可変光減衰器の設定を行うための波長毎に検出された伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを求めるようにしている。
【0029】
つぎの発明にかかる波長多重光増幅中継伝送システムは、上記の発明において、前記検出手段および前記調整手段は、伝送品質として符号誤り率を用いることを特徴とする。
【0030】
この発明によれば、波長毎に符号誤り率を測定し、測定した符号誤り率に基づき可変光減衰器の設定を行うための波長毎に検出された伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを求めるようにしている。
【0031】
つぎの発明にかかる波長多重光増幅中継伝送システムは、上記の発明において、前記光増幅中継器はエルビウム添加光ファイバ増幅器であって、前記伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを波長帯域内の長波長側にある2つ以上の光信号から算出することを特徴とする。
【0032】
この発明によれば、光増幅中継器はエルビウム添加光ファイバ増幅器で構成され、伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを波長帯域内の長波長側にある2つ以上の光信号から算出するようにしている。
【0033】
つぎの発明にかかる波長多重光増幅中継伝送システムは、上記の発明において、前記波長帯域内の長波長側にある2つ以上の光信号が略1538nmより長波長側の信号であることを特徴とする。
【0034】
この発明によれば、波長帯域内の長波長側にある2つ以上の光信号が略1538nmより長波長側の信号としている。
【0035】
つぎの発明にかかる波長多重光増幅中継伝送システムは、上記の発明において、前記光増幅中継器はエルビウム添加光ファイバ増幅器であって、前記伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを波長帯域内の短波長側にある2つ以上の光信号から算出することを特徴とする。
【0036】
この発明によれば、光増幅中継器はエルビウム添加光ファイバ増幅器で構成され、伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを波長帯域内の短波長側にある2つ以上の光信号から算出するようにしている。
【0037】
つぎの発明にかかる波長多重光増幅中継伝送システムは、上記の発明において、前記波長帯域内の短波長側にある2つ以上の光信号が略1538nmより短波長側の信号であることを特徴とする。
【0038】
この発明によれば、波長帯域内の短波長側にある2つ以上の光信号が略1538nmより短波長側の信号としている。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる波長多重光増幅中継伝送システムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0040】
実施の形態1.
図1〜図2を用いてこの発明の実施の形態1を説明する。この実施の形態1は、光送信装置1から波長多重されて送信された光信号を光受信装置2が分離して受信し、光受信装置2内に設置された信号光電力モニタ10が、受信した波長毎に光信号の受信レベルを測定することで、光伝送路3または光増幅中継器4のいずれかに異常が発生したことを検知し、異常の発生を検知すると、信号光電力モニタ10で測定された各波長の信号光電力の波長に対する傾斜を算出し、算出した傾斜と正常時に測定した基準データの傾斜とを比較することによって傾斜増減量を算出する。算出した傾斜増減量が予め設定された閾値を超えた場合、傾斜増減量と光増幅中継器4の特性から可変光減衰器5の減衰量可変値を算出し、算出した減衰量可変値を均等配分して全ての可変光減衰器5に一旦設定する。その後、障害発生箇所を特定して、可変光減衰器5の個々の減衰量を調整して全ての可変光減衰器5に最適な条件となるように減衰量を再設定するものである。
【0041】
図1は、実施の形態1の波長多重光増幅中継伝送システムの構成を示すブロック図である。この実施の形態1の波長多重光増幅中継伝送システムは、最短波長が1538nm以下にまで拡大した超広帯域WDM光伝送システムに適用されるものである。実施の形態1における波長多重光増幅中継伝送システムは、光送信装置1と光受信装置2とが、複数の光増幅中継器4(この場合はM台)と可変光減衰器5を中継して光ファイバの光伝送路3で接続されている。
【0042】
光伝送路3と光増幅中継器4を1つの中継スパンとすると、可変光減衰器5は、N中継スパン毎に配置される。可変光減衰器5が配置されている中継スパンは、可変光減衰器5の初期減衰量設定値分だけスパンを短く設定することで、可変光減衰器5をスパン損失に含めて考えられるようにしている。具体的には、光伝送路3に用いられている光ファイバ損失が0.25dB/km、スパン長が40kmであれば、そのスパン損失は10dBとなるが、可変光減衰器5の初期減衰量設定値が5dBに設定されている場合は、可変光減衰器5の両側に、スパン損失5dBで長さ20km相当の光ファイバがあるということになる。
【0043】
光送信装置1は、異なった波長を持つ複数の光信号を波長多重して光伝送路3に送出する。
【0044】
光受信装置2は、光送信装置1から送出され光伝送路3を介して伝送された波長多重された光信号を波長毎に分離して受信する機能と、信号光電力モニタ10を備えている。信号光電力モニタ10は、本システムの通信異常を検知する時に用いる、光受信装置2が受信した信号光電力の基準データの測定を行う。
【0045】
光増幅中継器4は、例えば、図7に示したように、光増幅中継器4に入力される信号光の入力光強度をモニタするための入力光モニタ101と、増幅媒体としてのエルビウム添加光ファイバ102と、エルビウム添加光ファイバ102に励起光を供給し、信号光を取り出すためのWDMカプラ103と、エルビウム添加光ファイバ102によって増幅された光の逆流を防ぐための光アイソレータ104と、エルビウム添加光ファイバ102への励起光源105と、光増幅中継器4から出力される信号光の出力光強度をモニタするための出力光モニタ106と、入力光モニタ101の出力と出力光モニタ106の出力から利得を算出する利得モニタ107と、励起モニタ108を備え、光伝送路3で損失されたWDM光信号の損失補償と、異常箇所の特定を行う。
【0046】
可変光減衰器5は、光増幅中継器4の構成光部品および光伝送路3の損失補償変化の補正を行う。
【0047】
つぎに、実施の形態1の波長多重光増幅中継伝送システムの動作について説明する。光送信装置1は異なった波長を持つ複数の光信号に対して波長多重を行い、信号レベルを揃えて光伝送路3に送出する。送出された光信号は、光伝送路3と光増幅中継器4で構成される中継スパンとNスパン毎に配置されている可変光減衰器5を繰返し通過して、光受信装置2へ伝送される。光受信装置2は、伝送されてきた光信号を波長毎に分離して受信する。分離された波長多重光信号はデータ再生される。信号光電力モニタ10は、正常時の光信号を受信して、波長毎に信号光電力を測定し、波長毎に基準データを作成する。作成された基準データは、異常時の信号光電力と比較するために用いられる。
【0048】
また、システム動作中、光受信装置2の信号光電力モニタ10は、波長毎に受信レベルを測定し、それぞれの受信レベルが予め定められている受信レベルの範囲内にあるか否かを確認する。受信した各波長がすべて予め定められた受信レベルの範囲内にある場合は、通信は正常に行われていると判断される。
【0049】
ここで光伝送路3中の光ファイバまたは複数配置されている光増幅中継器4の構成光部品のいずれかの損失が変化する異常が発生したとする。異常が生じると、光受信装置2で受信した波長毎に分離した各光信号の受信レベルが変化し、測定された受信レベルが予め定められている受信レベルの範囲外となる。光受信装置2の信号光電力モニタ10では、少なくとも2つの波長における受信レベルを測定するようにしており、これら測定した受信レベルが予め定められている受信レベルの範囲外になると、これら測定した少なくとも2つの受信レベルを用いて、信号光電力の波長に対する傾斜を算出し、算出された傾斜と正常時に測定された基準データの信号光電力の波長に対する傾斜とを比較することで傾斜増減量を算出する。この傾斜増減量が予め設定された閾値を超えた場合、光受信装置2は、傾斜増減量と各光増幅中継器4の特性に基づいて可変光減衰器5の減衰量可変値を算出し、算出した減衰量可変値を全ての可変光減衰器5に均等配分する。そして、光受信装置2は、均等配分した減衰量可変値を全ての可変光減衰器5に対して一斉指示することで、各可変光減衰器5に均等配分した減衰量可変値を設定する。
【0050】
光受信装置2は、全ての可変光減衰器5に均等配分した減衰量可変値を設定した後、図8〜図11を参照して前述したように各光増幅中継器4のモニタ機能(入力光モニタ101、出力光モニタ106、利得モニタ107、励起モニタ108)を順次測定し、障害発生箇所を特定する。障害発生箇所が特定されると、その障害発生箇所に最も近い場所に設置されている可変光減衰器5の減衰量に重み付けを行い全ての可変光減衰器5の減衰量が最適条件となるように再設定を行う。障害発生場所が2つの可変光減衰器5の中間にある場合は、光送信装置1側の可変光減衰器5の減衰量に重み付けを行い全ての可変減衰器5の減衰量が最適条件となるように再設定を行う。
【0051】
図2は、実施の形態1の波長多重光増幅中継伝送システムにおける異常発生から可変光減衰器5に最適条件が設定され伝送品質が復帰するまでを示したタイムチャートである。時刻t1で光伝送路3または光増幅中継器4に異常が発生し徐々に伝送品質は徐々に低下する。時刻t2で受信した波長毎に測定された信号光電力の波長に対する傾斜と基準データの波長に対する傾斜を比較した傾斜増減量が閾値を超えると、傾斜増減量と全ての光増幅中継器4の特性から減衰量可変値を算出して全ての可変光減衰器5に均等配分して設定を行ったため伝送品質は閾値を超えない値まで復帰している。その後、各光増幅中継器4のモニタ機能を順次測定して障害の特定を行い各可変光減衰器5の減衰量が最適となるように再設定を行い、時刻t3で完全に伝送品質は復帰する。つまり、図12に示した従来技術では、異常を検知してから可変利得等化器40の設定を行い伝送品質が復帰するまでの間、伝送品質は低下し続けるが、この実施の形態1では、異常検出直後にすべての可変光減衰器5を動作させることで図2に示すように、最適レベルとまではいかないが、すべての光増幅中継器4との監視・制御信号のやり取りを行っている間の伝送品質の劣化量を最低限度にとどめている。
【0052】
このようにこの実施の形態1では、光送信装置1から波長多重されて送信された光信号を光受信装置2が分離して受信し、光受信装置2内に設置された信号光電力モニタ10が、受信した波長毎に光信号の受信レベルを測定することで、光伝送路3または光増幅中継器4のいずれかに損失が発生したことを検知し、損失の発生を検知すると、信号光電力モニタ10で測定された波長毎の信号光電力の波長に対する傾斜を算出し、算出した傾斜を正常時に測定した基準データとの傾斜とを比較することよって傾斜増減量を求める。傾斜増減量が予め設定された閾値を超えた場合、傾斜増減量と光増幅中継器4の特性から、可変光減衰器5の減衰量可変値を均等配分して全ての可変光減衰器5に設定し、その後、障害発生箇所を特定して、全ての可変光減衰器5に最適な条件となるように減衰量を再設定するようにしているため、伝送品質の劣化により異常を検出し、その異常の特定を行う間の伝送品質の劣化量を最低限度にとどめることができる。
【0053】
実施の形態2.
図3を用いてこの発明の実施の形態2を説明する。実施の形態1では、光伝送路3または光増幅中継器4のいずれかに異常が発生したことを受信レベルを測定することで検知し、伝送品質を保証するために波長毎に信号光電力を測定し、その信号光電力の傾斜に基づいて可変光減衰器5の設定値を変更するようにしていた。
【0054】
この実施の形態2では、信号光電力の代わりに光信号レベルと光雑音レベルとを測定し光SNR(signal to noise ratio:受信信号強度対雑音比)を用いて可変光減衰器5の設定値を変更し伝送品質を補償するものである。
【0055】
図3は、実施の形態2の波長多重光増幅中継伝送システムの構成を示すブロック図である。この実施の形態2における波長多重光増幅中継伝送システムでは、光受信装置2に光SNRモニタ11が設置されている。図1に示した実施の形態1と同じ機能を持つ構成部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0056】
光SNRモニタ11は、光信号レベルと光雑音レベルを測定し光SNRの算出を行う。
【0057】
つぎに、実施の形態2の波長多重光増幅中継伝送システムの動作について説明する。光送信装置1は異なった波長を持つ複数の光信号に対して波長多重を行い、信号レベルを揃えて光伝送路3に送出する。送出された光信号は、光伝送路3と光増幅中継器4で構成される中継スパンとNスパン毎に配置されている可変光減衰器5を繰返し通過して、光受信装置2へ伝送される。光受信装置2は、伝送されてきた光信号を波長毎に分離して受信する。分離された波長多重光信号はデータ再生される。光SNRモニタ11は、正常時の光信号を受信して、波長毎に光信号レベルと光雑音レベルを測定し、測定結果から光SNRを算出し、波長毎に基準データを作成する。作成された基準データは、異常時の光SNRと比較するために用いられる。
【0058】
また、システム動作中、光受信装置2の光SNRモニタ11は、波長毎に算出された光SNRが、それぞれの光SNRが予め定められている光SNRの範囲内にあるか否かを確認する。受信した各波長がすべて予め定められた光SNRの範囲内にある場合は、通信は正常に行われていると判断される。
【0059】
ここで光伝送路3中の光ファイバまたは複数配置されている光増幅中継器4の構成光部品のいずれかの損失が変化する異常が発生したとする。異常が生じると、光受信装置2で受信した波長毎に分離した各光信号の光信号レベルと光雑音レベルが変化し、それに伴って光SNRが変化するため、算出された光SNRが予め定められている光SNRの範囲外となる。光受信装置2の光SNRモニタ11では、少なくとも2つの波長における光SNRを算出するようにしており、これら算出した光SNRが予め定められている光SNRの範囲外になると、これら算出した少なくとも2つの光SNRを用いて、光SNRの波長に対する傾斜を算出し、算出された傾斜と正常時に測定された基準データの光SNRの波長に対する傾斜とを比較することで傾斜増減量を算出する。この傾斜増減量が予め設定された閾値を超えた場合、光受信装置2は、傾斜増減量と各光増幅中継器4の特性に基づいて可変光減衰器5の減衰量可変値を算出し、算出した減衰量可変値を全ての可変光減衰器5に均等配分する。そして、光受信装置2は、均等配分した減衰量可変値を全ての可変光減衰器5に対して一斉指示することで、各可変光減衰器5に均等配分した減衰量可変値を設定する。
【0060】
光受信装置2は、全ての可変光減衰器5の減衰量可変値を均等配分に設定した後、図8〜図11を参照して前述したように各光増幅中継器4のモニタ機能(入力光モニタ101、出力光モニタ106、利得モニタ107、励起モニタ108)を順次測定し、障害発生箇所を特定する。障害発生箇所が特定されると、その障害発生箇所に最も近い場所に設置されている可変光減衰器5の減衰量に重み付けを行い全ての可変光減衰器5の減衰量が最適条件となるように再設定を行う。障害発生場所が2つの可変光減衰器5の中間にある場合は、光送信装置1側の可変光減衰器5の減衰量に重み付けを行い全ての可変減衰器5の減衰量が最適条件となるように再設定を行う。
【0061】
このようにこの実施の形態2では、光送信装置1から波長多重されて送信された光信号を光受信装置2が分離して受信し、光受信装置2内に設置された光SNRモニタ11が、受信した波長毎に光信号の光信号レベルと光雑音レベルを測定し光SNRを算出することで、光伝送路3または光増幅中継器4のいずれかに損失が発生したことを検知し、損失の発生を検知すると、光SNRモニタ11で算出された波長毎の光SNRの波長に対する傾斜を算出し、算出した傾斜を正常時に測定した基準データとの傾斜とを比較することよって傾斜増減量を求める。傾斜増減量が予め設定された閾値を超えた場合、傾斜増減量と光増幅中継器4の特性から、可変光減衰器5の減衰量可変値を均等配分して全ての可変光減衰器5に設定し、その後、障害発生箇所を特定して、全ての可変光減衰器5に最適な条件となるように減衰量を再設定するようにしているため、伝送品質の劣化により異常を検出し、その異常の特定を行う間の伝送品質の劣化量を最低限度にとどめることができる。
【0062】
実施の形態3.
図4を用いてこの発明の実施の形態3を説明する。実施の形態2では、光伝送路3または光増幅中継器4のいずれかに損失が発生したことを光信号レベルと光雑音レベルを測定し、測定結果から光SNRを算出することで検知し、伝送品質を保証するために波長毎の光SNRの傾斜に基づいて可変光減衰器5の設定値を変更するようにしていた。
【0063】
この実施の形態3では、光SNRの代わりに誤り訂正符号(BER:Bit Error Rate)を用いて可変光減衰器5の設定値を変更するものである。
【0064】
図4は、実施の形態3の波長多重光増幅中継伝送システムの構成を示すブロック図である。この実施の形態3における波長多重光増幅中継伝送システムでは、光受信装置2にBERモニタ12が設置されている。図1に示した実施の形態1と同じ機能を持つ構成部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0065】
BERモニタ12は、誤り符号訂正を用いて光通信を行うためのLSIなどを用いて、波長毎の符号誤り率の測定を行う。
【0066】
つぎに、実施の形態3の波長多重光増幅中継伝送システムの動作について説明する。光送信装置1は異なった波長を持つ複数の光信号に対して波長多重を行い、信号レベルを揃えて光伝送路3に送出する。送出された光信号は、光伝送路3と光増幅中継器4で構成される中継スパンとNスパン毎に配置されている可変光減衰器5を繰返し通過して、光受信装置2へ伝送される。光受信装置2は、伝送されてきた光信号を波長毎に分離して受信する。分離された波長多重光信号はデータ再生される。BERモニタ12は、正常時の光信号を受信して、波長毎に符号誤り率を測定し、波長毎に基準データを作成する。作成された基準データは、異常時の符号誤り率と比較するために用いられる。
【0067】
また、システム動作中、光受信装置2のBERモニタ12は、波長毎に測定された符号誤り率が、それぞれの符号誤り率が予め定められている符号誤り率の範囲内にあるか否かを確認する。受信した各波長がすべて予め定められた符号誤り率の範囲内にある場合は、通信は正常に行われていると判断される。
【0068】
ここで光伝送路3中の光ファイバまたは複数配置されている光増幅中継器4の構成光部品のいずれかの損失が変化する異常が発生したとする。異常が生じると、光受信装置2で受信した波長毎に分離した各光信号の符号誤り率が変化し、測定された符号誤り率が予め定められている符号誤り率の範囲外となる。光受信装置2のBERモニタ12では、少なくとも2つの波長における符号誤り率を測定するようにしており、これら測定した符号誤り率が予め定められている符号誤り率の範囲外になると、これら測定した少なくとも2つの符号誤り率を用いて、符号誤り率の波長に対する傾斜を算出し、算出された傾斜と正常時に測定された基準データの符号誤り率の波長に対する傾斜とを比較することで傾斜増減量を算出する。この傾斜増減量が予め設定された閾値を超えた場合、光受信装置2は、傾斜増減量と各光増幅中継器4の特性に基づいて可変光減衰器5の減衰量可変値を算出し、算出した減衰量可変値を全ての可変光減衰器5に均等配分する。そして、光受信装置2は、均等配分した減衰量可変値を全ての可変光減衰器5に対して一斉指示することで、各可変光減衰器5に均等配分した減衰量可変値を設定する。
【0069】
光受信装置2は、全ての可変光減衰器5に均等配分した減衰量可変値を設定した後、図8〜図11を参照して前述したように各光増幅中継器4のモニタ機能(入力光モニタ101、出力光モニタ106、利得モニタ107、励起モニタ108)を順次測定し、障害発生箇所を特定する。障害発生箇所が特定されると、その障害発生箇所に最も近い場所に設置されている可変光減衰器5の減衰量に重み付けを行い全ての可変光減衰器5の減衰量が最適条件となるように再設定を行う。障害発生場所が2つの可変光減衰器5の中間にある場合は、光送信装置1側の可変光減衰器5の減衰量に重み付けを行い全ての可変減衰器5の減衰量が最適条件となるように再設定を行う。
【0070】
このようにこの実施の形態3では、光送信装置1から波長多重されて送信された光信号を光受信装置2が分離して受信し、光受信装置2内に設置されたBERモニタ12が、受信した波長毎に光信号の符号誤り率を測定することで、光伝送路3または光増幅中継器4のいずれかに異常が発生したことを検知し、異常の発生を検知すると、BERモニタ12で測定された波長毎の符号誤り率の波長に対する傾斜を算出し、算出した傾斜を正常時に測定した基準データとの傾斜とを比較することよって傾斜増減量を求める。傾斜増減量が予め設定された閾値を超えた場合、傾斜増減量と光増幅中継器4の特性から、可変光減衰器5の減衰量可変値を均等配分して全ての可変光減衰器5に設定し、その後、障害発生箇所を特定して、全ての可変光減衰器5に最適な条件となるように減衰量を再設定するようにしているため、伝送品質の劣化により異常を検出し、その異常の特定を行う間の伝送品質の劣化量を最低限度にとどめることができる。
【0071】
なお、伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きは、1538nm付近を境にして短波長側と長波長側で変化するため、1538nmより長波長側と短波長側の光信号からは正確な伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きは算出できない。このため、伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを算出するための少なくとも2つ以上の波長は、図5に示すように、波長帯域内の略1538nmより長波長側、または、短波長側にある光信号から選択するようにする。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、光受信装置は、検出手段を用いて受信した波長多重光信号を波長毎に分離し、その波長毎に伝送品質の検出を行い、伝送品質の異常が検出されると、調整手段が波長毎に検出された伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを用いて全ての可変光減衰器の減衰量を一斉に調整し、その後個々の可変光減衰器の減衰量を調整して最適化するようにしているため、伝送品質の劣化により異常を検出し、その異常の特定を行う間の伝送品質の劣化量を最低限度にとどめることができ、光信号電力を常に所望の範囲内に維持することができる。
【0073】
つぎの発明によれば、調整手段は、波長毎に検出された伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを用いて全ての可変光減衰器の減衰量を均等に一斉に調整し、その後伝送品質の劣化の原因を解析することによって可変光減衰器の個々の減衰量を調整し再度設定を行い最適化するようにしているため、伝送品質の劣化により異常を検出し、その異常の特定を行う間の伝送品質の劣化量を最低限度にとどめることができ、光信号電力を常に所望の範囲内に維持することができる。
【0074】
つぎの発明によれば、波長毎に信号光電力を測定し、測定した信号光電力に基づき可変光減衰器の設定を行うための波長毎に検出された伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを求めるようにしているため、光信号電力を常に所望の範囲内に維持することができる。
【0075】
つぎの発明によれば、波長毎に光SNRを測定し、測定した光SNRに基づき可変光減衰器の設定を行うための波長毎に検出された伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを求めるようにしているため、光信号電力ひいては光SNRを常に所望の範囲内に維持することができる。
【0076】
つぎの発明によれば、波長毎に符号誤り率を測定し、測定した符号誤り率に基づき可変光減衰器の設定を行うための波長毎に検出された伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを求めるようにしているため、光信号電力ひいては符号誤り率を常に所望の範囲内に維持することができる。
【0077】
つぎの発明によれば、光増幅中継器はエルビウム添加光ファイバ増幅器で構成され、伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを波長帯域内の長波長側にある2つ以上の光信号から算出するようにしているため、波長多重された光信号の数がおおくても、最低2つの光信号に対しての測定で伝送品質を常に所望の範囲内に維持することができる。
【0078】
つぎの発明によれば、波長帯域内の長波長側にある2つ以上の光信号が略1538nmより長波長側の信号としているため、1538nm以上の波長から可変光減衰器の減衰量を設定し、1538nm以下の波長に拡大した超広帯域についても伝送品質を保証するシステムを得ることができる。
【0079】
つぎの発明によれば、光増幅中継器はエルビウム添加光ファイバ増幅器で構成され、伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを波長帯域内の短波長側にある2つ以上の光信号から算出するようにしているため、波長多重された光信号の数がおおくても、最低2つの光信号に対しての測定で伝送品質を常に所望の範囲内に維持することができる。
【0080】
つぎの発明によれば、波長帯域内の短波長側にある2つ以上の光信号が略1538nmより短波長側の信号としているため、1538nm以下の波長から可変光減衰器の減衰量を設定し、1538nm以上の波長に拡大した超広帯域についても伝送品質を保証するシステムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1の波長多重光増幅中継伝送システムの構成を示すブロック図である。
【図2】 実施の形態1の波長多重光増幅中継伝送システムの伝送品質を示すタイムチャートである。
【図3】 実施の形態2の波長多重光増幅中継伝送システムの構成を示すブロック図である。
【図4】 実施の形態3の波長多重光増幅中継伝送システムの構成を示すブロック図である。
【図5】 伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを示す図である。
【図6】 従来技術の光通信システムの構成を示すブロック図である。
【図7】 図1に示した光増幅中継器の構成を示すブロック図である。
【図8】 図7に示した光増幅中継器のモニタ機能を説明するためのブロック図である。
【図9】 図7に示した光増幅中継器のモニタ機能を説明するためのブロック図である。
【図10】 図7に示した光増幅中継器のモニタ機能を説明するためのブロック図である。
【図11】 図7に示した光増幅中継器のモニタ機能を説明するためのブロック図である。
【図12】 従来技術の伝送品質を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 光送信装置、2 光受信装置、3、3a、30 光伝送路、4 光増幅中継器、5 可変光減衰器、10 信号光電力モニタ、11 光SNRモニタ、 12 BERモニタ、32 光中継器、34 固定利得等化器、36 可変利得等化ユニット、38 光増幅器、101 入力光モニタ、102 エルビウム添加光ファイバ、103 WDMカプラ、104 光アイソレータ、105 励起光源、106 出力光モニタ、107 利得モニタ、108 励起モニタ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、1本の光ファイバに波長の異なる複数の光信号を多重化して伝送を行う波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)光伝送システムにおいて、各波長を一括して増幅する光増幅器を中継器として多段接続して長距離伝送を行う光海底ケーブルシステムなどに用いられる波長多重光増幅中継伝送システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、1本の光ファイバでの伝送容量を飛躍的に増大させることができるWDM光伝送システムは、大陸間を結ぶ光海底ケーブルに盛んに導入されている。
【0003】
WDM光伝送システムでは、個別の光源からくる波長の異なる複数の光キャリアを個々に変調し、変調した光信号の全てを光合波器によって合波する。合波されたWDM光信号は、光増幅器で一括増幅され光伝送路に送出される。光伝送路に送出されたWDM光信号は、光伝送路の損失を補償するために所定の中継間隔毎に配置された光増幅器によって再び一括増幅され次の光伝送路に送出される。このようにWDM光信号は、所定の中継間隔で一括増幅されながら受信端に到達する。受信端では受信したWDM光信号を光分波器で個々の光信号に分離し、分離された光信号は、光受信機でデータに再生される。
【0004】
WDM光伝送システムの場合、WDM光信号は、光増幅器で一括増幅されるため、光増幅器が有する利得の波長依存性(利得プロファイル)によって生じる光信号の信号レベル偏差は、光増幅器による中継回数が増加する度に拡大してしまう。光信号レベルが大きくなりすぎると光伝送路である光ファイバの非線形効果により波形劣化を生じ、光信号レベルが小さくなりすぎると信号が雑音に埋もれ、所望の伝送距離を伝送することができなくなってしまう。このような現象を避けるためには、光増幅器を用いて多段中継を行う場合、光信号の波長帯域内における利得偏差をできるだけ小さくする必要がある。そのために光増幅器の利得プロファイルを相殺するような透過率の波長依存性(等化プロファイル)を有する利得等化器が広く用いられている。
【0005】
一方、光増幅器として広く用いられているエルビウムをコアに添加した光ファイバを増幅媒体としたエルビウム添加光ファイバ増幅器(EDFA:Er Doped Fiber Amplifier)は、入力光強度と励起光強度によって決まる反転分布状態によって利得プロファイルが変化することがよく知られている。特に励起光強度一定制御を行っている光海底中継器では、入力光強度が変化すると利得プロファイルが変化するため、光ファイバのスパン損失と光増幅中継器の利得とを同一にするように入力光強度の動作点が決められ、その状態に合わせて利得等化器の設計が成されている。
【0006】
しかし、これらの利得等化器は受動的なデバイスであり、漁船や地震等の外的要因による光ケーブルの断線後の修理(割入れファイバ挿入)による損失増加や光ファイバケーブルや光海底中継器の構成光部品等の経年劣化による損失増加によって利得プロファイルが変化し、利得偏差を劣化させることになる。
【0007】
このような問題を改善するためには、光増幅器への入力光強度が変化することによる利得の波長傾斜特性を保障するデバイス(可変利得等化器)を適用することが有効である。磁気光学効果を利用して直線的な損失波長傾斜を変化させるデバイス、光導波路によってマッハ・ツェンダー干渉計を構成して直線的な損失波長傾斜を変化させるデバイス、あるいは、可変光減衰器と光増幅器とを組み合わせて光増幅器への入力光強度を制御し利得または損失の波長傾斜を変化させる方式が提案されている。このような従来技術の1つとして可変利得等化器を用いてシステム状態の変化に伴う等化誤差の変動を抑圧する方法が特開平11−224967号公報に開示されている。
【0008】
図6を参照して、特開平11−224967号公報に示された光通信システムの利得等化方法を説明する。図6は、光送信装置と光受信装置が光ファイバの光伝送路で接続されている光通信システムの光伝送路の一部の区間を示している。図6で示す光伝送路の区間28は、光ファイバの光伝送路30の途中に複数の光中継器32と固定利得等化器34と可変利得等化ユニット36とを備えている。光中継器32は、インライン型の光増幅器38を備えている。可変利得等化ユニット36は、利得または損失の波長特性が可変である可変利得等化器40を備えている。
【0009】
この光通信システムでは、波長が帯域1540nm〜1560nmに予め定められており、光伝送路30の損失変動に対して光中継器32の利得プロファイルは、長波長側の利得が最大となり短波長側の利得が最小となる波長特性を表すg(λ)[dB]と、短波長側の利得が最大となり長波長側の利得が最小となる波長特性を表すf(λ)[dB]との間で変化すると仮定し、かつ固定利得等化器34の損失波長特性L(λ)が、(g(λ)+f(λ))/2+aλ+bという式で示された特性(ただしa、bは定数)を満足するように設計されている場合、光伝送路30の損失変動に伴う利得プロファイルは、波長λに対して直線的な等化誤差Δg(λ)あるいはΔf(λ)を有している。但し、Δg(λ)=L(λ)−g(λ),Δf(λ)=L(λ)−f(λ)である。したがって、この従来システムの可変利得等化ユニット36では、波長に対して実質的に線形に損失傾斜が変化する可変利得等化器40を構成要素として用いて等化誤差を補償することで、光伝送路全体の利得傾斜が常にフラットになるように図6に示した区間毎に閉じた系で可変利得等化を行っている。
【0010】
図6に示した個々の区間28毎に閉じた系で可変利得等化を行うためには、異常箇所を特定する必要がある。ここで、上記従来システムの光中継器32に図7に示すようなEDFAによる一般的な光増幅中継器4を用いた場合の異常箇所特定処理について説明する。
【0011】
図7は、EDFAによる光増幅中継器4の構成を示すブロック図である。光増幅中継器4は、光増幅中継器4に入力される信号光の入力光強度をモニタするための入力光モニタ101と、増幅媒体としてのエルビウム添加光ファイバ102(EDF:Er Doped Fiber)と、エルビウム添加光ファイバ102に励起光を供給し、信号光を取り出すためのWDMカプラ103と、エルビウム添加光ファイバ102によって増幅された光の逆流を防ぐための光アイソレータ104と、エルビウム添加光ファイバ102への励起光源105と、光増幅中継器4から出力される信号光の出力光強度をモニタするための出力光モニタ106と、入力光モニタ101の出力と出力光モニタ106の出力から利得を算出する利得モニタ107と、励起モニタ108を備えている。
【0012】
図8に示すように、光伝送路3と光増幅中継器4の間に損失の変化が生じた光伝送路3aがある場合、光伝送路3aの直後にある光増幅中継器4の入力信号が変化する。これにより、光伝送路3aの直後にある光増幅中継器4の入力光モニタ101が異常を検知し、光伝送路3の異常箇所が光伝送路3aであることが特定される。
【0013】
つぎに、光増幅中継器4の内部で異常が発生した場合の検知について説明する。図9は、励起光源105が故障した場合を示している。励起光源105が故障すると、増幅率が変化し出力光強度をモニタしている出力光モニタ106の出力が変化する。つまり、利得が変化するので利得モニタ107で異常を検出することができる。また、励起光源105の動作電流および背面光モニタ電流をモニタする励起モニタ108でも異常が検出される。これにより、異常箇所が励起光源105であることが特定できる。
【0014】
図10は、エルビウム添加光ファイバ102よりも光増幅中継器4の出力側で異常が生じた場合を示している。この場合は、出力信号が変化するので出力光モニタ106と、利得モニタ107で異常が検出され、WDMカプラ103または光アイソレータ104のどちらかが故障し、光増幅中継器4の出力側で損失変動が生じたことが特定できる。
【0015】
図11は、光増幅中継器4の入力側に異常が生じた場合を示している。この場合は、利得モニタ107だけが異常を検知する。入力光モニタ101は異常を検知していないことから、異常箇所は、入力光モニタ101よりも後段の部分からエルビウム添加光ファイバ102よりも入力側であることが特定できる。
【0016】
このように、光増幅中継器4内の入力光モニタ101、出力光モニタ106、利得モニタ107、励起モニタ108の4つのモニタ機能から、損失変化を検出し異常箇所を特定することができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のシステムでは、図6に示した光伝送路の個々の区間毎の閉じた系で可変利得等化を行う必要があるため、各区間の各光中継器32(光増幅中継器4)に搭載されている前述した多くのモニタ機能の情報を総合して判断し、変更する区間の可変利得等化器の制御を行わなくてはならず、複雑な手順を踏んだアルゴリズムが必要となり、またそのための処理時間が長くなる問題がある。
【0018】
また、正確なシステム状態を把握するためには、モニタ機能の測定確度を高める必要があり、そのためには、例えば、複数回の測定結果を平均化するなど工夫しなければならず、異常が発生してから可変利得等化が完了するまでの時間が長くなってしまうという問題もある。
【0019】
つまり、図12に示すタイムチャートのように、時刻t1で光伝送路3または光増幅中継器4に異常が発生した場合、伝送品質は徐々に低下し、伝送品質が予め定められた閾値以下まで低下した時刻t2になると前述したモニタ機能が光伝送路3または光増幅中継器4の異常を検出する。この時刻t2からそれぞれの光増幅中継器4の情報を収集し、変更する区間の可変利得等化器を決定しその制御を行う。可変利得等化が完了し、低下した伝送品質が復帰する最適設定時刻をt3とすると、従来技術においては異常検出時刻t2から最適設定時刻t3の間も伝送品質は低下し続けることになる。
【0020】
この発明は上記に鑑みてなされたもので、超広帯域WDM光伝送システムにおいて、損失変動によって光海底中継器への入力光強度の動作点がかわることによる伝送品質の変化量を可変減衰器によって保証して、光信号電力を常に所望の範囲内に維持することができる波長多重光増幅中継伝送システムを得ることを目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明にかかる波長多重光増幅中継伝送システムは、波長の異なる複数の光信号による波長多重光を一括増幅する光増幅器を中継器として用いるWDM光伝送システムに適用され、波長の異なる複数の光信号を波長多重して送出する光送信装置と、前記光送信装置から送出された波長多重光信号を伝送する光ファイバの光伝送路と、前記光伝送路によって伝送された波長多重光信号を波長毎に分離して受信する光受信装置と、前記光伝送路の損失を補償するための複数の光増幅中継器と、前記光増幅中継器および前記光伝送路で生じた損失変化を補償するための2つ以上の可変光減衰器とを備える波長多重光増幅中継伝送システムにおいて、前記光受信装置は、受信した光信号の伝送品質を波長毎に検出する検出手段と、前記検出手段によって伝送品質の異常が検出されると、波長毎に検出された伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを用いて前記全ての可変光減衰器の減衰量を一斉に調整し、その後個々の可変光減衰器の減衰量を調整して最適化する調整手段とを備えることを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、光受信装置は、検出手段を用いて受信した波長多重光信号を波長毎に分離し、その波長毎に伝送品質の検出を行い、伝送品質の異常が検出されると、調整手段が波長毎に検出された伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを用いて全ての可変光減衰器の減衰量を一斉に調整し、その後個々の可変光減衰器の減衰量を調整して最適化するようにしている。
【0023】
つぎの発明にかかる波長多重光増幅中継伝送システムは、上記の発明において、前記調整手段は、波長毎に検出された伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを用いて前記全ての可変光減衰器の減衰量を均等に一斉に調整し、その後前記伝送品質の劣化の原因を解析することによって可変光減衰器の個々の減衰量を調整し再度設定を行い最適化することを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、調整手段は、波長毎に検出された伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを用いて全ての可変光減衰器の減衰量を均等に一斉に調整し、その後伝送品質の劣化の原因を解析することによって可変光減衰器の個々の減衰量を調整し再度設定を行い最適化するようにしている。
【0025】
つぎの発明にかかる波長多重光増幅中継伝送システムは、上記の発明において、前記検出手段および前記調整手段は、伝送品質として光電力を用いることを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、波長毎に信号光電力を測定し、測定した信号光電力に基づき可変光減衰器の設定を行うための波長毎に検出された伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを求めるようにしている。
【0027】
つぎの発明にかかる波長多重光増幅中継伝送システムは、上記の発明において、前記検出手段および前記調整手段は、伝送品質として光SNRを用いることを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、波長毎に光SNRを測定し、測定した光SNRに基づき可変光減衰器の設定を行うための波長毎に検出された伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを求めるようにしている。
【0029】
つぎの発明にかかる波長多重光増幅中継伝送システムは、上記の発明において、前記検出手段および前記調整手段は、伝送品質として符号誤り率を用いることを特徴とする。
【0030】
この発明によれば、波長毎に符号誤り率を測定し、測定した符号誤り率に基づき可変光減衰器の設定を行うための波長毎に検出された伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを求めるようにしている。
【0031】
つぎの発明にかかる波長多重光増幅中継伝送システムは、上記の発明において、前記光増幅中継器はエルビウム添加光ファイバ増幅器であって、前記伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを波長帯域内の長波長側にある2つ以上の光信号から算出することを特徴とする。
【0032】
この発明によれば、光増幅中継器はエルビウム添加光ファイバ増幅器で構成され、伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを波長帯域内の長波長側にある2つ以上の光信号から算出するようにしている。
【0033】
つぎの発明にかかる波長多重光増幅中継伝送システムは、上記の発明において、前記波長帯域内の長波長側にある2つ以上の光信号が略1538nmより長波長側の信号であることを特徴とする。
【0034】
この発明によれば、波長帯域内の長波長側にある2つ以上の光信号が略1538nmより長波長側の信号としている。
【0035】
つぎの発明にかかる波長多重光増幅中継伝送システムは、上記の発明において、前記光増幅中継器はエルビウム添加光ファイバ増幅器であって、前記伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを波長帯域内の短波長側にある2つ以上の光信号から算出することを特徴とする。
【0036】
この発明によれば、光増幅中継器はエルビウム添加光ファイバ増幅器で構成され、伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを波長帯域内の短波長側にある2つ以上の光信号から算出するようにしている。
【0037】
つぎの発明にかかる波長多重光増幅中継伝送システムは、上記の発明において、前記波長帯域内の短波長側にある2つ以上の光信号が略1538nmより短波長側の信号であることを特徴とする。
【0038】
この発明によれば、波長帯域内の短波長側にある2つ以上の光信号が略1538nmより短波長側の信号としている。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる波長多重光増幅中継伝送システムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0040】
実施の形態1.
図1〜図2を用いてこの発明の実施の形態1を説明する。この実施の形態1は、光送信装置1から波長多重されて送信された光信号を光受信装置2が分離して受信し、光受信装置2内に設置された信号光電力モニタ10が、受信した波長毎に光信号の受信レベルを測定することで、光伝送路3または光増幅中継器4のいずれかに異常が発生したことを検知し、異常の発生を検知すると、信号光電力モニタ10で測定された各波長の信号光電力の波長に対する傾斜を算出し、算出した傾斜と正常時に測定した基準データの傾斜とを比較することによって傾斜増減量を算出する。算出した傾斜増減量が予め設定された閾値を超えた場合、傾斜増減量と光増幅中継器4の特性から可変光減衰器5の減衰量可変値を算出し、算出した減衰量可変値を均等配分して全ての可変光減衰器5に一旦設定する。その後、障害発生箇所を特定して、可変光減衰器5の個々の減衰量を調整して全ての可変光減衰器5に最適な条件となるように減衰量を再設定するものである。
【0041】
図1は、実施の形態1の波長多重光増幅中継伝送システムの構成を示すブロック図である。この実施の形態1の波長多重光増幅中継伝送システムは、最短波長が1538nm以下にまで拡大した超広帯域WDM光伝送システムに適用されるものである。実施の形態1における波長多重光増幅中継伝送システムは、光送信装置1と光受信装置2とが、複数の光増幅中継器4(この場合はM台)と可変光減衰器5を中継して光ファイバの光伝送路3で接続されている。
【0042】
光伝送路3と光増幅中継器4を1つの中継スパンとすると、可変光減衰器5は、N中継スパン毎に配置される。可変光減衰器5が配置されている中継スパンは、可変光減衰器5の初期減衰量設定値分だけスパンを短く設定することで、可変光減衰器5をスパン損失に含めて考えられるようにしている。具体的には、光伝送路3に用いられている光ファイバ損失が0.25dB/km、スパン長が40kmであれば、そのスパン損失は10dBとなるが、可変光減衰器5の初期減衰量設定値が5dBに設定されている場合は、可変光減衰器5の両側に、スパン損失5dBで長さ20km相当の光ファイバがあるということになる。
【0043】
光送信装置1は、異なった波長を持つ複数の光信号を波長多重して光伝送路3に送出する。
【0044】
光受信装置2は、光送信装置1から送出され光伝送路3を介して伝送された波長多重された光信号を波長毎に分離して受信する機能と、信号光電力モニタ10を備えている。信号光電力モニタ10は、本システムの通信異常を検知する時に用いる、光受信装置2が受信した信号光電力の基準データの測定を行う。
【0045】
光増幅中継器4は、例えば、図7に示したように、光増幅中継器4に入力される信号光の入力光強度をモニタするための入力光モニタ101と、増幅媒体としてのエルビウム添加光ファイバ102と、エルビウム添加光ファイバ102に励起光を供給し、信号光を取り出すためのWDMカプラ103と、エルビウム添加光ファイバ102によって増幅された光の逆流を防ぐための光アイソレータ104と、エルビウム添加光ファイバ102への励起光源105と、光増幅中継器4から出力される信号光の出力光強度をモニタするための出力光モニタ106と、入力光モニタ101の出力と出力光モニタ106の出力から利得を算出する利得モニタ107と、励起モニタ108を備え、光伝送路3で損失されたWDM光信号の損失補償と、異常箇所の特定を行う。
【0046】
可変光減衰器5は、光増幅中継器4の構成光部品および光伝送路3の損失補償変化の補正を行う。
【0047】
つぎに、実施の形態1の波長多重光増幅中継伝送システムの動作について説明する。光送信装置1は異なった波長を持つ複数の光信号に対して波長多重を行い、信号レベルを揃えて光伝送路3に送出する。送出された光信号は、光伝送路3と光増幅中継器4で構成される中継スパンとNスパン毎に配置されている可変光減衰器5を繰返し通過して、光受信装置2へ伝送される。光受信装置2は、伝送されてきた光信号を波長毎に分離して受信する。分離された波長多重光信号はデータ再生される。信号光電力モニタ10は、正常時の光信号を受信して、波長毎に信号光電力を測定し、波長毎に基準データを作成する。作成された基準データは、異常時の信号光電力と比較するために用いられる。
【0048】
また、システム動作中、光受信装置2の信号光電力モニタ10は、波長毎に受信レベルを測定し、それぞれの受信レベルが予め定められている受信レベルの範囲内にあるか否かを確認する。受信した各波長がすべて予め定められた受信レベルの範囲内にある場合は、通信は正常に行われていると判断される。
【0049】
ここで光伝送路3中の光ファイバまたは複数配置されている光増幅中継器4の構成光部品のいずれかの損失が変化する異常が発生したとする。異常が生じると、光受信装置2で受信した波長毎に分離した各光信号の受信レベルが変化し、測定された受信レベルが予め定められている受信レベルの範囲外となる。光受信装置2の信号光電力モニタ10では、少なくとも2つの波長における受信レベルを測定するようにしており、これら測定した受信レベルが予め定められている受信レベルの範囲外になると、これら測定した少なくとも2つの受信レベルを用いて、信号光電力の波長に対する傾斜を算出し、算出された傾斜と正常時に測定された基準データの信号光電力の波長に対する傾斜とを比較することで傾斜増減量を算出する。この傾斜増減量が予め設定された閾値を超えた場合、光受信装置2は、傾斜増減量と各光増幅中継器4の特性に基づいて可変光減衰器5の減衰量可変値を算出し、算出した減衰量可変値を全ての可変光減衰器5に均等配分する。そして、光受信装置2は、均等配分した減衰量可変値を全ての可変光減衰器5に対して一斉指示することで、各可変光減衰器5に均等配分した減衰量可変値を設定する。
【0050】
光受信装置2は、全ての可変光減衰器5に均等配分した減衰量可変値を設定した後、図8〜図11を参照して前述したように各光増幅中継器4のモニタ機能(入力光モニタ101、出力光モニタ106、利得モニタ107、励起モニタ108)を順次測定し、障害発生箇所を特定する。障害発生箇所が特定されると、その障害発生箇所に最も近い場所に設置されている可変光減衰器5の減衰量に重み付けを行い全ての可変光減衰器5の減衰量が最適条件となるように再設定を行う。障害発生場所が2つの可変光減衰器5の中間にある場合は、光送信装置1側の可変光減衰器5の減衰量に重み付けを行い全ての可変減衰器5の減衰量が最適条件となるように再設定を行う。
【0051】
図2は、実施の形態1の波長多重光増幅中継伝送システムにおける異常発生から可変光減衰器5に最適条件が設定され伝送品質が復帰するまでを示したタイムチャートである。時刻t1で光伝送路3または光増幅中継器4に異常が発生し徐々に伝送品質は徐々に低下する。時刻t2で受信した波長毎に測定された信号光電力の波長に対する傾斜と基準データの波長に対する傾斜を比較した傾斜増減量が閾値を超えると、傾斜増減量と全ての光増幅中継器4の特性から減衰量可変値を算出して全ての可変光減衰器5に均等配分して設定を行ったため伝送品質は閾値を超えない値まで復帰している。その後、各光増幅中継器4のモニタ機能を順次測定して障害の特定を行い各可変光減衰器5の減衰量が最適となるように再設定を行い、時刻t3で完全に伝送品質は復帰する。つまり、図12に示した従来技術では、異常を検知してから可変利得等化器40の設定を行い伝送品質が復帰するまでの間、伝送品質は低下し続けるが、この実施の形態1では、異常検出直後にすべての可変光減衰器5を動作させることで図2に示すように、最適レベルとまではいかないが、すべての光増幅中継器4との監視・制御信号のやり取りを行っている間の伝送品質の劣化量を最低限度にとどめている。
【0052】
このようにこの実施の形態1では、光送信装置1から波長多重されて送信された光信号を光受信装置2が分離して受信し、光受信装置2内に設置された信号光電力モニタ10が、受信した波長毎に光信号の受信レベルを測定することで、光伝送路3または光増幅中継器4のいずれかに損失が発生したことを検知し、損失の発生を検知すると、信号光電力モニタ10で測定された波長毎の信号光電力の波長に対する傾斜を算出し、算出した傾斜を正常時に測定した基準データとの傾斜とを比較することよって傾斜増減量を求める。傾斜増減量が予め設定された閾値を超えた場合、傾斜増減量と光増幅中継器4の特性から、可変光減衰器5の減衰量可変値を均等配分して全ての可変光減衰器5に設定し、その後、障害発生箇所を特定して、全ての可変光減衰器5に最適な条件となるように減衰量を再設定するようにしているため、伝送品質の劣化により異常を検出し、その異常の特定を行う間の伝送品質の劣化量を最低限度にとどめることができる。
【0053】
実施の形態2.
図3を用いてこの発明の実施の形態2を説明する。実施の形態1では、光伝送路3または光増幅中継器4のいずれかに異常が発生したことを受信レベルを測定することで検知し、伝送品質を保証するために波長毎に信号光電力を測定し、その信号光電力の傾斜に基づいて可変光減衰器5の設定値を変更するようにしていた。
【0054】
この実施の形態2では、信号光電力の代わりに光信号レベルと光雑音レベルとを測定し光SNR(signal to noise ratio:受信信号強度対雑音比)を用いて可変光減衰器5の設定値を変更し伝送品質を補償するものである。
【0055】
図3は、実施の形態2の波長多重光増幅中継伝送システムの構成を示すブロック図である。この実施の形態2における波長多重光増幅中継伝送システムでは、光受信装置2に光SNRモニタ11が設置されている。図1に示した実施の形態1と同じ機能を持つ構成部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0056】
光SNRモニタ11は、光信号レベルと光雑音レベルを測定し光SNRの算出を行う。
【0057】
つぎに、実施の形態2の波長多重光増幅中継伝送システムの動作について説明する。光送信装置1は異なった波長を持つ複数の光信号に対して波長多重を行い、信号レベルを揃えて光伝送路3に送出する。送出された光信号は、光伝送路3と光増幅中継器4で構成される中継スパンとNスパン毎に配置されている可変光減衰器5を繰返し通過して、光受信装置2へ伝送される。光受信装置2は、伝送されてきた光信号を波長毎に分離して受信する。分離された波長多重光信号はデータ再生される。光SNRモニタ11は、正常時の光信号を受信して、波長毎に光信号レベルと光雑音レベルを測定し、測定結果から光SNRを算出し、波長毎に基準データを作成する。作成された基準データは、異常時の光SNRと比較するために用いられる。
【0058】
また、システム動作中、光受信装置2の光SNRモニタ11は、波長毎に算出された光SNRが、それぞれの光SNRが予め定められている光SNRの範囲内にあるか否かを確認する。受信した各波長がすべて予め定められた光SNRの範囲内にある場合は、通信は正常に行われていると判断される。
【0059】
ここで光伝送路3中の光ファイバまたは複数配置されている光増幅中継器4の構成光部品のいずれかの損失が変化する異常が発生したとする。異常が生じると、光受信装置2で受信した波長毎に分離した各光信号の光信号レベルと光雑音レベルが変化し、それに伴って光SNRが変化するため、算出された光SNRが予め定められている光SNRの範囲外となる。光受信装置2の光SNRモニタ11では、少なくとも2つの波長における光SNRを算出するようにしており、これら算出した光SNRが予め定められている光SNRの範囲外になると、これら算出した少なくとも2つの光SNRを用いて、光SNRの波長に対する傾斜を算出し、算出された傾斜と正常時に測定された基準データの光SNRの波長に対する傾斜とを比較することで傾斜増減量を算出する。この傾斜増減量が予め設定された閾値を超えた場合、光受信装置2は、傾斜増減量と各光増幅中継器4の特性に基づいて可変光減衰器5の減衰量可変値を算出し、算出した減衰量可変値を全ての可変光減衰器5に均等配分する。そして、光受信装置2は、均等配分した減衰量可変値を全ての可変光減衰器5に対して一斉指示することで、各可変光減衰器5に均等配分した減衰量可変値を設定する。
【0060】
光受信装置2は、全ての可変光減衰器5の減衰量可変値を均等配分に設定した後、図8〜図11を参照して前述したように各光増幅中継器4のモニタ機能(入力光モニタ101、出力光モニタ106、利得モニタ107、励起モニタ108)を順次測定し、障害発生箇所を特定する。障害発生箇所が特定されると、その障害発生箇所に最も近い場所に設置されている可変光減衰器5の減衰量に重み付けを行い全ての可変光減衰器5の減衰量が最適条件となるように再設定を行う。障害発生場所が2つの可変光減衰器5の中間にある場合は、光送信装置1側の可変光減衰器5の減衰量に重み付けを行い全ての可変減衰器5の減衰量が最適条件となるように再設定を行う。
【0061】
このようにこの実施の形態2では、光送信装置1から波長多重されて送信された光信号を光受信装置2が分離して受信し、光受信装置2内に設置された光SNRモニタ11が、受信した波長毎に光信号の光信号レベルと光雑音レベルを測定し光SNRを算出することで、光伝送路3または光増幅中継器4のいずれかに損失が発生したことを検知し、損失の発生を検知すると、光SNRモニタ11で算出された波長毎の光SNRの波長に対する傾斜を算出し、算出した傾斜を正常時に測定した基準データとの傾斜とを比較することよって傾斜増減量を求める。傾斜増減量が予め設定された閾値を超えた場合、傾斜増減量と光増幅中継器4の特性から、可変光減衰器5の減衰量可変値を均等配分して全ての可変光減衰器5に設定し、その後、障害発生箇所を特定して、全ての可変光減衰器5に最適な条件となるように減衰量を再設定するようにしているため、伝送品質の劣化により異常を検出し、その異常の特定を行う間の伝送品質の劣化量を最低限度にとどめることができる。
【0062】
実施の形態3.
図4を用いてこの発明の実施の形態3を説明する。実施の形態2では、光伝送路3または光増幅中継器4のいずれかに損失が発生したことを光信号レベルと光雑音レベルを測定し、測定結果から光SNRを算出することで検知し、伝送品質を保証するために波長毎の光SNRの傾斜に基づいて可変光減衰器5の設定値を変更するようにしていた。
【0063】
この実施の形態3では、光SNRの代わりに誤り訂正符号(BER:Bit Error Rate)を用いて可変光減衰器5の設定値を変更するものである。
【0064】
図4は、実施の形態3の波長多重光増幅中継伝送システムの構成を示すブロック図である。この実施の形態3における波長多重光増幅中継伝送システムでは、光受信装置2にBERモニタ12が設置されている。図1に示した実施の形態1と同じ機能を持つ構成部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0065】
BERモニタ12は、誤り符号訂正を用いて光通信を行うためのLSIなどを用いて、波長毎の符号誤り率の測定を行う。
【0066】
つぎに、実施の形態3の波長多重光増幅中継伝送システムの動作について説明する。光送信装置1は異なった波長を持つ複数の光信号に対して波長多重を行い、信号レベルを揃えて光伝送路3に送出する。送出された光信号は、光伝送路3と光増幅中継器4で構成される中継スパンとNスパン毎に配置されている可変光減衰器5を繰返し通過して、光受信装置2へ伝送される。光受信装置2は、伝送されてきた光信号を波長毎に分離して受信する。分離された波長多重光信号はデータ再生される。BERモニタ12は、正常時の光信号を受信して、波長毎に符号誤り率を測定し、波長毎に基準データを作成する。作成された基準データは、異常時の符号誤り率と比較するために用いられる。
【0067】
また、システム動作中、光受信装置2のBERモニタ12は、波長毎に測定された符号誤り率が、それぞれの符号誤り率が予め定められている符号誤り率の範囲内にあるか否かを確認する。受信した各波長がすべて予め定められた符号誤り率の範囲内にある場合は、通信は正常に行われていると判断される。
【0068】
ここで光伝送路3中の光ファイバまたは複数配置されている光増幅中継器4の構成光部品のいずれかの損失が変化する異常が発生したとする。異常が生じると、光受信装置2で受信した波長毎に分離した各光信号の符号誤り率が変化し、測定された符号誤り率が予め定められている符号誤り率の範囲外となる。光受信装置2のBERモニタ12では、少なくとも2つの波長における符号誤り率を測定するようにしており、これら測定した符号誤り率が予め定められている符号誤り率の範囲外になると、これら測定した少なくとも2つの符号誤り率を用いて、符号誤り率の波長に対する傾斜を算出し、算出された傾斜と正常時に測定された基準データの符号誤り率の波長に対する傾斜とを比較することで傾斜増減量を算出する。この傾斜増減量が予め設定された閾値を超えた場合、光受信装置2は、傾斜増減量と各光増幅中継器4の特性に基づいて可変光減衰器5の減衰量可変値を算出し、算出した減衰量可変値を全ての可変光減衰器5に均等配分する。そして、光受信装置2は、均等配分した減衰量可変値を全ての可変光減衰器5に対して一斉指示することで、各可変光減衰器5に均等配分した減衰量可変値を設定する。
【0069】
光受信装置2は、全ての可変光減衰器5に均等配分した減衰量可変値を設定した後、図8〜図11を参照して前述したように各光増幅中継器4のモニタ機能(入力光モニタ101、出力光モニタ106、利得モニタ107、励起モニタ108)を順次測定し、障害発生箇所を特定する。障害発生箇所が特定されると、その障害発生箇所に最も近い場所に設置されている可変光減衰器5の減衰量に重み付けを行い全ての可変光減衰器5の減衰量が最適条件となるように再設定を行う。障害発生場所が2つの可変光減衰器5の中間にある場合は、光送信装置1側の可変光減衰器5の減衰量に重み付けを行い全ての可変減衰器5の減衰量が最適条件となるように再設定を行う。
【0070】
このようにこの実施の形態3では、光送信装置1から波長多重されて送信された光信号を光受信装置2が分離して受信し、光受信装置2内に設置されたBERモニタ12が、受信した波長毎に光信号の符号誤り率を測定することで、光伝送路3または光増幅中継器4のいずれかに異常が発生したことを検知し、異常の発生を検知すると、BERモニタ12で測定された波長毎の符号誤り率の波長に対する傾斜を算出し、算出した傾斜を正常時に測定した基準データとの傾斜とを比較することよって傾斜増減量を求める。傾斜増減量が予め設定された閾値を超えた場合、傾斜増減量と光増幅中継器4の特性から、可変光減衰器5の減衰量可変値を均等配分して全ての可変光減衰器5に設定し、その後、障害発生箇所を特定して、全ての可変光減衰器5に最適な条件となるように減衰量を再設定するようにしているため、伝送品質の劣化により異常を検出し、その異常の特定を行う間の伝送品質の劣化量を最低限度にとどめることができる。
【0071】
なお、伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きは、1538nm付近を境にして短波長側と長波長側で変化するため、1538nmより長波長側と短波長側の光信号からは正確な伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きは算出できない。このため、伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを算出するための少なくとも2つ以上の波長は、図5に示すように、波長帯域内の略1538nmより長波長側、または、短波長側にある光信号から選択するようにする。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、光受信装置は、検出手段を用いて受信した波長多重光信号を波長毎に分離し、その波長毎に伝送品質の検出を行い、伝送品質の異常が検出されると、調整手段が波長毎に検出された伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを用いて全ての可変光減衰器の減衰量を一斉に調整し、その後個々の可変光減衰器の減衰量を調整して最適化するようにしているため、伝送品質の劣化により異常を検出し、その異常の特定を行う間の伝送品質の劣化量を最低限度にとどめることができ、光信号電力を常に所望の範囲内に維持することができる。
【0073】
つぎの発明によれば、調整手段は、波長毎に検出された伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを用いて全ての可変光減衰器の減衰量を均等に一斉に調整し、その後伝送品質の劣化の原因を解析することによって可変光減衰器の個々の減衰量を調整し再度設定を行い最適化するようにしているため、伝送品質の劣化により異常を検出し、その異常の特定を行う間の伝送品質の劣化量を最低限度にとどめることができ、光信号電力を常に所望の範囲内に維持することができる。
【0074】
つぎの発明によれば、波長毎に信号光電力を測定し、測定した信号光電力に基づき可変光減衰器の設定を行うための波長毎に検出された伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを求めるようにしているため、光信号電力を常に所望の範囲内に維持することができる。
【0075】
つぎの発明によれば、波長毎に光SNRを測定し、測定した光SNRに基づき可変光減衰器の設定を行うための波長毎に検出された伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを求めるようにしているため、光信号電力ひいては光SNRを常に所望の範囲内に維持することができる。
【0076】
つぎの発明によれば、波長毎に符号誤り率を測定し、測定した符号誤り率に基づき可変光減衰器の設定を行うための波長毎に検出された伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを求めるようにしているため、光信号電力ひいては符号誤り率を常に所望の範囲内に維持することができる。
【0077】
つぎの発明によれば、光増幅中継器はエルビウム添加光ファイバ増幅器で構成され、伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを波長帯域内の長波長側にある2つ以上の光信号から算出するようにしているため、波長多重された光信号の数がおおくても、最低2つの光信号に対しての測定で伝送品質を常に所望の範囲内に維持することができる。
【0078】
つぎの発明によれば、波長帯域内の長波長側にある2つ以上の光信号が略1538nmより長波長側の信号としているため、1538nm以上の波長から可変光減衰器の減衰量を設定し、1538nm以下の波長に拡大した超広帯域についても伝送品質を保証するシステムを得ることができる。
【0079】
つぎの発明によれば、光増幅中継器はエルビウム添加光ファイバ増幅器で構成され、伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを波長帯域内の短波長側にある2つ以上の光信号から算出するようにしているため、波長多重された光信号の数がおおくても、最低2つの光信号に対しての測定で伝送品質を常に所望の範囲内に維持することができる。
【0080】
つぎの発明によれば、波長帯域内の短波長側にある2つ以上の光信号が略1538nmより短波長側の信号としているため、1538nm以下の波長から可変光減衰器の減衰量を設定し、1538nm以上の波長に拡大した超広帯域についても伝送品質を保証するシステムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1の波長多重光増幅中継伝送システムの構成を示すブロック図である。
【図2】 実施の形態1の波長多重光増幅中継伝送システムの伝送品質を示すタイムチャートである。
【図3】 実施の形態2の波長多重光増幅中継伝送システムの構成を示すブロック図である。
【図4】 実施の形態3の波長多重光増幅中継伝送システムの構成を示すブロック図である。
【図5】 伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを示す図である。
【図6】 従来技術の光通信システムの構成を示すブロック図である。
【図7】 図1に示した光増幅中継器の構成を示すブロック図である。
【図8】 図7に示した光増幅中継器のモニタ機能を説明するためのブロック図である。
【図9】 図7に示した光増幅中継器のモニタ機能を説明するためのブロック図である。
【図10】 図7に示した光増幅中継器のモニタ機能を説明するためのブロック図である。
【図11】 図7に示した光増幅中継器のモニタ機能を説明するためのブロック図である。
【図12】 従来技術の伝送品質を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 光送信装置、2 光受信装置、3、3a、30 光伝送路、4 光増幅中継器、5 可変光減衰器、10 信号光電力モニタ、11 光SNRモニタ、 12 BERモニタ、32 光中継器、34 固定利得等化器、36 可変利得等化ユニット、38 光増幅器、101 入力光モニタ、102 エルビウム添加光ファイバ、103 WDMカプラ、104 光アイソレータ、105 励起光源、106 出力光モニタ、107 利得モニタ、108 励起モニタ。
Claims (9)
- 波長の異なる複数の光信号による波長多重光を一括増幅する光増幅器を中継器として用いるWDM光伝送システムに適用され、
波長の異なる複数の光信号を波長多重して送出する光送信装置と、
前記光送信装置から送出された波長多重光信号を伝送する光ファイバの光伝送路と、
前記光伝送路によって伝送された波長多重光信号を波長毎に分離して受信する光受信装置と、
前記光伝送路の損失を補償するための複数の光増幅中継器と、
前記光増幅中継器および前記光伝送路で生じた損失変化を補償するための2つ以上の可変光減衰器とを備える波長多重光増幅中継伝送システムにおいて、
前記光受信装置は、
受信した光信号の伝送品質を波長毎に検出する検出手段と、
前記検出手段によって伝送品質の異常が検出されると、波長毎に検出された伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを用いて前記全ての可変光減衰器の減衰量を一斉に調整し、その後個々の可変光減衰器の減衰量を調整して最適化する調整手段と、
を備えることを特徴とする波長多重光増幅中継伝送システム。 - 前記調整手段は、波長毎に検出された伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを用いて前記全ての可変光減衰器の減衰量を均等に一斉に調整し、その後前記伝送品質の劣化の原因を解析することによって可変光減衰器の個々の減衰量を調整し再度設定を行い最適化することを特徴とする請求項1に記載の波長多重光増幅中継伝送システム。
- 前記検出手段および前記調整手段は、伝送品質として光電力を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の波長多重光増幅中継伝送システム。
- 前記検出手段および前記調整手段は、伝送品質として光SNRを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の波長多重光増幅中継伝送システム。
- 前記検出手段および前記調整手段は、伝送品質として符号誤り率を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の波長多重光増幅中継伝送システム。
- 前記光増幅中継器はエルビウム添加光ファイバ増幅器であって、前記伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを波長帯域内の長波長側にある2つ以上の光信号から算出することを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の波長多重光増幅中継伝送システム。
- 前記波長帯域内の長波長側にある2つ以上の光信号が略1538nmより長波長側の信号であることを特徴とする請求項6に記載の波長多重光増幅中継伝送システム。
- 前記光増幅中継器はエルビウム添加光ファイバ増幅器であって、前記伝送品質の変化量における波長に対する線形な傾きを波長帯域内の短波長側にある2つ以上の光信号から算出することを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の波長多重光増幅中継伝送システム。
- 前記波長帯域内の短波長側にある2つ以上の光信号が略1538nmより短波長側の信号であることを特徴とする請求項8に記載の波長多重光増幅中継伝送システム。
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